Change off

「よーし、今度こそ入れてやる!!」
「ふん、やれるもんならやってみろ。」
ただいま、跡部と宍戸は試合形式で練習をしている。その両側のコートでは、右側では岳
人と鳳が、左のコートでは忍足と樺地がそれぞれ打ち合いをしていた。
「一球・・・入魂!!」
「ばぁうっ!!」
鳳が打つのをコピーして、樺地も高速サーブを打つ。ところが、鳳の打ったボールは岳人
のいるコートには入らず、そのスピードを保ったまま跡部と宍戸が試合をしているコート
へと向かっていった。当然、それをコピーした樺地の球も同じ方向へ向かって飛んでゆく。
「あー、何やってんだよ鳳。」
「すいませ・・・」
ドゴッ・・・ドゴッ・・・
慌てて岳人に謝ろうとすると隣のコートでありえない音が聞こえる。嫌な予感を感じつつ、
隣のコートに目をやると跡部と宍戸がコートにのびていた。
「うわあ、今のは痛いわ。」
「な、何!?何があったの、侑士!?」
「鳳と樺地が打ったボール、跡部と宍戸の後頭部直撃やったで。」
200キロを越えるサーブが突然後ろから襲ってくるのだ。避けようようにも避けようが
ない。当ててしまった張本人達は慌てて跡部と宍戸のもとへと駆け寄った。
「わああ、ゴメンナサイ!!」
「ウ、ウスっ!」
しかし、そう簡単に目を覚ますわけがない。仕方がないので、岳人や忍足も協力して、二
人を保健室へと運んでいった。

頭を冷やされつつ、気を失っていた跡部と宍戸だが、しばらくして目を覚ます。鳳は半泣
き状態で、樺地もかなりおろおろしながら、二人の様子をうかがう。
「痛ってぇ・・・おい、樺地、俺様に球を当てるなんてどういうつもりだ?アーン?」
「長太郎っ、いくらノーコンだからって、今のはねぇだろ!!」
『・・・・・』
二人の第一声を聞いて、そこにいたメンバーは全員固まる。言ってることが別におかしい
のではない。ただ言っている人物が言葉と合っていないのだ。前者は宍戸が、後者は跡部
が放ったセリフである。
「な、なあ、今絶対何かおかしかったよな・・・?」
「あ、ああ。宍戸、何で樺地に文句言うん?宍戸に当てたのは鳳やろ?」
「はあ?何言ってんだ?俺は宍戸じゃねぇ。テメェは目がおかしくなったのか?」
「そうだぜ、忍足。宍戸は俺。そっちは跡部じゃねぇか・・・っ!?」
ふともう片方のベッドに目をやり、跡部の姿をした宍戸は言葉を失う。今自分の目に映っ
ているのは、紛れもなく自分の姿。宍戸の姿をした跡部も目の前にいる自分の姿を見て、
絶句した。
『〜〜〜〜〜っ!?』
「うわあ、ホンマにこんなことってあるんやな。」
「えっ、えっ、じゃあ、こっちが宍戸で、こっちが跡部ってコト?」
「そういうことやな。完璧に中身が入れ替わっとる。」
「ど、どうすんだよ・・・?」
「どうするって言われてもなあ。ともかく元に戻る方法を考えなきゃなんねぇんじゃねぇ
の?」
「すいません〜、跡部さん、宍戸さんっ!!」
「ウス!」
謝られたところで、元に戻れるわけではない。あまりの驚きに鳳と樺地への怒りはどこか
に吹っ飛んでしまった。とにかく今はこれからどうするかを考えなくてはならない。顔を
見合わせ大きな溜め息をつくと、跡部と宍戸はいろいろな意味で痛む頭を抱えた。

それから数日経っても、二人は元に戻ることが出来なかった。幸い同じクラスなので、授
業や何かは誤魔化すことが出来たが、お互いのふりをするのはなかなかキツイものがある。
特に宍戸は勉強面において、跡部のふりをするのに一苦労だった。
「それじゃ、跡部、この問題を解いてみろ。」
(うわ、あんな難しい問題解けねぇよ〜。どうしよう。)
そんなときは、本当の跡部が紙に問題の答えを書き、黒板につく前に宍戸に手渡してやっ
た。それを見て、何とか答えを書くことは出来るが内心はもうドキドキだった。そんなこ
とが数日も続けば、どちらも精神的にヘトヘトになってしまう。出来れば他の人がいない
