Mellow darkness

リクエスト内容『最初はすれ違っちゃってるけど最後は
ラブラブな跡宍(18禁)』

「あっ・・・」
部室のドアのところに立っている跡部に気づき、宍戸は固まってしまう。今の状況で跡部
が来るのはマズイ。心底マズイ。別にやましいことをしているわけではないのだが、今の
状況はそうとられてもおかしくない状況であった。
「・・・宍戸、これはどういうことだ?」
「えっと・・・これは・・・」
下手に言い訳じみたことを言えば、より跡部を怒らせる。それが分かっているために宍戸
は今の状況を言葉で説明することが出来なかった。事の発端はほんの30分前。鳳が相談
があると言って、宍戸を部室に呼び出した。その相談内容は、滝と喧嘩をしてしまってど
うすればよいか分からないというものだった。宍戸は真剣に相談に乗ってやり、そのおか
げで、解決の糸口は見えていた。感謝の意を込めて、鳳はふざけて宍戸に抱きついたのだ
が、それがよくなかった。滝と喧嘩をしていたことで夜も眠れなくなってしまっていた鳳
は、あろうことかそのまま眠ってしまったのだ。宍戸は必死で起こそうとしたのだが、相
当寝不足だったようで完璧に熟睡してしまっている。そして、今の状況に至る。
「どういうつもりだ?アーン?」
跡部は人一倍独占欲が強く、嫉妬深い。こんな光景を見られてしまったら、怒られないわ
けがない。宍戸は怒られる覚悟を決めて、とにかく黙っていた。
「・・・・・。」
しかし、それが跡部の癪に障ったらしい。無理矢理鳳を引き剥がすと、跡部は宍戸の腕を
掴み、どこかへ引っ張ってゆく。その力の強さは、宍戸がどんなに全力で抵抗しても敵わ
ないようなもので、どれだけ跡部が怒っているかを顕著に表していた。
「痛っ・・・」
「今日はテメェを家に連れて帰るぜ。いいな!」
嫌だと言っても連れて行かれるのだろうと思いながら、宍戸は特に大きな抵抗もせずに、
素直に跡部に従う。今回は自分の責任であるが、やましいことは本当にしていない。それ
は跡部も分かってくれるだろうと思い、宍戸は文句も言わず、跡部に引っ張られていった。
バタンっ!!
大きな音を立て、跡部は部室のドアを閉める。その音でようやく鳳は目を覚ました。さっ
きまでいたはずの宍戸がいない。そのことに気づき、まだ眠気の残る体を起こし、部室を
出る。少し先に、跡部にどこかに連れて行かれる宍戸の姿を見つける。そして、先程のこ
とを思い出し、これは跡部に大きな誤解を与えたということに気づいた。
「大変だ!」
鳳は慌てて二人を追いかけようとしたが、もう二人の姿は見えるところにはなかった。ど
うしようかと慌てていると、ちょうど滝から電話が来る。
「もしもし、滝さん?」
『あ、うん。この前のこと俺が悪かったなあと思って謝ろうと思ってさ。』
「それは俺も悪かったです。ゴメンナサイ。それより、大変なんです!!」
『どうしたの?そんなに慌てて。』
「俺、滝さんと喧嘩しちゃってどうしようかってことを宍戸さんに相談してたんですよ。」
『うん。それで?』
「滝さんと仲直り出来そうなめどがついて、冗談で宍戸さんに抱きついたら、俺・・・そ
のまま寝ちゃったんです。ここのところ全然寝てなくて。」
『あー、そうなんだ。まあ、確かに大変だけど、そこまでのことかな?』
「それを跡部さんに見られちゃったらしくて。宍戸さん、跡部さんにどこかへ連れて行か
れちゃいました。」
そこまで聞いて、鳳が慌てている理由を理解する。そんな状況に出くわしたら跡部は確実
に誤解を含んで事を受け止め、宍戸に対して怒りを抱く。確かにそれは大変だと思う滝で
あったが、平然とした様子で鳳に言葉を返す。
『んー、でも、誤解だったらちゃんと宍戸が言うんじゃない?』
「えっ?」
『別にそういう気持ちがあってしたわけじゃないんでしょ?長太郎も。それを宍戸は分か
ってるわけだし。たとえ跡部が怒ってたとしても、自分で誤解を解くんじゃないかな?』
「確かに・・・そうですよね。」
『だから、二人のことは別に放っておいても大丈夫だって。それより、これから会える?
