Spring Vacation

リクエスト内容『春休みに旅行に行く跡宍(15禁くらい)』

春休みも半分くらいまで来たところで、跡部は宍戸にある提案をした。
「宍戸、せっかく春休みなんだからよ、旅行にでも行かねぇか?」
「旅行?」
聞き返す宍戸に跡部は写真や文字が印刷されたコピー用紙を渡した。それには、旅行先の
詳しいマップやホテルのことが載っている。
「昨日、お前が寝てる間、インターネットで調べてみたんだよ。大分でちょっと遠いかも
しんねぇけど、かなりいい感じだと思うぜ。行くか?」
「えっ、うん・・・。行きたいけどよ、大分県って確か九州だろ?それにホテルに泊まる
となると金がなあ・・・」
宍戸はまず旅行費用の心配をした。そんなに裕福とは言えない家庭なので、いきなり九州
に旅行に行こうと言われても即答でイエスとは言えない。
「ああ、それなら心配すんな。費用は全部こっちで出してやんよ。」
「えっ!?でも・・・」
「母さんや父さんも許してくれてるから、マジで心配ないって。それより、俺はこの旅行
すげぇ行きたいんだけど、お前が嫌だって言うと行けなくなっちまうんだよな。」
「本当にいいのか?」
「いいって言ってんだろ。で、行きたいのか、行きたくねぇのか、どっちだ?」
「・・・行きたい。」
「よし、じゃあ、決まりだ!出発は明後日。どうせずっと俺んちに泊まってんだから問題
ねぇよな?明日、準備するから持ってくるもんがあったら、自分の家に戻ってとって来い
よ。」
「ああ。出発は明後日だな。」
初めはあまり乗り気ではなかった宍戸もここまで決まってしまったなら、もう行くしかな
い。春休みは遠出をしないと思っていたので、宍戸は思ってもみなかったこの旅行がしだ
いに楽しみになっていく。そして、あっという間に出発の日がやってきた。

出発日当日、跡部達は昼前に目的地に到着した。早めの昼食を済ませ、一番目の目的地に
向かう。この日の予定は昨日のうちに二人で相談し、どこへ行くかをバッチリ決めていた
のだ。
「跡部、まず行くところって牧場だよな?」
「ああ。ホテルのすぐ近くらしいけど、どうする?ホテルにいったん寄ってから行くか?
それとも、そのまま直行するか?」
「ホテルに入るといろいろ面倒くせぇから、そのまま行こうぜ。」
「分かった。じゃあ、行くか。」
「おう。」
というわけで、二人はそのまま一番初めの目的地、町田バーネット牧場へと向かった。こ
こでは引き馬に乗れたり、ウサギやヤギなどの動物達と触れ合うことが出来る。ソフトク
リームもなかなか美味しいと評判だ。
「で、宍戸。初めにどこ行く?」
「えっと、馬にも乗りたいけど、それはあとのお楽しみに残しておいて・・・そうだな、
ウサギとかヤギがいるとこ行こうぜ。」
「ウサギとヤギのところか・・・。じゃあ、こっちだな。」
入り口で渡されたマップを見ながら、跡部は歩き出した。
「うわあ、すっげぇ!!ヤギもウサギもいっぱいだ!」
目の前にいるヤギやウサギの多さに宍戸は感嘆の声を上げた。牧場なんだから当たり前だ
ろと跡部につっこまれても、その感動は消えないらしい。ヤギにエサをあげようと考えた
が、それよりもウサギの方が気になってしまい、宍戸はそっちの方へ歩いて行く。一匹の
ウサギが宍戸の足元にピョンピョンと跳ねてやってきた。そのウサギをそっと抱き上げ、
跡部の方を見る。
「見ろよ跡部。このウサギ、すっげー可愛くねぇ?」
笑いながらウサギとじゃれている宍戸は、跡部からすればウサギなんかよりもはるかに可
愛いと思える。そんな宍戸に近づいて行き、頭をくしゃっと撫でた。
「確かに可愛いな。」
「な、何で、可愛いとか言いながら俺の頭撫でてんだよ。」
少し照れたような怒ったような表情で、跡部を睨む。頭の上に置かれている手をどかした
いのだが、ウサギを抱いているのでそれは出来なかった。
「あーん?可愛いと思うから撫でてるんだ。分かんねぇのか?」
