「はあ〜、今日の練習も疲れたあっ!!」
「ホント、ホント。最近キツイよな。」
「お前ら持久力ねぇんじゃねーの?この程度の練習で何言ってんだ。」
「でも、ホンマに今日の練習は少し厳しかったで。」
部活を終えての帰り道、今日は珍しく跡部、宍戸、岳人、忍足の四人で帰っている。今日
の練習はいつもよりかなりハードで、跡部以外の三人は疲れをあからさまに顔に出してい
た。
「あー、早く帰ってシャワーでも浴びたいな。」
「せやな。最近は日が短いからあんまり学校には残れへんし。」
最近はだいぶ日が短くなったので、学校でシャワーを浴びようとすると帰る時には真っ暗
な上にかなり寒くなってしまうのだ。岳人と忍足がそんなことを話しているのを聞いて、
跡部は何かを思いついたような顔をして、宍戸に話しかけた。
「宍戸、今日これからうちに寄ってけよ。」
「えー、何でだよ。俺、すっげぇ疲れてんだけど。」
宍戸はあからさまに嫌そうな顔をする。跡部の家に行くと自然とそういう雰囲気になって
しまい、何もなしで帰れるということはまずないのだ。
「今日は特別に俺様がお前にサービスしてやるよ。風呂も貸してやるし、茶くらいは出す
ぜ。」
「うーん・・・。ホントにちょっとだけだぞ。」
「じゃあ、俺達はこっちだな。」
「あー!!跡部達ずりぃぞ!!なあ侑士、俺も侑士んち行っていい?」
岳人と忍足と別れて、家に向かおうとすると岳人が騒ぎ出した。跡部と宍戸がこの後も一
緒に居ると聞いて羨ましくなったのであろう。忍足の腕を掴み、上目使いでお願いだ。
「別にええけど。特に用もないし。」
「マジで!?やったー!!じゃあな、跡部、宍戸。俺もこれから侑士とラブラブするぜ。」
「ああ、じゃあな。」
跡部と宍戸は跡部の家へ、岳人と忍足は忍足の家へ、それぞれペアになり別れて歩き出し
た。
「ただいまー。」
「お邪魔します・・・。」
「おかえりなさいませ、景吾坊ちゃま。」
跡部と宍戸が家の中に入ると跡部の執事が玄関で出迎えてくれた。跡部は鞄を渡し、宍戸
の鞄も渡させ、そのままシャワールームへと向かう。宍戸はいいのかなあと思いつつ、跡
部についていった。
「着替え二人分をバスルームに持って来い。それから、五時になったら、俺の部屋の隣の
部屋に紅茶とココアを持って来い。もちろんホットでな。」
「かしこまりました。」
執事に軽く命令をすると、つかつかと廊下を歩く。宍戸としては、今は別々にシャワーを
浴びたいのだが、そんな贅沢なことは言っていられない。洋服を二人分用意しろと言って
いていたのだから、一緒に入らなければいけないのはまず間違いないだろう。
「跡部、やっぱ一緒に入んなきゃダメか?」
「嫌なら別にいいぜ。俺は後に入る。」
「う゛っ・・・じゃあ、一緒に入る・・・。」
せっかく来させてもらっているのに、自分が先に入るなんて出来ないと宍戸は一緒に入る
ことを承諾してしまった。跡部は宍戸のこの性格を完璧に熟知している。思ったとおりの
反応をするので、跡部はふっと口元を緩ませた。
「ただいま。」
「お邪魔しまーす♪」
かなり頻繁に遊びに来ているので、岳人は何の躊躇いもなしに家へと上がった。
「じゃあ、俺は着替え取ってくるから、岳人は先に風呂入っとき。」
「おう。分かった。それじゃあ、お先。」
忍足は着替えを取りに自分の部屋へ、岳人はそのまま風呂場へと向かった。
うーん、俺の着替えだと岳人にちょっと大きいなあ。まあ、いっか。
二人分の着替えを持ちながら、忍足はパタパタと風呂場へと向かう。脱衣所のドアを開け
ると岳人がちょうど制服を脱ぎ終わったところだった。
「わあっ、侑士のエッチー!!」
「わっ!!すまん、岳人っ!!」
