今日も疲れたなあ・・・。このあとは古武道の練習か。毎日ハードだよな。
日吉が家路を辿っている途中、違う学校の、だがテニス部かと思われる二人の生徒が視界
に入った。
「ゴメンな、深司。本当、ゴメン!!」
「別に・・・神尾が悪いわけじゃないし・・・・跡部が悪いんだからそんなに謝ることな
いよ・・・。」
「怒ってるよな?マジでゴメン!!許してもらえないかもしれないけど・・・。」
「・・・確かにむかつくけどさあ、俺、神尾のこと好きだし・・・許さないわけないじゃ
ん。」
「深司ぃ。ホント、跡部の奴むかつくよなあ。人が風邪引いてる時に襲うなんて最悪ー!」
「神尾、いい加減、跡部の名前出すのやめてくれない?あんまり言ってるとこの前のこと
許さないよ。」
「わあっ、ゴメン!!」
あいつらが言ってる『跡部』って、うちの跡部部長のことだよな。でも、確か跡部部長は
宍戸さんとつきあってるはずじゃあ・・・
日吉は二人の話に耳を傾け、ことの真相を理解しようとした。最後まで話を聞くとどうや
ら、跡部が浮気をし、神尾と犯ったということらしい。
ふーん、跡部部長そういうことしてたんだ。明日、宍戸さんに話してみよう。
日吉は言ったらどうなるのか試してみたくなり、次の日、宍戸にそのことを話そうと決め
た。
「宍戸さん。ちょっといいですか。」
次の日になると、日吉は宍戸に声をかけ、昨日のことを話そうとした。
「ゲホ・・・ゴホ・・・何だよ?日吉。」
宍戸は跡部に風邪を移され、とても調子が悪そうだ。だが、そんなことはお構いなしに日
吉は話を進める。
「昨日の帰り、ちょっと他校の奴らを見かけたんですよ。」
「へぇ、それがどうかしたのか?」
「話をしていたのを聞いたところ、不・・・動峰でしたっけ?そこの学校の奴らだと思う
んですよ。」
「不動峰・・・?」
不動峰と聞いて、宍戸は一瞬顔をしかめた。橘に負けたことによってレギュラー落ちして
しまったので、あまり不動峰にいいイメージがない。
「そこの前髪が長い方の奴・・・確か、神尾だったかな?そいつが跡部部長と犯ったとい
うような話をしてたんです。いいんですか?宍戸さん。」
たんたんと日吉は話す。宍戸の表情はだんだんと曇っていった。
「・・・それ、本当か?」
「はい。うそでそんな話、俺がするわけないでしょう?」
「・・・・・。」
宍戸を強い目眩を覚え、その場にへたり込んだ。
「大丈夫ですか?」
「ああ。・・・・俺、もう帰るな。もうそろそろヤバそうだから。」
「はい。」
無表情で日吉は頷く。宍戸はこれ以上なく辛そうな表情で帰って行った。
「あれ、宍戸帰っちゃった。」
「随分、調子悪そうやったからな。」
岳人と忍足は宍戸が帰ることに何の違和感も覚えなかった。初めから風邪気味だというこ
とを知っていたからだ。
「あー、だいぶ遅くなっちまったな。」
宍戸と入れ違いに跡部がテニスコートにやって来た。
「あっ、跡部。」
「おい、岳人。宍戸の奴どこに居るか知らねぇか?」
「ああ、宍戸なら帰ったぜ。」
「帰った?」
「何か風邪気味みたいだったからな。跡部が移したんじゃねーの?」
「そうか。じゃあ、今日は俺も帰るな。宍戸の見舞いに行ってくる。」
「分かった。」
跡部は何も知らず、宍戸の家に向かった。それを日吉はまた表情を変えずに見送った。
あー、もう!!跡部の奴、マジでむかつく!!何で、俺がいるのに他の奴と犯るんだよぉ。
それも、風邪移されるし・・・もう、最悪だ!!
風邪により熱が出て、気分が悪い上、日吉に聞いた話にショックを受け、かなりの涙目。
とその時、跡部が部屋に入って来た。
「よぉ、宍戸。風邪で早退したらしいな。大丈夫か?」
「・・・・・・。」
何だよ?宍戸の奴、シカトか?それとも、それだけ気分が悪ぃってことか?
「宍戸、マジで大丈夫か?」
跡部は宍戸に近づき、ベッドに座った。そして、心配そうな表情で宍戸の額に手を当てる。
「だいぶ、熱があるみてぇだな。」
宍戸はその手を振り払い、キレた。
「跡部のアホッ!!俺に触るな!!あっち行け!!」
「おい、どうしたんだよ、宍戸?」
「何で、俺がいんのに俺以外の奴と犯るんだよぉ・・・。そんなに俺が嫌いなのか・・・。」
急に怒り出したと思ったら、今度は泣き出す。熱の所為でおそらく情緒不安定になってい
るのだろう。
何で、宍戸の奴、そのこと知ってんだよ。俺は言ってねぇし、不動峰の奴らが言うとも思
えないし・・・誰が言ったんだ?
