ここは、寂びれた研究所の一室。今はもうほとんど使われていない建物であるため、滝は
この研究所を今現在研究していることの実験室として使用していた。外観がかなり重苦し
い雰囲気のために、その研究所に近づこうとするものはほとんどいない。それが滝にとっ
ては、好都合であった。そんな不気味な研究所に好んでやってくる人物が滝以外にももう
一人居た。
「滝さん、お茶淹れて来ました。」
「うん、ありがとう。そこに置いておいて。」
「はい。」
研究や実験に没頭している滝の側にいつも居て、その様子を楽しげに眺めているのは、滝
の後輩の鳳であった。学校が同じであるというだけで、鳳自身、滝の行っている研究や実
験に興味があるというわけではない。ただ、滝に大きな好意を寄せているので、いつでも
側に居たいと思い、こんなふうにこの研究所に居座っているのだ。
「調子はどうですか?」
「後もう一息って感じだね。ほとんどもう出来てるから、後は実際に実験してみるって感
じかな?」
「さすがですね。」
「ただ、その実験が問題なんだよねー。出来れば人間で試してみたいんだけど、人道的問
題っていうの?事が事だから、そう簡単に出来る実験じゃないんだよね。」
「へぇ、どんな実験なんですか?」
滝が研究しているのは、植物についてであることは知っているが、具体的にどんなことを
しているのかは、鳳は理解していなかった。そんな鳳の問いに、滝は困ったように笑う。
「人間と植物の生殖実験。人間と植物が交わって、種を作り出すことが可能かっていう感
じなんだけど。まあ、別に何の役に立つってわけでもないから、そんなに無理にすること
ではないんだけどねー。」
そう言う滝の顔はどこか残念そうな感じが漂っていた。生殖実験という言葉を聞いて、ド
キドキしてしまう鳳であったが、滝の役に立ちたいという気持ちがそれ以上に高まってい
た。
「あ、あの・・・滝さん。」
「ん?何?」
「その実験、俺じゃダメですか・・・?」
鳳のその言葉を聞いて、滝は顔色を変える。それは困惑とも取れ、期待とも取れる表情で
あった。
「・・・・冗談で言っているんだったら、怒るよ?」
「冗談なんかじゃないです!俺は、滝さんの役に立ちたくて・・・」
「その気持ちは嬉しいけど、本当に人体実験って感じだからね。生半可な気持ちでやられ
ても責任取れないよ。」
事が事であるため、滝は厳しい口調と表情で鳳にハッキリとそう言い放つ。しかし、鳳は
そう言われて、怯むのではなく、逆に覚悟を決めた。真剣な目をして、滝の顔をじっと見
据える。
「生半可な気持ちなんかじゃありません。俺、滝さんのためだったら、どんな実験にでも
耐えてみせます。何かあった時の責任も自分で取ります。」
「だったら、これから俺が言うこと約束出来る?約束出来るなら、俺は何の迷いもなく、
長太郎のこと実験台にするよ。」
そこまでの覚悟があるのならばと、滝はさらに鳳の気持ちの強さを試そうとする。
「まず一つ目。途中で嫌だって言い出しても俺は絶対に実験をやめない。それでも、俺の
ことを恨まない覚悟はある?」
「あります。」
「二つ目。一歩間違えれば、命に関わるまではいかないにしてもかなり危険な事だよ。そ
れでもいい?」
「・・・はい。」
「三つ目。実験が終わるまでは、ここからは出れないよ。ほとんど監禁状態になるけど、
それだからって、警察に通報したりはしないって、約束出来る?」
「俺がしたいって言ってることなんですから、そんなことはしないですよ。」
「四つ目。ここであったことは、絶対に他の人には漏らさないこと。俺と長太郎だけの秘