「あはは、うそうそ。冗談だよ。早く侑士も脱いじゃいな。俺、先に入ってるね。」
「何やもう。ビックリさせんといて。」
ふぅと半分笑いを含んだ溜め息をついて、忍足は制服を脱ぎ始める。風呂場からはザーっ
とシャワーを出す音が聞こえてきた。
「はぁー、サッパリした。」
「宍戸、そこのソファに座れ。」
「そんな命令口調じゃなくてもいいだろー。」
シャワーを浴び終えると、二人は紫のクッションがいくつか置いてある豪華なソファのあ
る部屋に入った。ここもある意味跡部の部屋で、本を読んだり、くつろいだりする時に使
っている部屋なのだ。跡部に言われた通り、そのソファに腰かけるとコンコンとドアを叩
く音が聞こえた。
「入れ。」
「失礼します。」
時間が五時になったので、執事がコーヒーとココアを持って来たのだ。ソファの前のテー
ブルにそれを置くと、深々と頭を下げ、部屋から出て行った。
「お前、ココアでいいよな?嫌だったら替えてやるけど。」
「ああ、ココアでいいよ。紅茶よりかはマシ。」
「そうか。」
二人は綺麗な模様の入ったカップに入ったそれらを口にして、一息つく。特に何も話さな
いでいると、跡部が突然宍戸を押し倒した。
「おわっ!!何すんだよっ、跡部!!今日はこういうのなしって言っただろ!?」
「誰がそんなことするって言ったよ?お前、今日の練習キツくて疲れたとか言ってたよな?」
「・・・・言ったけど。」
こんな状態で何をされるのかは宍戸には全く想像がつかない。仮に思いついたとしてもそ
れは今はあんまりして欲しくないことだけである。
「今日は俺様がお前にマッサージをしてやろう。」
「はっ?マッサージ?」
「俺様は何でも出来るからな。疲れなんて一発で吹っ飛ぶぜ。」
「ま、まあ、マッサージなら別にいいけど。」
そういうことをされないならと宍戸は、素直に跡部の言うことを聞いた。仰向けの状態だ
ったが、それではやりにくいと跡部は宍戸の体を反転させた。
「足ちゃんと伸ばして、力抜いてろ。」
「ああ。」
紫のクッションを枕代わりにして、宍戸はそこで手を組み頭を置いた。他のクッションを
どかし跡部は宍戸の足のあたりを跨ぐ。そうした後、腰の部分の服を捲し上げた。
「わっ、何で服捲るんだよ!?」
「この方がやりやすいんだ。直接触った方がどこが一番凝っているか分かる。」
「変なことすんなよ。」
「分かってんよ。ほら、ちゃんと前向いてろ。」
ムスっとした顔で宍戸は、向きを前に向き直し頭をポスンとクッションに埋めた。跡部は
両手で宍戸の腰に触れる。
「あっ、そうだ。宍戸。」
「何だよ?」
「俺様の美技に酔いな!」
「あー、はいはい。分かったからさっさとやれよ。」
せっかくの決め台詞を言ったにも関わらず、宍戸にはさらっと流される。だが、こう言わ
れるのは予測済みだったので、跡部は気にせずマッサージを始めた。一番凝っているとこ
ろを一発で当てられ宍戸は思わず声を上げる。
「くっ・・・痛っ・・・」
「お前、足ばっか使ってるからな。腰にも結構負担かかってんだよ。痛いのは初めの方だ
けだから。少しすりゃあよくなる。」
微妙な台詞を放ちながら跡部はマッサージを続ける。跡部の言う通り、痛いのは最初だけ
でしばらくマッサージをされていると、眠くなるほど心地がよくなってきた。
「はぁー、気持ちいいー。」
「そうだろ?もう少ししたら足の方もやってやるからな。」
「おう・・・。」
すっかり宍戸は夢見心地だ。トローンとした表情で、うつ伏せに突っ伏している。腰の方
を終えると跡部はまた宍戸を反転させ、今度は足の方のマッサージに移った。ふくらはぎ
や太ももと疲労がかなり溜まっている箇所を丁寧にマッサージされ、宍戸は本格的に睡眠
モードに入りかけていた。
