He is the cutest student 
in his school.

リクエスト内容『学園祭のミスコンに無理やり女装させられ出された
宍戸さん。男女問わずで大人気!!な跡宍(できれば裏有り)』

本日は氷帝学園文化祭。午前中の大体の催しが終わり、ただいま午後の部に向けての準備
中である。今日の午後からはこの文化祭のメインイベントとも呼ばれるとあるものが行わ
れるのだ。そのために滝と忍足は同じテニス部部員である宍戸を探していた。廊下であた
りを見渡しながら、歩きまわる。ちょうど三年の教室がある廊下で二人は宍戸を見つけた。
「あっ、宍戸発見!!」
「おっ、滝と忍足じゃねぇか。何か珍しいペアだな。」
「宍戸、今少し時間あるか?」
「ああ、あるけど。何か用か?」
「ちょっとね。じゃあ、俺達と一緒に来てくれない?」
「別にいいけど。」
今は特にやるべき仕事がなかったので宍戸は素直に滝と忍足についていった。そして、連
れて来られたのは、今回の文化祭では使われていない選択教室。そこには一つのイスだけ
が置いてあり、滝と忍足、二人のペアである岳人と鳳が待っていた。
「あっ、岳人に長太郎。お前らこんなところで何やってんだ?」
「ちょっとな。滝、それよりお前に頼まれたものちゃんと用意してきたぜ。」
「俺も持ってきました。」
「サンキュー二人とも。さ、じゃあ始めようか。」
滝は満面の笑みで宍戸に近づく。宍戸はわけも分からずただ滝に腕を引かれるままにイス
に座らされた。座った瞬間岳人が後ろで腕を縛ってしまいその場から動けなくさせてしま
った。
「お、おい・・・何すんだよ!!」
焦り口調で宍戸はその場にいるメンバーに対して抗議をする。
「えー、だってそのままだと宍戸、嫌がって逃げそうなんだもん。」
「何する気だ・・・?」
「ひどいことはせぇへんから、安心しいや。」
「何かそれ、すげぇ誤解を招く表現だぞ・・・。」
「これからやるメインイベントに宍戸に出てもらおうと思ってさ。」
滝は岳人の持ってきた紙袋からこの学園のチェックのスカートと紺のハイソックスを出し、
鳳が持って来た布の袋からは様々な化粧品類を出した。
「・・・・・っ!?」
それを見た瞬間、宍戸の顔は固まった。これから行われるメインイベントとは、この学園
で一番可愛い女の子を決めるいわゆるミスコンというやつだ。それに出されるということ
はどう考えてもあることをしなければならない。
「宍戸さんなら絶対似合いますよ。」
「うん。俺もそう思う。」
「ほら、滝。早くやらへんと間に合わなくなってまうで。」
「そうだね。」
宍戸以外のメンバーはもうノリノリ。かなり楽しそうだ。それとは対照的に宍戸はとにか
くここから逃げたいと抵抗しようとした。だが、体はしっかりとイスに固定されてしまっ
て動けない。とにかく嫌がる意思は伝えようと思ってその場で叫んだ。
「やめろー!!」
だが、そんなことをしても無駄なものは無駄。四人にしっかり体を押さえられ、化粧やら
何やらを始められてしまった。
「よし♪完成ー!!」
『・・・・・・。』
滝が最後の仕上げを終え、リップの筆を置いた。化粧と髪のセットを終わらせ、スカート
を履いた宍戸は想像以上に女の子っぽくなり、そこにいたメンバーの言葉を奪った。
「うーん、でもまだ何か微妙なんだよなあ。あっ、分かった!!」
「このままでも十分だと思いますけど・・・。」
「忍足、ブレザー貸して。」
「えっ、何でや?普通に着とるやん。」
「いいから、いいから。」
滝は忍足からブレザーを受け取り、宍戸が今着ているブレザーと取り替えさせる。忍足の
ブレザーは宍戸には少しサイズが大きくかなりだぼだぼ状態になる。
「お前ら、最悪・・・。」
涙目で他のメンバーを睨む宍戸だが、その仕草さえも可愛く見せてしまう要因になってい
た。第一ボタンを開け、ゆるく結んだネクタイにだぼだぼのブレザー。ブレザーの裾から
ギリギリみえるくらいのミニスカートに紺のハイソ。極めつけは滝が施した化粧だ。そん
なに濃いものではないが、ほのかに分かるくらいのアイシャドウに桜色のルージュ。髪の
毛もバッチリ女の子らしくまとまっていて、赤いリボンがポイントになっている。
「滝・・・さすがだな。」
「普通にべっぴんやで宍戸。」
「本当、可愛いです。」
「そんなこと言われても嬉しくねぇよ!!」
