寒い夜には君と一緒に・・・

冬の寒い寒い夜。仙蔵は枕を抱えて、長次の部屋へやってきた。今日は長次と同室の小平
太が外出しているのを知ってのことだ。
「長次。」
長次の部屋の障子を開けると、仙蔵はそう声をかける。長次もちょうど寝ようと思ってい
たところだったので、布団を敷いているところだった。
「どうした・・・?仙蔵。」
「部屋が寒くて眠れなくてな。今日は小平太はいないのだろう?」
「ああ。」
「だから、長次と一緒に寝ようと思ってここへ来た。」
「そうか。」
特に断る理由もないので、長次は仙蔵を今しがた敷いた布団のもとへ招く。掛け布団をめ
くり仙蔵を自分の布団の中へ招き入れると、長次もその布団の中へ入った。向かい合わせ
に横になり、しっかりと掛け布団をかけると、長次は仙蔵の体をぎゅうっと抱きしめた。
「仙蔵・・・冷たいな。」
「だから、寒くて寝られないんだ。」
「ちゃんと温めてやるから・・・」
「ありがとう、長次。」
いきなりやってきたにも関わらず、快く部屋に招き入れ、一緒に寝てくれる長次に、仙蔵
はニッコリと笑ってお礼を言う。かなりの至近距離でそんな表情をされ、長次はドキっと
してしまう。
「なんか、こんなふうに二人で寝てると低学年の頃を思い出すな。」
「低学年?」
「あの時は逆だったけどな。今日みたいな寒い夜とか風が強い夜とかは、いつの間にかお
前が私の布団の中に入ってきていて、朝起きると当たり前のように隣で寝ていて、いつも
文次郎に突っ込まれていたものだ。」
「そうだったか?」
「そうだったって。覚えてないのか?」
「・・・いや、覚えてる。」
「だろう?まあ、あの時から私は長次のことが好きだったから、全然嫌ではなかったけど
な。」
楽しそうに昔話をする仙蔵の表情に、長次の胸はより高なる。布団の中で体が触れ合って
いることと先程より少し時間が経ったことで、仙蔵の体も温まり、長次もこの上なく心地
よいぬくもりを感じていた。
「仙蔵・・・」
「ん?どうした?長次。」
あまりに近くにある仙蔵の顔と、一つの布団で向かい合いながら一緒に寝ているという状
況に、若干長次はムラムラしてきてしまう。そんな想いを抱えていることを言葉では告げ
ずに、長次は行動でそれを示した。
「ん・・・」
目の前にある仙蔵の唇に長次は自分の唇を重ねた。突然のことに驚く仙蔵であるが、特に
嫌がることもなく、その口づけを受け入れる。より深い口づけがしたいと、長次の唇が動
けば、仙蔵はそれに応える。そんな仙蔵に、長次はもっと進んだことがしたいと、布団の
中にある手を動かし、仙蔵の下帯に手を伸ばした。
「・・・こら、長次。」
「したい・・・仙蔵。」
率直な長次の言葉に、仙蔵はほんの少しドキッとしつつも、笑って頷く。
「仕方ないなあ。今日は寒いし、温まるにはちょうどいいだろ。」
「仙・・・」
「その代わり、布団から出るのはなしだからな。せっかく温まったのにまた寒くなってし
まうのは勘弁願いたいからな。」
「分かった。」
仙蔵もかなり乗り気であるので、長次はもう一度触れるだけの口づけをし、今度はしっか
りと仙蔵の下帯に手をやる。それと同時に、仙蔵も長次の下帯に手を伸ばした。

