It is inportant to be 
as usual.

リクエスト内容『宍戸が怪我をして、その事をやや大袈裟に聞かされた
跡部が宍戸の元に駆けつけ、号泣してしまう・・・という感じの
愛溢るる18禁』

うわっ、やっぱ降ってきちまった。早く帰んねぇとびしょびしょになっちまう。
買い物の帰り道、宍戸は雨が降り始めたことに気づき、自転車を飛ばし始めた。まだ、そ
んなに強くは降っていないが、確かに雨足は強くなってきている。久々に遠くの百貨店ま
で買い物に来たはいいが、天気予報をちゃんと見ていなかったためにこんな状況。自分の
不甲斐なさに後悔しながらもペダルをこぐ足に力を入れる。家まではあと10分くらいは
かかる。
あーあ、ちゃんと天気予報見とくべきだったなあ。今更そんなこと言っても遅いけど。そ
れしてもマジで雨強くなってきてやがる。もっと飛ばすか。
雨が小雨から本降りになるのを感じて、宍戸はさらにスピードを上げた。と、その時、小
さな交差点に差しかかる。もちろん信号などはない。いつもはそんなに車は通らないので、
宍戸は一時停止などしないでそこを通り過ぎようとした。だが、それが間違いだった。
キキ―――!!
タイヤが擦れる鋭い音があたりに響く。路地から出てきた車は自転車に乗った宍戸に気づ
き、慌ててブレーキを踏んだ。だが、雨で道路が濡れているため思うように止まれない。
うっわ、ヤベッ!!ぶつかる・・・・
次の瞬間、車のフロント部分が宍戸の自転車の後輪にぶつかった。スピードを出していた
こともあり、宍戸は自転車とともにバランスを失い勢いよく倒れる。雨の音に混じり、人
々のざわめきがだんだんと広がった。しばらくして、救急車のサイレンがそこに向かって
次第に近づいてくる。
ピーポー、ピーポー、ピーポー・・・・
いったんは止まったサイレンは再びうなりを上げ、今度は遠ざかっていく。もちろん宍戸
を乗せて・・・・。

それから、しばらくして跡部の携帯に一本の電話が入った。電話の相手はジロー。ジロー
もたまたま親と買い物に出かけていて、宍戸が事故にあった場所の近くにいたのだ。
「もしもし?」
『跡部っ!!大変、宍戸が!!』
「ジローか?どうしたんだよ?そんなに慌てて。宍戸がどうかしたのか?」
『宍戸が・・・・宍戸が事故にあった。俺、あんまりその現場はちゃんと見てなかったん
だけど、人だかりが出来てたから何かなと思ったんだけど、自転車と車がぶつかったって。
その自転車が宍戸のだったんだよ!!それで、周りの人に話を聞いたら出会いがしらの衝
突事故だって。』
「なっ!?ジロー、それ嘘じゃねぇよな?」
『嘘なわけないだろ!!宍戸、救急車で運ばれたって。どうしよう・・・跡部。宍戸、死
んじゃったりしないよね?』
「縁起でもないこと言ってんじゃねぇ!!ジロー、宍戸が運ばれた病院ってどこだ!?」
ジローが泣きそうな声でこんなことを言うので、跡部は本気で焦った。今すぐにでも飛び
出して行きたい衝動にかられる。ジローが教えてくれた病院は跡部の家からそう離れてい
ない場所だった。
「俺、今からその病院行ってくる!!」
『でも、跡部。今、すごい雨で大雨警報出て・・・』
ジローが言い終わる前に跡部は本当に切羽詰ったような声で怒鳴った。
「雨が降ってるから何だよ!?宍戸が大変なことになってんだぞ!!そんなことにいちい
ち構ってられるか!!」
『跡部・・・』
跡部は電話を切り、そのまま部屋を飛び出した。もう着の身着のままで家を出る。さっき
とは比べものにならないほどの大雨だが、跡部は傘も差さずに駆け出した。この雨と同じ
くらい跡部の心の中は激しく乱れ、不安と恐怖でいっぱいだ。