ちゃんと会って話したいなあと思うんだけど。』
「はい、大丈夫ですよ。どこで会います?」
『長太郎は今、どこにいるの?』
「部室の前です。」
『じゃあ、俺がそっちに行くよ。ちょっと待ってて。』
「分かりました。」
跡部と宍戸のことは大変だと思ったが、滝の言葉で鳳はそれほど気にしなくなっていた。
しかし、二人が思っているほど、跡部と宍戸は簡単に誤解が解けるような状態ではなかっ
た。

半強制的に跡部の家へと連れて来られた宍戸は、ベッドの上に乗せられていた。相当跡部
は怒っているようで、黙ったままネクタイで宍戸の手首を縛り上げた。
(あー、絶対跡部誤解してんよ。ちゃんと誤解解かねぇと・・・)
「あ、あのな、跡部・・・」
「今更言い訳か?」
「違うって!マジで俺の話聞い・・・」
宍戸が言葉を言い終わる前に、跡部はその口を自分の唇で塞ぐ。いつもより多少乱暴なキ
スに宍戸はすっかり気勢をそがれてしまう。
「ん〜っ・・・んっ・・んんぅ・・・」
「今日は絶対手加減しねぇ。俺様が満足するまで、テメェが俺のことしか考えられなくな
るまで、やめねぇからな。」
今のままで何を言っても無駄だと感じた宍戸は、とりあえず跡部が満足するまで好きにさ
せようと考えた。手首は縛られているものの、それほどひどいことはされないだろうと思
っていた。しかし、その考えは甘かった。
「ひあっ・・・ああっ・・・くぅ・・んっ!!」
「イイ声で鳴くじゃねぇか。でも、俺を満足させるにはまだまだだぜ。」
「ああっ・・・跡部っ・・・はぁ・・・ひぅんっ!!」
制服はすっかり脱がされ、弄り回され完全に立ち上がっている茎には真っ赤なリボンが結
ばれている。イクことを許されないまま、宍戸は体中の敏感な部分を弄られる。
「跡部っ・・・やっ・・もう・・・ああ――っ!!」
「随分よさそうじゃねぇの。俺はこんなにイライラしてるってのによっ!」
いつもなら嫌になるほどいやらしく笑っているのに、今回は全く笑みが顔から消えている。
やはりさっきのことが原因だろうと思いつつ、今の状態ではそんなことも言い出せない。
「ハァ・・・跡部っ、あっ・・・あぅっ・・・!」
イキたいのにイケない状態が続き、宍戸はがくがくと身体を震わせる。そんな宍戸に追い
うちをかけるように、跡部はまだほとんど慣らしていない蕾に自分自身を突き入れた。
「ひっ・・・ああ――っ!!」
「キツ・・・」
「ああぁっ・・・あっ・・・ひぁ・・・」
痛みと快感の入り混じる感覚に宍戸はボロボロと涙をこぼす。しかし、何故か跡部に対し
て怒りのようなものは全くと言っていいほど感じなかった。これは自分が憎いからしてい
ることではない。自分を好きすぎるからしてしまっているのだと、宍戸はギリギリ保って
いる意識の奥底で考えていた。
(こんなことされてんのに・・・嫌じゃねぇんだよな。痛ぇのはちょっとアレだけど、跡
部でいっぱいな感覚は悪くねぇかも・・・)
いつの間にか宍戸の蕾はいつも通りに跡部を受け入れ、跡部の動きをスムーズにさせてい
た。自由に動けるようになれば、跡部は容赦なく宍戸の中に自分自身を打ちつける。
「テメェは俺のもんだ!他の奴らが触っていいもんじゃねぇっ!!」
「ハァ・・・あっ・・・あ・・ああっ・・・!!」
「なのにっ・・・くそっ・・・」
ここまで嫉妬深いのもどうかと思いつつも、宍戸は心の奥でほのかな嬉しさを感じていた。
しかし、その気持ちは言葉にならず、当然跡部に伝わることもない。イライラ感を募らせ
ている跡部は、その怒りを全て放つかのように宍戸の中に熱い想いを解き放った。
「ふあっ・・・!?」
「宍戸っ・・・」
「ああっ・・・ああぁんっ!!」
跡部の熱が内側にたっぷりと注がれる感覚に、宍戸は今までにない絶頂感を感じるが、リ
ボンでしっかりと熱の塊が結ばれてしまっているために、出すべきものを出すことが出来
ない。さすがにこれ以上は我慢出来ないと、泣いて跡部に懇願した。
「ハァ・・・跡部っ・・・お願っ・・・リボ・・ン・・・取ってぇ・・・」
「・・・ダメだ。」
「お願いっ・・・跡部・・・跡部ぇ・・・!!」
あまりに辛そうに宍戸が泣くので、跡部は胸が痛くなってきた。しぶしぶリボンに手をか
