「女装でデート」の段

リクエスト内容『タカ久々元拍手小説(恥じらい)の続き』

五年生の授業の課題として、女装姿で久々知は町へとやって来た。知っている誰かと一緒
にという条件付きのため、久々知はタカ丸を誘ってやって来ている。
(恋人同士に見えるようにするにはどうすればいいんだろ?)
男の子の格好をしている人と出かけるのであれば、恋人同士に見えなければいけないとい
う条件も付与されているため、久々知はどうすればそのように見えるかを考える。いくら
課題のためとは言えども、相手は日常的にも好意を寄せているタカ丸だ。特に特別な感情
を持っていない相手ならば、何も気にせず腕を組むこともくっつくことも出来るが、気に
なる相手だからこそ、そういうことをするのが恥ずかしいと感じてしまう。
「タ、タカ丸さん!」
「ん?何?久々知く・・・あっ、違った。兵子ちゃん。」
「あの・・・手、繋いでもらってもいいですか?」
思いきってそう言っては見たものの、恥ずかしさから久々知の顔を真っ赤に染まっていた。
いつもとは違う雰囲気の久々知にそんなことを言われ、タカ丸はドキドキと胸を高鳴らせ
る。
「いいよ。はい。」
「ありがとうございます・・・」
にっこりと笑いながら、タカ丸は久々知に向けて右手を差し出す。差し出された右手を左
手でぎゅっと握ると、久々知はうつむきながらお礼の言葉を呟いた。
(女の子の格好した久々知くんとこんなデートが出来るなんて、本当最高だな。)
そんなことを考えつつ、タカ丸は久々知の手を引いて、町の中心部へと向かう。だいぶ人
が賑わっているところまでやって来ると、どんな店に入りたいか、タカ丸は久々知に尋ね
た。
「兵子ちゃん、まずはどこのお店に入る?」
「え、えっと・・・化粧品とか髪飾りとかがある店がいいんですけど。」
「それなら、雑貨屋さんだね。確か雑貨屋さんは・・・こっちの方だ。」
もともと町の髪結いで働いていたため、どんな店がどこにあるのかをタカ丸はだいたい把
握していた。そんなタカ丸に連れられ、久々知は課題のものを買うための店へと向かう。
「はい、いらっしゃい。あらぁ、斉藤さんのところのタカ丸くんじゃない。」
「こんにちは。」
「今日はお買い物?」
「はい。」
店に入ると、タカ丸はそんなふうに声をかけられる。カリスマ髪結いの斉藤親子は町では
かなりの有名人なのだ。
「そちらの可愛らしい娘さんは?」
そんな有名人が可愛い女の子を連れて買い物に来ている。その女の子が誰なのかを聞きた
くなるのは、当然の流れだ。
「ぼくの彼女です。」
自信満々にしかも屈託のない笑顔で、タカ丸はそう答える。そういうふうに見えるように
しなければいけないと分かっているが、ハッキリとそう言われると、何だか恥ずかしく、
久々知は頬の紅色に染めながら、店の女性に会釈をした。
「あらあら、まぁまぁ。」
一緒に来ている女の子が彼女だということを聞いて、店主は嬉しそうな声色でそんな反応
をする。その反応を見て、タカ丸はやっぱり誰が見ても久々知は可愛い女の子に見えてい
るのだなあと嬉しそうに笑う。
「兵子ちゃん、何買う?」
「えっと・・・とりあえず紅と、あとかんざしが欲しいです。」
「紅とかんざしだね。」
紅もかんざしも何種類かあるので、タカ丸は久々知の代わりにそれらを吟味する。
「兵子ちゃんは、真っ赤な紅より桜色の方が似合うよ。柔らかい雰囲気だし。」
「なら、それで・・・」
「かんざしはどれがいいかなあ。兵子ちゃんの髪の質と色を考えると、これとか?あ、こ
れもいいなあ。どっちがいい?」
本当に彼女に選んでいるかのように真剣に悩んでくれているタカ丸に、何故だか久々知は
ときめいてしまう。タカ丸が差し出したかんざしを手に取ると、久々知は自らそれを頭に
持っていき、首を傾げて上目遣いでタカ丸を見る。
「どっちが似合います?」
