春休み真っ只中の4月1日。今日は金太郎の誕生日だ。春休みではあるが四天宝寺中の元
レギュラーメンバーは部室に集まって、金太郎の誕生日会もといタコヤキパーティーを行
った。卒業した三年生と新部長の財前にたくさんのタコ焼きで祝われ、金太郎は始終笑顔
を浮かべ、その誕生日会を存分に楽しんだ。
「はあー、ぎょーさんタコ焼き食えたし、みんなに祝ってもらえて、メッチャ楽しかった
わー!」
「よかったな、金ちゃん。金ちゃんももう二年生か。時間が経つのは早いなあ。」
夕方くらいまで存分に騒いだ後、部室の片付けをし、皆それぞれ家路を辿る。いつものよ
うに金太郎は白石と帰っていた。
「金ちゃん、これからまだ時間あるか?」
「大丈夫やで。」
「ほんなら、今からうちに来ぃひん?俺的にはもうちょっと金ちゃんの誕生日を祝いたい
なーと思ってな。」
「ホンマに!?行く!!」
白石がまだ誕生日を祝ってくれるということを聞いて、金太郎は嬉しそうに頷く。それな
らばと、白石は金太郎と一緒に自分の家へと向かった。
部室での誕生日会で、タコ焼きを山ほど食べたので、白石も金太郎も夕飯はいらない状態
になっていた。そのため、夕飯の時間にかけても二人は白石の部屋でくつろぐ。
「白石が卒業してから、白石の部屋入るんは初めてやな。」
「せやなあ。財前はしっかりやってくれそうやけど、俺らが卒業してやっぱり寂しい?」
「当たり前やん!ワイ、みんなとテニスするんメッチャ好きやったんやで。せやけど、全
然会えなくなるわけやないし、会おうと思えばいつでも会いに行けるしな。心配せんでも
大丈夫やで!」
「さすが金ちゃん。頼もしいな。」
卒業して、今までのように会えなくなっても金太郎はそこまで落ち込んでいなかった。む
しろ、白石の方が金太郎よりも寂しさを感じていた。
「なあ、金ちゃん。」
「何や?」
「大事な話があるんやけど、してもええ?」
「大事な話?何?」
ちょっとシリアスな雰囲気を醸し出してみたものの金太郎相手ではそうシリアスにはなら
ない。いつもの雰囲気で、首を傾げて聞き返す。
「金ちゃんが協力してくれるんやったら、この左手の毒手、元に戻せるかもしれん。」
「っ!!??ホンマに!?」
それはメチャクチャ大事な話だと、金太郎は目を丸くして驚いたような反応を見せる。
「俺の毒手、元に戻ったら金ちゃん嬉しい?」
「当たり前やん!」
卒業しても毒手のふりをするのはさすがにと思い、白石はそんな話を持ちかける。毒手な
ど嘘だったとバラすよりは、金太郎が治したと思わせる方が金太郎の心持ち的にもよいだ
ろうと考えてのことだ。
「それで、どうやったら治せるん?」
「毒手を治すにはな、愛する者のキスが必要やねん。毒手になってる腕、手首、手の平、
手の甲、指先に順番にキスしていって、そうすると毒手を持ってる者は気を失うから、最
後は唇にキスをして目を覚まさせる。そんな感じなんやけど・・・」
何となくそれっぽいことを白石は話す。さすがに嘘とバレるかなーと金太郎のことをチラ
ッと見てみると、真剣な顔をして悩んでいた。
「それは・・・包帯の上からでもええの?」
「あ、ああ。大丈夫やで。金ちゃんが俺のこと好きやと思ってしたら、毒は通り抜けられ
へん。」
「せやったら・・・」
一年間あれだけ怯えていた毒手だ。包帯の上からとは言えども、そこに口をつけるなど金
太郎にとっては物凄く勇気のいることであった。包帯の巻かれた白石の腕を恐る恐る持ち、
じっと見つめる。
(うわー、金ちゃんメッチャ真剣な顔しよる。こういう表情は男前やな。)
「まずは、腕・・・」
そう呟きながら、金太郎は腕に顔を近づける。やはり怖いようで唇が触れる直前でその動
