バカップル観察記

リクエスト内容『第三者の視点から見たバカップルの跡宍』

おー、マジでヤッベー!遅刻だ遅刻〜。昨日電話で侑士としゃべりすぎちまった。目覚ま
しも鳴らねぇし、母ちゃんもちゃんと起こしてくれりゃいいのにー。
「悪ぃ、跡部。激助かったぜ。」
あれ?宍戸。何でリムジンからなんて出てきてんだ?
「全く、俺様が通りかからなかったら完璧に遅刻だったぜ。」
「だってよぉ、昨日テメェがあんな遅くに電話してくるから、なかなか寝付けなくて。」
「寝坊したってわけだな。ほら、さっさとしねぇとせっかくここまでは間に合ったのに、
教室行くまでで遅刻しちまったら意味ねぇだろ。」
うっわー、宍戸うらやましいー。こっちは全速力で走ってきたっつーのに。にしても、跡
部の奴が遅刻しそうになってる宍戸を車に乗せるなんて意外ー。俺の跡部のイメージだと、
バカにして通りすぎるって感じなんだけどな。
「跡部、走るぜ。」
「ああ。」
「ほら、俺が引っ張ってってやるよ。俺のペースで走ったら余裕で間に合うだろ?」
そんなの跡部がいいって言うわけねぇじゃん。バカにするにもほどが・・・・
「確かにそうだな。じゃ、行くか。」
「おう!」
うっそ、マジかよ!?跡部の奴、普通に宍戸の手取りやがった。朝っぱらから手繋いで何
やってんだアイツら。信じらんねー。てか、速ぇー宍戸。それに追いついてる跡部も跡部
だけど。うわあ、朝からすげぇもん見ちまった。
キーンコーンカーンコーン
「やべっ、予鈴なっちまった。アイツらの所為で遅刻になっちまう〜。急げー!!」
あー、アイツらのやりとり見てたら思わず立ち止まっちまったー!!くそ〜、あとで文句
言ってやるー!!

「てなことがあったんだぜ!」
「へぇ。それで今日は遅刻してきたんか。」
なかなかおもろいことしよるやん。跡部と宍戸も。アイツらも見かけによらずラブいこと
さらっとしよるからなあ。次は体育の授業で、跡部達のクラスと合同だし、どんな感じか
ちょっと観察してみるか。
「侑士、次の体育って今日も乗馬だっけ?」
「せやな。」
「俺、そんなに得意じゃねぇんだよなあ。まあ、いいや。さっさと着替えて、行こうぜ。」
「ああ。」
今日の乗馬はもう自由に乗り回していいってことになってるし、跡部が何かおもろいこと
してくれるやろ。どないなもんが見れるか、楽しみやわ。
「よーし、それじゃあ今日は好きなように乗っていいぞー。みんな基礎は出来てるからな。」
跡部と宍戸はどこにいるんや。おっ、発見!
「俺、乗馬ってそんなに得意じゃねぇんだよな。」
「確かにテメェは下手くそだよなあ。テメェはやっぱ、乗る方より乗られる方が向いてる
ってことだな。」
「な、何だよそれ!?そんなことねぇ!!」
「アーン?テメェはいつも俺の下で、それはそれはよさそうに喘いで・・・・」
「だーー!!こんな時に何言ってやがる!!ふざけんじゃねぇ!!」
何の話してんねん。まだ真昼間やで。宍戸もあないに大声出さなきゃ注目されへんのに、
必死で否定しとるからみんな見とるやないか。こないな時にケンカする必要もないのにな
あ・・・。
「で、テメェはどの馬で走るんだ。」
「今日は自由なんだろ?じゃあ、俺、乗らないで他の奴らの見てるからいい。」
「サボんじゃねぇよ。そうだ、うまく乗れねぇっつーんなら、俺が乗せてやってもいいぜ。」
「はあ?どういうことだよ?」
「ひとまず、この馬の上に乗れ。」
おっ、跡部が何か始めたで。何するんやろ?宍戸が乗った馬は、跡部がいつも乗ってる馬
やな。
「おい、どうすんだよ?こいつ、跡部がいつも乗ってる馬だぜ?」