「ん・・・そこ、いい。」
半分眠っている状態なので、跡部のマッサージが気持ちいいと感じると素直にこう言う言
葉を発する。そんな言葉を聞いて、跡部はニヤニヤと笑っていた。両足ともだいたいし終
えると跡部はマッサージしていた手を本当はすべきでないところに移す。だが、そうされ
ても、宍戸はすっかりリラックスモードになっているのでそうすぐには気づかない。
「んっ・・・あっ・・・」
さっきとは少し違う感覚を宍戸は感じた。はっと気づいて目線だけを跡部の方へやると、
さっきまで足をマッサージしていた手が跡部から借りたハーフパンツのちょうど中心あた
りに置かれている。それを見て、宍戸は今の状況を理解した。
「ちょっ・・・跡部っ!!何やって・・・んっ!!」
「どうしたんだよ?宍戸。マッサージしてやってんのにどんどん硬くなってきてるぜ。」
「やっ・・・ヤダっ・・・やめろよ・・・・あっ・・・」
笑いながら跡部は宍戸の一番感じる部分をマッサージし始める。宍戸はマッサージするこ
とを許したのを超絶に後悔した。だが、もう遅い。ここまで来てしまったらもう逃げられ
ない。宍戸は両腕で顔を覆って、声が出るのを抑えることを余儀なくされた。
「岳人、今飲み物取ってくるからちょっと待っとき。」
「うん。」
岳人と忍足もシャワーを浴び終え、これからくつろぎタイムに入ろうとしていた。忍足が
飲み物を取ってきている間、岳人は忍足のベッドに寝転がり、ゴロゴロしている。
「持ってきたで。・・・って、何やっとんのや。」
「うーん、別に。暇だったから。」
忍足が部屋の戻ってくると、岳人はベッドから頭だけを落として不思議な体勢で寝転がっ
ていた。それを見て忍足は呆れる。そんな岳人を尻目に忍足は飲み物を机の上に置いて、
ベッドに座った。
「そないなことしてると、頭に血がのぼるで。ちゃんと起き。」
「そーだな。あっ、ジュースサンキューな。」
「どういたしまして。はぁ〜、最近、肩凝ってかなわんわ。」
ジュースを一口、口にした後、忍足は肩に手をやり首を回した。岳人をそれを見て、いい
こと思いついたとピョンと忍足の真後ろに座っている場所を移動させる。
「侑士、肩凝ってるのか?じゃあ、俺が肩揉みしてやるぜ!」
「ホンマか?じゃあ、少しだけやってもらおうかな。」
「俺、結構肩揉み得意だぜ。いつも母ちゃんのやってるからな。」
ニパッと笑顔で岳人は忍足の肩に手を置いた。身長差があるので膝で座って、力をうまく
込められるようにする。触った感じで凝ってそうなところを見つけ、そこを力を込めて揉
む。当然のことながら、忍足は思いきり痛がった。
「痛いっ、痛いっ、岳人!!」
「あっ、ゴメン痛かった?いつものくせでつい。じゃあ、もうちょっと優しくやるな。」
親にするのと忍足にするのとでは違うのだと、岳人は肩揉みをする手の力を加減した。あ
んまり強くやらなければ、忍足も痛がらない。ちょうどいい力で揉まれると忍足は心地よ
さげな溜め息をついて、目をつぶった。
「どう?侑士。気持ちいい?」
「ああ。ちょっと、痛いけどそれがまたええ感じや。」
「ここらへんにね、肩凝りに効くツボがあるんだって。ちょっと押してみてもいい?」
「別にええよ。」
背中の中心より少し上側にあるツボを押すと忍足は体をピクンと震わせる。
「うっ・・あ・・・痛っ・・・」
「ゴメン、やっぱここはしない方がいい?」
「いや、大丈夫。確かに痛いんやけど、それがまた気持ちええっていうか・・・。」
「そう?じゃあ、今はしばらくここやるよ。」
「ああ。」
岳人はしばらくその肩凝りのツボを刺激する。強く押すたびに忍足は痛がるような反応を
