日が暮れ、ある程度のことを済ませると、君島と遠野は仕事着のまま、いつもの場所に移
動する。
「誰も来やしねぇが、一応鍵はかけておくか。」
「そうですね。」
扉の鍵をかけると、二人は遠野のコレクションが置いてある建物の奥へと移動する。鉄の
処女や聖アンデレの十字架が置かれている場所のすぐそばに腰を下ろし、遠野は種ヶ島か
らもらった触手の箱を床に置く。
「君島、これにかける体液は何する?」
「一番楽そうなのは唾液ですけど・・・」
「せっかくだから、血液にしろよ。その方が雰囲気あっていいだろ?」
「そうかもしれませんが、どのように出せばいいですか?どうやっても痛みは伴うと思う
のですが。」
血液を使うとなると、どこかに傷をつけなければならない。それはなかなかに覚悟がいる
と、君島は少し不満気な顔を見せる。
「ほら、ここにいいのがあるじゃねぇか!」
楽しげな笑みを浮かべながら、遠野は鉄の処女を開ける。無数の針が並ぶそれを見て、君
島は顔をしかめる。
「冗談でしょう?」
「別にこれに入れなんて言わねぇよ。細い針の部分を使って、軽く指を刺すくらい出来る
だろ?」
「そんなことをすれば、大事な遠野くんのコレクションが汚れてしまいますよ?」
「構わねぇよ。使えるなら使ってこそだろ?それに常に手入れしてるから、汚くもねぇし。
心配なら消毒してやってもいいぜ!」
「全く仕方がないですね。」
どうやってもさせるつもりならと、君島は小さく溜め息をつき、たくさんの針の中でも比
較的細い針で、自分の指を刺す。ほんの少しチクッとはしたものの、そこまで痛みはなく、
ぷくっと指の腹に血が滲む。
「これをこれにつければいいんですかね?」
「たぶんな。」
指の先に滲んでいる血液を箱の中に入っているモノにつける。君島の血が触れた瞬間、箱
の中身は眩いほどの光を放つ。
『っ!!』
君島も遠野もその眩しさに目を閉じる。ゆっくりと目を開けると、先程までは卵のような
形状であったそれはいかにも触手といった形のものに変化していた。
「ひっ・・・こ、これはちょっと・・・」
「おー、スゲェな。」
あからさまに苦手な部類の形状に変化しているそれに、君島は後ずさる。しかし、それは
またすぐに姿を変える。
『えっ!?』
二人の目の前からそれはすーっと消える。思いきって遠野がそれに手を伸ばすと、見えな
くはなっているものの確かにそこに存在しているようであった。
「見えねぇけど、ちゃんとあるな。」
「まるで不会無ですね。」
「本人じゃねぇから更互無じゃねぇ?」
種ヶ島の透明になる能力を思い起こさせ、君島と遠野はそんなことを口にする。苦手なそ
の姿が見えなくなるのなら問題ないと、君島はホッとする。
「これなら、大丈夫そうですね。」
「お前の意思が反映されるって言ってたし、その影響があるのかもな。」
「なるほど。」
予想以上にちゃんと作られているのだなと感心していると、見えない触手が遠野に巻きつ
き、その体がふわっと宙に浮く。
「うわっ!!」
宙に浮いたような状態のまま移動させられ、遠野の体はすぐそばにある聖アンデレの十字
架に押しつけられる。別の場所から生えている触手が遠野の腕を上げ、その十字架に沿う
ような体勢にさせる。手首のあたりに細い触手が幾重にも絡みつき、遠野の体は聖アンデ
レの十字架に磔にさせられた。
「遠野くんとその後ろのX十字以外は何も見えませんが、きっと固定されてるんでしょう
ね。」
「ああ。X十字に手首を縛って磔にするとは、よく分かってるじゃねぇか。」
「おや、そんな状態になっているのに随分と余裕がありますね。」