ところにいたいと、二人はテニス部のレギュラー部室に空いている時間はこもっていた。
「あー、もう、マジでキツイ!!」
「そうだな。ったく、どうすりゃ元に戻るんだよ。」
「よくさ、同じ衝撃を受けると戻るっていうじゃん。試してみるか?」
「また、鳳と樺地にボールを当ててもらうって?冗談じゃねぇ。あんな痛い思いもう一度
するなんてゴメンだぜ。」
「だよなあ。」
数日間、入れ替わったままということで二人にはもう一つ問題があった。他人との関係は
お互いにフォローし合うことで、どうにかなっているが、自分達の関係性としてはかなり
微妙な状態になっている。どこからどう見ても自分の目に映るのは、自分の姿なのだ。そ
ういうことをしたいと思っていても、自分相手にはさすがに出来ない。
「あとさ・・・アレも問題だよな。」
「あー、それは俺も今考えてた。」
「お前、自分相手にキスとか出来る?」
「出来ないことはねぇが、かなり複雑な心境にはなるな。」
「だよなー。キスでさえ無理なんだから、そういうことなんてもっと出来ねぇよな。」
『はあー・・・』
いつもなら二人きりになれば、少しはイチャつくようなこともするのだが、今の状態では
それもかなり微妙な気分になる。それが二人のフラストレーションをさらに高める原因に
なっていた。
「あー、もう、早く戻りてぇ!!跡部、何とかしろ!!」
「アーン?何とか出来るならとっくにしてるに決まってるだろ!テメェこそ、少しは考え
ろ!!」
イライラが溜まって、思わず口論になってしまう。しかし、自分相手のケンカとなるとそ
れもまたかなり複雑な気分だ。こんなことをしていても何も解決しないと、二人は黙りこ
んだ。
「そろそろ授業始まるぜ。どうする?」
「今日ぐらいはサボっちまってもいいんじゃねぇ?次の授業、俺、ギリシャ語だぜ。テメ
ェ出来んのかよ?」
「うっ、無理。」
「だろ?俺が行ったって仕方ねぇんだし、ここは大人しくサボろうぜ。」
誤魔化しがきかない授業はサボるしかない。しかし、二人きりでいるのに何も出来ないと
いうのもまたツライ。何とかこのフラストレーションを抑えようと二人は軽く昼寝をする
ことにした。

一週間経ってもまだ二人は元に戻らない。さすがにここまでくると、このまま戻らないの
ではという不安もよぎる。一週間もすれば、お互いのふりをすることにも慣れ、より自然
に相手の真似を出来るようになったのだが、アノ問題だけはどうしても解決出来ない。そ
れが二人にとって、ひどくストレスになっていた。
「宍戸、マジそろそろ限界なんだけど・・・」
「俺だって同じだ。でも、仕方ねぇだろ。戻んねぇんだからよ。」
「この際だから、このままでいろいろしちまうか。もう我慢出来ねぇって。」
「はあ!?何、ふざけたこと言ってんだよ!!無理無理っ、だって、お前どう見たって俺
だもん。てか、この場合はどっちが上になんだよ?それだって問題だろ。」
「うっ・・・」
宍戸が最もなことを言うので、跡部は何も言い返せなくなる。だが、跡部にとってはもう
耐え難い問題なのだ。こんなことになってしまった原因である鳳と樺地を恨みながら、跡
部はふらふらと教室を出てゆく。
「おい、どこ行くんだよ?」
「あいつらに文句言ってくる。もとはと言えば、鳳と樺地が・・・・」
「今更、文句言ったって仕方ねぇだろ。文句言ったところで元に戻るわけでもねぇし。」
すたすたと歩いて行く跡部を宍戸は追いかける。それは、跡部もよく分かっているのだが、
何かしなければ身がもたないのだ。階段にさしかかったあたりで、宍戸は跡部の歩みを止
めようと腕を掴む。しかし、跡部はそれに抵抗した。
「おい、待てって。」
「ウルセー、離せっ!!」
跡部が手を振り払った瞬間、勢い余って階段を踏み外す。ぐらりと体が傾き、踊り場に向
かって落ちてゆく。
「跡部っ!!」
