The lion loves the cheetah

ここは自然の多い動物達の楽園。広い森があり、広大なサバンナもあり、湖や川など水源
も数多くある。そんな豊かな自然の中、今日も様々な動物達が充実した時間を過ごしてい
る。
「あー、くっそーまた取り逃がした!!」
ぜーぜーと息を乱しつつ、悔しがっているのは、このあたりで最速の足を誇るチーターの
宍戸。足は速いのだが、捕まえるためのテクニックがイマイチでいつも獲物を取り逃がし
てしまう。しかも、瞬時にスピードを上げるので持久力はそれほどないのだ。
「また捕まえられなかったのか?まだまだ甘いな。」
「ウルセー。てか、何でそんなにたくさん捕まえて来てんだよ?そんなに食わねぇだろ。」
「あーん?これくらい捕っておいた方が安心だろ。いつでも餌が捕れるって保障はねぇし
な。」
たくさんの獲物を周りに侍らせながら余裕しゃくしゃくな様子で宍戸のことをバカにして
いるのは、ライオンの跡部だ。百獣の王と言われるだけあり、狩りのテクニックや統率力
はピカイチ。このあたりで跡部に敵うものは誰もいない。
「足は速いのにな。でも、それだけじゃダメってことだよな侑士。」
「せやな。やっぱ、テクニックがないと。」
餌が捕れず、ヘコんでいる宍戸にまたバカにするような言葉をかけるのは、ムササビの岳
人と鹿の忍足だ。二人は草食動物なので、この自然の多い場所ではそれほど餌を捕ること
には苦労しない。
「腹減ってんだろ?宍戸。これやろうか?」
冗談っぽく差し出したのは、さっき森で採って来たたくさんの木の実だ。しかし、宍戸は
肉食動物。そんなものは食べ物のうちに入らない。
「んなもん食べれるわけねーだろ!!」
「あはは、だよなあ。侑士、いるか?」
「ああ、もらっとくわ。大変やなあ、宍戸。じゃあ、俺らは森の方戻るから。」
軽い足取りで森の方へと戻っていく二人を見て、宍戸はぶすっと不機嫌顔になる。バカに
され、しかも木の実まで差し出されれば、宍戸でなくとも腹は立つ。
「あーあ、腹減っちまったー。今日も飯抜きかなあ。あれ?そういえば樺地は?」
「樺地はジローの奴を探しに行かせた。下手なところで寝てると食われちまうからな。」
「そっか。ジロー、たくさん夢食うからどこでも寝ちまうもんな。」
今ここにはいないが、普段は跡部の後に付き添い、跡部の力をさらに大きなものに見せて
いるのは象の樺地だ。体が大きいために、いるだけで威圧感がある。ただいまは跡部に頼
まれ獏のジローを探しに行っている。獏であるため、ジローは眠っているものの悪夢をば
くばく食べる。つまり、夢が餌なのだ。しかも、夢を食べるということで、食べた後は必
ず自分が眠くなり、大抵はその場で眠ってしまう。自分達以外の肉食動物に食べられては
大変だと、跡部は常に注意を払わなければならない。だが、実際、ジローを探しに行って
いるのは樺地なのだ。跡部はただ命令するだけなのである。
「樺地も大変だな。あー、マジで腹減った!!これじゃ狩りもまともに出来ねぇぜ。」
宍戸のお腹はさっきからぐーぐーと鳴いている。昨日も餌が捕れず、ほとんど食べていな
いのだ。そんな宍戸を見て、跡部は何かを企むような笑みを浮かべながら、とあることを
切り出す。
「そんなに腹減ってるなら、ここにある餌一匹くらい食ってもいいぜ。」
「う・・・」
食べたいのは山々だが、跡部からもらうというのは何となく許せない。やはり、自分の餌
は自分で捕りたいのだ。しかし、今はそんなことを言っていられる状況ではない。どうし
ようかと宍戸が悩んでいると、跡部は自分の足元にある肉を喰いちぎり、口いっぱいにそ
れを含んだ。
「うーん、腹は減ってるけど、跡部にもらうのもあれだよなあ・・・。うー、どうしよう。」
