全国大会が終わって数ヶ月。元氷帝レギュラーメンバーは跡部の発案で、慰安旅行に来て
いた。慰安旅行と言っても跡部の家が経営しているペンションなので、それほど気兼ねを
することがない。しかも、そのペンションには、娯楽施設、テニスコート、温泉などなど
楽しむためのものは何でもそろっているのだ。部屋割りなども特に決められていなかった
ので、自分の好きな相手と同室になることはもちろん、一人になろうが三人以上になろう
がそれは全く自由であった。
「あー、今日でここに来てから三日目か。何かちょっとやることなくなってきちゃったよ
ね。」
「そうですね。いろんなものがありますけど、これといってしたいことがないとあんまり
やる気になれませんし。」
滝と鳳は、窓を開けるとすぐそこに森が広がっている西側の一番奥の部屋に泊まっていた。
一日目、二日目は敷地内にある娯楽施設で存分に遊んだが、三日目ともなるとそこに行く
のも、少々億劫になってしまう。
「何か面白いものないかなぁ?」
そんなことを呟きながら、滝は部屋の中にあるタンスや棚の引き出しを適当に開けていっ
てみる。いくつか目のタンスの扉を開けたところで、一つの紙袋が置かれていることが気
づいた。何だろうと不思議に思い、滝はガサッとその紙袋の中身を確かめる。一番上にあ
るものを何気なく手に取り、それが何かを確認すると、滝は顔色を変えて慌ててその紙袋
にしまいこんだ。
「何か面白いものでもありました?」
「べ、別にっ、何にもないよ!!」
「どうしたんですか?」
「あ、あはは、本当に何でもないから気にしないで。」
誤魔化そうとすればするほど、口から出る言葉に真実味がなくなってしまう。怪しいと思
った鳳は、滝のところに近づいて行き、そこにある紙袋を取り上げた。
「あっ!!」
「何ですか?コレ?」
鳳も紙袋の中身を一つ取り出して、それが何かを確認する。初めは何か分からなかったが、
ふとした瞬間にどんなことに使うものかに気づき、顔をボッと赤らめる。
「な、な、何でこんなものがあるんですか!?」
「知らないよ。たぶん跡部が置いておいたんじゃない?」
「何考えてるんですか、跡部さんは。」
「まあ、跡部だし。・・・でも、その中身、ちょっと気になるよね。何が入ってるかちょ
っと確かめてみようか。」
「ええっ!?」
「別に見るだけだし、結構面白そうだと思うけど?」
「た、確かに興味はありますけど・・・・」
滝が見つけた紙袋に入っていたのは、いわゆる大人の玩具というやつだ。二人が同室にな
ると知った跡部が、悪戯心たっぷりに仕掛けておいたもので、使う使わないは二人の判断
に任せられていた。鳳にも知られてしまったなら隠す必要もないだろうと、滝はその中に
どんなものが入っているのかを確認したがる。
「興味があるんだったらいいじゃん。こういうのってあんまり見れる機会ないし。」
「そりゃそうですよ!」
「よーし、じゃあとりあえずベッドの上に出してみよう。」
興味を持ってしまったら、もうその好奇心は止まらない。滝はその紙袋を持って、ベッド
のある方まで移動した。ちょっと気が進まないなあと思っている鳳も興味がないわけでは
ない。
「全部出しちゃってもいいよね。」
「もうここまできたらいいんじゃないですか?」
「だよねー。それじゃ・・・」
袋を逆さまにして、滝はその中身をベッドの上にぶちまける。思ったよりいろいろなもの
が入っていることに驚きつつ、滝はとある道具に目を奪われた。
「これ、すごいいいと思うんだけど。」
「・・・尻尾ですか?」
「たぶんね。この形状からすると、バイブ機能もついてるって感じ?」
「うわあ・・・」
「すごいなあ。あっ、たぶんこれ、この尻尾とセットだよね。犬耳〜。」
尻尾の側にあった耳のついたカチューシャを手に取り、滝はそれを鳳の頭にかぶせる。普