事故ったって、どういうことなんだよ!?自転車と車の事故ってかなり大きなものになる
はずだよな・・・・。救急車で運ばれたってことはそんなに大怪我なのか?頭打って意識
不明の重体とか・・・まさか、ジローの言ってたみたいなことはねぇよな・・・?もしそ
うだったら、俺はどうすりゃいいんだ?そうでなくても、植物状態とか記憶喪失とかにな
ったりしてたら・・・・。
頭の回転が速い跡部は、最悪の事態からそこまでいかなくともかなり悪い事態と思われる
ものが次々と頭の中をめぐる。もしそうだったらということなど考えたくはないが、ジロ
ーの言葉から嫌でもそういうことを考えてしまうのだ。そうでなくても、交通事故という
のは通常ではありえないようなひどい怪我を負うことが可能性として十分にある。今まで
味わったことのないような大きな不安に駆られ、跡部は今にでも泣き出したい気持ちだっ
た。
くそ、行かなきゃいけねぇのに病院に近づけば近づくほど不安になってきやがる。怖い・
・・もし、病院に着いて宍戸が・・・・
雨の中を走り、頭に浮かぶのはやはり悪いことばかり。雨の所為もあるが、不安とパニッ
クから跡部の体温はいつもよりかなり下がり、体は冷たくなっていた。その所為で呼吸が
かなり乱れている。普段ならこの程度走るだけでは、ここまで息は切れない。宍戸が事故
にあったという知らせが跡部をここまで追いつめているのだ。

そんな時、宍戸はといえば今ちょうど怪我の治療を終えたところだった。ぶつかったのが
自転車の後輪だけということもあり、左膝と左腕を擦りむく程度の軽傷ですんだのだ。
「ホント、すいませんでした。俺が飛び出したのがいけなかったんです。」
「こちらこそ、本当にすまなかった。もっと早くブレーキをかけていればよかったんだが
ね。」
「いえ、悪いのはホント全部俺の方なんで。でも、この程度の怪我ですんでよかったです。」
「そうだね。本当不幸中の幸いだよ。じゃあ、あとは明日警察で。」
「はい。」
交通事故ということで、怪我が軽くても一応警察で事情聴取はされるようだ。車の運転手
と宍戸が別れて帰ろうとしたその時、雨のためビショ濡れになった跡部が、息を切らして
病院に到着した。
「ハァ・・・ハァ・・・・」
「跡部っ!!」
「あの子、君のお友達?」
「あ、はい。」
ゼーゼーと苦しそうに呼吸をしながら、跡部は顔を上げた。そこには左膝と左腕に包帯を
巻いた宍戸が立っている。自分が想像していたようなことはなかったようだ。ふらふらと
した足取りで跡部は宍戸に近づいていき、思いきり抱きしめる。
「痛って・・・ちょ、跡部!?」
「・・・・よかった。」
本当に小さな声でだが、跡部は呟く。ほっとして気が抜けてしまったのかいつまでも宍戸
を離そうとしない。
「跡部、ちょっと痛いんだけど。それにお前何でそんなビショ濡れなんだよ?俺、もうい
ったん家に帰るからさ、お前も一緒に来いよ。そのままじゃ、風邪ひいちまうぜ。」
「・・・・・。」
今目の前にある現実が信じられなくて、跡部はしばらく何も言えないでいた。自分が考え
ていたようなことはなかった。その安堵感から茫然としている。まるで、魂が抜けてしま
ったかのようだ。
「あ、じゃあ、俺達もう帰りますんで。」
「はい。お友達、何だかつらそうだけど大丈夫?」
「大丈夫です。それじゃあ、明日。」
宍戸は車の運転手に軽く頭を下げ、病院を出て家へと向かった。自転車は壊れてしまった
ので今ここにはない。だが、怪我がそんなにひどくないので普通に歩いて帰ることにした。

病院の傘を借り、跡部と二人で一つの傘に入って雨の中を歩く。跡部の様子がおかしいの
