跡部の家に泊まりに来ていた宍戸は、跡部がシャワーを浴びに行っている間、ベッドにゴ
ロンと寝転び、快適な空間の中でくつろいでいた。暑すぎもせず、寒すぎもしない、ちょ
うどよい温度の空気は宍戸に心地よさと眠気を運ぶ。
「あー、何かすげぇ眠くなってきちまった・・・」
跡部の寝心地のよいベッドの誘惑に負け、宍戸はまぶたが下がってくるままに、目を閉じ
た。そのまま宍戸は夢の中に引きずり込まれる。それからしばらくして、跡部がシャワー
から戻ってくる。
「ふぅ、少しゆっくり入りすぎちまったな。」
髪を拭きながら跡部は部屋に入る。渇いた喉を潤そうと、テーブルの上に置いてあった水
を手に取った。冷えた水で喉を潤しつつ、部屋を見回し、宍戸の姿を探す。
「ん?何だよ、寝ちまってるのか?」
ベッドの上に宍戸を見つけ、跡部はベッドに近づいてゆく。ベッドの上では、宍戸が布団
も被らずに、気持ちよさそうな寝息を立てている。
「ふっ、無防備な顔で眠ってやがる。」
可愛らしい宍戸の寝顔を見て、跡部は口元を緩ませる。起こそうとも思ったが、もう少し
寝顔も見ているのも悪くないと、跡部は宍戸の寝ている横に座り、しばらく寝顔を眺める
ことにした。
「ガキみてぇな顔。」
いつもより少し幼く見えるその顔に、そっと指を触れる。ぷにっと頬を押すと、その指を
払おうとするかのように宍戸は手をパタパタさせる。
「んー・・・」
「あんまり触ってると起きちまうか。」
まだ起こしたくないと、跡部は宍戸の頬から指を離す。その代わりに宍戸の開かれた掌に
そっと手を重ねた。すると、赤ん坊が掌に置かれた指を握るかのように、宍戸は跡部の手
をぎゅっと握る。
「あ・・とべ・・・」
手を握られながら名前を呼ばれ、跡部は胸がキュンとなる。握られている手とは逆の手で
そっと頭を撫でてやると、宍戸の顔はへらっと緩み、嬉しそうな笑顔になる。
(可愛いじゃねーの。)
起きている時は頭を撫でただけではここまで素直に笑ってくれないので、跡部の顔は自然
とニヤけてきてしまう。あまりの可愛さに若干ムラムラしてきてしまい、跡部は宍戸の寝
息を食べてしまうかのように、柔らかな唇に口づけた。
「ん・・・んん・・・・」
宍戸の様子をうかがいながら、少し長めのキスをする跡部だったが、軽く声を上げるもの
の宍戸は全く起きる気配がない。
「・・・・・」
ぐっすり眠ってしまっている宍戸に、もっと悪戯してやりたいという衝動に跡部は駆られ
る。宍戸が起きないようにゆっくりズボンと下着を脱がしてしまい、がばっと足を開かせ
た。露わになったそれを目の前にし、跡部はニヤけながら舌なめずりをする。開かれた足
の中心にあるものを軽く擦り、咥えやすい状態にすると、跡部は何の躊躇もなしにそれを
口に含んだ。
「あっ・・・」
その瞬間、宍戸の身体がヒクンと反応する。口の奥まで含み、しばらく舌を動かしながら
しゃぶっていると、宍戸の反応がだんだん顕著になってくる。
「んっ・・あっ・・・あっ・・・」
ちゅうっ
先端をぺろっと舐め、少し強く吸ってやると、宍戸の身体は今までになく大きく震えた。
まだ達してはいないようだが、今の刺激で完全に宍戸は目を覚ました。
「んあっ・・・!!」
下半身に感じる違和感の正体を見て、宍戸は声にならない声を上げる。
「―――っ!!??」
「あーあ、起きちまったか。」
もう少し眠っていればよかったのにというニュアンスを含んだ言葉を跡部は漏らす。
「な、な、何してんだよ!?」
「アーン?何ってフェラだぜ。」
「そ、そんなことは分かってんだよ!!何で今そんなことしてやがる!!」
「何でって言われてもなあ。テメェがあんまりにも可愛い顔して寝てやがる上に、俺の手
握りながら、名前を呼んでくるからよ。ムラムラってきちまってな。」
