「おー、いいぜ。今日はちょっと早めに帰れるし、どっか寄り道して行こうぜ。」
帰りのHRが終わり、平古場は甲斐に一緒に帰ろうと声をかけた。今日は部活がないので、
普段より早めに帰ることが出来る。そんな日は寄り道して帰らないと損だということで、
甲斐はどこかに寄って帰ろうと平古場を誘った。
「俺も真っすぐ帰る気ぃはなかったからな。全然構わないぜ。」
「よし、じゃあ、早く帰ろーぜ。」
そうと決まれば善は急げだ。早く学校を出て、適当にどこかへ行こうと甲斐は軽い足取り
で廊下へ出る。そんな甲斐を追いかけるように、平古場も鞄を持って廊下に出た。
「凛はどこか行きたい場所ある?何か食べたいとか、どっか買い物に行きたいとか。」
「今日は海に行きたいなー。」
「海か。たまにはいいかもな。じゃ、今日の寄り道は海で決まりだな!」
平古場のリクエストで、今日は海に寄って帰ることになった。校門を出ると、二人はコン
ビニでおやつを買って、それを食べながら海へと向かう。ゆっくり食べながら歩き、軽く
お腹が満たされる頃には、もう海がすぐ側に見えるところまで二人はやって来ていた。
「今日はあんまり人がいないみたいだな。」
「だな。」
浜辺が見渡せるところまで歩みを進めると、二人はそんな言葉を交わす。広々とした浜辺
には、ほとんど人の姿はなく、穏やかな波の音が心地よく響いているだけであった。
「とりあえず、砂んとこ下りるか。」
「おう。」
真っ白な浜辺に下り立つと、平古場は制服のポケットの中からあるものを出す。そして、
前を歩く甲斐の名を呼び、その歩みを止めさせた。
「裕次郎。」
「ん?何?」
振り向いた甲斐の手を取り、先程ポケットから取り出したモノをその手に握らせる。そし
て、ほんの少し顔を赤らめ、うつむいたまま言葉を紡ぐ。
「これ、あげる。」
「へっ?」
「いいから受け取っとけ!!」
恥ずかしさからか、少し強めの口調でそう言う平古場の言葉にハテナを浮かべながら、甲
斐は今しがた握らされたそれに目をやる。そこにはミンサーの模様が織り込まれたお守り
のようなものがあった。
「ミンサーの・・・お守り?」
「そ、そうだけど・・・・」
「何で急にこんなものくれるば?」
明らかに手作りのお守りを渡され、嬉しいとは思う甲斐であったが、何故こんなものを平
古場がプレゼントしてくれるかが分からなかった。
「裕次郎は覚えてないかもしれないけど・・・・」
甲斐に理由を尋ねられ、平古場はさらに顔を赤くしながら、その理由を話し始める。
『なあなあ、凛。』
『なぁに?裕次郎。』
小学校が別々の平古場と甲斐は、比嘉中に入ったことで、同じクラス、同じ部活の仲間に
なり、すぐに仲良くなった。仲良くなって、一緒に遊ぶことが多くなった頃、二人は今と
同じように海にやってきた。
『俺な、アクセサリーとか作るの得意なんだばぁよ。』
『へぇ、すごいな!』
『凛は俺の大事な友達だから、凛のために何か作ってあげたいなあと思って。』
そう言いながら、甲斐は平古場に自分で作ったシルバーアクセサリーのチョーカーを渡す。
思ってもみない甲斐からのプレゼントに平古場は、少々驚きつつも、素直に嬉しさを表し、
満面の笑顔でそのプレゼントを受け取った。
『これ、もらっていいば!?』
『もちろんさー。凛のために作った奴だからな。』
『ありがとー、裕次郎!!でーじ嬉しいぜ!!』
『喜んでもらえたなら、よかったさー。最近やっとある程度形が作れるようになったばっ