ぶつぶつと独り言を言っている宍戸にゆっくりと近づき、跡部はがしっと宍戸の肩を捉え
た。そして、口に含んでいる新鮮な肉を宍戸の口に無理矢理移す。
「んんっ!?」
宍戸は驚くが、口に入ってくる肉の味にあっという間に夢中になってしまう。やはり食欲
には敵わない。一度食べてしまえば、もう我慢は出来なくなる。跡部からもらった肉を飲
み込むと、跡部の周りにある餌をがつがつと食べ始めた。
「初めから素直に食べればいいじゃねぇーか。」
「うるせーな。別に俺は食べるつもりはなかったんだよ!テメェがあんなことするから我
慢出来なくなっちまったんだよ!!」
口の周りを血で真っ赤に染めながら、宍戸はそんなことを言う。跡部は宍戸のこの表情が
非常に好きであった。餌を食べている宍戸を見ていると、食欲とは別の本能的な何かが疼
いてくる。それが何かに気づいたのは最近のことであった。
「宍戸、俺様の餌やったんだから、一つくらい俺様の言うこと聞けよな。」
その言葉を聞いて、宍戸は肉を食べるのをぴたっと止める。跡部のことだから、きっとも
のすごいことを言うのではないかと不安になったのだ。
「な、何だよ?俺が餌になるとかはなしだからな!」
「そんなことするわけねぇだろ。今日の夜、ちょっと出かけたい場所があるんだ。ちょっ
とそこに付き合ってくれねぇか?」
「出かけたい場所?そこに付き合うだけでいいのか?」
「ああ。」
どこに付き合うかは分からないが、跡部がいるならそれほど危険なことはない。それくら
いならいいだろうと宍戸は別にいいと頷く。
「まあ、こんだけ食べさせてもらったんだしな。それくらいなら構わねぇぜ。」
その言葉を聞いて、跡部はニヤリと顔を緩ませた。
「それじゃあ、今日の夜、楽しみにしてるぜ。」
「楽しいことなのか?」
「ああ、すげぇ楽しいことだ。」
「ふーん。なら、そんなに心配することねぇな。はあー、腹いっぱいになったら眠くなっ
てきちまった。跡部、夜になったら起こせよな。」
「ああ。」
跡部の餌をもらい、満腹になった宍戸はそのまま眠ってしまう。自分の頼みを何の疑いも
なしに受け入れ、無防備な姿で眠る宍戸を見て、跡部は期待に胸を躍らせる。今日は今ま
でにないほど、イイ夜になる。そんなことを考えながら、跡部は宍戸の食べ残した肉に齧
り付いた。
「宍戸も単純だねー。」
「どういうことですか?」
さっきまでの跡部と宍戸の様子を少し離れた木の陰から見ている者が二人。アライグマの
滝とヤギの鳳だ。滝は跡部の下心に気づいているようだが、鳳は全く気づいていない。
「前々から思ってたことだけど、跡部って宍戸のこと絶対好きだよね。」
「はい。それは見てて分かりますよ。いつも、ケンカしてるように見えますけど、何だか
んだ言って、本当のピンチになると宍戸さんのこと必ず助けてますもん。」
「だからさ、今日の夜、きっとすごいことになると思うんだよね。」
「すごいこと?どんなことですか?」
純粋に質問してくる鳳に滝は内緒話をするようにその内容を教える。それを聞いて鳳の顔
は真っ赤に染まった。
「ほ、本当に跡部さんそんなことするつもりなんですか?」
「そうだと思うよ。だって、あんなに顔ニヤけてんだもん。それ以外に考えられないっし
ょ。」
「宍戸さん、絶対気づいてませんよね?」
「たぶんねー。気づいてたらあんな簡単について行くなんて言わないもん。」
「どうしましょう?」
「俺達がどうするってことでもないでしょ。でも、興味あるならついて行ってみる?」
悪戯を思いついたような顔で笑って滝はそんな話を持ちかける。そんなことしてはいけな
いと思っていても、やはり興味はある。鳳はどうしようかと迷いながらも結局滝の話に乗