「なっ!?」
そんなことした覚えはないと言いたかったが、寝ている時のこと故にハッキリとしてない
とは言えない。
「まあ、起きちまったならしょうがねぇな。悪戯はここでやめといてやるよ。」
「えっ!?ちょ、ちょっと待・・・」
中途半端に高められた状態でやめられても困ると、宍戸は困惑した表情を見せる。そんな
宍戸を見て、跡部はニヤリと笑って聞き返す。
「何だよ?」
「こ、こんな中途半端な状態でやめんじゃねぇよ・・・・」
真っ赤になりながら、宍戸は蚊の鳴くような声で呟く。
「何だって?聞こえねぇな。」
「つ、続きしろっつってんだよ!!アホっ!!」
怒りながらも素直にして欲しいことを言ってくる宍戸に、跡部は俄然やる気になる。そう
言われては仕方がないと、跡部は再び宍戸のそれを咥えた。
「んあっ・・・!」
寝ている時に感じていた刺激と今起きて感じる刺激とは天と地の差がある。先程よりもハ
ッキリ感じられる刺激に、宍戸は背中を仰け反らせる。そんな宍戸の反応に気をよくした
跡部は、わざと音を立てて、宍戸にされていることを意識させるような方法で蜜を滴らせ
ているそれを責めた。
「はっ・・・あ・・んっ・・・あっ・・・」
素直に声を上げる宍戸の様子を、跡部は上目遣いでうかがう。シーツをぎゅっと握り、顔
を紅潮させ、潤んだ目をして快感に喘いでいる姿は、跡部を非常に興奮させた。
(ヤベェ・・・マジたまんねぇ。)
もう少しこの状態を楽しみたいと、跡部はわざと焦らすように刺激を与えて、そうすぐに
は達しないようにする。達する少し前の快感ばかりが長い時間続く感覚に、宍戸の頭の中
はすっかりとろけて、何も考えられなくなっていた。
「あっ・・・はぁ・・・あと・・べぇ・・・」
存分に宍戸の反応を楽しむと、跡部は宍戸のミルクが欲しくなる。そろそろイカせてやっ
てもいいだろうと、そうさせるための刺激を跡部は与え始める。急に激しくなった口での
愛撫に、宍戸は先程より大きな反応を跡部に見せた。
「ひあっ・・・跡部っ・・あっ・・・やぁ・・・!!」
がくがくと足を痙攣させ、宍戸は腰を揺らす。跡部自身の興奮も高まり、頭で考えてする
ことをやめた。自分がしたいと思うままに口を動かし、宍戸に快感を与える。
「あっ・・・ああっ・・・跡部っ――!!」
跡部の口内に熱い蜜が放たれる。宍戸の味で口の中がいっぱいになるのを感じながら、跡
部は恍惚とした気分に浸る。全ての蜜を飲み込むと、跡部は満足そうに笑いながら、宍戸
のそれから口を離した。
「今日のは少し濃いな。量も多いみてぇだし?」
「ハァ・・・跡部。」
「やらしい顔。そんなに俺の口、よかったのかよ?」
「よくないわけ・・・ねぇじゃん。」
「っ!」
恥ずかしくなるようなことばかり言われ、少し不機嫌顔の宍戸だったが、口から出る言葉
は跡部を驚かせるものであった。恥ずかしさから拳で顔を覆っているものの、跡部がした
ことを嫌がっている素振りは少しも見せていない。乱れた息がある程度整うと、宍戸はゆ
っくりと体を起こし、跡部の首に抱きついた。
「し、宍戸?」
「テメェの所為で、したくなっちまったじゃねぇか。責任取れよな!!」
宍戸から続けたいという主旨の言葉を聞いて跡部はドキッとしてしまう。しかし、こんな
においしい状況をみすみす見逃す跡部ではない。したいのは自分も同じだと、羽織ってい
た上着を脱ぎ、宍戸を再びベッドへ押し倒した。
「あっ・・・あんっ・・・んぅ・・・」
耳たぶを食みながら、跡部は宍戸の蕾をじっくり慣らしている。もう全然入れても大丈夫
なくらいほぐれているのだが、しつこいくらいに跡部は宍戸の蕾の入り口で指を動かす。
「何で・・・そんなしつこく・・・」
「アーン?痛いのは嫌だろ?」
