これは夢だ。そう夢・・・。でも、ほっぺたを抓りゃ痛いし、俺はしっかりさっき目覚ま
しの音で起きた。下から朝飯のいい匂いもする。だけど・・・だけど・・・この鏡に映っ
てるものは一体何なんだ!?
跡部は制服に着替えようと鏡を見た瞬間凍りついた。在りえないものが目の前にある大き
な鏡に映っている。こんなことは現実には在りえない。まさに超自然。
「おいおい・・・どうすりゃいいんだよ・・・。」
へなへなと座りこんで、跡部は力のない声を出した。いつも自信満々である跡部をここま
でヘコませているもの、それは・・・・頭から突き出た大きな耳、腰の下あたりに生えた
ふさふさの尻尾、口から覗く鋭い牙、何でも切り裂けてしまいそうな尖った爪・・・。そ
う人間の形は残っているが、中途半端に跡部の体は狼になっている。こんな状態では、学
校へ行くどころか部屋から出ることすら出来ない。
今日は学校休むしかねーよな。こんな姿で外に出られるかってんだ。はあー、何でこんな
ことになっちまったんだよ・・・。
そんな時、ドアの外から執事の声が聞こえた。
「景吾坊ちゃま、起床時間でございます。」
「今日は気分悪いから学校休む。」
「大丈夫ですか?主治医を呼びましょうか?」
「いや、そこまでではねぇ。少し休めば治ると思う。」
「かしこまりました。」
ドア越しの会話を終えると跡部はもう一度大きな溜め息をつき、ベッドに座り込む。そし
て、この後どうするかを頭を抱えて悩み始めた。
せっかく明日は休みだってのに・・・・これじゃあ、宍戸が泊まりに来れねぇじゃねぇか。
やはり一番の問題点は宍戸絡みのようだ。
それからしばらく時間が経ってからの氷帝学園・・・・
あっれぇ?今日、跡部の奴休みなのかなー?昨日まではピンピンしてたのに。後でメール
でもしてみるか・・・。
宍戸は跡部が来ていないことを不思議に思っていた。風邪を引いてもそう滅多に休まない
跡部が何の連絡もなしに学校を休んでいる。朝のHRが終わった後、宍戸は一応担任に跡
部がどうしたのかを尋ねてみた。
「先生。」
「何だ?宍戸。」
「今日、跡部どうしたんっスか?」
「特に連絡は受けてないが・・・・。」
「そうですか。」
それも無断欠席かよ。本当にどうしたんだろ?跡部の奴・・・。
宍戸は跡部のことが気になってしょうがなかった。結局、放課後になってもメールの返事
は一切なし。気になって何度も送ったのだが、返事は一通も来なかった。宍戸は本格的に
跡部が心配になって、家に直接行ってみようと決めた。
何だよ跡部。あんなにメール送ったのに何にも返信なしかよ。それともメールにも反応出
来ない程どっかが悪ぃのかな?
宍戸の顔はだんだんと不安でいっぱいになっていく。早く跡部の家に行ってみようと慌て
て廊下に出ると隣のクラスから出てきた滝とジローにぶつかった。
「うわっ!」
「痛っ!」
ぶつかった衝撃で宍戸と滝はしりもちをつく。
「二人とも大丈夫ー?」
「痛ってー・・・宍戸、気をつけろよ!」
「お前こそ!って、こんなことしてる場合じゃねーんだ。」
慌てて立ち上がり、走り出そうとする宍戸に二人はどうしたのかを尋ねる。
「どうしたの?宍戸。」
「何か随分慌ててるみたいだけど。」
「今日、跡部が休んでんだよ。携帯でメール送っても全然返事来ねーし。だから、何か心
配でさあ・・・ちょっと、跡部んち行ってみようと思って。」
『ふーん。』
何だやっぱり跡部関連かと滝とジローは興味なさげに頷く。だが、宍戸は本当に跡部が心
配だと早足でそこから立ち去った。
「じゃあな。俺、急いでるから。」
「うん。じゃあね。」
ジローはひらひらと手を振る。そして、滝と顔を見合わせて笑った。
「やっぱ、宍戸って跡部にフォーリン・ラブって感じだよね。」
「ホント、ホント。じゃあ、俺達は2年の校舎に行こうぜ。」
「そうだね。」
滝とジローは2年生の教室がある校舎へと向かった。おそらく鳳や樺地に会いに行くのだ
ろう。
跡部の家の前まで来た宍戸は何の躊躇いもなしに呼び鈴を押した。すると、すぐに跡部の
執事の声が聞こえる。
『はい。』
「宍戸ですけど・・・」
『宍戸様ですね。少々お待ちください。』