きを止め、ぎゅっと目をつぶる。その恐怖振り払うかのように金太郎はある言葉を口にす
る。
「白石、好きや!」
その言葉を聞いて、白石の心臓はドキンと跳ねる。そう言った後、金太郎は白石の腕に口
づけた。その勢いで手首、手の平、手の甲と口づける。怖くなると、白石への想いを口に
して、勇気を奮い立たせる。
「白石、大好きや!ワイは白石のことが大好きなんやー!」
想いを叫ばれながら、腕や手の至るところにキスされる。そんな状況に白石の胸はひどく
高鳴っていた。
「後は指だけや!白石の毒手なくなれー!」
金太郎の唇がむき出しの指に触れると白石はゾクッと身体の奥が熱くなる。その感覚と金
太郎の言葉にハッとして、白石は気を失うふりをする。
「白石っ!!」
ぱたりとベッドの上に倒れた白石を心配するかのように金太郎は白石の名を呼ぶ。最後は
口にキスをするんだったということを思い出し、金太郎は白石を組み敷くような体勢で白
石の唇にキスをする。口を離すと、金太郎は心配そうな表情と声色で白石に声をかける。
「白石ぃ、目ぇ覚ましてや。」
金太郎に声をかけられ、白石はパチッと目を開ける。白石が目を覚ましたことに気づき、
金太郎はぎゅっと白石に抱きつく。
「白石ー!!」
「おっと、金ちゃん。」
「白石、毒手は?毒手はどうなったん?」
「一緒に確認しよか。包帯外してもええか?」
今まで白石が包帯を外すことは毒手を外に出すことになるので、一番金太郎が怖れていた
ことだ。しかし、白石の話が本当なら毒手はもう普通の腕に戻っているはずだ。意を決し
て金太郎は白石の言葉に頷いた。体を起こすと、白石は左手の包帯に手をかける。
「ほんなら、外すでぇ。」
卒業と同時に金のガントレットはオサムに返しているので、今包帯の下はただの腕だ。し
かし、今の今まで白石の左手は毒手だと信じて疑わなかった金太郎にとっては、この瞬間
はかなり緊張するものであった。
シュルシュル・・・
白い包帯がほどかれ、白石の左手があらわになっていく。その様子を金太郎は固唾を呑ん
で見守る。
パサッ・・・
包帯が完全にとれ、ベッドの上に落ちる。
「どや?」
「見た目は普通の腕に見えるんやけど・・・」
「触ってみてや、金ちゃん。」
「うう・・・」
白石にそう言われ、金太郎は震える手を白石の左手に伸ばす。白石の左手にちょんと指先
が触れ、金太郎は目をつぶる。しかし、当然のことながら、何かが起こるわけでもない。
目を開けて、思いきって白石の左手を掴んでみる。もちろんそうしたところで、何も起こ
らない。
「触っても大丈夫や!」
「毒手じゃなくなったみたいやな。金ちゃんのおかげやで。」
「よっしゃー!!白石の左手、毒手やなくなったー!」
あまりの嬉しさに金太郎は白石に飛びつく。急に飛びつかれたため、白石は受け止めきれ
ずにベッドに倒れる。
「ちょっ・・・金ちゃん。」
「もうそのままこんなふうに手繋いでも大丈夫なんやな。メッチャ嬉しいわ!」
白石の左手の指に自分の指を絡めながら、金太郎は満面の笑みでそんなことを言う。そん
な金太郎に白石はときめいてしまう。
「なあ、金ちゃん。」
「何?」
「今日は金ちゃんの誕生日やし、金ちゃんがしたいなら・・・してもええで。」
目的語がなくとも、金太郎は白石の言わんとしていることを理解する 。
「ホンマに!?する!!」
してもよいのであればそれはしたいと金太郎は即答する。基本的には大丈夫であるが、念
のためにと白石は部屋の鍵を閉めてから、再びベッドに戻った。
白石がベッドに戻ってくると、金太郎はぎゅうっと白石に抱きつく。抱きついたまま、上
目遣いで見上げるように白石の顔を見て、金太郎は首を傾げて尋ねる。
「なあ、白石。ちゅうしてもええ?」
「ええで。」