密だから。他の人に知られるといろいろ面倒だからね。」
「もちろんです。」
「だったら・・・」
ガタンと椅子から立ち上がり、滝は鳳の前に近付いてゆく。そして、鳳の頬に手を当てる
と、滝は妖しげな笑みを浮かべて、すっと顔を近付けた。
「―――っ!!」
「悪いけど、実験してる時の俺はいつもの俺とは別人だから。それは覚悟しておいてね。」
「は、はい。」
見たことのない滝の表情に鳳はドキっとしてしまう。しかし、そんな表情でさえも鳳にと
っては、滝の大きな魅力にしかなりえなかった。
実験をするということが決まって、鳳が連れて来られたのは、研究所の一番奥にある一際
大きな部屋であった。扉を開けると、そこには大小さまざまな植物が床から天井まで、び
っしりと生えていた。
「すごい・・・部屋ですね。」
「だろ?ここまで育てるの大変だったんだから。」
「香りも強くて、くらくらしてきちゃいます。」
その部屋の中は、薔薇にも似た花独特の香りが漂っていた。部屋の中に入り、バタンとそ
のドアを閉めると滝はあることを鳳に指示する。
「長太郎、下に穿いているものは全部脱いで。」
「えっ・・・?」
「そのままじゃ実験にならないからね。上は別に全部脱がなくてもいいからさ。まあ、ボ
タンは外しておいて欲しいけど。」
「はい。」
少し恥ずかしいが実験に協力したいと言い出したのは自分の方だ。滝に言われた通り、鳳
は下肢に身につけているものを全て脱ぎ去ってしまう。そして、上着のボタンも外し、胸
をはだけさせた。
「こ、これでいいですか・・・?」
「うん。」
「それで、どうすればいいんですか?」
上に羽織っているシャツで、大事な部分を隠しながら、鳳は滝に尋ねる。恥ずかしさに顔
を赤らめている鳳に、ほんの少しの興奮を覚えつつ、滝は部屋の中心へと歩いて行った。
「こっちにおいで、長太郎。」
「・・・はい。」
手招きをされ、鳳も部屋の中心部へと向かう。まさに部屋の真ん中と言える場所には、直
径が1m近くはあろうかと思われる大きな花が咲いていた。その大きさは世界最大の花、
ラフレシアほどの大きさではあるが、その様相はどちらかと言えば百合などに近い形状を
していた。
「すごく大きな花ですね。」
「これが俺の自信作。かつ、今回の実験で使う植物だよ。」
「えっ?」
「そういうわけだから、長太郎、この花を跨ぐように立ってくれる?」
「は、はい・・・」
花は大きいが、身長の大きな鳳にとってはその花を跨いで立つことなど、造作もないこと
であった。しかし、花を跨ぐということはある程度大きく足を開かなければならないとい
うことで、花の上に下肢を全て晒すことになってしまう。そんな状態にドキドキしながら、
鳳は滝の指示を待った。
「しばらくそのままでいてね。」
花から少し離れながら、滝は笑顔でそんなことを言う。言われた通り黙ってそのまま立っ
ていると、どこからともなく鳳の足や腕に向かい、蔓が伸び、その体を見動きの取れぬよ
う、絡め取ってしまった。
「やっ・・・な、何っ!?」
「これから、長太郎にはその花のめしべになってもらうよ。」
「め、めしべ・・・?」
「言っただろ?これは植物と人間の生殖実験だって。」
ニヤリと笑いながら、滝は身動きの取れなくなった鳳を眺める。これから何が起こるか分
からない恐怖に鳳は小さく震えていたが、決して嫌がる素振りは見せなかった。
シュルルル・・・
黙って立っていると、何本かの蔓が鳳の足の間に伸びてくる。その蔓の先からは滴るほど
の透明な蜜が溢れていた。鳳の双丘の中心に辿りつくと、花から伸びてきた蔓はその蜜を
