Vanilla with Honey

リクエスト内容『もて過ぎる跡部様に、不安になってしまう宍戸さん
・・・最後は甘々ラブラブ(激裏)』

ただいまの時間は放課後。部活のない氷帝レギュラーメンバーの何人かは交友棟へやって
きていた。その中で非常に不機嫌極まりない顔をしている者が一人。ぶすーっとしながら、
テーブルに頬づえをついて黙りこくっている。
「どうしたんだよ?宍戸。」
「別にー。」
「何かあったの?部活がないから拗ねてるとか。」
「そんなんじゃねーよ。」
機嫌がよくないメンバーというのは宍戸だ。様子がおかしい宍戸を見て、岳人や滝は不思
議そうに声をかける。絶対何か理由があるはずなのだが、宍戸はそれを言おうとしない。
そうされると余計に何故こんな状態になっているのか気になってしまう。
「何か悩みがあるんだったら吐き出しちゃった方が楽になるよ。」
「そうそう。滝の言う通りだぜ。ほら、言っちゃえよ!」
「うるせーな。別に何でもないって言ってるだろ。」
そう言って宍戸は大きな溜め息をつく。滝と岳人は顔を見合わせて、首を傾げた。また、
跡部と喧嘩でもしたのかと思い、それを探るべく滝はちょっとした嘘をついてみる。
「あっ、跡部。」
「えっ!?」
跡部などいないのだが、ふとそんなことを口にしてみた。思った通り、宍戸はその言葉に
過敏に反応する。
「嘘だよ。何だ、また跡部絡みなの?」
「騙しやがったな!!」
「ひっかかるのが悪いんだよ。で、今回は何が原因で喧嘩したの?」
これはもう絶対喧嘩をしたんだなと思い、滝はそんなことを尋ねた。しかし、宍戸はまた
大きな溜め息をついて、一言呟く。
「喧嘩なんてしてねぇーよ。」
「そうなの?じゃあ、どうして・・・?」
「今日跡部とさ・・・」
『跡部と?』
宍戸の言葉を滝と岳人の二人は声をそろえて繰り返す。しばらくの間があったが、元気の
ない声で宍戸は言葉を続けた。
「・・・・一回も喋ってねぇ。」
「マジで?別に喧嘩とかしてるわけじゃねーんだろ?」
「ああ。」
「今日はそれほど選択授業がある日でもないよね?」
「そうだぜ。」
『じゃあ、何で?』
喋らない理由がないのなら、どうして喋らないのか。そんな疑問を滝と岳人は素直にぶつ
ける。一度口を開いてしまったら、もういいやと言わんばかりに宍戸はその理由を二人に
伝える。
「朝はな、どういうわけかファンの女子に囲まれてて入る隙がなかったし、授業は今日は
普通に座って受ける授業ばっかだったからよ、喋れねぇじゃん?昼休みは昼休みで告白さ
れに呼び出されて行っちまったし、今も何人かの女子が話があるとか言って連れてかれち
まってさぁ・・・」
「さすが跡部。」
「まあ、女子に人気があるのは今に始まったことじゃないからねー。でも、そこまで間が
悪いと確かにへこむよね。」
「はあー、もうマジでへこむし。」
跡部が女子に人気があるのは、宍戸も十分分かっているのだが、会ってはいるのに一度も
喋れないとなると、やはり落ち込んでしまう。絶対ないとは分かっていても、心のどこか
で跡部を取られてしまうのではないかという不安感もある。そんなへこみまくりの宍戸を
見て、滝と岳人は何かアドバイスは出来ないかといろいろ策を練ってみる。いろいろな意
見を出し合ったのだが、最終的には一番分かりやすく直接的な方法がいいのではないかと
いうことになった。
「だったらさ・・・」
「ん?何だよ?」
「取り返しにいきゃいいじゃん。跡部は俺のーみたいに。」
「そ、そんなこと出来るかよ!!」