「えへへ、おおきに。」
体を少し伸ばし、白石の頭を両手で抱えるようにして、金太郎はキスをする。先程目を覚
まさせるためにしたキスとは異なり、もっと深くて気持ちいいキス。唇と唇が触れ合い、
舌と舌が絡む。
(アカン・・・メッチャドキドキする。)
「はぁ・・・んむっ・・・」
だんだんとボーっとしてくる頭に、ぞくぞくと痺れるような心地よさ。そんな白石とは対
照的に金太郎はもっともっと白石を味わいたいと覚醒し、夢中になって白石の舌を食む。
「ぷはっ・・・へへ、ちゅうした後の白石の顔、やっぱりメッチャかわええなー。」
「ハァ・・・せやかて、金ちゃんのキス、気持ちええんやもん。」
「白石、ちゅうしてるとすーぐココこんなんなるもんなー。」
からかうような口調でそんなことを言いながら、金太郎は白石の下腹部に触れる。直接そ
こに触れられているわけではないのだが、ぞくぞくしてしまい、白石は小さく声を上げる。
「う・・ぁ・・・」
そんな反応を見せる白石に、金太郎はわくわくとした表情で目を輝かせる。ズボッとズボ
ンと下着の中に手を入れ、ある程度大きくなっているそれを握る。
「んっ・・・や、金ちゃんっ・・・」
白石の反応を確認した後、金太郎は白石のシャツを捲り上げ、あらわになった胸の突起に
歯を立てないようにしながらかぶりつく。
「ひあっ・・・!?」
ちゅう・・・
「あぁっ・・・金ちゃんっ・・アカンっ・・・」
2つの場所に与えられる直接な刺激に白石は声を上げるが、金太郎はそんな言葉に聞く耳
を持たない。むしろ、もっともっと鳴かせてやりたいと、だんだんと刺激を強くしていく。
「んっ・・あっ・・・ぁ・・・ああっ・・・!」
「白石、おっぱい吸われて気持ちええん?」
「違っ・・・」
「違くないやろ。嘘ついたらアカンで。」
普段イタズラなどをして、白石に言われるようなことを金太郎は口にする。何だか言葉責
めをされている気分になってしまい、白石は普段以上にドキドキしてしまう。
「嘘か本当か確かめたるで!」
「待っ・・・」
白石が制止するのを無視して、金太郎はかぷっと軽くそこに噛みつき、思いきり吸う。予
想以上の刺激に白石は耐えられず、ビクビクと震え、ズボンの中で熱を握っている金太郎
の手を濡らす。
「いっ・・・ああぁっ・・・!!」
「っ!!」
まさかイクとは思っていなかったので、金太郎も驚く。ズボンの中から手を抜くと、白石
の放ったモノで手がベタベタになっていた。それを見て、金太郎を胸がドキドキし興奮す
る。
「見てや、白石の!」
「何で見せんねん!もー、金ちゃん、さっきから俺が恥ずかしいことばっかりしてくる。」
そう言いながら、白石は金太郎の手についているそれをゴシゴシとティッシュで拭き取る。
達した後の余韻と恥ずかしさで、白石の心臓はドキドキと速くなっていた。
「なあなあ、白石ぃ。」
「何や?金ちゃん。」
「早う白石ん中に入りたいんやけど、準備せなアカンやろ?今日はそれ、ワイがやっても
ええ?」
いつもはある程度白石自身が準備しているのだが、今日は金太郎がそれをしたいと言う。
それはなかなかドキドキすることだなあと思いつつ、白石は金太郎の言葉に頷く。
「ちょっとドキドキするけど、ええで。今日は金ちゃんの誕生日やしな。金ちゃんがした
いようにしてええよ。」
「おおきに!ほんなら、あのヌルヌルになるヤツ貸して。あと、ズボンとパンツ脱いどい
てな!」
そういうことをしているとは思えないテンションの金太郎に苦笑しつつも、することはそ
ういうことなので、白石の胸の高鳴りは治まらない。隠してあるローションを出してくる
と、それを金太郎に渡し、ズボンと下着を脱ぐ。
「何やいつもより恥ずかしいなあ。」
「今日は白石恥ずかしがってばっかやな。」
