Sunrise

リクエスト内容『氷帝メンバーみんなで初日の出を見に行く話、
それぞれ新年早々イチャイチャしてる。』

本日は大晦日。そう12月31日、一年で一番最後の日だ。そんな一年の締めくくりの日
に氷帝メンバーはみんな集まり跡部の別荘に来ていた。せっかくの年末、少しでも豪華に
過ごそうとそんな魂胆で集まったのである。
「よく聞け、お前ら。今日は俺様が気を利かせて二人部屋、三人部屋を用意してやった。
別にどう過ごそうと構わねぇが、あんまり遅くまで起きてない方がいいと思うぜ。ちゃん
と忠告したからな。それじゃあ、解散。」
跡部は夕食を終えくつろいでいるメンバーにそう告げ、大広間を後にする。もちろん部屋
割りは端から決められていて、その部屋割りの通りに跡部以外のメンバーもこの部屋を後
にした。
「二人部屋なんてホント気が利くよな。俺達も部屋行こうぜ侑士。」
「せやな。」
「俺も移動すっかー。はー、腹いっぱい。跡部んとこの料理って本当豪華だよなぁ。デザ
ートもうまいし。」
まずは岳人と忍足、そして宍戸が部屋に向かう。前者の二人は当然のことながら同室。宍
戸はもちろん跡部の部屋だ。跡部の部屋は他の部屋より豪華なので、宍戸は少しだけ優越
感を感じる。軽く鼻歌を歌いながら宍戸は軽快な足取りで跡部の部屋へと向かった。
「俺達も行きましょう、滝さん。」
「そうだね。あっ、その前に風呂に入ってきちゃおうぜ。」
「そうですね。」
滝と鳳も同室だ。二人は部屋に行く前にお風呂に入ってきてしまうようだ。
「ふわぁ〜、腹いっぱいになったら眠くなってきちゃった。俺ももう部屋に行こう〜。」
「俺も移動するか。樺地も一緒に来いよ。」
「ウス。」
残った三人も部屋へと向かった。この三人だけは三人部屋だ。まあ、他のメンバーのこの
後の行動を考えれば、この部屋割りはかなり妥当なものだろう。それぞれの部屋で行われ
ることはまちまちだが、だいたいの系統は同じ。だからこそ、跡部は始めにあのような忠
告をしたのだ。跡部は明日、すなわち元旦にやりたいと思っていることがある。それをす
るためにあまり遅くまで起きているなという注意が必要だったのだ。

跡部の部屋では、二人ともすっかりくつろぎリラックスしている。跡部はソファで紅茶を
飲みながら本を読み、宍戸はその隣で暇を持て余していた。
「なあ、跡部。俺、暇ー。」
「あーん?だったら、さっさとシャワーでも浴びてきちまえよ。俺はもうさっき浴びた。」
「あっ、そうだな。この部屋のシャワー室使っていいか?」
「ああ。」
ぺらっと本のページをめくりながら、跡部は言う。宍戸はさっさと入ってきちゃおうと跡
部の部屋内にあるシャワールームへタオルを持って入っていった。宍戸が入ってからしば
らくすると、跡部は本を読むのをやめ、ふぅっと軽く溜め息をつく。
「明日はあれを見せるためにあいつらを早く起こさなきゃな。でも、今日は大晦日だ。宍
戸とするのはやめられねぇよなぁ。」
くっくと笑いながら跡部は呟く。そこへ宍戸が戻ってきた。
「なーに、ニヤついてんだよ?」
「出たのか宍戸。」
「おう。なかなかいい湯だったぜ。あの泡の入浴剤もおもしろかったしな。」
「まだまだガキだな。」
「んだよ、別にいいじゃねぇか。」
着慣れないバスローブを羽織って、宍戸は怒ったような顔を見せる。それとは対照的に跡
部の表情は実に楽しそうだ。紅茶のカップとさっきまで読んでいた本をテーブルの上に置
いたままにすると、跡部はベッドに移動する。
「もう寝るのか?少し早すぎねぇ?」
「寝るわけねぇだろ、バーカ。ほら、お前もこっちへ来い。」
「・・・・まだ早くねぇ?」
さっきとは違うニュアンスで宍戸は同じようなことを跡部に尋ねる。跡部はいいからと宍
戸を自分のベッドへと招いた。
「明日、ちょっと朝早くに行きたい場所があってな。だから、少し早めに始めようと思っ
て。」
「朝ってことは、初日の出でも見に行くのか?」
「まあな。お前もやった直後に行くってのはキツイもんがあんだろ?だから、さっさと始
めて少し早めに寝ようと思ってな。」
「そっか。・・・って、そんな出かけんのに今日もやんのか!?」
「当たり前だろ?今日は大晦日だぜ。ほら、始めんぞ。」
「うっわ!!おい、跡部っ!!ちょっ・・・待っ・・・!!」
あっという間に押し倒されて、宍戸は焦る。だが、始められてしまって完璧にやめさせる
ことはほぼ不可能だ。ここまでしたらしょうがないと宍戸は腹を決め、もうなるようにな
れと抵抗するのをやめた。
「おっ、今日は素直だな。」
「どうせ、抵抗したって無駄だし・・・別にお前とすんのは嫌じゃねぇし・・・。」
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。今年最後のお楽しみ。最高によくしてやるからな。」
「・・・・。」
お楽しみはこれからだと跡部は本当に楽しそうに笑っている。宍戸は恥ずかしいと思いな
がらもまんざらじゃない。跡部が与えてくれるキスを素直に受け取り、ゆっくりと目を閉
じた。