「そこまでしなくていいからさ、跡部に話したいことがあるんだけどとか言って、連れ出
しちゃうとか。」
「うーん、それだったらまだ・・・」
「跡部と話したいんでしょ?跡部だって、宍戸のことが嫌いなわけじゃないんだし、そう
言ったら絶対宍戸の方に来てくれると思うよ。」
「そうそう。当たって砕けろー!!」
「砕けたくはねぇ・・・」
「大丈夫だって。跡部がどこにいるかは分かるの?」
「まあ、一応な。」
「じゃあ、早速行こうぜ!!」
滝と岳人に促され、宍戸はしぶしぶ跡部のもとへ行くことにした。こんなことをして、本
当に大丈夫なのかという不安を抱えつつも、跡部と話したいという気持ちはいまだに治ま
っていない。その作戦が成功するんだったらと、何とかやる気を奮い起こし、跡部のもと
へ足を運ぶ。

跡部のいるところまで行くと、跡部は5、6人の女子に囲まれ、楽しげに話をしていた。
そんな姿を見て、宍戸はチクリと胸が痛くなる。やっぱりやめようかと怖気づいていると
滝と岳人が背中を押す。
「大丈夫だって。」
「宍戸が思ってる以上に跡部は宍戸のこと好きなんだから。平気平気。」
「で、でもよ・・・」
「男ならうだうだしない!ほら、早く。」
「分かったよっ!!」
そこまで言うならと、宍戸は思いきって跡部に近づいて行き、話しかけようとする。声を
発する前に跡部は宍戸に気づき、話を中断した。
「あ、跡部っ。」
緊張で声が裏返りそうになる。宍戸は飛び出しそうなほど高鳴る心臓を必死で抑え、言葉
を続けた。
「ちょっと話したいことがあるんだけど・・・」
初めは意外そうな顔で宍戸を眺めている跡部だったが、その言葉を聞いてふっと口元を上
げる。そして、女子の輪から外れ、宍戸に向かって歩いてきた。
「どうした?宍戸。」
「ここじゃ、嫌だから・・・他のとこ行く。」
「ああ、いいぜ。」
先程まで話していた女子には見向きもせず、跡部は宍戸について行く。突然のことで、跡
部を囲んでいた女子は跡部を止めることも出来ず、ただただ唖然とするばかりであった。
そんな様子を一部始終見ていた滝と岳人は、さすが宍戸だと声を立てずに笑う。
「やっぱ、跡部は宍戸が一番なんだね。」
「そりゃそうだろ。ウザイくらいにノロケ話聞かされるし。宍戸も可哀想っつーか、何つ
―か。」
「まあ、とりあえずよかったんじゃない?ちゃんと跡部を連れ出せたんだし。」
これ以上は自分達の出る幕ではないと滝と岳人は二人を追いかけることはせず、再び交友
棟に戻って行った。

とりあえず、このまま跡部を連れて帰ってしまおうと宍戸は、自分の教室へと戻る。何も
言わず、跡部も宍戸について行った。そして、教室に到着すると宍戸はほっと安心したよ
うな溜め息を漏らす。
「宍戸。」
安心したところで、いきなり跡部に声をかけられ、宍戸はドキッとする。動揺を見せない
ように跡部の方を振り向くと、跡部はニヤニヤとしながら自分の顔を眺めていた。
「な、何?」
「話があるんじゃなかったのか?」
「あー、えっと・・・アレ、嘘。」
「ほう。意味もなく俺様を連れ出したってわけか。」
「意味なくじゃねぇよ!!」
「じゃあ、何だ?ちゃんと理由を言ってみろよ。」
自分の気持ちを見透かされているようで、宍戸は困惑した顔で跡部を見た。跡部は黙って
宍戸の答えを待っている。はあと小さく息を吐くと、宍戸は本当のことを話した。
「今日・・・跡部と一回も喋ってなかったから、どうしても喋りたくて・・・・」
「へぇ。」
「だって、今日、跡部ずっと他の女子といるんだもんよ!俺、入る隙なくて・・・何か跡