「こうするんだ。」
跡部の奴、宍戸の後ろに乗って手綱を取っとる。なかなか大胆なことしよるなあ。あれじ
ゃまるで、宍戸がお姫さんやん。でも、ま、跡部にとってはそうなるのかもしれへんな。
「うっわあ、ちょっと跡部っ!!」
「安心しろ。振り落としたりはしねぇからよ。その代わりちゃんと掴まってろよ?」
「お、おう。」
「行くぜ、ハッ!」
パカラッ・・・パカラッ・・・・
おー、さすが跡部やな。見事な手綱さばき。宍戸も文句言ってたわりには、それなりに楽
しそうやん。それにしても、女子の黄色い声がうるさくてしゃーないわ。
「すっげぇ!馬って、こんなに速く走るんだ!!俺が乗る馬はこんなに速く走らないぜ。」
「そりゃ俺様が手綱を持ってんだ。当然だろ。」
「なあ、跡部、もっと速くならねーの?」
「なるけど、テメェ平気なのか?いきなりスピード上げるとバランス崩すぜ。」
「大丈夫だって。なっ、跡部vv」
「仕方ねぇなあ・・・」
何やあのやりとり。跡部、メッチャ宍戸にほだされとるやん。てか、マジであないにスピ
ード上げて大丈夫かいな。跡部は平気やとしても、宍戸が・・・
『キャーッ!』
って、そんなこと考えてるそばから宍戸が落ちかけとるし!
「宍戸っ!!」
ガシッ
おー、ナイスキャッチ。ホンマにヒヤヒヤさせられるわ。女子達は今度は違う意味で悲鳴
上げとるし。
「だから、言ったじゃねぇか。ったく、ちょっと油断するとこれだぜ。」
「悪ぃ。でも、サンキューな、跡部!」
「今度は落ちんじゃねぇぞ。」
「おう!今度は落ちねぇように気をつけるぜ。」
うわあ、何やもう二人の世界って感じやな。岳人が言ってたことがよく分かったわ。まさ
かこないにあからさまとは思えへんかった。普通にラブロマンス映画の1シーンに出てき
そうな光景やわ。これは他のヤツらにも話さんとなあ・・・。

「てな感じで、今日の二人はいつもよりすごいんやで。な、岳人。」
「そうそう。いつもはそんなに気にしてなかったからかもしんないけど、気にしてみてみ
ると結構すげぇの!」
「ふーん。でも、俺、今日はあの二人と同じ授業もないし、今日は水曜日で部活もないか
ら見れる機会がないんだよなあ。」
「あっ、そう言えばさっき跡部が図書館に用があるとか何とか言ってたぜ。昼休み始まっ
たばっかだし、行ってみたら会えるんじゃねーの?」
「へぇ、ならちょっと行ってみようかな。」
跡部と宍戸がバカップルしてるねぇ。いつものことだと思うけど、そんなにすごいのかな
あ・・・?ま、行ってみるだけ行ってみるか。
ガラガラ・・・
えーっと、跡部が借りるのは大抵海外古典だから、あっちの方かな?
「なあ、まだ借りんのか?」
「ああ。あとニ冊くらい読みたい本が・・・おっと、あそこにあるのがそうだな。」
おっ、早速発見!図書館なんて、宍戸は全く来なさそうなのに、跡部と一緒だったら来る
んだ。
「随分と高い場所にあるんだな。俺らでも台乗らないと取れねぇじゃん。」
「そうだな。あ、あともう一冊はあそこか。」
「跡部、もう一冊の本取って来いよ。こっちは俺が取っておいてやるから。」
「ああ、頼む。」
宍戸から跡部の手伝いしてるなんて珍しいー。絶対あーいうことは面倒くさがって、やら
なそうなのに。それにしても一体何冊跡部は借りるんだろう?宍戸が机の上に置いたので
も7、8冊あるよ。
「うおっ、意外とギリギリだ。てか、何でこんな分厚いんだよ。なかなか取れねぇ。」
うわー、危ない宍戸。メチャクチャ台揺れてんじゃん。ちょっとバランス崩したら、倒れ
ちゃうよ、あれじゃあ。
ガタンッ!