かだから、あんまり綺麗じゃないかもしれないけど。』
『そんなことない。しに上等さー。』
大好きな甲斐から初めてプレゼントをもらった日。そんな特別な日を平古場は忘れるはず
がなかった。
「今日は裕次郎が初めて俺にプレゼントをくれた日なんだばぁよ。だから、そんときのお
返しに俺も裕次郎に何かプレゼントしたいなーと思って・・・」
平古場のその話を聞いて、甲斐の脳裏にもそのときの記憶が蘇る。平古場に言われるまで
そんなことはすっかり忘れていたが、平古場がそのときのことを覚えていてくれたこと、
そして、そんな日に自分にプレゼントを贈ってくれたことが、どうしようもなく嬉しくて、
甲斐の胸はひどく高鳴り、ときめいた。
「コレ、凛が作ってくれたば?」
「い、一応な。おばあに教えてもらいながらだけど。」
「中に何か入ってたりするのか?」
「星砂が入ってる。星砂は幸運のお守りにもなるって聞いたし。」
「模様がミンサーなのは、凛の気持ちって受け取っていいわけ?」
「お、おう。」
幸運の星砂が入ったお守りと「いつの世まで」という意味を持ったミンサーの模様。平古
場がこのプレゼントに込めてくれた想いが嬉しくて、甲斐は思いきり平古場のことを抱き
しめたいという欲求に駆られる。しかし、誰に見られるか分からないこんな場所で、そう
いうことをするのは、平古場が嫌がるということを甲斐はよく知っていた。
「ありがとーな、凛!!でーじ嬉しいぜ!!」
「じゅんになぁ?」
「じゅんによ。」
「へへ、ならよかったさー。」
照れたように笑みをこぼす平古場の表情に、甲斐の胸の鼓動は速くなる。もういろいろ耐
えられないと、甲斐は平古場の手を取った。
「凛、これから凛を秘密の場所に連れて行ってやるさー。」
「秘密の場所?」
「ああ、他の人はなかなか入って来れない秘密の場所さー。」
平古場の手を握ったまま、甲斐はその秘密の場所へ向かって走り出す。何が何だかよく分
からないが、平古場は甲斐に手を引かれるまま、とりあえず一緒に走るしかなかった。
甲斐が平古場を連れて辿り着いた場所。それは、海と陸の間にある洞窟であった。入口は
少し大きめの岩をずらすことで人一人ギリギリ入れるくらいの大きさのものであった。そ
のため、一見しただけではそこに洞窟があるなどとは分からない構造になっている。入口
は狭いが中に入ると、そこにはなかなか広い空間が広がっており、秘密の場所というには、
まさにピッタリといった場所であった。
「こんな場所があったんだな。」
「知らなかっただろ?」
「全然知らなかった。」
「ここなら人もほとんど来ないし、しばらく二人っきりになれるぜ。」
ニッと笑いながらそう言う甲斐の言葉に、平古場はなんだかドキドキしてきてしまう。岩
の隙間から日の光がある程度差し込むものの、基本的には仄暗いその場所で二人っきりと
いうこの状況は、どちらの胸にもとある期待を抱かせた。
「なあ、凛。」
「何・・・?裕次郎。」
「ここなら、ちゅうしたり抱きしめたりしてもいいよな?」
岩の壁に平古場を追い詰めるような形で甲斐はそんなことを口にする。右手を平古場の顔
の横につき、触れそうなほどに顔を近づける。近すぎるその距離に甲斐と目を合わせるこ
とが出来ず、平古場は視線をすっと下の方へとずらす。
「こ、ここなら誰もいないし・・・別に構わないぜ。」
「そっか。それなら遠慮なくしちゃうぜ。」
平古場の許しも得たということで、甲斐は平古場の唇にゆっくりと口づける。触れるだけ