「だから、何でウサギじゃなくて俺の頭撫でてんのかって聞いてんだよ!」
「だって、こんなウサギなんかよりお前の方がずっと可愛いぜ。可愛い方の頭を撫でたく
なるのは当然だろ?」
淡々と答える跡部に宍戸はたじたじ。赤くなりながらうつむいてしまった。
パシャッ
「へっ!?」
シャッター音とフラッシュに気づき、宍戸は顔を上げる。そこには、楽しそうな笑みを浮
かべて、デジカメを持っている跡部がいた。
「いい顔、撮らせてもらったぜ。」
「なっ!?何すんだよ跡部!!」
「旅行に来たんだから、写真撮るのなんて当たり前だろ?ウサギとのツーショット、いい
感じに撮れたぜ。」
「消せよ!」
「嫌だね。こんな可愛く撮れてんのにそんなもったねぇこと出来るか。」
「〜〜〜〜。」
デジカメを鞄にしまい、跡部は他の場所に移動しようを歩き始める。しばらく、怒った感
じでウサギを抱いたまま固まっていた宍戸だが、置いていかれるのは嫌だったので、ウサ
ギを下ろし、跡部のあとを追った。
「もうそろそろ移動しねぇと、今日はもう一箇所行くところがあるからな。宍戸、確か、
馬に乗りたいんだったよな?」
「えっ、ああ。」
「じゃあ、次はそこだな。1500円かかるらしいけどいいのか?」
「えっ!?そんなにかかんのか!?」
「ああ。」
「えー、じゃあ、やめようかな・・・。」
「乗りゃあいいだろ。こういう費用も旅行費用の一部だぜ。俺が出してやるよ。」
笑いながら跡部は言う。宍戸は残念そうな顔を明るい顔に変えて、うれしそうに跡部にお
礼を言う。
「サンキュー、跡部!!」
二人は引き馬のところへと向かった。乗るのは宍戸だけ。跡部は馬に乗る宍戸をデジカメ
で何枚も写真を撮った。馬に乗る宍戸はとても楽しそうで、最高の笑顔を跡部は逃さない。
宍戸が降りるまでに跡部が撮った写真は軽く10枚を越した。
「あー、楽しかった。跡部は乗らなくていいのか?」
「ああ。俺はいい。」
「そっか。」
「じゃあ、もうそろそろ次の場所行くか?」
「そうだな。あっ、その前に俺、ソフトクリーム食いてぇ。確かここのソフトクリームっ
て、すごい美味いんだったよな。」
「そうらしいけど。」
「じゃ、買って食べてから行こうぜ。」
「ああ。」
跡部と宍戸はソフトクリームを一つだけ買い、牧場を出た。
「このソフトクリームうめぇ。」
「そんなに美味いか?」
「ああ。跡部も食うか?」
「じゃあ、一口貰う。」
跡部は宍戸が食べていた部分に何の躊躇もなしに口をつける。宍戸はそれを見て、少しだ
けドキッとしてしまった。
「本当、美味いな。」
「だろ?えっと、このあとって、どこ行くんだっけ?」
「龍門の滝だ。」
「龍門の滝かあ。何かカッコイイ名前だよな。」
宍戸はソフトクリームを口にしながら、次に行く場所を想像し、期待を膨らませた。

龍門の滝に着いた二人は、その滝の大きさに驚いた。高さ20m、幅20mという大きな
滝の下は水飛沫がすごく、今の季節には少々寒い。
「でかいなあ。」
「でも、水はかなりキレイみたいだな。」
「あっ、なあ、あの石のとこまで行けるかな?」
宍戸は川の中心辺りにある大きな石を指差し、わくわくした表情で跡部に言った。そこに
行くまで、その石より幾分小さな石がいくつか並んでいる。
「行けるだろうけど、やめた方がいいんじゃねぇの?川に落ちても着替えねぇし。」
「大丈夫だって。じゃ、ちょっと行って来るな。」
「おいっ、宍戸!!ったく、知らねぇぞ。」
宍戸は跡部が注意するのも聞かず、宍戸は石渡りを始めた。ピョンピョンと石を渡り、川
の中心へと向かう。跡部の心配していたように途中で落ちはせず、何の問題もなく真ん中
の石まで辿り着いた。
「ほら、跡部。ちゃんと行けただろ?」
辿り着いたうれしさに宍戸は笑顔で跡部に手を振る。落ちてしまうことを心配していた跡
部は、ふぅとため息をついて、微笑んだ。だが、次の瞬間跡部の顔が一気に凍りつく。
「うわっ・・・・」
バシャンッ!!