「こんなんしとるんやから、そうなるって。」
「これ、ぎょーさん使うた方がええんよな?」
ローションの蓋を開け、金太郎はそんなことを尋ねる。
「せやな。金ちゃんだけにさせるん初めてでドキドキするから、優しくしてや?」
「大丈夫や!いつも白石がするんちゃんと見てたからな!」
それはまたそれで恥ずかしいと、白石は真っ赤になってうつむく。そんな白石も可愛いな
あと思いながら、金太郎はローションを手に垂らし、ベッドに座っている白石の足を大き
く開かせる。
(うわー、やっぱ恥ずかしい。心臓の音、金ちゃんに聞こえてまいそうや。)
白石が激しく胸を高鳴らせていると、金太郎はローションで濡れた指を一本だけ白石の中
に入れる。
「んっ・・あっ・・・」
「もっと入りにく思っとったけど、意外とすんなり入るもんやな。」
「ま、まあ、ローション使うとるしな・・・」
「ちょっとずつほぐしていけばええんやろ?ワイ、知っとるで!」
その言葉通り、金太郎はゆっくり優しくそこを慣らしていく。普段の金太郎からは考えら
れないその手つきに白石は無駄に感じてしまう。
「ふっ・・・うぁ・・ぁんっ・・・」
「だいぶ柔らかくなってきたし、もうちょっと奥に入れてもええ?そっちの方がきっと白
石も気持ちええと思うんやけど。」
そんな金太郎の質問に白石はこくんと頷く。次の瞬間、白石の身体はビクンと跳ねた。
「あっ・・・あぁっ・・・!!」
「白石、自分ではあんまり弄らんみたいやけど、ここらへん、気持ちええんやろ?指で触
るんは初めてやけど、やっぱよさそうやん。」
「あっ・・金ちゃん、そこ、アカンっ・・・ひっ・・・んっ・・んんっ・・・」
内側の中でも特に感じやすいところを金太郎に弄られ、白石は堪えきれない声を上げる。
全く声が抑えられない状態に、白石は自分の指を噛んで、何とか大きな声が出ないように
する。
「あっ!白石、指噛んだらアカンで!」
「はっ・・・せやけど、声、抑えられんくて・・・部屋の外に、聞こえてまう・・・」
「ほんなら、ワイが口塞いどいたる。」
そう言うと、金太郎は白石の口を塞ぐようにキスをする。感じやすい場所を指で弄られな
がら、深いキスで口を塞がれる。そんな状況に、白石はビクビクとその身を震わせながら、
大きすぎる快感に呑まれていた。
「んんっ・・・んっ・・んんぅっ・・・!」
(指で弄られてるだけやのに、もうイキそうや・・・キスで口塞いでくるとか、金ちゃん
どんだけ大人やねん。)
見た目や普段の言動は年のわりには幼いことこの上ない金太郎がこんなことをしてきてい
る。そのギャップにやられ、白石はもうメロメロになっていた。しばらく、そこを弄られ
ていると与えられる快感に耐えられなくなり、金太郎の指をぎゅうぎゅうと締めつけなが
ら果てる。
「んっ・・・―――っ!!」
白石が達したことに気づき、金太郎が唇を離すと、白石は激しく呼吸を乱しながら、トロ
ンとした表情で小さく身体を痙攣させていた。あまりにエッチな白石のその様子に、金太
郎の心臓はドキンと跳ね、一気に体が熱くなる。
「白石ぃ、ワイもう我慢出来へん。挿れてもええ?」
「ハァ・・・まだ、全然落ち着いてへんのやけど・・・」
「白石ばっか気持ちようなってズルイー!」
駄々をこねるようにそう言い出す金太郎に白石は苦笑する。確かに自分ばかり気持ちよく
させてもらっている気がして、白石は金太郎の言うことももっともだと思ってしまう。
「せやな。今度は俺が金ちゃんを気持ちようさせる番や。」
「なら、挿れてもええの?」
「ああ、ええで。」
「よっしゃー!ほんなら、いくで、白石。」
白石の脚を抱え上げ、金太郎はすっかり硬くなっている自身の熱をトロトロに蕩けている
