Sailor Suits

委員会で学校を出るのがだいぶ遅くなってしまった帰り道、滝は見たことのある顔を見つ
けた。しかし、見たことはあるが一度も話したことはない。誰だったっけと考えていると、
何故か宍戸の顔がパッと浮かぶ。
「宍戸に関係してる奴だと思うんだけどなあ・・・誰だっけ?」
その人物は、おそらく自分より年下であろうと思われる女の子と楽しそうに話をしながら、
こちらへ向かってくる。話の中身に学校名が出てきたのを聞いて、滝はそれが誰だか思い
出した。
「あっ、橘だ!」
思わず声に出してしまう。かなり近い距離で名前を言ってしまったので、橘とその隣の女
の子は立ち止まった。
「知り合い?お兄ちゃん。」
「いや・・・ん?その制服は氷帝か。何か用か?」
「い、いや、何でもないんだ。ちょっと見たことある顔だなあと思って、つい・・・」
「テニス部なのか?」
「一応ね。これでも宍戸がレギュラーに戻るまでは、正レギュラーだったんだよ。その子
は妹?」
あまりに仲良さげに話しているので彼女なのかとも思ったが、『お兄ちゃん』と言うのを
聞いて、それは違うと悟った。自分の話をするのも億劫なので、話題を変えようと、分か
ってはいるがそんなことを滝は尋ねた。
「ああ。」
「随分仲がいいんだね。」
「そう見えるか?」
「うん。とっても。」
そんな話をしていると、滝は橘が大きな紙袋を手に下げていることに気がつく。その中身
が気になり、滝は率直にそれを聞いてみた。
「随分大きい紙袋だね。中、何が入ってるの?」
「あー、これは・・・」
言いにくそうにしている橘の代わりに杏がパッと横やりを入れる。
「この前、うちの学校で文化祭があってね、そのときお兄ちゃん達、つまりテニス部のメ
ンバーがアトラクションで女子の制服を着たのよ。で、着たは着たけど、こんなの持って
帰れないって、うちで全部持って帰ることになったの。」
「へぇー。橘も着たの?」
「・・・まあ、一応な。」
女子の制服となると、今、杏が着ているセーラー服だ。セーラー服を着た橘を想像し、滝
は苦笑する。
「そりゃ大変だったね。女子の制服って、この子が着てるこのセーラー服でしょ?」
「ああ。本当はしたくなかったんだけどな、くじびきでそうなってしまって・・・」
「なるほど。不本意だったってわけか。」
「神尾くんや深司くんはすごく似合ってたのよ。お兄ちゃんや石田くんは少し微妙だった
けど・・・。」
「石田って、元祖波動球を打つ子だよね。あの子、かなり身長大きいでしょ。よくそんな
サイズの制服あったね。もちろん橘もだけど。」
「あるのよねー、これが。あっ、でも、氷帝の人達ならみんな似合いそう!よかったらこ
れ引き取ってくれません?」
「へっ?」
「おい、杏っ!」
杏の提案に滝も橘も驚く。セーラー服を引き取ったところで、どうすればいいのかという
話だ。しかし、石田や橘のサイズのセーラー服も入っているということを聞いて、滝の頭
にある考えが思い浮かぶ。
「うーん、確かにうちのチームは女顔が多いからなあ。着せたら似合うかも。」
「ですよね!じゃあ・・・」
「おい、悪いだろ!!」
「だって、こんなにサイズの違う制服ばっかりあってもしょうがないじゃない。お兄ちゃ
んももう着るつもりないでしょ?」
「そりゃそうだけど・・・」
「いいよ、橘。一応、もらっておく。罰ゲームとか何かのネタに使えそうだしね。」
「わーい、ありがとうございます!」
処分に困る制服を引き取ってもらえるということで、杏は素直に喜んだ。悪いなあという
顔をしながら橘もお礼を言う。何着かの制服が入った紙袋を受け取り、滝は二人と別れた。
「なかなかいいものもらっちゃった。これは使わなきゃ損だよねー。」
氷帝学園は女子もブレザーの制服なので、セーラー服などそうそう手に入らない。そんな
セーラー服をゲットし、とある考えを頭の中で巡らせながら、ご機嫌な様子で滝は自分の
家へと帰っていった。

次の日はたまたま休みだったので、滝はあるものをそろえ、うきうきした気分で携帯電話
