Bonnie Butterfly

黒い翅を羽ばたかせ、跡部はキラキラと光る蜘蛛の巣のすぐ横の枝に下り立つ。それに気
づいた滝は、糸を辿り跡部の近くにやってきた。
「どうしたの?跡部。跡部がこんなとこに来るなんて珍しいじゃん。」
「いや、ついこの間気になるものを見つけてな。」
「ふーん、気になるものって何?」
興味津々とばかりに問う滝に跡部は視線でもって答える。跡部の視線の先には、紫紅色の
布を纏った、髪の短い花の蕾がぐーっと伸びをしながら日光浴をしていた。
「宍戸じゃん。花は好みじゃないからなあ。俺はあんまり興味ないけど、たまにからかい
には行くよ。」
「どんな奴なんだ?」
「負けず嫌いで、短気。今は花を咲かせようと一生懸命になってる。」
「なるほどな。」
「何?宍戸のことそんなに気になるの?」
「あんまり見ねぇ色の花だしよ、行動が何つーか・・・」
「そんなに気になるんなら、話しかけてみりゃいいじゃん。ちょっと口は悪いけど、悪い
奴じゃないよ。」
ニヤニヤと笑いながら滝はそんなことを言う。蝶である跡部にとっては、花であるという
ことだけでも、惹かれる理由の一つとなってしまう。ついこの間、何の目的もなしにふわ
ふわと飛んでいる時、たまたま宍戸を見つけた。雨上がりだったためか、その姿は水に濡
れ、薄い生地の布はぴったりと肌にはりつき、言いようもない色気を放っていた。そんな
宍戸に跡部は一目惚れ。話しかけたくて仕方がなかったのだが、なかなかそういうチャン
スがなかった。
「でもなあ・・・」
「何だよ?跡部にしては、珍しく弱気じゃん。」
「いや・・・何ていうか、目の前に行ったらそのまま押し倒して犯っちまいそうで。」
「うわあ・・・でも、跡部ならありえそう。」
苦笑しながら、滝は言う。そんな会話をしている間に、宍戸はてくてくと水場の方に向か
って歩き出した。
「あっ、宍戸、どっかに行っちゃうよ。この際だから、追いかけて押し倒しちゃえば?」
「んなこと出来るかよ!!」
「あはは、冗談だって。」
「うわああっ!!」
二人がどうしようもない会話をしているのを遮るように、宍戸の叫び声が響く。ふとそち
らの方を見てみると、巨大な蛇が今にも宍戸に襲いかかろうとしていた。それを見て、跡
部は何も考えず、宍戸のもとへ向かう。
ガシっ・・・ふわ・・・
(えっ!?)
もう少しで蛇に潰されてしまうというところで、宍戸の体は宙に浮き、蛇の腹をすり抜け
た。草の陰にその体を下ろされると、宍戸は恐る恐る目を開ける。
「大丈夫か?宍戸。」
「えっ、あっ、えっと・・・」
「俺は跡部だ。危ねぇところだったな。」
「あ、ありがと。でも、何で俺の名前・・・・」
「蜘蛛の滝に聞いた。それに、テメェのこと、ついこの間から気になって、たまに見てた
からな。」
「そうなのか?」
「ああ。それより、怪我とかねぇか?結構荒っぽく飛んじまったからな。」
「だ、大丈夫っ!!あの・・・マジでありがとう。テメェが助けてくれなかったら、俺、
あの蛇に潰されてたぜ。」
照れた様子で、宍戸は笑いながらそんなことを言う。そんな宍戸に跡部はメロメロだった。
(くそっ、メチャクチャ可愛いじゃねぇか!)