ることにしてしまった。
「ちょっと・・・興味はありますね・・・」
「俺も。肉食系のって激しそうだからねー。見に行っちゃう?」
「バレませんか?」
「大丈夫だって。こっそり行けばバレないよ。」
「なら・・・」
「決まりだね。あー、ちょっと楽しみかも。」
跡部と宍戸について行ってみようということが決まると滝は実に楽しそうな表情になる。
戸惑うような顔をしながらも鳳もかなり乗り気だ。そんなこんなで、時間は過ぎ、あっと
いう間に日は暮れてしまった。

日が沈んでから数時間。跡部は宍戸を連れてとある場所へと移動し始めた。てくてくと歩
いて行く跡部に宍戸は黙ってついて行く。しばらく歩いて行くと、真ん丸の月が映る小さ
な湖へと到着した。
「おー、すげぇ。月がキレイに映ってる。」
「なかなかいい場所だろ?俺のお気に入りの場所だ。」
「へぇー。俺に付き合って欲しいって場所はここか?」
「ああ。」
頷きながら跡部は湖の畔に腰かける。宍戸もその隣に腰を下ろした。
「今日はお前に話したいことがあってな。」
「話したいこと?何だよ?」
宍戸の目をじっと見つめ、跡部は今までに見せたことのない真剣な顔をする。どんな話を
されるのだろうと宍戸は胸を高鳴らせた。
「気づいてるかもしれねぇが・・・」
「・・・ああ。」
「俺はお前のことが好きだ。」
キッパリとそう言いきる跡部に宍戸は唖然としてしまう。何を言われたのかそうすぐに理
解が出来ない。跡部の言ったことをもう一度頭の中でリピートさせると、宍戸は顔を真っ
赤に染めて激しく動揺する。
「な・・・な・・・何言ってんだよっ!?」
「別に素直な気持ちを言ったまでだぜ。それでな、俺はお前を前々から喰いたいと思って
たんだよ。」
「っ!?」
跡部の言葉を聞き、宍戸の顔は一気に青ざめる。好きとはそっちの意味で、やっぱり餌に
ならなければならないのかと宍戸は怯えまくる。
「さっき・・・喰わねぇって言ったじゃねぇか・・・」
跡部に狙われたら逃げられないのを宍戸は知っていた。涙目になりながら宍戸は助けを求
めるように跡部を見つめる。今までに見たことのない宍戸の表情に跡部は興奮を覚えた。
「さっきの好きは大好物の意味の好きじゃねぇ。愛してるの方の好きだ。そこまで言った
ら喰いたいの意味も分かるだろ?」
「・・・全然分かんねぇ。」
何言ってんだという表情で、宍戸はそう答える。やっぱりバカだなと笑いながら、跡部は
宍戸の唇を捉えた。
「んっ!?・・・んっ・・・んんぅ・・・」
突然のキスに宍戸は驚くが、思った以上に不快感はなく、むしろぞくぞくとした不思議な
感覚を覚える。
「ぅん・・・ハァ・・・な、何すんだよぉ、いきなり。」
「今、キスされてどう思った?」
「は?・・・どう思ったって?」
「気持ち悪かったか?」
「別に・・・そうは思わなかったけど・・・」
「そうか。」
気持ち悪くは思わなかったという言葉を聞き、跡部は満足したように笑う。これなら少し
強引に事を進めても大丈夫であろうと跡部はもっと大胆なことを言い始めた。
「さっきのことだけどよ。」
「さっきのことって?」
「お前を喰いたいっていうアレだ。」
「あ、ああ。アレ結局どういう意味なんだ?」
いまだに分かっていない宍戸に跡部は耳元で囁いてやる。その言葉を聞いて、宍戸は先程
とは比べ物にならない程動揺した。
「えっ・・あ・・・冗談だろ・・・?」
「冗談なんかじゃねぇよ。なあ、いいだろ?」
「そ・・んな・・・そんなこと急に言われても・・・てか、こういうのってメスとやるん
じゃねぇのか?」
「そんなの関係ねぇよ。俺はお前としてぇんだ。お前以外とする気なんてさらさらねぇ。」
「俺、そういうこと全くしたことねぇし、分かんねぇんだけど。」