け、しゅるっとそのリボンを解く。しかし、ただ外すだけでは納得がいかないと、跡部は
宍戸の首元に思いきり歯を立て、くっきりと自分のものであるという証をつけた。
「いっ・・く・・・ああ―――っ!!」
痛みと快感が同じくらいに感じられ、宍戸は今まで出せなかった蜜をたっぷりと放った。
次の瞬間、跡部のモノがずるっと内側から抜けるのを感じる。
「あっ・・・ぅ・・・」
宍戸の中から自身を引き抜くと、跡部は宍戸の身体を反転させ、四つん這いのような格好
にさせた。そして、再び自分自身をあてがう。
「まだまだ俺は満足してねぇからな・・・」
多少の恐怖はあったが、宍戸は首を振るということはしなかった。跡部のすることをとに
かく黙って受け入れる。その態度が跡部にとっては、よりイライラさせる要素になってい
た。悪いことをしていないならこんなことを受け入れる必要はないはずなのに、宍戸は全
てを受け入れている。それがどうしようもなく悔しくて、焦燥感をかきたてられ、心の中
に拭いがたい不安を生み出してゆく。それを誤魔化すかのように跡部は、何度も何度も激
しく宍戸を攻め続けた。

次の日、様子がおかしかったのは、散々攻められ身体中に跡をつけられた宍戸の方ではな
く、それをした張本人である跡部の方であった。そのおかしさは誰が見ても分かるもので
あり、忍足や岳人はあまりの跡部の変わりっぷりに恐怖さえも覚えていた。
「宍戸、宍戸、跡部何があったんだよ?」
「せや、あないにへこんでる跡部見たことないで。」
「あー、たぶんそれ、俺のせい・・・」
昨日跡部に噛まれた傷に手を当てながら、宍戸は苦笑いをしながらそんなことを言う。宍
戸がその部分に手を当てたことで、岳人と忍足は宍戸の首に包帯が巻かれているのに気づ
いた。
「その首どうしたんだよ?」
「んー、まあ、いろいろあってな。」
「いろいろって・・・んっ?宍戸、手首んとこ何や痣みたいに赤くなっとるけど。」
「うわっ、本当だ!これは気づかなかった。」
昨日かなり強くネクタイで縛られていたので、その跡が残ってしまったらしい。ここまで
くっきり残っているとは思わなかったので、宍戸自身も驚く。
「宍戸、跡部と喧嘩したのか?」
「喧嘩っつーか・・・誤解っつーか・・・」
「誤解?どういうことやねん?」
「あー、昨日な、長太郎が滝と喧嘩したって相談乗ってやったんだよ。で、長太郎相当寝
不足だったらしくてさぁ、冗談で俺に抱きついてきたんだけど、そのまま寝ちゃったんだ
わ。俺の力じゃ剥がせなくてよ、そのままなところを跡部に見られた。」
『うわあ・・・』
それはお気の毒にと二人は同時に声を上げる。しかし、それと跡部があそこまでへこんで
いるということは直接繋がるものではない。
「でも、それだけで、跡部のヤツそこまでへこむかなあ?俺はそう思えねぇんだけど。」
「せやな。俺もそう思うわ。」
「その後な、俺、跡部に拉致られてさ、跡部の家に連れてかれた後はもうすごかったぜ。
誤解を解くどころじゃなかった。まあ、跡部が怒って何をしたかは想像に任せるぜ。」
そんな状況を見た後で、跡部がどんな行動に出るかは容易に想像がつく。それが首の包帯
や手首の跡の理由かと、岳人と忍足は納得する。
「なるほどな。でも、それやったら、へこんだり元気がなくなるのは宍戸の方なんちゃう
ん?誤解されたまま、そないなことされて。」
「確かに今日は身体中ぎしぎしするし、腰も痛ぇし、大変なんだけどよ、跡部がそういう
ことしたのって、俺が嫌いだからじゃねぇじゃん?そう思うとさ、何か単純に嫌な気分に
はなれねぇんだよな。」
「で、宍戸が平気な理由はいいとして、跡部は何であんなにへこんでんの?」
聞きたいのはそこだと岳人は宍戸の言っていることをさらっと流す。そこを流すのかと岳
人につっこみたい気持ちを抑えつつ、忍足は何も言わずに、宍戸の答えを待った。
「何か・・・罪悪感みたいなの感じてるっぽいぜ。でも、俺に対して怒ってる気持ちもま
だ消えてねぇみたいだからさ、それでイライラして、でも、ただイライラしてるだけじゃ
ねぇからあんなになってんだと思う。」
