大雨の降る黄昏時、宍戸はびしょ濡れになりながら家の近くにある森の中に居た。最近、
面白いと感じることが皆無だったので、気晴らしにやってきていたのだ。そんなときに突
然の雨に降られ、どこかに雨宿りの出来る場所はないかと、宍戸はバシャバシャと森の中
を駆けていた。
「ハァ・・・いきなりこんな大雨になるなんて、聞いてないぜ。全くついてねぇなあ。」
走っているうちに、普段は絶対に足を踏み入れないようなところまでやってきてしまった。
少し不安になりつつも、宍戸はそこで信じられないほど大きな木を見つける。
「すっげぇ・・・こんなデカイ木がここらへんにあるなんて知らなかった。」
近づいてみると、自分の背丈の半分はあると思われる太い根っこの部分に大きな穴があい
ているのを見つける。ここの中でなら雨宿りが出来るかもしれないと、宍戸はその穴の中
に入る。穴の中に入った瞬間、宍戸は何かに足を取られるようにして、木の内側へと落ち
た。
「う、うわっ・・・・」
ズザザザザっ・・・ドサっ!!
「いってぇ・・・」
それほど深くはなさそうだが、落ちた穴の入口は登るには少し苦労しそうなくらい上にあ
った。しかし、出れなくて困るというほどではない。とりあえず雨が止むまでは、ここで
雨宿りをしようと、宍戸はその場に腰を下ろそうとする。上を向いていた視線を下に下げ
ると、宍戸の目に自分以外の人の姿が映った。
「・・・・っ!!」
まさかこんな場所に人がいるとは思わなかったので、宍戸はひどく驚く。しかも、今、目
の前にいるその人物は、ぐったりとしながら、木の内壁に寄りかかっている。
「お、おい・・・大丈夫か・・・?」
あまりにもぐったりとしているので、宍戸は心配になり、恐る恐る声をかける。宍戸に声
をかけられ、その人物はゆっくりと顔を上げた。ひどくやつれているが、その顔は非常に
整っており、宍戸はドキッとした。
「人間・・・・」
「えっ・・・?」
宍戸の顔見た瞬間、その人物の目に光が灯る。次の瞬間、どこからともなくたくさんの触
手が伸び、宍戸の体に絡みついてきた。
「やっ・・・な、何だよこれっ!?ひっ・・・!!」
宍戸に絡みついた触手は、宍戸の服を剥いでいき、想像を絶するような行為をし始める。
その状況が全く飲み込めず、宍戸はただただ悲鳴を上げることしか出来なかった。
「や、やめろっ・・・嫌だっ・・・・!!ひっ・・・嫌・・・う・・あああ――っ!!」
しかし、ここは森の奥の木の中だ。そんな場所に誰かが通るはずもなく、宍戸はその木の
中で、得体の知れない触手に激しく犯された。触れたことのない場所を抉じ開けられ、そ
の内側を容赦なく蹂躙される。自分の意識とは全く関係なく、宍戸は何度もイカされた。
ありえない状況に心の底から恐怖を覚えつつも、感じるのは恐怖だけではなかった。今ま
でに味わったことのない快感、恍惚、絶頂。それらが、泣き叫ぶ宍戸の内側に確実に刻ま
れていった。もう何度目か分からない絶頂を迎えた時、宍戸は意識を手放した。
それからしばらくして、宍戸は目を覚ます。頭がぼーっとする状態で、ゆっくりと目を開
けると、先程ぐったりと木の壁に寄りかかっていた人物の顔が、自分の真上にあった。
「目、覚めたか?」
「お前・・・さっきの・・・・」
「俺の名前は、跡部景吾だ。信じねぇかもしれねぇが、この木の精霊だ。」
「精霊・・・?じゃあ、人間じゃねぇのか?」
「まあな。さっきは悪かったな。いきなり襲っちまって。あんまりにも腹が減ってたもん
だから、つい見境なく犯っちまった。」
「なっ・・・!?」
木の精霊ということも信じられなかったが、先程あったことが夢ではないということに宍
戸は驚いた。しかも、あれは今目の前にいる跡部がやったことだと言う。どこから文句を
言ったらいいのか、何を突っ込めばいいのか分からず、宍戸は混乱する頭を抱えながら、
何も言えなくなってしまった。
「でも、お前のおかげで生き返ったぜ。最近は全然栄養が取れなくて、死にかけてたんだ
よな。サンキュー。」
「悪ぃ・・・まだ、頭が混乱してる。お前は木の精霊で、その精霊が腹減って死にそうだ
