Heart of Glass

「おい、宍戸。別に気にしてねぇから、そんなに沈んでんなよ。」
ここは跡部の屋敷の跡部の部屋。そんな部屋の片隅で、宍戸は体育座りをして黒い雲を纏
っている。
「でもよ・・・」
宍戸がここまで落ち込んでいる理由。それは、ほんの数十分前のことであった。いつもの
ように跡部の部屋に向かって廊下を歩いていると、見たこともない綺麗なガラスの置物が
置いてあった。その置物に興味を惹かれ、宍戸はそれに触れようと手を伸ばした。ほんの
少し指が触れた瞬間、跡部に声をかけられる。突然声をかけられたのに驚いて、宍戸はそ
の置物を落として壊してしまった。その場ですぐに謝ったのだが、跡部の言葉を聞いて宍
戸は固まってしまった。その置物は、100万ちょっとの安物だから気にしなくてもいい
と跡部はさらっと口にしたのだ。
「・・・・どうしよう。もう俺、謝っても謝りきれねぇ。」
「だから、全然気にしてねぇって言ってるだろ。」
「跡部が気にしなくても、俺が気にすんだよ!!あー、もうどうしよう・・・」
今にも泣きそうな表情で、宍戸はそんなことを言う。全く仕方ないなあと思いながら、跡
部は小さく溜め息をつく。
「そんなにテメェが気にしてんなら、弁償してもらうぜ。」
「っ!!・・・それは、さすがに無理・・・・」
「誰が現金でっつったよ?テメェがそんなこと出来ねぇのは百も承知だ。何もしねぇで許
されるのが納得いかねぇなら、お仕置きしてやる。」
この際だから、このことを口実にいつもとはちょっと違うプレイでもしてやろうと、跡部
はそんなことを言い出す。
「ど、どんな・・・?」
「そりゃもうキツイお仕置きをな。なんたって100万以上するもんを壊したんだぜ?」
「そ、そうだよな・・・分かった。」
お仕置きをされた方がよいなんて変わってるなあと思いつつ、そんなMっ気たっぷりの宍
戸を前に、思わず顔がニヤけてしまう。どんなお仕置きをしてやろうかということを考え
ながら、跡部はふっと笑った。

靴下だけを残し、残りの服は全部脱がしてしまうと、跡部は宍戸を自分のベッドに乗せ、
後ろ手に手首を縛り、ベッドに固定する。足も膝を曲げて開いたまま閉じられないように
してしまった。
「すげぇ恥ずかしい格好だな、宍戸。」
「う・・・」
「でも、ここからが本番だぜ。まずは・・・」
何か錠剤のようなものを口に含むと、跡部はそれを口移しで宍戸に飲ませる。普段ならひ
どく抵抗する宍戸であるが、今回は置物を壊してしまった罰だ。口に入れられた錠剤を宍
戸は素直に飲み込んだ。
「んっ・・・今の・・・何・・・?」
「分かるだろ?こういう状況で飲まされる薬なんだからよ。」
「媚薬・・・っぽいの?」
「まあ、そうだな。でも、これだけじゃ、お仕置きにはなんねぇから、コッチの方にもっ
と強力な奴を塗っておいてやるぜ。」
飲まされた薬の所為でだんだんと頭がぼーっとしてきている宍戸の下の口に、クリーム状
の媚薬をたっぷりと塗りつける。入口だけでは足りないと、その内側にも跡部はその媚薬
を塗り込んだ。
「んっ・・・ぃあっ・・・」
「第一段階はこんなもんだろ。あとは・・・」
どこからか玩具の入った箱を出してくると、跡部は楽しげにどれを使うかを選定した。お
決まりのピンクローターを胸に貼り付け、少し大きめのバイブレーダーにたっぷりとロー
ションを絡める。そして、それをひくつき始めている宍戸の蕾にずっぷりと埋めた。
「ひっ・・・っぐ・・・あっ・・・ああぁっ!!」
「なかなかいい感じに咥え込んでるじゃねぇか。これなら問題ねぇな。」
「ハァ・・・あっ・・・跡部ぇ・・・・」
先程飲まされた薬と直接塗られた薬が効いてきているのか、宍戸は顔を紅潮させ、呼吸を
乱し始めている。そんな宍戸を見て、跡部はニヤリと笑い、ローターやバイブのスイッチ
に指を置いた。
「ああ、そうだ、宍戸。」
「はっ・・・な、何・・・・?」
「俺、これからピアノのレッスンが入ってるんだよな。ほんの一時間程度だがな。」
「えっ・・・?」
「だから、俺様が戻ってくるまで、ちゃんといい子にして待ってろよ?」
そう言って跡部は、宍戸に付けられたり入れられたりしているもののスイッチを全て入れ、
ベッドから下りた。しかも、そのスイッチは全て『最強』にされている。激しい振動が敏
感になっている身体を襲う。そんな刺激に宍戸はたまらず悲鳴を上げた。
「ひああぁぁっ・・・やっ・・・あああぁ―――っ!!」
「じゃあ、行ってくるからな。」
「やっ・・・跡部っ・・・いやぁっ・・・・ああぁんっ!!」
ピアノのレッスンがあるのは嘘ではないようで、本当に跡部は宍戸をそのままの状態で放
置し、部屋から出て行ってしまう。時間が経てば経つほど、媚薬の効果は強くなり、宍戸
は激しすぎる快感に、がくがくと身を震わせていた。しかし、これはあくまでもお仕置き
なのだ。これくらいされて当然だということをほとんど働かない頭の片隅で考えながら、
宍戸は何度も訪れる絶頂の波に飲まれていった。

