Story of moonlight night

リクエスト内容『跡宍で、風流な旅館に温泉旅行に行った二人が
浴衣でラブラブ18禁』

炎天下の道を歩き、やっと宿に辿り着いた。京都の夏は暑い。跡部の提案で旅行に来たが
こんなに暑いなんて想像してなかった。もう汗だくだ。
「跡部、暑いー!!」
「さっきから暑い暑いうるせーな。もう宿着いたんだからいいだろ。」
確かにこの暑さは予想外だった。でも、まあここなら夜は涼しいだろ。川も近いし、緑も
いっぱいだもんな。さて、早く部屋に行って休むか。
跡部と宍戸はただいま京都に旅行に来ている。夏真っ只中ということもあり、かなり気温
は高い。跡部が取った宿は少し山の中にあり、近くに川や林がある。なかなか風流な宿だ。
跡部と宍戸は今日自分達が泊まる部屋へと向かった。
「うわあ、すっげぇ広い!!」
「なかなか眺めもいいな。ここならいろいろ楽しめそうだ。」
「楽しめるって何がだよ?」
ちょっと微妙な顔をして、宍戸は聞きかえす。跡部は笑いながら荷物を置き、窓際の椅子
に腰かけた。
「別に。いろいろはいろいろだ。それよりこれからどうする?」
「そうだな・・・いったん風呂にでも行くか?俺もう汗かいて気持ち悪ぃんだけど。」
「そうだな。軽く浴びるか。」
まだ夕方ではあるが、この暑さのため汗を大分かいてしまった二人はまずはお風呂に行く
ことにした。この宿には室内にある温泉と露天風呂がある。今は室内の温泉に入ることに
する。
「ここの浴衣格好いいな。跡部、早く行こうぜ。」
「ああ。そうだ、あとでこの周り散歩しようぜ。」
「おう。」
浴衣を持ち、二人は部屋を出て綺麗な廊下を歩き出した。外からは蝉の鳴き声が聞こえる。
自然の多いこの宿は季節感をとても感じることが出来る。
何かここの宿、すげぇイイ感じ。跡部ってやっぱこういうセンスもすごいよなあ。
宿の雰囲気に満足しながら、宍戸は嬉しそうに顔を緩ませる。跡部はそれに気づき、から
かうように頭をぐりぐり撫で回す。
「何ニヤけてんだよ?」
「別にニヤけてなんか・・・。てか、髪がぐちゃぐちゃになる!!やめろよ。」
「いいじゃねぇか。どーせこれから風呂入って髪洗うんだからよ。」
「汗かいてるから汚ねーぞ。」
「だから、これから風呂入るから問題ねぇって言ってんじゃねーか。」
嫌がる宍戸の髪を跡部は触りまくる。宍戸は嫌がりながらも本気では怒っていない。こう
いうじゃれ合いも楽しいとほのかに笑っている。しばらくすると二人は大浴場へ到着した。
「誰もいねーな。」
「まあ、この時間帯だしな。」
「じゃあ、さっさと入っちゃいますか。」
宍戸も跡部も普通に服を脱ぎ、タオルを巻いて風呂場の方に入って行く。やはり中にも人
はいない。
「何か貸し切りみてぇだな。」
嬉しそうに宍戸は言う。跡部もどこか嬉しそうだ。
「さっさと洗っちまって温泉に入ろうぜ。」
「そうだな。あっ、跡部。背中ながしっこしようぜ。」
思いついたように宍戸は言った。もちろん跡部はその提案に賛成する。
まずは普通に入るだけでいいだろ。お楽しみはやっぱ後に残さなきゃおもしろくねぇよな。
少しばかりニヤけながら跡部はシャワーを宍戸にかけ、手にシャンプーを取った。同じよ
うに宍戸も跡部にシャワーをかけ、シャンプーを手につける。そして、向かい合いお互い
の髪を洗い始めた。
「お前、髪柔らかいよな。切ったら髪質変わるかと思ってたけどそうでもねぇんだな。」
「そうか?お前の髪は色が綺麗だよな。金髪に黒が入ってるって地毛では滅多にねぇぜ。」
お互いの髪を褒めながら、ごしごし洗う。だいたい終わると二つのシャワーを使って流し
始めた。向かい合ってそんなことをしているので、かなり水が顔にかかってしまう。
「痛ってぇ!!」
どうやら石鹸が目に入ってしまったようだ。宍戸は目が痛いと跡部に訴え、目を閉じたま
ま助けを求める。
「跡部、目に石鹸入ったー!!痛い、痛い!!」