を手に取る。そして、今、一番会いたいと思う人に電話をかけた。三回くらいの呼び出し
音で、その相手は電話に出る。
『もしもし?』
「あっ、もしもし、長太郎。今、電話大丈夫?」
『はい、全然大丈夫です。どうしたんですか?』
「ちょっと面白いものもらってね。今、暇?よかったら、うちに遊びに来ない?」
面白いものと聞いて、鳳は興味津々。特に何か用があるというわけでもなかったので、滝
の誘いに迷わず乗った。
『面白いものって何ですか?』
「それは見てからのお楽しみ♪」
『すごい気になります。今日は特に予定ないですし、今から滝さんちに行ってもいいです
か?』
「うん。全然構わないよ。むしろ大歓迎。」
『分かりました。じゃあ、今からそっちに向かいますね!』
「うん、待ってる。」
ピッ・・・
電話を切ると滝は思いきり顔を緩ませる。これから自分のもとへ鳳が来るのだ。これはも
う昨日橘兄妹からもらった例の服を着せるしかないと、滝はやる気満々だった。午前中の
うちに用意しておいたアイテムをキチンと机の上に並べ、わくわくしながら鳳が到着する
のを待った。

しばらくすると鳳が滝の家に到着する。今日は家には誰もいないので、何をするにも自由
だった。玄関から自分の部屋へと移動すると、滝は鳳をクッションの上に座らせる。
「今、飲み物とかもってくるからちょっと待っててね。」
「はい。」
滝がお茶を取りに行っている間、鳳は特に何もせずにぼんやりと滝が帰ってくるのを待っ
ていた。ふと机の横に目を移すと大きな紙袋が置いてある。何だろうと疑問に思い、手を
伸ばそうとすると滝が帰ってきた。
「お待たせ、長太郎。」
「あっ、滝さん。ありがとうございます。」
お茶を目の前の小さなテーブルに置かれ、鳳はそっちの方へ意識を移さざるを得なかった。
紙袋が気になるなあと淹れてきてもらったお茶をすすりながら見ていると、滝がその紙袋
を手にした。
「この紙袋、気になる?」
「あっ・・・はい。随分大きな紙袋だなあと思って。」
「ふふ、この中に電話で言った面白いものが入ってるんだ。」
「本当ですか?何が入ってるんですか?早く見せてください。」
さぞかしすごいものが入っているのだろうと、鳳はわくわくしながら滝にそう頼む。しか
し、そうすぐには滝は中に入っているものを出さなかった。
「見せるけど、その前に約束して。この後、俺がこうしてって言ったことにはちゃんと従
って。そうすれば、今すぐにでもこの中身見せてあげる。」
何故そうしなくてはいけないのか分からなかったが、今はそんな疑問より袋の中身が知り
たいという好奇心の方が勝っていた。滝の言葉に鳳は素直に頷く。
「分かりました。滝さんの言うことちゃんと聞きます。」
「よし。それじゃあ、見せてあげるね。」
ニコッと笑いながら、滝は紙袋の中に入っているものを鳳の前に出す。それを見て鳳の表
情は固まる。確かに面白いものではあるが、普通のものとは全然サイズが違うことが見て
とれた。そうなると、さっき滝が言ったことの意味が何となく読めてくる。
「ず、随分大きいサイズのセーラー服ですね。どうしたんですか?これ。」
「不動峰の橘からもらったんだ。何か文化祭で使ったみたいでね。一番大きいのは、石田
が着たやつだと思うよ。」
「石田って、不動峰の中でも特に大きい人ですよね。一回だけそばで見たことあるけど、
確か俺より身長高かったと思いますよ。」
「へぇー、長太郎より大きいんだ。それは知らなかった。それじゃ、全然余裕だね。」
楽しそうに笑う滝を見て、鳳は嫌な予感がする。余裕というのはおそらくサイズのことだ
ろう。さっきの約束が有効になってしまうのであれば、滝に言われることは一つしかない。
「それじゃあ、長太郎。さっそく着てみて。」
「えっ・・・俺がですか?」
「そうだよ。さっき約束したよね。俺の言うことには何でも従うって。」
「・・・はい。」
嫌な予感的中。しかし、約束は約束だ。しかも滝との約束となると鳳は破るわけにはいか
ない。しぶしぶ鳳は渡されたセーラー服を受けとり、その場で着替え始めた。着てみると