見せるが、その後、大丈夫だと岳人の方を向いて笑う。そんな忍足に岳人も笑いながら対
応しているが、内心ドキドキして気が気でなかった。うまく一番凝っているところをほぐ
すようにすると、忍足は小さな声を上げて体を震わせるのだ。それが、まるで他のことを
している時のようで、岳人にとってはかなり萌な反応だった。ツボ押しをやめて、最後の
仕上げだと岳人はもう一度肩自体を揉みだした。
「はっ・・・岳人、そこっ・・・」
「・・・・・。」
さすがにここまであからさまにそれに類似していると、岳人も我慢出来なくなってきてし
まう。顔がだんだん赤くなってくるのを感じて、岳人は肩揉みをやめてしまった。忍足と
してもだいぶ肩が軽くなったので満足気にお礼を言った。
「ふぅ〜、だいぶ楽になったわ。おおきにな、岳人。」
「侑士、ゴメン!!何か俺、我慢出来なくなってきちゃった。」
「はっ?何が?」
「だって、肩揉んでる時の侑士の反応、してる時の反応みたいなんだもんよ。」
「はあ!?何言っとるん。そんな・・・」
「だから、お願い!!やらせて。」
後ろからぎゅうっと抱きしめられ、そんなことを言われて忍足は困惑するが、よくよく考
えてみると岳人の言っていることは正しいのかもしれないと思う。そうなると、いけない
のは自分。まあ、今なら家に自分達以外いないし・・・ということで、岳人のお願いに応
じてしまった。
「しょうがあらへんなあ。確かに岳人の言ってることは正しいかもしれへん。でも、少し
だけだからな。」
「おう!!サンキュー侑士。」
岳人はいったん忍足を放し、ちゃんとベッドに乗せた。そして、今度は肩以外のところを
マッサージし始めた。
跡部のマッサージはもうその域をとっくに越えていた。跡部自体の服装はそんなに変わっ
てはいないが、宍戸の服装はもう乱れまくり。下半身においてはもう何も穿いていないに
等しい。
「んあっ・・・あんっ・・・やっだぁ・・・」
「ここは素直だな。マッサージしてやればしてやるだけほぐれてきてる。」
「お前っ・・・やっぱこれが目的だったんじゃねぇかぁっ!!」
「別に最後までやるとは言ってないぜ。まだ、マッサージの域だ。」
「うそつけっ!!・・・ぅあ・・はぁ・・・んん・・・」
初めのマッサージのおかげでだいぶ疲れはとれているが、ここまでされるとさすがにつら
い。でも、だからといってやめて欲しいかといったらうそになる。細い指が動く度に宍戸
は体を震わせた。さっき一度イカさせられたが、後ろを刺激されている所為でまた絶頂の
波がやってくるのを感じていた。もう眠くなるような気持ちよさはカケラもない。
「んぅ・・・あっ・・・跡部っ・・・やっ・・・ぁ・・・」
「ほら、気持ちイイだろ?さっきとどっちがいい?」
「そんな・・・くっ・・・はぁ・・・」
どっちがいいかと聞かれても、気持ちよさの種類が違う。そんなことは答えられないと宍
戸は首を振った。いろいろなことをしゃべっていても、跡部は手を休めようとしないので
宍戸はまた達してしまった。
「あっ・・あぁんっ!!」
「嫌がってるわりには、随分と感じてるよなあ宍戸。」
「跡部の・・・アホぉ・・・激ムカツク・・・」
ゼェゼェと息を乱しながら、宍戸は跡部に文句を言う。それを聞いても跡部は余裕の表情
だ。宍戸をそのままにし、クスクスと笑って、ソファに座りなおす。
「この後はお前がどうするか決めろよ。俺はもう手を出さねぇ。挿れたいなら挿れてもい
いし、ここで終わりでいいならそれでもいいぜ。」
「なっ!?何だよそれ!?」
「言った通りだぜ。さあ、どうするよ?宍戸。」
「ぐっ・・・お前・・・悪趣味っ・・・」
宍戸は潤んだ瞳で跡部のことを睨んだ。ここまでしといて後は自分で決めろというのは、