「わっ・・・」
「あっ!」
マジでバランス崩してるし!!何してんだよ、宍戸のヤツー。
「おっと。」
「・・・・跡部?」
「ったく、何やってんだよ?今日のテメェは不注意すぎるぜ。体育の時も馬から落ちそう
になって、今度は脚立かよ?気をつけろ。」
「わ、悪ぃ・・・」
うわー、姫抱きでキャッチだよ。今の宍戸の立場が普通の女子だったら絶対おちるよなあ。
「俺がいないとテメェは本当にどうしようもねぇな。」
「そ、そんなことねぇ!!」
「まあ、そんなとこも俺は気に入ってるけどな。」
「だから、違うって言ってんだろっ!!」
宍戸、声デカイ。ここ図書館だってこと絶対忘れてるよな。そんなに騒いでたら怒られる
ぞ。って、おいっ!跡部、こんなとこで何やってんだよ!?
「〜〜〜〜〜っ!?」
「宍戸、図書館で大声出すのはよくないぜ。」
「なっ・・・あ・・・テメっ、今・・・・」
「あんまりテメェがうるさいからな。少し黙らせてやろうと思っただけだ。」
「ふざけ・・・」
「もう一回されてぇみてぇだな。」
「うっ・・・」
そりゃ黙るしかないっしょ。てか、跡部楽しそうだなー。昼休みの図書館でキスするとか
マジありえないし。何か見てるこっちがドキドキしてきちゃうよ。
キーンコーンカーンコーン
あっ、予鈴鳴っちゃった。もう少し見てたかったんだけどなあ。
「宍戸、さっさとここにある本借りて行くぞ。」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
「ほら、もたもたしてんじゃねぇ。次の授業は確かライティングだったよな?」
「えっ、ああ。たぶんそうだったと思うぜ。」
「だりーな。宍戸、屋上でサボるぞ。」
「おー、いいんじゃねぇ?たまにはテメェもいいこと言うじゃん!」
「じゃあ、行くぞ。」
午後の授業サボる気満々じゃん。でも、俺はサボれる授業じゃないからなあ・・・。そう
だ!屋上ならジローが昼寝してるかも。メールしておこうっと。

「ん〜、よく寝た。おりょ?メールが来てる。」
えーと、何々?ふーん、ここに跡部と宍戸が来るんだ。今日の二人のバカップル度はピカ
イチで、どんなことするから気になるから後で教えて・・・なるほど、なかなか面白そう
じゃん!二人に見つからないようにあの上に登っておこうっと。
「よいしょっと。ここなら、死角だからきっと見つからないよね。」
ガチャ
おっ、来た来た。何するのか楽しみー。まさかそういうことはしないと思うけど、あの二
人のことだからなあ。結構イチャイチャするのかも。
「跡部ー、ココ、あったかくて気持ちいいぜ。」
宍戸って、普段は跡部にかなりつっけんどんな態度なのに二人きりになると、随分態度が
変わるんだなー。
「日向ぼっこにはちょうどいい光の量だ。」
「こういう日はゆっくり昼寝でもしたくなっちまうな。」
「そうだな。ところで、宍戸。ここには誰もいねぇし、さっきの続き少ししねぇか?」
さっきの続き?何だろ?
「さっきの続きって・・・図書館でしたキスの続きってことか?」
「ああ、そうだ。もちろんこんなとこで、そういうことをする気はねぇ。たださっきより
もっとちゃんとしたキスをしたいなあと思ってよ。」
マジマジ!?跡部と宍戸さっき図書館でキスしたんか。滝、そーいうことはちゃんとメー
ルで教えてくれなきゃだよー。んでんで、するのしないの?
