薄暗い社の中、小さな窓から細い光の筋が差し込んでいる。神棚の上に腰掛けている滝は
興味津津に法具を手に取り、キラキラと瞳を輝かせている鳳を眺めていた。
(んー、何か最近ちょっと刺激が足りないんだよなあ・・・)
暇さえあれば、様々な方法で鳳とまぐわいを交わしている滝だが、もともと嗜虐心の強い
気性が故、いつもの仕方ではどこか物足りなさを感じていた。しかし、意味もなく鳳を傷
つけるような責めをするのは気が引けた。そんなことを考えながら、小さく溜め息をつい
ていると、鳳の方から何かが割れるような音が響く。
ガシャンっ!!
「あっ!!」
何があったのだろうと、そちらの方へ歩いて行くと、鳳の足元に水晶で出来た法具が綺麗
に二つに割れて落ちていた。
「あらら、割れちゃってるねー。」
「ご、ごめんなさい、滝さん・・・」
大切な法具を壊してしまったと、鳳は涙目になっていた。そんな鳳の様子を見て、これは
いい口実になると滝は妖しく口元を緩ませる。
「これ、すごく大事な法具だったんだよね。」
「本当にごめんなさいっ!!」
「長太郎。」
「は、はい・・・」
「お仕置きね。」
ニッコリと笑顔で滝はそうハッキリと言い放つ。お仕置きという言葉を聞いて、鳳はビク
ッと体をこわばらせ、今にも溢れてしまいそうなほど、目にいっぱいの涙を溜めた。
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・・」
「お仕置きをちゃんと受けたら、許してあげるよ。」
必死で謝る鳳だが、激しいことをしたいと思っている滝がそう簡単に許すはずがなかった。
じりじりと壁際に追い詰めると、滝は鳳の割ってしまった水晶の法具の欠片を手に取る。
そして、鋭利な刃物のようになった先端を自分の手首にあて、すっと肌の上を滑らせた。
「た、滝さん・・・?」
一筋の赤い線が現れたかと思うと、そこから深紅の血液が流れ出す。何がしたいのか分か
らず、鳳はビクビクしながら滝を見た。
「長太郎、上を向いて口を開けて。」
「えっ・・・?」
「ほら、早く。」
手首を切ったのとは逆の手で、滝は鳳の髪を掴み、強制的に上を向かせる。これ以上滝の
言葉に逆らってはいけないと、鳳はおずおずと口を開けた。控えめに開いた口の中に、滝
は自分の腕から流れる血を注ぎ込む。
「ふあっ・・・・」
「飲んで。俺の血、すごく美味しいから。」
意味ありげな微笑を浮かべて、滝は自らの血液を鳳に飲ませる。滝は豊穣の神なので、そ
の血液は、人間の血液のように鉄くさいものではなく、収穫したばかりの果実にも似た瑞
々しい味であった。
「んっ・・・はぁ・・・」
何度か息つぎをしながら、鳳は滝に与えられるままその紅い液体を飲み込んでゆく。もう
十分だと思うほど与えると、滝はすっと手を離し、その傷口を消した。
「美味しかったでしょ?」
「・・・・はい。」
お仕置きをされると思っていた鳳は、どうしてそんなことをされたのかが全く理解出来な
かった。滝の態度を見ても、怒っているというよりは、むしろ嬉しそうな感じであった。
それからしばらくは、滝は鳳に対して何も手を出さず、ただ向かい合うように座り、口元
に笑みを浮かべたまま鳳の様子を窺っているだけであった。しかし、鳳の方は明らかに先
程とは違う様子で、壁によりかかっていた。
「んっ・・・は・・・ぁ・・・」
自分の身体を抱くようにして、鳳はその身を壁に預け、呼吸を乱している。それもそのは
ず、先程滝に飲まされた血液が体内に吸収され、自分の血液と混ざり合い、体中を巡って
いる。体中を巡る滝の血液は、鳳の体を内側から犯していた。頭の中から指先まで、全身
を余すことなく蹂躙されているような感覚に囚われ、鳳は身悶える。
「ふあ・・・んっ・・・あぁ・・・・」
そんな様子の鳳を見て、滝は嗜虐的な笑みを浮かべ、そっと鳳の頬に手を添える。ただそ