「そうだけど・・・・」
「ほら、分かるか?テメェのココ、閉じたり開いたりしてやらしく俺の指を咥えてるぜ。」
蕾の収縮に合わせ、跡部は中に入れている指を開いたり閉じたりする。指で広げられてい
るような感覚に、宍戸はブルブルと身を震わせる。
「んんっ・・・そんなに広げんなぁ・・・」
「何だよ?こんなのでも感じてんのか?」
「だってぇ・・・」
あまりにも宍戸が敏感に感じてくれているので、跡部はもっといろいろしたくなってしま
う。いったん指を抜き、宍戸の体を反転させると、半ば強制的に腰を上げさせた。
「やっ・・・何すんだよ・・・?」
枕に頭をつけながら、宍戸は跡部の様子を探ろうとする。しかし、ハッキリと跡部が何を
するかは見えない。その体勢のままで、跡部は宍戸のピンク色の蕾に指を埋め込んだ。
「あっ・・・あぁんっ・・・!」
「もう軽々二本入っちまうもんな。この体勢の方がココの様子がハッキリ観察出来て、い
い眺めだぜ。」
「やだっ・・・見るなよ・・・」
跡部の言葉に宍戸の体は羞恥の色に染まる。先程と同じように二本の指を広げ、くぱっと
開いた蕾の真ん中に跡部はふぅっと息を吹きかける。
「ふああぁっ・・・!!」
その感覚に宍戸は言いようもない快感を感じる。ゾクゾクと背筋に電流が走ったかのよう
に快感が駆け抜け、全身の力が抜けてしまう。そこまで反応してくれるとは思っていなか
ったので、跡部は楽しくなり何度かその行為を繰り返す。
「はあぁっ・・・跡部ぇ・・・」
「息吹きかけられるだけで、そんなに感じるのか?」
「あうぅ・・・だって、そこに跡部の息が当たると・・・すげぇゾクゾクして・・・」
宍戸が言葉を紡いでいる間に、跡部は再びそこに息を吹きかける。少し長めにそうしてや
ると、宍戸はぎゅうっと枕を握り、ブルブルと下肢を震わせた。
「ああぁっ・・・ダメぇ・・・・変になっちまう・・・・」
「中もすっげぇやらしい色してるぜ。テメェのココは、俺のどんなもんでも感じるように
なってるみてぇだな。ほら、もうこんなに柔らけぇし。」
「あっ・・・ああんっ・・・中、そんなにされたらぁ・・・・」
少し奥まで指を入れ、跡部は内側をぐにぐにとマッサージをするかのように押してやる。
どうやらそこがかなり感じるポイントだったらしく、宍戸は真っ白な蜜をシーツに向けて
放った。
「んんっ・・・・ああっ!!」
達してしまった衝撃で、蕾はきゅうきゅうと締まり、跡部の指を締めつける。その感じが
跡部をより興奮させ、まだズボンの中に収まっている熱の塊をさらに熱くさせた。
「あっ・・・あぅ・・・ハァ・・・」
「派手にシーツ汚してくれたな。」
「わ、悪ぃ・・・」
「別に構わねぇよ。シーツなんて、いくらでも替えはあるしな。むしろ、テメェが何度も
イッてくれた方が俺としては嬉しいぜ。」
「な、何恥ずかしいこと言って・・・・」
「つーか、そろそろ俺の方も相当キてんだよな。もう十分ほぐれてるし、いいよな?」
宍戸の中から指を抜きつつ、跡部は宍戸に尋ねる。入れて欲しくてうずうずしている宍戸
だったが、そんなにすぐに入れられるのは何となく自分ばかりが気持ちよくなるようで嫌
だった。
「・・・入れる前によ・・・・」
「アーン?何だ?」
「跡部の・・・口でしたいんだけど、いいか?」
予想していなかった宍戸の言葉を聞いて、跡部は胸がドクンと高鳴る。
「まあ、テメェからしたいっつーのもそうねぇしな。いいぜ。」
動揺しているのを隠しながら、跡部は余裕なフリをしてそう答える。それならと、宍戸は
体を起こし、跡部の方に体の向きを変えると、跡部のズボンのジッパーに手を伸ばそうと
した。しかし、手が金具に触れるというところで、思いとどまり手を引っ込める。
「どうした?」