段から犬っぽい鳳はその犬耳カチューシャが非常によく似合っていた。
「可愛い〜vv長太郎。」
「や、やめてくださいよぉ。」
「超似合ってるって。跡部、これ狙いすぎだよー。」
あまりにも犬耳が似合い過ぎる鳳を見て、滝は実に楽しそうに笑う。あまりにも滝が楽し
そうに笑っているので、鳳は文句を言おうにも言えなくなってしまう。
「いやあ、これマジで面白いね。どうせだったらさ、今日の夜、ここにあるいくつか試し
に使ってみない?」
「なっ!?」
「跡部もたぶんそれを期待して用意してくれてるんだろうし。まず、犬をモチーフにして
るあたり長太郎に合わせてるとしか思えない。」
「そ、そんなことないと思いますけど・・・」
「絶対そうだって!!ねっ。」
にっこりと笑われてそう言われると、断れない。少しだけならという条件で、鳳は滝のお
ねだりを呑んだ。
「じゃあ、約束ね。夕飯食べて、シャワー浴び終わったらこれ試すってことで。」
「・・・はい。」
半強制的に頷かされた感じであるが、鳳もある程度のわくわく感は感じていた。と、突然
部屋の電話が鳴る。
トゥルルル・・・トゥルルル・・・・
「もしもし?」
『そろそろ夕飯だ。もう食堂に用意されてるから早めに来いよ。』
「了解。」
カチャ
電話は跡部からの内線で夕食の準備が出来たことを知らせるものであった。
「夕飯だって。」
「分かりました。あっ、これ、どうします?」
「そのままでいいんじゃない?どうせ後で使うんだし。」
ベッドに散乱している玩具はそのままにし、二人は食堂へ夕飯を食べに行くために部屋を
出る。これから鳳と出来ることを楽しみに思いながら、滝はご機嫌な様子で廊下を歩き出
した。
夕飯時、滝はこれからすることが楽しみで、自然に顔が緩んできてしまう。
「どないしたんや?滝。随分、ご機嫌やな。」
「そう?別に普通だけど。」
「普通でそんなにニヤけてたら気持ち悪いぜ。」
「いや、ちょっと部屋で面白いもの見つけちゃってさ。」
岳人に気持ち悪いと言われ、滝は支障のない部分なら言っても大丈夫だろうとそんな言葉
を口にする。その言葉に思いきり反応してしまった鳳は、ガシャンとスープの上にスプー
ンを落としてしまった。
「おいおい、大丈夫かよ長太郎。」
「す、すいません!!ちょっと手が滑っちゃって。」
滝の言葉と鳳の反応から、跡部は二人が例のものを発見したのだということに気づいた。
「滝。」
「ん?何?跡部。」
「お前ら、一番初めに風呂入っていいぞ。」
「えー、ずっりぃ!!何でだよ!?」
「滝は俺様が仕掛けておいた宝物を見つけたらしいからな。その褒美だ。」
岳人のブーイングを跡部はさらっと流してみせる。やはり跡部の仕業だったのかと納得し
つつ、滝は笑顔で言葉を返す。
「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて一番風呂を頂くよ。」
「跡部、宝物ってなんだ?俺らの部屋にもあんのか?」
「俺様と同じ部屋だったら、隠す必要性が全くねぇだろ。岳人と忍足が泊まってる部屋に
は一応あるけどな。」
「マジで!?だってよ、侑士!後で探してみようぜ!!」
「宝探しか。なかなか面白そうやん。」
どんなものが隠されているかも知らず、岳人と忍足は宝探しだと言ってやる気満々になる。
そんな会話を聞いていて、鳳は軽く顔を赤らめていた。
「鳳、顔赤いけど熱でもあるのか?」
「そ、そんなことないよ!!気のせい気のせい!!」
「怪しいな。」
「何でもないってば!!」
鳳の様子があからさまにおかしいことに日吉も気づいていた。これは絶対何かがあると、
日吉は持ち前の好奇心を発揮する。
「後で確かめるか・・・」
「えっ?」
「別に。ほら、ぼーっとしてるとまた食器にスプーン落とすぞ。」
「あっ、うん。」
ボソっと何かを呟くのは聞こえたが、何を言っているかまでは鳳は聞き取れなかった。と