れだけのことでも、鳳は大きくその身を震わせた。
「あっ・・・ああ・・・・」
「どうしたの?そんなに可愛い声上げて。」
「た、滝さん・・・・」
何もされていないのに、激しい疼きと快感を感じてしまう体を持て余し、鳳はどうしよう
もなく被虐的な気分に陥る。どんな方法でもいいからこの身を苛んで欲しい、そんな欲求
が鳳の中で大きくなってゆく。それを見透かしているかのように、滝は先程鳳が壊してし
まった法具の話を持ち出した。
「長太郎、さっき俺の大事な法具、壊しちゃったよね?」
「はい。」
「許して欲しい?」
「・・・はい。」
「じゃあ、どうすればいいんだっけ?」
「お仕置きしてください・・・」
赤く染まった頬で、呼吸を乱し、瞳を潤ませながら、鳳はしっかりと滝の目を見て、そう
言い放った。鳳の口からその言葉を聞いて、滝の嗜虐心に完全に火がつく。
「それじゃあ、こっちにおいで。長太郎。」
「はい・・・」
立ち上がり、神様らしいオーラを纏った滝に手招きされ、鳳はゆっくりと立ち上がる。そ
して、たくさんの法具がある社の奥に導かれて行った。
滝がお仕置き道具として、まず初めに用意したのは、金色に輝く立派な神輿であった。普
通の神輿と違い、そこにある神輿は屋根の傾斜がきつく、その上には通常ならあるべきは
ずの鳳凰の飾りも乗っていなかった。
「俺を祭るための神輿だよ。結構豪華だろ?」
「・・・はい。」
「今日は特別に、これに長太郎を乗せてあげる。」
そう言うと、滝は鳳の腕を後ろ手に縄で縛ってしまった。そして、法具入れの中から少し
大きめの九鈷杵を取り出し、それを神輿の上に結合させる。ひょいっと飛び上がり、神輿
の上に腰掛けると、滝は鳳に向かって手を伸ばした。鳳に向けて真っ直ぐに伸ばされた指
をくいっと上げると、鳳の体がふわっと宙に浮く。そのまま神輿の上まで移動させると、
滝は強制的に鳳の足を開かせた。
「えっ・・・な・・・?」
「ふふ、ここからが本番。」
ふっと笑うと、滝は九鈷杵が鳳の蕾に触れるようにその体をゆっくりと下ろしていった。
「やっ・・・た、滝さんっ!!」
鳳の意識とは関係なしに神輿の上の九鈷杵は柔軟性のある蕾に食い込んでゆく。鳳の蕾が
神輿の上の九鈷杵をしっかりと咥え込んだのを確認すると、滝はふと神通力をといた。そ
の瞬間、重力に従い、鳳の体は一気に下に落ちた。
ズンっ
「くっ・・あああぁ―――っ!!」
貫かれるように九鈷杵が奥の奥まで突き刺さる。内壁を凹凸の激しい法具で擦られ、鳳は
その衝撃に悲鳴を上げる。
「あっ・・・あ・・・滝・・さ・・・」
「慣らしもなしできっちり飲みこんじゃうなんて、さすがだねぇ。」
「いきなり・・・こんな・・・無理・・です・・・・」
涙をボロボロ溢しながら、鳳は助けを求めるように滝を見る。しかし、滝はもっと激しい
責めを与えてやろうと、指を鳴らした。すると、鳳の中に収まっている法具が激しく振動
し、回転し始めた。
「んああぁぁっ・・・・ああぁ――っ!!」
「痛いのは嫌でしょ?ちゃんと気持ちよくさせてあげるから。」
滝がそう口にした瞬間、鳳の体はヒクっと跳ねる。先程飲ませた自分の血を法具の触れて
いる部分に集中させ、その感度を上昇させた。自らの体重で九鈷杵は限界まで奥に食い込
み、さらに激しく動いている。感じやすくなった部分をそんなふうに嬲られれば、すぐに
限界はやってくる。
「ひあっ・・・んああ・・・・あっ・・・ああっ!!」
「お仕置きなのに、随分気持ちよさそうだね、長太郎。」
「あっ・・・こんな・・・激しいの・・・も・・・ふああぁ――っ!!」
滝の与える激しい責めに耐えられず、鳳は真っ白な蜜を勢いよく放つ。放たれた蜜は黄金
色の神輿に飛び散り、雫となってその屋根を飾った。
「あっ・・・ふあっ・・・あ・・・」
絶頂を迎えても内側の法具は動き続ける。なかなか治まらない快感の波に、鳳はビクビク