「う・・・」
あまりの久々知の可愛さに、タカ丸は撃沈寸前であった。とりあえず、久々知の質問に答
えなければと、自分がより久々知に似合うと思う方を答える。
「こ、こっちかな?」
「じゃあ、これにします。」
「すいません、これとこれください。」
「あいよ。」
桜色の紅とキラキラとした飾りのついたかんざしを買う。久々知は自分でお金を出そうと
思ったが、銭を出す前にタカ丸がいつの間にか払ってしまっていた。
「え、タカ丸さん・・・?」
「いいからいいから。今日はデートだし、お金はぼくが出すよ。」
ウインクをされ、そんなことを言われれば、それ以上何も言えなくなってしまう。きゅっ
とタカ丸の着物を裾を握ると、久々知は女の子な雰囲気全開で、タカ丸の行動に対してお
礼を言った。
「ありがとうございます、タカ丸さん。」
「ど、どういたしまして。」
「もー、彼女があんまりにも可愛いからオマケしちゃう!これ南蛮渡来の珍しいお菓子。
金平糖って言うんだって。」
「いいんですか?」
「もちろん。今日はいいもの見せてもらったから大サービスだよ。」
『ありがとうございます!』
まさか金平糖がもらえるとは思わなかったので、タカ丸と久々知は声をそろえて店主にお
礼を言い、顔を見合わせて笑う。普通に買い物をしただけなのに、なかなかいいものがも
らえたと、ホクホクとした気分で二人はその店を後にした。

店を出ると、よく見知った顔と鉢合わせする。全く同じ顔が目の前に二つ並んでいた。
『あっ!』
「三郎と雷蔵じゃん。もう課題は出来たのか?」
「当然。変装用に私達は女物の着物を買ったぞ。」
「三郎ってば、もっと女の人っぽく変装出来るはずなのに、あえて僕の顔で女装するんだ
よぉ。おかげで、本当そっくりな双子姉妹ですねって言われちゃった。」
苦笑しつつ、そんなことを話す雷蔵の表情は、困りながらもどこか嬉しそうであった。何
だかんだ言って、この二人は本当に仲がいいなあと思っていると、もう一人見知った顔が
現れた。
「あれ?随分見慣れた顔が集まってんなあ。」
『八左ヱ門!』
「この格好してんだから、八左ヱ門はないだろ。せめてお八とか八子とかさぁ。」
「他の人も本当にみんな女装してるんだね。」
自分より先輩の面々に囲まれてそんなことを口にしたのは、三年生の伊賀崎孫兵だ。しか
も、何故か孫兵も竹谷達と同じように女装をしている。
「伊賀崎くん・・・は、三年生だよね?なんで、五年生の課題やってるの?」
「竹谷先輩に頼まれたんです。一緒に町に行ってくれって。それで、男の格好のままだと
恋人に見えなきゃいけないと言うので、それは無理だろうと思って、ぼくも女装して、姉
妹に見えるようにしたんですよ。」
『あー、なるほど。』
確かに孫兵がいつも通りのままの格好で、かつ竹谷が女装しているとなると、どうしても
姉弟に見えてしまう。それでは今回の課題の条件にはあてはまらなくなってしまう。とい
うわけで、孫兵にも女装をさせ、姉妹に見えるようにしたという。そんな説明にそこにい
た面々は心から納得した。
「兵助はタカ丸さんか。タカ丸さんだったら、普通に恋人同士に見えるね。」
「てか、実際恋人同士だろ?」
「な、何言ってんだよ、三郎!!」
「照れるな照れるなって。」
仮の恋人同士ではなく実際に恋人だろうとからかわれ、久々知はボムッと顔を赤く染める。
せっかく治まっていた恥ずかしさを再び蒸し返され、久々知はムキーっとなってその場か
ら逃げようとする。
「タカ丸さん、行きますよ!!」
「う、うん。」
タカ丸の手を引き、久々知はすたすたとその場から立ち去る。そんな久々知の反応を見て、
残された面々はくすくすと笑った。
「兵助からかうと面白いよなあ。」
「図星さされてるから、そこまで否定しないし。」
「あんまりいじめちゃ可哀想だよ?」
「とか言いながら、雷蔵だって笑ってるじゃん。」