「何でそう思うん?」
「この首の包帯してくれたの跡部だし、終わった後も俺がきつくならねぇようにちゃんと
後始末もしてくれたし、俺がほとんど意識なくしかけてるとき、すっげぇ泣きそうな顔で
抱きしめてきたし・・・」
「そこまで分かってるなら、何でちゃんと誤解を解かねぇんだよ?さっきの話すれば、跡
部だって安心するだろ。」
それはもっともだと忍足も頷く。それを聞いて、宍戸は大きな溜め息をついた。
「聞いてくんねぇんだよ。何度も言おうとしてるんだけどさ。」
「あー、跡部ならありえるな。」
「確かに。じゃあ、鳳とか滝に話してもらったらええんちゃう?元はと言えば、その二人
のせいなんやろ?」
忍足の言葉を聞いて、宍戸はハッとしたような顔になる。それは気づかなかったと、早速
二人にメールを送った。
「そっか。そうしてもらえばよかったんだ。全然気づかなかったぜ。」
「まあ、昨日の今日だしな。あっ、宍戸、メール返ってきたみたいだぜ。」
「本当だ。おっ、二人とも跡部に話しつけてきてくれるってよ。」
「よかったやん。これで、誤解は解けるやろ。」
二人が本当のことを話してくれて、誤解が解けるのを期待しながら、宍戸は岳人と忍足と
他愛もない話をし続けた。

しばらくすると、三人がいる部室に跡部がやってきた。部室に入ってくるなり、跡部は宍
戸のもとまでつかつか歩いてくる。そして、昨日と同じように宍戸の腕を掴んだ。
「何?跡部。」
また昨日のように連れ出されるかと思っていた宍戸だったが、跡部の行動は違った。ぐい
っと自分の体の方へ引き寄せ、ぎゅうっと宍戸を抱きしめる。
「わわっ、跡部っ・・・ちょっ・・・」
岳人や忍足がいるまで、まさかこんなことをされるとは思っていなかったので、宍戸は慌
てるような素振りを見せる。しかし、跡部は全くその腕を緩めようとはしない。
「・・・っ・・た。」
「えっ?」
耳元で跡部が何かを囁いているが、ハッキリと聞き取れない。もう一度言って欲しいとい
うニュアンスを含んで聞き返すと、今度はよりハッキリとした言葉が耳元で響く。
「悪かった。」
今度はハッキリそう聞き取れた。その言葉を聞いて、宍戸は誤解が解けたんだなと安心す
る。
「別に気にしてねぇよ。もとはと言えば俺が悪ぃんだし。」
「いや、悪いのはテメェじゃなくて滝と鳳だ。だが、そんなことに気づかねぇであんなこ
としちまった俺が一番悪ぃ。」
跡部があまりにも素直に自分の非を認めるのを聞いて、そこにいた岳人と忍足は驚く。跡
部がここまで真剣に人に謝っているのは見たことがない。
「すっげぇ。あの跡部が素直に謝ってんよ。」
「さすが宍戸やな。でも、よかったんちゃう?誤解も解けたみたいやし。」
「ただここまで見せつけられると、ちょっと腹立つけどな。」
「そこは仕方ないやろ。大目に見てやり。」
目の前で仲直りされるのは別に嫌な気分ではないが、ここまであからさまに見せつけられ
ると多少の羨ましさを感じる。とりあえず、誤解は解けたようだしと、岳人と忍足はホッ
としたように笑った。
「宍戸、今日もテメェを家に連れて帰るぜ。」
「またかよ。」
「昨日の詫びをしなきゃなんねぇからな。来るだろ?」
「しょうがねぇなあ。」
また今日も跡部の家に泊まるのかと苦笑しつつ、宍戸は跡部の提案を受け入れる。誤解を
された状態とそうでない状態では、全く心持ちが違う。今日はもっとお互いに楽しいこと
が出来るだろうと宍戸の胸には嬉しさが込み上げていた。

昨日と同じように宍戸は跡部のベッドの上に乗せられている。しかし、今日は夕飯を食べ、
しっかりシャワーを浴びて、十分に落ち着いた状態である。跡部の表情も昨日とは比べ物
にならないほど穏やかであった。
「昨日はマジで悪かったな。本当反省してる。」
「もうそのことはいいって。誰にだって誤解はあるし、まして跡部じゃな。あんなん見た
らそう思っちまうのは仕方のねぇことだろ。」
「どうしてテメェは怒ってねぇんだ?いつもなら殴り合いになるくれぇに怒るだろ。」
「んー、何かさ、あそこまであからさまにヤキモチ焼かれて、あんなことされるとさ、逆