宍戸はその場で足を滑らせ、見事に川に落ちた。そんなに深くはなかったので、溺れると
かそういうことはなかったが、服はもちろんビショビショ。それもまだ水に入るには寒い
時期なので、そのままの格好でいたら風邪をひく可能性がある。
「痛ってー・・・うわあ、ビショビショだ。」
宍戸は体中から水を滴らせ、跡部のところへ戻って来た。
「だから言っただろ。何やってんだよバーカ!」
「ちょ、ちょっと油断しちまったんだよ。」
「油断?だから、こんなことになるんだぜ。」
「だって・・・跡部と居ると何か気が抜けちゃうっていうか、別にそんなに緊張してなく
てもいいっていうか・・・俺がどうかしても跡部が何とかしてくれそうだから・・・・つ
い・・・。」
跡部から視線を外し、宍戸はぶつぶつと呟いた。それを跡部は一言一句逃さないで聞く。
そんなことを言われてしまっては、放っておけなくなってしまう。
「全く・・・本当世話の焼ける奴だな。そのままだと風邪ひくだろ。おら、その上着脱い
でこれ着てろ。」
跡部は自分の着ていた上着を脱ぎ、宍戸に渡した。宍戸は濡れてしまった上着を脱いで、
跡部に渡された上着を羽織る。
「あんがと、跡部。」
「もうホテル行くぞ。そのままじゃ、マジで風邪ひいちまうからな。」
「跡部、やーさしいー。」
宍戸はからかうように言ってみる。跡部はかあっと顔を赤くして、宍戸の肩に腕を回し、
低い声で囁いた。
「宍戸・・・どうせだったら、下も脱がしてやろうか?」
かなり怒っているようだ。宍戸は慌てて跡部に謝る。
「わっ、ゴメン跡部。からかったの悪かった。だから、それだけは勘弁!!」
「冗談に決まってるだろ、バーカ。」
「あー!!また、バカって言ったな!」
「バカにバカって言って、何が悪ぃんだよ。」
「何だよ、アホベのくせに。」
「んだと?お前に言われたくねぇ!!」
軽く痴話喧嘩をしながら二人はホテルへ向かった。本当にこの二人は仲がよい。

ホテルに着くと、チェックインをし、今日泊まる部屋に向かう。そして、荷物を置くとす
ぐに温泉へと向かった。
「浴衣とタオルと・・・跡部、あと他に何か持ってくものあるか?」
「お前、下着は持って行かねぇのか?まあ、そうしたいなら俺は別に構わねぇけどよ」
「あっ、そうか。それは重要だな。」
忘れ物がないか確かめ、やっと出発。今、入る温泉は露天風呂ではなく、室内にある『げ
んじの湯』という温泉。ちなみにこれは男湯の名前で女湯は『ひめの湯』である。
「げんじの湯か。へぇ、女湯はひめの湯なんだな。」
「お前はひめの湯の方があってるんじゃねーの?」
「何でだよー。俺はれっきとした男だ!」
「ほら、ごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと入るぞ。」
くすくすと笑って跡部は先に入ってしまう。宍戸はからかわれ怒りながらも、すぐにあと
を追った。
「待てよ!置いてくな!!」
げんじの湯は湯船がとても広く、窓からは日本らしい庭が見える。効能もたくさんあり、
そのお湯は飲むことも出来るようだ。
「広いな、この風呂。」
「そうだな。でも、今はざっと浴びる程度にしようぜ。」
「何で?」
「あとでまた入りに来んだよ。まあ、ここじゃないけどな。」
「ふーん。じゃあ、さっさと洗っちゃって、軽く浸かって、出るか。」
二人はさっさと体を洗い、軽く浸かってからすぐにこの温泉をあとにした。
「部屋に帰ったら何すんだ?」
「たぶんすぐ夕飯だと思うけど。」
浴衣をしっかり着て、部屋に戻るとすでに夕食が用意されていた。その豪華さに宍戸は驚
く。
「うっわあ、豪華な料理ばっかだ。」
「一番高いコースにしてやったからな。」
