Lust Church

ある村に誰からも愛され、誰にでも愛を振りまいている牧師がいた。彼の名は宍戸亮。今
日も村の子ども達と教会の近くで遊んでいる。
「よーし、じゃあ、今度は俺が鬼になるから10数える間に隠れろよ。」
『はーい!!』
ただいまは、子ども達とかくれんぼ中。そんな様子を子ども達の親は微笑ましい光景だと
思いながら眺めている。宍戸はこんなふうに子ども達遊ぶだけでなく、貧しい家の人を助
けたり、大勢の人の出会いの場として教会を開放したりと、村の人のためになることなら
何でもしてきた。持ち前の明るさと頑張り屋な性格、そして、何よりも純粋無垢な笑顔が
大人子供関係なしに村人達の心を捉えていた。
「・・・9、10。もーいいかい。」
『もーいいよ。』
宍戸自身も村の人達が大好きだった。だからこそ、村の人達が喜ぶことはどんどんしよう
と思った。日が傾くまで子ども達と遊ぶと、いつものように笑顔で宍戸は、子ども達が帰
るのを見送った。
「それじゃあ、気をつけて帰れよ。」
『うん。バイバイ。』
「今日はありがとうございました。」
「遊んでくださって、子ども達も大喜びで、すごく助かっているんですよ。」
「いえいえ、いいんですよ。」
「ボクね、牧師さんのことだーいすき!」
「ボクも、ボクも!!」
「あたしもー。」
「俺もお前らのこと大好きだぜ。じゃ、また明日な。」
そう言いながら、宍戸が頭を撫でてやると子ども達は最高の笑顔を見せる。そんな笑顔を
見るのが宍戸は大好きだった。子ども達が見えなくなるまで、手を振って見送ると、宍戸
はくるっと方向を変え、教会へと戻ってゆく。
「はあー、今日も喜んでもらえたみたいでよかったぜ。さっさと教会行って礼拝堂の掃除
しよーっと。」
御機嫌な様子で教会へ辿り着くと何かいつもとは違う雰囲気を感じる。何だろうと首を傾
げながら、教会の扉を開けると中から強い風が吹き抜けた。
「うわっ!」
何故教会の中から風が吹き抜けるのかと怖くなりながらも、宍戸はゆっくり中へと足を踏
み入れる。あたりを見回しても何ら変わった様子もなかった。さっきの風は気のせいだっ
たのかと思いながら、ふと祭壇の方へ目をやると、そこには見たこともない一人の男が足
を組んで座っていた。
「っ!!」
村の人達で知らない者はいない。しかし、祭壇のところに座っている男は全く知らない人
物だった。
「だ、誰だ?」
恐る恐る声をかけると、その男は祭壇の上から下り、カツカツを靴を鳴らせて歩きながら、
宍戸に近づいてくる。何をされるか分からない恐怖に宍戸は逃げしたい衝動に駆られたが、
必死でその衝動を抑え、その場に踏みとどまった。
「テメェがここの持ち主か?」
「えっ・・・あ、ああ。」
「へぇ、大したことなさそうだな。でも、綺麗な顔してるじゃねーか。」
ぐっと顎を掴まれ、宍戸の心臓は恐怖と緊張からドクンと高鳴る。怯える瞳を向ける宍戸
を見て、その男はニヤリと笑った。
「俺は跡部景吾だ。」
「ど、どこから来たんだ?この村の奴じゃねぇよな・・・?」
「さあ、どこからだと思う?」
「わ、分かるわけねーだろ、そんなこと!!」
「テメェ、牧師のくせに随分乱暴な言葉使うんだな。俺がどこから来たか知りたいか?」
「あ、ああ。」
誰だかが分かれば少しは気が楽になるかもしれない。そんなことを期待しながら、宍戸は
跡部と名乗る者の言葉に頷いた。
「あそこだ。」
跡部が指差したのは、祭壇の上に乗っていた一冊の本であった。それは、昨日の夜、本棚
を整理していたときにたまたま出てきた本であった。見たこともない表紙の本であったの