と何から話したらいいか分からない気まずさから、宍戸は家に着くまで何も話せなかった。
家に着くと、宍戸はまず跡部にシャワーを浴びさせてしまい、そのあと軽く自分も浴びて
雨で濡れた体を温めた。少し傷に水がしみるが本当に大したことはない。着替えて部屋に
戻ると跡部がベッドに座り、まだぼうっとしている。宍戸はタオルで髪を拭きながら、跡
部の隣に座った。
「跡部、さっきからぼうっとしてるけど大丈夫か?」
宍戸からすれば、跡部が何故こういう状態になっているかが全く分からない。跡部は目の
前にあるいつもと変わらない宍戸の姿がとても愛しく思えてさっきのようにまた強く抱き
しめる。抱きしめられた宍戸は何がなんだか分からずただされるがままだった。だが、す
ぐに跡部の体が震えていることに気がつく。
「跡部?」
よかった・・・。宍戸は今ここにいる。名前もちゃんと覚えててくれてる。温かい。本当
に・・・よかった。
そう思った瞬間、跡部の目からとめどない涙が溢れた。さっきまでの悪い考えが全て消え
去ったからだ。抱きしめることで感じる温もり、返される反応、発せられる名前・・・。
全てがいつも通りで、これ以上ないほどの安心感と幸福感が頭の中を凌駕する。
「跡部、泣いてんのか・・・?」
「ウルセー。お前の所為だ・・・。」
「もしかして、事故のこと誰かから聞いたのか?まあ、病院に来たってことはそうだろう
な。」
「ジローが電話してきて・・・もし宍戸が死んじゃったらどうしようとか言ってくるから、
俺もすげぇ不安になっちまって・・・・」
そう話す跡部の声は涙声で、時折嗚咽まじりになる。宍戸は力の入る右手で跡部を抱きし
め返した。
「心配かけてゴメンな・・・。でも、俺大丈夫だから。怪我もそんなひどくなかったし。
この程度ならこの前の特訓の方がよっぽどひどい怪我だったぜ。」
「宍戸・・・」
しばらく跡部は涙を止められないでいた。宍戸を抱きしめたまま号泣している。宍戸はそ
んな跡部に優しく声をかける。ここまで心配されていたなどとは思ってもみなかったので、
正直うれしくて仕方がなかった。だが、あまりにも跡部が泣き止まないので、顔を上げさ
せ、涙をペロペロと舐めて拭う。
「もう泣くの止めろよ跡部。ホントにもう俺大丈夫だからさ。お前らしくねぇぞ。」
「本当に心配だったんだぜ。俺、お前がいなくなったらどうしようとか走ってる間ずっと
考えてた。たぶん、もう今と同じように生活するのは無理だ。俺、お前がいなきゃ嫌だ。」
「何ガキみたいなこと言ってんだよ?でも、心配すんな。俺も同じだからよ。お前の前か
らいきなり消えるなんてことはしねぇよ。実際、今だってお前の目の前にいるじゃん。」
いつもとはあまりにも違う様子の跡部に困惑しながらも、宍戸は笑いながら今度は唇にキ
スをした。その確かな感触に跡部はやっと我を取り戻す。しばらくお互いを味わい、跡部
はそのまま宍戸をベッドに押し倒した。
「んん・・・ん・・・ん・・・」
キスをされながら、宍戸は頭の中でいろいろ考える。さっき跡部が言ったことが実際に起
こっていたらどうなっていたのだろうと。
確かに跡部が言ってることがホントに起こってたら、怖ぇーな。今、こんなふうにキスす
るなんてもってのほかだろうし、頭打って記憶喪失ってのもシャレになんねーよなあ。
そんなことを考えていたらだんだんと怖くなってきてしまい、宍戸は跡部に抱きついてい
る腕の力を込めた。左腕が少し痛むがそんなことは忘れてしまいそうな程、跡部のキスは
優しくとても心地がよい。
「・・・はぁ・・・跡部。」
潤んだ目で跡部を見上げると、跡部はとても切ないような、それでいてとてもうれしそう