とその下肢を震わせる。
「こんなに御神輿汚しちゃって。長太郎は悪い子だねー。」
「ご・・・ごめんなさ・・・・」
「そんな悪い子には、もっとキツイお仕置きをしてあげなきゃね。」
「やっ・・・本当に・・・ごめんなさいっ・・・許してくださ・・・」
「始めにも言ったでしょ?ちゃんとお仕置きを受けたら、許してあげるって。」
嗜虐的な笑みを浮かべ、滝は真っ赤な紐のついた大きな鈴をその手に上に出す。宙に浮い
ているその鈴は、滝が手を動かすと同時に、鳳の足首と太腿の辺りに移動した。滝の指が
動くのに合わせて、赤い紐が鳳の両足首と両太腿に絡みつく。四つの鈴が鳳の足につけら
れると、滝はその鈴を垂れさせた。
「ひ・・ぎっ・・・!?」
「その鈴、見かけによらず、すごく重いんだよね。一つ三瓩はあるかな?」
「あっ・・・屋根と・・中のが・・・・食い込んで・・・・ひぅっ・・・」
合計で十二瓩の重りをつけられ、鳳は屋根と法具がさらに奥まで食い込んでくる感覚に身
悶える。しかし、滝はただ重りを付けるだけでは終わらせなかった。再び神通力を使い、
鳳の足に付けられた鈴を同時に持ち上げる。持ちあげられる鈴に引きずられ、鳳の体もゆ
っくりと持ち上がっていった。ずるずると法具が自分の中から抜けてゆく感覚にも、鳳は
感じてしまう。
「んっ・・ああ・・・・ひぁっ・・・」
スムーズに抜くためか、先程まではあれほど激しく蠢いていた法具はその動きを止めてい
た。一番太い部分も抜け、もう少しで全て抜けるというところで、滝は鈴を持ち上げるの
をやめる。
「ああぁ・・・抜けちゃ・・・」
鳳が思わずそんなことを呟くと、滝はニヤリとその口元を緩ませる。そして、今まで鈴を
持ち上げるために使っていた神通力をいきなりといた。
チリンっ・・・チリリンっ・・・チリンっ!!
浮かされていた力を失った四つの鈴は、勢いよく下に向かって落ちる。そんな鈴に引っ張
られ、鳳の体も先程より勢いよく下に落ちた。自分の体重に鈴の重さが加わった勢いで、
抜ける寸前だった法具は、再び鳳の中に突き刺さる。その衝撃は、形容し難いほど大きな
もので、鳳は悲鳴にも似た声を上げた。
「ひぎっ・・・あああぁぁ―――っ!!」
しかも、鳳の最奥に触れた瞬間、その法具は先程と同じように激しくその身を振動させ、
回転させ始める。あまりに強すぎる刺激に、鳳はあっという間に絶頂を迎え、気を失って
しまいそうなほどの大きな快感にその身を支配された。
「ああぁ・・・あっ・・・ひああぁ―――っ!!」
「最高だよ、長太郎。その声も顔もたまらない。」
「ひあっ・・・た・・滝さ・・・ん・・・あっ・・・ああ・・・」
「まだまだ続けるからね、長太郎。」
本当に楽しそうに笑う滝の顔を見て、鳳は絶望感と期待感を同時に感じる。鳳の反応に味
を占めた滝は、何度も何度もその責めを繰り返した。澄んだ鈴の音と共に鳳の嬌声が社内
に響き渡る。滝が満足するまで、鳳は法具の上に何度も落とされ、内側を掻き回され、数
えきれない程の絶頂を迎えた。滝がその責めに飽きる頃には、神輿の屋根が鳳の放った雫
でうっすらと雪が積もっているかのように白く彩られていた。
何十回と数えきれない程達し、鳳の表情は虚ろなものになっていた。そろそろこの責めは
終わりにしようと、滝は神輿から床へ下り、鳳も下ろさせた。腕をしばられているために
上半身は床につけた状態で、滝は鳳の腰を上げさせる。目の前に晒された双丘はすっかり
と濡れそぼっており、中心にある蕾はひくひくと震えていた。そんな蕾に滝はゆっくりと
舌を這わせる。
「んっ・・・あ・・・」
激しい責めに耐えた蕾をいたわるかのように、滝はじっくりとそこを舐め味わう。先程の
刺激とは打って変った甘くとろけるような快感に、鳳は子犬のような声を上げる。
「く・・・ぅん・・・あっ・・・あん・・・」
「長太郎の出す蜜は本当に美味しいね。たくさん弄られて、女の子みたいにココからもい