まだ閉じている穴に塗りたくり、くにくにとそこを刺激する。
「ひあっ・・・!」
蜜で濡らされ、普段は滅多に触れることのない部分を弄られ、鳳はぶるりとその身を震わ
せる。しかし、そんなことなどお構いなしに、何本かの蔓は鳳のそこをじっくりと解して
いった。
「あっ・・・やぁ・・んっ・・・」
「そこでこの花と繋がるんだよ。どうしても嫌なら、やめてもいいよ。今ならまだ許して
あげる。」
まだやめられると滝はそんな提案をする。しかし、鳳は首を振ってその提案を拒否した。
そんな鳳に滝は満足気な笑みを浮かべる。
「そう。それじゃ、もうこんな提案はしないからね。最後まで、しっかり付き合ってもら
うよ。」
「んっ・・・は・・い・・・・」
ここまで来たらもう逃げるつもりなどないと、鳳はその言葉には頷く。太腿を伝い落ちる
ほどの蜜でじっくり慣らされたそこは、ひくひくと収縮を繰り返し、切ない疼きを鳳に与
えていた。
「あっ・・・ん・・・」
今までに味わったことのない疼きに鳳は顔を紅潮させ、息を乱す。いつの間にか、先程ま
で感じていた恐怖は綺麗さっぱりと消え去ってしまっていた。そんな鳳の下では、鮮やか
なピンク色の触手が顔を出し始めていた。花の中心から伸びるその触手は、鳳の解された
蕾に向かってその身を伸ばしてゆく。
ニュル・・・ズプンっ・・・
「あっ・・・ああぁんっ!!」
蜜で濡れたそこに花の触手はその身をもぐり込ませた。先程とは比べものにならないほど、
太く弾力のあるものが自分の体の中に入ってきたことに、鳳は驚愕しながらも、大きな快
感を感じてしまう。
「ここからが実験の本番だよ、長太郎。」
「は・・い・・・・滝さ・・・ん・・・」
滝の言葉に鳳は答える。中に入った触手はしばらくその入口を探るように蠢いた後、簡単
には抜けないようにとその身を膨張させた。
「ひあっ・・・ああっ!!な、中でおっきくなっ・・・て・・・あっ・・あぁ・・・」
無理矢理内側を拡げられる感覚に、鳳は体をのけぞらせる。もっと安定した状態になりた
いと、鳳の中に入った触手はその身を下に引いた。そんな触手に引きずられるように、鳳
は大きな花の上に尻餅をつく。足を大きく広げたまま、膝をつくような状態で座らされ、
鳳はそのまま動くことが出来なくなった。
「花と一つになった気分はどう?長太郎。」
「あ・・んっ・・気持ち・・・いい・・・です・・・」
「そう。それはよかった。痛かったり苦しかったりするのは、見てるこっちとしても辛い
からね。」
こうなることはある程度予測済みであったが、実際に鳳の口からその感想を聞いて、滝は
いい気分になる。これならいい感じに実験が進められそうだと、ふっと口元を緩ませた。
「中の触手がどんな動きをするか、出来る範囲でいいから教えて欲しいな。そういうデー
タも重要だからね。」
「は・・い・・・」
滝がそんなことを言った途端、鳳の中の触手は大きく動き出した。種付けのために、鳳の
中を探り始めたのだ。中に入り込んでいる触手はその先からさらに細い触手を何本も出し、
鳳の内側の奥へ奥へと入り込む。そして、内壁を突っついたり擦ったりしながら、更に先
へと進んでいった。
「ふあっ・・・ああぁ・・・中・・・中がぁ・・・はあぁっ・・・」
「中がどうしたの?」
「お腹の中・・・奥までっ・・・・ひっ・・あ・・・さわ・・触られ・・てっ・・・」
「どんなふうに?」
「くすぐられ・・・てる・・・みたいに・・・・ひぅっ・・・やっ・・・あぁんっ!!」
触手の分泌している液体の所為で、内側を探られる感覚は、鳳にとって快感にしかなりえ