「うーん、さっきは見られてなかったにしろ、人がいっぱいいたから嫌だったけどよ、今
なら他に人はいねぇみてぇだし、少しならいいぜ。」
わーお、宍戸ってば大胆〜!!こんなこと言われちゃ、跡部もやる気俄然アップだよねー。
「なら、遠慮なくさせてもらうぜ。」
「おう・・・」
うっわあ、マジマジすっげー!超ラブシーン!!写メ撮ってやれー。
ピロリン
あっ、ヤバッ!今のでバレちゃったかな。どうしよ〜。
「んんっ・・・跡部ぇ・・・・」
「本当にお前キスしてるときの顔、イイよな。すげぇ煽られるぜ。」
「んじゃ、もっとしてくれよ。」
「ああ。いくらでもしてやる。」
よかったー。チューに夢中で全然気づいてないや。バレたら何にもなんないもんな。ちょ
っと静かにしてよーっと。
「ふ・・はぁ・・・」
「顔真っ赤だぜ?」
「あ、あんなキスされたら仕方ねぇだろ!」
「可愛いヤツだな。ふあ〜、何か眠くなってきちまった。宍戸、肩貸せ。」
「おう。俺も眠いかも。俺も寝ていいか?跡部。」
「ああ、いいぜ。こんな陽気じゃ眠くなっても仕方ねぇもんなあ。」
おっ、二人ともお昼寝モードだ。うわー、顔寄せ合っちゃって超ラブラブじゃん。しかも、
手まで握り合っちゃってるC〜!!もう少し経って起きそうになかったら、また写メ撮っ
てやれ。
「うーん、全然起きる気配ないなあ。これなら、ドアップで撮っても大丈夫かも〜。」
よっし、ちょっとドキドキだけどこんな珍しい写真撮れねぇもんな。撮っちゃおーっと。
ピロリン、ピロリン・・・
マジで全く起きねぇな。本当に気持ちよさそうに寝ちゃってるし。何かこれ以上邪魔すん
のも可哀想だから、俺は他んとこで寝よー。その前にこの写真、滝とか岳人に送らなきゃ
な!!

「うわあー、よくこんな写真撮れたね、ジロー。」
「へへーん、すげぇだろ?」
「誰がどう見ても仲睦まじいカップルやな。」
「しかもさ、こんなふうに昼寝する前まで、キスしまくってたんだぜ!あっ、その写メも
あるよ。」
「すっげぇ。よく気づかれずに撮れたよな。写メって隠し撮り防止で、マナーにしてても
音鳴るだろ?」
「うん。鳴っちゃったんだけど、二人ともチューするのに夢中で全然気づかねぇの。」
「やるねー。あっ、ジロー。それも送って。」
「俺も欲しい。宍戸脅すのに使えそうだし。」
「いいよー。忍足もいる?」
「あー、じゃあ一応もらっておくわ。」
何だ?先輩達、廊下の隅に集まって何してるんだろ?ちょっと様子を見てみるか。
「サンキュー、ジロー。ん?あっ、日吉ー。どうしたの?こんなところで。」
ちっ、見つかっちまった。仕方ねぇ。
「こんにちは。ちょっと部室に用があって。跡部さんに鍵を借りに来たんです。」
「部室に用?今日部活休みなのに?」
「昨日の練習で、ちょっと忘れ物をしてしまって。」
「気をつけなアカンで。あっ、跡部なら宍戸とさっき教室出て行ったで。」
「そういや、宍戸が部室に帽子を置いてきたとか言ってたな。たぶん二人とも部室に行っ
たんだと思うぜ。直接部室に行ってみたら会えるんじゃねぇ?」
「分かりました。ありがとうございます。」
跡部さんも部室に行ったのか。鍵を借りて返す手間が省けてラッキーだったな。それにし
ても、先輩達は何を見てあんなに盛り上がってたんだ?
〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜♪
「メール?誰からだ?」
芥川さんからだ。用があるならさっき言ってくれればいいのに・・・・。
「っ!?」
跡部さんと・・・宍戸さん・・・だよな?な、何だよ、この写真。こんなもの俺に送られ
てこられても。あー、そうか。先輩達はこの写真を見て、さっき盛り上がってたんだな。
「まあ、下剋上するために、使えなくはないかもしれないな。」
まあ、いい。一応、そのままにしておくか。それより、さっさと部室行って、帰らないと
うちでの稽古に遅れちまう。
ガチャ・・・
「開いてる。やっぱり、跡部さん達来てるんだ。えっと、確か昨日は部活後にミーティン
グ室で、鳳達と食ったはずだから、このへんに・・・・あった。」
食い物を無駄にするのはよくないからな。よし、忘れ物は見つけたし、帰るか・・・とそ
の前に、跡部さんと宍戸さん、ここにいるはずだよな?ちょっと覗いてみるか。もしかし
たら、何か秘密が握れるかもしれないし。下剋上にはそういうことも必要だよな。
カチャ・・・・
「なあなあ、最近お前、俺んとこ電話してきすぎじゃねぇ?」
「アーン?そうか?」
「たくさん話してる感はもちろんあるんだけどよ、今、携帯いじってて、着信履歴見て、
ビックリした。」
「へぇ、どうしたんだよ?」
「ほら、見てみろよ。着信履歴、全部お前で埋まってるぜ。」
「いいことじゃねぇか。それとも、テメェはそれが不満なのか?」
着信履歴が一人の人の名前で埋まってるってすごいな。跡部さん、忙しそうなのに、そん
なに宍戸さんに電話してるのか?
「別に悪いなんて一言も言ってねぇじゃん。」
「俺は学校や部活で話してるだけじゃ、物足りねぇんだよ。寝る前でも朝でもテメェの声
が聞きたくなるんだ。」
「な、何恥ずかしいこと言ってやがんだ・・・」
まるで恋人同士の会話だな。宍戸さんも照れてるし。こんな光景見てるとさっきの写真も
納得出来るな。
「なあ、俺のことどれくらい好きか言ってみろよ。」
いきなりすごいこと言い出すなぁ、跡部さん。
「はあ!?こ、こんなとこで言えるかよ。」
「言えよ。」
跡部さんも強引だな。あんな逃げ場のない状況じゃ宍戸さんも言わざるを得ないだろう。
「テメェ少し強引過ぎるぞ。」
「俺が強引じゃなかったら、俺じゃねぇだろうが。」
「確かにそうだけどよ・・・」
「それで、テメェはどのくらい俺のことが好きなんだ?」
「うー・・・えっと、口では表現出来ねぇくらい・・・」
「表現出来ねぇくらい?」
「跡部のこと、好きだ・・・」
「まあ、今はそれで許してやる。もっと具体的には、今週末ベッドの中で聞かせてもらう
ぜ。」
「なっ・・・!」
「ほら、今度は帽子忘れんじゃねぇぞ。せっかく部活がオフなんだ。今日は放課後デート
でもして、帰ろうぜ。」
わっ、ヤバイ。早く出ないと・・・・
ガチャっ
「っ!?」
「日吉、こんなところで何してんだ?」
「昨日ここに忘れ物をして、取りに来ました。跡部さんを探してたら鍵が開いてたんで。」
「そうか。俺らもう帰るからテメェも早く帰れ。今度は忘れ物すんじゃねぇぞ。」
「はい、分かってます。」
立ち聞きしてたことはバレてないみたいだな。それにしても、跡部さんと宍戸さんって本
当どういう関係なんだろ?掴めないよなあ・・・。
「日吉、何ぼーっとしてんだよ?鍵閉めちまうぞ。」
「あっ、すいません。」
深く考えても答えは出なさそうだしな。今は考えないでおくか。おっと、もうこんな時間
だ。早く帰らないと。
「それじゃ、跡部さん、宍戸さん、お先に失礼します。」
「おう、じゃあな。」
「気をつけて帰れよ。」
ふぅー、どうにか何の問題もなしにやり過ごせたぜ。何だか不思議なもん見たって感じだ
が、まあいいか。一応、先輩達に後でメールしておこう。きっと、何かのネタにはなるだ
ろ。
「おっ、日吉からメールだぜ。」
「俺んとこにも来た。へぇ、跡部達、部室でも相当バカップルしてたらしいよ。しかも、
これから放課後デートだってさ。」
「今日は一日中ベタベタしまくりやな、あの二人。またこういう機会があったら、みんな
で協力して、観察せぇへん?」
「賛成ー!!意外とこういうことって面白いよな!」
「よし、じゃあ、また何かあったらメールとか何かで連絡取り合おう。」
『おう!!』
こんなことがあり、跡部と宍戸の観察は、しばらく三年レギュラー(&+α)の間で流行
となるのであった。

                                END.

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