で、少し読んでみようと思い、今日の朝に祭壇の上に置いておいたのだ。
「どういうことだ?」
「俺は人間じゃねぇってことだ。まあ、確かに見かけはそんなに変わらねぇかもしれねぇ
がな。」
人間ではないという言葉を聞き、宍戸の顔は青ざめる。ずるずると後ずさりをし、ここか
ら逃げ出そうと思った途端、跡部にぎゅっと手首を掴まれた。
「テメェは俺が何だと思う?」
「やっ・・・離せよっ!!」
「そんなに怯えるなよ。別にまだ何もしねぇって。」
「テメェみたいなのが、天使でたまるか!!どうせ、悪魔かなんかの類だろ!!」
「ふっ、正解だ。」
宍戸がそんな言葉を放った途端、跡部の目が一瞬だけ赤く光った。その瞬間、全身の力が
抜ける。
「あっ・・・」
「久しぶりの人間界だ。しかも、俺好みの人間も目の前にいる。こんな幸運なことってな
いぜ。」
力の入らなくなった体では、全く抵抗することも出来ない。宍戸は跡部に抱きかかえられ
るようにして、教会内にある小さな部屋へと連れて行かれた。

ドサッとベッドの上に下ろされ、宍戸は焦る。しかし、力の入らない体ではどうすること
も出来ない。カタカタと震えながら、跡部の顔を見上げていると、すっと跡部の手が頬に
触れた。
「本当は泣きじゃくらせるくらいひどくするのが好きなんだけどよ、テメェは可愛いから
初めだけは優しくしてやるよ。」
「や、嫌だっ・・・」
「そんなに怖がるなって。この世では味わえないくらいの快楽を味あわせてやるよ。」
ニッと笑ってそう言うと、跡部は宍戸の震える唇に優しく口づける。顎を指で下げ、軽く
口を開かせると、ゆっくりと舌を入れてゆく。
「ふっ・・ぅ・・・」
驚きと恐怖から宍戸の身体はヒクンと震える。宍戸にとっては、キスをされることさえ初
めてであった。熱く濡れた舌で敏感な粘膜を弄られ、宍戸はゾクゾクと背筋に痺れを感じ
る。
「んぅ・・ぁ・・・んっ・・・ん・・・」
だんだんと顔は赤みを帯び、瞳はその何とも言えない快感から潤んでくる。少し離れては
また重なる。絶妙な跡部の妙技に、宍戸は次第に夢中になっていった。自然と口の中へ流
れ込んでくる透明な跡部の蜜を飲み込むと、鼓動がだんだんと速くなる。媚薬でも飲まさ
れているようなその感覚に、宍戸の意識からは恐怖という二文字は完璧に消え去ってしま
った。
「随分、緊張はほぐれたみてぇだな。」
「ふ・・はぁ・・・ハァ・・ハァ・・・」
唇を離されると宍戸は大きく息を吸う。こんなことはいけない。頭では分かっているのだ
が、身体が言うことをきいてくれない。跡部が服に手をかけるのも止められず、宍戸はた
だただ潤んだ瞳で、跡部を見ることしか出来なかった。
「へぇ、身体もすげぇ綺麗だな。こんな綺麗な身体見たことないぜ。」
「やっ・・・見るな。」
「男としたことはもちろんねぇんだろうが、見たところ女としたこともねぇみてぇだな。」
「当たり前だろっ・・・」
恥ずかしさから宍戸は顔を腕で覆いながらそう返す。そんな腕を解き、跡部はすっと胸か
ら腹にかけて指を滑らせた。
「あっ・・・!」
「何もされてない割には、随分感じやすいみてぇだな。こりゃ、かなり楽しめそうだぜ。」
少しの刺激で声を上げる宍戸に、跡部は大きな期待を抱き、胸を躍らせる。さらけ出され
た肌の感触を手で触り楽しんだ後、跡部はその綺麗な身体に赤い印をいくつもつけていっ
た。
「やっ・・・あっ・・・」
「すげぇ綺麗に跡がつくぜ。気に入ったぜ、テメェの身体。」
「・・・喰ったりすんのか?」