「マジで!!どれも美味そう。どれから食おうかなあ。」
たくさんのご馳走を目の前にして、宍戸ははしゃぎまくり。そんな宍戸を見て、跡部は満
足そうに微笑む。
「うめぇー。これもこれも、全部すっげー美味い!!」
「気に入ったか?」
「ああ。こんな豪華な飯食えると思ってなかった。俺、今、超幸せー。」
「そうか。そりゃよかったな。」
パクパクと宍戸はいろいろな料理を次々に口に運ぶ。かなりの量があったはずなのだが、
あっという間に皿は空になってしまった。
「はあー、美味かった。腹いっぱーい。」
「お前、本当よく食うよな。」
「だって、こんな料理滅多に食えねぇもん。全部食べなきゃ損じゃん。」
「でも、お前が満足してくれたんならこれにして正解だったな。」
「本当サンキューな跡部。この旅行来てマジでよかったと思う。」
宍戸があまりにもうれしそうにさらっと言うので、跡部はそのあとに続ける言葉が思い浮
かばなかった。だが、そう言われてうれしいのは確かなので、宍戸に軽くキスをして、そ
の気持ちを表す。
「もう少ししたら順番が回ってくるからな。それまで、少し休もうぜ。」
「順番?何の?」
「さっき言ったろ?もう一回温泉に行くって。その温泉、30分間ずつ予約制で貸切出来
んだよ。あと20分くらいしたら俺達の番だぜ。」
「へぇ、すごいな。あー、それも楽しみかも。」
貸切風呂の順番が来るまで、二人は食休みをしつつ、くつろぐ。順番が来たことを伝える
知らせが来ると二人はタオルだけを持ち、その温泉へと向かった。
「宍戸、さっさと入るぞ。30分しかないんだからな。」
「30分って結構あると思うぜ。そんなに急がなくても大丈夫だろ?」
「30分間、この風呂貸切なんだぜ?有意義に過ごさなきゃ損だろ。」
「?」
宍戸には跡部の言っていることがいまいち理解出来なかった。だが、その言葉の意味は入
ってすぐに分かることになる。
「今度は露天風呂なんだな。」
「ああ。『子宝の湯』って言うらしいぜ。」
「変な名前だな。」
「そうか?いい名前だと思うけど。」
まずは軽く体を流そうとシャワーの前にイスを置いて、宍戸は座る。跡部はその真後ろに
座り、後ろから宍戸を抱きしめた。
「な、何だよ?跡部・・・」
「言ったろ?30分間、有意義に過ごすって。」
「ま、まさか、ここでするのか!?」
「途中までな。最後までじゃあ、時間が足りなすぎだ。どうせ最後までするんだったら、
時間をかけてじっくりしたいだろ?」
「えっ、じゃあ・・・・ひゃっ・・・!」
いきなり下半身に手を触れられ、宍戸は声を上げる。
「や・・・やめろよ・・・」
「今はこの風呂、俺達が貸し切ってるんだ。誰も来ねぇよ。」
耳元で妖しく囁かれ、宍戸は抵抗する気力を失ってしまった。
「んっ・・・・あっ・・・跡部・・・」
「もっと、声出しても大丈夫だぜ。声聞かせろよ。」
「でも・・・ここ・・外だし・・・はっ・・・あ・・・」
「大丈夫だって。ほら、もうこんなになってるじゃねぇか。素直に反応した方が気持ちよ
くなれるぜ。」
「くぅん・・・あっ・・・ふ・・・」
跡部に敏感な部分を直接弄られ、宍戸は涙目になり素直に反応する。ここまで来てしまっ
たら、宍戸に抵抗する気は全くなくなってしまう。そのまま身体を跡部に預けて、好きな
ように触らせる。
「うあ・・・あぁ・・・はぁ・・ん・・・」
「やっぱ、いいぜ。こういう時のお前、本当可愛い。」
「何だよ・・・それ・・・・つーか・・・微妙に・・焦らしてんじゃ・・・ねぇよ・・!」
「そんなことないぜ。あっ、それだったらこっちも弄ってやろうか?」
跡部はあいている方の手で、胸の突起も弄り始める。