に俺って愛されてんなーって思えてきてよ。それが結構嬉しくて、ムカツクとかそういう
気分じゃなくなっちまった。」
照れるように笑いながら宍戸はそんなことを言う。そんな宍戸がどうしようもなく愛おし
く感じられ、跡部は宍戸の身体を愛情を込めて抱きしめた。昨日の跡部には感じられなか
った優しさが触れ合うところからひしひしと伝わってくる。それが心地よくて、宍戸は自
らも跡部の背中に腕を回す。
「なあ、宍戸。」
「ん、何?」
「今日もしてぇ。昨日の抱き方は俺的に納得いかねぇ。テメェのこと何にも考えられなか
ったし、俺も結局気持ち的には満たされてなかったからな。」
「昨日もして今日もすんのか?」
「やっぱ、キツイか?キツイんだったら無理強いは・・・」
「いいぜ。」
跡部の言葉を遮るように宍戸はキッパリと言い放つ。宍戸の言ったことが信じられず、跡
部は聞き返すような言葉を発した。
「えっ・・・?」
「俺だって、昨日の抱かれ方には納得いってねぇよ。今日はちゃんと俺のこと考えて、最
高に気持ちよくさせてくれよな。」
ニッと笑ってそう言う宍戸に、跡部の心はじんわりと熱くなる。愛しさと嬉しさが跡部の
胸を熱くさせる。今日は存分に優しくしてやろうと心に決め、跡部は宍戸に熱のこもった
口づけを施した。

お互いに唇を重ね合わせてからもう何分経ったであろうか。何度も何度も角度を変え、二
人はお互いの蜜の味を存分に味わう。
「ん・・・んぅ・・・ふ・・はぁ・・・」
どちらとも分からない透明な蜜が二人の喉を潤してゆく。舌を絡め、口内をなぞり、溢れ
る蜜を喉を鳴らして飲み込む。その感覚はどちらにとっても、これ以上なく心地のよいも
のであった。
「ん・・はぁ・・・跡部・・・」
唇が離されると、宍戸は甘い声で跡部の名を呼ぶ。そんなふうに名前を呼ばれるのに心地
よさを感じながら、跡部は宍戸の着ている服のボタンを外し、あらわになった胸の飾りに
キスをする。
「あっ・・・!」
「昨日はあんまりここは可愛がってやれなかったからな。今日は存分に可愛がってやるぜ。」
ちゅっと軽く吸い、舌の先で転がす。そんなことを繰り返していると、宍戸のそれはすぐ
にぷっくりと立ち上がり、赤く充血した。口に含んでいない方の突起は指先で転がし、時
折きゅっと摘み上げる。両方の突起に絶妙な刺激を与えられ、宍戸はその快感に身を震わ
せる。
「はぁ・・あっ・・・ん・・・」
「どうよ?気持ちいいか?」
「んっ・・うんっ・・・気持ち・・イイ・・・」
「だったら、テメェがもういいって言うまで弄ってやるよ。」
ニヤリと笑って跡部は、繰り返し宍戸の胸の突起を弄る。ちゅっちゅと音を立てて吸った
り、軽く爪を立てたりと様々な仕方で跡部はそれに刺激を与えた。そのたびに宍戸の身体
はビクンと震え、口からは濡れた吐息と甘い喘ぎがこぼれる。
「あんっ・・・あっ・・・んんっ・・・」
「テメェのこれ、コリコリしてて真っ赤で、すげぇ可愛いぜ。こんなに可愛いと逆に苛め
たくなっちまうなぁ。」
意地悪くそう言うと、跡部はすっかり熟れた胸の突起を甘噛みする。そんな刺激に宍戸は
今までになく高い声を上げる。
「いっ・・・あぁんっ!!」
「何だよ?これくらいの刺激の方がテメェにはちょうどいいのか?」
今まで指で弄っていた方の突起もカリっと噛んでやる。その瞬間、宍戸の身体がビクビク
と跳ねる。
「ああっ・・・やだっ・・跡部っ!!」
「嘘つくなよ。こんなに感じまくっといて、嫌はねぇだろ?」
宍戸が一番感じる甘噛みの強さを捉えると、跡部は規則的に両方の突起に歯を立てる。そ
んな跡部の責めに宍戸はすっかり乱されていた。
「あっ・・・ひぃんっ・・あっ・・ああ・・・」
「さあ、後何分耐えられるか試してみるか?俺は何時間でもここだけ弄ってられるぜ。」
「そんなの・・・やだぁ・・・」
「まあ、本気でそんなことはしようと思わねぇけどな。でも、そろそろキてんじゃねぇ?」
「んんっ・・・あぅっ・・・」
宍戸の中の快感がだんだんと高まってきていることに跡部は気づいていた。このまま続け
ていれば、それほど時間をかけずに宍戸は達するだろう。そんなことを考えつつ、跡部は
少し噛む力を強めながら、突起を責め続けた。