「竹谷先輩、ぼくそろそろ戻ってジュンコ達に餌やらないと・・・」
「おー、そうだったな。課題は済んだし、さっさと帰るか。」
竹谷も鉢屋も雷蔵も、もう課題は済んでいるので、早く学園に帰ろうと、そちらの方に向
かって歩き出す。久々知とタカ丸が向かったのは、その他の四人が向かったのとは全く逆
の方向であった。

「兵子ちゃん。」
「何ですか?」
まだ少し不機嫌気味な久々知の機嫌をよくしようと、タカ丸はある場所へ久々知を連れて
行こうとする。その場所は、久々知ならば絶対に喜ぶような場所であった。
「この先にね、すごく美味しいって評判のお豆腐屋さんがあるんだ。時間があるなら行っ
てみない?」
美味しい豆腐という言葉を聞いて、久々知の表情は目に見えて明るくなる。もちろんそん
な嬉しい誘いを断るはずがない。
「行きます!!」
「なら、行こっか。」
久々知の機嫌がよくなったことに安心しつつ、タカ丸は豆腐屋へと向かう。豆腐屋に到着
すると、タカ丸は二人前のざる豆腐を頼んだ。
「うわあ、美味そぉー!!」
「兵子ちゃん、口調が戻ってるよ。」
「あっ、そうだった。まあ、いいや。とりあえず、いっただきまーす!!」
女装をしていることを忘れて、男口調に戻ってしまうくらい久々知のテンションは上がっ
ていた。一口豆腐を口に運ぶと、久々知は本当に幸せそうな顔で笑う。
「ん〜、おいひ〜vv」
「うん、確かに美味しいね。」
「もう最高〜。すっごい幸せ〜vv」
嬉しそうに豆腐を頬張る久々知を見て、タカ丸は連れてきてよかったと顔を緩ませる。そ
して、数口食べただけの自分の分の豆腐を久々知に差し出した。
「ぼくの分もあげるよ。」
「本当!?やったぁ!!」
想像以上に大喜びをする久々知が可愛すぎると、タカ丸の顔はもう緩みっぱなしだ。豆腐
と久々知のコラボは最高だなあと思いつつ、すっかりご機嫌な様子の久々知を眺めるので
あった。

日が傾き始める頃になり、タカ丸と久々知はやっと忍術学園へと向かって歩き出す。たく
さん歩いたということもあり、二人は森の途中で一休みをする。
「今日は何だかんだ言って楽しかったですね。」
「うん。すっごい楽しかった!!」
「まだ女装のままだし、町で買った紅とかかんざしとかつけてみようかな?」
「それなら、ぼくがつけてあげる。」
鏡を持っているわけでもなかったので、久々知は素直につけてもらうことにする。持って
いた髪結い道具で軽く髪を整えると、タカ丸はかんざしを挿すのに見合った髪型に変える。
そして、右手の薬指に桜色の紅を付けると、久々知の唇にそれを薄く塗った。
「よし。こんな感じかな?」
「どうですか?自分じゃどうなってるのか分からないので。」
「すっごく可愛いよ。くノ一の女の子達よりもっともっと可愛い。」
「それは言いすぎだと・・・」
「全然言いすぎなんかじゃないよ。ぼく、すごくドキドキしてるもん。」
予想外に女の子らしく可愛くなった久々知に、タカ丸は若干ムラムラしてきていた。
「久々知くん。」
「ふぇ?」
久々知の可愛さにどうしても我慢出来なくなってしまったタカ丸は、桜色に染められた久
々知の唇に口づける。豆腐のように柔らかい唇に触れ、タカ丸の胸の高鳴りはさらに大き
なものになる。
(どうしよう・・・いろいろ我慢出来ないかもっ。)
「・・・ゴメン、久々知くん。」
「えっ、別に謝るほどのことじゃ・・・」
「・・・・・・ぃ。」
今自分がしたいと思うことをタカ丸は久々知の耳元で呟く。それを聞いて久々知の顔は、
火がついたように赤くなる。しかし、即答で嫌だとは答えず、少し考えてから、すくっと
立ち上がった。
「あの・・・こ、ここじゃあれだから・・・もう少し奥で・・・・」
「えっ!?いいの?」
「今日はたくさん俺に付き合ってくれたので・・・少しくらいなら・・・・」