ったから、俺に・・・あんなひどいことしやがったってのか?」
「そうだ。混乱してるっつーわりには、ちゃんと理解してるじゃねぇか。」
「ど、どうしてあんなことしたんだよ!?俺・・・男なのに・・・・」
「どうしてって、俺にとっての一番の栄養は、人間の精だからな。別に男だからどうだと
か関係ねぇよ。」
「む、無茶苦茶じゃねぇか!!本当、マジ・・・信じらんねぇ・・・」
もうどうしたらいいのか分からず、宍戸は涙声になる。まさか泣かれるとは思わなかった
ので、跡部はひどく動揺する。
「お、おい、泣くなよ。マジで悪かったって。」
「とりあえず、ここから出してくれよっ!!俺、家に帰るからっ。」
「分かった。」
とにかくここから出してやらないと、本当にただの悪い奴になってしまうと、跡部は宍戸
を外へ出してやる。自分の命がかかっていたとはいえ、さすがにやりすぎたと跡部は反省
の色を見せた。宍戸がその場から走り去ろうとする瞬間、跡部は思わずその腕を捉える。
「な、何だよっ・・・?」
「あっ、悪ぃ。名前・・・知りてぇなあと思って。」
「宍戸亮だ。」
「宍戸亮・・・」
「もういいだろ。離せよ!!」
「あ、ああ。」
跡部の手が自分の腕から離れると、宍戸は物凄い勢いで駆け出す。そんな宍戸に向かって、
跡部は叫んだ。
「亮、お前にはマジで感謝してるぜ!!ありがとよ!!」
「・・・・・・。」
強制的にではあるが、ある意味で命を救ってくれたことになるのだ。そんな感謝の意を込
め、跡部は宍戸に心から礼を言った。そんな跡部の言葉を聞いて、宍戸の心臓はドキドキ
とうるさいくらいに高鳴る。ありえない者との出会いとありえない体験。これが宍戸の運
命を大きく変えることになった。
跡部と出会ってから、宍戸は耐えがたいほどの欲求不満に悩まされるようになった。何を
していても跡部に犯されたことが頭をよぎり、あの快感を再び感じたいと体が疼く。そん
な欲求に耐えきれなくなり、自分の手で慰めようとするのだが、全く満たされる感覚がな
い。むしろ、空虚感が強くなるばかりで、気が狂いそうなほど、体が跡部を求める。
(こんな感じ・・・もう耐えらんねぇ。)
ついに宍戸は、再び跡部のいるあの場所へ向かった。当然跡部は、宍戸のことを歓迎する。
宍戸が望むなら何の問題もないだろうと、初めてした時と同じように跡部は宍戸を犯した。
その時に感じる果てしない快感と満足感。他のものでは絶対に代用出来ないその刺激に、
宍戸は夢中になってゆく。初めは一週間に一度、跡部のもとへ足を運ぶ程度であったが、
そのうち、それでは足りなくなり、三日に一度、二日に一度、そして、ついには毎日通わ
なければ、その欲求に耐えられないようになっていた。
「最近は毎日来るじゃねぇか。そんなに俺に食われるのが好きなのか?」
「好きっつーか、もうそれなしではダメになってんだよな。俺の体。こうなっちまったの
もテメェの所為だからな!!」
「いいんじゃねぇの?俺は毎日テメェに栄養をもらえるから、満たされるし、テメェも俺
にされて満たされてんだろ?」
何の問題もないと軽々しくそう言う跡部に、宍戸はむーっというような顔をしながら、あ
ることを考える。自分の体はもうおそらく跡部なしでは生きていけない。しかし、毎日そ
のためだけにココへ通ってくるのは億劫だ。それだったら、むしろ、このままココに留ま
り、跡部と共に過ごした方がよいのではないかと宍戸は考えていた。
「なあ、景吾・・・」
「アーン?」
「俺、このまま景吾とずっとに居ちゃダメか?どうせ、普通の暮らししてたって、そんな
に面白いと思うこともねぇし、それに俺・・・・」
思ってもみない宍戸の発言に、跡部はかなり胸を高鳴らせていた。ゴクンと唾を飲み込み、
跡部は宍戸の次の言葉を待つ。
「・・・景吾のこと、すげぇ好きになっちまった。」
恥ずかしそうにそう言う宍戸に、跡部は完全に落ちた。もう絶対に外の世界には帰さない。
そんなことを思いつつ、跡部は宍戸の顎をぐっと上げた。
「いいのかよ?そんなこと言っちまって。」
「な、何で・・・?」
「俺とずっと一緒に居るってことは、ずっとあーいうことしてるってことになるんだぜ?