「別にまだ磔にさせられただけだからな。」
巫女服を着たまま、聖アンデレの十字架に磔にされている遠野を見て、君島は倒錯的なそ
の美しさに心を奪われる。この後どんなことが起こるのだろうという期待感に、君島も遠
野も胸を弾ませる。そのまましばらく様子を伺っていると、巫女服の袴の裾から何本かの
触手がスルリと入り込む。
「ひゃっ・・・動き出しやがった。」
ぬるぬるとした感触が脚を這うように登ってくる感覚に、遠野は胸を高鳴らせる。袴の下
の白衣の内側で動きつつ、袴の外側でも別の触手が動く。
しゅる・・・
外側の触手は袴を脱がせようとしているようで、緋袴の腰紐がゆっくりと解けていく。触
手自体が見えないため、それは何とも不思議な光景であった。
「んあっ・・・下着が・・・」
中に入っている触手が下着を脱がしているようで、遠野は腰をくねらせながらそう呟く。
紐が全て解かれると、遠野の穿いていた緋袴はふわりと床に落ちる。それと同時に白衣の
中から下着が落ちた。
「何も見えないのに、だんだんと脱がされていく様はなんとも言えないですね。」
「見えはしねぇけど、結構ガチな触手っぽいぜ。動きとか感触とか。」
「それはそれは。本当見えていなくて助かりました。遠野くんは存分に楽しむといいです
よ。」
「ああ。お前も少しは関われよ。」
「ええ。」
そんな会話をしている間にも触手は動き続け、遠野が着ていた白衣の紐も解かれ、艶めい
た肌が露わになる。ゆっくりと脚が開かされ、手首と同じように、聖アンデレの十字架の
下側に足首が細い触手で固定される。
「ハァ・・・完全に磔にされちまったぜ。」
「はだけた白衣に足袋だけ残って、とても魅力的な格好ですね。」
「何だ?興奮してるのか?」
からかうようにニヤリとしながら、遠野はそう尋ねる。
「さあ、どうでしょうね。」
同じように口元を緩ませながら、君島は答える。余裕そうに見えるが、遠野の顔は袴と同
じように緋色に染まり、拘束されている興奮と期待感から鼓動はひどく速くなっていた。
軽く呼吸を乱しながら、何をされるのか待っていると、脚を這っていた触手がだんだんと
上へと移動しているのを感じる。
「んあっ・・・ああっ・・・!」
蛇のような触手で肌を撫でられ、遠野は声を上げる。ヌルヌルとした感触が胸のあたりを
這いまわり、勃ちかけている突起に一瞬触れたかと思うと、その感触は一気に別のものに
変わる。
ゾクゾクゾク!!
「ひああぁぁんっ!!」
突起に触れるとその触手は形を変え、柔毛のような無数の細かい突起で遠野の胸の飾りを
包み込むように覆い、激しくその突起を動かす。しかし、遠野にも君島にもその姿は見え
ていなかった。
「あんっ・・・こんなの・・・ダメだっ・・・!!」
「遠野くんがとても気持ちよさそうなのは分かるのですが、何をされているのか分からな
いですね。何をされているんです?」
「乳首・・・スゲェ細かい突起みたいなので擦られて・・・あっ・・・ぎゅうって抓まれ
て・・・んんっ・・・気持ちい・・・」
自分が何をされているかを素直に口にする遠野に、君島はゾクゾクしてしまう。触手が見
えないのをいいことに遠野の口から説明させるのはありだと、君島の口元は緩む。もちろ
ん遠野も触手自体は見えていないので、何をされているかは完全に遠野の主観だ。
「確かに遠野くんの胸の突起、ビクビクしていますね。本来隠れて見えないはずのものが
透明がゆえに見れるのはいいですね。」
「ひあぁっ・・・コレ、マジでヤバイっ・・・あっ・・・こんなのすぐに・・・」