「あー、その手で触るな。流してやるからちょっと息止めてろ。」
「う〜。」
跡部はシャワーを宍戸の顔にかけ、石鹸を流す。自分の手の石鹸も流し、軽く宍戸の顔を
拭ってやった。
「どうだ?宍戸。」
ゆっくりと目を開ける。もう痛くはなかった。だが、あまりにも近くにある跡部の顔に驚
いて言葉を失う。
「・・・・・。」
「どうした?まだ痛いか?」
「えっ!?あ、ああ、うん。全然もう平気。跡部、さっさと体も洗っちまって入ろうぜ。」
「ああ。」
思わずきょどってしまったことを恥ずかしく思いながらも何とかそれを誤魔化そうと宍戸
は話題を変えようとする。だが、跡部には宍戸がどうしてそうなってしまったかがハッキ
リ把握出来てしまうので、わざと煽るようなことをする。
「そんなにきょどらなくてもいいだろ?顔の距離、こっちの方が近くなるぜ。」
そう言って跡部は軽くキスをした。宍戸は目を閉じる暇もなかったので、まともにその顔
の近さを感じてしまう。
「うわっ!!」
離れると宍戸は口を押さえて、驚きの声を上げる。それを見て跡部はクスクス笑った。
「お前、ホントおもしれー反応するな。」
「跡部っ!!こんなところでそういうことすんな!!」
「誰もいないから平気だって。それより早く体洗っちまおうぜ。」
そんなことをされ、宍戸はもうドキドキしてしょうがない。それとは対照的に跡部は実に
楽しそうだ。こんなふうにふざけあいながら二人は体を洗い、温泉に浸かった。少し熱い
ような気がするがそれはそれで心地いい。
「ちょっと熱ぃな。」
「温泉なんてこんなもんだろ。」
「なあ、跡部。夕飯って何時くらいだっけ?」
「さあ。何で?」
「うーん、さっき跡部ここの周り散歩しようとか言ってたじゃん。夕飯前と後とどっちが
いいかなーと思ってさ。」
「夕飯後でいいんじゃねぇ?その方が涼しいだろうし。」
「それもそうだな。」
ゆっくりと温泉に浸かった後、二人は浴場を出る。これから先は浴衣で行動だ。

さっき話していた通り、夕食を終えた二人は外へと出て散歩をしている。もうすっかり日
は沈んで真っ暗だが、気温的にはとても過ごしやすくなっていた。
「何か昼間に比べたら大分涼しくなったよな。」
「ああ。それにしても本当ここの周りって林ばっかだな。」
「でも、俺こういう雰囲気好きだぜ。暗いのは苦手だけど、こんなふうに自然にたくさん
囲まれたとこは何か気分が落ち着く。」
「そうだな。さてと、もうそろそろ戻るか?部屋に行っても景色は十分に楽しめるし。」
「えー、もうちょっと散歩しようぜ。」
「でも、このへん蚊が多そうじゃねーか。虫除けとか持って来てないしよ。」
「あ、それは確かに言えるな。しょうがねぇ、じゃあ、戻るか。」
あんまり外にいても蚊などに刺されてしまいそうなので、二人は部屋に戻ることにした。
浴衣でいつもより少し歩きにくいが、そのぶんゆっくり歩くことが出来るので、帰り道も
まだまだ散歩気分だ。
もう少ししたらきっと、星とか月とかも綺麗に見えるんだろうなー。ちょっと楽しみかも。
宍戸は空を見上げながら、心の中でそう思う。そんなことを考えながら歩いていたので、
跡部に大分遅れをとってしまった。
「おい、宍戸。何やってんだ。先行っちまうぞ。」
「えっ?あー、ちょっと待てよー!!」
「ったく、しょうがねぇな。ほら、早く来いよ。」
呆れながらも跡部は微笑を浮かべて、手を差し出す。跡部のところまで走って行くと、宍
戸はその差し出された手を軽く握った。そのまま、手を繋ぎながら二人は自分達の部屋ま
で戻って行った。

「ふー、到着。」
「結構疲れたな。宍戸、何か飲み物あったっけ?」
「ああ。冷蔵庫に確かお茶があったと思うけど。」
宍戸は昼間買った飲み物を冷蔵庫にしまっておいたのを思い出し、それを跡部に渡した。
「サンキュー。」
「次、俺にも飲ましてくれよ。」
「ああ、いいぜ。」