俺好みの体に変えて、俺のしたいように犯して、俺の身が朽ち果てるまで、半永久的に側
に居させる。それでもいいっつーんなら、ココに居てもいい。その代わり、もう絶対に外
の世界には帰さないぜ。」
その言葉が冗談ではないということは、跡部の目つきから読み取れた。しかし、宍戸は少
しも迷わなかった。今自分に必要なのは、跡部だけだ。ここに閉じ込められ、ずっと体を
弄ばれるとしても、それは自分の望んでいることだった。にっと笑って、宍戸は跡部に自
分の気持ちをハッキリと伝える。
「いいぜ。あーいうことをしたいってのは、俺だって望んでることだからな。それに、自
分の好きな奴と、そんなにずっと一緒に居られるなんて、こんなに幸せなことねぇよ。だ
から、景吾・・・・」
「ふっ、そこまでの覚悟があるなら大歓迎だぜ。亮、今からお前は俺のもんだ。」
そう言いながら、跡部は宍戸の唇に口づける。その口づけを受け入れることが、宍戸にと
って、これから半永久的に自分は跡部のものになるという誓いとなった。
それから一ヶ月後、宍戸は腰から下を上に持ち上げられるように触手に吊るされていた。
足を広げられ、剥き出しになった蕾には既に何本かの触手が入り込んでいる。それらの触
手は宍戸の内側の奥の奥まで入り込み、樹液を用いて、今入り込んでいる場所の機能を根
本から変えていっていた。
「あっ・・・ひぅ・・あ・・・ぁ・・・・」
「テメェの中にある触手が今何してるか分かるか?」
「わ、分かんね・・・んんっ・・・あぁっ・・・!!」
中の触手が動くたび、宍戸はその身を捩り、高い声を上げる。そんな宍戸を楽しげに眺め
ながら、跡部は宍戸のすぐ側に腰掛けていた。
「触手が今ある場所は、本当ならどういうことをする場所だ?」
「んっ・・・食い物を・・・消化するところ・・・?」
「そうだな。でも、もうそんな機能はテメェには必要ねぇ。だから、形はそのままだが、
機能を変えさせてもらってるぜ。」
「えっ・・・どう・・・・っ・・・んああっ!!」
「分からねぇか?そろそろある程度は変わってると思うんだがな。」
「わ、分かんない・・・どうなって・・・っ・・・ひっ・・・んあっ・・・」
喘ぎながら質問を返してくる宍戸に、跡部は立ち上がって答えを囁こうとする。それをハ
ッキリと分からせるために、宍戸の腹に手を当て、ぐりっと揉むように掴んだ。
「ひあっ・・・あああぁ―――っ!!」
そうされた瞬間、宍戸はあまりの快感に達してしまった。自分の思い通りに変化している
と、跡部はくっくと声を殺して笑う。
「腹の中にあるものを、俺達で言うとココ、女で言うと赤ん坊が育つところと似たような
機能をもたせてやってんだ。まあ、分かりやすく言っちまえば、腹ん中全部が性感帯にな
ってるってことだな。」
「う、嘘・・・・」
「嘘じゃねぇぜ。栄養は俺の触手がちゃんとそこに入れてやってるから、問題はねぇだろ。
しかも、どんなに激しく擦ろうが抉ろうが傷つかねぇように丈夫にしてやってるから、ど
う責めたって大丈夫だぜ。」
妖しい笑みを浮かべながら、跡部は宍戸に説明する。大変なことをされていると思いつつ
も、宍戸は全く嫌だとは思わなかった。むしろ、これから跡部のすることが、どんなこと
でも気持ちよく感じるのだと思うと、胸が躍るような気持ちになった。
「テメェが感じて、イってくれりゃ、俺はそれだけ御馳走にありつけるってことだからな。
テメェも気持ちよくなれて、俺も満足出来て、一石二鳥だろ?」