っぱい蜜が溢れてるし。」
「はぁ・・・あ・・ん・・・滝さ・・ん・・・」
「もっと舐めて欲しい?」
「は・・・は・・い・・・・」
あまりの気持ちよさに鳳は素直に頷いてしまう。少しはこんな優しい責めも加えてあげな
いとと、滝はしばらくそこを舐め続けた。絶妙な滝の舌技に鳳は、すっかりとろけた様子
で甘ったるい声を漏らし続ける。十分に鳳の蜜を味わうと、滝はそこから口を離し、ぺろ
っと自分の唇を舐めた。そして、自らの袴に手をかけ、すっかり昂ぶっている楔を今まで
舐めていた蕾に押し付ける。
「あっ・・・滝さんっ・・・!」
「入れるよ、長太郎。」
しっかりと腰を捉え、滝は熱い楔を鳳の中へゆっくりとねじ込んでゆく。滝が自分の中に
入ってくる感覚に、鳳はビクビクとその身を震わせ、しっかりと滝の熱を受け入れる。
「ふあっ・・・あっ・・・あぁんっ・・・!」
「長太郎のココは、俺のコレが大好きなんだね。すごく美味しそうに飲み込んでいくよ。」
「あっ・・・滝さんの・・・中に・・・ああぁ・・・・」
「こうした方がもっと奥まで入るよね。」
そう言いながら、滝は鳳の体を起こし、神棚の上に腰掛けた。膝の上に乗せられるような
状態になり、滝と鳳はさらに深いところで繋がる。
「あっ・・・ああぁんっ!!」
「ふふ、気持ちいい。長太郎の中、すっごい居心地がいいよ。」
「ふあっ・・・あ・・・ああ・・・」
鳳も滝が自分の中に居ることに果てしない心地よさを感じていた。いい感じに感じてくれ
ている鳳の様子を見ながら、滝はふとまた嗜虐的な衝動に駆られる。今度はどんな理由で
責めようかと考えていると、鳳の白い蜜で彩られた神輿が目に入った。
「ねぇ、長太郎。」
「は・・・い・・・」
「さっきのあれで、俺の神輿だいぶ汚してくれたよね?」
「えっ・・・?」
「神輿をあんなに汚しちゃうなんて、長太郎はやっぱり悪い子だねぇ。」
ふと神輿を見てみると、確かに自分の放ったものでだいぶ汚れてしまっていた。これは言
い訳出来ないと、鳳は再び謝罪の言葉を口にする。
「ご、ごめんなさいっ・・・滝さん・・・」
「俺的には長太郎みたいな悪い子大好きだけど、やっぱり悪い子にはお仕置きしなくちゃ。
ね、長太郎。」
「やっ・・・」
口では嫌だと言っているが、鳳は心のどこかで滝にお仕置きされることを期待していた。
今度はどんなお仕置きをされるのか、そう考えただけでも、胸の奥が熱くなる。
「あんなに神輿を汚しちゃうココは塞いであげなくちゃね。」
そんなことを言いながら、滝は懐から一本の紅い蝋燭を取り出した。火のついていない芯
の部分にすっと手をかざすと、真っ赤な火がぼうっとつく。目の前で揺れる炎を見て、鳳
は恐怖と興奮の入り混じった表情を浮かべる。
「や・・・嫌っ・・・」
「大丈夫。今の長太郎の体は火傷なんてしないから。ほら。」
割り開かれ、剥き出しになっている太腿に、滝はポタリと紅い雫をを垂らす。
「ひっ・・・!!」
確かに熱いと感じるが、それは火傷をしたときのような痛みは伴っていなかった。その何
とも言えない感覚に、鳳の鼓動はドキドキと速くなってゆく。
「まずはある程度蝋を溜めなきゃね。一滴二滴じゃ面白くないもの。」
しばらく燃える炎を眺めながら、滝は蝋が溶けるのを待つ。だんだんと蝋燭の上部に溶け
た蝋が溜まっていくのを見て、鳳は言いようもない恐怖に涙を浮かべる。
「そろそろいいかな?」
「た、滝さん・・・や・・やめてくださ・・ぃ・・・」
「やめない。」
にっこりと笑いながら、きっぱりそう言い放つと、滝は鳳の震える茎に向けて蝋燭を傾け
た。紅い熱の雫が濡れた茎の先に滴り落ちる。
「ひっ・・・ああぁぁ―――っ!!」
鳳の悲鳴が上がったと同時に、滝の楔を咥え込んでいる内側はぎゅうぎゅうと激しい収縮
を繰り返す。
「くっ・・・すごい。」
「あっ・・ひぅ・・・ああ・・・あっ・・・・」