思わず宍戸は跡部の体もとい自分の体を庇うように腕を伸ばした。跡部の体を捉えること
が出来たが、自分もバランスを崩し、一緒に落ちてしまう。
ドサッ・・・
何とか受身はとれたもののその衝撃は半端ではない。体中に痛みを感じながら、二人はゆ
っくり目を開ける。
「痛ぇ・・・だ、大丈夫か、宍戸。」
「おう。テメェこそ・・・あれ?」
宍戸は庇われるように跡部の体に包まれている。そして、目の前には自分の顔ではなく、
痛みをこらえるような跡部の顔。
「あ、あ、跡部っ、戻ってる、戻ってるぜ、俺達っ!!」
「は?・・・うわっ、ホントだ!!」
すぐには何が起こったのか理解出来なかった跡部だが、自分が抱いているのが宍戸だとい
うことに気がついて、思わず声を上げる。落ちた痛みなどどこかにぶっ飛んでしまうほど
嬉しくて、二人は人目もはばからず抱き合った。
「よっしゃー、もとに戻った!!」
「マジ、よかった・・・。戻らなかったらどうしようかと思ってたぜ。」
「これでいつも通りに戻れるな。」
「ああ。」
二人が嬉しさに浸っていると、たまたま滝が通りかかる。階段の踊り場で抱き合うという
不思議な光景に思わずつっこむ。
「何やってんの?こんなとこで。」
「あっ、滝。やっとな、やっとな、もとに戻ったんだぜ!!」
「あー、そっか。二人とも入れ替わってたんだっけ。何だ、もう戻っちゃったのか。つま
んないの。」
「他人事だと思って、この一週間などれだけ俺が我慢してきたと思ってんだ?アーン?」
「我慢って、そういうことに関してでしょ?そんなに溜まってたんなら、鏡に向かって自
分でしてみりゃよかったのに。宍戸の体だったんでしょ?」
「なっ・・・!!何ふざけたこと言ってんだよ!?そんなの俺が許さねぇ!!」
「そうか。そういう手もあったか。惜しいことしたな。」
「テメェも納得してんじゃねぇ!!」
無茶苦茶なことを言う滝に宍戸は真っ赤になりながら抗議する。もちろんそれに頷く跡部
にもつっこんだ。
「でも、ま、戻ったんならよかったじゃん。長太郎も責任感じて最近ずっとブルーだった
からね。あとで戻ったよって電話してあげよーっと。」
滝としては二人よりも鳳のことの方が心配だったようだ。ちょっと納得いかないなあと思
いつつ、とにかく元に戻ったのだ。これはもう喜ぶしかない。ホッとした顔で、教室に戻
ろうとした二人だが、ズキズキとそこら中が痛んだ。
「うっ、教室に行く前に保健室だな。」
「よくまあ、あの高さから落ちてこの程度で済んだよな。」
「えっ、二人とも階段から落ちたの!?」
「おう。しかも一番上から。その衝撃で元に戻ったんだぜ。かなり痛かったけど、戻った
から別にどうってことねぇよ。」
「うわあ、やるねー。また、落ちたりしたら入れ替わっちゃうかもしれないから、今度は
落ちないように気をつけてね。」
「分かってるって。じゃ、跡部、行こうぜ。」
「ああ。」
二人が保健室へ向かうのを見送ると、滝は携帯電話を取り出す。そして、迷わず鳳の番号
に電話をかけた。
「あっ、もしもし?長太郎?今さっきね・・・・」
滝からの連絡を受けて鳳も一安心。本当にホッとした表情で、樺地にも知らせに行った。

その日の夜、宍戸は跡部の家に泊まりに来ていた。この一週間、キス一つすることさえ、
ままならなかったのだ。もうどちらもしたくてしょうがないと、やるべきことはさっさと
済ませ、どちらもベッドに腰かける。
「はあー、何か久しぶりに跡部の顔まともに見れたって感じ。」
「鏡でいくらでも見れたんじゃねぇのか?」
「鏡で見るのと、本物の跡部を見るのとはまた違うだろ?俺は、ちゃんと宍戸亮のままで
テメェの顔が見てぇんだよ!」
「へぇ、嬉しいこと言ってくれるじゃねぇの。俺も、俺としてテメェに触れられるのが、
嬉しくてたまんねぇ。」
「跡部・・・」
宍戸の頬にそっと手を添えながら、跡部は笑う。そんな跡部の言葉を聞いて、宍戸の鼓動