「喰う?そんな勿体ねぇことはしねぇよ。」
身体を気に入ったという言葉を、好物のように捉えた宍戸は怖々とそんなことを尋ねた。
しかし、跡部は笑いながらそんなことはしないと返す。
「でも、この身体は俺のモノにしてぇな。こんな身体が手に入ったら、最高に幸せだぜ。」
「それは・・・俺の身体、乗っ取るってことか・・・?」
「そういう意味じゃねぇ。お前の身体が俺の身体になっちまったら意味ねぇじゃねぇか。」
「・・・?」
跡部の言っている意味が分からないと、宍戸は首を傾げる。自分を食べるわけでもなく、
身体を乗っ取りたいわけでもない。この悪魔の狙いは何なのか、宍戸にはさっぱり分から
なかった。
「分からねぇならそのままでいい。そのうち分かるはずだからな。」
そう言うと跡部は事を進めてゆく。胸の突起を弄られたり、自然と勃ち上がる熱を咥えら
れたりと、宍戸は今までにされたことのないことをたてつづけにされ、何が何だかもう分
からなくなっていた。
「ひっ・・あ・・ぁ・・・」
「テメェはどこもかしこも美味いな。ホント、マジで最高だぜ。」
「やっ・・・ヤダッ・・・そんなとこダメぇ!!」
ぐいっと脚を上げると、跡部は目の前にさらけ出された蕾に唇をつける。そして、容赦な
くそこを舌で嬲り始めた。自分でもほとんど触れたことのないところを舐められ、宍戸は
パニックになる。
「嫌ぁ・・・あっ・・・あぁ・・・」
「ここなんかも初めて使うんだろ?綺麗な紅ですっげぇそそられるぜ。」
「そんなとこ・・・汚っ・・・やめ・・・」
「汚くなんかねぇよ。第一、俺は悪魔だしな。そんなこと気にするわけねぇだろ。」
宍戸の味が気に入ったと跡部は執拗にそこを舐める。ピチャピチャと濡れた音が次第に大
きくなると、跡部はペロッと指を舐め、濡れたそこへと触れるように持ってゆく。
「ひぁっ・・・!!」
跡部の舌で濡らされた蕾は、なんなく指を受け入れた。ほぐすように指の先を動かしてや
れば、宍戸の口からは堪えきれない声が漏れる。
「あっ・・あ・・・んっ・・んぅ・・・」
「初めての割にはよさそうじゃねぇの。ここ弄られて、気持ちイイんだろ?」
「んなこと・・・ね・・・」
そんなことは認めたくないと、宍戸は必死で否定しようとする。しかし、身体は正直だ。
跡部が指を動かすたびにビクビクと身体は震え、確かにそこは解れてきている。素直でな
い宍戸も可愛らしいと跡部はニヤリと笑い、一際奥の感じるはずの部分を擦ってやった。
「ひっ・・あぁ――っ!!」
その瞬間、宍戸の先端から白濁のミルクが放たれる。腹や胸に飛び散ったそれを跡部は空
いている方の指で掬い、口へと運ぶ。
「こんなに美味いと、ホント、くせになっちまうよなあ。」
「も・・やめろよぉ・・・・」
「アーン?何ふざけたことぬかしててんだ。これからがお楽しみだろ?」
そう言いながら、跡部は自分のズボンに手をかける。触れてもいないのに、跡部の欲望の
象徴はある程度の質量になっていた。それを見て、宍戸はギクッと身体を緊張させる。
「な、何すんだよ・・・?」
「そんなの決まってんだろ?俺のをテメェの中に入れるんだ。」
「そ、そんなの無理に決まってんだろっ!!」
「無理じゃねぇって。ほら、そんなに身体に力入れてたら入らねぇぜ?もっと力抜いてろ。」
そうは言われても、そんなモノを目の前にすれば、勝手に身体は強張ってしまう。そんな
緊張を解すために、跡部は今までにないほど優しく宍戸の顔をいたる場所にキスをしてや
った。唇にそのキスがきた瞬間、宍戸の身体から一瞬力が抜ける。その瞬間を見逃さず、