あまりに強い快感に、遠野はその身をビクビクと震わせる。しかし、かなりしっかりと手
首と足首は固定されているようで、そこから落ちそうになったり、倒れてしまいそうにな
ったりはしなかった。
「ああぁんっ・・・君島っ・・・もう耐えらんねぇ!!イクっ!!」
絶え間なく続く胸の突起への刺激に遠野は達する。熱の先から放たれる蜜は、一瞬見えた
後、すぐに見えなくなる。
「遠野くんの脚の間あたりにも触手があるようですね。」
それはきっと触手が飲み込んだからだと考え、君島はそんなことを言う。
「ハァ、ハァ・・・脚の間・・・?」
達した余韻に呼吸を乱しながら、遠野は視線を下げ、脚の間を見る。しかし、今目の前に
ある触手は透明であるがゆえに何も見えない。と、次の瞬間、遠野の熱はパクっと何かに
咥えられるかのように包まれる。
「んあっ・・・あんっ・・・」
「どうしたんですか?」
「俺の・・・たぶん触手に咥えられてる・・・君島の言った通り、そこらへんにあるヤツ
に。」
「そうなんですね。私には今にも蜜が溢れそうな遠野くんのモノしか見えないですけど。」
見えなくともそこに触手があるのは分かっているので、遠野に近づきすぎないようにしな
がら、君島は遠野を眺める。今度はどんな反応を見せてくれるのだろうと、君島はワクワ
クしながら遠野の顔に視線を移した。
「ふあっ・・・」
遠野の熱を咥えている触手が動き出したようで、遠野はピクンとその身を震わせる。しか
し、胸を弄られていたときとは異なり、激しい反応は見せない。
「んっ・・・ぅ・・・」
「今は何をされてるんですか?」
「何か、スゲェゆっくり・・・舌で舐められてるみたいな?そんなに強い刺激じゃねぇん
だけど・・・ずっと気持ちいい・・・」
ヌルヌルとした内側で遠野の熱は非常にゆっくりと擦られる。その刺激は決して強くはな
いが、確実に気持ちよさが高まっていくような刺激であった。
「ハァ・・・あんっ・・・」
大きな反応は見せないものの、遠野の表情は非常に蕩けたものになり、艶美さが溢れる。
「先程とだいぶ雰囲気は違いますが、これはこれで気持ちよさそうですね。」
「んっ・・・スゲェ気持ちいい・・・」
「今の遠野くんの顔、とても艶やかで好きですよ。」
君島の好きという言葉聞いて、遠野は素直に反応してしまう。下肢をビクビクと震わせ達
するものの、それは実に穏やかな絶頂で、達した後も蕩けるような気持ちよさは残ってい
た。
「んっ・・・んんっ・・・!」
一度達しても触手はその動きを止めることなく、ゆっくりと動き続ける。全身が蕩けてし
まいそうな甘い甘い心地よさを遠野は存分に享受する。何度か緩やかな絶頂を迎えた後、
その触手は遠野から離れ、それと同時に聖アンデレの十字架からも解放された。
「あっ・・・」
「どうやら磔は終わったようですね。」
「ああ。だが、まだ終わらねぇみたいだぜ。」
十字架からは解放されたものの、遠野の体には触手が巻きついていた。遠野の体に残って
いる白衣と足袋が邪魔だと言わんばかりに、見えない触手はそれらを取り去る。
「おや、ついに全部脱がされてしまいましたね。」
「お前の好きな格好じゃなくなって残念だったな。」
「いえ、何も身に着けていない遠野くんも非常に魅力的だと思っていますよ。」
全裸にされても余裕の表情を浮かべる遠野に、妖しげな笑みを浮かべて君島はそう返す。
君島のこういう表情も好きだなと思っていると、遠野はうつ伏せに近い形で触手に持ち上
げられ、筒状の何かに足の先からゆっくりと呑み込まれる。当然その筒状のモノは触手が