「んー、どうせだったら・・・・」
手を引っ込めた代わりに宍戸は顔をそこへ近づける。そして、器用に口でジッパーの金具
を咥えるとゆっくりと下に下ろした。露わになった下着も口で咥えて下ろし、跡部の熱を
外に出す。
「やっぱ、跡部のすげぇ・・・」
いつ見ても立派なそれを前にして、宍戸は胸が高鳴る。下の方から先端に向かってゆっく
り舐め上げ、てっぺんまでくると、パクッと口の中に含む。その一連の動作に跡部は目を
奪われ、完全に釘付けになった。
(跡部の激熱ぃ・・・何かすっげぇドキドキしてきた。)
口の中にあるものの熱さにくらくらしながら、宍戸は夢中になって跡部のモノをしゃぶる。
積極的な宍戸の行動と直接的な刺激で、跡部の熱は限界近くまで高まる。
「宍戸・・・そろそろ離せっ・・・」
「んんっ・・・」
離したくないと、宍戸は首を振る。跡部としては、少し濡らしてもらう程度で、イカせて
もらおうなどとは毛頭思っていなかった。しかし、宍戸はどうしても離そうとしない。
「くっ・・・もう・・・!」
「んっ・・・ぐ・・・っ!!」
結局我慢出来ず、跡部は宍戸の口の中に熱い蜜を放つ。勢いよく放たれる蜜をごくごくと
喉を鳴らして飲み込み、宍戸は満足そうに息を吐いた。
「ぷはっ・・・はあ・・・・」
「ったく、俺様をイカせるなんて、いい度胸じゃねぇか。」
「俺だって、跡部のするの好きなんだからな!跡部ばっか、俺のしてずりぃと思ってよ。」
「ま、気持ちよかったから許してやる。今度こそ、テメェの中に入れるぜ。」
「今、イッたばっかなのに元気だな、おい。」
「アーン?当然だろ。俺様は早くテメェの中に入りてぇんだ。」
自信満々に言うことじゃないだろと思いながらも、宍戸は何となく嬉しくて笑ってしまう。
コロンと仰向けに寝転がると、自ら足を開いて跡部に向かって腕を伸ばした。
「だったら、早く来いよ。俺はいつでも大歓迎だぜ?」
「ふっ、言ってくれるじゃねぇか。だったら、遠慮せずにいかせてもらうぜ。」
宍戸の身体をしっかり抱くように、跡部は自分自身を宍戸の中に埋めた。
「あっ・・・ああっ・・・!」
「ちょっとキツいな。宍戸、もう少し力抜け。」
「はっ・・・ふぅ・・・・」
何とか力を抜こうと宍戸はゆっくり息を吐く。力が抜けて、ギチギチだった蕾が少し緩む
と、跡部はそのタイミングを逃さず、一気に身を宍戸の中へと進める。
「ひあぁっ・・・・あぁんっ!!」
「よし、最後まで入ったぜ。」
「ハァ・・・あっ・・跡部・・・んっ・・・」
中が跡部の熱でいっぱいになっている感覚に、宍戸は非常に満たされた気分になる。しか
し、それだけではまだ何かが足りない。もっと中を掻き回して欲しいと、宍戸の腰は無意
識に跡部を誘うかのように揺れていた。
「何だよ?もう動いて欲しいのか?」
跡部にそう尋ねられ、宍戸は恥ずかしそうにコクンと頷いた。宍戸がそうして欲しいなら
大丈夫だろうと、跡部はゆっくりと自身の腰を動かし始める。
「初めはゆっくりな。」
「んんっ・・・はぁ・・・」
ずるずると跡部の熱が抜けてゆく感覚に、宍戸は切なさにも似た快感を感じる。半分程抜
けたところで、再び奥へ戻される。跡部の熱が再び奥へ入ってくる感覚は、抜けていく時
の何倍もの快感が伴う。
「ああっ・・・はぁんっ!!」
「すげぇ締めつけだな。食い千切られちまいそうだ。」
そんなことを言いつつも、その締めつけが跡部にはたまらなかった。初めは少し抜いて再
び奥に戻すというゆっくりした動作も、何度か繰り返すうちに、ギリギリまで抜いて一気
に奥まで突き入れるという激しい動作に変わっていった。
「あっ・・ひあっ・・・ああっ・・・あんっ!!」
「ハァ・・・ヤベェな、もう手加減出来なくなってるぜ。」
「跡部っ・・・あっ・・ん・・・イイっ・・・」