岳人と忍足の部屋では、ベッドが二つあるにも関わらず一つのベッドに二人は腰掛けてい
る。一人用なのでそんなに大きいものではないが、この二人は今日一緒に寝る気満々だっ
た。
「跡部が早く寝ろなんて言うの珍しいよな。」
「ああ。自分らがやりたくて邪魔されたくないだけとちゃうの?」
「あっ、それ有り得る〜。でも、二人部屋を用意してくれたってことは俺達もそういうこ
としていいってことだよな?」
「うーん、どうなんやろ?って、こんなところでやる気なんか?岳人。」
「当たり前じゃん。せっかく跡部が二人部屋にしてくれたんだぜ。やんなきゃ損だよ。」
「そないなことあらへんと思うけど・・・。」
岳人のとんでもない提案に忍足は少々困惑気味。だが、せっかくの大晦日に忍足と二人き
りの部屋。こんな状況でなにもしないのは勿体ないと岳人はすでにやる気満々だ。
「そんなことあるんだよ。でも、まだ時間的にちょっと早いからもうちょっとしてからに
しようぜ。」
この言葉を聞いて忍足は少しほっとする。跡部が用意してくれた部屋にはテレビや何かも
バッチリ備わっているので、紅白でも見ようかということになった。やはり、普通の中学
生。大晦日にテレビを見るのは基本のようだ。だが、紅白でも好きな曲と全然分からない
曲がある。演歌のような自分の分からない曲になると岳人は忍足にちょっかいを出しまく
った。
「俺、この歌知らねぇ。」
「俺も知らんなぁ。」
「じゃあ、この曲の間は侑士とキスするー。」
「何でや?」
「だって、知らない歌真剣に聞いてても面白くないじゃん。それも演歌だぜ?俺、侑士と
キスしてる方が断然楽しいしー。」
「せやけど・・・んっ・・・」
忍足の言葉など全く聞いちゃいない。岳人は普通に忍足に口づけをして、その曲が流れて
いる間中離さなかった。なので、その曲が終わるころには忍足の顔はすっかり紅潮してい
て、息も乱れ腰砕け状態。とても次の曲など聞いていられる状態ではなくなってしまう。
そんなことを何度も繰り返しながら二人はこの時間をそれなりに楽しむのだった。