「あっ・・・んんっ・・・気持ち・・・イイ・・・あっ・・あっ・・・」
宍戸の身体の震えがだんだんと激しくなり、呼吸も次第に荒くなってゆく。そろそろ限界
だろうと思うところで、跡部は歯を立てつつ、思いきりそれを吸ってやった。その瞬間、
宍戸は跡部の髪を掴み、声を上げて天を仰ぐ。
「ああ――っ・・・!!」
宍戸がイッたのを確認すると、跡部は震える宍戸の唇に熱い接吻を施す。軽く息を乱しな
がら、宍戸は恍惚とした表情で、跡部の顔を見た。
「ハァ・・ハァ・・・跡・・部・・・」
「すっげぇイイ顔してるぜ、今。超エロい。」
「んなこと・・・ねぇ・・・」
「そろそろ下の方も弄って欲しいだろ?一回イッてるから、ズボンも脱がねぇと気持ち悪
ぃだろうし。」
確かにそれは間違っていないと、宍戸は跡部の言葉に頷く。これだけ素直なのもまた可愛
らしいなあと、跡部は宍戸の穿いているズボンと下着をパッと取り去った。
「恥ずかし・・・」
「今更だろ?そうだ、どうせだったらよ、一緒に気持ちよくなろうぜ。」
そう言うと跡部は宍戸の反応を見ていたことですっかり硬くなった自分自身の熱をも取り
出す。そして、宍戸のそれと重ね合わせるようにして、掌で包んだ。
「エロ・・・」
「宍戸も手伝えよ。ほら、手貸せ。」
「お、おう・・・」
跡部に言われるまま、宍戸も自分の掌で二人分の熱を包む。跡部が手を動かし始めたので、
宍戸もそれに合わせ、手を動かす。跡部のモノと触れ合っているという感覚と、手で擦る
という刺激がたまらなく宍戸を興奮させた。
「ハァ・・・あっ・・・あぁ・・・んっ・・・」
「いいぜ、その調子だ。」
「跡部の・・・すげぇ・・熱ちぃ・・・」
「テメェのだって同じくらい熱いぜ。そうだ。テメェは後ろの方も慣らしとかねぇとな。」
「えっ・・・ちょっと・・・待っ・・・ひあっ!!」
どうせだったら後ろの蕾も慣らしてやろうと、空いている方の手を跡部は宍戸の後ろに回
す。そして、双丘の中心へ指を差し入れた。
「んんっ・・・これじゃ・・・俺のが先に・・・」
「大丈夫だ。ちゃんと二人で同時にイケるように調節してやるからよ。」
「ひぅっ・・・!!あ、跡部っ・・・中・・そこ・・・やあぁ・・・」
「ココだろ?おっ、テメェの蜜の方が少し多めに溢れてきてんな。」
「ひあっ・・・あぁ・・・ダメ・・・はあっ・・・」
跡部が内側の敏感なところばかりを中心に責めるので、宍戸はすぐにでもイってしまいそ
うなほどの快感を感じる。しかし、跡部はその絶妙なところで、宍戸がそうすぐにはイっ
てしまわないように刺激の仕方を調節していた。
「ほら、テメェもちゃんと手動かせよ。」
「だ、だって・・・そんなに擦ったら・・・イッ・・ちゃ・・・」
「テメェがイキそうになったらちゃんと根元を俺が押さえててやるから大丈夫だぜ。」
「やだ・・・そんなの・・・ひっ・・・指増やすなぁ・・・」
話している間も跡部は手を休めない。宍戸の蕾を早く自分のモノを入れられるまで慣らそ
うと中に埋め込んでいる指を一本増やした。二本の指で内側を掻き回され、宍戸はたまら
ず腰を揺らす。
「あふっ・・あっ・・・ひあっ・・・」
「そんなに腰揺らして、全く本当テメェは淫乱だよな。早くイキたいんだったら、ちゃん
と俺のも擦ってイカせてみろよ。」
「ハァ・・・あっ・・・んっ・・・んんっ・・・」
跡部にも早くイってもらおうと、宍戸は必死で手を動かす。しかし、そうすれば必然的に
自分のモノも擦ることになってしまう。後ろを掻き回される快感と前を擦っている快感が
相乗効果をもたらし、宍戸の絶頂感は着実に高まっていた。
「はあっ・・・跡部っ・・・もう・・・気持ちよすぎて・・・無理ぃ・・・」
「ハァ・・・仕方ねぇなあ・・・俺的には・・・もう少し楽しみたい気もするけどよ、残
りはテメェの中で楽しませてもらうぜ。」
「お願いっ・・・早く・・・」
「ああ。」
先端をぐりっと擦り、跡部は決定的な刺激を与える。何だかんだ言いつつも跡部もかなり
限界まで高まっていたので、宍戸とほぼ同時に達した。二人分の蜜が掌に絡み、何とも言
えぬやらしさを醸し出している。