な表情をしている。
「宍戸・・・。この先してもいいか?」
「ああいいぜ。俺もちょうどしたいと思ってたところ。」
宍戸はさっきのように跡部に抱きつき、明るい声でそう呟いた。

宍戸をベッドに倒したままの状態で跡部は服を脱がしていく。宍戸は何も抵抗しない。さ
すがに下を脱がされると一瞬隠そうとするような素振りを見せるが、跡部がその手をそっ
とどかすと、それ以上はもう何もしなかった。露わになった胸や襟元に跡部は軽く口をつ
け、一つ一つ跡を残していく。それと同時に右手で熱くなり始めている下のそれをゆっく
りと弄る。
「うっ・・・あ・・・跡部・・・」
ピクンと反応する宍戸の様子を横目で見ながら、跡部は唇をつける場所を少しずつ下にず
らしていく。
「なあ、宍戸。跡つけていいか?」
「別に・・・いいけど・・・・あんまり目立つとこにはつけんなよ。」
「分かってんよ。ま、もうここより上はもうつけちまったけどな。」
「はあ!?それじゃあ、首周りが広い服とか着れないじゃんか。」
「ウルセーな。ここ、こんなにしてて何言ってんだよ。」
「ふ・・あっ!!・・・ちょ、ヤメロよぉ・・・」
やめろと言っても体は嫌がっていない。跡部に触られだんだんと質量を増すソレは跡部の
手の中で次第に濡れていく。
「ここもこんなに真っ赤にして。」
「ウ、ウルセ・・・あっ・・・そんな・・・やっ・・ああ・・・」
プッチリと立った胸の飾りを跡部が口に含み、ちゅっと音をたてて吸う。右も左も交互に
され、宍戸は身を捩り高い声を上げる。
「あんまり動くな。傷に響くぞ。」
「だってぇ・・・じゃあ・・そんなにするなよ・・・」
「でも、こうされるのは嫌じゃねぇんだろ?ほら、こっちにもしっかり伝わってる。」
「はぁっ・・・んっ・・・あ・・・」
跡部が下の方を撫でるように触るので、宍戸はまたビクッと体を震わせる。何を思ったの
か宍戸は突然横たえていた体を起こした。
「どうした?」
「俺ばっかやられてるのヤダ。」
「だから、どうするって?」
「俺も跡部のする。」
思ってもみない宍戸の言葉に跡部はちょっとびっくり。だが、断る理由もないので跡部は
宍戸のその提案を了承する。
「別にいいぜ。でも、手でな。俺はその間後ろを慣らさせてもらうぜ。」
「・・・分かった。」
宍戸はドキドキしながら、跡部のズボンのジッパーを開け直接それに触れる。少し触れた
だけで跡部のモノは一気に大きくなった。
「跡部・・・少しか触ってないのに・・・何でこんなになるんだよ?」
「お前、今自分がどんな顔してるか分かってないだろ。」
「えっ?・・・うあっ!!いきなり・・・入れんなよぉ・・・」
自分だけされていてもしょうがないので、跡部は宍戸の後ろに指を入れ慣らし始める。そ
の感覚に反応しながらも宍戸は跡部のモノを一生懸命する。
「んん・・・あっ・・・跡部・・・はっ・・・」
「ハァ・・・宍戸、もうそろそろ限界だろ?今にも溢れそうだぜ。」
「くっ・・・んぅ・・・何で跡部・・・そんなに余裕なんだよ・・・ああっ・・・」
「別にそんなに余裕でもねぇけどよ。それにしても、ホントお前感じやすくなってんよな。
ちょっと慣らしただけでこんなに濡れねぇぞ普通。」
「あん・・・だってよ・・・お前にそこ弄られると・・・体が勝手に・・・」
「俺も。お前に触られると結構素直に反応しちまうぜ。でも、お前ほどじゃねぇかな?」
「うあ・・・跡部っ・・・俺・・・もう・・イクっ・・・はっ・・あぁ――っ!!」
初めに達してしまったのはやはり宍戸の方だった。力が抜けてしまったのか跡部のをする
手も止まってしまう。跡部は後ろから指を抜き、宍戸に軽くキスをする。