「もっと垂らしてあげる。お仕置きだからね。」
今の刺激をもう一度味わいたいと、滝は再び鳳の茎に向けて紅い雫を注ぐ。茎全体を熱い
ベールで覆われる感覚に、鳳はひどく感じていた。その刺激は達してもおかしくないほど
強いものであったが、蜜の出口が蝋によって塞がれてしまっているが故に、達することが
出来ない。その大きすぎる快感は、内側の収縮という滝に快感を与える要素に変わり、放
出という終わりがないために、いつまでも収まることがなかった。
「ひっ・・あ・・・ああっ・・・ああぁ――っ!!」
蝋が垂れるたびに、鳳の蕾は滝の楔をぎゅうぎゅうと締めつけ、滝に強すぎるほどの刺激
を与える。断続的に限界まで高まっている熱に刺激を与えられ、滝はほどなく達してしま
う。熱の雫の熱さと内側に注がれる蜜の熱さに、鳳はビクビクとその身を跳ねさせた。
「あっ・・・ああぁぁんっ!!」
しかし、鳳自身が蜜を放つことは出来ない。出口のない熱の快感に鳳はとにかく声を上げ
ることしか出来なかった。
「ああっ・・・ひあっ・・・・ああぁ・・・」
「これ、すごく感じるよ、長太郎。もっとしたい。」
「あ・・・やっ・・・も・・・嫌ぁ・・・」
「長太郎も気持ちイイんでしょ?」
そんなことを言いつつ、滝は鳳の茎を覆っている紅い蝋をペリペリと剥がし、何もないま
っさらな状態に戻す。固まった蝋を剥がされる感覚と滝の手で直接そこに触れられる感覚
に、出口を塞いでいた蝋を剥がされた瞬間、鳳は達してしまう。
「ひあぁぁんっ!!」
「蝋を垂らしても感じるし、剥がしても感じるし、長太郎の体は本当にエッチだね。」
「だ・・・だって・・・・滝さんがぁ・・・・」
「俺のすること、全部気持ちイイんでしょ?そんなに感じてくれてるなら、今のもっとし
てあげる。俺もすごい気持ちよくなれるしね。」
「あっ・・・やあぁ・・・・」
既に鳳の放つ拒絶の言葉は拒絶の意味を持っていなかった。熱い雫を垂らすたびに放たれ
る鳳の嬌声と激しく蠢く鳳の内側に滝はすっかり夢中になっていた。しばらくそんなこと
をして、滝は何度も鳳の中に熱い雫を注ぐ。その責めに十分満足すると、滝は鳳の茎を覆
っている真っ赤な蝋を綺麗に剥がしてやり、いったん自分自身を鳳の中から抜いた。
「ひぅっ!!・・・あっ・・あ・・・ん・・・」
腕を縛っていた縄もほどいてやり、ゆっくりと床に鳳を押し倒す。そして、すっかりトロ
トロに濡れた蕾に、再び滝は自分自身を突き入れた。自由になった鳳の手に自分の手を絡
め、滝はゆっくりと小さく開かれた唇にキスをする。
「んっ・・・ふぅ・・・」
「ねぇ、長太郎。」
「は、はい・・・・」
「俺は、長太郎のことがすっごく大好きだよ。このままずっと繋がってたいくらい。」
「・・・滝さん・・・・」
「でも、あんなお仕置きするし、長太郎の言うことは聞かないし、こんな俺は嫌い?長太
郎。」
試すようにそんなことを尋ねる滝の言葉に、鳳はすぐに首を振る。
「嫌いじゃ・・・ないです・・・・」
「本当に?適当な理由つけて、こんなひどいことするんだよ?」
「でも・・・滝さんは・・・・俺のこと・・・・嫌いだからっ・・・こういうことするん
じゃない・・・ですよね・・・?」
「もちろん。大好きだから、長太郎のいろんな顔を見たくて、いろいろしたくなっちゃう
んだよ。嫌いだったら、むしろ何もしないよ。」
「だったら・・・・」
滝が心から自分のことを想ってくれていることを確かめると、鳳は苦しそうに息を吐きな
がら、ニッコリと笑って見せた。
「俺は滝さんにどんなことされても・・・・滝さんのこと、大好きです・・・・滝さんが
俺のこと必要としてくれるなら・・・ずっと、俺は・・・滝さんのものです・・・・」
嘘偽りのない鳳の素直な言葉を聞いて、滝は胸がいっぱいになり、心の中が満たされる。
鳳に対する想いが無限に膨れ上がり、その瞬間、豊穣の神としての力が一気に溢れ出した。