はドキドキと速くなる。その手に自分の手を重ね、宍戸はきゅっと目をつぶる。言葉は何
も発してないが、跡部にはそれが何を意味しているのかがハッキリと分かった。
「ん・・・」
宍戸の期待に応えるように、跡部は熱い口づけを施す。この一週間出来なかったことがや
っと出来る。そんな喜びを噛みしめながら、跡部は何度も何度も角度を変え、じっくりと
宍戸の唇の感触を味わった。
「ふ・・はぁ・・・な、跡部。」
「どうした?」
「もっと、キスしてくれよ。これだけじゃ全然足りねぇ。」
「いいぜ。俺もこの程度じゃ全然足りねぇしな。もういらねぇって言うくらいまでしてや
るよ。」
久しぶりのキスに二人はうっとり酔いしれる。何度も唇を重ね合わせていくうちに、宍戸
の呼吸は少しずつ乱れてくる。そんなことを感じとると跡部は、宍戸の口の中でも一際敏
感な部分をそっと舐めてやった。
「んっ・・ぅ・・ぁ・・・はっ・・・」
ぴくんと身体を震わせて、宍戸は跡部の服をぎゅっと掴む。それでもまだ離して欲しくな
いと、宍戸は跡部の舌に自分の舌を絡める。これ以上していたら呼吸もままならなくなっ
てしまうというほど、唇をひたすら重ね続けた後、跡部はゆっくりと宍戸から離れた。
「こんなに長い時間キスしたのは、久しぶりだな。」
「おう・・・すっげぇ気持ちよかった。」
「当然だろ。俺様が心を込めてしてやってんだからよ。」
「はは、そうだな。なあ、跡部。早く続きしようぜ。」
「ああ。」
一週間触れられなかったことで宍戸もかなり溜まっていたようだ。驚くほど素直に跡部の
ことを誘う。こんなに素直に誘われるのは久々のことだったので、跡部のやる気は一気に
高まった。宍戸のパジャマの前を開くと、ぷっくりと固くなった赤い突起をくりくりと弄
る。
「ふあぁっ・・・跡部ぇ・・・」
「こんなに固くして、相当溜まってたみてぇだな。」
「んんっ・・・跡部・・・あっ・・・もっとしてぇ・・・」
「今日は随分素直じゃねぇか。いいぜ、きっちり気持ちよくしてやる。」
宍戸のおねだりを聞き、跡部は顔を緩ませながら、さらにそれを弄る。指と舌で器用に弄
られ、宍戸はもう気持ちよくて気分としては夢見心地になっていた。
「あ・・ふ・・・ぁ・・・ん・・・」
「すげぇやらしい顔するな。ますます燃えてくるぜ。」
「跡部・・・こっちも・・・触って・・・」
跡部に触れられる快感に息を弾ませながら、宍戸は特に熱くなっている部分に手を添えな
がらそんなことを頼む。煽られるような発言の連続で跡部の鼓動はドキドキと速くなって
いるが、それは非常に気分のいいドキドキ感だった。
「もうすっかり勃ってんじゃねぇか。」
「う・・・だって・・・」
「まあ、それだけ俺様に触られるのが気持ちいいってことだよな。」
「んっ・・うんっ・・・」
恥ずかしそうに頷く宍戸はこれ以上なく可愛い。そんなことを考えつつ、跡部は宍戸のパ
ジャマのズボンに手を差し入れた。
「ふあっ・・・!!」
「すげぇ熱くなってるぜ。お、俺が触ってやったらもっと大きくなったぜ。」
「そんなこと・・・言わないでいい・・・」
羞恥心から真っ赤になり、宍戸はシーツを掴む。そんな宍戸の表情の変化を楽しみながら、
跡部は掌で包んだそれを丁寧にかつ緩急をつけて擦ってやった。
「あっ・・・あっ・・ひっ・・あんっ・・・」
「テメェのパジャマん中、ぬるぬるだぜ。くちゅくちゅ音が鳴ってすげぇエロい。」
「やあっ・・・跡部ぇ・・・」
耳元でそんなことを囁かれれば、嫌でも感じてしまう。さすがにこのまま出させるのは可
哀想だと、跡部は空いている方の手で宍戸のズボンを下着ごと下ろしてやる。
「これで少しはやりやすくなったな。」
「はあっ・・あっ・・・あん・・・あっ・・あ・・・」
さらに激しくなった愛撫に宍戸は勝手に口から漏れる喘ぎを止められない。先走りの蜜で
すっかり濡れた指を使い、後ろの方も弄ってやれば、宍戸の反応は更によくなる。