まだ怒っている宍戸だが、ここまでされたらもう逃げられない。大きな溜め息をつきなが
ら、宍戸は滝にこの後のことを尋ねた。
「この後、どうすりゃいいんだ?言っておくがさすがに声だけは誤魔化せねぇぞ。」
「それは問題ないよ。このミスコンはホント見かけと雰囲気だけで決まるからね。別にし
ゃべる必要はないぜ。」
「・・・・本当に出なきゃダメか?」
『ダメ!!』
「〜〜〜〜〜〜!!」
ここまでキッパリ言われてしまっては、出ないわけにはいかない。宍戸は嫌々ながらもミ
スコンに出ることを決めた。

そして、ついにミスコンが始まる。さっき滝が言っていたとおりこのミスコンはとにかく
見かけと雰囲気で勝負するものだ。なので、何かを言ったりパフォーマンスなどをしては
いけない。優勝などと決める方法は集まった生徒による投票だ。一番可愛いと思った子に
女子も男子も関係なく投票するという形式でこの学園で一番可愛い子を決める。当然、優
勝者には豪華な賞品が与えられるのだ。
「はい、今年も始まりました氷帝学園文化祭恒例ミスコン!!今回は誰が栄光の勝利を手
にするのでしょうか?」
ハイテンションな司会の言葉でミスコンが始まった。出場する女の子達は胸に番号の書い
てある札をつけて舞台に上がった。もちろん名前も公表はされない。そんなことをされた
ら宍戸が出場するなどということはまず無理である。
「どの子も可愛いですねー。このミスコンは今ここに集まった皆さんの投票により優勝者
が決定します♪皆さんが可愛いVvとか美人だなあって思う人の番号をあそこにある投票
用紙に書いて投票してください。時間は今から30分間とします。結果発表は午後三時か
ら行いますので知りたい方はまたこの広場に集まってくださーい!!」
舞台にいる十数人の女子生徒を見に来た観客達はじっくりと見る。ちなみに宍戸の番号は
15番。確かに他の子も可愛いのだが、見かけだけで考えたら宍戸にかなう者はいないだ
ろう。それは、見に来た生徒達の会話からもよくわかった。
「なあ、あの15番の子誰だろうな?超可愛くねぇ?」
「あっ、俺も今そう思った。身長高くてすらっとしててあの制服の着こなしもたまんない
よな。」
「そうそう。可愛い系でもあるしセクシー系もちょっと入ってるって感じだよな。」
「俺、あの子に投票しよーっと。」
男子生徒は15番の女子が宍戸だということに全く気づいていないらしい。だが、可愛い
のは確か。男子からの支持はかなり期待出来そうだ。それとは少し違う観点で、観客とし
て来た女子は宍戸についてこんな会話をしている。
「ねぇねぇ、あの15番の子さ、もしかして宍戸君じゃない?」
「えー、うそぉ!!あっ、でもそう言われてみれば・・・。」
「キャー、すごーい!!宍戸君可愛すぎだよーVv」
「私、宍戸君に投票するー。」
「私もー。」
女子は勘がするどいのでたとえ完璧な女装をしていても宍戸だということが分かってしま
ったようだ。男子とは違う面で女子の票も獲得する。だが、投票のことなど全く頭にない
宍戸は恥ずかしさから早くこの舞台から降りたくてしょうがなかった。しかし、30分の
間はずっとそこに立っていなければならない。逃げ出したい気持ちを必死で我慢して宍戸
はその場に立ち続けた。

投票を終え、そして開票作業を終えた後、ミスコンの司会は再び舞台に立った。さっきと
同様に舞台の周りにはたくさんの生徒が集まっている。そして、ついに発表の時がやって
きた。
「皆さん大変長らくお待たせしました!!ただいまから優勝者の発表を行いたいと思いま
ーす!!」
『ワーーーっ!!』
広場は大盛り上がり。これで氷帝学園で一番の美人が決まるのだから当然であろう。
「今年度氷帝学園ミスコンの優勝者は・・・・」
司会が少しの間をとる。その間、あたりはシーンと静まりかえった。
「15番の方!!ダントツでトップでしたー!!おめでとうございまーす♪」
「・・・・!!」
宍戸唖然。驚きすぎて言葉も出ない。もう頭の中はパニックで何が何だか分からなくなっ
ていた。だが、この後さらに宍戸を混乱させるようなことを司会が言い出す。
「はい、では優勝した15番の方にはとーっても豪華な賞品があります。氷帝学園の王子
様Vv跡部様の熱ーいキスが送られます!!」
『キャーーー!!』
「っ!?」
(ちょ・・・ちょっと待てよ〜。そんなの聞いてねぇ!!えっ、えっ、俺、どうすりゃい
いんだ!?)