宍戸の態度にキュンキュンしながら、跡部は必死で平静を保とうとする。そんな跡部の努
力を知ってか知らぬか、宍戸はずいっと跡部に近づき、首を傾げて跡部の翅に手を伸ばす。
「すっげぇ綺麗な翅だな。ちょっと触ってみてもいいか?」
「あ、ああ。少しだけならな。」
宍戸の指先がほんの少し翅に触れるだけで、全身に電気が走っているかのような痺れを感
じる。そんな感覚にドキドキしながら、跡部は物珍しそうに自分の姿を見てくる宍戸の顔
を眺める。
「薄くてちょっと力入れたら破れちまいそう。」
「そんなにやわに出来てねぇよ。」
「へぇ、そうなんだ。すげぇ・・・」
「な、なあ・・・」
「ん?何だ?」
「俺、テメェが咲く姿を見てぇんだ。明日からもちょくちょくテメェのところに来てもい
いか?」
一度話してしまったら、それだけで終わりというわけにはいかなくなる。宍戸を目の前に
し、宍戸に触れ、跡部は自分の気持ちが確かなものだと確信した。思いきってそんなこと
を尋ねてみると、宍戸はあっさり了承する。
「別に構わないぜ。俺も跡部ともっといろんなこと話してぇしな。」
「じゃあ、また明日も来るぜ。早く咲くといいな。」
「おう!たくさん太陽浴びて、たくさん水飲んで、綺麗な花咲かせるぜ!!」
「そうか。期待してるぜ。」
もっと一緒にいたいのは山々だが、これ以上一緒にいるといろんな意味で我慢が出来なく
なりそうなので、跡部は早々に宍戸の側から離れた。心臓がドキドキと速くなっているの
を感じながら、跡部は口元に笑みを浮かべ、空高く舞い上がった。

それから跡部は、毎日毎日宍戸のもとへ通う。日に日に宍戸の服は赤さを増し、短かった
髪の毛もだんだんと長くなってきていた。花が咲くのが近づくにつれ、二人の心の距離も
次第に縮まってゆく。
「跡部、たぶん明日くらいには完全に花が咲くぜ!!」
「確かに、随分髪も伸びたし、服もいい感じの色になってきてるな。」
「へへへ、超楽しみー。花が咲くってのはな、大人になったって証なんだぜ。」
「へぇ、そうなのか。」
「だからな、体中からいい匂いがして、蜜もいっぱい作れるようになるんだぜ。」
花が開きかけている所為か、跡部にとっては今でも宍戸の体から甘く心地よい香りが放た
れているように感じられる。それが明日になれば、より強いものになる。そう思った途端、
跡部の中で今まで抑えてきた欲求が一気に溢れ出そうになる。
「なあ、宍戸。」
「何だよ?」
「明日、もし花が咲いたらよ・・・」
「おう。」
「俺に蜜を飲ませてくれねぇか?俺は蝶だ。花の蜜は最高の御馳走なんだよ。」
「うーん、どっから蜜が出るとかいまいちよく分かんねぇんだけどよ、跡部ならいいぜ。
俺の命の恩人だし、ありったけの蜜、テメェにくれてやるよ。」
「ありったけの蜜・・・か。そりゃ楽しみだ。」
「テメェもビックリするくらい、綺麗な花咲かせてやるから楽しみしてろよ!」
「ああ。」
そんな約束を交わしつつ、二人は湖のすぐ側で眠りにつく。早く明日になって欲しいとい
う思いを胸に抱き、二人は夢の中へと落ちていった。

次の日、跡部は体が痺れるいような甘く芳しい香りで目を覚ます。体を起こして、目を開
けてみると、そこには見違えるほど綺麗になった宍戸の姿。蕾の時は自分よりも短かった
髪の毛が、女の人と見紛うほど綺麗な長髪になり、体を覆っている布も、まるで何本もの
リボンを絡ませているかのように、宍戸の体の大事な部分だけを隠し、大きく広がってい
る。これがどうやら「花が咲く」ということらしい。
「おはよう、跡部。見ろよ、俺、ちゃんと花咲かせたぜ!」
「あ、ああ。」
「綺麗だろ?」
「ああ。すげぇ綺麗だ・・・」
甘い匂いに誘われるかのように跡部は宍戸に手を伸ばす。そして、その腕に宍戸を捉える
と赤く潤んだ唇に、自分の唇を重ねる。
「んんっ!?」
(甘ぇ・・・)
花が咲いた宍戸の唇は蜜のように甘く、跡部の欲をかき立てる。半強制的に口を開かせ、
舌で中を弄ってやれば、その少し開いた口から小さな喘ぎが漏れた。
「ん・・・ぁ・・ふぅ・・・・」
突然のことで、何が起こっているか宍戸は全く理解出来ていないが、どうしようもなく気
持ちよく、心臓がドキドキしてくるのは分かった。花が咲いたためか、今までには感じ得
なかった感情が宍戸の中で湧き起こってくる。
(何か・・・跡部にこうされてんと、体の奥がうずうずする・・・。どうしちゃったんだ
ろう、俺?)