「宍戸、俺の服ん中に財布入ってただろ?」
「えっ、ああ。服がびしょびしょだったからそこに置いておいたけど・・・。」
跡部はいったんベッドから下り、財布から何かを取り出した。宍戸は何をしているのだろ
うと首を傾げて跡部を見る。跡部が戻ってくると宍戸は素直に何をしていたかを尋ねた。
「何してたんだよ?跡部。」
「ああ、財布にゴム入れといてあるからさ。つけた方がいいだろ?お前、怪我してるし。」
「用意いいな。つーか、普通財布に入れとくかそれ?」
「本当はいけないんだけどな。傷がつくとかなんとかで。でも、ないよりマシだろ。」
そういって封を開けると跡部は慣れた手つきで自分のモノにそれをつける。宍戸はほのか
に赤くなりながら、そっと跡部に腕を伸ばした。
「もう入れるのか・・・?」
「まあな。大丈夫だろ?」
「うん・・・。でもな、膝とかつくとやっぱ痛いからよ、こういうふうなのがいいんだけ
ど・・・。」
そう言って宍戸は自らあぐらで座っている跡部の足をまたぎ、腰を軽く浮かせる形をとっ
た。そのまま腰を下ろせば、跡部のモノは確実に宍戸の中に入るだろう。
「別にいいぜ。じゃあ、お前膝つくんじゃねぇぞ。動かすのは俺がしてやるから。」
「ああ。」
初めはしょうがないので、宍戸自ら腰を落とす。その感覚に宍戸は少し苦しそうな声を上
げるが、ある程度入ってしまうと大きくゆっくりと息を吐いて、跡部にしがみついた。
「うっ・・・く・・ふ・・・・」
「大丈夫か?足とか、腕とか。」
「ああ・・・ハァ・・・ゴメン・・あとはお前に任せる・・・」
「了解。でも、まだ動かすのはキツイだろ?もう少し馴染むまで待つか?」
怪我をしてるということもあって、跡部はいつも以上に気を使う。だが、宍戸は大丈夫だ
と首を横に振り、跡部に動かしてくれとねだる。
「大丈・・夫だから・・・跡部・・・動いて・・・」
「分かった。じゃあ、キツかったら言うんだぞ。」
「うん・・・」
跡部は宍戸に言われるままゆっくりと宍戸の膝を抱えて動かし始めた。その度に宍戸は甘
く誘うような声を上げる。
「んん・・・あん・・・はぁ・・・んっ・・・」
時折見せる痛みを我慢するような顔が気になったが、跡部は動きを止めなかった。背中に
回された腕と喘ぐ表情が言葉以上に止めるなということを語っていたからだ。宍戸とつな
がり熱に浮かされながら、跡部はさっきの気持ちをふと思い出す。宍戸がもし事故で大変
なことになっていたら、こんなことは出来なかった。むしろ、この先永遠と出来なくなっ
ていたかもしれない。そんなことを考えているとこの瞬間がどれだけ幸せかということが
嫌というほど感じられた。
「跡部・・・」
「どうした?宍戸。」
「今・・・また暗いこと・・・考えてただろ?」
「えっ?何で?」
「そんな・・顔してたから・・・確かにちょっと怪我しちまったけど・・・俺はちゃんと
ここにいるぜ・・・・だから・・・もうそんな顔しないでくれよ・・・」
「分かってる。でも、本当うれしいぜ。お前が今俺の腕の中にいてくれて、こんなふうに
一緒に気持ちよくなってるってことがすごく大事なことみたいに思える。」
「そうだな・・・くっ・・・跡部・・・俺・・・もうそろそろ限界・・・」
宍戸は跡部の背中に爪を立て、全身でそれを伝えた。背中は確かに痛いのだが、跡部にと
ってはそれさえもうれしかった。宍戸が今ここにいるということ。それが五感全てで確認
することが出来る。宍戸が一段と大きく反応するとともに跡部も目の前が真っ白になるの
を感じた。
「うあ・・・ああ――っ!!」
「宍戸っ・・・」
宍戸も跡部も半分は生理的なものだろうが、繋がり、お互いを感じることの出来るうれし