「宍戸、それどういうことだ?」
「日吉が言ってたんだよ・・・昨日、不動峰の神尾と伊武がそういうこと話してたって。」
「・・・・・。」
日吉の奴、余計なことを〜。あー、でも、バレちまったなら素直に謝るしかねぇな。
「悪かったよ。ちょっとした気の緩みだ。」
「気が緩んでたら、誰とでも犯るのかよ!?それも俺が今ひいてる風邪ってそいつから移
されだんだろ?」
「・・・・・・。」
「やっぱりそうじゃねぇか!最悪!!」
宍戸の怒りは高まるばかりだ。泣き方も半端じゃなくなってきている。
「マジで悪かったって。どうしたら許してくれんだ?」
「風邪ひいた神尾を犯ったんだよな・・・?」
「・・・・・ああ。」
「じゃあ、俺にも同じことしろよ!!そうしたら、許してやらなくもない。」
さっき額を触ったときにかなり熱いと感じたので、宍戸の熱は高くないはずがない。跡部
は正確な体温を宍戸に尋ねた。
「今、熱どのくらいあんだよ?」
「・・・37.9℃。」
「ほとんど38℃じゃねぇか。そんなに熱があるなら出来ねぇよ・・・。」
38℃では高熱だ。そんなに熱がある状態でそんなことをすれば大変なことになると目に
見えていた。
「何でだよぉ・・・。神尾には出来て、俺には出来ねぇのか・・・・」
再び宍戸は泣き出す。その泣き方が尋常じゃないので、跡部は困惑した。
そんなに泣かれるとマジで困る。俺だって、犯れるんだったら犯りたいけど、こんなに高
熱じゃ、やっぱヤベェよな。どうしよう・・・。
「跡部ぇ・・・」
ボロボロ泣きながら、宍戸は跡部を見た。その表情に跡部はノックアウト。我慢出来なく
なり、思わずベッドに乗り上げ、かぶっている布団をはがした。
「・・・少しだけだからな。」
あんまり時間かけなきゃ大丈夫だろ。くそ、何で宍戸の奴、こんなに可愛いんだよ!!
跡部はすぐにズボンと下着を脱がせてしまい、いきなりバックを慣らし始める。
「あっ・・・うあ・・・」
「あんまり時間かけてんと、お前もたねぇだろ。さっさと終わらすからな。」
「やっ・・・んん・・・あっ・・・」
確かにこの状態じゃ、あんまり長い間されてるのはキツイかも・・・。でも、神尾には負
けたくねぇ。それ以上のこと絶対してやる!
負けず嫌いの宍戸は神尾にしたこと以上のことをしてもらおうと、くらくらする頭で必死
で考える。
「跡部・・・神尾とどこまで犯ったんだ?」
「えっ・・・まあ、一応最後までは・・・」
「信じらんねぇ・・・!・・・ふっ・・・んくっ・・・」
「でも、中出しはしてないぜ。途中で抜いたからな。」
「はぁ・・・じゃ・・・俺には・・・そこまでしろよ!!」
「でも、お前かなり熱あるだろ?それはさすがにヤバイんじゃねぇ?」
「いいんだよ!!・・・あっ・・・はぁ・・・う・・ん・・・」
困惑した表情を浮かべながらも、熱に浮かされ喘いでる宍戸に跡部はかなりキていた。宍
戸もいきなりバックを慣らされているのと、同時に前も触られていることでもうすぐにで
もイッてしまいそうだ。
「あっ・・・んん・・・跡部っ・・・!!」
「あんまりそういう顔すんなよ。我慢出来なくなっちまう。」
「ふっ・・・あ・・・ああっ!!」
熱で体全体が敏感になってる所為もあり、宍戸はすぐに達した。呼吸はかなり苦しそうで
いつもとはだいぶ雰囲気が違っている。
「ハッ・・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「宍戸、やっぱこの辺で終わりにした方がいいぜ。」
「嫌だ・・・!!最後まで・・・しろよ・・・!!」
「だって、お前、すげー苦しそうじゃねぇか。」
「大丈夫だ・・・だからっ・・・・」
苦しそうに息を乱しながらも、宍戸は何とか跡部に最後までしてもらおうと必死だった。
跡部のズボンのジッパーに手をかけ、自ら跡部のモノを口に含んだ。
「おいっ、バカ!!何やってんだ!!」
「ふっ・・・んく・・・んっ・・・う・・・」
「ちょっ・・・宍戸!!」
「跡部ぇ・・・マジで・・・お願い・・・・」
「くっ・・・!!わ、分かったから、もう離せ!!」
もとからかなり張り詰めていたのだが、宍戸にこうされて跡部はもう入れざるえなくなっ
てしまった。こうなったら、さっさと終わらせてしまおうと跡部は性急に宍戸の中へと入
る。
「くっ・・うああっ・・・!!」
「うわっ!」
何だよ!?これ。宍戸の中、ヤケドしそうなくらい熱いじゃねぇか。こりゃ、普通にヤベ
ェよな・・・。
跡部は宍戸の中のあまりの熱さにドキッとして、思わず自分のモノを引き抜こうとした。
「んっ・・・あっ・・・ああ・・・」
跡部の奴、抜こうとしてやがんな。こんなところで抜かれてたまるか!!