部が取られちゃいそうで、不安だったから・・・・」
思わずそんなことまで言ってしまったが、跡部の顔を見て余計なことまで言い過ぎたと後
悔した。普段の整った顔からは考えられないほど、跡部の顔は緩んでいる。途端に恥ずか
しくなって、宍戸はぷいっと跡部から顔を背ける。
「随分、可愛らしいこと言ってくれるじゃねぇの。」
「ち、違っ・・・今のはちょっと口が滑って・・・・」
「そう思ってたから、口に出ちまったんだろ?」
「あうぅ・・・」
「それじゃあ今日は、昼間話せなかった分、これから取り戻さなきゃならねぇな。」
「へっ?」
意外な跡部の言葉に宍戸は、ポカンとしてしまう。もう決めたと言わんばかりに跡部は帰
り支度をし、宍戸にもそうするように促す。
「ほら、テメェもさっさと帰る準備しろ。」
「えっ、何で?」
「これからいいところに連れてってやるよ。明日はちょうど休みだし。問題ねぇよな?」
「あ、ああ。」
よく分からないが宍戸は言われた通りに帰る準備をする。宍戸の準備が終わると、今度は
跡部が宍戸を連れ出すような形で教室を出た。校門を出ると、既に跡部の家の車が待機し
ていた。
「乗れ。」
「お、おう。」
何が何だか分からないまま、宍戸は跡部の車に乗せられる。いつの間にか事の主導権は跡
部に移っていた。どこに行くかを教えられないまま、跡部の車はどこかに向かって発車し
た。

車に乗せられ、連れて来られた場所は、都内でも高級であることで有名な跡部の家が経営
しているホテルであった。そんなところに連れて来られ、宍戸は驚きを隠せない。そんな
宍戸の驚きなど全く気にすることなく、跡部はそのホテルの中へと入ってゆく。
「ちょ、ちょっと待てよ!跡部!!」
「どうした?」
「何でこんなとこ・・・」
「アーン?たまには家じゃねぇところでもいいかと思ってよ。」
「で、でもよ・・・」
「安心しろ。うちで経営してるホテルだ。料金なんて請求しねぇよ。」
そういうことじゃなくてとつっこみたかったが、もう今の跡部に何を言っても無駄である。
仕方なく宍戸は跡部の後について行き、ありえないほど豪華なホテルの中へと入って行っ
た。スタスタと歩き、跡部が向かう先はフロントではなくエレベーター。既に跡部が一つ
の部屋を使うということは連絡済なので、そのまま部屋へ向かうつもりなのだ。エレベー
ターに乗ると、跡部は最上階のボタンを押す。予想はしていたが、そこまで予想通りにな
ると、宍戸はもう何も言えなくなってしまう。
「どうした?不満そうだな。」
「別に不満じゃねぇよ。ただ、本当お前メチャクチャするなあと思ってよ。」
「別に家でもよかったんだけどよ・・・」
「えっ・・・?」
「テメェがあんまり可愛いこと言いやがるから、少しくらいいい思いさせてやってもいい
かと思ってな。こんなホテル、凡人じゃ滅多に泊まれないぜ?」
若干自慢を入れつつ誤魔化しているが、本心は前半の方だ。それを聞いて、宍戸は恥ずか
しくなりながらも素直に嬉しいと思ってしまう。しかし、それをそのまま態度に出すのは
何だか悔しいので、緩みそうになる顔を必死で抑えながら、宍戸はわざと可愛げのない答
えを返す。
「ったく、余計なことを。」
しかし、その声にはどうしても嬉しさが滲み出てしまう。跡部は出された言葉よりもその
ニュアンスの方が宍戸の本当の気持ちだと捉えた。
「ま、せっかく俺様が用意してやったんだ。きっちり楽しめよ?」
「テメェが楽しませろよ。つーか、そうしたいんだろ?」
「言ってくれるじゃねぇか。いいぜ。テメェが満足するまで存分に楽しませてやるよ。」
