新学期が始まり一週間が過ぎた。岳人と忍足はいつものように仲良く下校中だ。お互いの
家に向かう別れ際、岳人は忍足にとある話を持ちかけた。
「ねぇ、侑士。」
「何や岳人?」
「今週の金曜日何の日か知ってる?」
「そんなの分かるに決まっとるやん。今週の金曜日、9月12日は岳人の生まれた日や。」
自信ありげに忍足は言う。岳人はそれを聞いて嬉しそうに笑った。そして、さらに話を進
める。
「それでね、ものは相談なんだけど・・・。」
「何?」
「その日さ、学校サボって旅行に行かねぇ?」
「は?旅行?」
「うん。学校サボって温泉旅行。結構楽しそうだと思うんだけど。」
反応を見るため、岳人は上目使いで忍足の顔を見た。忍足はしばらく悩んでいたが、ふっ
と岳人に目を落とし、笑いながら岳人の頭の上に手を置いた。
「おもしろそうやん。こんなにちっこくても俺より年上になってまうんだもんなあ。ええ
よ。金曜日学校サボってやろうやないの。」
「マジで?やったー!!でね、旅行先は箱根にしようかなあって思ってんだ。」
「へぇ。箱根か。まあ、距離的にはそんなに遠すぎもせず近すぎもせずって感じやな。」
「資金は誕生日プレゼントっていうことで、うちの親が全部出してくれるって。もちろん
侑士の分も。」
「えっ!?そんな悪いって。ええよ、俺の分は。」
「大丈夫。俺、すっげぇ安い宿見つけちゃったんだ♪」
ウインクをしながら岳人は忍足に言った。忍足はちょっと心配しながらその値段を恐る恐
る尋ねる。旅館に泊まるとなるといくら安いと言っても限界があるだろう。
「一泊どれくらいなん?」
「聞いて驚くなよ。・・・何と一人一泊3250円!!しかも朝と夜の二食付き!!」
「ホンマ!?それめっちゃ安いで。」
「でしょ?何かそこの旅館、中学生は大人の料金の半額なんだって。だから、大人一泊分
で俺達二人とも泊まれるってわけ。な、悪い話じゃないだろ?」
「ああ。それなら岳人の親御さんに甘えちゃってもええかな?」
「うん。全然オッケーだって。じゃあ、金曜日は10時に駅な。」
「了解。何やこういうの初めてだから楽しみやな。」
「おう!!侑士、プレゼント持って来るの忘れんなよ。」
岳人はビシっと指を忍足に向かって指した。特に口には出していないが、その表情はいい
誕生日プレゼントを期待してるからなというメッセージががバッチリと隠されていた。忍
足は当然と言わんばかりに同じように岳人に向かって指を指した。
「分かっとるって。最高のプレゼントあげたる。」
「楽しみにしてるからな。じゃあな。」
帰り道の別れ際だったので、岳人は大きく手を振って自分の家へと走り出す。忍足がその
旅行をOKしてくれたことが嬉しくて、心情的にはいつも通り跳ねたい気分だった。
そして、金曜日。二人は本当に学校をサボり、駅へとやってきた。東京から箱根まではあ
る程度長い時間がかかる。電車を乗り継いでも暇にならないようにと岳人はトランプやM
Dプレイヤーを忍足は本や数種類のお菓子を持って来ていた。
「侑士、俺、喉渇いちゃった。」
「飲み物持ってこんかったんか?」
「うん。忘れちゃった。」
「じゃあ、俺の飲んでもええよ。お茶だけどな。」
「サンキュー!さっすが、侑士。」
飲み物を忘れた岳人は忍足からペットボトルを受け取って、ごくごくと喉を鳴らしてその
お茶を飲んだ。遠慮などというものは全くしないらしい。だが、忍足はそんなことはいつ
ものことだと半分くらいになってしまったペットボトルを自分の鞄の中にしまった。
「なあ、そういえば今日行く旅館ってチェックインが三時からだったと思うんだよね。こ
のままだとそれより絶対早く着いちゃうだろ?だからさ、旅館に行く前にどこかに寄って