りあえず、今は夕飯を食べることに集中しようと、鳳は目の前にある食事を口に運び始め
た。
跡部の気遣いで一番にお風呂に入ることが出来た滝と鳳は、他のメンバーより少し早く、
部屋で自由に過ごせることになった。部屋に戻るとさっそく滝は玩具が散らばるベッドに
向かう。
「まずはこれをつけなきゃだよね。」
先程少しつけて遊んでいた犬耳つきのカチューシャを滝は鳳の頭につける。
「やっぱ、似合うね。可愛いvv」
「これ、やっぱ、恥ずかしいですよ〜。」
「こんなんで恥ずかしがってちゃダメだよ。これからもっと恥ずかしいことするんだから。」
にこっと笑って、滝はベッドに転がっているピンク色の瓶を手に取る。その中身を指に垂
らすと、滝は鳳の腰を抱き、スルッとズボンの中に手を滑り込ませた。
「ひゃあっ!?」
「少し慣らしておかないと、コレ、入らないでしょ?」
「でも、いきなりそんなトコっ・・・あっ・・・!」
「ちょっと弄っただけで感じちゃうんだね、長太郎は。」
「ふっ・・・ぅ・・・」
いきなり下の口を弄られ、鳳は困惑しつつも、しっかりと快感を得ていた。滝の指に絡ん
でいるローションのおかげで、それほど時間をかけずにそこはほぐれ、もっと大きなもの
を咥えても大丈夫だと言わんばかりに収縮し始める。
「ハァ・・・あ・・・」
「そろそろ平気そうだね。」
「本当に・・・そんなの入れるんですか?」
「うん。ちゃんと慣らしたから大丈夫。長太郎、絶対似合うと思うし。」
やはりそんな玩具を入れるのには抵抗があるなあと思いながらも、ここまでやる気になっ
た滝を止めることは出来ない。しかも、ちょっとどんなものかと期待している自分がいる。
本当に流されているなあと思いつつ、鳳は滝がそういうことをしやすいように、下に穿い
ていたものは自ら脱ぎ去ってしまった。
「下、邪魔ですよね・・・?」
「う、うん。まさか長太郎自ら脱いでくれるとは思わなかった・・・」
鳳の行動にドキドキしながら、滝は一番使ってみたかった玩具を手にする。そして、先程
使ったローションをたっぷりその挿入部に絡めると、目の前に立っている鳳のすっかりほ
ぐれた蕾に押し当てた。
「んっ・・・」
「ゆっくり入れるからね。」
出来るだけ鳳に負担をかけないように、滝はゆっくりとそれを鳳の中へと挿入してゆく。
思ったよりも平気かもしれないと思う鳳であったが、やはり異物が中へと入ってゆく違和
感は相当なものである。全てが入りきるまで、鳳はくっと唇を噛み、その違和感を堪えた。
「んっ・・・ハァ・・・」
「平気?長太郎。」
「は、はい・・・なんとか・・・」
「本当に尻尾が生えてるみたい。何かすっごいドキドキしてきちゃった。」
さらに犬っぽくなった鳳を前にし、滝の興奮度は一気に上がる。何気なくベッドの玩具に
目を落とすと、これまたピッタリの道具を見つけてしまう。
「長太郎、これもつけていい?」
「・・・何ですか?」
「首輪。今の長太郎にピッタリのアイテムだよ。」
もうここまできたら、断る理由などない。鳳は滝の言葉に頷いた。
「滝さんがつけたいと思うなら、別に・・・」
「やった。じゃあ、つけるね。」
カチャカチャと首輪も装着させると、鳳は完全に犬と化した。上だけを羽織って、下は何
も穿いていないという格好も、滝好みであり、その目を喜ばせていた。
「本当、長太郎犬みたい。可愛すぎだよ、もう。」
「あ・・あの・・・・滝さん・・・・」
「ん?どうしたの?長太郎。」
「何か・・・尻尾が入ってるとこがむずむずして・・・変な感じなんです・・・」
先程までは普通に話していた鳳だが、突然そんなことを言い出す。しかも、顔は紅潮し、
息も先程より多少乱れているように見えた。
「もしかして・・・」
思い当たるものはこれしかないと、滝は慣らすのと尻尾を入れるために使ったローション