のキスを何度か繰り返した後、もっと深く平古場を感じたいと、唇を開かせ舌を絡める。
回数を増すごとに口づけは激しさを増し、平古場の思考を奪っていった。
「は・・・ぅ・・・ん・・・んんっ・・・・」
(ダメだ・・・何も考えられなくなっちゃう・・・・裕次郎とちゅうしてると、いつもこ
うだ・・・)
洞窟内に平古場の鼻にかかった吐息と互いの蜜が混じり合う水音が響き、二人の聴覚を刺
激する。息もつけぬほど、何度も深い口づけを交わし、糸を引きつつ唇を離す。速くなる
鼓動と乱れる呼吸。甲斐のキスにすっかり腰砕け状態になってしまった平古場は、顔を紅
潮させ、うっとりとした表情で甲斐に目をやった。
(ああ、これはヤバイ・・・)
ぞくりと体の奥から湧き上がる欲求に甲斐の理性は崩壊寸前だった。
「ゆうじろぉ・・・」
濡れた声で名前を呼ばれた瞬間、甲斐の中で何かが弾ける。もう一度キスしようかと考え
ぐっと平古場に近づこうとすると、甲斐の足が平古場のある部分に触れた。
「・・・ぁ・・っ・・・」
その瞬間平古場と身体はビクンッと跳ねる。そんな平古場の反応を見て、甲斐はニヤリと
口元を緩ませた。
「どうした?」
「やっ・・・裕次郎、足・・・」
「足がどうかしたば?」
「ひ・・ぅ・・・・やっだ・・・・ぁ・・・」
恥ずかしいのか平古場は甲斐から顔を背けているが、甲斐がぐりぐりと足で敏感な部分を
刺激すると、素直に声を漏らす。身体の力が抜けてしまっているため、足の間にある甲斐
の足に体重をかけるような状態になってしまっている。敏感なその部位を甲斐は腿から膝
の部分で擦るように弄る。先程のキスですっかり感じやすくなっている平古場は、そんな
ちょっとした刺激でも、ビクビクとその身を震わせ感じまくっていた。
「あっ・・・裕次郎っ・・・・ダメ・・・」
「何がダメなんだよ?俺には凛が感じてるように見えるんだけど?」
「そんなこと・・・な・・・」
「じゅんになあ?」
ぐりっ
「ふあぁっ・・・やっ・・・だめぇ・・・!!」
「やっぱり感じてるじゃん。足でココ弄られて感じるなんて、凛やらしー。」
耳元でそんなことを囁きながら、甲斐は平古場のそこを執拗に弄る。そこまで直接的な刺
激でなく、何枚かの布越しではあるが、平古場にとってはそれが大きな快感となっていた。
「可愛いー凛。なあ、気持ちいい?ココぐりぐりされて。」
「あっ・・・ん・・・違っ・・・違うもん・・・・」
素直にならない平古場も可愛いなあと思いながら、甲斐はしばらくそこを責める。甲斐が
その責めに飽きる頃には、平古場の息はこの上なく乱れ、ふるふると小刻みにその身体を
震わせていた。
「ハァ・・・ハァ・・・あっ・・・・」
「そろそろ直接凛に触りたくなってきたし、これはもう終わりにするさー。」
そう言うと、甲斐はすぐ近くに置いてある鞄の中からチューブ状のローションを取り出し
た。その蓋を開け、トロリとした中身を手に絡めると、平古場の腰に手を回すような形で
するりと下着の中へその手を滑り込ませる。
「ふあっ・・・!?」
「今日はちゃんと慣らしてヌルヌルにしてからしてやるから安心するさー。」
ぬめる指で数回そこを叩いてやると、誘い込もうとするかのように、その蕾はひくひくと
蠢く。ほんの少し指を押し込むようにしてやれば、ほとんど大きな抵抗はなく平古場のそ
こは甲斐の指を受け入れた。
「ああっ・・・!!」
「やっぱ、こーいうの使うと楽に入るな。」
「やっ・・ぁ・・・裕次郎っ・・・」