跡部が部屋に戻ってきたのは、それから一時間と少し経ってからであった。その間に宍戸
は数えきれないほど達し、下腹部や内腿は自ら放った蜜ですっかり汚れていた。そして、
いまだに続く激しい振動に、宍戸は息も絶え絶えになりながら、全身を痙攣させていた。
「あっ・・ひあっ・・・ああぁ・・・・」
「随分派手にイッたみてぇだな。もうどこもかしこもトロトロじゃねぇか。」
つかつかと宍戸のもとへ歩いて行くと、跡部はベッドに乗り上げる。そして、今まで宍戸
を犯していたローターとバイブのスイッチを止め、すっかりそれを取り除いてしまう。
「んんっ・・・いやっ・・・跡部っ・・・取らないでぇっ・・・・」
媚薬ですっかり身体が疼いている宍戸は、刺激がなくなってしまったことに抗議の言葉を
口にする。
「アーン?俺様が相手してやるってのに、玩具の方がいいってのか?」
ポイっと宍戸から取り除いた玩具をそのへんに放り投げると、跡部は宍戸の顎を掴み、そ
んな言葉を放つ。そんなことはないと、ふるふると首を振る宍戸だが、その身は刺激を求
めてピクピクと震えていた。
「ハァ・・・あ、跡部ぇ・・・・」
これは拘束をしていない方が、イイモノが見れるかもしれないと、跡部は手と足を固定し
ていた縄を外す。手足が自由に動くようになると、宍戸は跡部の服をぎゅっと掴み、その
ままベッドに押し倒した。
ドサッ・・・
「どういうつもりだ?宍戸。」
「ハァ・・・跡部の・・・入れたい・・・入れていい・・・?」
「自分で入れたいって?」
「んっ・・・だって・・・も・・我慢出来な・・ぃ・・・・」
「いいぜ。テメェのしたいようにやってみせろよ。俺は手出ししねぇから。」
余裕のない宍戸がどんなふうに乱れるのかを見てみようと、跡部は余裕しゃくしゃくの表
情でそんなことを言う。跡部の体を跨ぐと、宍戸は自らの手で疼く蕾を開き、既に熱り立
っている跡部の楔に腰を下ろした。
「ふあっ・・・あっ・・ああぁぁんっ!!」
バイブですっかり慣らされたそこは、いとも簡単に跡部のそれを受け入れる。しかも、よ
り奥まで跡部のモノを引き込もうと、ぎゅうぎゅうと中がうねる。
「テメェのココは欲張りだな。どんだけ俺のを引き込もうとしてんだよ?」
「あっ・・・あっ・・・気持ちい・・・ひあっ・・・ああっ!!」
「ふっ、すっげぇエロい。もっと動けよ。」
「んあっ・・・はっ・・・ああぁ――っ!!」
自ら中を擦り上げるように、宍戸は上下に腰を動かす。そんな宍戸を眺めながら、跡部は
とてつもなくイイ気分になる。
(すっげぇイイ眺め。たまんねぇ・・・)
宍戸の内側が絡みついてくる感覚に、跡部は熱い吐息を漏らす。ぞくぞくと言いようもな
い気持ちよさが体中を駆け巡り、その感覚が熱の中心を高めてゆく。
「んっ・・ああ・・・跡部っ・・・ひぁんっ・・・も・・もぉ・・・・」
きゅうぅぅ・・・
「くっ・・・」
限界だということを跡部に伝えながら、宍戸は一際強く跡部の楔を締めつける。その締め
つけに耐えられず、跡部は宍戸の中に熱い蜜を放った。体の中心に熱いものが放たれる感
覚に宍戸は甘い声を上げながら達した。
「んあぁ・・・あああぁ―――っ!!」
存分に真っ白な蜜を放つと、宍戸はぐったりと跡部の胸に倒れ込んだ。宍戸の体を抱きな
がら、跡部が絶頂の余韻に浸っていると、突然宍戸がむくっと起き上がった。
「ハァ・・・どうした?」
「・・・・・足りない。」
ずるりと自分の中から跡部の熱を抜くと、宍戸はベッドにポスンと座った。そして、自ら
足を開き、跡部を誘う。
「跡部ぇ・・・もっとして・・・?」
「っ!!??」
丸見えの蕾からは、先程跡部が放ったミルクがコプリと溢れている。そんなやらしい宍戸