の瓶の説明書きを見てみる。その説明書きを見て、鳳が何故こんな状態になっているかを
滝は理解した。
「あー、やっぱり。さっき使ったローションに、軽い媚薬っぽい効果のある成分が含まれ
てるみたいだね。」
「ハァ・・・どうすればいいですか・・・?」
「まあ、気持ちよくなれるってことだし、プラスに考えれば大丈夫。あっ、中がむずむず
するんだったら、スイッチ入れてあげるよ。」
そんなこと言いつつ、滝は中に入っている部分をバイブ化させるスイッチをオンにした。
突然の内側への刺激に耐えられず、鳳はその場に座り込む。
「ふあっ・・・ああ――っ!!」
「結構きいてるみたいだね。」
「あっ・・・滝さ・・ん・・・ひぅっ・・ああっ!!」
中のバイブが振動しているために、外に出ている尻尾もパタパタと動く。それはまるで、
犬が喜んで尻尾を振っているように見えた。
「長太郎。」
いったんバイブのスイッチを切って、滝は鳳の名前を呼ぶ。そして、しっかりとベッドの
上に座ると鳳に手を差し伸べた。
「おいで。」
「・・・はい。」
強い刺激はなくなったものの、尻尾が生えている部分はいまだに疼いている。そんな疼き
を早く何とかして欲しいと、鳳は滝の手を取り、ベッドの上に上がった。滝が手を離すと
膝をついているため、鳳はベッドの上で四つん這いになっているような格好になる。本当
に犬みたいだなあと思いながら、滝は再びバイブのスイッチを入れた。
「あっ・・・やぁっ!!」
「ふふ、尻尾振って喜んでるみたい。」
「た、滝さんっ・・・ふぁっ・・・ああっ・・・」
「ねぇ、そのままの格好で、俺のしてよ。」
「えっ・・・?」
内側を掻き回され、いっぱいいっぱいになっている状況でそんなことを言われ、鳳は戸惑
う。しかし、断続的に与えられる快感で、まともに頭が働く状態ではなかった。滝に言わ
れるまま、滝の足の間に顔を埋め、既にすっかり勃ち上がっている熱の塊を取り出す。
「はむ・・・んぅ・・・」
ためらいがちに目の前にあるそれを鳳は咥えた。その熱さと独特の味にくらくらしながら、
出来るかぎり口を動かそうとする。
「んっ・・・んん・・・ぅ・・・」
「すごく気持ちいいよ、長太郎。」
鳳の口での愛撫にぞくぞくしながら、滝はほんの少しバイブの振動を強くする。その瞬間、
鳳の尻尾はパタパタと激しく動き、快感が強くなった悦びを顕著に表していた。
「んんっ・・・んっ・・・んんっ!!」
「くっ・・・やるねー。」
内側を掻き回される快感に喘ぎながらも、鳳は懸命に滝のモノを咥え続ける。そんな鳳の
頭を滝は優しく撫でる。そんなほのかな刺激でさえ、鳳にとっては快感のゲージを高める
一つの要素となった。
「んっ・・・ぁ・・・」
滝の手が軽く動くたびに鳳の体は小さく震える。尻尾が振動して与えられる刺激と口の中
で高まる滝の熱。どちらも鳳にとっては、心地いいもの以外の何物でもなかった。
(どうしよう・・・気持ちよすぎて俺の方が先にイっちゃいそう・・・)
高まる快感を抑えられず、鳳の意識はだんだんと白んでくる。無意識的に滝に与える刺激
も激しいものになり、滝にも限界が近づいていた。
「んんっ・・・んっ・・・」
「ハァ・・・長太郎、もう・・・」
滝の切羽詰った声を聞き、鳳にも一気に絶頂の波が押し寄せる。次の瞬間、二人はほぼ同
時に限界を迎えた。滝の放ったミルクは達した衝撃で口を離してしまった鳳の顔にかかり、
鳳の放ったミルクは白いシーツを汚した。
『うっわあ・・・』
滝と鳳がそんなことをしているのをドアの隙間から覗いているのは、他の正レギュラーメ
ンバーの面々であった。跡部はもともと二人がこういうことをすることを知っていたし、
日吉は先程鳳の様子がおかしかった原因を探ろうと二人の後をこっそりつけていた。そし
て、岳人と忍足は自分達の部屋で見つけたものから、滝と鳳もそうではないのかと思って