「たくさん気持ちよくさせてやるから、全部俺に任せとけ。」
ゆっくり指を出し入れしながら、甲斐は平古場の蕾を慣らしていく。ローションに滑りが
そこをほぐすのを助け、くちゅくちゅと濡れた音を立てながら、平古場の蕾はだんだんと
柔らかくなっていった。
(裕次郎の指、ヌルヌルしてて気持ちいい・・・あー、でも・・・)
「裕次郎っ・・・裕次郎・・・」
「どうした?」
「前も後ろも・・・濡れてて、ズボン穿いてるの・・・やだ・・・・」
「だから、どうして欲しいって?」
「脱がして・・・」
すっかりその気になっている平古場の言葉に、甲斐の興奮はさらに高まる。すぐにでも脱
がしてやりたいのは山々だが、ただ脱がすのも面白くないと、とある条件をつける。
「脱がしてやるけど、脱がしたら今慣らされてるとこ、俺にちゃんと見せろよ?」
「・・・うん。」
恥ずかしいことを要求されているのは分かっているが、早くズボンを脱がしてもらいたく
て平古場はコクンと頷いた。一旦平古場の中から指を抜き、甲斐は下着ごと平古場のズボ
ンを脱がしてやった。足の先からズボンと下着が合わせて引き抜かれると、平古場はズル
ズルと岩の壁に背中をつけたまま、その場に腰を下ろした。そして、甲斐に言われた通り、
トロトロになっている前も後ろも丸見えとなるように大きく足を開いた。
「じゅんにトロトロやし。」
「は、恥ずかしいから・・・あんまり見んな。」
「見ないわけにはいかないだろー?凛がこんなにエロい格好してくれてんのに。」
そんな甲斐の言葉に、平古場は顔がひどく熱くなるのを感じる。恥ずかしさともっと弄っ
て欲しいという欲求が平古場の中で交錯し、身体の奥を疼かせる。
(こういうときの凛の表情って、本当たまんないさー。もっとちゃんと見たいし、俺も座
ろうかな。)
そんなことを考えながら、甲斐もその場に腰を下ろす。近くで見るとよりいい眺めだなあ
と思っていると、コツンと何かが手に触れた。何だろうと思ってそこへ視線を移すと、巻
き貝の貝殻が転がっていた。
(貝か。ん?よく見たらそこらじゅうにあるなぁ。いろんな形のがあるし。)
この洞窟は巻き貝が多く生息しているようで、殻になったものも人に拾われることがあま
りなく、かなりたくさんの貝殻が落ちていた。そんなことに気づいた甲斐は、あることを
思いつく。
(この大きさといい、形といい、凛のココを弄ったらちょっとよさそうじゃねぇ?)
たまたま手に触れた貝を見ながら甲斐はそんなことを考える。その他にも形としては良さ
げなものはたくさんあった。手近にあるそんな貝をいくつか選ぶと、甲斐はふと平古場の
方へ視線を戻す。
「ぼーっとして・・・どうしたば?」
「んー、ちょっとイイコト思いついて。」
「いいこと?」
「そ、イイコト。」
ニッと口元を緩ませると、甲斐はそれほど大きくはない巻き貝を選び、たっぷりとローシ
ョンを絡ませる。何をしているのか平古場にはよく分からなかったが、それが先程指で慣
らされた蕾に押し当てられ、甲斐が何をしようとしているかを理解する。
「ちょっ・・・裕次郎っ!!な、何してっ・・・!?」
「これで凛の中を弄ってやったら、きっと気持ちいーだろうなと思って。」
「やっ、やだっ・・・やめっ・・・・っ!!」
ぐっ・・・つぷん・・・
「ああっ・・・ああぁ――っ!!」
ローションのおかげでほとんど痛みは感じないが、普段ならありえない形状のモノを入れ
られ、平古場は一際大きな声をあげる。
「ほら、ちゃんと入ったし。痛くはないだろ?」