形を変えたもので、丸呑みに近い状態で先程の続きをするためにそのような形になってい
た。
「くっ・・・う・・・何だ?」
足の先からだんだんと何かに包まれ、じんわりと締めつけられる感覚に遠野は身を捩ろう
とする。しかし、ほとんど身動きがとれないまま、肩あたりまで呑み込まれ、それは叶わ
なった。
「今度はどうなっているんです?随分窮屈そうな体勢ですが。」
形が変わったとは言えども、透明であることには変わりはないので、君島から見れば、遠
野が今どのような状態になっているのか分かりようがなかった。
「何つーか、デカい口で足から丸呑みされてるみてぇな・・・」
自分の身に起こっていることを説明しようとそう口にすると、遠野の脳裏に姦姦蛇螺にな
る前の記憶が蘇り、どうしようもないほどの恐怖感と絶望感がわき上がる。大蛇に下半身
を喰われ、それでもどうにかしようとした途端、両腕を切り落とされ見捨てられる。今の
状態がその時の感覚と酷似していることから、その記憶が鮮明に蘇り、遠野は混乱して泣
き叫ぶ。
「うわああぁぁっ!!」
「と、遠野くん!?」
「嫌だっ!!足が・・・腕が・・・ああぁっ!!」
ボロボロと大粒の涙を流しながら泣き叫ぶ遠野に君島は困惑する。しかし、君島が感じて
いたのは困惑だけではなかった。君島が遠野と出会った時点では既に怪異となっていたた
め、どこか人とは違う雰囲気が漂っていた。当然こんなにも負の感情をあらわにして泣き
叫ぶところなど見たことがなかった。それゆえ、今目の前で泣き叫ぶ遠野に君島はどうし
ようもなく興奮してしまう。
(こんな遠野くん見たことがない。どうしよう、この顔、すごくゾクゾクする。ああ、で
も、落ち着かせてあげないと・・・)
遠野の言葉から君島は姦姦蛇螺になったきっかけのことを思い出してこのような状態にな
っているのだろうと、すぐに気がつく。涙で濡れる遠野の顔に両手で触れると、自分に視
線を向けさせるようにし、なるべく落ち着いた口調で君島は遠野に語りかける。
「大丈夫です。これはあのときの大蛇じゃない。足も腕もちゃんとあります。今からされ
ることは、私にされていると思ってください。それなら怖くないでしょう?」
「あっ・・・君島・・・」
君島のことを認識し、遠野は少し落ち着きを取り戻す。優しい語り口調ではあったが、君
島のその顔には艶笑が浮かび、呼吸は荒くなっていた。明らかに興奮していることに気づ
き、遠野は冷静さを取り戻しつつ、胸の奥がきゅんきゅんと疼くのを感じる。
(そうだ、触手使って君島としてたんだ。)
そのことを思い出した瞬間、全身を包んでいるそれが内側に無数の触手を出し、遠野の肌
を嬲り始める。下半身と腕が存在することを強調するかのように、その部分は特に丁寧に
撫でられる。
「ひあっ・・・あぁんっ・・・!!」
「落ち着いたようですね。」
先程と同じような反応をし始めた遠野を見て、君島はほんの少し残念に思いながらもホッ
とする。そんな君島に遠野はあることを頼む。
「君島・・・」
「何ですか?」
「君島ので・・・俺の口を犯してくれ・・・」
「えっ!?」
「触手にされるのもスゲェ気持ちいいけど・・・やっぱりもっと、君島としてる感が欲し
くて・・・」
「遠野くん・・・」
触手に犯されている遠野を眺めるのもよいのだが、先程のこともあり、もう少し自分も遠
野に触れたいと思っていた。そんなタイミングでの遠野のおねだりは、願ってもない申し
出であった。
「いいですよ。私も見ているだけでは少し物足りないと思っていたので。」
そう言いながら、君島は袴の紐を解く。袴がパサっと床に落ちると、そのまま白衣の紐も