「すげぇ、手、超べたべただぜ。」
「まあ、二人分だからな・・・つーか、跡部、一回イッてんのに、何でそんなにまだ元気
なんだよ・・・?」
ベタベタになってしまった手を見てドキドキしながら、宍戸は跡部のそれに目を落とす。
自分とほぼ同時に達したにも関わらず、その強度はほとんどさっきと変わっていなかった。
「これからテメェの中に入れなきゃいけねぇからな。後ろもだいぶほぐれてるし、入れて
も大丈夫だろ?」
「んっ・・・く・・・たぶん平気だとは思うけど。」
後ろを弄っていた指を抜かれ、宍戸の身体はピクンと震える。すっかりほぐされたそこは
何かで中を埋めて欲しいと指が抜かれた後も収縮を繰り返している。
「まずは正常位でいっとくか。」
ベッドの上に宍戸を仰向けに倒すと、跡部はぐいっと脚は開かせる。開いた脚の中心にあ
る蕾は跡部のことを誘っているかのようにひくひくと震えていた。跡部は思わずそれに見
入ってしまう。
「そ、そんなに見んなよっ!!」
「いや、マジで入れて欲しいと思ってんだなあと思ってよ。」
「そんなこと・・・思ってな・・ぃ・・・」
「でも、ここはそうじゃないみてぇだぜ?」
収縮する蕾に指を添え、その穴をぐいっと広げてみせる。その感覚にも宍戸は過敏に反応
する。
「やっ・・あ・・・広げんなっ・・・」
「赤くて綺麗だぜ。今からこの中にコレを入れるのかと思うとゾクゾクするぜ。」
やらしい笑みを浮かべながら、跡部は広げたそこに自身の熱をあてがう。次にくる感覚を
期待してか、宍戸の身体はビクッと震えた。そして、軽く勢いをつけると跡部は一気にそ
の楔を突き入れた。
「はぁっ・・・ああ――っ!!」
「くっ・・・まだちょっとキツイが悪くないぜ。」
「あっ・・あ・・・跡部っ・・・んっ・・・」
先程とは比べ物にならない質量の熱で内側を埋められ、宍戸はその感覚から激しく息を乱
す。その息遣いが跡部にはたまらず、もっと乱してやりたいという欲求が胸の内から生ま
れくる。
「動くぜ。」
「んんっ・・・はっ・・・ああっ・・・」
軽く腰をグラインドさせるだけで、宍戸は甲高い喘ぎ声を上げる。その声がもっと聞きた
くて跡部は何度も何度も宍戸の中を熱の塊で擦り上げる。
「ああっ・・・跡部っ・・ひっ・・ああ・・・!!」
「ハァ・・・イイ声で鳴くじゃねぇか。中、どんな感じか言ってみろよ。」
「跡部のが・・・熱くて・・・それが出たり入ったりすんのが・・・激気持ちイイ・・・」
「そうか。だったら、もっとしてやらねぇとな。こうされんの気持ちイイんだろ?」
ギリギリまで自身を引き抜き、宍戸の一番感じるところに狙いを定め、跡部はズドンと再
び中へと突き入れる。その感覚がたまらず、宍戸は跡部の背中に腕を回し、ガリッと爪を
立てた。
「ふあぁっ・・・ああっ・・・いっ・・・ああっ・・・!!」
「痛っ・・・フッ、やってくれるじゃねぇの。そんなにイイんだったら容赦しないぜ?」
爪を立てられるのは確かに痛いが、それは宍戸は激しく感じてくれている証拠だ。もっと
もっと乱してやろうと、何度も同じことを跡部は繰り返す。感じる部分を繰り返し突かれ、
宍戸は再び抗い難い絶頂感を感じる。
「はぁっ・・・跡部っ・・・も・・イクっ・・・あっ・・・ああ――っ!!」
「くっ・・・そんなに締められたら・・・俺もっ・・・」
宍戸が達した瞬間、跡部の熱はこれ以上ない力で締めつけられる。その刺激に耐えられず、
跡部も宍戸の中に熱い飛沫を放った。先程よりも長い絶頂感に宍戸は頭が真っ白になる。
しかし、跡部が甘く深い口づけを施してくるので、意識が飛んでしまうということはなか
った。身体も心も跡部でいっぱいになっている。そんな感覚が宍戸の全てを支配していた。
「ハァ・・・ハァ・・・・んっ・・・」
「ハァ・・・宍戸・・・」
「跡部っ・・・まだ、気持ちイイ感じ治まんねぇ・・・」
恍惚とした表情で宍戸はそんなことを呟く。そんなことを言われたら、跡部の熱は再び硬
さを取り戻してしまう。
「だったら、もっとその感じ、続けさせてやるよ。」
ずるりと自身を宍戸の中から引き抜くと、昨日と同じように跡部は宍戸の身体を反転させ、