行かねぇ?」
「せやな。その方が旅行っぽくていいし。箱根だったら観光スポットもいくらでもあるや
ろ。」
少し早めに出てしまったので、このままだとチェックインが始まる時間の前までに着いて
しまう。それでは困るので、二人は軽く他の場所に寄ってからそこへ向かうことにした。
二つ、三つの観光スポットを回った後、二人は今日泊まる旅館に到着した。だいぶ遊びす
ぎてしまったので、到着時刻はほぼ五時。意外と時間がかかってしまった。
「結構山の中なんやな。」
「そうだね。はあ〜、何か遊び疲れちゃった。早く中に入ろうぜ。」
岳人はさっきまでの観光スポットでだいぶはしゃぎすぎてしまったため、すでに疲れが溜
まっている。テニスと同じく後先考えずに思いっきりやってしまうところは本当に岳人ら
しい。受付で学生証を見せ、チェックインを済ますと二人は三階にある客室へと案内され
た。
「ごゆっくりどうぞ。」
旅館の人がいなくなると、さっきの疲れはどこへやら。岳人は再びはしゃぎ出した。
「うっわあ、すっげぇ!!ここ超眺めいいじゃん。高い山がいっぱいだー!!」
「岳人、疲れてたんとちゃうの?」
「えー、確かに疲れてるけどぉ、こんな景色見て落ち着いているって方が無理だぜ。」
窓から見える景色に感動して、岳人はピョンピョンと跳ね、ニコニコ顔だ。
「でも、やっぱええな和室は。この雰囲気落ち着くわー。」
「侑士、こういうの好きだもんね。」
岳人は窓から景色を眺め、忍足は背もたれのある椅子に腰掛け話している。しばらくくつ
ろいでいると、早くも夕食が運ばれてきた。
「へぇー、もう夕ごはんか。早いな。」
「でも、俺、ちょうど腹減ってたところや。それも、かなり豪華やないコレ?」
「そうだな。カルパッチョにお造り、お吸い物にワンタンの唐揚げ?なんかいろんな国が
ごちゃ混ぜになってますって感じのメニューだな。」
「ホンマやな。でも、おいしそうやん。はよ食べよう。」
豪華な食事を前にして、二人はかなりご機嫌だ。いろいろな国の料理が混ざってはいるも
ののそれぞれの味はかなりおいしく、量もそれなりにあり、とても3250円の料金で食
べれるものとは思えない。
「うっま!こんな豪華な夕飯食べたのすげぇ久しぶりかも。」
「イイ感じの誕生日のご馳走やな。」
「うん!!あっ、侑士。これ頂戴♪」
「しょうがあらへんなあ。ええよ。」
「やったー!!サンキュー侑士!」
岳人があまりにもおいしそうにその夕食を食べているので、忍足は欲しいと言ったものを
簡単にあげてしまう。それで、岳人がまた嬉しそうな顔するので、忍足も何故だか楽しく
なってしまうのだ。
「はぁー、腹いっぱーい。」
「ホンマうまかったな。安いわりにはなかなかええやんこの旅館。」
「だな。そうだもうちょっと食休みしたらお風呂行こうぜ。確か一階だったよな?」
「せやな。あっ、こういうとこって浴衣あるよな?」
「あるはずだぜ。侑士、絶対浴衣似合うよな。」
「そないなことあらへんって。」
少し照れながら忍足は椅子から立ち上がった。そして、備え付けられているタンスを開け
てみる。思った通りそこにはキレイにたたまれた浴衣と帯が置いてあった。
「岳人、浴衣あったで。」
「マジで?どんな感じ?」
「どんな感じっていわれてもなあ。普通に縦のラインが入ってるって感じやで。」
「ふーん。浴衣も見つけたことだし、じゃあ、お風呂行こうか。」
「ええよ。早めに入ってくつろぐのもありやもんな。」
二人は浴衣とバスタオルを持ち、部屋を出た。この旅館には大浴場と中浴場、それから家
族風呂がある。今回、二人が行くのは大浴場だ。