ここへやってきていたのだ。来ていないのは、ご飯を食べてすっかり睡眠モードになって
しまったジローと今シャワーを浴びに行っている樺地くらいだ。
「跡部、宝物ってアレのことか?」
ダブルスのパートナーがすごいことになっているのを見て、宍戸はドキドキしながら跡部
に尋ねる。
「ああ、そうだぜ。」
「ありえへんわ。確かに俺らの部屋にも隠してあったけど。」
「見つけてマジビックリだぜ。でも、今の状況のがビックリかも・・・」
「さっき様子がおかしかったのは、こういうことだったのか。」
普段見慣れないものを見て、日吉は冷静を装いつつもかなり動揺している。岳人や忍足も
まさかとは思っていたが、本当に使っているのを見て、どちらの顔も真っ赤であった。今
の状況を見て、平気な顔をしているのは跡部くらいだ。
「でも、なかなか正しい使い方してると思うぜ、滝の奴。」
「正しい使い方も何も・・・使ってるものが正しくねぇよ。」
「けどよ、本当あーいうふうにしてると犬みてぇだよな、鳳。」
「せやな。あれが似合ってるあたりさすが鳳って感じやな。」
「ちなみに宍戸には、あれの猫バージョンを用意してあるぜ。」
「なっ、何ふざけたこと言ってやがる!!」
『しーっ!!』
あまりに大きな声を出すと覗いてるのがバレてしまうと、岳人と忍足は口のところに指を
あてて、宍戸を制止する。
「あっ、悪ぃ・・・」
もう少し覗いていたいと、宍戸は口を噤んだ。とりあえず、気づかれない限りは最後まで
見ておこうとそこにいたメンバーは口を閉じて、部屋の中の二人の動向に目を移すのであ
った。
「ふっ・・・ぁん・・・滝さん・・・」
バイブを弱にして延々と動かしたまま、滝は鳳の体のいたるところにキスをする。途切れ
ることのない気持ちよさと、滝の熱いながらも優しいキスが鳳の体をとろかせる。
(気持ちイイ・・・)
うっとりとしながら、滝の愛撫を受けていると、鳳は無意識に滝の背中に腕を回す。
「どうしたの?長太郎。」
「今・・・すごく・・気持ちイイ・・・です・・・あっ・・・だから、もっと・・・」
恍惚とした表情でそんなことを言われ、滝はぞくっと背筋に耐えがたい興奮が駆け抜けて
いくのを感じる。
(ヤバ・・・今のはマジでキた。)
もっとと言われたならば、そのリクエストに答えなければならない。もっていたリモコン
のスイッチをカチカチと一気に最強レベルまで動かす。
「ひっ・・・ああぁ―――っ!!」
「もっとして欲しかったんでしょ?どう?」
「あっ・・ひぁっ・・・ああ――っ!!」
「喋れないくらいイイんだ。」
ビクビクと体を震わせ、嬌声を上げる鳳を見て、滝はドキドキしてくる。あまりの鳳の可
愛さに口元を緩ませながら、今にも弾けてしまいそうな熱をきゅっと握る。
「ああっ・・・!?」
「もう少し気持ちイイままでいたいでしょ?だから、押さえててあげる。」
「いやっ・・・そ・・んな・・・」
「どうしても離して欲しかったら・・・」
「欲しかったら・・・?」
「俺のこと、『ご主人様』って言ってみて。一度、言われてみたかったんだよねvv」
こんな状態でそんなことを言われたら、そうするしかない。鳳は何のためらいもなしに、
震える唇で滝に向かってその言葉を放った。
「ご・・・ご主人様・・・」
「長太郎〜vv」
「も、もう・・・限界です・・・イカせてください・・・ご主人様・・・」
「っ!!??」
自分が求めていたものよりも、よりクオリティの高いセリフを言われ、滝は天にも昇るよ
うな気持ちであった。いまだに激しく振動をし続ける尻尾を荒々しく抜き去り、鳳の熱を
掴んでいた掌を開く。押さえるものがなくなったのと、尻尾を抜かれる刺激に、鳳は激し
い快感を感じながら達した。
「ひああぁぁっ!!」
鳳のセリフと乱れる姿にすっかり魅せられた滝はもう自分自身を抑えられなくなっていた。