跡部の執事は、門と玄関のドアを開けた。宍戸は門から庭へ入り、玄関<の方へと向かう。
「すいません、景吾坊ちゃまは本日一度も部屋から出て来ないのです。食事も食べてれく
れず、非常に心配しております。」
心配そうな表情を浮かべ跡部の執事はそんなことを話す。宍戸は悪いと思いながらも家の
中に入っていいかと尋ねた。
「あの・・・跡部の部屋に行ってみちゃダメですか?」
「宍戸様であれば、部屋に入れてもらえるかもしれません。」
どうやら跡部は本当に部屋から出ず、その上、部屋に誰かを入れるということもしないら
しい。宍戸はキレイに靴を揃えた後、跡部の部屋へと向かった。
跡部の奴、何ひきこもりしてんだよ。よっしゃ、俺が部屋の中に入って話してやるか。
部屋の前まで来ると宍戸はドアを叩き、跡部の名前を呼んだ。
「おい、跡部!ドア開けろ!!何、ひきこもりしてんだよ!」
なっ!?何で宍戸がここにいるんだよ!?これ見られるのはヤバイよな・・・。
跡部はドアの前まで来たが、開けるということはしなかった。だが、宍戸はドアを叩き続
ける。
「跡部、いるんだろ!?返事しろよ!!」
「ウルセー!!入ってくるな!!帰れっ!!」
あまりにも宍戸がうるさいので、跡部は思わず怒鳴った。それを聞き、一瞬怯むが帰ろう
とはしなかった。
「開けろってば!!」
宍戸はドアノブに手をかけ、思いきり押してみた。絶対鍵がかかっていると思っていたの
だが、そのドアは簡単に開いた。跡部は鍵を閉め忘れていたのだ。
「うわあっ!!」
もちろん、宍戸は勢いよくこける。宍戸を部屋に入れたまま、跡部は慌ててドアを閉める。
今度はしっかり鍵をかけた。宍戸は痛ってーと膝をさすりながら、何となく跡部を見た。
その瞬間、表情が固まる。
「あ・・・跡部?」
「だから、入れたくなかったんだよ・・・。」
ふぅーと溜め息をつき、跡部は自分のベッドに座る。宍戸はしばらく茫然としていたが、
ゆっくりと跡部に近づき、そのあってはならないものに興味津々とばかりに触り始める。
「うわあ、すっげー!これ、本物?」
「触んじゃねーよ。ったく、何で来んだよ・・・。」
「つーか、どうしたんだ。それ?コスプレか何かか?」
「んなわけねーだろ。朝、起きたらこんなになってた。」
「マジで!?あはは、おもしれー。」
宍戸は跡部に起こった超自然の怪異(by山月記)を少しも怪しんでいない。むしろ楽し
んでいるようだ。だが、跡部は真剣に悩んでいる。このままだと外にも出れない。学校に
もいけない。一番の問題は食べ物だ。半分以上は人間なのだが、今はどうしても肉しか食
べたくないのだ。どうやら食生活も狼になりかけているらしい。
「・・・・・っ!!」
日が沈んで、しばらくすると跡部の体に変化が現れ始めた。気分が悪そうにうつむいてい
る。宍戸は心配だと声をかけた。
「跡部、大丈夫か?」
「くっ・・・はぁ・・・宍戸、今近寄るな。」
「マジで大丈夫か?どうしたんだよ?」
あー、ヤベー・・・意識が朦朧としてきちまった。つーか、何かスゲー変な気分だし。こ
のままだと宍戸が危ねぇな。
どうやら狼の意識の方が理性よりも大きくなってしまってきているようだ。宍戸はそんな
ことには全く気づかず、跡部を気遣い肩に手をかける。それがまるで何かの合図だったか
のように跡部は勢いよく宍戸をベッドに押し倒した。
ドサッ!!
「ちょ・・・おいっ!!跡部!?」
「宍戸・・・思いきり俺を突き飛ばせっ!!」
まだ、理性が残っているらしく自分から逃げるようにと宍戸に言う。だが、宍戸は全くも
って逃げようとはしない。
跡部、かなりキてるみたいだなー。でも、狼になった跡部に犯られてみるのもいいかも。
まさか、本当の意味で食べるってことはないだろうし。ちょっと、試してみっか。
宍戸は結構この状況を楽しんでいるようだ。だが、跡部は必死。まだ少し残っている理性
を必死に保ち、宍戸を何とかここから逃げさせようと言葉をかける。
「宍戸、さっさと抵抗しろ!!」
「俺、跡部になら食べられてもいいぜ。」
無邪気に笑いながら宍戸は言う。跡部の理性はもうほとんどないに等しかった。鋭い爪で
制服を切り裂き、首筋に口を持ってゆく。
宍戸のアホ!!もうどうなっても知らねぇからな!!