「おー、すげぇ広い。」
「庭が開けててキレイやな。ちゃんとライトアップされとるし。」
このくらいの時間帯になるとこの大浴場は黄色系の淡いライトで照らされ、外の庭園はラ
イトアップされる。室内にあるのだが、窓を開け放てばまさに気分は露天風呂だ。
「今、誰も入ってないし、ちょっと泳いじゃおうかなあ♪」
「ダメやで。そんなことしたら。」
「大丈夫だって。ちょっとだけだからさ。」
「アカン。ほら、背中ながしっこしてやるから、こっちきい。」
「俺、今侑士より年上だぞー。子供扱いすんな。」
ぷうっとほっぺたを膨らまし、岳人は忍足のところまで歩いて行く。こんな表情をされて
しまったら、子ども扱いするなと言っても説得力は全くないに等しいだろう。文句を言い
ながらも結局岳人は忍足の言うことを聞いてしまう。髪の毛を洗われるその姿は、とても
15歳には見えない。むしろ、小学生にも見えてしまいそうだ。
「俺が洗い終わったら、今度は俺が侑士を洗ってやるな。」
「頼むわ。」
だが、洗われるのは岳人だけでなく忍足もだ。お互いに背中を流しあうと二人はゆっくり
とお湯に浸かり、ライトアップされた外の景色を楽しんだ。5分くらい浸かっていると、
さすがに暑くなってしまい、湯船からあがる。この温泉の効果で二人の肌はツルツル、髪
はさらさら、体はポカポカになっていた。
「ふぅ〜、暑っちぃ。」
「ちょっと長湯しすぎてまったな。」
「でも、気持ちよかったよ。何か肌もツルツルになったし?」
冗談で忍足の顔を触りながら、岳人はからうように言う。くすぐったそうにしながら忍足
は岳人のその手をそっと外した。
「くすぐったいで岳人。それにこういうことは後で部屋に帰ってから。」
「部屋に行ったらしていいの!?」
「まあ、今日はあの部屋俺達二人の部屋やからな。この時間帯だったらとくに誰も来ない
だろうし、少しくらいはええんとちゃう?」
「よっしゃあ!!じゃあ、部屋に行ったらいろいろしよーっと。」
岳人は無邪気に笑って、忍足の手を握った。忍足は余計なことを言ってしまったなあと思
いつつもちょっとだけ期待してみようかなあなどと思うのであった。
部屋に戻ると二人は昼間に買ってきておいたあるものを机の上に出した。忍足はそれと一
緒にピンクのリボンがついた水色の可愛らしい袋も出す。二人が昼間に買ってきたあるも
の、それは三角に切られたショートケーキとチョコレートケーキであった。そう、今日は
岳人の誕生日。小さくてもいいからケーキを食べようということになったのだ。
「侑士、早くケーキ食べようぜ。」
「ちょっと待ちぃ。その前に・・・」
岳人がケーキを食べたいとウキウキしてるところに忍足はさっきの水色の袋を差し出した。
「誕生日おめでとさん岳人。プレゼントや。」
「サンキュー!!開けてもいいか?」
「ええよ。きっと気に入ると思うで。」
中からは緑色の可愛いものが二つ出てきた。一つは小さなカエルがついた赤いストラップ。
もう一つは手の平に収まるくらいのカエルの置き物だった。
「わあー、可愛いー!!マジ、ありがと侑士。」
「いやー、岳人見とったらさカエルが可愛く思えてな。思わず買ってもうた。」
「俺カエルかよー。でも、まあ可愛いからいいや。」
カエルみたいだと言われてちょっと微妙な気分だが、そのプレゼントはとても気に入った
らしい。プレゼントタイムが終わるとさっき机の上に出したケーキを食べ始める。岳人が
ショートケーキで忍足がチョコレートケーキだ。この二人にとってはいつものことだが、
それぞれのケーキをお互いに食べさせあう。そんなことをしていると、忍足の口の横に岳
人があげたショートケーキのクリームがついてしまった。