そんなやりとりをしている間に、エレベーターは最上階に到着した。エレベーターを降り
ると、跡部は自分たちが泊まるべき部屋へ向かって歩いてゆく。
「ここだぜ。」
「また、メチャクチャ高そうな部屋だな・・・」
ホテルの部屋とは思えない部屋の様相に宍戸は半ば呆れたような声を漏らす。しかし、跡
部はこれくらい当然だろうと自慢気に笑うだけだ。
「とりあえず少しくつろいでから、シャワーでも浴びようぜ。」
「あ、ああ。」
まずはゆったりくつろごうと跡部は、鞄を置き、お茶やお菓子を持って来させる。初めは
緊張していた宍戸も時間が経つにつれて、だいぶリラックスした様子になっていった。
1時間ほどくつろぐと、跡部は宍戸にシャワーを浴びるように言う。時間的にはまだ早い
気がするがまあいいかと、宍戸は素直にシャワーを浴びに行った。そんなに時間をかける
こともないだろうと、10分か15分ほどで宍戸はシャワーから上がってくる。
「出たぜ、跡部。」
「ああ。」
「適当に時間つぶしてるから、ゆっくり入って来いよな。」
適当に時間をつぶすというよりは、心の準備をするための時間が欲しいという意味を込め、
宍戸はそんなことを言う。そんな宍戸の気持ちを汲み取り、跡部は少し時間をかけてシャ
ワーを浴びてこようと決めた。
「はあー、何か分かってても緊張しちまうんだよな。特にこんなふうに準備万端でするっ
て時は。」
独り言を言いながら、宍戸はふわふわのベッドに仰向けになる。しかし、全く落ち着かな
い。座ったり寝転がったりを繰り返しながら、何とか気持ちを落ち着けようと頑張った。
「あー、こんなにぐだぐだしててもしょうがねぇ!!」
そう自分を鼓舞するように宍戸はガバっと起き上がった。そして、どうしたら跡部が喜ぶ
だろうかということを考え始める。
「せっかくこんなとこに泊まらせてもらうんだから、少しは俺からサービスしねぇと悪い
よな。うーん、どうしよう・・・」
しばらく考えて、宍戸が出した結論は、跡部が出てきてすぐにそういうことが出来るよう
に用意をしておくということだった。とりあえず服は脱いでおくかということで、宍戸は
初めにズボンと下着を脱いでしまった。
「上はどうしよう?何か着てた方が跡部好みのような気がすんだよな。」
跡部の好みを考えるとワイシャツは着ていた方がよいかもしれないと、宍戸は下だけ脱い
であるという状態で跡部がシャワーから出てくるのを待つことにした。それから5分ほど
して跡部がシャワーから上がってくる。
「宍戸、あがったぜ。」
髪の毛を拭きながらシャワーから上がって来た跡部は、宍戸とは対象的に下は身につけて
いるが、上は何も着ていないという状態であった。お互いの格好を見て、跡部と宍戸は似
たようなことを口走る。
「跡部、エロ。どんな格好で出てきてんだよ?」
「それはこっちのセリフだ。その格好、誘ってんのか?」
「別に。ちょっとしたサービス精神だ。跡部、こういう格好好きだろ?」
飄々とそう言う宍戸に跡部はムラムラしてきてしまう。これはもう誘っているとしか思え
ないと、宍戸のもとまで歩いて行き、ぐいっと顎を上げた。そのままの状態でじっと顔を
見つめられ、宍戸はドキドキしてきてしまう。
「な、何だよ?」
「俺が今何考えてるか分かるか?」
「分かるけど・・・言わねぇ。」
「分かるならいい。ちゃんと覚悟は出来てるみてぇだしな。」
「今更覚悟とかいるほどのことでもねぇし。」
「おっ、言ってくれるじゃねぇか。だったら、手加減はしないぜ?」
「の、望むところだ!」