「そ・・・そうだな・・・・」
「そろそろ入口あたりなんかはもう完璧にそうなってることだし、これからのことを考え
て、少し今までより激しい奴で責めてやるぜ、亮。」
「えっ・・・?」
ニヤリと口元を上げながら、跡部は新たな触手を木の壁から出現させる。初めはそれほど
太くない触手であったが、次々に新たな触手が現れ、それらは複雑に絡み合い、一本の太
い触手になった。
「テメェの蕾、もっといろいろ出来るように拡張してやるよ。」
嗜虐的な表情で、跡部は今出した触手を宍戸の目の前に晒す。それを見て、宍戸はビクッ
と震えた。
「そ、そんなの・・・絶対無理・・・入らない・・・・」
「入るようにするのが、拡張だろ。安心しろ。絶対テメェなら問題なく入るからよ。」
「い、いやっ・・・やだ・・・景吾・・・・」
「そういうテメェの顔、大好きだぜ。」
そう言いながら、跡部はその触手を宍戸の双丘の中心に移動させる。ひたりとその触手が
蕾に触れた瞬間、宍戸はがくがくと下肢を震わせた。そして、次の瞬間、ズブリと勢いよ
く、その極太触手は宍戸の中へ入っていった。
「んぐっ・・・あああぁぁ―――っ!!」
「ほーら、ちゃんと入っただろ?」
「あっ・・・ああ・・・あ・・・あっ・・・・」
「ただ突っ込みぱなしじゃ、つまんねぇからな。気持ちよくなれるように、ちゃんと動か
してやるよ。」
ギリギリまで広げられた入口を更に蹂躙するように、跡部はその触手を動かし始める。真
っ直ぐに入れられる限界まで奥に入った後、一気に外へ引き抜かれる。抜かれるたびに柔
軟な宍戸の蕾は口を閉じ、再び無理矢理抉じ開けられる感覚を何度も何度も宍戸に味わわ
せた。
ズブッ・・・
「ひぎっ・・・ああぁっ!!」
ズズズ・・・ズリュ・・・・
「ふああ・・・ひああぁんっ・・・・」
ズ・・・ズブブ・・・・
「んっ・・・くああぁ・・・っ!!」
何度も入れたり出したりを繰り返されるたび、宍戸はその感覚がたまらなくなってゆく。
初めはあんなにも嫌がっていた宍戸だが、数時間もすれば、すっかりとろけた表情で、よ
り大きな触手を飲み込むようになっていた。
それから更に時は流れ、宍戸が跡部と出会ってから半年が過ぎた。数ヶ月経った時点で、
完全に宍戸は跡部好みの身体になり、初めの頃よりも多くのことを楽しめるようになった。
体の中を変えられてすぐは、あまりに激しい絶頂感にしばしば気絶してしまうことが多か
った宍戸であったが、そうならないために跡部は宍戸を調教し、どんなに激しくイったと
しても、そう簡単には気を失うことのないような体に仕立て上げた。
「亮、今日は俺、すげぇ気分がいいぜ。」
本当に調子がいいようで、跡部の顔色は非常によく、瞳にも実に明るく輝いていた。跡部
が気分がよいと、宍戸の中に常に埋められている触手も元気になり、それが宍戸自身にも
伝わっていた。
「確かに・・・かなり調子いいみてぇだな。」
「なあ、今日はテメェの蜜、たくさん飲みてぇ。いいか?」
「たくさんって・・・どれくらい・・・・?」
「それは、飲んでみねぇと分からねぇよ。とりあえず、俺が満足するまでだ。」
「まあ・・・別にいいけどよ・・・・」
宍戸の許しをもらうと、跡部は宍戸の後ろに回り、触手の埋められている双丘を捉えた。
そして、自分の体についている楔を出し、宍戸の蕾に押し付ける。その瞬間、宍戸の体は
ピクンと震える。
「あっ・・・景吾・・・?」
「入れるぜ、亮。」