「それは心配すんな。俺に任せてりゃなんの問題もねぇよ。」
そんなふうに巧みな言葉で丸め込みながら、跡部は宍戸を押し倒す。まだ全然納得してい
ないが、こんな状況でどうすればいいかも分からず宍戸は跡部にされるがままになってい
た。
「やっ・・・あ・・・そんなとこ汚・・・」
「あーん?汚くなんかねぇよ。血とか肉の味も好きだけど、こっちの味もたまんねぇな。」
少しの愛撫ですっかり固くなった宍戸の茎を跡部は口いっぱいに含み、じっくりと味わっ
ている。じわじわと溢れてくる先走りの蜜を吸いとるように舐めるたび、宍戸はビクンと
身体を震わせ、跡部を興奮させるような声を漏らす。
「あっ・・・ふ・・・ぁん・・・」
「気持ちイイだろ?」
「分かん・・ねぇ・・・体が熱くて・・・変になっちまいそう・・・」
「まあ、初めてだから分からなくても仕方ねぇか。」
「でも・・・止めて欲しくはねぇ・・・・」
恥ずかしそうに跡部から目を逸らしながら宍戸はぽつりと呟く。意外なことを言うなあと
跡部は咥えるのを止め、宍戸の顔を見た。小さく震えながらも本気で嫌がっている素振り
を見せない宍戸を跡部は本当に可愛らしいと思う。
「可愛い奴。」
「わっ・・・」
もっといいことをしてやろうと跡部は宍戸の足をぐいっと広げた。前への愛撫で後ろの蕾
もだいぶひくついてきていた。まだ閉じたままの蕾に軽く指で触れながら、跡部は囁くよ
うに言葉をかける。
「ここを使うのも初めてだろ?」
「そ、そんなとこ・・・使うのか・・・?」
「ああ。ここ以外にどこ使うんだよ?」
「でも・・・」
「大丈夫だ。心配すんじゃねぇよ。痛くはしねぇから。」
ひどく不安がっている宍戸を落ち着かせるように、跡部は優しく頬にキスをする。そして、
すぐ側に落ちていた小さな赤い実を手に取った。それを口に咥え、宍戸の蕾へとそのまま
運んでゆく。
「ひゃっ・・あっ!」
咥えていた赤い実を指と舌を器用に使って、宍戸の蕾へと埋め込む。半分だけ埋め込むと
跡部はその実を歯で潰す。弾けたその実は潤み始めている宍戸の蕾にトロトロとした蜜を
流し込んだ。
「やっ・・!!な、何っ!?・・・あっ・・あ・・・!」
「しっかり慣らさねぇとキツイからな。ほら、さっきの実のおかげで簡単に指が入っちま
うぜ。」
「ひっ・・・ああっ!!あ・・ああっ・・・」
内側に埋め込まれた実の蜜が潤滑油の役割を果たし、宍戸のそこはあっという間に跡部の
指を一本二本と呑み込んでしまった。初めてそんな場所を弄られる感覚に困惑しながらも
宍戸は確かに気持ちよさを感じてしまう。
「うっ・・・ぁん・・・ふあ・・・・」
「イイ顔してるじゃねぇか。尻尾もビクビク震えてるぜ。」
「だ、だってぇ・・・あっ・・・」
跡部がぐちゅぐちゅと指を動かすたびに宍戸の尻尾はぴくぴくと痙攣する。そんな様子が
跡部にとってはたまらなかった。
「なあ、宍戸。」
あまりにも色気たっぷりの宍戸の表情を見て、跡部はまた別のことをさせたくなってしま
う。ごくりと唾を飲み込むといったん宍戸の蕾を慣らしていた指を抜く。
「な、何・・・?」
「俺のも・・・してくれねぇ?」
そう言いながら宍戸の目の前に跡部はすっかりと熱を帯びた茎を差し出す。それを見て宍
戸はドクンと鼓動が速くなるのを感じた。あまりの存在感を持ったそれに一瞬躊躇するが
好奇心と腰にくるような疼きから宍戸は素直にそれを口に含みたいと思う。
「さっき跡部がしてくれたみてぇに・・・すればいいのか?」
「ああ・・・」
さっき跡部が自分にしてくれた行為を思い出し、宍戸は跡部のモノをゆっくり口に含む。
「ん・・・あ・・む・・・・んん・・・」
おずおずと舌を動かし、時折小さく吸ってみたりする。次第に跡部のそれは宍戸の唾液と