先程と同じように四つん這いの格好にさせると、後ろからすっかり熱くなった楔を突き刺
す。
「んっ・・・ああぁっ!!」
すっかり敏感になっている内側を熱い楔で抉られ、鳳はぎゅっとシーツを握る。尻尾です
っかり慣らされた内側は滝の熱をほどよい力で締め付ける。
「長太郎の中、すっごイイ感じ。」
「はぁ・・・滝さんっ・・・あっ・・・ああっ・・・」
「尻尾、そんなに気持ちよかったの?」
「んっ・・はい・・・・でも・・・」
「でも?」
「滝さんの方が・・・何倍も気持ちイイです・・・・」
快感に喘ぎながら鳳はそんなことを口にする。そんな言葉を聞いて、滝の鳳へ対する愛し
さが一気に高まった。もっともっと鳳を満足させてやりたいと、鳳の一番弱い部分を中心
に滝は何度も穿つ。
「ひあっ・・・あぁ・・あぁんっ!!」
「ねぇ、さっきのご主人様ってのもう一回言って?」
「あんっ・・・ごしゅじん・・・さまぁ・・・」
「やっぱりクるね、そのセリフ。本当余裕なくなっちゃう。」
「あっ・・・ご・・しゅじんさま・・・気持ちい・・です・・・もっと・・・」
「長太郎・・・vv」
何度も『ご主人様』と口にする鳳に滝はもうメロメロだ。鳳のあまりの可愛さに滝は次第
に余裕がなくなってゆく。
「ハァ・・・ダメだ。そろそろ限界だよ、長太郎。」
「あっ・・・だったら、俺の奥に・・・滝さんのいっぱいください・・・・」
「いいの・・・?」
「はい・・・中が滝さんでいっぱいになる感覚・・・好きですから・・・」
「長太郎・・・」
そんなことを言われれば、鳳に対する想いは溢れんばかりに大きくなる。鳳の背中に口づ
けながら、滝は熱い蜜を鳳の奥へ向けて放った。
(お腹・・・気持ちいい・・・)
自分の中が奥の奥まで満たされる感覚に、鳳は果てしない幸福感を感じる。そんな感覚に
恍惚としながら、鳳自身も大きな絶頂の波に呑み込まれた。
行為が終わると、疲労感から鳳はぐっすりと眠り込んでしまった。首輪をしたままでは苦
しいだろうと思い、滝はそれを外してやり、頭についていた犬耳つきのカチューシャも外
す。
「ふぅ・・・」
服をしっかり着直すと、滝はドアの方へつかつか歩いて行き、覗いていたメンバーが逃げ
る隙を与えずにドア開ける。
『うわっ!!』
「バレてないとでも思ったの?」
「あ、あはは、俺らも宝物見つけちゃって、滝達がどういうふうに使うのか気になったか
らさ。」
「でも、随分楽しんでたみたいじゃねぇか。」
「まあね。跡部にしては、ナイスな気遣いだと思うよ。」
「滝の前の長太郎、マジ別人だな。」
「そりゃそうでしょ。てか、宍戸だって跡部の前じゃそんな感じなんじゃないの?」
「そ、そんなことねーよ!!」
「どうだか。それより、覗いてたこと長太郎には絶対言わないでよ。俺は大して気にしな
いけど、長太郎はそういうことすっごい気にするから。」
「せやなぁ。もし自分が同じ立場だったらって考えると、言われたないし。」
「確かに。そんなこと言われたら恥ずかしくて死にそうになるよな。」
同じ立場にある忍足と宍戸は、鳳の気持ちが痛いほどよく分かるようだ。そんな会話を軽
く交わした後、他のメンバーは自分達の部屋へと戻ってゆく。かなり激しい行為を見せつ
けられて、若干感化されているメンバーも少なからずいるのは確かであった。少なくとも
跡部や岳人はその一人だ。跡部達と別れると、滝は冷たい飲み物を買って、鳳の寝ている
部屋へ戻る。
「今日の長太郎は本当可愛かったなあ。」
飲み物を飲みながら、ベッドの上に座ると、何気なく鳳に視線を落とす。すーすーと気持
ちよさそうな寝息を立てている鳳の柔らかい髪に触れ、滝はふっと微笑んだ。
「明日もまたたくさん一緒に遊ぼうね。」
そんなことを呟きながら、滝は鳳の唇に軽くちゅっとキスをする。甘い雰囲気の中、滝は
大好きな鳳の寝顔を見ながら、幸せな気分に浸るのであった。
END.