素直に頷く跡部だが、跡部がこんなことを言われてまともに渡すはずがない。自分が飲み
終わるともう一口それを口に含んでそのまま宍戸に飲ませた。
「んんっ!!」
いきなりそんなふうに飲まされ、怒らないはずがない。宍戸は跡部が離れるとポカっと頭
を叩いて怒鳴った。
「いきなり何すんだよ!!」
「痛ってぇな。何も殴ることねぇだろ。」
「あーいうふうに飲まされると生ぬるいんだぞ!!お前だけ冷たいの飲んでズルイ!!」
そういう問題なのであろうか?宍戸は怒る観点がどこかずれているようだ。
「ほらよ。そんなに冷たいのがいいなら勝手に飲めばいいだろ。」
跡部はペットボトルに入ったお茶を宍戸に投げる。宍戸はそれを見事にキャッチし、ふた
を開け、一口だけ口に含んだ。そして、さっきのお返しだといわんばかりに跡部の口にそ
れを移す。
「・・・・っ!?」
「ほら、生ぬるいだろ。」
「本当だ。普通に飲んだらあんなに冷たいのに口移しにすんとすげぇ生ぬるい・・・。」
宍戸は何がしたかったのだろうか。冷たいお茶が飲みたかったのではなかったのかと微妙
な疑問が残るがまあそれは置いておくとして、二人そろってこんなことをしていると気分
的にも何だか違う方面に向かってきてしまう。
「宍戸、もうそろそろ布団敷かねぇ?」
「そうだな。」
当たり前の流れのように跡部は布団を敷こうと宍戸に提案した。宍戸も宍戸で簡単に了承
してしまう。眠るにはまだ明らかに早い時間にも関わらずだ。それも、畳に敷かれた布団
は何故だか一組だけ。ここまで来たならもうすることなんて一つしかない。
「電気はどうする?」
「俺的には消したい。この灯りだけでよくねぇ?」
宍戸は枕元に置いてある古風なランプのスイッチを入れた。それと同時に跡部は部屋の電
気を消す。暖かなオレンジ色の光だけ薄暗い部屋を照らし出した。
「イイ感じじゃねぇ?この雰囲気。」
「そうだな。じゃ、始めるか?」
「ああ。」
宍戸は布団に座り、電気を消すために立ち上がっていた跡部に向かって手を伸ばす。跡部
はその腕を掴みそのまま布団に押し倒した。
「うわあ、何かここまで雰囲気作ってするといつもより微妙にエロいよな。」
「でも、盛り上がりそうでよくねぇ?俺、こういうシチュエーション好きだぜ。」
「俺も。それも浴衣だぜ。何か燃えるよな。」
「お前がそれ言うなよ。」
薄暗い部屋の真ん中でくすくすと笑い合いながら、二人はまずは唇を重ねた。じっくりと
お互いを確かめるように味わう。さっきは飲み物で生ぬるいのが嫌というようなことを話
ていたが、そんなことはもう関係ない。互いの喉を潤す蜜は生ぬるいというより熱く、ま
るで媚薬のような感じだ。
「・・・ふ・・はぁ・・・・」
「今日はまずどうする?このまま寝ころがったままでするか?」
「別に・・・どうでもいいけど。跡部はどうしたいんだよ?」
「そうだな・・・じゃあ、いったんお前起き上がれ。」
跡部は宍戸を起き上がらせると自分の膝の上に乗るように指示をした。あぐらで座ってい
る跡部の上に宍戸が腰を下ろすという格好になり、跡部は後ろから宍戸を抱きしめる。
「何でこんな格好させるんだよ?」
「浴衣だとこの方がやりやすいと思うんだよな。」
「わっ!!ちょっと待て・・・・そんな・・・」
後ろから手を回し、跡部は器用に宍戸の下着を脱がしてしまう。浴衣の裾の部分から手を
入れ、ゆっくりと露わになったそれに触り始めた。
「やっ・・・あ・・・いきなり・・・ダメ・・・」
「嘘つけよ。ちゃんと俺のすること応えてるぜ。お前のここ。」
「あっ・・・ん・・・・跡部・・・」
いきなり始められても宍戸はそんなに違和感は感じないらしい。跡部に身を預け、される
がままだ。跡部の浴衣を掴み、呼吸を乱して顔を歪める。跡部にとってはそんな表情が堪
らなかった。
「浴衣だとこういうとこも簡単に弄れていいよな。」
「ひゃっ・・・あ・・・そんなに・・・いっぺんにするなよぉ・・・」