「ひあっ・・・跡部っ・・やぁ・・・っ!」
「嫌じゃねぇだろ。少し弄ってやっただけで、こんなに解れてんだぜ?」
「ん・・だってぇ・・・あっ・・・」
容赦なく跡部が蕾の中を掻き回してくるので、宍戸は落ち着く暇がない。それどころか快
感は高まるばかりだ。既に前には触られていないが、後ろを弄られる刺激で、更に蜜を滴
らせている。それが跡部の指を伝い、蕾に流れてくるので、そこはより濡れることになっ
た。
「あっ・・跡部っ・・・ダメっ・・・」
「アーン?何がダメなんだよ?ココはやめるななんて言ってねぇぜ。」
「もぅ・・・出ちゃ・・ぅ・・・ふっ・・あ・・・」
「後ろだけしか弄ってねぇのに、イッちまいそうだって?やらしい奴。」
ニヤニヤと笑う跡部を見て、宍戸は羞恥心からかあっと顔を染める。しかし、その羞恥心
が宍戸を更に感じやすくさせた。跡部の指がくっと感じる部分に当たると、そのまま熱を
ほとばしらせる。
「やっ・・あっ・・・ああ――っ!!」
痙攣する内腿を眺めながら、跡部は口角を上げる。そして、いったんそこから指を抜くと、
手首あたりにかかった宍戸のミルクをペロペロと舐め、宍戸を見る。
「くく、本当にイッちまうなんてな。」
「ハァ・・ウルセっ・・・仕方ねぇだろっ!!てか、それ舐めんなっ!!」
「いいじゃねぇか。俺はこれが好きなんだからよ。」
「っ!!な、何、ふざけたこと言って・・・」
いつもの反抗心むき出しの口調でそんなことを言っていると、跡部にぐっと顎を掴まれる。
突然近づく顔に宍戸は言葉が出なくなった。
「なあ、テメェばっか気持ちよくなってたら不公平だろ。俺のことも気持ちよくさせてみ
ろよ。」
挑発的な跡部の言葉に宍戸はドキドキしながらも頷く。跡部の言ってることは尤もだと、
横たえていた体を起こし、跡部のパジャマのズボンに手をかけた。
「する前からこんなになってるって、どうよ・・・」
「テメェがイイ反応見せてくるからな。自然とこうなっちまうって。」
「変態。」
「アーン?そんな変態に弄られて、後ろだけでイッちまったのはどこのどいつだ?」
「っるせ、ちょっと黙ってろ!!」
下手なことを言うと倍返しで言葉が返ってくることを悟り、宍戸はさっさと初めてしまお
うと、手にあり余るほどの跡部の熱をパクッと口に含む。自分を見ていて、こんなになる
のかと思いながらしていると、何だか妙な気分になってくる。
「ん・・はむ・・・んっ・・・んぅ・・・」
宍戸がしている間、跡部は何も言わない。普段は嫌というほど、恥ずかしくなるような言
葉を浴びせかけてくるのに、今日はどうしたのだろうと思っていると、髪をくっと掴まれ
た。頭に触れる手が震えているのが分かる。何も言わなくても感じているのは確からしい。
「んんっ・・・はっ・・・跡部、何で何も言わねぇんだよ・・・?」
「テメェが黙ってろって言ったからな。今日はじっくりされる感覚を黙って味わおうと思
ってよ。」
「・・・別に少しなら、しゃべってもいいぜ。」
何も言われないのは不安だと、宍戸は恥ずかしそうにそう口にする。それならばというこ
とで、跡部は素直に思っていることを口に出し始めた。
「やっぱ、テメェにされると格別にいいな。自分でするのの比にならねぇ。」
「ん・・あ・・む・・・ぅん・・・」
「宍戸、俺の飲む気あるか。」
「ふ・・・?・・・んん」
わざわざ聞かなくてもよいのにと思いつつ、宍戸はコクンと頷く。だったら、一度出して
おくかと、跡部は宍戸の頭を押さえつけ、宍戸の口内にたっぷりと苦いミルクを放つ。
「んくっ・・・んっ・・・んんっ!!」
自分で飲むと言ったのだ。離すわけにはいかないと宍戸は多少の苦しさを感じながらも、
放たれた全てのミルクを飲み込んだ。出したにも関わらず、跡部のそれは全く萎えた様子
を見せない。
「ぷはっ・・・へっ、ちゃんと全部飲んでやったぜ。」
「やるじゃねぇか。だが、俺のこれはまだまだ全然おさまらねぇんだよな。今度はこっち