さから目には溢れそうなほどの雫が浮かんでいた。

行為を終えると、二人はしっかりと布団に入りしばらく体を休めていた。二人用のベッド
というわけではないので少々狭く感じるが、温もりを感じあうにはちょうどよい大きさだ。
「跡部。」
「んー、何だ?」
「今日は本当にありがとう。」
「何が?」
「跡部があんなに俺のこと大事に思ってるなんて知らなかったからさ。何かうれしかった。」
「そうかよ。」
もう跡部はすっかりいつもの跡部に戻っている。宍戸がこんなことを言っても返ってくる
言葉はどこか冷めている。だが、宍戸はそんな跡部も大好きでベッドの中でぎゅっと抱き
ついた。
「俺な、跡部がそういうこと言ってくるからいろいろ考えちまったんだよ。あのとき頭打
って記憶喪失になって跡部のこと忘れちゃったらどうしようとか、もっとすごい怪我して
今までみたいに出来なくなっちゃったらどうしようとか。」
「・・・・・。」
「そしたら、すげぇ怖くなっちまって・・・。でも、跡部がすごく優しくキスしてくれて
たから、そんな考えは吹っ飛んじまった。」
楽しそうに話す宍戸を見て、跡部は呆れたように溜め息をつく。俺がどんだけ心配したか
を分かってないだろうという感じで、軽くでこピンをする。
「痛ってぇ、何だよいきなり!!」
「お前、ホントに俺がどんだけお前のこと心配してたか分かってねぇだろ?」
「・・・・分かってるよ。俺、お前があんなに泣いてんの見たの初めてだもん。」
「っ!?」
「俺だって、お前がいなくなったら嫌だよ。考えただけでも狂っちまいそうなほど不安に
なる。そんな不安を今日俺はお前に味わわせちまったんだよな。ホントにゴメン・・・。」
急に暗い顔になるので、跡部は再び呆れて今度はそっと抱きしめた。
「もういいよ。お前、ちゃんと今ここにいるしな。ただし、今後一切こういうことが起こ
らないように気をつけんだぞ。俺様が一緒にいてやりゃあ、そんなことは絶対に起こさせ
ねぇけど、そういうわけにもいかねぇだろ。」
「おう。今度からは絶対気をつける。もうお前にあんな思いさせたくねぇし、自分もそう
なるのは嫌だからな。」
「約束だぜ。絶対破んじゃねーぞ。」
「分かってるって。」
「さてと、じゃあ俺は帰るか。」
「えっ!?何でだよ!?」
意外な跡部な言葉に宍戸は驚く。ここまでしといて帰るのかと不満顔だ。
「だって、俺、何も言わずに家飛び出してきちまったからよ、帰らなねぇと親が心配する。」
「どうしても帰んなきゃダメなのか?」
「電話貸してくれるんだったら、別に泊まってやってもいいけど。家に携帯置いてきちま
ったからな。」
「電話なんていくらでも貸してやるからさ、今日は泊まってってくれよ。」
「分かったよ。しょうがねぇ奴だな。」
あまりにも必死で引き止める宍戸が可愛くて、跡部は思わず笑顔になった。宍戸に電話を
借り、家に連絡をし、今日はここに泊まることにする。もう一度布団に入ると宍戸はうれ
しそうに跡部に抱きつく。
「甘えん坊。」
「ウルセー。俺は怪我人だぞ。」
「はいはい。じゃあ、今日はもう寝るか?」
「そうだな。何かいろいろあって疲れちゃったしー。」
二人は笑いながら瞼を閉じた。どちらもいろいろな意味で疲れていてすぐに眠りに落ちて
しまう。今日は当たり前なことがこんなにも幸せだということを気付かせてくれる一日だ
ったとどちらも眠りに落ちながら感じるのであった。

                                END.

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