道に近いこの場所では誰が通るか分からないと、久々知は森の奥へと進む。日は既に沈み、
少し奥へと進むだけでも暗がりが広がっていた。一本の大きな木の下に腰を下ろすと、二
人はしばらく見つめ合い、どちらからともなく顔を近づけ、深い接吻を交わした。
「んっ・・・んん・・・ぅん・・・」
先程とは全く違う深く激しい口づけに、久々知はぞくぞくと何とも言えない感覚が背筋を
駆け抜けるのを感じる。息をするのも忘れ、タカ丸のキスに懸命に応えていると、次第に
頭がぼーっとしてきてしまう。
「ハァ・・・大丈夫?久々知くん。」
「ふはっ・・・ハァ・・・ハァ・・・大・・丈夫・・・です・・・」
「久々知くん、本当可愛い。」
そう言いながら、タカ丸は久々知の着ている着物の裾を開き、足を開かせた。そして、軽
く褌をずらすと、既にある程度の硬さになっている久々知の熱をパクっと咥える。
「ふあっ・・・あっ・・・!?」
いきなりそんな部分を口に含まれ、久々知は恥ずかしさとそこから伝わる気持ちよさで、
頭が全く回らなくなってしまう。
「あっ・・・やっ・・・タカ丸さ・・・ひぁ・・・」
「気持ちイイ?久々知くん。」
そう尋ねられ、久々知の羞恥心はより高まる。顔が一気に熱くなり、自分でもその音が聞
こえるくらい、心臓の音が大きくなる。
(恥ずかしい・・・でも、気持ちよくて・・・)
「あっ・・・やだぁ・・・・」
思わず口から出てしまった言葉はそんな言葉であった。久々知を気持ちよくさせてやろう
としばらく口と舌を動かしていたタカ丸であったが、そんなことを言われてしまったら、
やめないわけにはいかない。
「こうされるの嫌?嫌だったら、やめるけど。久々知くんの嫌がることはしたくないし。」
中途半端に高められた状態では、何もされなくなる方が酷だ。タカ丸が口を話したことに
よって、刺激のなくなってしまい、久々知は切ない疼きが身体の奥に溜まっていくのを感
じる。
「嫌・・・やめないでください・・・」
「えっ?どっち?」
「やめるないで欲しいです・・・もっとしてください・・・」
自分がかなり恥ずかしいことを言っているのは分かるが、そう言わずにはいられなかった。
まさか久々知の口からこんなおねだりを聞けるとは思っていなかったので、タカ丸の胸は
ひどく高鳴り、その高鳴りがタカ丸の身体を熱くさせる。
「それなら、ちゃんと最後までしてあげる。」
ニコっと笑いながら、タカ丸は再び久々知の熱を口に含んだ。そして、先程よりも激しく
雫をこぼし始めているそれに刺激を与える。
「ひあっ・・・ああっ・・・ああぁっ!!」
(可愛い声。まさか、あんなこと言われるとは思わなかったなあ・・・)
「あっ・・・タカ丸さん・・・タカ丸さ・・・あぁ・・・あ・・・」
ぢゅ・・・ぢゅうぅぅ・・・
「ひあっ・・・あああぁ―――っ!!」
ビクビクと身体を震わせている久々知を見て、タカ丸は一際強くそれを吸う。イク寸前ま
で高められた熱にそんな刺激を与えられ、久々知はタカ丸の口の中へと熱い蜜を放った。
「あ・・・ハァ・・・は・・・ぁ・・・・」
息を乱しながら、久々知はすっかりとろけた様子で、後ろにある大きな木にその身を預け
る。久々知の放った熱い雫を飲み込むと、タカ丸はふっと口元を上げ、久々知の顔にすっ
と手を添える。
「久々知くん。」
「ん・・・タカ丸さん・・・」
「続き、してもいい?」
「・・・はい。」
タカ丸の問いに、久々知は小さく首を縦に振り答える。潤んだ瞳に桜色の唇。頬は紅潮し、
息遣いもいつもとは明らかに違う。そんな久々知にタカ丸の下肢はもう限界ギリギリまで
高まっていた。しかし、そんなすぐに挿れてしまっては、久々知は痛いだけになってしま
う。久々知も一緒に気持ちよくならなければ意味がないと、タカ丸は髪結い道具の入って
いる包みの中から、ある物を出した。そして、それを指で掬い、久々知の可愛らしい蕾に