なかった。鳳の言っていることで、滝は中の触手がどんな動きをしているのか、だいたい
予想が出来た。それをノートに書き留めると、滝はゆっくりと鳳に近付く。
「あっ・・あ・・・んぅ・・・」
「長太郎。」
快楽に身を震わせている鳳を見ていることで、滝自身も相当高まっていた。この昂りをど
うにかして欲しいと、滝は鳳にあることを頼む。
「た、滝さん・・・?」
「ねぇ、俺の、口でしてくれない?」
「・・・っ!!」
思ってもみない滝の要求に、鳳の心臓は壊れそうなほど跳ねる。大好きな滝の熱を咥える
など、そんな大それたことをしていいのかという気持ちが、快楽に支配されている心に生
まれる。
「い、いいんですか・・・?」
「もちろん。むしろ、して欲しくてたまらない。」
「分かり・・ました・・・・」
カチャカチャとベルトを外し、目の前に差し出されたそれを鳳は若干ためらいながら、口
に含む。その瞬間、先程よりも大きな快感が体中を駆け抜ける。
「ふぅ・・・んんっ・・・!」
「うわ、長太郎の口の中、熱いっ。」
「んっ・・・んんっ・・・ぅん・・・・」
種を生み出すためには他のものの花粉が必要である。花と繋がっている鳳にとっては、滝
のそれも十分に花粉の役割を果たすものの一つであった。それを体内に取り込もうと、無
意識に身体が反応し、それが快感という形で表れている。滝の熱を咥えながら、鳳自身も
本能的に湧き上がる甘い疼きにその身を震わせていた。
「すごい・・・長太郎、上手。」
「んくっ・・・ふっ・・・んんっ・・・・」
「これじゃ、そんなにもたないかも・・・・」
あまりにも夢中になって鳳が咥えてきてくれるので、滝はあっという間に限界まで押し上
げられた。早く滝の蜜を取り込みたいと思っている鳳は、大きく滝のそれを吸い上げる。
その瞬間、滝は鳳の口内に熱い雫を放った。
「くっ・・・長太郎っ!」
「んんっ・・・んっ・・・んん――っ!!」
滝の蜜が体内に取り込まれた瞬間、鳳も自身の蜜を茎の先から放った。滝の蜜が自分の中
へ取り込まれる快感。それは、今の鳳にとっては何物にも代えがたい大きな悦びだった。
一滴も残さず滝の蜜を飲み込むと、鳳は絶頂の余韻に浸りながら、艶めかしい表情で滝の
顔を見上げた。
「んっ・・・ハァ・・・滝さん・・・」
「な、何っ?長太郎。」
「滝さんの・・・もっと・・・飲みたいです・・・もっとください・・・」
激しく息を乱しながら、そんなことを言ってくる鳳に、滝はドキっとしてしまう。今しが
た達したばかりではあるが、そんな態度を取る鳳に興奮してしまい、あっという間に滝の
熱はその硬さを取り戻した。
「いいよ。いくらでもあげる。」
鳳の頭を押さえ、滝は再び自分の熱を咥えさせる。鳳に与えられる快感と日常では絶対に
味わえない興奮に浸り、滝はぞくぞくとその身を震わせた。存分に鳳に自らの雫を与える
と、滝は満足気に溜め息をつく。
「ハァ・・・最高だったよ、長太郎。」
「俺も・・・滝さんの・・・いっぱい飲めて・・・すごく幸せです・・・」
「幸せだなんて大袈裟だなあ。でも、そう言われると結構嬉しいもんだね。」
そんな会話を交わしていると、今まで大人しくしていた鳳の中の触手が突然動き始めた。
鳳の飲んだ滝の蜜が触手のいる場所まで届いたようで、その蜜を受け取り、触手は今まで
の中で一番重要な働きの準備をする。
「ひっ・・・んあっ・・・ああぁ――っ!!」
「そっか。俺のが花まで届いたんだね。」
「やっ・・・なっ・・・ひあぁっ・・・ああぁんっ!!」
