アングレカム 〜in bed room〜

宍戸を抱き上げたまま、跡部は寝室へと移った。そして、先ほど見たダブルベッドに宍戸
を下ろす。
「せっかくもらった誕生日プレゼントだ。ちゃんと食べなきゃな。」
「お、俺は食いもんじゃねーぞ。」
「分かってんよ。さて、今日はどうしようか?」
跡部もポスっとベッドに腰かけ、宍戸の顎に手をやりニヤ二ヤと笑う。宍戸はそうされて
固まってしまうが、今日は跡部の誕生日。何とか自分から何かをしてあげようと思考回路
が混乱しかけている頭で考えた。
「跡・・部。」
「何だ?何か要望でも?」
「今日は・・・跡部の誕生日だから、・・・その、俺がまず跡部のしてやるよ。」
自分からこういうことを言うのはやはり恥ずかしいのか、宍戸の言葉はかなり途切れ途切
れだ。だが、せっかくの宍戸のサービス精神を無視するわけにはいかない。跡部は快くそ
の好意を受け取る。
「そりゃ嬉しいな。じゃあ、してくれ。」
「おう・・・。」
ベッドの頭の部分に寄りかからせた形で跡部を座らせると、宍戸はベルトに手をかけ、ジ
ッパーをゆっくり下ろした後、その部分に顔を埋めた。すると、すぐにピチャピチャと濡
れた音が跡部の耳に響く。
「んぅ・・・んん・・・ん・・・」
そんな音と自分のモノをする宍戸の表情があまりにも扇情的なのとが合わさって、跡部の
鼓動はすぐに速くなってくる。呼吸も次第に乱れ、宍戸の口に含まれている部分はだんだ
んと熱くなってきていた。
「ハァ・・・宍戸。」
「ん・・ぁ・・・ハァ・・・なあ、跡部・・・気持ちイイ・・・?」
潤んできている瞳で見上げられながら尋ねられる。その表情と軽く傾げられた首がこの上
なく可愛いので、跡部はドキっとして顔が赤くなるのを感じた。
「ああ。最高だぜ、宍戸。」
「ホントか?じゃあ・・・もっと頑張るな。」
ニッと笑って、宍戸はまた跡部の熱を口に含む。テクニックは跡部に比べたらまだまだな
のだが、それでも跡部にとっては最高に気持ちイイサービスだった。
「んく・・・ぅん・・・ん・・・ぁ・・・」
「宍戸・・・そろそろっ・・・!!」
「ん・・んん・・・んっ!・・・ハッ・・・」
最後まで咥えていようと思ったのだが、息が続かず途中で離してしまう。当然跡部の放っ
たモノはもろに顔にかかってしまった。
「ハァ・・・ハァ・・すまねぇ、宍戸。」
「あー、別に平気だぜ。これくらい。うわあ、でもここまでもろなのは初めてかも。てか
さ、これって顔射?」
「なっ!?宍戸、お前からそんなこと言ってんと微妙だぞ。」
「何でだよー?それよりどうしよコレ。」
顔からポタポタと垂れる雫を手で拭いながら、宍戸は言う。すると、跡部がその顔のもの
をペロペロと舐め出した。
「あ・・跡部・・・?」
「俺のだからな。俺が始末してやるよ。」
「べ、別にいいよ・・・。これは後で自分で拭くからさ、もっと他ことのしてくれよ。」
「そうか?」
これくらいのことで照れている宍戸が可愛くてもっとしてやろうと思った跡部だが、他の
ことをして欲しいと自ら言ってきているので、それならということであることを宍戸に指
図した。
「じゃあ、宍戸。自分で下を脱げ。」
「いきなり下脱ぐのかよ?」
「ああ。」
跡部が言うならしょうがないと宍戸はしぶしぶ下に穿いていたものを全て脱ぎさった。着
ている上着が少し長めなので、脱ぎ終わるとペタンと座ってそれである程度隠す。
「脱いだけど・・・」
「メチャクチャ隠してんじゃねーか。それから、そのまま俺の顔を跨げ。」
「えー、何だよそれ!?」
そんなこと恥ずかしくて出来るか!!と抗議する宍戸だが、跡部はまたあの言葉を言って
無理やり宍戸にそうさせる。
「今日は俺様の誕生日だぜ、宍戸。」
「う〜、分かったよ!!やればいいんだろ!!」
枕に頭を置き、しっかりと仰向けに横になっている跡部の顔を宍戸は顔を真っ赤にしなが
ら跨ぐ。そうすると、跡部は目の前にある宍戸のモノを何の躊躇もなくし始めた。
「んっ・・あ・・・ヤダ・・・跡部・・・」
「さっきのお返しだ。いいなこの構図。すげぇやりやすい。」
「んぅ・・・こんなの・・・恥ずかしい・・・ヤメロよぉ・・・」