サイズはピッタリ。こんなサイズのセーラー服があるのかという事実に鳳は驚いた。
「わー、似合うじゃん!長太郎。」
「こんなサイズのセーラー服、あるんですね・・・」
「俺も初めはビックリしたけどね。そうだ、どうせだったら俺も着てみようかな。」
「へっ!?」
まだ、セーラー服は何着か残っているので、滝はその中から自分のサイズに合うようなも
のを探し出し、パッパと着替える。こちらもサイズはピッタリ。滝はもともと容姿が女っ
ぽいので、その格好に全く違和感は感じられない。
「どうかな、長太郎?」
「・・・すっごい、似合います。」
あまりの似合いっぷりに鳳はドキドキする。思わず自分も同じ格好をしているということ
を忘れてしまうくらいだ。
「よっし、それじゃ、もうちょっと女の子っぽくなるように飾りをつけようか。」
「えっ、いいですよ別に。」
「俺がしたいの。ここに座って、長太郎。」
机の前にある椅子に鳳を座らせ、滝は午前中のうちに買ってきたものを手に取った。エク
ステンションや髪留め、リボンやリップなど、女の子がつけるようなものがたくさん机の
上に並んでいる。
「まずはこれから。」
そう言いながら、滝は何本かのピンク色のエクステンションを鳳の髪に留めてゆく。長さ
が長いので、鳳の髪の長さに合わせて切り、装着部が見えないように地毛で隠した。
「こんなもんかな?次はどれにしよう?」
「どうなってるんですかか?滝さん。」
「すっごく可愛くなってるよ。後で鏡で見せてあげるね。」
エクステンションがつけ終わると、今度は可愛らしい飾りのついた髪留めで前髪を留めて
ゆく。ピンクのエクステンションとその髪留めのおかげで、鳳の容姿も滝に負けず劣らず
女の子っぽくなった。
「いい感じ、いい感じ。そうだ、どうせならリップも塗ってみよう。でも、どんな色かま
だ確かめてないんだよなあ。一回確認してから塗ろう。」
リップは口紅ではなく、リップクリームに多少色がついているというタイプのものだ。買
ったはいいが、どの程度色がつくのか試していなかったので、滝は一度自分の口に塗り、
その色を確かめてみた。鏡を覗くと、薄い桜色ほどの色が唇についている。
「そんなに濃い色じゃないみたいだね。よし、じゃあ、塗るから少し口開けて。」
今しがた自分の唇に塗ったリップを鳳の唇にもつける。鳳からすれば、ドキドキものだ。
薄っすらとピンク色に色づいた鳳の唇を見て、滝は満足気に笑った。
「可愛い、長太郎。本当に女の子みたい。」
「そうですか?あの・・・鏡、見てみたいんですけど。」
「いいよ。はい。」
先程リップの色を確かめるために使った鏡を鳳に渡す。その鏡に映った自分の姿を見て、
鳳は言葉を失った。大した化粧をしたわけではないにも関わらず、その顔は確かにいつも
の自分に比べて女の子っぽくなっている。
「うわあ・・・」
「ね、可愛いでしょ?」
「可愛いというか・・・何か自分じゃないみたいです。」
「長太郎は長太郎だよ。ねぇ、写メ撮っていい?」
「えー、嫌ですよ。こんな格好、恥ずかしいですし・・・」
「一枚だけ。ね、お願い。」
滝があまりにも頼んでくるので、鳳はしぶしぶ頷く。
「本当に一枚だけですからね。」
「うん、分かってる。ここだと微妙だから、ベッドに座ってよ。」
「ベッドですか?」
「うん。ほら、早く。」
「分かりました・・・」
何だか腑に落ちないなあと思いながらも鳳はベッドに移動し、ポスンと腰かける。スカー
トが意外と短いので、下着が見えないようにと気をつけながら体勢を整えた。そうすると
必然的に座り方も女の子らしくなる。
「じゃ、撮るよ。」
カシャっ
シャッター音を聞いて、鳳は恥ずかしいなあと思いながらもこれで終わりだとホッとする。
ふうっと溜め息をつくと、次の瞬間、体が後ろに倒れた。
「へっ・・・?」
「やっぱさ、そういう格好してるの見るとしたくなっちゃうよねー。」
「えっ!?ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!それはさすがにダメですって!」