滝と鳳は部屋に行くと、まずは髪を乾かそうと滝は鏡の前に置いてあるドライヤーで髪を
乾かし始めた。自分のものが終わると鳳をイスに座らせ、今度は鳳の髪を乾かし始める。
「長太郎の髪は短いから乾かしやすいね。」
「そうっスか?でも、美容院とか行くと結構量が多いって言われますけどね。」
「確かに量は多いよ。そうだ!!」
滝は何かを思いついたような顔をして、自分の鞄の中からいろいろ髪飾りを出した。そし
て、乾いた鳳の髪をそれで結んでいく。
「何してるんですか、滝さん・・・。」
「わあ、長太郎可愛い〜vv女の子みたーい。」
「これはダメっスよ。てか、何でこんな髪飾りを滝さんが持ってるんですか?」
ピンクのボールがついたゴムで髪を結ばれた鳳は、鏡を見てかなり微妙だな〜と思う。そ
れも何故こんなに可愛らしい髪飾りを滝が持っているのかかなり疑問だ。
「これもいいけど、これも似合いそう。」
こんどは蝶々の髪飾り。確かにこれはさっきのボールよりかは自分でも似合うかなあと思
う。しばらくそんなふうに髪を遊ばれ、鳳は恥ずかしいなあと思いつつ、楽しそうな表情
で笑う滝の顔を鏡越しに見て何となく嬉しくなってしまった。
「あはは、はぁ〜、おもしろかった。ゴメンね〜長太郎。ちょっと遊びすぎちゃった。」
「いえ、俺も結構楽しかったんで。」
「そう?じゃあ、また今度やらせて。」
「え、えっとぉ・・・・」
「嫌だったら別にいいけどね。もうそろそろ寝ようか長太郎。」
「えっ!?もう寝るんですか?」
まだ早いのではないかと鳳は驚く。くすくす笑って滝は首を振った。
「違う違う。そういう意味じゃないよ。せっかく二人きりなんだからさ、しようよ。」
「えっ・・・ここで・・・ですか?」
「うん。跡部もこういうこと分かってて二人部屋にしたんでしょ。問題ないよ。」
「でも・・・」
先輩の別荘でそんなことをしていいのかと鳳は真面目な性格ゆえに考えてしまう。だが、
滝はそんなことは全く気にしない。イスに座っている鳳に軽くキスをすると手を引き、ベ
ッドへと誘い込んだ。そんなに大きくないベッドにポスッと押し倒す。そして、さっきと
は比べものにならないほどのキスを施すと笑いながらこう言った。
「今日で今年は最後だよ。今年最後の思い出、今から作ろう。」
「・・・・はい。」
今年は今日で最後なんだなあと考えると何だかやらないのは勿体ないと鳳も感じてしまう。
もとから流されやすい部分があるが、今回は自分の意思が半分、滝の言葉で流されてしま
ったのが半分でそのままそういうことに流れこんでしまった。

他のメンバーとは違い、三人部屋であるジロー、樺地、日吉の三人は特に何の話で盛り上
がるということもなくそれぞれ思い思いのことをしている。当然のことながら、ジローは
すでに夢の中で、樺地もシャワーを浴び、もう寝ようかというところだ。日吉はベッドの
上で本を読み、もうしばらく起きていようということをなことを考えていた。
「ジローさんはともかくとして、樺地も寝るのだいぶ早いよなあ。今日は大晦日なのに。
まあ、静かなことはいいことだ。じっくり本が読めるしな。」
独り言のようにそう呟くと、二人に視線を移したあともう一度たくさんの文字の並べられ
た分厚い紙に目を落とす。樺地もすっかり眠ってしまったことを確認すると、お茶でも飲
もうかとティーパックとカップに手を伸ばした。すると、その瞬間かすかに隣の部屋から
聞きなれない声が聞こえたような気がした。
「誰だ?こっちの部屋まで声が聞こえてくるなんて何をやってるんだろう?」
部屋割りの位置を思い出し、日吉は隣の部屋が誰だったかを思い出す。記憶が正しければ
この部屋の隣は滝と鳳。どんな会話をしているのだろうとちょっとした好奇心から、日吉
は壁に耳をつけその会話を聞いてみることにした。
「・・・・っ・・・っ!!」
「・・・・、・・・・。」
あまりはっきりとは聞き取れないが、何かが変だということにすぐに気がつく。何をして
いるかを理解することくらいは日吉であっても容易に出来た。それが分かってしまった瞬
間、日吉の顔は真っ赤になる。
「な・・・何やってるんだ・・・鳳の奴・・・。」
こういうことに抵抗がない日吉のこと、こんな反応を示すのは当然のことだ。その時、ジ
ローが寝返りをうち、何かわけの分からない寝言を呟いた。その瞬間、日吉の心臓は止ま
りそうなほどドキッとする。
「あ〜、もう!!何なんだ!?・・・俺も早めに寝ようかな。」
日吉、かなり混乱中。これ以上起きていても隣の部屋が気になってしょうがなくなってし
まいそうなので、もう寝てしまおうと考えた。だが、そう簡単にドキドキが抜けるわけが
ない。心臓のドキドキを止められないまま日吉はなかなか寝付けず、いつまでも寝返りを
うちながら起きているのだった。