に跡部は息を飲み、心臓がバクバクと速くなるのを感じる。しかし、余裕がないのを悟ら
れたくはないと、跡部は不敵な笑みを浮かべて、宍戸の体を押し倒した。
「俺に、どうして欲しいって?ちゃんと言わなきゃ分からないぜ。」
「跡部の・・・ココに入れて・・・・たくさんっ・・・擦って欲しい・・・」
(ヤベっ・・・さすがにここまでハッキリ言われると・・・・)
完全に余裕がなくなってしまうと、跡部はぐいっと宍戸の足を開いた。そして、もうすっ
かり硬さを取り戻している熱を蜜を溢している蕾に押しつける。
「ああっ・・・!!」
押しつけられただけでも、宍戸は歓喜の声を上げる。そんな宍戸の反応にふっと口元を緩
ませながら、跡部は一気に身を進めた。
「ひぅっ・・・ふああぁぁ―――っ!!」
「ただ突っ込んだだけでも、そんなに感じるのかよ?」
「あっ・・・う・・んっ・・・・気持ち・・い・・・・」
ガクガクと身体を震わせながら、宍戸は跡部にしがみつく。もっともっと中を擦って欲し
いと、宍戸はゆるゆると腰を動かした。
「ふっ、やらしいなあ。そんなに俺のコレで、中を掻き回して欲しいのか?」
「して・・欲し・・・・あっ・・・ぅ・・・・」
「どうなっても知らねぇぜ。」
薬を使っているとは言えども、ここまで素直な言葉が聞けると嬉しくなってしまう。宍戸
がそうして欲しいならと、跡部は宍戸の内側を自分の楔で何度も激しく擦り上げた。
「んうっ・・・あはっ・・・ああぁっ!!」
「中、ぐちゃぐちゃで気持ちいいぜ。宍戸。」
「あっ・・・あっ・・・あとべっ・・・ひぅ・・・あぁんっ・・・」
「なあ、もっとエロいこと言えよ。テメェがエロいこと言うとマジ燃える。」
果てしない快感に頭の中を支配されている宍戸には、もう羞恥心という言葉は存在してい
ないも同然であった。跡部がそう言って喜ぶならばと、宍戸はとにかく思いつくままに言
葉を紡いだ。
「あ・・とべ・・・のが、俺ん中・・・出たり入ったりするたび・・・・腹の奥がぎゅう
って・・・して・・・すげ・・・気持ちいく・・て・・・」
「ああ、それで?」
「すぐ・・・イっちまいそう・・・に・・・なるっ・・・」
「でも、そうすぐにはイってないよな?」
「だ・・だって・・・ギリギリまで我慢した方がっ・・・・気持ち・・イイし・・・それ
にっ・・・・」
「それに?」
「跡部と・・・跡部と一緒にイった方がっ・・・・もっと気持ちい・・・からっ・・・」
乱れる呼吸の中、途切れ途切れに紡がれる宍戸の言葉を聞いて、跡部の鼓動は一気に速く
なる。宍戸の中に埋められている熱も今の言葉を聞いて、少し大きさを増した。
「ああ、もうたまんねぇ。マジお前可愛すぎだぜ。」
「んぅ・・・あっ・・・あとべのっ・・・おっきくなって・・・・」
「当然だろ?今のテメェの言葉聞いたら、こうもなるぜ。」
「あっ・・・でもっ・・・・さっきより・・気持ちいい・・・」
「ふっ、本当テメェは俺を喜ばす言葉知ってるよな。」
これはもう止められないと、跡部は先程より激しく宍戸の中を犯す。何とか跡部と一緒に
イキたいと、しばらく堪えていた宍戸だが、そろそろ我慢の限界がやってくる。
「ふあっ・・・あとべっ・・・も・・ダメっ・・・我慢出来なっ・・・ぃ・・・」
「なら、一緒にイくか。俺と一緒の方が何倍もイイんだろ?」
「うん・・・あっ・・・んっ・・・跡部っ・・・くっ・・ぅんっ・・・」
「イくぜ、宍戸・・・」
次の瞬間、どちらの体にも電気が流れるような痺れが走る。全身を貫く大きな快感。そん
な快感に全てを支配され、二人はお互いの身体を抱きながら果てた。熱い想いが雫となっ
て二人の体を濡らす。絶頂の余韻に浸りながら、跡部と宍戸はとろけるような甘く深いキ
スを交わし、ゆっくりとその瞳を閉じた。