馬乗り状態で鳳の上にいる滝は、もう我慢出来ないという状態だ。状況が掴めず、鳳は焦
りまくる。自分はこんな格好だし、滝も自分とほとんど変わらないような格好をしている。
こんな格好のままやるなんて、恥ずかしくて耐えられないと鳳は抵抗しようとする。
「あれ、さっき約束したよね。すぐに見せるかわりに俺の言うことには全部従うって。」
「うっ・・・」
「たまにはこういうのもいいじゃん。ね、しよう長太郎。」
「・・・・・はい。」
それを言われてしまうと文句は言えない。鳳は抵抗するのを止め、滝の言葉に小さな声で
頷いた。

短いスカートの下に穿いていた下着は、滝によって既に取り除かれている。露わになった
熱を滝は掌で包み、したいように弄る。
「んっ・・・あ・・・ゃ・・・」
抵抗出来ない鳳は為すがままになっている。与えられる刺激に耐えようとする鳳の顔を見
て、滝の中で軽い嗜虐心が疼く。
「ねぇ、長太郎。」
「何・・ですか?」
「長太郎のコレ、口でしたいなあと思うんだけどダメ?」
弄られたまま、そんなことを尋ねられ、鳳の顔はカアっと赤くなる。いいと言うのも恥ず
かしいし、さっきの約束からダメだとも言えない。どうしようかと何も言えないでいると、
滝が質問を変えてまた尋ねてきた。
「していいかな?」
そう聞かれれば、しゃべらなくとも頷くか首を振るかで答えられる。鳳は恥ずかしそうに
小さく頷いた。
「それじゃあちょっと起き上がって。」
横になったままでも出来なくはないが、滝はわざわざ鳳を起き上がらせ、座らせる。そし
て、自分も鳳の前に座ると、ニッコリと笑いながらとある要求をした。
「このままだと少しやりにくいから、自分でスカートあげてくれる?」
「えっ・・・?」
滝の言ったことに鳳は一瞬耳を疑った。わざわざ口でしてもらうために、自分でスカート
をあげろというのだ。
「出来るでしょ?」
「でも・・・そんなこと・・・恥ずかしくて・・・」
今にも泣いてしまいそうな声で鳳は言う。しかし、滝にとってはそんな声もそう言う表情
も堪らなかった。
「さっきの約束、まだ有効だからね。」
少し厳しい口調で、滝はそう言い放つ。約束を破ることの出来ない鳳は、震える手で自分
の穿いているスカートの裾をぎゅっと握った。そして、恐る恐るそのスカートを自ら捲る。
「いい子だね。」
そう言いながら、滝は軽く頭を撫でた後、鳳の足の間に顔を埋める。さっきの愛撫ですっ
かり熱くなり、蜜を溢し始めているそれを咥えられ、鳳はビクンと身体を震わせる。
「あっ・・・!」
「まだ少し咥えただけだよ。ここからが本番。」
いったん口を離し、そんなことを言うと、滝は本格的に口でし始める。そこで感じる頭の
中がとろけてしまいそうなほどの快感と、女の人にされているのではないかと錯覚させる
滝の格好。そして、自らスカート捲ってしてもらっているという羞恥心。それがあいまっ
て、鳳はいつも以上に感じてしまう。
「あっ・・・あ・・ぁ・・っ・・!」
そんな様子を滝は下から眺める。素直に声を出し、涙を浮かべながら身を震わせている鳳
の姿は、どうしようもなく可愛らしく、滝を更に興奮させるには十分な要素を含んでいた。
「た、滝さ・・・あっ・・ぅ・・も・・・」
激しく呼吸を乱して、鳳は滝の髪をぎゅっと握る。それを合図に、滝は一際強くそれに刺
激を与える。その瞬間、滝の口の中に鳳の白濁の蜜が放たれる。普段は全て飲み込むのだ
が、今回はあえてそうしなかった。
「ふあっ・・・ああ――っ!」
飲み込みきれない蜜は当然顔にかかる。そんな蜜を指で掬い、鳳に見せつけるように滝は
舌で舐め取る。
「ハァ・・・ゴメンナサイっ、滝さん!」
「ううん、全然気にしてないよ。長太郎の美味しい。」
妖艶な表情で滝は微笑む。そんな滝を見て、鳳の心臓はドクンと高鳴った。この後、もっ
とすごいことを要求されるような気がする。何故だかは分からないが、鳳はそう感じた。
「長太郎、手出して。」
「えっ・・・?はい。」
おずおずと右手を滝の前に差し出すと、その手を取られ、指を舐められる。その感覚に鳳