これから何かの勝負をするかのような会話を交わしながら、二人はこれからすることのス
タートの合図として、ゆっくりと唇を重ねた。

宍戸の唇から自分の唇を離すと、跡部はどこかへ何かを取りにゆく。何をしに行ったのだ
ろうと不思議に思いながら、宍戸は跡部が戻ってくるのを黙って待った。
「この部屋、ある程度のもんがそろってるから便利だぜ。」
「何持ってきたんだ?」
戻ってきた跡部は金色の液体が入った瓶とカップアイスを持ってきた。これからそういう
ことをするのに何を考えているのだろうと、宍戸は首を傾げる。
「それ、蜂蜜?」
「ああ。この量で四、五千円するなかなかいいもんだぜ。」
「それで、四、五千円!?高っ!!」
「そうでもねぇよ。まあ、確かに味は安物とは比べ物にならねぇほど美味いけどな。」
「そんなもん持ってきて、どうすんだよ?」
それが宍戸の一番の疑問であった。その問いを受けて、跡部はニヤリと笑う。そして、宍
戸の予想だにしなかった行動に出る。カチャカチャとベルトを外し、先程のキスと宍戸の
艶かしい格好を見て勃ち上がり始めている熱に蜂蜜を垂らしたのだ。それを見て、宍戸は
ドキッとする。
「な、何してっ・・・!?」
「俺がどうして欲しいか分かるだろ?宍戸。」
「うっ・・・」
目の前でそんなことをされたら、自分がしなければならないことは一つ。ベッドに座った
まま、宍戸は跡部のズボンを掴み、自分の方へと引っ張る。その顔は恥ずかしさから赤く
染まっている。
「分かってるじゃねぇか。」
「そういうもったいないことすんなよ・・・」
そう言いながら、宍戸は目の前にある金色の蜂蜜にまみれた熱の棒を口に含んだ。その瞬
間、蜂蜜独特の甘い香りが口いっぱいに広がる。その蜂蜜の味をしっかり確かめるかのよ
うに宍戸は舌を動かし、ちゅうっと蜜を舐め取る。
「んっ・・・甘ぃ・・・」
「美味いだろ?」
「んんっ・・・」
跡部のモノを咥えたまま、宍戸は頷く。蜂蜜の味を味わうために宍戸はいつもより多く口
を動かし、舌を動かす。それが跡部にはたまらなく気持ちのいい刺激になった。
「まだまだ、たんさんあるぜ。もっと味わえよ。」
「ぷはっ・・・ヤベェ、激うまい。」
もっと食べさせてやろうと、跡部は一度口を離させ、再びたっぷりと蜂蜜を絡める。蜂蜜
の味に魅せられた宍戸は、夢中になって跡部の熱を咥えた。
「んんっ・・・んっ・・・はぁ・・・」
「ハァ・・・すげぇイイぜ。」
だんだんと口の中で跡部の熱が高まってゆく感覚に宍戸も興奮してきてしまう。蜂蜜の味
に混じる跡部の味。それがまるで媚薬のように身体に染み込んでゆく。
「宍戸・・・もっと奥まで咥えろよ。」
息を乱し、恍惚とした表情で跡部は宍戸の頭を押さえつける。半ば強制的に根元近くまで
咥えさせられたが、こんなことは慣れっこなので、多少の苦しさは感じつつも、宍戸にと
ってはそれほど苦痛なことではなかった。
「んっ・・ぐ・・・んん・・・」
口はほとんど動かせないので、舌を動かし、宍戸は跡部のギリギリまで高まった熱に刺激
を与える。その刺激が跡部をさらに高みへ昇らせ、限界へと導いた。
「っ・・・宍戸っ・・・!」
次の瞬間、宍戸の口の中で真っ白な甜蜜が弾ける。そのまま喉の奥に放たれる感覚に、む
せそうになる宍戸だったが、それを堪え放たれるままに飲み下した。蜂蜜の味と混ざった
その味は、なんとも言えぬ風味を醸し出し、宍戸の舌を刺激する。最後の一滴まで飲み干
すと、宍戸はゆっくりと跡部の熱から口を離した。
「はぁ・・・」
跡部の蜜が通った場所が熱くなるような感覚を覚え、宍戸はうっとりとし、跡部の顔を見