解き、既に十分な大きさになっている熱を外に出す。
(やっぱ、君島のスゲェ・・・)
ぐぐ・・・
君島が自身の熱を露わにすると、遠野の身体を覆っている触手が動き、遠野の頭がちょう
どその位置になる。これからすることを理解しているようなその動きに君島も遠野も感心
する。
「随分協力的ですね。」
「そうだな。さすがお前の意思を反映してるだけあるぜ。」
「まあ、私には何も見えないんですけどね。」
遠野は身体に触れているため、触手を知覚出来ているが、君島は遠野の反応でしかそれを
確認出来ない。しかし、それはにょろにょろしたものが苦手な君島にとってはそれが非常
に都合が良かった。
「なあ、君島・・・」
触手でゆっくりと全身を嬲られ、目の前に君島のモノがある状態に遠野は我慢出来なくな
る。早く口の中にそれを挿れて欲しいと、遠野は口を大きく開け、軽く舌を出す。
「少し激しめにしてもよいかな?」
「ああ。触手に負けねぇくらい激しくしてくれ。」
素直に自分を求めてくれている遠野に興奮しながら、君島は大きく開かれた口に自身を捩
じ込む。
「んぐっ・・・んうっ・・・!!」
「んっ・・・」
敏感な粘膜同士が触れ合う感触に、どちらもビクッとその身を震わせる。今までただ見て
いるだけだったこともあり、直接な刺激を受け、君島はよりその快感を味わいたいと遠野
の口を存分に堪能する。
「ぐっ・・・んんぅ・・・!」
「ハァ・・・遠野くん・・・」
思ったより激しく君島がしてくれるので、遠野の身体は一突きされるたびに、ビクンっと
跳ねる。そんな遠野の反応を察知して、触手の動きも激しくなる。
(口ん中、君島でいっぱいで気持ちイイ・・・ああ、どうせなら中も・・・)
快感に溺れながらそんなことを考えていると、そんな希望を叶えるかのように遠野の下の
口にもそれなりの大きさの触手が入り込む。
「んあああぁっ!!」
そんな甘い悲鳴と遠野の腰がビクビクと震えていることから、遠野の中に触手が挿入され
たことに君島も気づく。
「下の方にも挿れられてしまったんですか?それなら、協力してもっと遠野くんを気持ち
よくさせてあげないとですね。」
煽情的に笑いながら、君島はより深く遠野の口内を犯す。そんな君島の動きに合わせるか
のように、中に入っている触手もピストンを繰り返す。
「んあっ・・・んんんっ・・・んぐっ・・・!!」
「とても気持ちいいですよ、遠野くん。舌も口の中もビクビクと震えていて。」
「んんんっ!!」
君島の声が耳に心地よく響き、遠野は身体だけでなく心も気持ちよくなるのを感じる。
(身体全部撫でられて、上も下もこんなに激しく擦られて・・・気持ちよくてたまんねぇ。)
丸呑みされている感覚が、トラウマの所為で先程まではパニックになるほど怖くてたまら
なかったが、君島のおかげでそれは非常に心地よく多幸感さえも感じるものに変わる。
「遠野くんも気持ちよさそうですね。」
ビクビクと震え、先程の名残りで目に涙を浮かべながらも、非常に蕩けたような表情にな
っている遠野を見て、君島は嬉しそうにそう呟く。もう少し遠野の顔をよく見たいと、君
島は遠野の艷やかな髪を掴み、少し上を向かせる。
(ああ、たまらない。)
遠野の濡れた瞳に見つめられ、君島はゾクゾクと腰が甘く痺れるのを感じる。早く遠野の
口の中に自分のモノを放ちたいと、より激しく遠野の口内を穿つ。
「うっ・・・んんっ・・・ん、んっ・・・んぐっ・・・!!」
「ハァ・・・遠野くん!イッてしまいます!!」
君島の動きに連動するように、下から中に入っている触手もピストンのスピードが速くな