は、背中に甘い痺れを感じる。
「ぁ・・っ・・・」
じっくり鳳の指を濡らすと、銀色の糸を引きながら唇を離す。自分を射抜くその視線から
目が離せず、鳳は鼓動が速くなるのを抑えられずにいた。
「長太郎。」
「はい・・・」
「自分で慣らして。」
「・・・・っ!」
何となく予想はしていたが、実際言われてみるとその衝撃は思った以上に大きい。パッと
言われて出来るものではない。
「む、無理ですよ・・・そんなこと・・・」
「無理じゃない。俺にされてると思ってすればいいんだから。」
「じゃあ、滝さんがしてくださいよっ!」
思ってもみない言葉を聞いて、滝は驚きながらも口元を緩ませる。大変なことを言ってし
まったと鳳はパッと口を覆った。
「嬉しいお誘いだけどね、今は長太郎が自分でしてるところ見てみたいんだよ。自分でし
てて、どうしても俺にして欲しいって思ったならしてあげる。」
「・・・・・」
楽しそうに笑う滝を潤んだ瞳で睨みながら、鳳は震える手を自分では滅多に触れない秘部
へと持ってゆく。何となく反抗的な表情をしている鳳を見て、滝はいい表情だと思いなが
ら、顎を上げちゅっとキスをする。
「頑張って、長太郎。」
こんなところで応援されてもと思いつつ、鳳は思いきって濡れた指を自分の内側へと埋め
込む。それほどキツイというわけではないが、何せ羞恥心が離れない。ぎゅっと目をつぶ
り、出来るだけ滝が目の前にいることを意識しないようにするが、滝にしてもらっている
のをイメージしなければ、指はちゃんと動いてくれない。その矛盾した状況に鳳の胸は締
めつけられるように切なくなる。
「んっ・・・ふ・・ぁ・・・」
閉じている瞳からポロポロと涙が零れ落ちる。鳳自身はどうしてこんなに涙が溢れてくる
のか分からなかった。ただ自分でするのと滝がしてくれるのとでは、雲泥の差がある。滝
にされる気持ちよさを知っている身体は無意識にそれを求めているのだ。
「滝さんっ・・・やっぱり自分でじゃ無理ですよぉ・・・」
「ふーん、でも見てる感じでは出来てないようには見えないけど?」
「滝さんにされるほうが・・・全然気持ちイイです・・・して下さい・・・」
泣きながらそんなことを言われれば、しないわけにはいかない。鳳の指に自分の指を重ね、
滝は蕾を開かせる準備を手伝ってやった。
「あっ・・・あぁ・・・ふ・・ぁん・・・」
「そんなに俺にされる方が好き?」
「あっ・・・はい・・・滝さんがしてくれる方が・・・何倍もイイです・・・・」
「そっか。それじゃあ、長太郎には御褒美をあげるよ。指なんかよりもっといいものをね。」
触れた感じとしては、それほどキツイ感じではなかったので、滝は早々と鳳の指と共に自
分の指をそこから抜く。今までの鳳の態度や言葉が堪らなく、そろそろ滝自身我慢の限界
にきているのだ。早く鳳の中へ入りたいという衝動を必死で抑えながら、滝はゆっくりと
鳳の体を押し倒す。
「長太郎、悪いけど手加減出来ないかも・・・」
「えっ?」
ぎりぎりまで張りつめた理性がふっと手放される。滝は容赦なく鳳の内側へと侵入してい
った。あまりにも性急な行動の滝に鳳はどうすることも出来ず、ただ滝のすることを拒ま
ずに受け入れるのみだった。
「うあっ・・あぁぁ・・・!」
「ハッ・・・長太郎。」
「た、滝さんっ・・・あっ・・・そんなにいきなり・・・」
「ゴメン、ホントもう今日はコントロールきかない。」
鳳を気づかう余裕もなく、滝は鳳を攻める。滝のスカートが揺れる度に鳳の口からは甘い
喘ぎが漏れる。もう何が何だか分からず、ただただ鳳は滝にしがみついていた。
「ふっ・・・あ・・んぅ・・あっ・・・」
「本当、長太郎可愛いよ。その格好も似合い過ぎだし。」
「そしたら・・・滝さんだって・・・・」
「俺だって、何?」
「滝さんだって・・・その格好・・・すごく似合ってますよ・・・」
こんな状況でそんなことも言われても微妙だなあと思いつつ、滝は笑う。しかし、似合う
と言われ、嬉しくないわけではない。
「ありがと。」