塗りつける。
「ひあっ・・・な、何ですか・・・?それ・・・」
「椿油。別に身体に害があるものではないから安心して。こういうの使った方が、きっと
久々知くんも辛くないと思うから。」
「は、はい・・・」
椿油の滑りでタカ丸の指はすんなり久々知の中へと入る。始めはキツくタカ丸の指を締め
付けていたそこも、次第に解され柔らかくなってゆく。
「んっ・・・んん・・・ふぁ・・・ああ・・・・」
(ヤバっ・・・何コレ・・すごい・・・ヌルヌルして・・・・)
「久々知くんの中、熱い・・・」
「はっ・・・ぁ・・・・タカ丸さんっ・・・んんっ・・・」
「ハァ・・・ねぇ、久々知くん。もう・・・挿れていい?」
中を弄るたびにぶるぶるとその身を震わせ、色めいた声を上げる久々知に、タカ丸はもう
限界だった。あまりに切羽詰まったようなタカ丸の顔を見て、久々知はコクンと頷く。
「なら、ゆっくり入れるから・・・・」
出来るだけ痛くないようにと、タカ丸は久々知の足を抱え、ゆっくりと自分自身を挿入す
る。タカ丸の熱が自分の中へと入ってくる感覚に、久々知はガクガクと足を揺らした。
「ん・・あっ・・・はっ・・・ああ・・・ああぁっ・・・・」
「んっ・・・久々知くんっ・・・」
「ああっ・・・ハァ・・・タ・・タカ・・・丸さ・・んっ・・・!」
ゆっくり入れようと考えていたタカ丸であったが、ふとした弾みに久々知の中に一気に引
き込まれる。
「すご・・・引き込まれちゃった・・・」
「そ、そんなつもり・・・な・・・いのにぃ・・・・」
その感覚は久々知自身もバッチリ感じていた。奥まで入ったタカ丸の熱の形を内側全体で
感じながら、久々知はきゅうきゅうとそこを収縮させる。
「でも、すごく気持ちイイよ、久々知くん。」
「あっ・・・」
いつもとは少し違う笑顔でそんなことを言われ、久々知の胸はドクンと高鳴る。これなら
少しくらい動いても大丈夫だろうと、タカ丸は久々知の中を探るかのようにゆっくりと動
き始める。
「ひあっ・・・ああっ・・・あ・・・ああぁっ!!」
「意外と・・・すんなり動けるかも。」
「タ・・・タカ丸さん・・・はっ・・・あっ・・・ふあぁ・・・・!!」
あまりの気持ちよさに久々知はタカ丸にしがみつきながら、堪え切れない声を漏らす。と、
その時、先程まで自分達のいた道の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『四方六方八方しゅーりけん♪四方六方八方やーぶれ♪』
『っ!?』
ご機嫌な様子で歌を歌いながらその道を歩いているのは、一年は組の乱太郎、きり丸、し
んべヱであった。
「随分、遅くなっちゃったねー。」
「早く学園に帰ってお駄賃もらわねぇと。」
「お腹空いたー。」
(何であいつらがっ・・・)
状況が状況なので、久々知はかなり焦る。声を上げたらバレてしまうと、久々知はきゅっ
と強く口をつむいだ。そんな久々知の様子を見て、タカ丸は少し意地悪をしたくなってし
まう。
「・・・・っ!?ひっ・・・ぅんっ・・・!!」
先程とは比べものにならない程、タカ丸は激しく動き、久々知の中を責める。
「ちょっ・・・タカ丸さん・・・やめっ・・・」
「大丈夫だよ。これだけ離れてれば、久々知くんが大きな声出さなければ気づかれないか
ら。」
「声出さなければって・・・だって・・・そんな激しく動かれたら・・・んんっ・・・」
小声で話してはいるが、少し油断すれば、もっと大きな声が出てしまいそうであった。必
死で声を堪えようとしている久々知は、先程とは違う可愛さがある。もっとそんな久々知
の顔が見たいと、タカ丸は久々知の弱いところばかり責めた。
(あっ、ダメ・・・そんなとこばっかり責められたら・・・・・)
「ひっ・・・う・・・あっ・・・ぁ・・・!!」
「ん?何かあっちの方から声しない?」
(しまったっ!!)