宍戸は跡部が抜こうとしていることに気づいて、首にしがみつき悲痛な声で訴えた。
「やだぁ・・・抜くなよぉ・・・あとべぇ・・・」
「お前の中、熱すぎだ。マジでヤバイって。」
「ダメだ・・・ちゃんと・・・最後までしろよ・・・・」
「でも・・・」
跡部が譲ろうとしないので、宍戸は本当に悔しくて切なくなって涙を零しながら、今、一
番跡部にして欲しいことを伝えた。
「跡部・・・俺だけを見てくれよぉ・・・・他の奴らとしないで・・・俺・・・跡部のこ
と・・・本当に好きだから・・・俺だけを見て・・・・」
この言葉を聞いて、跡部は急に胸が締めつけられるように苦しくなった。軽い気持ちで自
分のしたことがどれだけ宍戸を傷つけたのか痛いほど伝わったからだ。
「ゴメン、宍戸。やっぱ、最後までやる。」
跡部はいつものように激しく、だが、宍戸を気遣うように優しく行為を続けた。自分が一
番大切なのは宍戸で、その宍戸を傷つけてしまったことに謝罪をする気持ちを込めながら
・・・・。
「やっ・・・跡部・・・も・・ダメ・・・・」
「宍戸・・・。」
「あっ・・・ああっ・・・」
「・・・っ!!」
二人はほぼ同時に達したが、その瞬間、宍戸は気を失ってしまった。跡部はそんな宍戸を
しっかりと支え、ベッドへと崩れ落ちた。
宍戸の望み通り中出しをしてしまった跡部は、気を失う宍戸に優しく始末を施し、汗を拭
いたあと、服を丁寧に着せていった。やはり無理があったのか、宍戸の呼吸は荒く、とて
も苦しそうだった。
どう見ても、宍戸、さっきより苦しそうだよな。一応、熱計ってみるか。
跡部は寝ている宍戸のわきに体温計を挟み、熱を計った。しばらくして、ピピッという音
が計り終わったことを知らせる。
「おい・・・うそだろ・・・・」
体温計を見て、跡部の顔は青ざめた。結果は『39.2℃』。そのまま放っておいたら、
肺炎にもなりかねないほどの熱の高さだ。跡部は慌てて、部屋を出た。解熱剤を探すより、
買いに行った方が早いと判断したからだ。
薬を飲ませてから約30分後。宍戸は目を覚ました。まだ、意識がぼーっとしているのか
しばらく何もしゃべらない。
「宍戸、目覚めたか?」
「跡部・・・。」
「苦しくないか?」
「えっ、ああ。もう、そんなに苦しくはないけど。」
「よかった・・・。」
跡部は本当にホッとしたような表情で、宍戸を抱きしめた。そして、さっきとは比べもの
にならない程、気持ちのこもった声で宍戸にもう一度謝罪する。
「宍戸、本当に悪かった。ごめんな。」
その声がほのかに涙声になっているように感じ、宍戸は跡部の名前を呼ぶ。
「跡部?」
「お前、さっきまで39℃台の熱があったんだ。どう考えても、俺の所為だと思っちまっ
て、すげぇ不安になってどうしようかと思った。神尾の時はこんな気持ちにはなんなかっ
たんだぜ?俺、やっぱりお前のことが一番大事みてぇだな。」
「・・・・跡部。」
跡部はさらに強く宍戸を抱きしめる。宍戸も跡部を抱きしめ返し、優しい口調で言った。
「もういいよ。この前のことは許してやる。」
「本当ごめん。俺、今日ので確信した。俺はお前が一番大切で、一番失っちゃならねぇも
んだって。だから、もうこれから俺は絶対他の奴とはやらねぇ。どんなことがあってもだ。」
「本当か?」
「ああ。誓ってもいいぜ。」
「・・・・サンキュー。」
その跡部の言葉を聞き、宍戸は笑いながら、そして、涙を目にいっぱい浮かべ呟いた。跡
部はそっと宍戸にキスをする。宍戸はうれしそうにそれを受け入れた。
「早く風邪治せよ。」
「ああ。ま、お前に移されたんだけどな。」
「お前なら、すぐよくなるって。バカは風邪ひかないっていうからな。」
「な、何だよそれ〜!!」
さっきまでのシリアスな雰囲気はなくなり、今は笑い合っている。こうしてまた、二人の
絆が深まるのであった。
END.