ある意味無理やりされるより酷だ。しばらく考える宍戸だったが、あそこまで慣らされて
このまま終わるのはやっぱりつらい。簡単に跡部のモノを口でした後、跡部の足に腰かけ
るような形でそれを自分の中に挿れた。
「んくっ・・・ああっ・・・」
「何だかんだ言って、お前もやらしいじゃねぇーか。」
「はっ・・・あぅ・・・ウルセ・・・」
「まあ、そんなお前が好きなんだけどな。」
「やっ・・・あぁ・・・跡・・部・・・・あん・・・」
跡部は宍戸が落ちないように後ろから宍戸を抱きしめ、下から軽く突く。体位が体位なの
で、少し動かされただけでも宍戸はかなり奥の方で感じてしまう。
「宍戸・・・これ結構くるな・・・」
「あっ・・・はぁ・・・あっ・・・ああ・・・」
初めは余裕しゃくしゃくだった跡部も、次第に息が荒くなってくる。宍戸ももう話すこと
が不可能なほど感じまくっていた。どちらももうヤバイなあと感じるとどちらからともな
く手を伸ばし、唇を重ねた。
(甘っ・・・)
(苦っ・・・)
さっき飲んだものの味がもろに感じられ、二人は対象的な味を感じあった。普段ならお互
いに苦手な味ではあるが、今の状況では別だ。その味がおいしいと感じてしまう満足感を
味わいながら二人は同時に果てた。
「・・・っ宍戸!!」
「あっ・・・あぁ・・・っ!!」
マッサージをするだけのことからやはりここまで発展してしまう。跡部としてはもちろん
初めからそのつもりだったのだ。だが、宍戸は違う。まんまと跡部の作戦に乗せられてし
まった。やっぱりそうなったじゃねぇかと心の中で文句を言いながらも、気持ちよかった
からもうどうでもいいやと結局宍戸も楽しんでしまうのであった。
岳人と忍足の方もそろそろ佳境に入っている。
「っ・・・!!が・・・くと・・・痛っ・・・」
「ゴ・・ゴメン・・・って、何かさっきも同じこと言ってたような気がする。」
「せやった・・・っけ?」
「うん。ほらあ、俺の言った通りじゃん。肩揉んでる時の侑士の反応これと同じ。」
「あっ・・・んん・・・ちょっと・・・そないに動かんといて・・・」
この二人の場合はもう普通にしてるので、マッサージとはまた別物だ。だが、忍足の上げ
る声はさっきと大して変わらない。これでは、岳人がサカってしまうのも当然のことであ
ろう。
「なあ、侑士。今日、疲れてんのにゴメンな。」
「んっ・・・大丈夫やで・・・確かにコレは疲れるけど・・・・練習とかのとは・・・違
うし・・・・」
「そっか・・・じゃあ、どっか触って欲しいトコある?」
「・・・・それ気遣って言ってくれてるん?」
真っ赤な顔で忍足は岳人の顔を見上げる。そんなことは恥ずかしくて言えないと目が訴え
ていた。それに気づき、岳人は笑った。
「あっ、ゴメンゴメン。そういうつもりで言ったんじゃないよ。分かってる。ココだよね。」
「はっ・・・あぁんっ・・・・がく・・とぉ・・・」
岳人が忍足の感じやすい箇所に手をやると、忍足の蕾は岳人自身を締めつける。その瞬間
岳人も思わず声を上げてしまった。
「あっ・・・侑士っ・・・」
「あっ・・・んっ・・・アカン・・・岳人っ!!」
「ハァ・・・俺もヤバイかも・・・」
どちらもかなり息を乱して、お互いの熱に浮かされる。涙で濡れる忍足の頬に軽くキスを
して岳人はふっと笑った。
「何かさ・・・おかしいよね。普通に肩揉みしてただけなのにこんなことになっちゃって。」
「そ・・・れは・・しょうがないやろ・・・?」
「ねぇ、侑士、笑って?」
「何でや・・・?」
「今・・・侑士の笑ってる顔見たい。」
「じゃあ・・・岳人・・・俺のこと好きって言って・・・」
そう言われて岳人はさらに笑顔になった。そのままの表情で耳元に顔をもっていき、囁く