「あー、そういやこのへん最近出るって噂があるよな。」
「えー、怖いこと言わないでよぉ、きり丸ー。」
「そうそう。そんな噂話、きっと嘘に決まって・・・」
もうすっかり日も落ちている時間なので、森はほとんど暗闇と言ってよかった。そんな中
で、人がいるはずのない場所から声が聞こえるとなれば、恐怖心が強くなるのは当然のこ
とだ。
(どうしよう・・・あの三人にバレちゃう・・・)
そう思った途端に、久々知はよりタカ丸の与える刺激に感じてしまう。バレてしまうかも
しれないという羞恥心が、久々知の身体をより敏感にしているのだ。そうなると、もう声
を堪えることは不可能であった。
「ふあっ・・・ああっ・・・あああぁ―――っ!!」
『〜〜〜〜っ!!??』
明らかに普通ではないような声が、森の奥から聞こえてくるのを聞いて、乱太郎、きり丸、
しんべヱは声にならない叫び声を上げる。お化けが出るという噂は本当だったのだと思い
ながら、三人は慌ててその場から走り去った。
『で、出た〜〜!!!!』
そう叫ぶ声がだんだんと遠のいていくのを聞いて、タカ丸は激しく動くのをやめる。
「乱太郎くん達、もういなくなったみたいだよ。」
「もぉ・・・タカ丸さん・・・もう少しでバレるとこ・・・ひあっ!?」
「でも、久々知くん、始めよりも随分感じてたみたいじゃない。」
「!!・・・それはタカ丸さんがあんなに激しく動くからでっ・・・・」
「ふーん、久々知くんはああいうふうに動かれた方が気持ちいいんだ。」
少し意地悪くそんなことを言いながら、タカ丸は再び先程と同じように動き出す。さっき
の今で、また大きな刺激を与えられ、久々知は話す余裕もなくなるほど感じてしまう。
「ああっ・・・やっ・・・あああぁ――っ!!」
「久々知くん、本当可愛い。中もすごいイイ感じだし。これじゃ、そんなにもうもたない
かも・・・」
「タカ丸さんっ・・・あっ・・・もっ・・・ダメっ・・・あっ・・ああぁっ!!」
色々な要因が重なって、すっかり興奮の高まっていた二人は、程なくして限界を迎える。
ぎゅうっとタカ丸にしがみつきながら、久々知は茎の先から蜜を放ち、タカ丸も久々知の
中で熱い飛沫を迸らせた。

忍術学園までの帰り道、二人は町の雑貨屋でもらった金平糖を食べながら、ゆっくりと歩
いて学園へと向かった。学園に到着すると、課題の証拠品を見せ、合格の印をもらう。当
然のことながら、他の五年生メンバーはとっくに到着していた。
「遅いぞー、兵助。いや、まだ兵子ちゃんか?」
「あんまり遅いから心配したよー。こんな時間まで何してたの?」
もういつもの制服に着替えている鉢屋と雷蔵に声をかけられ、久々知は何て言おうかと視
線を泳がせる。
「ぼくが寄り道したいって言ったから、遅くなっちゃったんだ。ね、久々知くん。」
「あ、ああ。」
タカ丸のフォローに頷きつつ、久々知は余計なことを言わなくて済んだとホッと胸を撫で
下ろす。着替えに行こうと長屋へ戻ろうとすると、生物小屋から戻ってきた竹谷にも声を
かけられた。
「おー、やっと帰ってきたか。何か一年は組の三人が森でお化けが出たとか騒いでたけど、
お前らはそのお化けとやらに会ったか?」
竹谷のその話を聞いて、タカ丸も久々知もドキっとしてしまう。そのお化けの正体は紛れ
もなく自分達なのだ。
「さ、さあ?俺達は会ってないと思う。ね、タカ丸さん。」
「う、うん。確かに森は通ってきたけど。」
ほんの少し様子のおかしい二人に気づき、勘のいい鉢屋は、そのお化けの正体がこの二人
であるということに気づいてしまう。
「ふーん、なるほどな。」
「何がなるほどなんだよ?三郎。」
「兵助が帰ってくるのが遅かったこと、一年は組のあの三人が森でお化けが出たと言って
いたこと・・・これらを総合すると、タカ丸さんと兵助は、あの森でヤっていた!」
「な、何言ってんだよ!?そんなことあるわけないだろ!!」
いきなり本当のことを言われ、久々知は顔を真っ赤にしながら、鉢屋の言葉を否定した。
しかし、あまりにドギマギしながら、久々知が普段とは明らかに違う態度を取っているの
で、そんなことはないだろうと思っていた雷蔵と竹谷も鉢屋の言っていることは図星では
ないのかと思ってしまう。
「本当のとこ、どうなんですタカ丸さん?」
「あ、あはは、ノーコメントで・・・」
「してないったら、してないっ!!」
「そこまで否定すると、認めてるようなもんだぞ?兵助。」
「そんなこと考えるお前の頭がおかしいんだっ!!とにかく俺はそんなことしてないから
な!!」
女の子の格好のまま、あまりに久々知が面白い反応をしてくれるので、三人はクスクスと
笑いながら、久々知をからかう。これは下手なことを言わない方がいいなあと、その場に
いるタカ丸は苦笑しつつ、五年生のやりとりと見ていた。
(久々知くんは、本当何してても可愛いいなあ。)
そんなことを思いながら、タカ丸はふっと笑って、今日あった楽しい出来事を思い返すの
であった。

                                END.

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