涙声になってくる宍戸をさらに攻め立てるため、跡部は両手で宍戸の性感帯を弄り、唇と
舌で首元や耳をなぞった。何ヶ所も同時に攻められ、宍戸は本格的にそういうモードにな
ってしまう。
「ああっ・・・あっ・・・やぁ・・・」
「宍戸、今触ってるところでどこが一番イイか言ってみろよ。」
「そんなの・・・分かねぇ・・よ・・・」
「ここか?」
「んぅっ!!」
「お前、ここも弱いよな?」
「あっ・・・くぅんっ・・・!!」
一つ一つ順番に跡部は宍戸の弱いトコロを刺激する。どこも宍戸にとってはスイートスポ
ットなので、触られる度に大きな反応を示してしまう。さすが跡部。宍戸の弱点は全て知
りつくしているようだ。
「跡部ぇ・・・あん・・・ハァ・・・」
「どうだ、宍戸?気持ちイイだろ?」
「そ・・いうこと・・・・聞くなよ・・・」
「言わないとイカせてやらないぜ。こんなにしてんだからもうそろそろ限界なんだよな?」
「うっ・・・ヤダ・・ぁ・・・」
「じゃあ、言えよ。そうしたら、イカせてやってもいいぜ。」
こんな意地悪なセリフにも宍戸は感じてしまう。小刻みに体を震わせながら、涙声で自分
がどう感じているかを口にした。
「イイよ・・・跡部にこうされて・・・すげぇ気持ちイイ・・・」
「よくできました。」
「っ!!・・・うあっ・・・ああ――っ!!」
宍戸の言葉を聞くと、跡部はわざと強く宍戸のそれを擦る。その瞬間、宍戸は今までの愛
撫の所為もありそのまま達した。
「ハァ・・・ハァ・・・・」
ぐったりと寄りかかっている宍戸を今度は布団に寝かせて、跡部は浴衣の帯を完璧に解く。
ほぼ全裸状態の宍戸の体にドキドキしながらも、平静を装い宍戸にまた意地悪な指図をす
る。
「宍戸、膝を曲げて、足を開け。」
「っ!?」
「そうしないと慣らせないぜ。挿れて欲しいんだろ?」
「跡部のアホ!!・・・何で・・・そんな恥ずかしいことばっか・・・命令すんだよ・・・」
半べそ状態で文句を言う宍戸だが、素直に跡部の言うことに従ってしまう。さっき宍戸が
放った液を使って跡部はこれから自分のものを入れる箇所を慣らし始めた。そんな感覚に
も宍戸は感じてしまい、また甘い声を上げ出す。
「んっ・・・あっ・・・あん・・・」
「今日は随分素直に声出してんな。そんなに感じてんのか?」
「ウルセー・・・いいだろ別にっ・・・!!」
「悪いなんて言ってねぇよ。それに、お前のその声聞いててすげぇそそられるし。」
「口ばっか動かしてねぇで・・・ちゃんと手動かせよ・・・」
「いいのか?そんなことしたらお前またイッちまうぜ。」
不敵に笑いながら跡部は言う。跡部の言った通り、黙って手だけを動かされると宍戸はも
う文句を言う余裕もないほどに感じてしまう。
「やっ・・うあ・・・あっ・・・あぁ・・・」
「ほーら、俺様の言った通りじゃねーか。そんなよがってまたイキそうなんだろ?」
「はぁ・・・あっ・・・くっ・・・んん・・・」
必死に堪えている宍戸だが、やっぱり跡部の美技には敵わない。結局またイカされてしま
った。
「んっ・・・ああっ!!」
「もう下ぐしょぐしょだぜ。これなら、俺様のもきっと簡単にのみこんじまうんだろな。」
「ちょ・・・少しは休ませろよ・・・」
「ダメだ。俺だって結構我慢してんだ。挿れさせてもらうぜ。」
宍戸の言うことなんて全く聞いちゃいない。跡部は宍戸の足を持ち上げ、そのまま身を進
めた。どちらも浴衣なので普通の服を着ている時よりも容易に繋がることが出来る。
「あっ・・・うあっ・・・ああ・・・!!」
その衝撃に宍戸は思わず腕で顔を覆ってしまう。顔が見えなくなるのを不満に思った跡部
は腕をどかし、唇にそっとキスをした。
「顔隠してんじゃねーよ。」
「はっ・・・今のは別にわざとじゃ・・ねぇ・・・」
「とにかくそのイイ顔は、しっかり見せてもらうからな。」
「勝手に見てろ・・・ん・・あっ・・・ハァ・・・」
跡部のテクニックに翻弄されながらも、宍戸はしっかりと意識だけは保っている。とその