先走りの蜜で濡れていった。そこまで上手いと言えない宍戸のフェラも跡部にとっては、
たまらなく気持ちのよいものであった。
「初めてするにしちゃあ、上手いんじゃねぇ?」
「ホントか・・・?」
「ああ。すげぇ・・・イイぜ。」
宍戸の頭を撫でながら、跡部は熱い息を吐く。跡部に褒められたことなどほとんどなかっ
たので、宍戸はドキドキしながらも嬉しくてたまらない。もっと褒めてもらいたいと宍戸
は夢中になって跡部のモノを咥え、一生懸命口を動かした。
「くっ・・・そろそろヤベェな。宍戸、いったん止めろ。」
「ハァ・・・おう。」
宍戸が跡部の茎から口を離すとトロリとした透明な糸が宍戸の唇に繋がる。それがまた跡
部の視覚を激しく刺激した。
「これだけ濡れてりゃ十分だろ。宍戸、そのままの姿勢で力抜いてろ。」
四つん這いになっている宍戸の後ろに回り、跡部は宍戸の腰を捉える。そして、宍戸によ
って濡らされた自分の熱をすっかり熟れた蕾に埋め込んだ。
「っ!!あっ・・・ああ―――っ!!」
熱い楔が打ち込まれ、宍戸はそのまま達してしまう。しかし、この程度では跡部はまだ達
してはいなかった。もっと確かな刺激が欲しい、もっと深く宍戸と繋がりたいと、跡部は
力の抜けた宍戸の身体に容赦なく自分自身を突き刺した。
「あっ・・・は・・・やぁ・・あ・・・っ」
自分の意思とは関係なく与えられる快楽に宍戸はただ声を上げるしかない。跡部が自分の
中に入ってきている。その何とも言えない感覚は、宍戸にとって快感以外の何ものでもな
かった。
「すげぇぜ。初めてのくせにしっかり俺のを呑みこんでやがるし、絡み付いてくるみてぇ
に締め付けてくる。」
「うあっ・・・跡部・・・俺、変っ・・・」
「俺も変になっちまいそうだ。お前、マジでよすぎだ。想像以上だぜ。」
繋がっている箇所からお互いの熱を感じ合う。獲物を捕らえ、それを喰らう時と同じくら
いの、いや、それ以上の本能的な欲望を満たす満足感。それだけではなく、好きなものと
繋がっているのだという嬉しさ。そんな感覚が混じり合い、二人はその行為の愉しさに夢
中になっていく。
「ハァ・・・跡部・・・あ・・あっ・・・」
「最高だぜ。お前は今までに喰ったことねぇほどの・・・最高の獲物だ。」
自分も肉食獣であるのだから、獲物などと言われたら普段は腹が立つのだが、この時ばか
りは違った。不思議な温かさが宍戸の心に流れ込む。それと同時に今まで感じていた快感
がさらに大きなものとなる。
「あっ・・・あん・・・も・・・ダメぇ・・・」
「俺もそろそろ限界だ・・・一緒にイこうぜ。」
跡部が熱い飛沫を内側へ放つと同時に、宍戸は猫のような鳴き声を上げその場に倒れた。
半分意識を失っている宍戸を抱き起こし、跡部は力強くその身体を抱き締める。そして、
ゆっくりと耳元で再びあの言葉を囁いてやった。
「好きだぜ、宍戸。」
偽りのない言葉。心のこもったその言葉を聞き、宍戸は自分のとある気持ちに気づく。
(あー、俺、跡部のこと好きだったんだ・・・)
そのことを伝えたいと思ったが、そこまで意識を保っていることが出来なかった。慣れな
いことをした疲労から、宍戸は跡部の腕の中でゆっくりと目を閉じた。

「うーん、想像以上。ここまで激しくなるとは思わなかったなあ。」
「ちょっと・・・俺には刺激が強すぎます・・・・」
顔を真っ赤しにて、鳳はヘロヘロになっていた。まだまだこういうものには慣れていない
ようだ。
「でもさ、悪くなかったと思うよ。跡部、真剣に宍戸のこと思ってるじゃん。」
「そうですけど・・・やっぱ、今のは・・・」
「興奮しちゃうって?」
「・・・・・はい。」