ベッドの頭の部分に手をかけ、宍戸は必死で体を支えた。羞恥心から涙声になり、跡部に
やめてくれと頼むが聞いてくれるはずがない。どんなにイヤイヤと首を振っても跡部はそ
んな反応さえ楽しんでいた。
「あっ・・・はっ・・あぁ・・・」
「すげぇ足震えてんな。」
「だっ・・て・・・・跡部がぁ・・・」
「もうそろそろ、ココにも触って欲しいって?」
「はぁっ・・・嫌だっ・・・んなこと言ってな・・・」
熱を口に咥えながら、跡部は右手で後ろの蕾にそっと触れる。ただ触れてほんの少し擦る
だけで、慣らすように指は入れたりしない。そんなじらされるような奇妙な感覚にも宍戸
は今にもイってしまいそうな程感じてしまう。
「あっ・・ん・・・やっ・・・ぁ・・・・」
「お前、やらしい。後ろをただ少し触ってやってるだけなのに、前はさっきよりも濡れて
るし、ココは指を入れて欲しいってヒクヒクいってるぜ。」
「あ・・・違っ・・・やだぁ・・・」
自分の意識とは裏腹に体は跡部のすることなすこと全てに反応してしまっている。それが
恥ずかしくて宍戸はポロポロ涙を流した。
「何、泣いてんだよ?」
「ひっ・・く・・・だって・・・跡部・・・が・・・」
「泣くなよ。じらされるの嫌なのか?」
「嫌・・・じゃねぇ・・・・でも・・・もっとちゃんとして欲し・・・」
もう恥ずかしさと気持ちよさが混ざり合って、自分でも何を言っているのかさっぱりだ。
そんな宍戸の気持ちを汲み取ってなのかそうでないのか、跡部は後ろでじらすように動か
していた指をいつものように中に入れた。
「あっ・・・ああっ――!!」
「・・・っ。」
その瞬間、宍戸は達してしまう。跡部は宍戸の放ったモノを残らず飲み込んだ。
「・・・うっ・・・ぁ・・・ハァ・・・・」
達して力が抜けてしまっているのに、跡部がそのまま後ろを慣らしてくるので気を抜く暇
がない。全身が震えて、体を支えているのもだんだんとつらくなってきた。
「跡部・・・この体勢・・・・もうヤダ・・・」
「もう少しだけ我慢しろ。」
「ひゃっ・・・うっ・・・あぁ・・・」
宍戸が他の体勢になりたいというので、跡部は後ろは慣らす手を速めた。いきなり激しく
指を動かされて、宍戸のそこは一気に濡れてゆく。
「あと少しだな。ほら、もう指二本軽がる入っちまう。」
「ん・・はぁっ・・・あぁん・・・そんなに・・動かすなぁ・・・」
「もう大丈夫だろ。いったん指抜くぞ。」
「うあっ・・あっ・・・・」
指が抜かれると同時に蜜が溢れる。もう入れるには十分慣らされている状態だ。自由に動
けるようになると宍戸は跡部の横にそのまま倒れた。
「宍戸、もう挿れてもいいか?早く繋がりてぇ。」
「ハァ・・・ハッ・・・うん・・・たぶん大丈夫・・・」
横向きに倒れたので、宍戸は仰向けになろうとしたが、それは跡部に止められた。そのま
まの状態で後ろにピッタリとくっつかれ、上になっている方の足を持ち上げられる。
「えっ・・・ちょっと・・・跡部っ・・・?」
次の瞬間、思ってもみないような衝撃が宍戸を襲う。横向きに寝たまま入れられてしまっ
たのだ。
「うあっ・・・ああっ!!」
宍戸は思わず布団を強く握り締める。息が出来なくなりそうなほど後ろからの衝撃は激し
かった。
「これ・・・思った以上に入れやすい。」
「はっ・・・あぁ・・・くっ・・・」
「こうすれば、もっと奥に入るよな?」
「ひっ・・・ああっ!!・・・跡部っ!!」
宍戸の足の間に自分の足を挟むようにし、跡部はさらに身を進めた。その所為でかなり奥
まで入り、宍戸は嬌声を上げる。
「あっ・・・はぁ・・ん・・・・そんな・・・だ・・めぇ・・・」
「ハァ・・・宍戸、すげぇイイ。最高だぜ。」
耳元で息を乱しながら跡部が囁いてくるので、宍戸はさらに追いつめられる。もう何を考
えたらいいのか分からない。
「あっ・・・跡部・・・あと・・べ・・・」
とにかく跡部の名前だけを何度も呼ぶ。顔が見えない分そうやって跡部と繋がっていると
いうことを確かめた。
「宍戸・・・」
「ん・・あっ・・・跡部・・・」
どちらもこの瞬間があまりにも甘美すぎて、何も言葉が出てこない。熱くてそれでいて、