思ってもみなかった優勝賞品に宍戸は青ざめる。そんなことをしているうちに歓声を浴び
ながら跡部が舞台に上がってきた。跡部を前にして、宍戸はもう言い訳も出来なく石像の
ように固まってしまう。
「よかったじゃねぇか宍戸。この学園で一番の美人に選ばれたんだぜ。」
「なっ!?」
「優勝賞品、たーんと受け取りな。」
「っ!!」
どうやら跡部は初めから宍戸が出ていたことを知っていたらしい。他の人には聞こえない
ような小さな声でそう言った後、何の躊躇いもなしに宍戸の唇を奪った。その瞬間、再び
舞台の下から歓声がまき起こる。それもかなり長い時間跡部は唇を離そうとしない。宍戸
はもう茫然とするしかなかった。やっと跡部が離したころには顔は真っ赤で、腰砕け状態。
まともに立っていられる状態ではなかったので、跡部はしっかりと宍戸の体を支えてやり、
舞台を後にした。当然のことながらしばらく観客達の興奮はおさまることはなかった。
「はぁ〜、何とか一安心。」
「跡部も無茶なこと頼みよるなあ。」
「本当だぜ。跡部のヤツ優勝賞品のこと承諾しといて、他の奴らとキスしたくないから宍
戸を出して優勝させろなんて無茶苦茶だよな?」
「でも、まあ宍戸さんが優勝してよかったじゃないですか。」
「せやな。それにしても、ホンマに宍戸あの格好似合ってたな。」
「あそこまで似合うとはさすがに俺も思わなかったぜ。でも、ホントよかったぁ。」
「滝さん、ホント服のセンスとかメイクの技術とかすごいですよね。」
「そんなことないよ。あっ、じゃあ、今度長太郎にもやってあげようか?」
「い、いえっ、俺は別にいいです!!」
「えっ、じゃあ滝、侑士にやってあげてよ。侑士も絶対似合うって!!」
「な、何言っとんのや岳人!!」
「じゃあ、みんなにやってあげるー。」
宍戸をこのミスコンに出させたメンバーは宍戸が優勝して心底ホッとした。実は宍戸をこ
のミスコンに出せと命じたのは跡部だったりするのだ。なので、あんなに無理やりに宍戸
を出そうとしたのである。とにかく結果オーライで何の問題も起きなかったことにこの四
人は満足だった。

ところ変わってここは生徒会室。今日の文化祭の予定を終えてからだいぶ時間が経ってい
る。生徒会長の跡部は今日の片付けと明日の準備でまだここに残っていたのだ。もちろん
宍戸も一緒。それもあのミスコンでの格好のままだ。ただしブレザーだけは忍足に返し、
今は自分のブレザーを着ているという状態。
「なあ、跡部、まだ終わんねぇのかよ?」
「ああ。もう少しだ。そこに座って待ってろ。」
跡部が自分のちゃんとした制服を持ってしまっているので、宍戸は帰るにも帰れない。も
う他の生徒はほとんど校舎内には残っていない。この棟の廊下の電気や教室の電気も消え
ていて、ついているのはこの教室くらいだ。
「よし、こんなもんか。」
「終わったか?じゃあ、早く帰ろ・・・っ」
ドサっ
イスがあるにも関わらず、何故だか床に座っていた宍戸を跡部は押し倒した。こんな時間
にこんな部屋で二人きりになってしまえばこういうことは避けられないと宍戸は気がつく
べきだったのだ。それも今は普通の男子でも可愛いと賞賛するような格好をしている。跡
部が何もしないはずがない。
「何だよっ、跡部!!こんなとこですんの嫌だからな!!」
「お前がしたくなくても俺がしたいんだ。だから、やらせろ。」
「んなもん全然理由になってねぇ!!・・・うわっ!!やだっ!ヤメロっ!!」
ブレザーを脱がし、ワイシャツのボタンを外していく。全部脱がしてしまうのは勿体ない
と跡部は中途半端なところで手を止め、露わになった肌に唇を落としていった。