布団の中でお互いの熱を弄り合い、長次と仙蔵は息を乱す。自分でするのとは、一味違っ
た気持ちよさにどちらも夢中になってゆく。
「ハァ・・・長次っ・・・」
「気持ちいいか?仙蔵。」
「んぅ・・・イイ・・・・」
「そうか・・・」
仙蔵の言葉を聞いて、長次は動かしている手の速さを速める。突然激しくなった手の動き
に、仙蔵の熱は一気に高まる。
「あっ・・・ああっ・・・長次っ・・・!!」
「こっちの方がいいだろ・・・?」
「やっ・・・これじゃ・・・すぐっ・・・・」
切羽詰まったような声を上げると、仙蔵は長次の腕の中でビクンと震え、長次の手の中に
熱い蜜を放つ。
「ふっ・・・ハァ・・ハァ・・・」
「もうイッたのか?」
「だって・・・長次にされてると・・・・」
「私の手で気持ちよくなってくれるなら、それは嬉しいことだからな。仙蔵も私のを、も
っと触ってくれ。」
「ああ。」
長次にそう言われ、仙蔵は自分の手の中で熱く大きくなっているそれを懸命に擦る。そん
な心地よさに浸りながら、長次は仙蔵の腰のあたりに手を回し、引き締まった双丘に手を
滑らせる。
「ふあっ・・・!」
その形を確かめるかのように、双丘をゆっくり撫でられ、仙蔵はひくっとその身を震わせ
た。その反応を見ながら、長次はほんの少しだけその口元を緩ませる。
「仙蔵は、本当にいろんなところが敏感だな。」
「そ、そんなことない・・・」
「でも、ここを撫でられると感じるのだろう?」
すっと指を動かされると、仙蔵はムズムズするようなそれでいて、甘い痺れを伴った感覚
に声を上げる。
「んんっ・・・」
「こんなふうに撫でられるのと、ココを弄られるのとどっちがいい?」
「あっ・・・」
双丘の中心にある蕾に軽く触れながら、長次は低い声でそう尋ねる。長次の指は先程仙蔵
が放った蜜で濡れており、そこを慣らすにはちょうどよい状態になっていた。長次の指が
そこに触れているというだけで、仙蔵はどうしようもなく興奮してきてしまう。
「どっちがいい?仙蔵。」
「・・・・って・・・欲しい・・・」
「何だ?」
「い、弄って・・・欲しい・・・・」
恥ずかしさでいつもはひどく色白な肌を赤く染めながら、仙蔵はそう口にする。仙蔵の望
みを聞くと、長次は蕾に触れていただけだった指に力を入れ、蕾を押し開くかのようにそ
の指を挿入させた。
「ああっ・・・!!」
長次の指が自分の中に入る感覚に、仙蔵は声を上げる。なかなかいい反応を仙蔵が見せて
くれるので、もっと仙蔵を鳴かせようと長次は中に入れた指を動かした。
「んっ・・・ああっ・・・そんなに動かされたら・・・ぁ・・・・」
「仙蔵のココは嫌がってないみたいだけど・・・?」
「や・・じゃないけど・・・あっ・・・長次の指が・・・いろんなとこに当たって・・・」
「特にこのへんが好きだよな?仙蔵は・・・」
「ああぁんっ・・・!!」
ピンポイントでいいところを擦り、長次は仙蔵を鳴かせる。内側を弄られているせいで、
長次の熱に触れている仙蔵の手はまったく動いてはいないが、仙蔵の反応を見ているだけ
で、長次のそこは硬さを増していった。
「んんっ・・・長次っ・・・ハァ・・・ぁ・・・」
濡れた唇と今にも涙がこぼれてしまうのではないのかと思うほど潤んだ瞳。そんな仙蔵の
表情で見つめられ、長次は我慢出来なくなる。ちゅっとその濡れた唇に口づけると、長次
は仙蔵の中から指を抜き、ぐるっとその体を反転させた。
「わっ・・・長次っ・・・!?」
「今日は後ろからが・・・いい。」
そういうと、長次は仙蔵の寝巻きの裾をまくり上げ、慣らした双丘の中心に自らの熱を押
しつけた。そして、ぐっとその身を進める。
「ああっ・・・ああぁ――っ!!」
「ハァ・・・」
ぎゅうっと仙蔵の中が締まるのにも構わず、長次はその全てを仙蔵の中へ埋めようと腰を
進める。大きな熱の楔が自分の奥まで入ってくる感覚に、仙蔵は布団を握りしめ、濡れた
声を上げる。
「あっ・・・ひあ・・・長・・次ぃ・・・・」
「仙蔵の中・・・狭いけど、熱くて柔らかくて・・・気持ちイイ・・・」
「ふあっ・・・ああぁ・・・」
しばらく動かず仙蔵の中の感触をじっくり味わい、馴染んできたところで、ゆっくりと動
き始める。長次の楔がゆっくりと自分の中から抜けていく感覚に、仙蔵は全身が粟立つよ
うな快感と切なさに、さらに声を上げる。
「いやっ・・・あっ・・・あ・・・ああぁ――っ!!」
「抜かれるのは嫌か?」
耳元で囁かれる言葉に、仙蔵はこくこくと頷く。可愛い反応をしてくれると、長次はギリ
ギリまで自分のものを抜き、抜け切る直前で再び仙蔵の中へ入ってゆく。
「ひああぁんっ・・・!!」
「ハァ・・・たまらないな・・・」
「長次っ・・・耳・・・ダメ・・・・」
長次の吐息が耳にかかる感覚にぞくぞくしながら、仙蔵は震える。その反応にきゅんとし
てした長次は、カリっと仙蔵の耳を甘噛みする。
「ひゃっ・・・ああ・・・」
「そういえば、今日はこっちを全然弄ってやってなかったな。」
耳を甘噛みしながら、長次は仙蔵の胸のあたりに手を入れ、すっかり立ち上がっている突
起をきゅっと抓んだ。
「あぁんっ・・・!!」
「いろんなところ弄られた方が、気持ちイイ・・・だろ?」
「ダメぇ・・・そんなにいっぱいされたら・・・ああぁ・・・」
「中もたくさんしてやるから、仙蔵はとにかく気持ちよくなったらいい・・・」
胸の突起を弄られ、敏感な耳を甘噛みされ、熱い楔で激しいほどに中を抉られる。そのど
れもが仙蔵の快感を高めていく。仙蔵が感じれば、長次の熱を包んでいる仙蔵の内側の状
態もよくなり、長次を感じさせる。
「ああっ・・・長次っ・・・長次ぃっ・・・!!」
「ハァ・・・仙蔵っ・・・・」
「いろんなとこ・・・よくて・・・・気持ちよすぎて・・・あっ・・・ふあぁ・・・」
「仙蔵っ・・・もう・・・イク・・・」
仙蔵の中があまりにもよすぎて、長次は仙蔵より少し先に達してしまう。その瞬間、今ま
で以上に激しくなる動きと奥へ放たれる熱い雫。中で脈打つ熱の塊に、仙蔵の絶頂感も一
気に高まる。
「あっ・・・私も・・・い・・く・・・っ・・・あっ・・・ああぁ――っ!!」
長次の腕の中で仙蔵はその身を大きく震わせ、達する。全てが布団の中で行われたため、
二人の体温はこの上なく上がっていた。すっかり温まった体に内側から満たされる心地よ
さ。そして、程良い疲労感の為、仙蔵はそのまま気を失うように眠ってしまった。