る。喉の奥に熱い雫が放たれると、それを飲み込みながら遠野も達する。
「んん・・・んん――っ!!」
(君島のが体の中に入ってくるこの感じ、やっぱ最高だな。)
遠野にとって君島の蜜は力を回復させる作用があるので、ただ興奮するからという理由だ
けでなく、君島のモノを飲み込むことは遠野にとって意味があった。君島の熱が遠野の口
からずるりと抜けると、触手の方も遠野の身体を解放する。
「あっ・・・ハァ、ハァ・・・」
「大丈夫ですか?」
「ああ。君島の飲んだおかげで、ちょっと体力も回復したしな。」
倒れている身体を起こそうとすると、再び触手らしい触手に変化したそれに上半身を押さ
えられ、腕を背中で固定されるように拘束される。逆に腰は高く押し上げられ、ある程度
足を開いたような状態で、膝をつくような体勢にさせられる。
「くっ・・・んっ・・・」
「随分とやらしい格好になっていますね。」
「触手に無理矢理させられてんだよ。」
「そうでしょうね。遠野くんのココ、物欲しそうにひくひくしていますよ。」
「やっ・・・そんなとこ、見てんじゃねぇよ!」
挿れる場所が丸見えの状態に、君島は早く遠野と繋がりたくなってしまう。目の前ある遠
野の双丘を優しく撫でると、そのことを伝える。
「ふあっ・・・あんっ・・・!」
「こんなにも御膳立てされていたら我慢出来ません。挿れてもいいですか?」
「ああ。俺も君島の欲しい。」
君島の言葉にゾクゾクしながら遠野は答える。遠野の腰をしっかりと捉えると、君島は物
欲しそうなその入口に自身の熱を押しつける。
「あっ・・・」
繋がることへの期待感に遠野はビクッと腰を震わせる。そんな遠野の反応を愛おしく思い
ながら、君島は一気に遠野の中へ自身を挿入した。
「あああぁんっ!!」
「んんっ・・・」
「んあっ・・・君島ぁ・・・」
「先程まで触手が入っていたからか、遠野くんの中、すごくぬるぬるしていますよ?」
触手の粘液で十分に濡れている遠野の中を君島はゆっくりと擦る。
「んっ・・・おかげで・・・すぐ気持ちいいだろ?」
「確かにそうですね。でも、遠野くんの中はいつでも気持ちいいですよ?」
「フッ、言ってくれるじゃねぇか。」
そんな君島の言葉にときめき、遠野は嬉しそうな声色でそんなことを言う。しばらくゆっ
くりと遠野の内側を責めていた君島であったが、動きやすくなっていることもあり、少し
物足りなさを感じ始める。それは遠野も同じであった。
「な、なあ・・・君島・・・」
「ハァ・・・何です・・・?」
「もっと・・・激しく突いて欲しい・・・」
「奇遇ですね。私もそうしたいと思っていました。」
どちらもそうしたいと思っているならと、君島は気兼ねなく遠野の中を激しく突く。一気
に高まる快感にどちらも身体が悦んでいるのを感じる。
「ああっ・・・あああぁんっ!!」
「ああ、この方がいいですね。」
「君島のが・・・奥まで届いてるっ・・・!!」
「ええ。根本まで遠野くんに包まれている感覚がたまらないです。」
「んあぁんっ・・・君島・・・もっと・・・」
「いいですよ。遠野くんのいいところ、存分に擦ってあげます。」
どちらも相手が与えてくれる快感を貪るように腰を動かす。次第に高まっていく絶頂感に
甘い声と荒い呼吸音が響く。
「んああっ・・・ああぁんっ・・・君島ぁ・・・ひゃああっ・・・!!」
「ハァ、ハァ・・・遠野くんっ・・・!!」
「気持ちいいっ!!もう・・・イクっ・・・!!」
「私も・・・んんっ・・・ああっ・・・!!」
触手の存在などすっかり忘れ、二人だけの世界で君島も遠野もこの上ない心地よさを感じ