ちゅっと自分と全く同じ色をしている唇にキスをして、滝はより深く自分のモノを鳳の中
に突き刺す。
「ひっ・・あっ・・・!」
「ねぇ、また機会があったらこの服着てしてくれる?」
「あっ・・・滝さんも着てくれるなら・・・別にいいですよ・・・」
「本当に?何か相当おかしなシチュエーションだと思うけど。」
「今更じゃないですか・・・はぁ・・滝さん・・・俺・・もぅ・・・」
「そうだね。」
またこの服を着てもいいという鳳の言葉を聞き、滝は嬉しくなる。そんなことを話してい
るうちに二人とも限界が迫ってきた。乱れる呼吸を誤魔化すかのように滝は鳳に深く口づ
けを施す。
「んっ・・・」
それと同時に滝は鳳の一番弱いところを自分の熱で擦り上げた。その瞬間、鳳の蕾は今ま
でになくキツく滝のモノを締めつける。
「んっ・・んん―――ッ!!」
「・・・・・!」
ほぼ同時に二人は真っ白な熱を放つ。唇を重ねたままその快感の余韻に浸り、しばらく二
人は熱くなった体を重ねたままでいた。

着ていたセーラー服をほとんど脱ぎ捨てるということなく最後までしてしまったので、当
然のことながらそれは汚れに汚れてしまった。
「あーあ、俺が着てたのも長太郎が着てたのも相当汚れちゃったね。」
「それは仕方ないですよ。着たまま最後までしちゃったんですもん。」
もと着ていた服に着替え、二人はそんなことを話す。
「これ、どこで洗おうか?クリーニングとかには出しにくいよねー。家で洗うってのも気
がひけるし。」
「コインランドリーとかはどうです?人があんまり使わない時間帯とかねらって。」
「あー、それいいかもね。そうしようか。」
セーラー服をどう綺麗にするかで迷っていたが、いい案が出たのでひとまずそれは置いて
おくことにした。
「それにしても滝さんひどいですよ。分からないうちにあんな約束させるなんて。」
「あはは、ゴメンゴメン。まさかこんなにうまくいくとは思わなくてさ。でも、長太郎だ
って何だかんだ言って、結構いろんなことしてくれたじゃん。」
「あれはだって、約束破っちゃいけないと思って・・・。でも、確かにもっと断ってもよ
かったんですよね?」
「うん。それなのに長太郎ってば、本当に俺の言うことに完全に従ってくれちゃうんだも
ん。思わず調子に乗っちゃったよ。」
「だから、あんな無茶苦茶なことばっかり言ってきたんですね。今度からは気をつけよう。」
「俺的には、あーいう感じでするのもイイと思うんだけどなあ。長太郎は嫌?」
「別に滝さんのすることですから、すっごい嫌ってわけじゃないですけど・・・やっぱり、
恥ずかしいです・・・」
さっき自分が滝に言われてしてしまったことを思い出し、鳳は顔を真っ赤に染めて、そん
なことを呟く。
「ゴメンゴメン。今度からはそんなに無理矢理させたりしないよ。長太郎がいいって言う
ならするけどね。」
「そうしてください。」
少し拗ねたような口調でそう言う鳳を、滝は可愛らしいなあと思ってしまう。思わずクス
クス笑いながら、ポンポンと鳳の頭を叩いた。
「何ですか?」
「いや、何か可愛いなあと思って。頭にエクステと髪留めついたまんまだし。」
「あっ、すっかり忘れてた!危うくこのまま帰るとこでしたよ。取ってください、滝さん。」
「えー、もうちょっとつけててよ。まだ帰らないでしょ?」
「そうですけど・・・じゃあ、帰る前になったらちゃんと取ってくださいね!」
「分かってるって。」
セーラー服は脱いだものの髪につけた飾りはそのままだった。もう少しそんな鳳を見てい
たいと滝はすぐにはそれを取らせない。納得してないような顔をしているが、鳳もそこま
で嫌がりはしなかった。女の子の格好の名残が残っている鳳の顔を眺め、滝はニコニコと
笑う。もらったセーラー服のおかげでかなりいい思いが出来たと、滝は心の中で橘兄妹に
感謝しまくっているのであった。

                                END.

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