鳳の中で触手は今までにないほど激しく動き、敏感になっている内壁を刺激する。そんな
刺激に鳳はビクビクと全身を跳ねさせ、甘い悲鳴を上げる。そして、次の瞬間、中にある
触手が大きく膨らんだ。
「くっ・・はあ・・・あっ・・あ・・・」
ドクン・・・ドクンドクン・・・・・
「んっ・・あっ・・・あああぁ――っ!!」
大きく膨らんだかと思うと、その先端から大量の蜜と何か大きなものが鳳の中へと放たれ
る。自分の内側が触手の放ったものでいっぱいになる感覚に、鳳は今までとは比べものに
ならないほどの快感を感じながら達した。鳳の中に放たれたもの。それは紛れもなくこの
植物の種子であった。
種子を鳳の中に埋め込んだことで満足した花は、今まで動けないようにしていた鳳の体を
自由にさせる。巨大な花に解放されてから、半日ほど鳳は深い眠りに落ちた。その間にも
滝は今までの実験の様子や鳳の体の変化などを書き、一切無駄な時間は作らなかった。
「よし、ここまでのデータはオッケーかな。」
滝がパタンとノートを閉じると、植物のベッドで眠っていた鳳が目を覚ます。目を覚まし
た瞬間、鳳は自分の体の違和感に気づく。
(何か・・・お腹の中が熱い・・・・)
そう思った瞬間、ゾクっと全身が痺れるような感覚が走る。
「んあっ・・・あぁっ!!」
「長太郎?どうしたの?」
「お腹の中が・・・変です・・・熱くてっ・・・ひっ・・あ・・・」
「ああ、それは当然だよ。だって、長太郎のココにはあの花の種が入ってるんだから。」
「た、種・・・?」
外からの見た目には何ら変わりはないが、自分の内側に感じる感覚から何かがあるのは確
かであった。ゆっくりと滝が種の埋め込まれた腹部をさすった途端、中の種がドクンと動
き始める。
「はっ・・あぁんっ・・・」
「種は実の中に入ってるからね。長太郎の中では、きっと実が出来てるんだよ。」
「あっ・・・中が擦られて・・・ひぅんっ!!」
短時間である程度の大きさまで成長した種、もとい果実は、鳳の内側をゴリゴリと擦り上
げながら、外に出ようと動き出す。中の果実が動くたびに鳳は激しい快感を感じてしまい、
ビクビクとその身を痙攣させる。
「た、滝さ・・ん・・・・あっ・・・ああ・・・」
あまりにも強い快感に、鳳は滝にしがみつきながらその刺激に耐える。しかし、時が経つ
につれ、激しい快楽の波は大きくなり、波の幅もだんだんと狭まっていった。それはまる
で、出産の時の陣痛の間隔が短くなっているのに似ていた。
「あっ・・あっ・・・あぁんっ・・・も・・・ダメぇ・・・ひ・・ああぁんっ!!」
快感の波がもう波でなくなり、ある程度の長さの絶頂感が続くようになると、鳳は姫林檎
ほどの大きさの果実を生み落とした。それと同時に、前の熱からはトロトロの白濁の蜜が
放たれる。
「んっ・・・あ・・・ハァ・・はっ・・・」
一つの果実を生み落とすと、少しはその快感の波から解放されるが、鳳の中にはまだまだ
いくつもの果実が残っていた。しばらくするとすぐに、また、先程と同じような激しい快
楽の波が襲ってくる。
「ひあっ・・・はあぁんっ・・・あっ・・ああ――っ!!」
一つ、二つ、三つと次々に小さな果実が産み落とされる。その度に鳳は、快楽の高みまで
押し上げられ、何度も何度も絶頂を迎えた。
「あっ・・・ひぃんっ・・・ま、また・・・あっ・・・あああぁんっ!!」
中にある果実を産み落としながら、何度も果てる鳳を前にし、滝は今までに感じたことの
ない倒錯的な興奮を感じる。いつの間にか、滝の熱は限界ギリギリまで高まっていた。
「長太郎・・・」