後始末をすると、跡部は宍戸を寝かせたまま、着替えをしてベッドから下りる。そして、
先程宍戸が壊してしまった置物を手に取った。
「綺麗に二つに割れてやがる。・・・そうだ。」
何かを思いついたようで、その割れた置物を持って、跡部は宍戸を起こさないようにしな
がら、部屋を出て行った。

結局、宍戸が目を覚ましたのは次の日の朝であった。宍戸より一足先に起きていた跡部は、
自室で紅茶を飲みながら、本を読んでいた。
「はれ?俺、跡部んちに泊まったんだっけ?」
「ああ。昨日やった後寝ちまって、起こすのも可哀想だと思ったからな。そのまま、寝か
しといてやったぜ。」
「そっか。んー、何かでもかなり目覚めはいいかも。」
大きく伸びをしながら宍戸はそんなことを言う。副作用がないと分かっていても、薬を使
った後というのは宍戸の体調が気になるもので、宍戸のその言葉を聞いて、跡部は安心す
る。
「テメェの分の朝飯も持ってこさせるか?飲み物は何にする?」
「そうだな。飲み物は、えーっと・・・牛乳でいいや。」
「了解。」
内線で宍戸の朝食を頼むと、跡部は宍戸に対して手招きをする。
「宍戸、ちょっとこっちへ来い。」
「ん?何だ?」
ベッドの上に用意されていた服に着替えると、宍戸はベッドから下り、跡部のもとまでや
ってくる。宍戸が自分の目の前までやってくると、跡部は宍戸の手を取り、その手の平の
上に何かを置いた。
「やる。」
「えっ?」
やると言われて、宍戸は自分の手の平の上に置かれたものに目を移す。そこには、ハート
型に加工された綺麗なガラスが置かれていた。
「何だよ?これ?」
「俺とおそろいだぜ。」
「いや、そういうことじゃなくてよ・・・・」
「昨日テメェが壊した置物で作らせたもんだ。捨てちまうのはもったいねぇと思ってな。」
ふふんと自信ありげな笑みを浮かべている跡部を見て、宍戸はトクンと胸が高鳴る。
「これなら、テメェもそんなに罪悪感感じずに済むだろ?テメェが壊してくれたおかげで、
こんなに綺麗な揃いのハートが作れたんだからよ。」
「跡部・・・」
置物を壊してしまったことを気にしていた自分を気遣って、こんなことをしてくれる跡部
に宍戸は感動する。そんな気持ちを表そうと、宍戸はそのハートを持ったまま、ぎゅうっ
と跡部に抱きついた。
「お前、いい奴だな!」
「アーン?当然だろ。それより、今度は壊すんじゃねぇぞ。」
「おう!!ありがとな、跡部!!」
昨日のへこんでいた気持ちはどこへやら。満面の笑みで宍戸は跡部に抱きつき、心からお
礼の言葉を述べた。跡部からすれば、いつもより素直で可愛くてやらしい宍戸が見られた
上に、今はこんなふうに笑顔で抱きついてきてくれている。こんなにオイシイことはない
と、宍戸が置物を壊してくれたことを、むしろ、よかったこと思っているのであった。

                                END.

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