「跡部・・・」
跡部の首に腕を回して、宍戸は誘うような声で名前を呼ぶ。宍戸は全くと言っていいほど
今、どれだけ自分が危険な目にあおうとしているかを理解していないのだ。
わあ、跡部の奴、どうすんだろ?ちょっと、これはすごい初体験かも。
「んんっ・・・あっ・・・はぁ・・・」
思った以上に跡部の攻め方はいつもより早く、次から次へといろいろなことをしてくる。
ズボンや下着も初めの方にすっかり剥ぎ取られてしまい、今はもう何も着ていないという
状態だった。跡部はまるで餌にしゃぶりつくように宍戸の茎を咥え、なかなか離そうとし
ない。
「あっ・・・跡部・・・やぁ・・・」
金色の髪を掴み、宍戸は抑えきれない声を漏らす。跡部はちらりと目線だけを上に向け、
何も言わずにその行為を続ける。
何かここまで夢中になってヤラれるのって、珍しいよなー。いつもは何かしら恥ずかしい
こと言いながらすんのに。でも、これはこれで悪くはねぇな。
「ああっ・・・はっ・・ん・・・・あ・・とべ・・・もっ・・・」
ドクンッと跡部の口の中に熱を放つ。跡部は本当に美味しいというような表情でそれを飲
み干した後、唇についたその蜜を舌で舐め取った。宍戸はその仕草にドキドキさせられる。
「あ・・・はぁ・・・」
「宍戸・・・。」
満足気な声を漏らし、跡部は宍戸の唇に自分の唇を押しつける。軽く舌で唇をつつき、隙
間を作らせるとそこから舌を滑り込ませ、口の中を弄った。
「ぅんん・・・ん・・・んぅ・・・・」
宍戸は自ら舌を絡ませようとしたが、いつもとはあまりにも違いすぎる口の中の様相に驚
き、それは出来なかった。いつもなら尖っているはずのない歯がほとんどと言っていいほ
ど鋭くなっていて、うかつに舌を入れることが出来ないのだ。なので、ほぼ一方的にされ
るだけという状況。
「ふ・・・ぅ・・・・んんっ・・・はっ・・・あ・・・」
跡部の口の中、怖ぇー。マジで牙だらけだ。こんなんで噛まれたら相当痛いだろうな。
そんなことを考えながら、宍戸は跡部のキスを堪能する。いつもより少々荒っぽい感じは
するが、気持ちよくなるには十分過ぎるものだった。
「ハア・・・ハァ・・・」
「お前、すごい美味そう・・・全部、食っちまいてぇ・・・。」
跡部は肩に唇をつけた。そして、ゆっくりと口を開く。
えっ・・・跡部、まさか・・・!?
「いっ・・・ああっ・・・!!」
跡部はその鋭い牙で宍戸の肩に噛み付いた。いつもならそれほど痛みは走らないのだが、
今回は勝手が違う。跡部からすれば、ほんの少し噛み付いただけなのだが、その部分から
じわじわと血が滲んでくる。
「あっ・・・跡部っ・・・痛い!・・・ああっ・・・」
宍戸は痛みから目に涙を浮かべて、必死で跡部にしがみついた。跡部はそんなことお構い
なしにその肩の傷口から出ている血を舐め取る。
うわっ、何だよこれ!?血ってこんなに美味かったか?俺、マジで狼になっちまってるな。
「うっ・・・痛っ・・・やだぁ・・・」
「はぁ・・・宍戸、ヤバイ。」
「何だよぉ・・・マジで痛いんだから・・・そこ弄るのヤメロよぉ・・・」
「ゴメン。止めらんねー。今、腹減ってんだ。」
跡部は血を舐めるのを止めようとしない。朝から何も食べていない跡部にとってはそれは
あまりにも美味しくて、くせになる味だったのだ。
「んっ・・・あっ・・・跡部・・・」
「宍戸、超美味いぜ。」
断続的に痛みを与えられたため、宍戸はもうそれが痛いのかどうなのかが分からなくなっ
てしまった。もとからMっ気があるのでそれが気持ちよくも感じられるようになってしま
ったのだ。
俺ってやっぱマゾだよなー。こんなんでも感じちゃってんよ。ヤッベー。
「宍戸、もうそろそろ繋がりてぇ。」
「そう・・・だな・・・」
んっ?でも、ちょっと待てよ。跡部って確か爪も狼っぽくなってたよな?そんなで慣らさ
れたら絶対切れる!