「あっ、クリームついちゃった。」
「別にええよ。拭けばいいし。」
「そんなもったないことさせないよ。やっぱここはさ・・・」
岳人は自分の口で口の横についたクリームを取る。直接はされていないのに忍足の心臓は
ドキドキだ。
「が、岳人・・・。」
「なぁなぁ、侑士。さっきのカエルもすっごく嬉しかったんだけどさ、俺やっぱ誕生日プ
レゼント侑士がいいな。」
半分押し倒したような状態で岳人は忍足に言う。忍足はそんな状況にドキドキして赤くな
りながらも、岳人の首に腕を回してこう呟いた。
「今日は誕生日やもんな。ええよ。今日はメッチャサービスしたる。」
「やりぃ!!」
「そのかわりちゃんと布団の上でな。畳は痛そうやん?」
「了解。」
忍足からのお許しをもらうと岳人は軽くキスをして、忍足の言った通り一組の布団を敷き
始めた。
布団を敷き終えると岳人は忍足をその上に押し倒して、浴衣の懐に手を入れ、いろいろな
ところを弄る。初めは少しくすぐったいくらいだったのだが、弱いところなどと触られた
りすると、やはり高い声が漏れてしまう。
「ふっ・・あっ・・・」
「なんかさ、浴衣って脱がしやすいけど全部脱がしちゃうのってすごくもったないよね。」
「な・・何言っとるん・・・もったないってそんな・・・」
「だって、脱がしちゃったらいつもと変わんないじゃん。やっぱ、浴衣だったら中途半端
にはだけてるくらいの方が絶対いいと思うんだよね。」
「まあ、岳人の好きにすればええよ。」
「そう、じゃあお言葉に甘えて♪」
岳人は忍足の浴衣を方の部分だけ脱がせる。帯はそのままなので、肩から胸のあたりまで
がはだけているという状態だ。そうして露わになった肌に岳人は唇を落とし始める。小さ
く吸われる度、ゾクっとした感覚が背筋を走り、忍足は小さく声をあげた。
「あっ・・・んん・・・」
「侑士、もっと素直に声出していいぜ。気持ちいいんだろ?」
「そないなこと・・・」
「えっ、全然気持ちよくないの?それじゃあ・・・・」
岳人は忍足の言葉を最後まで聞かず、浴衣の裾に手を入れて、少しずつ勃ちはじめている
それに手を触れる。その瞬間、忍足はビクっとしてさっきとは比べものにならないほどの
大きな反応を示した。
「あっ・・・あぁっ・・・!!やっ・・岳人っ・・・」
「今みたいな感じがいいよ。ほら、こうしたらもっと気持ちイイよな?」
「ん・・はぁ・・・そ・・んなっ・・・あ・・うっ・・・」
直接それをゆっくりと擦られ、忍足はシーツを掴んで、かたかたと震える。足が自然に開
いてしまい、それが岳人をさらに煽ることとなった。
「そんなに感じてるんだ。じゃあ、下着は取っちゃった方がいいよね?邪魔だしさ。」
「えっ・・・!?・・・ちょっ・・・岳人っ!!」
慌てる忍足を尻目に岳人は下着を取り去ってしまう。浴衣の下には何も着ていないという
状態にさせられてしまい、忍足は羞恥心から曲げられた膝同士をくっつけて見せたくない
ところを隠そうとした。
「侑士、ちゃんと足開いてよ。」
「い・・・やや・・・恥ずかしい・・・」
「それじゃあ、出来ないぜ。」
「でも・・・」
忍足がなかなか足を開いてくれないので、岳人は自分の鞄からあるものを出し、何の予告
もなしにそのあるもののボタンを押してしまった。
パシャっ
次の瞬間、白い光が瞬く。忍足はその光とシャッターの音に気づき、目を見開いて、がば
っと横たえていた体を起こした。
「が、岳人っ!!今・・・何したん・・!?」
「侑士があんまりにもセクシーな格好してるから撮っちゃった。だって、先に進ませてく
れないんだもん。」
ペロっと舌を出して岳人は自分のデジカメを手にして飄々と言い放った。忍足は涙目にな