る。その表情はえも言われぬ色気を放っていた。
「テメェの口、最高だぜ。今日は格別によかったぜ。」
「蜂蜜が美味かったからな。夢中になって咥えちまった。」
「そういう素直なとこ好きだぜ。」
ちゅっと宍戸の額にキスをすると、跡部はベッドの上に乗り上げる。急に跡部の距離が近
くなったような気がして、宍戸はドキドキと胸を高鳴らせた。
「今度はテメェがよくなる番だぜ。」
「えっ?」
「下の口にもたっぷり美味いもん食べさせてやるよ。」
「どういう意味だよ・・・?」
「そのまんまだぜ。」
意味ありげな笑みを跡部が浮かべているので、宍戸は胸の奥にある期待感を抑えられない。
確かに跡部がすることは無茶苦茶でキツイと感じることもしばしばあるのだが、宍戸にと
ってはそんなことさえも快感に変わるのだ。
「とりあえず、四つん這いになれよ。」
「は?何で?」
「いいから。」
理由を聞かされないまま、宍戸は四つん這いになることを強要される。跡部が何を考えて
いるのかさっぱり分からないと思いながらも、宍戸は言われた通りにする。
「こうでいいのか?」
「もう少し、上半身は下げて腰だけ上げるって方がやりやすいな。」
「何かすっげぇ恥ずかしい格好なんだけど・・・・」
「気にすんな。」
よく分からないが、宍戸は跡部の言われる通りのポーズをとる。希望通りの体勢になると、
跡部は先程蜂蜜と一緒に持ってきたものを手に取った。そして、そのふたを開ける。
「おっ、いい感じになってるじゃねぇか。」
「何が・・・・ひゃあっ!!」
「ココの口にはちょうどいい溶け具合だぜ。」
紙のカップの中にあるドロっとしたものを跡部は指で掬い取り、宍戸の蕾に塗りつける。
溶けてはいるものの、数分前までは冷凍庫にあったのだ。その冷たさは、すぐになくなる
ものではない。
「やっ・・・冷たっ・・・な、何っ!?」
「何って、ただのバニラアイスだぜ?これもかなり高級なアイスだぜ。」
「そんなもん、こういうことに使うんじゃねーよっ!!」
「文句言うんじゃねぇ。安心しろ。ちゃーんと、全部食べさせてやるからよ。こっちの口
にな。」
妖しげな笑みを浮かべて跡部はそんなことを言う。跡部が持っているカップを見ると、そ
れはちょうどハーゲンダッツのアイスほどの大きさだ。この後自分がされる責めを想像し、
宍戸はぞくぞくと背筋に痺れが走るのを感じる。
「とりあえずしっかり慣らさねぇとな。」
まずは口を開けてもらわなければならないと、跡部は溶けたバニラアイスをたっぷり指に
つけ、まだ閉じている蕾をほぐしてゆく。その部分で感じるべきではない冷たさに宍戸は
ぶるっと身体を震わせ、声を上げた。
「つ、冷たっ・・・跡部っ・・・やあ・・・」
「この冷たさがくせになるまで我慢してろ。テメェなら大丈夫だ。」
「んな・・・無理言うな・・・あっ・・・!」
蕾の外側にも内側にもトロっとしたアイスを塗りたくる。冷たさと指で弄られる刺激から
宍戸のそこは着実にほぐれていっていた。ある程度蕾が開いてくると、跡部は尾てい骨の
あたりから溶けたアイスを流し、割れ目を伝わせ、指を使ってその中心に流れていくよう
にする。
「ひっ・・ああぁっ・・・!!」
「流れてきたアイスが、蕾ん中に入ってくぜ。」
「嫌っ・・・冷たいっ・・ああ・・・」
「でも、それが気持ちよくて仕方ねぇんだろ?」
「ひぃんっ・・・そんなこと・・・な・・・ああっ!!」
口では否定しているが、実際は跡部の言う通りであった。冷たいアイスが割れ目を伝う感