「やだ・・・やだぁっ・・・!!裕次郎っ・・・!!」
予想外に大きな声でそんな言葉を放つ平古場に甲斐はドキっとしてしまう。人が来ないと
は言っても、拒否されるような言葉をあまり大声で放たれては、それを聞いた人がやって
来てしまうかもしれない。それは困ると甲斐は右手で平古場の口を塞いだ。
「凛、声デカすぎやし。」
「うー・・・うーっ・・・」
「じゅんに痛いって言うならやめてやるけど、そんなに痛いか?」
「うー・・・」
痛いか痛くないかで聞かれたら、痛くないので平古場は小さく首を横に振る。それなら大
丈夫だろうと、甲斐は平古場の中に入れた巻き貝をぐりぐりと動かす。
「んっ・・ぅ・・・んーっ・・・んんんっ!!」
「動かすと、コッチが反応するな。ちゃんと感じてるんじゃん。」
中を弄ってやると、蜜を垂らしている前がビクビクと反応するのを見て、甲斐はニヤリと
しながらそう口にする。もう少し大きな刺激を与えてやろうと、甲斐は中に入れていた貝
を抜き、それより一回り程大きく、突起の多いものを選び、先程と同じようにローション
でヌルヌルにした。
「今度のはもっと気持ちいいぜ。」
ぐぐっ・・・にゅぷん・・・・
「んん――っ・・・んぅ―――っ!!」
存分に弄られ、中も外もローションでヌルヌルになっているそこは、いとも簡単により大
きな貝を受け入れた。表面の突起で柔らかい内壁を擦られる感覚に、平古場はビクビクと
その身を震わせた。
(裕次郎、マジ何してんだよ、もー!!けど、これはマジでヤバイ・・・ありえないけど
気持ちよすぎて・・・)
「どうよ?凛。本気で嫌だったら、俺の手、振り払ってもいいんだぜ?」
口は塞いでいても、特に拘束しているわけではないので、平古場はいくらでも甲斐のして
いることを止めさせることが出来た。しかし、そんな状況でも、甲斐にそう言われても平
古場は本気で拒むということをしなかった。
「凛が止めないと、俺は好き勝手に凛のココ、弄っちゃうぜ?」
「うー・・・」
一旦甲斐の左腕に軽く触れたが、平古場はすっとその手を離した。そして、潤んだ瞳で甲
斐の顔を見る。その視線が好きにしてもいいということを伝えていることに甲斐はすぐに
気づいた。
「凛がその気なら、遠慮なくさせてもらうさー。」
平古場のその態度にドキドキしながら、甲斐は手にしているそれで平古場の中を激しく弄
る。ゴリゴリと内側が擦られるたびに、平古場の快感は大きくなり、もっともっとと腰を
揺らす。口を塞がれているという普段と違う状況にも、平古場はひどく興奮していた。
「んんっ・・う・・・んっ・・・んん――っ!!」
(どうしよ・・・すげぇ気持ちイイっ・・・貝のデコボコが、いいとこに当たって・・・
こんなの・・・もう・・・っ)
「んんん・・・・んんっ・・・ぅんんん――っ!!」
一際大きく平古場の身体が跳ねると、白く熱い雫がビクビクと震える前の先から放たれる。
平古場がイったのを見て、甲斐は内側を責めていたそれを抜き、口を塞いでいた手を離し
た。
「凛、すっげぇエロい。でも、でーじ可愛い。」
「ハァ・・・ハァ・・・も・・マジでありえねーし。」
「けど、凛、これで弄られて感じてただろ?」
先程まで中に入っていた貝を見せられ、平古場はカアァっと顔を染めながらも、その貝を
取り上げ、ポイっとどこかに投げる。そして、少し怒り気味の口調で、甲斐に対して文句
を言った。
「裕次郎のバカっ!!あんなんじゃ、俺の一番欲しいとこには当たってくれないんだよ!