跡部は一気に自身を宍戸の中に埋め込んだ。
「んぐっ・・・んっ・・・んん――っ!!」
「俺様のをこんなにしっかり咥え込んじまうなんて、やるじゃねーの。」
「ふあっ・・・あ・・・あん・・・」
「なあ、テメェは牧師だから分かってるよな?」
「な、何が・・・?」
「悪魔とこういうことをするとどうなるか。」
妖しげに笑う跡部の笑みを見て、宍戸はぞくっと背筋が凍りつくような感覚を覚える。具
体的にはどうなるかということまでは知らないが、悪魔とこういうことをするのは契約を
交わすことになるということを本で読んだことがある。しかし、今、自分は何か力が欲し
いわけでも、何かを望んでいるわけでもない。それでは、契約とは言わないだろうなあと
ぼーっとする頭で宍戸は考えた。
「力を得たりとか・・・希望を叶えてもらうとか・・・・契約するときに・・・するって
のは知ってるけど・・・・俺は別にそんなの望んでねぇ・・・」
「だろうな。でもな、悪魔側の望みを叶えるって力もあるんだぜ。この行為には。」
「悪魔側の望み・・・?テメェ、何か望んでんのかよ・・・?」
「さっきも言ったろ。俺はテメェの身体を手に入れたいって。まあ、こういうことをして
る時点でもう半分くらいは手に入れたようなもんだけどな。」
「んっ・・ぁ・・・俺の身体を手に入れたいって・・・どういう意味だよ・・・?」
「人間界の言葉で言えば、一目惚れってヤツか?俺はテメェに惚れちまった。だが、テメ
ェは、この村の奴ら皆に愛されてるし、テメェもそいつらのことを好いている。」
「ああ・・・」
「悪魔は嫉妬深いんだ。そんなこと許せねぇ。・・・俺だけのものになれ。」
その言葉を聞き、宍戸の胸はドキンと高鳴る。今までに感じたことのない感覚。みんなが
好きとは違う特別な感情。跡部は悪魔特有の力など使わずして、ただ自分の想いを素直に
伝えただけであるが、それが宍戸の心を捉えた。身体を駆け抜ける快感と情熱的な悪魔の
告白。宍戸にとっては、どちらもあまりにも魅力的で、それを拒むということは全く出来
なかった。
「こんなことされたらよ・・・」
「何だ?」
「もう・・・元には戻れねぇよな・・・?」
「まあな。」
「テメェが・・・今と同じくらい幸せな日々を保障してくれるなら・・・・テメェのもの
になってやってもいいぜ・・・・」
「ふっ、言うじゃねぇの。今と同じ部類の幸せじゃねぇかもしれねぇが、それは保障して
やる。」
「だったら、俺はこの身をお前にくれてやる・・・・」
「ありがとよ。」
悪魔がこんなに素直にお礼を言うものとは思っていなかったので、宍戸は少し驚きながら
ふっと笑う。しかし、頬には涙が伝っていた。今の幸せを手放し、悪魔にその身を捧げる。
それは切なさと小さな恐怖を伴っていた。と、次の瞬間、一際激しく跡部が宍戸の中を穿
つ。あまりに突然のことだったので、無意識に感じていた恐怖と切なさはどこかに消え去
ってしまった。
「あっ・・・あぁんっ!」
「テメェはもう俺のものだ・・・」
そう呟きながら跡部は宍戸の中に誓いの蜜を放つ。その瞬間に感じるこの世のものとは思
えないほどの快感。悪魔との甘美な契約に宍戸の身体と心はすっかりとろけていた。自分
自身をも解放し、宍戸は跡部の腕の中に堕ちていった。

次の日から宍戸は教会の外へ出なくなった。村の人々には不治の病にかかったと手紙を出
した。心配してやってくる村人達も決して教会内には入れなかった。そして、しばらく経
つと教会は黒い蔓薔薇で覆われる。それを気味悪く思った村人達は、それから宍戸のいる