跡部が唇を離すと、宍戸は荒い息を吐きながら、跡部の顔を見る。跡部も跡部で、衝動的
にしてしまったキスの所為で、既に自分自身が抑えられなくなっていた。
「跡部・・・」
「駄目だ。もう耐えらんねぇっ!!」
宍戸の花が開いたことで、跡部は今まで抑えてきたものが爆発してしまう。宍戸の体を荒
々しく押し倒すと、布がかかっていない鎖骨のあたりに唇を押し付ける。その瞬間、宍戸
の体に電気が走ったかのような衝撃が走る。
「あっ・・・あぁんっ!!」
思わず上がる高い声に、宍戸自身が一番驚く。今までに感じたことのない感覚。それが一
気に押し寄せる。戸惑いと羞恥と期待。それらがごちゃまぜになり、宍戸の体を動かなく
させる。
(何なんだよ、この感覚!?やべぇ、このままじゃ俺、おかしくなっちまう・・・)
そんなことを思いつつも、宍戸は跡部に抗うことが出来ない。リボンの合間をぬって、跡
部は宍戸のいたるところにキスをする。どこにキスをされても気持ちよく、宍戸はすっか
りとろけていた。
「はふ・・・あっ・・・」
「本当、信じられねぇくらい綺麗だぜ、宍戸。どこもかしこも甘くてイイ匂いだしよ。」
「跡部ぇ・・・俺、おかしい・・・」
「アーン?」
「体の奥がうずうずして、跡部に触られると、どうしようもないくらい気持ちよくなっち
まう・・・」
「いいことじゃねぇか。だったら、もっといろんなとこにキスしてやるよ。つーか、テメ
ェの蜜を出すとこってココだろ?」
下腹部を覆っているリボンを手で除けると、すっかり硬くなり、既にじわじわと蜜を溢し
ている茎を軽く指で弾く。そんなちょっとした刺激でも、宍戸は背中を仰け反らせ、ビク
ビクと体を震わせた。
「ひっ・・あんっ!!」
「もう溢れてきてるじゃねぇか。テメェ、昨日、俺に蜜を飲ませてくれるって言ってたよ
な?」
「う、うん・・・」
「だったら、存分に飲ませてもらうぜ。」
「やっ・・・ちょっと待っ・・・あっ・・ああぁ――っ!!」
舌なめずりをして、跡部は宍戸の茎を口に含む。既に溢れてきている先走りの蜜の所為で
跡部の口の中は、甘い香りでいっぱいになった。その味にうっとりとしながら、もっと濃
い蜜が飲みたいと、ちゅうちゅうと音を立て、跡部はそれを吸う。
「あっ・・・やだっ・・・ひぃんっ・・・あっ・・ああっ・・・!!」
跡部にそこを吸われるたび、宍戸は身を捩り、甘い声を上げる。その声を聞きながら、跡
部はさらに激しく蜜の溢れてくる茎を責め立てる。
「んくっ・・・いっ・・ぁ・・・も・・・出ちゃうぅ・・・」
一際大きく体を震わせ、宍戸は跡部の口の中に濃い蜜を放つ。先走りのものとは、比べ物
にならないほどの甘く濃い蜜の味に跡部は舌鼓を打つ。
(ヤベェ、超美味ぇ。マジはまりそうだ。)
「テメェの蜜、すげぇ美味いぜ。こんなに美味い蜜飲んだのは生まれて初めてだ。」
「ハァ・・・ハッ・・・本当か?」
「ああ。今、すっげぇイイ気分だぜ?」
自分の蜜の味を跡部に褒められ、宍戸は素直に嬉しいと感じる。しかも、蜜を放つ瞬間と
いうのは、ありえないほど気持ちがいい。そんなことに気づいてしまった宍戸は、もっと
跡部に蜜を飲んで欲しいと、誘うような目で跡部を見る。
「なあ、跡部・・・・」
「どうした?」
「もっと、俺の蜜、飲んでいいぜ。」
紅潮した顔でそんなことを言われ、跡部の心臓はドクンと高鳴る。
(どうしてこいつはこう俺を煽るようなことばっかり言いやがるんだっ!!)