素直に頷いてしまう鳳を滝は可愛いと思ってしまう。ニコニコ笑いながら、さっきすぐ側
にある湖で洗った木の実を鳳に手渡した。
「ちょっと熱冷ましにさ、水分たっぷりのこの実食べなよ。さっきそこの湖で洗ったから
キレイだよ。」
アライグマであるため、普通に食べれると思っていても習性的に洗ってしまう。その実は
先程跡部が宍戸との行為に使っていたあの赤い実であった。
「おいしいですね。あれ?でも、この木の実どっかで見たような・・・」
「うん。だってさっき跡部が宍戸に使ってた実だもん。」
そう滝が言った瞬間、鳳は激しくむせる。そんなことを聞かされてはまともに食べれなく
なってしまう。
「ゲホ・・ゲホ・・・何でそういうこと言うんですか!!」
「あはは、そこまで驚くとは思ってなかったからさ。それ聞いたら余計ドキドキしてきち
ゃったでしょ?」
「そんなこと・・・ないですよ。」
口ではそういうものの態度にはハッキリと表れてしまう。これはなかなかいい雰囲気だと
滝は角の横にある白く垂れ下がる耳にそっとキスをして、笑いながら鳳がさらに驚くよう
なことを言い出した。
「何だったら、俺達も跡部と宍戸がしてたみたいなことする?」
「えっ・・・?」
「やっぱさ、あーいうの見てるとこっちもしたくなっちゃうんだよねー。ね、しようよ、
長太郎。」
「・・・・はい。」
戸惑いつつも鳳は頷く。何だかんだ言っても鳳もしっかり感化されているのだった。

次の日から、跡部と宍戸の関係は誰が見ても分かる程に一変した。
「跡部ー、今日はちゃんと自分で飯捕れたぜ!」
「へぇ、よかったじゃねぇか。それじゃあ、今夜は俺様がご褒美をあげてやるぜ。」
「マジで!?じゃあ、いつものとこ行かなきゃだな!!」
非常に仲良さ気に話しをしている二人を見て、岳人や忍足、ジローや樺地は不思議がる。
「何やあの二人、えらい仲良くなってんなあ。」
「どうしたんだろうな?」
「あいつらの夢、最近ずっといい夢ばっかなんだぜ。正確にどんな夢見てるかってのは分
んねぇんだけど、悪夢かそうでないかは、見分けられるからさ。」
「ジローは悪夢しか食べねぇもんな。」
「そうなんだよ。だからあいつらのそばにいても、全然餌が食えねーんだよな。」
「だから、いろんなところに行って、悪夢食べて、その場で寝てまうと。」
「そうすっと樺地が探しに行かなきゃいけない。大変だなー、樺地。」
「ウス。」
岳人の言葉に樺地は思わず頷いてしまう。しかし、ジローはそれを聞いても悪びれもなく
笑うだけであった。
「へへへ、悪ぃな樺地。」
「ジロー、もうちょっと樺地に感謝せな。樺地がいなきゃいつ食べられてもおかしくない
んやで。」
「分かってるって。サンキューな樺地。」
「ウス。」
さっきは岳人の言葉に頷いてしまったものの、樺地はそれほどジローの行動を迷惑と感じ
ていないらしい。そんなことを話していると、いつの間にか跡部と宍戸はさっきいた場所
からいなくなっていた。
「あれ?跡部達いないぜ。」
「どこ行ったんやろな?」
「まーた二人でイチャイチャしてるんじゃないのー?最近はもう見るたびラブラブな雰囲
気振りまいてるんだから。な、樺地。」
「ウス。」
ジローの言う通り二人は大きな木の陰でイチャイチャしまくっていた。ライオンとチータ
ーという種族の違い、またオス同士ということは、二人にとっては大して大きな問題では
ないらしい。とにかく自分達の好きなように振る舞う。それは百獣の王とその百獣の王に
寵愛されている宍戸だからこそ許される大きな特権であった。

                                END.

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