ながら果てる。ドクドクと奥の奥に熱い雫が注がれ、君島と繋がっている多幸感に遠野は
目を閉じる。君島も遠野の中の熱さを堪能しながら、しばらくその余韻に浸った。二人が
満足していることを感じ取り、透明な触手は元の卵のような形に戻り、遠野の横にコロン
と転がった。
事が終わると、二人は白衣だけを着直し、壁に寄りかかりながら身体を休める。
「触手のせいで全身ぬるぬるだったんだけどよ、終わったらそれがなくなって、むしろ、
風呂上がりみたいにサッパリした感じになってんだよ。」
「それはすごいですね。どのような仕組みかは分かりませんが、種ヶ島くんが作ったもの
ですし、どういう効果があってもそこまでは驚かないですね。」
「はは、確かにな。」
している間は全身粘液で濡れている感じがあったので、終わったら風呂に入らなければい
けないなあと考えていた遠野であったが、今話している通り、それが必要ないような状態
になっているので、ゆっくり休めてよいと思っていた。
「私のせいか、種ヶ島くんのせいか分かりませんが、触手は透明になっていたじゃないで
すか。その姿が見えないのは遠野くん的に物足りなかったのでは?」
「そんなことないぜ。見えなくても存分に触手にされてる感はあったし。むしろ、見えな
いことで次にどこをどうされるか全く予想出来なくて、スゲェドキドキした。」
もともと触手に非常に興味があるようだったので、遠野にとっては物足りなかったのでは
と心配する君島であったが、遠野は楽しげな様子で否定する。それならよかったと安心し
ていると、遠野は更に言葉を続ける。
「それに透明だったおかげで、君島がずっと付き合ってくれて最後まで出来たしな。やっ
ぱ、一人でするよりは君島とした方が何倍もいいし。」
嬉しそうに笑いながらそんなことを言ってくる遠野に、君島はキュンとしてしまう。
「私も今回は触手のおかげで、遠野くんのいろいろな姿や表情が見れたので、悪くなかっ
たと思いますよ。触手に犯されている遠野くんはとても魅力的でしたし。」
あまりにも素直に君島が嬉しくなるような感想を述べてくるので、遠野は恥ずかしくなっ
てしまう。
「ま、まあ、お前も楽しめたのならよかったんじゃねぇ?」
君島から目を逸らし、顔を赤らめながら遠野はそう返す。そして、少しの間をおいた後、
うかがうように君島に尋ねる。
「なあ、もし、またしたいって言ったら付き合ってくれるか?」
「ええ。今回のような遠野くんが見れるのであれば、大歓迎です。もちろん触手の姿は見
えなくなるというのが条件ですけどね。」
君島のその言葉を聞いて、遠野の顔はパアッと笑顔になる。その顔はずるいと、君島はそ
っぽを向きながら、すぐ隣にある遠野の手に自分の手を重ねる。
「っ!!」
君島の手が触れたことに驚いたような表情を見せる遠野だが、すぐに悪戯っ子のような表
情になり、ポスンと君島の肩に頭を預ける。
「何ですか?」
「んー、何かくっつきたくなってよ。」
君島が手を重ねてきていることには触れずに、遠野はそう答える。
「仕方がないですね。」
そう言いながら、君島はぎゅっと遠野の手を握る。先程とは全く異なる甘く穏やかな触れ
合いに、二人の胸はキュンキュンとときめく。
(ヤバイな。顔がニヤけちまう。)
(ああ、今日は好きだと思う気持ちが抑えられない。)
どちらも相手のことが好きだという気持ちでいっぱいになり、この穏やかな時間がこの上
なく幸せだと感じる。もうしばらくこうしていたいと思いながら、二人はふっと口元を緩
ませた。
END.