の口でしてみせろよ。」
さっきじっくりと慣らしてやった後ろの蕾に触れながら、跡部はそんなことを言う。恥ず
かしいことをさらっと言うなあと思いつつ、宍戸もその誘いに乗った。
「ふっ、上等じゃねぇの。」
「おっ、やる気満々じゃねぇか。だったら、今日はテメェの方から挿れてもらおうか。」
「うっ・・・」
「何だよ?出来ねぇのか?」
挑発的な笑みを浮かべ、跡部は宍戸を煽る。そんなことを言われれば、出来ないとは言え
ない。宍戸は思いきって跡部の足を跨ぎ、すっかり濡れた跡部の熱を熟れた蕾にひたあて
た。そして、ゆっくりと腰を落としてゆく。
「ひっ・・ぁ・・・あ・・・あっ・・・」
ゆっくりとだが、宍戸のそこは確実に跡部自身を咥え込んでゆく。宍戸の中に入ってゆく
快感に、跡部は熱を含んだ息を吐く。
「ハァ・・・出来るじゃねぇか。」
「ふっ・・・く・・あっ・・・・跡部っ・・・」
最後まで収めきるとその質量に宍戸は膝をがくがく震わせる。そんな宍戸に跡部は更なる
要求を重ねる。
「動けよ、宍戸。」
低く熱っぽい声で囁かれ、宍戸の身体は電流が走ったかのように痺れる。こんな状態で動
けるわけがない。そう文句を言おうと思った途端、軽く腰を動かされ、跡部の熱が内側の
敏感な部分を擦る。
「ああっ・・・!」
「ほら、自分でここを擦りつけてみろよ。その方が気持ちよくなれるぜ?」
一度その快感を知ってしまえば、自然と身体はそれを求める。いつの間にか宍戸は跡部に
言われるまま、自ら腰を揺らしていた。
「あっ・・ふぁ・・・んっ・・・あっ・・あ・・・」
「イイぜ、宍戸。もっとだ、もっと踊れ。」
「やっ・・・跡部っ・・・止まらね・・ひっ・・あぁ・・・」
「最高だぜ、テメェの中。くっ・・・確かにこりゃ、しばらくやめられそうにねぇな。」
「気持ち・・い・・・あっ・・・あぁんっ・・・!」
お互いを素直に求め始めた二人は、もう理性では身体をコントロール出来なくなっていた。
入れ替わっていた間、触れ合えなかった時間を取り戻すように、二人は心ゆくまで身体を
繋げ、踊り、果てた。何度も何度もそれを繰り返し、身体も心も十分に満たされると、二
人は抱き合いながら、そのまま深い眠りについた。

ピチチチ・・・ピチチチ・・・・
朝日が窓から差し込むような時間になり、やっと二人は目を覚ます。やり終えた後の疲労
感はすっかり消え、後に残ったのはすがすがしいほどの爽快感だけだった。
「ふあ〜、よく寝た。」
「あー、そのまま寝ちまったんだな、俺達。」
「みてぇだな。あー、でも、すっげぇ気分スッキリしてる。今までの鬱憤が全部解消され
たって感じ?」
「そうだな。天気もいいし、今日は最高にいい気分だ。」
爽やかな朝日を受け、跡部は大きく伸びをする。宍戸も猫のようにぐーっと伸びをした。
「せっかくこんなにいい天気なんだしよ、今日はどっか出かけるか?」
「おっ、いいんじゃねぇ?あんだけやったわりには、今日そんなに体だるくねぇし。」
「なら決まりだな。と、その前に・・・」
「何だよ?」
何も身につけぬまま、ベッドから下りると跡部はタンスから洋服を出し、宍戸に投げつけ
る。
「おっと。」
「先に風呂入ってきちまおうぜ。そのままじゃ、ちょっと汚ねぇだろ?」
「そうだな。じゃあ、一緒に風呂入り行こうぜ、跡部。」
「二人で朝風呂ってのもいいな。じゃ、行くか。」
「おう!」
最低限のものを身につけ、二人はバスルームへと向かう。今まで溜まっていたストレスが
すっかり解消された気分のよさに、二人の足取りはかなり軽い。やっぱり、自分は自分の
ままがいいと思いながら、二人はお互いに顔を見合わせ、笑うのであった。

                                END.

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