ようにその言葉を放つ。
「大好きだぜ、侑士。」
そう言った後、顔を上げると忍足が最高に嬉しそうな表情で笑っていた。
「おおきに・・・俺もや・・・」
忍足は岳人の首に腕を回して、目を閉じる。そして、岳人も忍足の髪に触れ、これで最後
だというような感じで忍足の一番奥を突いた。その瞬間、どちらもかなりの充実感を感じ
て、熱を放った。
マッサージをするだけと言っていたのに結局最後まで犯られてしまった宍戸はただいまか
なり拗ねている。だが、その体勢はとても跡部に対して怒っているようには見えないもの
だ。
「跡部のアホ、うそつき、変態。」
「もう分かったから、さっさと機嫌なおせ。」
「やだ!!」
「はあ・・・」
宍戸のその態度に跡部はイラつくはずなのだが、今回はそうはいかない。さっきから宍戸
は跡部の膝の上に座り、ぎゅうっと抱きついてきているのだ。この体勢だけだったら、む
しろ嬉しいくらいのことなので、跡部は何とも言えない気分だ。溜め息をついて、そのま
まの状態でいる。
「どうすりゃいいんだよ?」
「知らねぇ。」
「ったく、本当わけ分かんねぇ。」
ほのかに怒りながらも、跡部の表情はどこか楽しそうだ。あまりにも宍戸が不機嫌顔なの
で、それを何とか解消しようと跡部は優しく髪を撫でながら、軽い口づけを施した。思っ
た以上に優しい跡部の対応に宍戸はドキドキしながらも、安心してゆっくり目を閉じる。
その行動で嫌な気分など全部吹っ飛んでしまった。かなり長い間キスをしていたが、宍戸
全く何の反応も起こさないので、跡部は不思議に思い、唇を離し、宍戸の様子をうかがっ
た。宍戸は自分の腕の中で小さな寝息を立てている。さっきの疲労と昼間の部活の疲れ、
そして、今とても安心したことによって睡魔が襲ってきたのだろう。
「何だよ宍戸の奴。・・・でも、今日は本当に疲れてるみたいだったしな。全く、こんな
顔見せられちゃイライラも吹っ飛んじまうぜ。」
宍戸の気持ちよさそうな寝顔を見て、跡部はふっと微笑んだ。ガキみたいだと思うが、そ
こがまた可愛いともう一度キレイな黒髪を撫でる。もうしばらくこのままで居ようと跡部
は宍戸を優しく抱きしめた。
岳人と忍足もベッドの中で横になっている。だが、眠ってはいないのでそのままの状態で
いろいろ話をしていた。
「侑士、疲れた?」
「そりゃな。そういや岳人、まだ帰んなくて平気なんか?」
「・・・侑士、今日泊まっちゃだめ?」
「俺は別にかまへんけど、家とかに連絡せんでええの?」
「うん。それはあとでする。」
今日は忍足の家に泊まりたいと甘えるようにねだった。そういうことをしてなければ、岳
人の方が断然子供っぽいのだ。
「なあ、侑士。」
「何や?」
「何でもない。」
布団の中で忍足の手を握り、岳人はクスクスと笑った。その顔を見て忍足もふわっと笑顔
になる。
「変な岳人。」
「いいじゃん。それよりさ、ちょっと昼寝しねぇ?」
「今はもう夕方てか夜に入るで。」
「だって、すっげぇ眠いんだもん。ほら、今日練習もキツかったしさ。」
「まあ、何でもええけど。でも、今寝たら夜眠れなくならへん?」
「そんときはそんときだよ。一緒に寝ようぜ侑士。」
岳人があまりにも可愛くお願いするので、忍足は頷いてしまった。実際、忍足もかなり疲
れていて眠れるものなら眠りたいと思っていたのだ。
「じゃあ、寝るか。」
「うん!!」
岳人を忍足をぎゅうっと抱きしめて目を閉じる。その感覚を心地いいと感じながら忍足も
目を閉じた。今の時間はまだ夜の7時。昼寝にしてはかなり遅いが、ちゃんとした睡眠を
とるには早すぎる時間だ。そんなことはお構いなしに二人は甘い夢を見ようと深い眠りに
落ちていった。
END.