膝と腕で自分の体を支えさせる。要するに、四つん這いのような体勢にさせたのだ。そし
て、先程放った蜜がこぼれてきている蕾に再び自身の楔を突き刺した。
「あっ・・・ああ――っ!!」
「俺の出したやつのおかげでさっきより動かしやすくなってんな。」
「やっ・・あぅ・・・中のが掻き回されて・・・熱ぃ・・・」
「もっと俺の熱を感じろよ。テメェの中を全部、俺で埋め尽くしてやりてぇ。」
「もう・・・十分・・・いっぱい・・・頭ん中も・・・身体ん中も・・・」
「いや、まだまだ感じられるはずだぜ。もっと奥の奥で俺を感じさせてやる。」
そう言うと、跡部は宍戸の身体を起こし、足の上に乗せるようにして座らせた。身体が起き
上がったことで、結合部に宍戸の体重がかかる。
「ああっ・・・跡部のが・・・奥まで・・・入ってくる・・・・」
「こっちの方がいいだろ?ちょっと動かしづらくはなるけどよ、奥の奥まで入るからな。」
「んんっ・・・あっ・・・マジで埋めつくされてるって・・・感じ・・・」
「宍戸、こっち向けよ。」
横を向かせる形で跡部は宍戸の頭をひねる。そして、すっかり濡れ、艶めいている唇に自分
の唇を重ねる。と、同時にベッドのスプリングを使い、宍戸の中を穿ち始めた。
「んんっ・・・ん・・ふぅ・・ぁ・・・んんっ!!」
ほんの小さな口の隙間から漏れる宍戸の声は、跡部に与えられる快楽に濡れていた。下も上
も隙間なく埋め尽くされ、宍戸はたとえようもない満足感を覚える。跡部は空いている手を
宍戸の熱に添え、腰を揺らすのに合わせ、上下に動かす。身体の内側から溶かされてしまい
そうな快感に、宍戸はこのまま時が止まってしまえばいいとも思った。
「んん・・・はぁ・・・跡部っ・・・もう・・・」
「ああ、俺も・・・」
少しの間離れた唇から限界を伝える言葉がこぼれる。もう一度唇を重ね合わせたその瞬間。
二人は幸せの絶頂の中で、熱い飛沫を迸らせた。

最低限必要な後始末を済ませた後、二人はまっさらなシーツの上で、横になっていた。昨
日は感じえなかった満足感が二人の心を満たしている。
「跡部。」
「何だ?」
「今日は、ちゃんと気持ち的にも満足出来たか?」
「ああ。もう十分すぎるほどな。テメェはどうよ?昨日の今日だし、結構キツイんじゃね
ぇか?」
「俺は全然余裕だぜ。昨日だって、気持ちよくなかったわけじゃねぇしな。」
「フッ、テメェはどんだけマゾっ気が強いんだよ?昨日のはどう考えたってねぇだろ。」
「うるせーな。相手が跡部だったら、どんな感じでされたってイイもんはイイんだよ。」
ちょっとばかり不機嫌な口調になりながら、宍戸はキッパリそう言い放つ。なかなか嬉し
いことを言ってくれると、跡部はふっと笑って宍戸の身体を自分の方へと引き寄せた。
「わわっ・・・何だよ?」
「いや、本当テメェは俺様のことが好きなんだなあと思ってよ。」
「それはテメェの方だろ!昨日も今日もあんなにたくさん俺の中に出しやがって。」
「別にいいだろ。テメェだってそれでよくなれんだからよ。」
「確かにそうだけどよ・・・」
素直に認めてしまうところがまたツボだと、跡部は口元が緩むのを抑えられない。好きで
好きで仕方がないというこの気持ち。そんな気持ちが溢れて、跡部は宍戸を抱きしめたま
ま、その気持ちを言葉にした。それはごく自然に出てきたもので、なんの偽りも飾り立て
もない純粋な気持ちであった。
「好きだぜ、宍戸。」
心からの言葉は宍戸の心にも響く。いつもなら少し照れた様子であしらうような言葉を返
すのだが、今回はそんな気分になれなかった。そのかわりに、自分も心の底から感じてい
ることを口にする。
「俺も。俺も跡部のこと大好きだぜ。」
その言葉を聞いて、跡部は普段なら絶対に見せないような微笑みを宍戸に見せる。その笑
顔にドキッとしながらも、宍戸も同じように笑い返した。大好きな人と共にある幸せ。そ
んな幸せを噛み締めながら、二人はゆっくりと甘い眠りにつくのであった。

                                END.

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