心地よくて・・・そして、甘い。そんな時の中で二人は心の底から生まれてきてよかった
と思った。特に跡部は今日が誕生日。そう思うのは尚更だった。
「なあ、宍戸・・・。」
「な・・に・・・?」
「これからも、ずっとこうしていけたらいいな。」
「していけたら・・・いいなじゃ・・ねぇだろ!!」
「じゃあ、何だよ?」
「していくんだ!!・・・俺達はこれから・・・ずっと・・一緒なんだろ・・・?」
「・・・そうだな。」
熱に浮かされながらそう言う宍戸に跡部はふっと微笑んだ。そして、どちらにも限界が訪
れる。
「あっ・・・あん・・・景・・吾ぉ・・・」
最後の最後で宍戸は跡部の下の名前を呼ぶ。それを聞いて跡部も宍戸のことを名前の方で
呼んだ。
「ハァ・・・これからもずっと一緒に居ような、亮。」
「んっ・・あ・・・ああ――っ!!」
「・・・っ!!亮っ!!」
跡部が果てる前に囁いた言葉は強く宍戸の心に響いた。嬉しくて嬉しくて涙が溢れる。宍
戸が誕生日のローソクに込めた願いは叶った。そして、真っ白なアングレカムの花が二人
の横で小さく微笑むのであった。

こんなことをして疲れてしまったのか、二人はある程度片付け終わるとぐっすりとそのベ
ッドで眠ってしまった。起きたときにはもう夕日が窓から差し込んでいる。
「ふぁ〜、よく寝た。」
「もう夕方か。随分眠っちまったな。」
「なあ、今日はどうすんだ?まさか、ここに泊まるんじゃねぇよな?」
「ああ。今日はもうこれで帰ろうぜ。」
そう言うと跡部はベッドから下り、ドアの方へと向かう。それを追いかけて宍戸もベッド
から下りた。ところが、思うように体が動かず、ベッドから落ちてしまう。
ドタっ
「痛ってぇ〜。」
「何やってんだ?」
「何かうまく体が動かなくてよー。」
「まあ、あんだけいろんなことしたんだからしょうがねぇな。」
ここへ来たときと同じように跡部は再び宍戸を抱き上げて、部屋を出る。そして、今度は
ソファへと宍戸を優しく下ろした。
「もう少し休んでから出るか。」
「おう。ゴメンな、俺がこんなんで。」
「今更だろ?あっ、悪いと思ってるんだったら、お前今日俺様の家に泊まれ。」
「えっ、でも明日学校だぜ。」
「朝、車で行きゃあいいだろ。お前んち寄ってやるから、そこで鞄とかは持ってくりゃい
い。」
「それならいいぜ。」
最後の最後まで今日は宍戸と一緒に居たいらしい。宍戸がそのことを了承すると跡部は嬉
しそうな笑顔を見せる。
「そんなに嬉しいのかよ跡部。」
「まあな。おっ!宍戸、見ろよ。窓のとこスゴイぜ。」
跡部に言われ、ベランダの方へ目をやると真っ赤な夕日が沈むのがとてもキレイに見えて
いた。さすが最上階の部屋だけある。
「うっわあ、すげぇ!!」
「キレイだな。ここにある花も真っ赤だぜ。」
夕日の色が移り、テーブルの上に置かれた二種類の花は白色が真っ赤に染まっていた。こ
れはこれでまた風情がある。宍戸はそれを手に取って、そっと花に触れる。
「すげぇな。今この部屋俺の好きな色でいっぱいだ。」
「お前、赤好きだもんな。じゃあ、もうそろそろ俺の好きな色でいっぱいになるよな?」
「黒か?そしたら、何にも見えなくなっちゃうじゃねぇか。」
「俺はお前さえ見えればいい。暗くたってこんだけ近けりゃ見える。」
「跡部・・・」
どうしてそういう恥ずかしいことをまた言うんだと、顔を夕日と同じ色にして宍戸は跡部
を見る。跡部はくすくす笑って、自分を見てくるその瞳の上に軽くキスをした。
「夕日が沈んだら、この部屋出ようぜ。ここ、まだ電気通ってねぇからな。」
「ホントに真っ暗になっちまうんだな。」
「そうだ。だから、もう少しあの赤いヤツを見ててやろうぜ。」
「そうだな。」
笑いながら宍戸は頷く。空の色が宍戸の好きな色から跡部の好きな色に変わるまで、二人
はソファに座り、ずっと窓の外を眺めるのだった。

                                END.

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