教会には近づかなくなった。
「なあ、この黒薔薇何とかなんねぇの?窓開けるたびにビビるんだけど。」
窓を少し開け、目の前に棘だらけの蔓と真っ黒な薔薇があるのを見て、宍戸は跡部にそん
なことを言う。こんなことを言いつつも宍戸は跡部と共に過ごす生活にすっかり慣れ、不
自由も感じていない。ただ時折見せる跡部の悪魔らしい態度に驚きはしていた。
「何だよ?テメェは外に出たいのか?」
「別にそういうわけじゃねぇけど、ちょっとくらい外の空気入れたっていいだろ。」
「慣れろ。」
「ったく。はあーあ、お前といると面白くなくはねぇけど、時間がありあまって暇で仕方
ねぇぜ。」
今までは村に出て様々なことをしていたが、跡部が来てからからは外出がほとんど出来な
くなってしまったので時間を持て余している。そんな宍戸の言葉を聞いて、跡部はガタン
と椅子から立ち上がった。
「そんなに暇か?」
「ああ。もう激暇ぁ。こんなに暇だと、外にも出たくなっちまうなあ。」
冗談っぽく言ったつもりだったが、それが跡部の機嫌を損ねたようだ。ふと跡部の方を見
るとバサッと悪魔の羽が背中から出ていた。
「うわっ!ど、どうしたんだよ、跡部?」
「そんなに暇だったら、俺様が存分に遊んでやるよ。」
口元は笑っているが、目は完璧に怒っている。余計なことを言ってしまったと少しばかり
後悔しながら、宍戸は後ずさりをする。
「わ、悪かったって。今のは冗談・・・・」
「別に怒ってないぜ。今日はあの部屋でするか。暇で暇でしょうがないんだろ?」
半強制的に宍戸は跡部に引きずられるようにして、跡部が作った地下室へと連れて行かれ
る。昼間でも薄暗いその部屋は跡部の力を増幅させる。それは跡部がやってきた地獄に近
いということもあるだろう。
「この部屋、俺、あんまり好きじゃねーんだけど。」
「それなら今日から好きにしてやるよ。」
半分怒りを表したまま跡部はニヤリと笑う。すると、次の瞬間、跡部の羽が形を変え、宍
戸に襲いかかる。しなやかな帯か鞭のように形を変えた真っ黒な羽はあっという間に宍戸
を縛りあげた。
「うわあっ!!な、何すんだよ!?」
「余興だ、余興。暇してんだったら、ただするだけじゃ面白くねぇだろ?テメェも楽しめ
て、俺も楽しめる。それでこそやりがいがあるってもんだ。」
「こんなの全然楽しくな・・・っ!!」
「少し黙ってろ。すぐに気持ちよくしてやるよ。」
羽の一部が口枷のようになり、宍戸の口に入ってその口を塞ぐ。それと同時にビリビリと
服が破けた。
「んんっ!?」
「いい格好だぜ、宍戸。さてと、まずはテメェが乱れてく姿をじっくり眺めさせてもらう
ぜ。」
腕を後ろに縛られ、口は塞がれている。抵抗することはまず不可能な状態で、跡部の羽は
宍戸の身体を弄った。そのうち、しゅるしゅると伸びてきた羽の一部が宍戸の蕾を擦り、
ぐちゅっと音を立てて中へと入ってゆく。
「んぐっ・・・!!んんっ・・・んーっ!!」
「それも俺の体の一部だからな。そんなに怖がることはないぜ。」
「んっ・・ぅ・・んっ・・・ん・・・」
がくがくと足を震わせ、宍戸はその刺激に耐えようとする。宍戸が素直に感じようとせず、
我慢していることに気づき、跡部は口元を上げながら言葉をかける。
「随分我慢してるみたいじゃねぇか。」
「んっ・・・んん・・・」
「そういう顔も悪くねぇんだがな。俺としては、お前のもっと乱れた顔がみてぇんだ。」
ドプンッ・・・
「んぐぅっ・・・!!」
宍戸の口の中にある羽の先からドロッとした液体が放たれる。口の外に出る隙間はないの