耳元で静かにそう囁くと、跡部は自分自身を宍戸の中に埋めた。何かを感じ取ったのか、
中に入っていた触手は、その身を伸ばし、宍戸の内側全てを埋め尽くすような動きを始め
る。
「んんっ・・・あっ・・・はあ・・・っ!!」
「テメェん中、やっぱ気持ちイイな。もっと奥へくれって言ってるみてぇに動いて、きゅ
うきゅうと締めつけてきやがる。」
「んあっ・・・だって・・・久しぶりに景吾のが・・・入ってきたから・・・・」
「いつも入ってる触手だって、一応俺の体の一部だぜ?」
「そ・・・だけど・・・やっぱ、コレは違うって・・・・」
跡部自身についている楔が自分の中に入っていることに、宍戸は何ともいえない恍惚感を
覚える。もっとそれを感じたいと、宍戸は自ら腰を跡部の体に押しつけた。
「すげぇ腰動いてるぜ。そんなに俺のコレが好きなのか?」
「好きぃ・・・熱くておっきくて・・・俺ん中、気持ちイイ蜜でいっぱいにしてくれるか
ら・・・・」
「なら、今日もその蜜、たっぷりテメェの中に注ぎこんでやるよ。」
そう言って、跡部は大きく腰をグランドさせ、宍戸の奥をついた。そして、その先端から
大量の蜜を注ぎ始める。
「あっ・・はあぁんっ・・・景吾のが・・・いっぱい入ってくる・・・・」
「ハァ・・・今日は限界まで入れるからな。」
「ひぅ・・あっ・・・中・・・熱い・・・気持ちい・・・あっ・・あぁ・・・・」
跡部にとってもそこから蜜を出すことは、人間の射精と同じようなものなので、出してい
る間は、果てしない快感を感じる。宍戸の中に自分自身を注ぎ込みながら、跡部は恍惚と
した様子で、宍戸を抱きしめていた。
「まだ、入るな・・・・」
「うんっ・・・もっと、もっと・・・いっぱい入れて・・・」
「ああ・・・」
ドクドクと自分の中が跡部で満たされていく感覚に、宍戸はビクビクとその身を震わせる。
もうこれ以上は入らないというほど、中が跡部で満たされると、宍戸はうっとりとした表
情で、熱い息を吐いた。
「ハァ・・・もう・・・腹いっぱい・・・」
「今度は俺が腹いっぱいにさせてもらう番だ。」
宍戸の中から自分自身を抜くと、中に注いだ蜜が外に出てしまわないように、跡部は宍戸
の蕾をしっかりと、触手で栓をする。宍戸の足を大きく広げるように、他の触手で固定す
ると、跡部はその足の間に膝をついた。そして、ひくひくと目の前で震えている宍戸の熱
を口に含む。
「ひ・・ぁんっ・・・あっ・・・あああぁ―――っ!!」
跡部に熱を咥えられた瞬間、宍戸は一気に絶頂まで押し上げられ、熱の先から跡部の口の
中に精を放つ。今の跡部にとっては、唯一自分が口に出来る最高の御馳走だ。それを今日
は、飽くまで味わおうと夢中になって宍戸のそれを貪った。
「んあっ・・景吾っ・・・あ・・はっ・・・いっ・・・あああぁんっ!!」
跡部がそれを咥えている間は、宍戸はほとんどイキっぱなしの状態であった。しかも、ど
んなにイっても、意識を失わないように調教されているため、意識を保ったままの状態で
果てしなく続く絶頂状態を味わう。その状態をずっと続かせているのも悪くないが、少し
は宍戸と話をしたいと、跡部は時折、宍戸のそれから口を離した。
「マジ・・・最高だぜ。テメェの蜜、すげぇ美味い。」
「はっ・・・ハァ・・・あっ・・あぅ・・・・」
「なあ、テメェのこの口は何のためにあるんだ?ちゃんと教えたよなあ。答えろよ。」
すっと立ち上がり、跡部は宍戸の口に指を当てながら、跡部は尋ねる。乱れる呼吸の合間