覚もそれが跡部の指によって身体の中へ入っていく感覚も、宍戸にとっては快感以外の何
物でもなかった。その証拠に、宍戸の熱はすっかり勃ち上がり、先端からは先走りの蜜が
ポタポタと滴り落ちている。
「だいぶ開いてきたみてぇだな。」
「んっ・・・あっ・・・・跡部ぇ・・・」
アイスの滑りですっかり緩んだそこを跡部は何本かの指でぐりぐりと弄る。そんな刺激も
また、宍戸にとってはたまらなかった。
「まだ、結構残ってるし、もっと豪快に食べさせてやるぜ。じっくり味わえよ?」
中に入れている二本の指で蕾を広げ、無理矢理口を開けさせる。そんな感覚にも宍戸は激
しく感じてしまい下肢をガクガク震わせ、シーツをぎゅっと握りしめた。そして、次の瞬
間、宍戸はあまりの刺激に悲鳴にも似た嬌声を上げる。
「ひああぁぁ――っ!!」
指で広げられた蕾の中心から、直接溶けたアイスを注がれる。その冷たさといったらもう
言葉では言い表せない。しかし、その今までに感じたことのない刺激が宍戸を快感の高み
へと導いてゆく。
「ああっ・・・跡部っ・・・はあっ・・あぁんっ!!」
「どうだ?冷たくて気持ちイイだろ?」
「こんなん・・・ダメっ・・・マジでおかしくなっちまう・・・」
「まだまだたくさん残ってるぜ。ほら、食えよ。」
「ああぁ――っ・・・ひっ・・やあぁっ・・・!!」
あまりにも宍戸がよい反応を示すので、跡部はカップの中のアイスが完璧になくなるまで、
その行為を繰り返した。宍戸の中は溶けたバニラアイスでいっぱいになり、少しでも動こ
うものなら、その口から真っ白な液体が溢れ出てくる。
「ひっ・・・は・・・もう・・・入んねぇ・・・」
「すげぇいい眺め。何か中出しした後みてぇになってるぜ。」
「跡部・・・このままじゃ冷たすぎて、腹壊しちまうよ・・・」
「大丈夫だ。これから十分に熱くしてやるからよ。」
そう言うと、跡部は宍戸の身体を反転させ、仰向けに寝かせる。その衝撃でも、宍戸の中
からコプっとバニラアイスが溢れた。
「ひぅっ・・・!」
「これなら何の問題もなく入れられるな。」
「ハァ・・・あ、跡部っ、早くあっためて・・・」
「ああ。じゃ、入れるぜ。」
白い液体がこぼれるのを防ぐかのように跡部は熱の楔を宍戸の中へ突き入れる。その瞬間、
宍戸は中でバニラアイスが大きく動くのを感じた。
「ひゃっ・・ああぁんっ!!」
「何だ、思ったより冷たくねぇな。テメェの中の熱で、随分温まってるぜ?」
「あっ・・・はぁ・・・跡部の・・・熱いっ・・・」
「そりゃそうだろ。テメェのあんな姿見たら、嫌でも熱くなっちまう。」
「違っ・・・いつもより・・・すげ・・熱っ・・・あっ・・・ひあっ・・・!!」
少し跡部が動くだけで、宍戸はビクビクと身体を震わせる。アイスで冷やされた内側には、
跡部の熱は火傷しそうなくらい熱く感じられた。
「んんっ・・・はぁ・・・あうぅ・・・」
跡部の熱に酔わされ、宍戸は甘い声を上げ続ける。その声が跡部の鼓膜を刺激し、さらに
身体を熱くさせる。
「たまんねぇな、その声。その声で、名前、呼べよ。」
「あふっ・・・跡部っ・・・あとべぇ・・・」
「いいぜ、宍戸。くっ・・・ちょっと油断するとイッちまいそうだぜ。」
宍戸の中に楔を打ちつけながら、跡部は呟く。宍戸の中のバニラアイスは二人分の熱です
っかり温められ、冷たさを完全に失っている。熱くなりかけているミルクを激しく掻き混
ぜられる感覚は、宍戸に例えようもない快感を与えていた。
「あっ・・・ひぅんっ!・・・跡部、もっと・・・俺ん中掻き回してっ・・・」
「ああ。テメェん中、俺のミルクでもいっぱいにしてやるよ。」