「俺も最高にイイぜ。テメェん中ほど、俺様をここまでよくさせるものは他にねぇよ。」
「跡部ぇ・・・キスしたい・・・」
「悪くねぇな。こっちの口も俺でいっぱいにしてやるよ。」
宍戸の要求に応じて、跡部は宍戸に深々と口づける。熱くなった舌が絡み合い、濡れた吐
息が混じり合う。果てしない心地よさを伴う一体感。触れ合っている全ての部分でお互い
を想う気持ちを感じ合う。
「んんっ・・・ん・・・はっ・・・跡部っ・・・」
「宍戸・・・もっと二人で、よくなろうぜ。」
唇が少し離れた合間に跡部は、そんなことを呟く。その顔は、一番愛しく思い大好きだと
感じている者と繋がっているという幸福感に満ちた驚くほど綺麗な笑顔であった。そんな
跡部に応えるかのように、宍戸も幸せいっぱいの輝くような笑顔で跡部の言葉に頷いた。
再び唇が重なり、身体の中心でさらに深く繋がり合う。その一番深い部分で、跡部の想い
が宍戸の中へと注がれた。それと同時に、宍戸も跡部に対する熱い想いを迸らせるのであ
った。
シャワーも浴び、汚れたシーツも真新しいシーツに替え、さっぱりとした状態で二人はベ
ッドの上でくつろいた。あぐらをかいて座っている跡部の足の上に、宍戸は頭を乗せ仰向
けに寝転がっている。
「跡部ー、手貸して。」
「何でだよ?」
「いいから。」
跡部の手を取ると、宍戸はその手を自分の頬にくっつけた。
「あー、跡部の手、冷たくて気持ちいいー。」
「テメェの頬っぺた熱ぃな。」
「何でかしんねぇけど、あーいうことした後はメッチャ熱くなるんだよな。だから、跡部
の手で冷やしてもらえると、すげぇ気持ちいいんだ。」
「へぇ。ま、それだけ俺様のことが好きでドキドキしてるってことだな。」
「そうなのかなあ?別に今はそんなにドキドキしてねぇけど。」
跡部の手をぴったり頬にくっつけたまま、宍戸は跡部を上目遣いで見上げながら、そんな
ことを呟く。ドキドキしているのは宍戸よりもむしろ跡部の方であった。宍戸の熱が掌か
ら染み込んでゆく感覚が跡部の胸を高鳴らせる。
「何かよ・・・」
「ん?何だ?」
「こういう時間もいいよな。もちろんさっきみたいなことするのも、俺的には結構好きな
んだけどよ、こんなふうにまったりしながら、跡部とくっついてるのもいいなあって思っ
てさ。」
「そうだな。」
何となく出た宍戸の言葉に跡部は穏やかな笑みを浮かべて同意する。ドキドキする行為を
した後の心の底から安心出来るひととき。それは跡部にとっても、非常に心地よい時間で
あった。
「宍戸。」
「何だよ?跡部。」
「テメェが寝てる時も、してる時も思ったんだけどよ・・・」
「おう。」
「俺、テメェの笑った顔がすっげぇ好きみてぇだ。」
「なっ!?」
いきなりの告白に宍戸の顔は真っ赤になる。しかし、笑った顔が好きだと言われるのは全
く嫌な気はしない。
「跡部の笑った顔だってよ・・・」
「ああ。」
「俺的にはかなり好きだぜ。今日のイクちょっと前の顔とかもマジヤバイって思ったもん。」
「どんな顔してたんだ?俺。」
「マジキラキラしてるっつーか、すっげぇ綺麗な笑顔って感じ。」
「まあ、あの時は本当気分よかったからな。あんな顔、きっとテメェしか見れねぇぜ。」
「だろうな。へへ、そう思うと何か嬉しいー。」
自分だけが跡部の特別な顔を見れると思うと宍戸は嬉しくて、自然と顔が緩んでくる。そ
んな宍戸につられて跡部も笑顔になった。
「今のテメェの顔もすげぇイイ感じだぜ。」
「跡部こそ。」
お互いに最高の笑顔を見せ合い、顔を引き寄せ合う。自然と唇が触れ、そのまましばらく
口づけを交わし合った。笑顔がこぼれる静かな夜更け。そんな夜更けをもう少し楽しもう
と、二人は溢れる想いを様々な形で伝え合うのであった。
END.