色気たっぷりの宍戸にくらくらしながら、跡部は宍戸の体を起こす。
「?」
「宍戸、四つん這いになれ。」
「四つん這い?こうか?」
跡部の言う通り、宍戸は四つん這いになる。獣のようなポーズに激しい興奮を感じながら、
跡部は双丘に絡んでいる布を除け、その割れ目の部分をぐいっと広げる。その中心からは
前の茎と同じように甘い香りの蜜が滴っている。
「へぇ、こっちからも蜜が出るみてぇだな。」
「や、やだ・・・跡部。そんなとこ、恥ずかしい・・・・」
「ありったけの蜜くれるっつったのは、テメェだぜ?」
そう言いながら、跡部は蜜が滴る穴の中心に口をつける。そして、溢れ出す蜜を吸い出す
かのように唇を動かし始めた。
「ひゃあんっ!!」
「こっちの蜜も極上だな。美味ぇ。」
もっと蜜を味わいたいと、跡部は舌をその穴に差し込む。中を舐め回されるような感触に
宍戸はぶるぶると全身を震わせる。
「ああぁっ・・・中・・・やああぁっ・・・!!」
宍戸が感じれば感じるほど、甘い蜜は際限なく溢れてくる。それがまるで媚薬の役割を果
たしているかのように、跡部は宍戸の体にどんどん夢中になってゆく。
ちゅう・・・ぢゅ・・・・
「はぁあ・・・あっ・・・跡部ぇ・・・」
「ああ・・・マジで美味すぎだ。止まんなくなっちまう。」
「跡部・・・も・・・舐めるなぁ・・・」
「でもよ、こんなに美味かったら・・・・」
「舌じゃなくて・・・もっとおっきいの・・・欲しぃ・・・・」
顔を真っ赤にして、激しく息を乱しながら、宍戸は跡部の方を振り返る。その表情を見て、
宍戸が何を求めているのか、跡部はすぐに理解した。そして、自分のそれも抑えがきかな
くなる。
「もっと、大きいのか・・・」
「跡部の雄しべ・・・ココに入れてぇ・・・」
「俺は蝶だから、雄しべとは言わねぇよ。でも、そんなに欲しいなら・・・」
荒くなる息を抑えようともせず、跡部はいつの間にか固くなって、十分な熱を持っている
楔を布の下から取り出す。それを見て、宍戸は期待に目を輝かせた。
「跡部の・・・すげぇ・・・」
「コレが欲しいんだろ?」
「おう・・・」
「どうせだったら、ちゃんと顔が見れた方がいいよな。」
四つん這いになっている宍戸の体を反転させ、仰向けになるような形にする。そして、宍
戸の脚を大きく開くと、蜜の滴る双丘の中心に自分の楔を押し当てた。
「入れるぜ・・・」
ズッ・・・ズズッ・・・!
「ひぃんっ!!」
「くっ・・・ぅ・・・」
溢れる蜜の所為で、宍戸のそこはいとも簡単に跡部の楔を根元まで飲み込む。簡単に入っ
たわりには、激しく宍戸の内側は収縮し、跡部の熱をきゅうきゅうと締め付ける。
「ハァ・・・テメェの中、すげぇ気持ちいいぜ。」
「はぁっ・・・俺も・・・気持ちイイっ・・・!!」
「こんな感覚、初めてだ・・・何か・・・」
宍戸の中に入っている部分から、全身に快感が広がり、跡部はどうしようもなくぞくぞく
する感じに息を乱していた。少し体を動かせば、敏感に宍戸が反応し、中にあるそれを締
め付ける。まるで、宍戸の快感が全て自分にも伝わるような感覚に、跡部は今までに感じ
たことのない恍惚感を覚える。そして、跡部の体に驚くべき変化が表れた。
「あっ・・・跡部っ、跡部っ!!」
「アーン?どうした?」
明らかに何かに気づいたかのような声を上げる宍戸に、少し冷静さを取り戻しながら跡部
は返事をする。
「跡部の翅・・・金色になってる。」
「は?」
背中にある翅は自分では確認出来ないので、軽く翅を動かし、鱗粉の色を確かめる。いつ
もま真っ黒なそれなのだが、今自分の目に映っているのは、紛れもなくキラキラと金色に