で宍戸はそれを飲み込むしか出来ない。宍戸の喉が鳴るのを見ると、さらに跡部はその液
体を宍戸の口の中へと注ぐ。
「ううっ・・・んっ・・ぐっ・・・」
「それは飲んだら即行で身体に吸収される。だから、飲みすぎたって全然問題はねぇ。し
かも、飲めば飲むほど気持ちよくなるぜ。おら、もっと飲めよ。」
「うっ・・・んん・・・んっ・・・」
注ぎ込まれるそれを宍戸をとにかく飲み込む。跡部の言う通り、腹の中に溜まるような感
覚はないが、だんだんと身体が敏感になっていく気がする。そろそろよいかと判断し、跡
部は宍戸の口から羽を抜いた。
「ぷ・・はっ・・・」
「結構飲んだな。そろそろ表れてくるぜ、その効果が。」
ドクンッ・・・
「ひっ・・あ・・・」
「ほら、ここもこんなふうにしたら、すげぇ感じんだろ?」
わざとらしく跡部は、下の口に入れている羽の一部をぐりぐりと動かす。さっきの液体の
所為ですっかり感じやすくなった宍戸は、目を見開き、その快感に身悶える。
「ひゃっ・・あ・・・あっ・・・ぅんんっ・・・」
「イイ感じになってきてるじゃねぇの。気持ちよくてたまんねぇだろ?」
「いっ・・ああ・・・も・・出ちゃ・・・ぅ・・・」
「いいぜ。イッちまえ。ちゃーんと、見ててやるから。」
「あっ・・・ああ―――っ!!」
地下室の床にポタポタと宍戸の出した白い雫が落ちる。もう立っていられないと、宍戸は
ガクンと膝をついた。
「ハァ・・ハァ・・・」
しかし、さっき飲まされたモノの所為で一度イッただけでは、全く身体の熱は治まらない。
疼く身体をどうにかして欲しいと宍戸は、跡部に助けを求めた。
「も・・・羽じゃ嫌だ・・ぁ・・・」
「アーン?羽じゃなくて何がいいんだよ?」
羽をしゅるしゅると戻しながら跡部は尋ねる。その表情は悪魔らしい笑みで満ちていた。
自由になった身体を引きずり、宍戸は跡部の足元に跪くように縋った。そして、自分が今
一番欲しいと思っているものに手をかける。
「跡部の・・・コレ・・・」
「だったら、ちゃんとそれなりな準備をしてくれなきゃ挿れられねぇぜ。」
「ふっ・・・う・・んぅ・・・」
早く欲しいと言わんばかりに宍戸は何の躊躇いもなしに、跡部の熱を咥える。感じやすく
なった身体には跡部のそれが口に入っていることさえ快感で、恍惚とした表情で宍戸は舌
を動かす。
「んくっ・・・んぅ・・んっ・・んんぅ・・・」
「ふっ、いいぜ。随分上手くなったじゃねぇの。」
「跡部・・・もぅ・・・我慢出来な・・ぃ・・・」
「へぇ、だからどうして欲しいって?」
「お・・ねがっ・・・早く俺のココに・・・これ・・・ちょ・・ぉ・・だい・・・」
抑えきれない熱に浮かされながらは、宍戸は跡部に懇願する。まさかここまで率直なおね
だりをされるとは思っていなかったので、跡部の理性の糸は完璧に切れた。ドサッと宍戸
を床に押し倒し、足を抱え上げる。
「お望み通り、俺様のをテメェの中にぶち込んでやるよ。」
ひたっと跡部の楔が蕾に触れるのを感じ、宍戸はぶるりと身体を震わせる。次の瞬間、容
赦なく跡部のそれは宍戸の中に入り込んだ。
「ひあっ・・・ああぁ――っ!!」
「すげぇぜ、お前ん中。もっとくれって言ってるみてぇに絡み付いてくる。」
「あっ・・アト・・べッ・・・んっ・・・あぁんっ!!」
宍戸の内側のよさに跡部も夢中になってゆく。引き抜いてはまた挿入する。繰り返される
そんな動きに宍戸の身体はすっかりとろけていた。意識で考える前に身体が先により大き
な快感を求める。
「跡部っ・・・そこじゃなっ・・・もっと・・・奥・・・・」