達した後の心地よさに浸った後、長次は後片付けをしなければと動き始める。
「仙蔵・・・?」
あまりに仙蔵が静かで、動こうとしないので、長次は心配になり仙蔵の顔を覗き込んだ。
その顔は実に満たされた表情で、スースーと心地よさそうな寝息が聞こえていた。
「寝てしまったのか。」
ホッとしたように、長次は呟く。せっかく気持ちよさそうに寝ているのだからと、長次は
仙蔵を起こさないように注意しながら、後片付けをし、着乱れた仙蔵の寝巻きも整えてや
った。
「私も寝るとするか・・・」
仙蔵の眠る隣に向かい合わせになるように横になり、長次は目の前にある仙蔵の寝顔を眺
める。
「昔は可愛いって感じだったけど、今は可愛いと綺麗が半々くらいだな・・・」
低学年の頃、仙蔵の布団に忍び込みながら眠ったことを思い出し、長次はそんなことを呟
き微笑む。
「おやすみ・・・仙蔵。」
仙蔵の体に腕を回し、ぎゅっと自分の方へ引き寄せながら、長次は目を閉じた。温まった
布団に仙蔵のぬくもり。そんな心地よさに抱かれながら、長次は深い眠りへと落ちていっ
た。

次の日の朝、今日もなかなか冷えているが、存分に温かい布団で眠れた二人は気持ちよく
目を覚ます。
「おはよう、長次。」
「おはよう。」
布団から起き上がると、仙蔵は満面の笑みでそう長次に挨拶する。寝起きにこの笑顔が見
れるのは最高だなあと思いながら、長次も挨拶を返す。
「昨日は先に眠ってしまって悪かったな。」
「気にするな。私としては、仙蔵の可愛い寝顔が見れたから、好都合だったぞ。」
「はは、そうか。」
長次の言葉に照れ笑いを浮かべながら、仙蔵はそう言う。そんなふうに何気ない会話を交
わしていると、廊下の方から誰かがこの部屋に向かって歩いてくるのが聞こえる。
ガラっ・・・
「やっぱりここか。」
声もかけずに障子を開け、そんなことを口にしたのは文次郎であった。
「何だ、文次郎か。」
「どうした・・・?」
長次がそう尋ねると、文次郎は先程聞いた連絡事項を仙蔵に伝える。
「今日は先生が緊急で出張で、うちのクラスの授業は自習だってよ。あと、斜堂先生が時
間があったら、作法委員の仕事としてやって欲しいことがあるって言ってたぜ。」
「ああ、分かった。わざわざ伝えに来てくれるなんて、お前にしては親切じゃないか。」
「お前にしてはは余計だ!あと、長次。今日の午後暇だろ?きり丸がまた新しいバイト見
つけてきたみたいだから、手伝いに行こうぜ。」
「ああ・・・」
仙蔵と長次に伝えなければいけないことを伝えると、文次郎は障子を閉めて走り去る。こ
れから、自主練に行くとのことらしい。作法委員の仕事でやらなければいけないことがあ
ると聞いて、仙蔵は自分の枕を持ち、立ち上がった。
「とりあえず、着替えに部屋へ戻るか。長次のクラスは授業あるわけだし。」
「そうだな。」
「長次。」
「何だ・・・?」
障子を開ける直前で、仙蔵は振り返る長次に声をかける。
「また、寒くなったら寝に来るからな!」
ほんの少しだけ頬を赤らめながら、仙蔵は子供のような純粋な笑顔を浮かべ、長次にそん
な言葉を放つ。そして、障子を開けて自分の部屋へと帰って行った。
「あの顔でそのセリフは反則だろ・・・・」
仙蔵の言葉にドキドキと胸を高鳴らせながら、長次は呟いた。冬の寒さも忘れるくらい顔
が熱くなるのを感じながら、長次は制服に着替え、今日の準備をするのであった。

                                END.

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