輝く鱗粉だ。
「確かに金色だな。どういうことだ?」
「激綺麗・・・黒い翅も好きだけど、こっちもすげぇ好きかも。」
「そうか、テメェが気に入ってくれてるんならどっちでもいい。」
そう言いながら、跡部は宍戸の唇にちゅっと軽くキスをする。そして、より強い快楽を求
めるかのように本格的に腰を使い始める。ギリギリまで楔を抜こうとすれば、宍戸のそこ
はきゅっと締まり、出て行かせまいとする。逆により奥へと突き刺してやろうとすれば、
締め付けが緩み、どこまでも奥へと迎え入れようとする。あまりにも率直に自分を求める
ような宍戸の入り口の動きに、跡部は苦笑しつつ、その感覚を楽しんだ。
「あっ・・・あんっ・・・はっ・・・んはっ・・・」
「なあ、もっと深いとこまで突かれたくねぇ?」
「うんっ・・・もっと奥・・・して欲しい・・・」
「それじゃ・・・」
そのままでも十分深くまで突き刺すことは可能なのだが、より深さを感じさせようと、跡
部は繋がったままの状態で宍戸の体を起こす。宍戸の上半身が完全に起き上がると、跡部
の楔を受け入れているそこは、重力に従い下へと下がる。
「はあっ・・・ああぁっ!!」
ズブズブと自然に奥へと入ってゆく感覚に、宍戸は目を見開き、歓喜の声を漏らす。跡部
の背中に回された腕にも力がこもり、その快感を跡部に伝えた。
「こっちの方が奥の奥までくるだろ?」
「・・・っ!・・・っ!」
あまりのよさに声が出せず、宍戸は首を縦に振って跡部の問いに答える。断続的に与えら
れる快感の所為で宍戸の体は先程から痙攣し続けている。そんな状態でももっと刺激が欲
しいと、宍戸は途切れ途切れに言葉を紡いだ。
「あ・・とべ・・・動い・・てぇ・・・・」
「動きたいのは山々だけどよ、そんなにしがみつかれちゃ動けねぇぜ。もう少し、力抜け
よ。」
宍戸は跡部の体を拘束するかのようにしがみついている。しかし、跡部にそんなことを言
われ、ゆっくりと腕の力を抜いた。
「宍戸、ついでに脚も地面から浮かせろ。」
「何で・・・?」
「いいから。」
「お、おう・・・・」
跡部の言う通り、宍戸は体の力を抜き、膝を曲げ、地面から脚を浮かせた。脚にかかって
いた体重が跡部との結合部に全てかかり、さらに奥まで跡部の楔が入ってくるような感覚
にとらわれる。
「あんっ・・・深っ・・・」
「そのままの状態でいろよ?」
力の入っていない宍戸の臀部を鷲掴みにし、跡部は宍戸の体を持ち上げる。ずるずると楔
が抜けていくような感覚に、宍戸はくっと唇を噛む。
「んんんっ・・・」
あと数センチで完全に抜けてしまうというところで、跡部は突然手を離す。もちろんそん
なことをすれば、重力に従って、宍戸の体は跡部の足に落ちる。しかも、宍戸の体重は全
て結合部にかかるのだ。その衝撃は尋常ではない。
「ひっ・・・ああぁ――っ!!」
激しく奥を穿たれる刺激に耐えられず、宍戸は跡部の腹に向けて熱い蜜を放つ。もちろん
跡部のそれも大きな衝撃を受けるのだが、宍戸の中は蜜で濡れ、ひどく弾力があるので、
それほどつらいとは感じない。むしろその刺激が新たな快感を生み出している。
「こんなに蜜出して、そんなに気持ちよかったのかよ?」
「はぁ・・・だって、すげぇ奥に跡部のが・・・入ってくるから・・・」
「だったら、何度でもしてやるよ。」
ニヤリと笑い、跡部は再び宍戸の体を持ち上げる。そして、さっきよりもさらにギリギリ
のところまで持ち上げ、すっと手を離した。さっきよりもひどく濡れた音を立て、宍戸の
中に跡部が深々とくい込む。
ズチュッ・・・!!