宍戸の内側を抉るように跡部は腰を動かす。ぎゅうぎゅうと自身を締めつけられる感覚に
跡部も限界が近づいていた。
「はぁ・・・跡部っ・・・もう・・・イクっ・・・あっ・・あぁ・・・」
「俺もそろそろ出るぜ・・・」
どちらも激しく息を乱しながら、お互いの身体を掻き抱く。熱いバニラが二人の身体をよ
り深いところで繋がらせる。跡部の楔が最奥に達したところで、二人は同時に絶頂を迎え
た。

もう一度シャワーを浴び、体を綺麗にすると、二人はふわふわのベッドに体を預ける。先
程の行為のために火照ったままの体を何とかしたいと、跡部は再び冷凍庫からバニラアイ
スを持ってきた。
「あー、ずりぃ。俺も食いたい。」
「テメェはさっき食っただろ?」
「あれは食ったって言わねぇだろ!」
「冗談だ。食べさせてやるから口開けろ。」
起き上がるのも億劫だったので、宍戸は寝転がったまま、口を開ける。開かれた口の中に
跡部はバニラアイスを入れてやった。舌の上に広がる心地よい冷たさに宍戸は溜め息をつ
く。
「はあー、美味い。」
「もっと食うか?」
「おう。」
一人で食べるのも悪くないが、二人で分けた方がより美味しいだろうと、跡部は自分が一
口食べると、二口目は宍戸の口に運んだ。そんなことを繰り返して、二人は一つのアイス
を平らげる。
「だいぶ涼しい感じになったな。美味かったし。」
「そうだな。どっちの口で食べてもなかなかのもんだろ?」
「また、そういうこと言って・・・まあ、否定はしねぇけど。」
ほのかに赤くなりながら、宍戸はそう呟く。まさかそんな答えが返ってくるとは思わなか
ったので、跡部は意外に思いつつもニヤリと笑ってしまう。
「正直だな。」
「べ、別にいいじゃねぇか!そんなに笑うな!!」
「本当テメェは俺様にお似合いな彼女だぜ。」
「彼女じゃねぇ!!」
「そんなにカリカリすんなよ。せっかく二人きりの時間なんだからよ。」
恥ずかしがって、怒った素振りを見せる宍戸に、軽くキスをしながら跡部は囁く。宍戸も
心の底から怒っているわけではないので、そう言われて何となくほだされてしまう。
「う〜。」
「どんなに俺様がモテてようと、一番はテメェだからな。変な不安抱くんじゃねぇよ。」
「えっ・・・?」
「今日の昼間言ってたじゃねぇか。俺はテメェ以外にこういう感情を持つ気はねぇ。だか
ら、安心しとけ。俺がこういうことするしたいと思うほど好きなのは、テメェだけだぜ、
宍戸。」
そう言いながら頭を撫でられ、宍戸は顔を真っ赤に染める。しかも、そう言われるのが、
どうしようもなく嬉しく感じてしまう。しかし、そんな顔を見られるのが恥ずかしくて、
跡部の手を取り、自分の顔に被せる。
「恥ずかしいこと・・・言ってんじゃねぇよ。」
「でも、嬉しいんだろ?」
「嬉しくなんか・・・ねぇし。」
そんな言葉とは裏腹に宍戸は体を起こし、跡部の首に腕を回した。素直じゃないなあと思
いつつ、跡部はふっと笑う。
「なあ、今超キスしてぇ。させろよ。」
「・・・・・・。」
キスがしたいという跡部の言葉に、宍戸は黙って顔をキスをしやすいように傾ける。宍戸
は言葉よりも態度や行動の方が素直だと、心の中でにやけながら跡部はそのまま唇を重ね
た。重なった唇はどちらもほのかなバニラ味で、二人の心を甘い甘い気持ちでいっぱいに
していった。

                                END.

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