に宍戸はその答えを紡いだ。
「景吾と・・・話すためと・・・・景吾と・・・キスするため・・・」
「正解だ。ご褒美に、キスしてやるよ。」
機嫌よさげな微笑みを浮かべ、跡部は宍戸の濡れた唇に深く口づける。何度も角度を変え、
じっくりと宍戸の口内を味わう。その間にも宍戸の中に入り込んでいる触手は、激しくそ
の身を動かし、中を満たしている跡部の蜜をぐちゅぐちゅと掻き混ぜていた。そんな内側
の動きに宍戸は大きな快感を感じる。しかし、跡部が自分が咥えている時以外は、出さな
いようにしっかりと熱を握ってしまっているため、達することは出来なかった。
「んっ・・・んんっ・・・ぁ・・・んむっ・・・・」
甘いキスと全身から湧き上がる快感に、宍戸の心はすっかり跡部の色に染まっていた。十
分に宍戸との接吻を楽しむと、跡部は再び宍戸の熱にフォーカスを移動させる。
「俺の蜜が中から完全に消えるまでは、この極上の蜜を味わわせてもらうぜ。」
「う・・んっ・・・・」
跡部の蜜を素とし、宍戸の体は自らの蜜を生成するようになっていた。つまり、体内に注
がれた跡部の蜜がなくなるまでは、宍戸の精は尽きることがないのだ。跡部に再び熱を咥
えられると、宍戸は条件反射的にその蜜を放つ。先程よりも大きな絶頂感。ビクビクと全
身を痙攣させながら、宍戸は跡部に与えられる無限の快楽を体と心で味わい、歓喜の悲鳴
を上げ続けた。
「ああぁ――っ・・・はあぁぁんっ!!」
(すげぇ・・・幸せ・・・。景吾・・・大好き・・・)
「景吾っ・・・あっ・・・気持ちイイっ・・・も・・・ああっ・・あああぁぁ――っ!!」
宍戸の蜜を飲み込むたびに、跡部も言いようもない高揚感と快感を感じていた。跡部に吸
収された蜜はそのまま木本体の栄養となり、枯れかけていた巨木は今では生気のみなぎる
立派な姿を取り戻していた。そして、その外観は今の季節には不釣り合いなものになる。
「亮・・・」
「あっ・・・はぁ・・・ハァ・・・何・・・?」
口を離されると、絶頂感が治まるので、宍戸は荒い息を吐きながら、跡部の言葉に答える。
木本体の様子は、当然跡部にも伝わるので、外から見える今の自分の姿を宍戸に教えてや
った。
「外から見た俺は、今すげぇことになってるぜ。」
「どう・・・なって・・・?」
「満開の花が咲いてる。ここ数十年、花を咲かせることなんてなかったのにな。しかも、
今は真冬なのに。テメェのおかげだぜ。」
「冬の・・・花・・・なのか?」
「いや、俺は桜の木だ。だから、まさに『狂い咲き』って奴だな。」
「桜・・・」
「なあ、亮。もっとたくさんの花、咲かせてやろうぜ。」
「冬なのにか・・・?」
「それだけ、俺はテメェと居るのが幸せだってことだ。冬だろうが、春だろうが、夏だろ
うが、秋だろうが、ずっと花を咲かしたままでいたらいいじゃねぇか。テメェの蜜を飲ん
でりゃ、それくらいのことだって出来る。」
「景吾・・・・」
「ずっと交わっていようぜ、亮・・・・」
「ああ・・・景吾。」
頬笑みながらそんなことを囁いてくる跡部に、宍戸はふっと笑って頷いた。お互いの想い
を確かめ合うように甘い接吻を交わした後、跡部は再び宍戸の蜜を飲み始める。いつまで
も続く絶頂の波の中、二人はこのまま交わり続ける至福を想う。雪のちらつく寒空の下、
狂い咲いた満開の桜の花びらが、いつまでもいつまでも舞い散り、あたりを桜色に染め上
げていった。
END.