「長太郎・・・・」
辺りが眩しいほどの光に覆われ、一際強い光が二人の体を包む。抑えきれない力に滝は全
身が震えるのを感じる。鳳の中に熱い蜜を迸らせ、滝は幸福な絶頂感に震え、鳳の名前を
呟いた。
「ふあっ・・・ああぁ・・・・」
全てが滝と同化してしまうような感覚に、鳳も甘い絶頂を迎える。お互いに対する想いを
放ちながら、二人は眩しい光の闇の中に、どこまでも深く突き上げられていった。
あまりの大きな絶頂感に鳳はしばらく気を失ってしまっていた。数時間が経って、鳳はや
っと目を覚ます。甘い気だるさの中、一番始めに鳳の目に映ったのは、優しく微笑む滝の
顔であった。
「おはよう、長太郎。と、言ってもおはようの時間では全然ないんだけどね。」
「滝さん・・・」
滝の膝を枕に寝かせられていた鳳であったが、あまりのその心地よさにしばらく鳳はぼー
っとしてしまっていた。
「まだ眠い?」
「少し・・・・」
「そっか。まだ休んでていいよ。」
「はい。」
再び目を閉じようとする鳳の目にそっとキスをした後、穏やかな吐息の漏れる唇にもキス
をする。そんな穏やかな雰囲気に、鳳は満たされた気分で滝の顔にもう一度目を移した。
「寝てて大丈夫だよ?」
「今ので、目が覚めちゃいました。」
「なら、少し外に出てみる?」
「えっ?」
突然の滝の提案に鳳は驚きを隠せない。この社に生贄としてやってきた日から、外に出る
ことは一度もなかった。そんな状態であったのに、いきなり外に出ようとはどんな心境の
変化だろうと、鳳は驚いたように滝の顔を見る。
「そろそろ収穫の季節だろ?今年はすごいよ。長太郎のおかげでね。」
「どういうことですか?」
「とにかく見てみれば分かるって。」
ふふっと楽しげに笑いながら、滝は鳳を連れて社を出る。久し振りの外の空気に鳳はドキ
ドキしつつ、滝の着物を掴んだ。そんな鳳を抱き、滝は空に向かって飛び上がる。
「うわっ・・・」
「しっかり掴まってて。」
「は、はいっ。」
鳳を抱えたまま、空を飛び、滝は鳳のもと住んでいた村が見渡せる大きな木の上に下り立
った。そこから見える村の様子を見て、鳳は感嘆の声を上げる。
「・・・すごい。」
「約束だからね。鳳が側に居てくれる代わりに村を豊作にするって。」
木の上から見える村は、米も野菜もこれ以上ないというほどたわわに実っていた。これだ
け豊作であれば、十分に村は発展してゆける。笑顔で収穫をしている村人を想像し、鳳は
嬉しくなる。
「ありがとうございます、滝さん。」
「別に俺は約束を守っただけ。俺は長太郎が側に居てくれるだけで、十分なんだから。」
「俺が側に居れば、村は毎年豊作になるんですか?」
「他の地域との兼ね合いもあるけどね。少なくとも飢饉や災害は起こらないようにはする
よ。」
そんな滝の言葉を聞いて、鳳はニッコリと笑顔になる。そして、ぎゅっと滝の腕に抱きつ
いた。
「俺、ずっと滝さんの側に居ます!滝さんがしたいことなら、何でもしていいです!」
「それは、村人のため?」
「確かにそれもありますけど・・・でも、やっぱり、俺は滝さんが好きですし、滝さんと
一緒に居るのは幸せですから。」
自己犠牲の強い鳳のことなので、村人のためにそうするかと思った滝であったが、後半の
言葉を聞いて、鳳自らの意思であるということを悟る。そんな嬉しい鳳の言葉を聞き、滝
もふっと笑顔になった。
「長太郎が側に居てくれるなら、百人力だね。長太郎が望むなら、この村も長太郎のこと
も幸せにしてあげる。」
「はい。・・・でも、何だかプロポーズみたいな言葉ですね。」
照れたように笑いながらそういう鳳の言葉を聞いて、滝は確かにその通りだなあと頷いた。
心から愛し合う者同士で共に生きれる幸せと、その二人によって穏やかな日常が送れる一
つの村。全てが満ち足りたその場所に、眩しい日の光が降り注ぐのであった。
END.