「・・・やっ・・・嫌だっ・・・」
さっきまで思いっきり抵抗していた宍戸だったが、首元にキスをされ力が抜けてしまった
のか急にその勢いは弱くなる。
「嫌がってるわりには、このへんとかもうしたくてたまんないような状態になってるぜ。」
「ひゃっ・・・あっ・・・」
視線は宍戸の顔に向けたままで、跡部は赤くなりすっかり立ち上がっている胸の突起を軽
く舌で転がす。素直に反応してしまったのが恥ずかしく宍戸は唇を噛んで声が出ないよう
に努めた。だが、そんな努力は跡部の手によって簡単に破られてしまう。
「我慢しても無駄だと思うけどな。だって、お前ここをこうするだけで・・・」
「んっ・・・ああっ・・・ぅ・・・・」
片方はそのまま口に含み、もう片方は手を使って強くつまんでみたりする。そこだけしか
弄られていないにも関わらず宍戸はあっという間に声を上げてしまった。それは素直に下
半身にも伝わり、あの短いスカートではそれが一目瞭然になってしまっていた。
「お前、やらしいな。これだけしかしてないのにもうココがこんなになってるんだぜ。」
「っ!!・・・やっ・・・ダメ・・・跡部・・・・」
「ほら、スカートの上からしか触ってねぇのに俺の手の中でどんどん硬くなってきてやが
る。」
「やめっ・・・触るなぁ・・・!!」
スカートの上から擦られ、何とも言えない奇妙な感覚が宍戸の体を駆け抜ける。焦らされ
ているような気持ちいいような微妙な刺激をしばらく与えられ、体全体が疼くような切な
さが頭の中を凌駕する。
「やぁ・・・跡部っ・・・んんっ・・・はっ・・・」
「直接触って欲しいか?」
意地悪な笑みで跡部は尋ねる。もうして欲しいのかして欲しくないのか分からなくなって
いる宍戸は無意識に頷いていた。スカートはそのままで下着だけを取り去り、もうだいぶ
濡れているそれを擦りながら、それと同時に後ろも慣らし始めた。
「ひっ・・・痛っ・・・ああっ・・・」
「そんなに痛いか?触った感じだとそうでもねぇぞ。」
「やっ・・・もう・・・跡部・・・やめろよぉ・・・・」
「嫌だ。それにこんな中途半端でやめたらつらいのはお前だぜ。」
「だってぇ・・・・うぁっ・・・あん・・・・」
痛いのと気持ちいいのが半々、やめて欲しいのとやめて欲しくないのが半々で宍戸はかな
り混乱していた。そのため、別に泣きたいわけでもないのにとめどない涙が溢れてくる。
そんな涙を拭うかのように跡部は優しく宍戸の頬や口にキスをする。だが、下の手は休む
ことはない。そんな状態がしばらく続き宍戸は結局達してしまった。
「んんっ・・・ああっ!!」
指についたそれを舐め取りながら、跡部は自分のポケットからブルーのパッケージに包ま
れたゴムを取り出し、自分のモノにつけいまだ息を乱し、仰向けに倒れている宍戸の足を
抱えあげた。
「ハァ・・・やだ・・・跡部・・・やめろ・・・・」
「今日はちゃんとゴムつけてやったから問題ねぇよ。」
「そういう意味じゃねっ・・・あっ・・・やっだぁ・・・・んんっ!!」
苦しそうな声を上げながらも宍戸は軽々と跡部を受け入れてしまった。その感覚に宍戸の
息はさらに乱され、堪え切れない喘ぎ声が口から漏れる。
「ああっ・・・ハァ・・あっ・・・あぁ・・・あん・・・・」
「ふっ、何だかんだ言ってもやっぱりイイんじゃねぇの?ちゃんと反応してんじゃん。」
「ウル・・セ・・・ハァ・・・あっ・・・くっ・・・」
「お前、やっぱ俺から見ても学園一可愛いぜ。ま、一番美しいっていうのならこの俺様だ
ろうけどな。」
「こんっの・・・ナルシー・・・」