「ちょっ・・・ちょっと待て跡部!!」
「何だよ?」
「お前、確か爪も狼になってたよな?」
「・・・ああ、そうだな。」
跡部は自分の手を見て頷いた。
「そんな指で慣らされたら、絶対中切れちまうよ。」
「そっか。じゃあ、慣らさねぇで挿れるか?」
「アホ!!それじゃあ、変わんねぇだろ!」
「じゃあ、どうすんだよ?」
二人はしばらく黙って考えた。だが、その間にも体は疼いてくる。跡部は早く挿れたいと
思ってるし、宍戸も早く挿れて欲しいと思っている。宍戸は一つだけ解決策を見つけてい
たが、それはあまりにも恥ずかしくて跡部になかなか言うことが出来ない。だが、そのう
ち何もされないのが耐えられなくなって、跡部に抱きつき、それを言おうを決めた。
「跡部ぇ・・・・」
「どうした?つーか、この後どうすんよ?」
「あのな・・・」
宍戸は顔を真っ赤に染めながら、そのことを跡部に話す。跡部はああそれならと頷いて、
了解した。それは、跡部にとってはなかなかオイシイことであった。
「じゃあ、俺が舐めてやるよ。」
跡部は宍戸の手を取り、指を舐め十分に濡らした。そして、顔を下の方へ埋め、まだ閉じ
ている蕾に口をつける。
「あっ・・んん・・・」
その甘い感覚に宍戸は誘うような吐息を漏らした。跡部はピチャピチャと音を立てて、ゆ
っくりと蕾を濡らしていく。
「やっ・・・跡部っ・・・・」
「もうそろそろ入るんじゃねーの?」
跡部は宍戸の指を濡れてきている蕾へと導く。跡部に促され、宍戸は自分の指を疼き始め
ているそこへ差し込んだ。
「くっ・・・うん・・・・」
「2本・・・根元まで入ったら俺のを挿れてやる。まあ、俺も手伝うけどな。」
うわあ、自分で言ったもののこりゃメチャクチャ恥ずかしいな。でも、跡部に挿れて欲し
いし・・・。ここは我慢して、やらないと・・・・
「ふっ・・・あぁんっ・・・」
「いい光景だぜ。こんなの見れるとは思ってなかった。」
「あっ・・・ふぁ・・・くぅんっ・・・」
自分で自分のバックを跡部の前で弄るとは思っていなかったので、宍戸はかなりの羞恥を
感じていた。それに追い打ちをかけるように跡部はさっきのように宍戸の開きかけている
花弁を舐め続ける。そのおかげでまだ少しキツそうではあるが、2本の指をしっかりとそ
こは飲み込むことが出来た。
「お前さ・・・・」
「な・・・何だよ?・・・跡部・・・んんっ・・・」
「こういうふうに自分で弄くるの初めてじゃねーだろ?」
「っ!!」
跡部が物凄く恥ずかしいことをさらっと言うので、宍戸は顔を一気に紅潮させる。実際、
跡部の言ったことはあっているのだ。
「そ・・・そんなこと・・・どうでもいいじゃんか!」
「へぇ、やっぱ本当なんだ。お前、意外とすごいことしてんだな。」
「ウルセー!!・・・お前が・・・いつも後ろばっか弄るから・・・・前だけじゃもの足
んねーんだよ・・・・」
って、何言ってんだよ俺!!マジメに認めてどうすんだ!!あー、もう恥ずかしくて手が
動かせねぇ。つーか、もうそろそろ平気だよな?