って、岳人に抗議をする。
「こんな格好・・・写真に撮るなんて・・ひどい・・・」
「でも、侑士超可愛いよ。ほら、今日は俺の誕生日だしさ。記念にと思って。」
「せやけど・・・写真は反則や・・・この後はちゃんとやるから・・・もう写真だけはや
めて・・・」
今にも泣きそうな顔しているので、岳人はさすがに可哀想だなあと思いカメラをすぐには
手の届かないテーブルの上に置いた。そして、軽く忍足のほっぺにキスをして頭を撫でる。
「ゴメン。そんなに嫌ならもうしない。でも、さっき言ったことは守れよ。」
「分かっとる・・・じゃあ・・・岳人のしてやるな・・・」
さっき言ったことを守るため、まず手始めに忍足は岳人のモノを口でする。いきなりこん
なことをされるとは思ってなかったので、岳人は思わず声をあげてしまう。
「うっ・・あっ・・侑士・・・」
「んっ・・・んぅ・・・ん・・・」
ピチャピチャと濡れた音が部屋に響く。初めは驚いてしまった岳人だが、目を潤ませて必
死で自分のモノしている忍足の姿を見て、次第に心臓がドキドキして変な気分になってし
まう。
「侑士・・・うまい・・・」
「・・そうか・・・?・・・じゃあ・・・もうちょっと頑張ろ・・・」
「んっ・・・大サービスじゃん今日・・・」
「ん・・んん・・・はっ・・・今日は岳人の誕生日やからな・・・」
「サンキュ・・・うあっ・・・ちょっともうヤバイかも・・・」
身体的な刺激と視覚からの刺激で岳人はいつもより早く達してしまう。忍足は飲もうと思
ったがうまく飲み込めず、半分くらいは顔と胸あたりに飛び散ってしまった。
「ケホっ・・・ハァ・・・ごめんな岳人・・・全部飲めんかった・・・」
「いいよ、無理しなくて。それにしても今の侑士すっげぇエロいぜ。顔にも胸にも白いの
がついてる。」
「ホンマ?まあ、ええわ。この方が岳人も燃えるやろ?」
「まあな。あっ、ついでだからさ、侑士自分で慣らしてよ。俺、それ見学するから。」
忍足は岳人の言ったことがすぐには把握出来ず、しばらく黙ったままでいる。だが、今岳
人の言ったことの重大さに気づくと顔を真っ赤にして首を横に振った。
「ア、 アホっ!!さすがにそこまでは出来へん!!」
「あはは、冗談だよ。ちゃんと俺が慣らしてやるからさ、ちゃんと座って足開けよ。」
「冗談キツイわ〜。」
笑いながらそう言う岳人の言うとこを素直に聞いて、忍足は腕で体を支え、布団の上に座
った。もちろん岳人が慣らしやすいように足は開く。はだけた浴衣がその姿をいつもより
数倍扇情的なものにしていた。
「いっ・・・あっ・・・」
「ゴメン。痛かった?」
「ん・・・大丈夫・・・はっ・・・あ・・・」
まだ少し苦しそうな顔をしているが、そのうちその表情も少し雰囲気の違うものに変化し
ていく。どうやら圧迫感や痛みより快感の方が大きくなってきたらしい。
「ハァ・・・あっ・・・あん・・・ふっ・・・」
「だいぶ、解れてきたね。ちゃんと濡れてるし。」
「な・・・なあ・・・岳人・・・」
「ん、何?」
「もうそろそろええから・・・ちょっと仰向けに寝てくれへん?」
「うん?いいけど。」
何をするのかよく分からないが、岳人は忍足に言われた通り仰向けに横になった。すると、
忍足は仰向けになった岳人の体をまたぎ、一つ大きく息を吐くと岳人のモノに腰をそのま
ま落とす。その衝撃にどちらもかなり率直に感じてしまった。
「くぅ・・んっ!!あっ・・・ああっ!!」
「うあっ・・・」
思ってもみない忍足の行動に岳人は少し驚いたが、あまりの気持ちよさにそんなことはふ
っ飛んでしまう。忍足も忍足で何とか岳人を喜ばせようと自ら腰を揺らす。初めての体位