「でも、お前が可愛いってのはホントだぜ。今の顔とか最高。」
「あっ・・・ちょっ・・・やっ・・ぁ・・・」
話しながらでもやるべきことはちゃんと進める。そんな跡部に翻弄されて、宍戸はもう限
界だったもちろん跡部もそれなりにキている。
「くっ・・・は・・・跡部っ・・・・俺・・・もう・・・ヤバっ・・・」
「へぇ。なーんて、俺も結構キてたりするんだよな。今日のお前、最高に可愛いぜ。」
「うぁっ・・・ん・・・跡部っ!!」
本当に限界だったようで、宍戸は跡部の言うことにも耳を傾けられず、とにかく跡部にし
がみつき目をつぶった。その瞬間跡部も一瞬だけ、顔を歪め宍戸の中に熱を放った。

跡部がゴムをつけていたため、片付けにそんなに時間はかからなかった。チェックのズボ
ンにしっかり着替え、宍戸はやっと着慣れたいつもの服装に戻ることが出来た。
「あー、もうお前の所為で外真っ暗じゃねぇか!!」
「始めたときからもう真っ暗だったぜ。日が沈んじまったら時間がいくらたっても同じこ
とだ。」
「あーあ。今日は散々な一日だったぜ。」
「宍戸、今うちの車を呼んだんだが当然乗っていくよな?」
宍戸の話を全く聞かず跡部は自分勝手に話を進める。人の話をちゃんと聞けよと心の中で
思いながらも車で送っていってもらえるのはありがたいことなので、宍戸は素直に跡部の
質問に頷く。生徒会室を出て、外でしばらく車が来るのを待っていると豪華な車が学園の
校門前に止まった。
「乗れ。」
「あ、ああ。」
こんな車には滅多に乗らないので、宍戸はかなり戸惑いながらその車に乗った。その隣に
跡部が座る。車が走り出した瞬間、跡部は突然宍戸に話しかけた。
「明日は暇が少しある。宍戸、少し一緒にまわるか?」
「へっ?」
「明日の文化祭のことだ。で、どうすんだ?」
「ああ、別にいいけどよ。」
意外な跡部の提案に宍戸は少しビックリ。だが、これは滅多に出来ないことなので一応快
く承諾した。家の前に車を止められると宍戸はその広い座席の横にあるドアを開け、外に
出る。何故だか跡部も一緒に降りたので宍戸は不思議がりながらも特に何もつっこまなか
った。
「じゃあな、宍戸。明日。」
「おう。」
じゃあなと言いながらも、跡部はなかなか車には戻らない。なので、宍戸も家の中に入れ
ない。どうすればいいのかと悩んでいると、跡部は宍戸の口に軽いキスをする。そして、
車に戻りながら呟いた。
「明日、楽しみにしてるからな。」
「お、おう。」
キスされた唇を押さえながら躊躇いがちに返事をする。跡部はどうやらこの言葉を言いた
かったらしい。文化祭を一緒にまわることをそれほど楽しみにしているということをあま
り悟られたくなかったのだろう。だが、今のセリフで宍戸はバッチリ分かってしまった。
少し幼い感じの跡部の一面を見てしまったように感じて、宍戸は何となく照れてしまう。
そんなことにはおかまいなしに跡部を乗せた車は発進した。
「跡部も意外と中学生っぽいとこあるんだな。」
そんなことを呟きながら、玄関に向かって歩いていく。歩き出した瞬間、ふわっと跡部の
香水の匂いが鼻をくすぐる。その匂いの元は自分の着ていたワイシャツだった。
「うわぁ、跡部の香水の匂い移っちまった。」
移った理由はもうあれしかない。ちょっと恥ずかしいなあと思いながらも何となく嬉しく
なって宍戸は笑顔で家の中へと入るのだった。

                                END.

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