時、いくつかの黄色い光が目の前に現れた。
「ハァ・・・跡部・・・」
「どうした?」
「何か・・・黄色い光が・・・いっぱい・・・」
「はあ?黄色い光?」
跡部はあたりを見回した。確かに自分達の周りを点滅を繰り返す黄色の光が飛び交ってい
る。
「蛍か?」
「蛍・・・?」
そう、少し開いていた窓から蛍が入ってきたのだ。薄暗い部屋に輝く黄色の淡い光は二人
の目にとても幻想的に映った。
「綺麗・・・だな・・・」
「ああ。こんな中でしてるなんて俺達かなりすごくねぇ?」
「確かに・・・滅多に体験出来ないよな・・・こんなこと・・・」
「蛍が飛び交う中でSEXするなんて普通ねぇよな。いい思い出になるぜコレ。」
「何言ってんだ・・・でも・・まあ・・・悪い気はしねぇよな・・・」
ほのかに笑いながら宍戸は言った。だが、やっぱりそういうことの最中。また、すぐに余
裕がなくなってしまう。それは跡部も同じだった。
「あっ・・・く・・・跡・・部・・・!!」
「宍戸っ・・・そろそろ・・・」
「ああっ・・・俺も・・・」
「こんな幻想的な中で、イけるって俺達かなり幸運じゃねぇ?」
「そ・・・だな・・・もう・・・俺・・・話してる余裕も・・・ないんだけど・・・」
「分かってるよ。じゃ、さっさとイこうぜ。」
跡部は今までとはちょっと違う、本当に嬉しそうな笑顔を見せた後、宍戸の中で果てた。
宍戸もほぼそれと同時に果てる。
「っ!!」
「跡部っ・・・!!」
余韻に浸り、ぐったりと横たわっている二人の周りを黄色い光はしばらく飛び交っている
のであった。

一通りの事が終わると二人は汗を流すために再び温泉へと向かった。今度は露天風呂だ。
「はぁ〜、気持ちいいー。」
「ここはそんなに熱くねぇな。ちょうどいい温度だ。」
さっきほどと同じく、ただいまここにはこの二人だけ。ただ、さっきと全く違うのはここ
は露天風呂なので、外の景色がバッチリ見れるということ。だが、夜なので夕方のように
自然物がハッキリ見えるわけではない。見えるものといったら、たくさんの星と黄金色の
満月くらいだ。
「月、綺麗だな。」
「ああ。今日は満月か。」
「見ろよ。水に月が映ってるぜ。」
「本当だ。露天風呂ならではの景色だな。」
水面に映る月を見つけ、宍戸はそこまで移動する。跡部もそれを追った。
「こうすると月に触ってるみたいじゃねぇ?」
水に映った月を触りながら無邪気に宍戸は跡部に問う。跡部は宍戸の手に自分の手を重ね
て頷いた。と、その手の上にさきほど見た蛍が止まる。
「さっきの蛍!!」
「ここらへん相当水が綺麗なんだな。こんなに蛍がいるなんてよ。」
「こいつらに見られちまったんだよな。さっきの。何か恥ずかしい。」
「別にいいんじゃねぇ?こいつらもあーいうことするためにこうやって光ってんだからよ。」
「そうなのか?」
「ああ。お前知らなかったのか?」
「うん。」
普通に頷く宍戸を少しバカにしたように跡部は笑った。だが、宍戸はそんなことはどうで
いいやという感じでまた蛍に目を落とす。
「それにしても綺麗だよな。今の状況も結構すごいと思わねぇ?月に触ってる俺達の手に
同じように光ってる蛍が乗ってる。何か神秘的ー。」
「確かにそうだな。なあ、宍戸。このままの状態でさ、キスしねぇ?」
「何でだよ?何か関係あんの?」
「別にねぇけど、何かしたい気分なんだよ。」
「別にいいぜ。確かにこんな状態でするのも滅多にねぇからな。」
二人は微笑み合い自然に口づけを交わした。月に触れ、蛍を手にしながらという何とも風
流な中でだ。こんなに神秘的で幻想的なことはそうそう体験出来ることではない。この日
の夜の出来事はいつまでも二人の心の中に刻まれるのであった。

                                END.

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