にしてはイイ感じだとどちらもぼーっとしてくる頭で思った。
「んっ・・あ・・・岳・・人ぉ・・・ハァ・・・んんっ・・・!!」
「侑士・・・」
こんな角度から忍足のこういう顔を見るのは初めてだったので、岳人は呼吸が速くなるの
を抑えられずに思ったことを素直に口にした。
「侑士・・・超やらしい顔・・・」
「何や・・・それ・・・こっちは一生懸命っ・・・」
「でも、すっげぇキレイ・・・」
荒い呼吸の中、笑いながら岳人がこんなことを呟くので忍足はくらっとしてしまう。その
上、岳人は自分が何もしないのは嫌だと言わんばかりに前の方を利き手で弄び始めるので、
熱はもうかなり限界点まで登りつめてきている。
「やぁ・・・あぁん・・・がく・・と・・・・!!」
「侑士、俺もうイッちゃいそう・・・」
「あっ・・・くぅ・・・俺・・もっ・・!!」
岳人は右手で忍足の手を握った。そして、その瞬間頭の中が真っ白になる。忍足もそれは
同じでぎゅっと目をつぶり、熱い熱が自分の中に放たれるのを感じながら自分もそれと同
時に果てた。
「あっ・・ああ―――っ!!」
「はっ・・・侑士っ!!」
いくところまでいくと忍足は体に力が入らなくなり、岳人の上にそのまま倒れ込んだ。
こんなことをして、当然のことながら体は汗をかきいろいろと汚れてしまったので、二人
はもう一度温泉に入ってきた。この旅館の温泉は24時間いつでも入れるので、それはこ
の二人にとってはとても好都合だった。
「ふー、さっぱりした。」
「今度は本当に寝るだけやな。」
部屋に戻り二人はくつろぎながら窓の外を見ている。昼間はあんなにはっきりと見えてい
た山々が今はただの闇でしかない。だが、オレンジ色の三日月がほのかな情趣を醸し出し
ていた。
「なあ、侑士。来月は侑士の誕生日だろ?誕生日プレゼント何が欲しい?」
「そんなこと急に言われてもなあ・・・。岳人がくれるもんやったら、何でも嬉しいで。」
「それじゃあ、何あげたらいいか全然分かんないよー!!」
「ホンマやで。あっ、でもあえて欲しい言うんなら・・・・」
「うんうん、何々?」
思いついたように忍足が言うので、岳人は期待の眼差しで忍足を見た。忍足が何をプレゼ
ントしたら喜ぶかが分かるのだから当然であろう。だが、この後忍足は岳人が想像してい
なかったものを口にする。
「やっぱ、一番欲しいもの言うたら岳人やろ。」
「えっ・・・?」
忍足の言っていることがすぐには把握できない。岳人はしばらく考えて、それからまたさ
っきと同じようなリアクションを取った。
「それも微妙に違うー!!確かにその気持ちはよーく分かるけどさ、そういうのじゃなく
て・・・」
「俺、岳人が居るんやったら他には何にもいらへんよ。これ以上欲張ったらバチ当たりそ
うやん。」
「うっ。・・・そんなに誕生日プレゼント、俺がいいのかよ?」
「せやな。俺、岳人のこと大好きやもん。」
ニコっと笑って忍足は言った。それを聞いて岳人はちょっと照れたようなむすっとしたよ
うな顔を一変させて、忍足に抱きつく。
「しょうがねーなあ。じゃあ、侑士への誕生日プレゼントは俺と何か他にプラスαだ!!
最高のプレゼントやるから楽しみにしてろよな。」
「ほな、楽しみにしとくわ。ふぁ〜、今日は何か疲れてもうた。岳人、もうそろそろ寝ぇ
へん?」
「そうだな。寝るか。」
岳人も忍足につられて大きなあくびをした後、布団に向かって歩き出した。もう眠ろうと
部屋の電気は消して、枕元の小さなランプをつける。布団に入って二人はお互いの背中に
腕を回しあった。15歳の初めての夜。この日は岳人にとって、最高の思い出の日となる
のであった。
END.