白石の中に挿れる。先程の快感が残っているそこは金太郎の熱が入り込んできた瞬間、火
がついたように熱く敏感になる。
「ふあっ・・・あんっ・・・!」
「白石の中、ぎゅうってしとる。メッチャ気持ちええ。」
「あっ・・・金ちゃん、今日、気持ちよすぎて・・・アカンかも・・・」
「今度はワイもメッチャ気持ちええから、白石もぎょーさん気持ちよくなってええで!」
自分が気持ちよくなれるように、そして、白石も気持ちよくなれるように、金太郎は中の
熱を動かす。
「ハァ・・・白石・・・」
「あっ・・あぁ・・・金ちゃっ・・・んっ・・んぁ・・・」
「白石、ホンマかわええ。ワイ、白石のそういう顔、大好きや。」
「金ちゃんっ・・・金ちゃんのこと、ぎゅってしたい・・・」
金太郎に与えられる快感に喘ぎながら、白石は蕩けたような表情でそんなことを言う。そ
んな白石が可愛らしくてたまらないと、金太郎は上半身を白石の体に重ねるように倒した。
腕の届く場所に金太郎の頭がくると、白石は包帯のない腕でその頭をかき抱く。
(あれ?何やろ?何か・・・)
白石に頭を抱き締められると、金太郎はぞくぞくと痺れるような快感が全身を駆け抜ける。
「金ちゃん・・・好き、大好きや・・・」
耳元に響く大好きな白石の声。その瞬間、白石の中にある熱がビクンと震える。
「あっ、白石・・・何や急にイキそうかも・・・」
「ホンマに?やったら、俺の中でイって・・・」
「んっ・・・白石っ・・・!!」
「ふあっ・・・金ちゃんっ・・・!」
内側の奥に熱い雫が注がれる感覚に白石も絶頂に達する。重なる上半身から伝わるお互い
の鼓動。鼓動が混じり合うような感覚に心地よさを感じながら、二人はしばらくふわふわ
した気分のまま、甘い余韻に浸っていた。
事が終わってしばらく休んだ後、二人はそろってお風呂に入る。
「白石の左手、包帯巻いてないとなんや変な感じやな。」
「はは、これがまあ普通なんやけどな。」
湯船に入りながら金太郎は、体を洗っている白石を眺めてそんなことを言う。
「なあ、白石。ちょっと左手こっちに伸ばして。」
「ん?こうでええか?」
自分に向かって伸ばされた左手に自分の右手を重ね、指を絡めるようにぎゅっと握る。
「白石の毒手なくなったし、白石と気持ちええこと出来たし、今日は最高の誕生日や!」
「金ちゃん・・・」
「来年もこんなふうに白石と過ごせたらええなぁ。」
「ええで。来年も金ちゃんの誕生日、全力で祝ったる。」
「ホンマに!?」
「ああ、約束や。」
重なっていた手を開き、白石は指切りをするように小指を立てる。パアっと花が咲いたよ
うな笑顔を浮かべ、金太郎は指切りをする。
「約束やで!白石!」
金太郎の言葉に頷くと、白石は泡を流し、金太郎のいる湯船に入った。
「なんや白石とイチャイチャして、風呂入ったら腹減ったなー。」
「ほんなら、風呂上がったら何か作るか?」
「ワイ、タコ焼き食べたい!」
「昼間、あんだけ食べたのにタコ焼きか。まあ、今日は金ちゃんの誕生日やしな。金ちゃ
んの好きなもんぎょーさん作ったるでー!」
「おおきに!白石の作るタコ焼き、メッチャ楽しみやー!」
この後も大好物のタコ焼きが食べれると、金太郎は大はしゃぎだ。中学を卒業しても、こ
んなふうに金太郎の誕生日を祝えることが嬉しくて、白石も金太郎と同じくらいの笑顔を
浮かべ、ぎゅっと金太郎のことを抱き締める。
「せや、もっかいちゃんと言っとかな。」
「何を?」
「金ちゃん、誕生日おめでとう。」
「おおきに、白石!白石の誕生日もワイがしっかり祝ったるからな!」
「はは、楽しみにしとるで。」
金太郎の誕生日から約二週間後は白石の誕生日だ。その日も二人で過ごそうと約束をして、
お風呂の中で笑い合った。
END.