日付が変わり数時間。跡部は他のメンバーを起こすべく早めに起き、着替えを始めた。着
替え終わると宍戸を起こし早く用意しろと言う。
「宍戸、起きろ。出かける用意しろ。」
「んー・・・もうそんな時間?ふぁ〜、何かよく寝た。ちょっと待って、今着替える。」
「ああ。」
宍戸が着替え終わると二人は他のメンバーを起こしに行く。三人部屋以外の部屋ではベッ
ドが二つ用意してあるにも関わらず一つのベッドでぐっすりと眠っている。岳人と忍足に
おいては服さえも着ていない。その二人を起こした宍戸はちょっとドキッとするが、さっ
きまでの自分達と変わらないじゃんと思い直し、冷静さを取り戻した。滝と鳳を起こした
跡部は普通に寝ている二人を起こすが、雰囲気的にやったのだなあというのは丸分かりだ
った。三人部屋は二人で起こしに行ったが、日吉は不機嫌そうな顔をしながらもすぐに起
き、樺地もしっかりと目を覚ます。だが、ジローだけは全く起きる気配はない。
「ジロー、ジロー、起きろ!!」
「全然起きる気配ねぇな。樺地、着替えさせて連れて来い。」
「ウス。」
ジローを樺地に任せると跡部と宍戸は外に出て、他のメンバーが来るのを待つ。眠そうな
顔で、あくびをしながら二人のところへやってきた。
「跡部〜、眠いー。まだ真っ暗じゃんよー。」
「ホンマや。まだ、夜が明けるには数時間あるで。」
「これから出かけねぇと間に合わねぇんだよ。ほら、行くぞ。」
寒いし、真っ暗だし、眠いしと跡部と宍戸、樺地以外のメンバーはぶーぶーと文句を言う。
だが、そんな文句はこれっぽっちも跡部の耳には入っていない。真っ暗な山の中をすたす
たと歩き始めるので、他のメンバーもしぶしぶ跡部について行った。数十分歩くともう他
メンバーは息が切れている。寝不足なところにこんな慣れない運動をさせられたら、へと
へとになってしまうのも当然である。特に忍足、鳳、日吉に関してはそれが顕著に表れて
いた。
「ハァ・・・きつい。」
「ホンマ、昨日ほとんど寝てないに等しいからなあ。」
「お前ら、何だらしねぇこと言ってんだよ。」
「宍戸さん何でそんな元気なんですかぁ。跡部さん、昨日はやってないんですか?」
「せや、跡部だったら絶対やると思っとったのに。」
平気でそういうことを口走る二人に、半分怒り口調で宍戸は反論する。
「んなことどうでもいいだろが!!・・・跡部がやらねぇわけねぇだろ。」
「じゃあ、何でです?」
「せやせや、何でそんな余裕あるん?そんなに慣れてるんか?」
「違っげーよ!!昨日は跡部が終わった後、ちゃんとアフターケアしてくれたんだ。全身
マッサージしてくれて、暖かい飲み物飲ましてくれて、今日に疲れが残らないようにして
くれたんだよ。はん、うらやましいだろ?」
自信満々にそういうことを言う宍戸に二人は、のろけかよと思いながらも少しうらやまし
いと思ってしまう。そんな三人の会話を聞きながら、跡部は口元を緩め、岳人と滝は少々
罪悪感を感じていた。日吉は昨日のあれの所為でほとんど眠れていない。そのためかなり
の寝不足なのだ。ジローは歩き始めたにも関わらずまだ起きない。なので、樺地がおぶっ
ている。確かに重いとは感じるが眠っているジローの体温は高い。背中から感じる温かさ
で樺地は全く寒さを感じなかった。