「跡部・・・もうそろそろ・・・・いいよな?」
「あーん?大丈夫なのか?」
「たぶん・・・・」
「じゃ、挿れるけど、この後俺がどうなるかは知らねぇぞ。」
「は?それどういう意味・・・・んっ・・・ああっ!」
跡部は宍戸を四つん這いにさせ、後ろから一気に突いた。狼になってるので、この体位が
一番しっくりくるらしい。
「あっ・・・いっ・・・跡部っ・・・痛いっ・・・!」
「キツ・・・やっぱ、慣らしが少し足りねぇな。」
やっぱ、跡部が無駄に指で弄ってくるのって意味あったんだ。う〜、それにしてもキツい
〜。
少しキツいが跡部はなるべく宍戸が痛くないように、ちょっとずつ動いていく。宍戸はそ
れに便乗して腰を揺らす。
「あん・・・ふっ・・・んんっ・・・」
「宍戸・・・もうちょっと力抜けるか?」
「う・・ん・・・やってみる・・・」
宍戸は緊張している筋肉からなるべく力を抜くように心掛けた。一瞬、緊張が緩まったの
を感じると跡部は一気に最奥まで自分を挿れる。
「うあっ・・・ああ――っ!!」
「はっ・・あっ・・・全部入ったな・・・。」
「やっ・・・ああ・・・跡部っ・・・あとべ・・・」
熱くなった塊が何度も奥を掻き回すので、宍戸の意識はだんだんと虚ろになっていく。全
身の力が抜け、上体がシーツの上に崩れ落ちる。それに被さるように跡部も身体を倒した。
「んっ・・・はぁ・・・宍戸っ・・・」
「跡部・・・?」
いつもならこんな声は上げるはずのない跡部が、耳元で気持ちよさそうな声を漏らす。宍
戸はその声にも感じてしまい、さらに高みへと追いつめられてゆく。
跡部がこんな声出すなんて珍しいー。あー、でも、こんな耳元でされると余計に興奮して
きちまう・・・。
「うっ・・・んあっ・・・跡部・・・・イイっ・・・」
「宍戸・・・くっ・・は・・・」
「もっと・・・奥まで・・・はぁんっ・・・」
「最高だぜ・・・宍戸。」
「跡部・・・好き・・・好きだ・・・ああっ・・・」
「俺も・・・んっ・・・くはっ・・・宍戸っ!!」
跡部が息を乱し、名前を呼ぶのと同時に、宍戸は最奥が濡れていくのを感じた。前など全
く触られていないのに宍戸は熱い飛沫を迸らせる。
「ああっ!!あと・・べぇ・・・・」
目の前が真っ白になり、宍戸はグッタリとシーツに顔を埋める。跡部も宍戸の上で力なく
身体をうつ伏せに横たわらせた。
それからしばらくして、宍戸は重い体を持ち上げ、跡部の方を見た。
「跡部、大丈夫か?」
「あーん?それはこっちのセリフだろ。お前、肩の噛み傷大丈夫かよ。」
「ああ。これは別に全然平気だけど・・・あれ?」
「どうした?」
宍戸は跡部に関して重大なことに気がついた。さっきまであった大きな耳や尻尾がなくな
っているのだ。
「お前、元に戻ってるぜ。ほら、爪も普通に人間のだ。」
「マジで!?」
跡部は慌てて、鏡の前に立った。宍戸の言う通り耳も尻尾も消えていて、牙や爪もなくな
っている。跡部は宍戸のところに戻り、嬉しそうな笑顔で抱きついた。
「よかった。元に戻れたぜ。お前のおかげだ宍戸。」
「何か今日の跡部ガキっぽいぞ。感情むき出しっつーのかな?いつもの跡部と違うー。」
「別にいいじゃねーか。お前の前だからこういうふうになれんだよ。」
「そうかよ。それより服とか着た方がいいんじゃねぇ?まだ、風呂にも入ってないし。」
「そうだな。っとその前に。」
跡部はさっき自分がつけた噛み傷をペロペロと舐め始めた。宍戸は痛みから一瞬顔をしか
めたが、その表情がだんだんと驚きの表情に変わっていく。
「あ・・跡部・・・。」
「どうした?やっぱ痛むのか?」
「違ぇーよ。傷口見てみろよ。」
さっきまでくっきりと残っていた歯型が跡部が舐めたことによって、すっかり消えていた。
跡部から狼の特徴が消えたように傷も何故か消えてしまったのだ。
「何か信じらんねーことばっかだな今日は。」
「ああ。何で一日とはいえどもあんな姿になっちまったんだろ?」
「心の中が投影されたんじゃねーの?お前の頭ん中本当狼みたいだもんな。」
宍戸は笑いながら跡部に言った。跡部はそれも一理あるかもなあと妙に納得してしまう。
「案外そうかもな。犯ったら元に戻ったし。俺、そんなに欲求不満なのかな?」
「どうだろうな?まあ、直ったんだからもういいんじゃねーの?」
「宍戸、今日も泊まっていくだろ?」
「もちろん。いいよな?」
「当然だろ?じゃ、夕飯食いに行こうぜ。」
「ああ。」
パタパタと階段を下りながら、二人は笑顔で話す。今日もいつもと変わらない夜を過ごす
ようだ。
一時はどうなるかと思ったけど、何とか元に戻れてよかったぜ。やっぱ、宍戸はすげーよ
な。でも、何て単純な戻り方だろ・・・。
END.