「んっ・・・あっ・・・あんっ・・・」
「お前、ここも感じやすいよな。一緒に弄ると感じ方倍増だろ?」
「何・・言って・・・・うっ・・・やぁ・・・」
「だって、こっち触り始めたら、下も一気に濡れてきたぜ。言葉で否定してたって、体が
こんなじゃ説得力ねぇよな。」
「ウルセ・・・あっ・・・ちょっ・・・跡部っ・・・!」
一瞬高まった快感に宍戸は頭を振った。その瞬間、髪を束ねていたゴムが外れ、髪が落ち
る。
「やっ・・・あっ・・んん・・・」
「髪下ろすと、お前やっぱ色っぽいな。いい感じだぜ。」
「跡部っ・・・もう・・・そろそろ・・・ダメ・・・!!」
「ここで手離してやろうか?もうちょっと焦らすのもいいだろ。」
「やだっ・・・ちゃんと・・・イカせろ・・・」
「大胆なこと言うじゃねぇか。じゃあ、お望み通りイカせてやるよ。」
「くっ・・・あぁんっ!!」
跡部はタイミングを計り、思いきり宍戸のものを擦った。それと同時に宍戸は達する。肩
で呼吸をしながら、跡部に寄りかかり余韻に浸る。
「ハァ・・・ハァ・・ハ・・・ハァ・・・」
跡部はシャワーを使い、宍戸の出したものを全て洗い流す。これでこんなことをしたとい
う証拠は全てなくなった。
「満足か?」
「・・・・お前、こういうことするためにこの風呂予約したのか?」
「63%くらいそうだな。」
「何だよ、その微妙な数は・・・。」
「まあ、いいじゃねぇか。残りの時間、ゆっくり温泉にでも浸かろうぜ。」
したいことをし終え、満足した跡部は宍戸を促し湯船に入った。10分くらいゆっくりと
浸かり温泉を堪能したあと、さっきと同じように浴衣を着て部屋へと戻る。
「でも、気持ちよかったな温泉。」
「どっちの意味でだ?宍戸。」
「・・・・どうしてそういうこと聞くんだよ。」
宍戸は少し怒り気味。でも、気持ちよかったのは確かなので、全部を否定することは出来
なかった。部屋に戻ると夜風に当たろうと二人は窓を開け、そこに座った。
「わあ、跡部、すげぇよ。」
「何が?」
「星だよ星。すっげーいっぱい見えるぜ。」
「ああ。そりゃそうだろ。ここの温泉の名前の由来ってこれからきてんだからよ。」
「どういうことだ?」
「ここらへんにある『宝泉寺温泉』ってのは、夜空に宝石を散りばめたように星が見える
っつーことから、その名がついたんだからな。たくさん星が見えて当然だろ。」
「へぇー、そうなんだ。すげぇな。」
「お前、さっきからすげぇばっかだな。」
「そうか?まあ、いいじゃん。」
楽しそうに笑って宍戸は言う。しばらくの間、二人はたくさんの星を眺めていた。その星
空は本当に宝石を散りばめたようで、どれだけ長い時間見ても飽きることはなかった。
「もうそろそろ部屋に入るか宍戸。」
「・・・・・。」
跡部が声をかけても宍戸は返事をしない。跡部は不思議に思いもう一度声をかける。
「宍戸。部屋入るぞ。」
コテン
宍戸は返事をせずに頭を跡部に傾けた。小さな寝息を立てながら。
「何だよ、寝ちまってるじゃねぇか。ま、明日もあるし、今日はこのまま寝かせてやるか。」
跡部は布団を敷き、宍戸をそこに寝かせた。もちろん布団は一つ。跡部はまだ眠るつもり
はないので、触れるだけのキスを一回だけして寝顔を眺める
「明日はもっといろいろさせてもらうからな。覚悟しとけよ宍戸。」
宍戸の真横で寝転がり、自分も布団に入る。そのうち、いつの間にか跡部も眠ってしまっ
た。明日もまた楽しいことがたくさん待っているのだろう。

                                END.

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