しっかりと自分にしがみついている鳳の体を抱きながら、滝は呼吸を乱す。しばらくする
と、鳳は少し落ち着いたように呼吸をし始めた。
「もう・・・全部・・・出ていったみたいです・・・・」
「そ、そう。」
全ての果実が自分の外へ出て行ってしまうと、鳳は体の中が空っぽになってしまったよう
な感覚に陥り、どうしようもなく切なくなってくる。何かで自分の中を満たして欲しいと
いう疼きが、鳳の心を支配していった。
「た、滝さん・・・」
「何?」
「中・・・空っぽになっちゃって・・・・このままだと、おかしくなっちゃいそうです。」
「う、うん。」
「だから・・・滝さんのコレ・・・・俺の中に入れてください・・・・」
滝の熱が相当高まっていることは、鳳も気づいていた。顔を紅潮させ、息を乱しながらそ
んなことを言ってくる鳳は、形容し難いほど艶めいていた。そんな鳳のおねだりに、滝の
理性の糸はぶっつり切れる。勢いよく鳳を押し倒すと、滝は自身の熱ですっかりとろけて
いる蕾を容赦なく貫いた。
「ひあっ・・・ああぁんっ!!」
「ゴメン、長太郎。もう自分で自分がコントロール出来ない。」
「はっ・・あんっ・・・いいです・・・壊れるくらい・・・・いっぱい俺のこと・・・・
犯してください・・・・」
「長太郎っ・・・」
甘い花の香りと現実離れした状況に呑まれ、二人はお互いの体を求め合い、体がとろけて
しまいそうなほど、何度も何度も交わり合った。繰り返し訪れる快楽の波に溺れ、二人は
蜜の園へと堕ちていくのであった。
それから数日が経って、二人はいつも通り、自分達しかいない研究所で他愛もない話をし
ていた。そんな中、鳳はあることに気づいた。
「あっ、滝さん!!」
「ん?どうしたの、長太郎?」
「見てください。この前の植物の種、芽が出てますよ!」
「本当に?」
鳳の言う植物の種というのは、まさに鳳が産み落とした果実から取れた種のことであった。
これも研究の一環だということで、滝が鉢に植えて、部屋に置いて観察していたのだ。
「本当だ。ちゃんと芽が出てるね。」
「なんか俺の体の中で出来たとは言えども、こうやって芽が出て育ってくれると嬉しいで
すね。半分は滝さんの種で出来てますしね。」
「あはは、確かにそうだね。これは観察のし甲斐があるなあ。」
「どんな花が咲くんですかね?」
「さあ、どうだろう?でも、きっと綺麗な花が咲くよ。何たって俺と長太郎の子供みたい
なものだからね。」
滝の与えた蜜で出来た種であり、それは鳳の中で果実になった。そう考えると、ある意味
子供のようなものであると、二人はまだ生えたばかりの小さな芽に、大きな愛着を抱いて
いた。
「長太郎のおかげで、すごくいい研究成果が得られたよ。あんな無茶苦茶な実験しちゃっ
てゴメンね。」
「いえ、あの実験・・・気持ちよかったですし。滝さんともっと仲良くなれたんで、俺は
全然大変だったなんて思ってませんよ。」
「さすが長太郎だね。でも、本当ありがとう。感謝してるよ。」
「俺に出来ることがあれば、何でも言ってください。あーいう実験も大歓迎ですよ?」
「長太郎ってば、エロいなあ。」
「そ、それは滝さんだって、そうでしょう?」
「あはは、確かに。それじゃまた、お願いしちゃおうかなあ。」
「でも、あんまり頻繁にはやめてくださいね。体が持ちませんから。」
「はは、分かってるって。」
実験はかなり無茶苦茶なものであったが、二人にとってはかなり有意義な実験だったよう
だ。数日前とは比べものならないような、ほのぼのとした雰囲気の中、二人は目の前にあ
る新しい命を、実に嬉しそうな表情で眺めるのであった。
END.