それに、口を塞ぐんだったら、手ぇじゃなくて、こっちで塞げよな!!」
甲斐の口を指差しながら、平古場はそんなことを言う。この状況で、なんて可愛いことを
言ってくれるのかと、甲斐の熱はもう暴発寸前であった。
「分かったよ。なら、今度はちゃんと凛の欲しいとこまで届くようなの入れてやるし、口
もこっちで塞いでやるさー。」
そう言いながら、甲斐は限界ギリギリまで高まった自分の熱を平古場の中に突き入れ、平
古場の口を自分の唇で塞いでやった。上の口も下の口もいっぺんに甲斐で埋め尽くされ、
平古場は言葉にならない声を上げる。
「ふ・・ぅん・・・んんぅ――っ・・・」
トロトロの中を甲斐の熱で抉られ、口の中は甲斐の熱い舌で犯される。その感覚がどうし
ようもなく気持ちよくて、平古場の熱は一気に高まる。
(やっぱ、裕次郎のが一番イイ・・・)
甲斐に全てを埋めつくされる快感に、平古場は甲斐の背中に腕を回し、ぎゅうっと抱きつ
く。外と中で平古場に包まれるという状況に、甲斐も平古場と同じくらいの気持ちよさを
感じていた。
「ハァ・・・凛・・・」
「んっ・・・ゆうじろぉ・・・」
「凛の中、やっぱでーじ気持ちイイぜ。」
「俺も・・・裕次郎のが一番好き・・・・裕次郎のが一番気持ちイイ・・・」
唇を離した途端に溢れる言葉は、身体だけではなく心までも果てしない心地よさで満たす。
何度も何度も甘い接吻を繰り返し、頭も身体もトロトロになるまで二人は交わり合った。
「んんっ・・・ん・・・ん・・・ふぁ・・・裕次郎っ・・・・」
「はっ・・・凛っ・・・・俺もう・・・イク・・・」
「俺も・・・俺も・・・・イっちゃ・・・・」
どちらも切羽詰まったような声を上げ、早く最高の気持ちよさを手にしたいと、より激し
くお互いを求める。甲斐の熱が平古場の奥を穿ち、その熱を平古場がぎゅうぎゅうと締め
つける。同時に達する絶頂感は、その快感をさらに大きなものにする。
「あっ・・・あああぁ―――っ!!」
「うあっ・・・!」
ドクドクと熱い雫を放ちつつ、二人は押し寄せる快感の波に飲まれ、絶頂という名の海に
沈んでいった。
心地よさの余韻にしばらく浸ってから、二人は後片付けをして、その洞窟から外へ出た。
染まっていた。
「おー、何かいいタイミングに出てきたって感じだな。」
「そーだな。海が夕焼け色になって、でーじ綺麗やし。」
「なんか、俺の好きな色と凛の好きな色が混じってるって感じでいいな。」
沈みゆく太陽を見ながら、甲斐は嬉しそうにそんなことを言う。確かにそうだなあと、平
古場はそんな甲斐の言葉に頷き、甲斐と同じように頬を緩ませた。
「なあ、裕次郎。」
「何?」
「来年の今日も、また一緒に海に来ような。」
「さっきみたいなことをしにか?」
「違うに決まってんだろ!!」
「あはは、冗談やっさー。」
真っ赤になって怒る平古場に、甲斐は笑いながらそう返す。全くもうと思いつつ、平古場
は本当に小さな声で言葉を続ける。
「まあ、裕次郎がどうしてもしたいっていうなら、全然構わないけどな。」
「へっ?」
「と、とにかくっ、来年もまたここに来るって約束だからな!!」
「いーぜ。来年も一緒にここに来ような。」
平古場が放った言葉は一言一句逃さず、甲斐の耳に入っていた。本当嬉しいことを言って
くれると思いながら、甲斐は平古場の言葉に頷く。来年の今日も共にここへ来ると約束を
交わし、二人は夕焼け色に染まる水平線を太陽が完全に沈むまで、見つめるのであった。
END.