二時間後、目的地にやっと到着した。跡部以外のメンバーはもうゼーゼーと息を切らして
いる。到着したのはこの山でも一番高いところ、そう山の頂上へと跡部はこのメンバーを
連れてきたかったのだ。
「こんなことに連れてきて何だよ、跡部ー。」
「いいからしばらく待ってろ。」
木に寄りかかって座ったり、地面にぺたっと座りこんだりして疲れた体を休ませる。山の
頂上がゆえに跡部の別荘に比べたらありえないくらい寒い。その寒さを少しでも和らげよ
うとペアのものはくっついてその時を待った。
「樺地、ジローを起こしてやれ。」
「ウス。」
跡部に言われた通り、樺地はジローを揺り起こす。ジローはやっと目を開けた。そして、
辺りの寒さに身を震わせる。
「何々!?メチャクチャ寒いんだけどー。」
「やっと起きたのかよ。お前ずりぃぞー、ずっと樺地におぶっててもらってさ。」
「えっ、ここどこ?何、ここまで樺地が連れてきてくれたのー?サンキュー。」
今、起きたばかりなので今の状況をまだ分かっていない。他のメンバーもまだ跡部が何が
目的でこんなところまで連れてきたのか完璧に理解はしていないが、だいたいの予想はつ
いた。
「はあ・・・」
本気で寝不足な日吉は他のメンバーよりも大きな疲労を感じていた。その上寒い。だんだ
んと体温が奪われていくような感覚に日吉は体の震えを止めるとこが出来ない。そんな時
突然ふわっとした温かさを背中に感じた。樺地が自分の着ていたジャンバーを日吉の背中
にかけたのだ。
「樺地?」
「ウス。」
樺地はさっきまでずっとジローを背負ったまま歩いていたので、運動量は他のメンバーの
倍だ。それもジローの体温で体はかなり温まっている。少し暑いくらいの自分とは対照的
に寒がっている日吉に自分のジャンバーを貸すのは優しい樺地にとっては当然の行為であ
る。
「ありがと・・・」
そんなこんなでやっと跡部が待ちわびていた時間がやってきた。向こうにある山の上が薄
っすらと色を変える。しばらくすると、山の端からオレンジ色の光が見え始める。そう今
年最初の太陽が昇り始めた。初日の出だ。
『うわあ・・・』
山の色や雲の色が淡いピンクや紫に染まる。全ての色が変わった。これから新しい年が始
まるのだ。その言葉で表すことの出来ないような景色を見て、氷帝メンバーは寒さも疲れ
もすっかり吹っ飛んでしまった。
「すっげぇー!!超キレイー!!」
「ウス。」
「跡部、もしかしてこの景色見せるために?」
「まあな。」
「ありがとうございます、跡部さん。」
「ホンマに、こんなキレイな景色みたの初めてや。」
「うん。疲れも全部吹っ飛んじまった。」
景色に感動しているメンバーを見て、跡部は満足そうに笑った。そして、隣にいた宍戸を
抱き寄せいきなりキスをした。
「わっ・・・んっ!?」
そして、離してやると笑いながらこう言う。
「今年もよろしくな、宍戸。どうだこの景色、最高だろ?」
「・・・お、おう。」
文句を言おうと思ったが、普通にそんなことを言ってくるのでそんな気もなくなってしま
った。他のメンバーもこの二人に触発され、同じようなことをする。
「あー、跡部達ずりぃー!!俺達もしようぜ侑士!!」
「えっ、岳人・・・・っ!!」
「へへー、今年もよろしくな侑士♪今年もずっと一緒だぜ。」
「ああ。こちらからもよろしくな岳人。」
いきなりキスされて驚くものの忍足は普通に笑いながら、新年の言葉を返す。二組のペア
の行動を見た後で滝と鳳もどうしようかと顔を見合わせた。
「俺達はどうする?」
「えっと・・・・あの・・・」
ちゅっ
「今年もよろしくね、長太郎。やっぱ、俺達だけしないのって嫌じゃん?」
「滝さん・・・。えっと、俺からも・・・今年もよろしくお願いします。」
「うん。」
結局、この二人も前のペアと同じようなことをした。残された三人は笑いながらそれを見
る。
「樺地、日吉、今年もよろしくねー。」
「ウス。」
「はい。でも、あいかわらずですよね先輩達。」
「まあ、いつものことだしいいんじゃない?みんな楽しそうだし、せっかくこんなキレイ
な景色見れたんだから、俺達も楽しもう!!」
そう言って、ジローは樺地には口にキスをし、日吉のほっぺたにもキスをした。どちらも
唖然とするが、樺地は結構慣れっこなので特にそれほど動揺はしない。だが、日吉はかな
り動揺しまくっている。
(昨日の鳳といいジローさんと言い、俺はやっぱこの雰囲気にはまだ慣れない。というか
慣れていいのかこんなこと!?)
このメンバーの中で唯一まともな日吉はまだこの雰囲気に慣れていないようだ。だが、い
い景色も見れたし、自分の動揺っぷりを抜かせばこの感じは悪くはない。最高の初日の出
を堪能した後、氷帝メンバーは別荘へと戻り始めた。寒いが雰囲気的には暖かい。そんな
感じを楽しみながら9人の新年がここから始まるのであった。

                                END.

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