「くっ・・ああぁんっ!!」
「あー、たまんねぇ。テメェん中に勢いよく入る感じがすげぇイイ・・・」
思った以上にこれは気持ちがよいと、跡部は自分が満足するまでそんなことを続ける。何
度も最奥を激しく突かれるという刺激に、周りに蜜の水溜りが出来るのではないかという
ほど、宍戸は大量の蜜を放つ。十数回そんなことを繰り返しているうちに、跡部にも限界
がやってきたらしく、ズブッという音を立て、自分が宍戸の中に入ったと同時に、その先
から大量の精液を放った。
「ハァっ・・・くっ・・・!」
最奥のさらに奥に勢いよく熱いモノが放たれる感覚に、宍戸はこの世のものとは思えない
ほどの絶頂感を感じる。その瞬間、体を覆っている布が跡部さえも包むかのように広がり、
前の茎からも後ろの結合部からも今までになくよい香りの蜜が溢れる。その甘い香りと赤
い花びらに包まれ、跡部は意識が飛んでしまいそうなほどの心地よさを感じる。心も体も
一つになり、二人は蜜の海に堕ちていった。

全身に心地よい疲労感と充足感に浸り、跡部と宍戸は一本の木に寄りかかりながら、体を
休めている。宍戸の体も跡部の体も蜜まみれになり、いまだに甘い匂いがあたり一面に漂
っている。
「宍戸、体綺麗にしてやるからもっとこっちに来い。」
「お、おう。」
宍戸の体を引き寄せると、跡部は宍戸の体についた蜜をペロペロと舐めとってゆく。
「あはは、跡部、くすぐってぇよ。」
「こら、動くな。」
くすぐったがる宍戸を押さえながら、跡部はお気に入りの味をじっくり味わい、宍戸の体
を綺麗にしてゆく。宍戸の体がすっかり綺麗になると、跡部は満足そうな溜め息をつく。
「ふぅ・・・やっぱ、美味ぇな。」
「跡部も蜜でベタベタだぜ。今度は俺が綺麗にしてやるよ。」
「あっ、だったらよ、俺の舐めとったら、自分で飲み込むんじゃなくて、俺に食わせろ。
こんなに余ってんのに食べねぇのはもったいねぇだろ?」
「別にいいけどよ・・・舐めとって食わせるってことは、口移しでってことか?」
「当然だ。」
自信満々に笑ってそう言う跡部に、宍戸は少し照れながらも言われた通りのことをする。
ペロッと一口舐めとると、跡部の口にその蜜を移す。甘い蜜と宍戸からのキス。何度も繰
り返されるその行為に、跡部はうっとりと酔いしれる。
「はふぅ・・・一応、綺麗になったぜ。」
「ああ。サンキューな。」
「なあ、跡部。」
「どうした?」
何度もキスを繰り返した所為か宍戸の顔はほのかに赤く染まっている。そんな表情で、あ
らためて名前を呼ばれ、跡部は少なからずドキッとする。
「俺・・・何か、跡部のことすげぇ好きになっちまったっぽい・・・」
「ぽい?断定はしねぇのか?」
「いや、ぽいじゃねぇ。俺、跡部のこと、すげぇ好き。」
宍戸からそんなことを言われ、跡部はどうしようもなく嬉しくなる。思いきり顔を緩ませ、
跡部はぎゅうっと宍戸の体を抱きしめた。
「俺も、テメェのこと、初めて見たときから好きだった。今は、もっともっと好きになっ
てるぜ。」
「へへへ、激嬉しい。俺、跡部にいっぱい蜜やるから、跡部も俺のこともっともっと好き
になってくれよな!」
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。いいぜ。テメェの花が絶対枯れねぇように、嫌と
いうほど愛してやるよ。」
お互いの想いを確認し合い、二人は思いきり抱き合う。そんなラブラブな二人の様子を上
から滝はずっと眺めていた。
「さすが、跡部。宍戸の奴、バッチリおちてんじゃん。あそこまでされるとさすがに羨ま
しいかもなあ。」
自他共に認める相思相愛っぷり。この日から、跡部と宍戸は毎日のように想いを確かめ合
う行為をするようになる。そのおかげで、宍戸の花はいつまでも赤くみずみずしさ保ち続
けることが出来、跡部に存分に蜜を与えるのであった。

                                END.

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