自ら腰を揺らし、宍戸は自分の最も感じる部分へと跡部を導く。それに素直に従い、跡部
はその部分を熱の塊で擦り上げる。
「あっ・・あぁんっ!ソコッ・・・いっ・・もっとぉ・・・」
「ハァ・・・今日のテメェは一段とイイぜ。もっともっと乱れちまえよ。それでこそ、俺
の宍戸だ。」
「あ・・あっ・・・跡部っ・・・もっと言って・・・」
「何をだよ・・・?」
「好きって・・・気持ちイイって・・・」
俺の宍戸という言葉が宍戸の胸に大きく響いたらしい。跡部の背中に縋りながら、宍戸は
そんなことを求める。素直に自分を求めてくる宍戸に跡部も心を奪われた。動きを止める
ことなく、宍戸の欲しがる言葉を耳元で落としてやる。
「好きだぜ、宍戸。テメェは俺だけのもんだ。テメェの中に入ると・・・すげぇ気持ちイ
イぜ。」
「はぁ・・・俺もすげ・・・気持ち・・イイ・・・跡部といると・・・跡部と・・こうい
うことしてると・・・」
「ああ・・・」
「すげぇ幸せだぜ・・・」
生理的な涙をポロポロと溢しつつ、宍戸はニッコリ笑ってそんなことを言う。そんな宍戸
の言葉と表情に跡部はどうしようもないくらい胸がきゅんとする。今までの幸せな日々を、
自由を、村人から愛されていた状況を、自分は全て奪った。この行為だってある意味無理
矢理しているのに等しい。それなのに、宍戸は自分といることを、ありえないこの状況を
幸せだと言う。
「本当・・・お前は、どれだけ俺を夢中にさせれば気がすむんだよ。」
「それは・・・こっちのセリフだ。俺は・・・テメェに全部奪われた・・・普通だった生
活も・・・好きなことをする自由も・・・身体も・・・それに・・心も・・・」
「宍戸・・・」
「それでも・・・俺はテメェと、跡部と一緒に・・・いたいと思うんだよっ!跡部のこと
が・・・好きで好きでしょうがねぇ・・・たとえそれが悪魔の力で無理矢理そうされてい
るのだとしても・・・今は・・・跡部と一緒にいれることが・・・・」
そこまで言いかけると、宍戸の顔にポタポタと雫が落ちる。跡部の目からはとても悪魔の
ものとは思えないほど、透明で綺麗な涙が溢れている。
「跡部っ・・・?」
「はは、みっともねぇ。安心しろ。テメェに力なんて使ってねぇよ。それは、テメェの本
当の気持ちだ。」
「そ・・だよな・・・よかった・・・」
「なあ、そろそろちゃんと最後までイこうぜ。俺はもっとテメェと一つになりてぇ。」
「そうだな・・・跡部、キスして・・・」
「ああ。」
宍戸にキスをせがまれ、跡部はゆっくりと宍戸の柔らかい唇に口づける。それと同時に、
一際激しく宍戸の中を擦り上げた。その瞬間、宍戸の身体はビクンと跳ね、跡部の熱を締
めつける。そんな刺激にどちらも熱い雫をお互いの身体に放った。
「んっ・・・んん――っ!!」
「・・・・っ!!」
お互いのものが混じり合い、身体のどこかで一つになる感覚。そんな快感を二人は全身で
味わう。これからもずっとこんな気分を味わっていけたらいいと思いながら、二人は唇を
離し、ぎゅっと熱くなる身体で抱き合った。

黒薔薇に囲まれた一つの教会。その中で、一人の牧師と悪魔が外とはかけ離れた時間を過
ごす。悪魔は牧師から全てを奪った。しかし、牧師はこの世では味わうことが出来ない幸
福を手に入れた。略奪から生まれた二人の愛。それは、誰も入り込めない激しく甘美な時
を作り出すのであった。

                                END.

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