日が沈んでしばらく経った時分に、遠野は自身のコレクションが置いてある建物の中で、
コレクションの手入れをしていた。手入れも終え、一息つこうとしたした瞬間、ゾクッと
身体が疼く。
(何だ?急にムラムラしやがる。)
とりあえず無視しようと思った遠野であるが、だんだんとそういう気分が強くなる。
(本当は君島に相手をしてもらいたいところだが、今日は処刑もしてねぇし、用がなきゃ
君島はここには来ねぇからな。仕方ねぇ、自分でするか。)
ムラムラする気分が治まりそうにもないので、遠野は自分でしようと考える。ここには自
分しかいないので、ある程度脱いでしまおうと、下に穿いているものを脱ぎ、上に着てい
たシャツもボタンを開けはだけさせる。
「ハァ・・・んっ・・・」
そこに触ろうとしたその瞬間、それなりの勢いで閉じていた扉が開く。
「っ!?」
開いた扉の前に立っていたのは君島であった。建物の中に入ると、君島は扉を閉め、内側
から鍵をかける。
「えっ、あっ・・・君島?」
「何をしようとしてるんですか?遠野くん。」
遠野の前まで移動すると、君島はどこか発情しているような様子でそう尋ねる。
「い、いや、何かすげぇムラムラするから、ちょっと自分でヌいておこうかと思って。ま
さか君島がココに来るとは思ってなかったからよ。」
「それならちょうどよかった。」
「は?」
「私も何故だかさっきからそういう気分なんですよね。本当耐えられないくらい。」
その言葉通り、君島の顔は普段では考えられないくらい余裕がなく、呼吸も若干乱れてい
る。正直これは都合がいいと、遠野は妖しく笑いながら君島を誘う。
「だったら、しようぜ。君島がいいなら、俺もしたいし。」
「ええ。」
もともと遠野としたくてここにやってきたのだ。遠野の誘いに君島が応じないわけがなか
った。
「だいぶ余裕ねぇみたいだし、まずはお前のからヌいてやるよ。」
ペロリと自分の唇を舐めると、遠野は君島のズボンに手をかける。下着ごと少し下ろすと、
蜜が溢れんばかりに大きくなっている君島の熱に触れ、ゆっくりと擦り出す。
「んんっ・・・!」
「もうガチガチじゃねぇか。いつもより感じやすいみてぇだし。」
処刑処刑と言っていたり、乱暴に見える遠野であるが、手先は非常に器用であった。そん
な手先の器用さを駆使し、遠野は君島の熱に絶妙な刺激を与える。
「ハァ・・・んっ・・・!」
「どうだ?気持ちいイイだろ?」
「ええ。とても気持ちいいです・・・」
「正直でいいじゃねぇか。それなら・・・」
もっと悦くしてやろうと、遠野はより細やかに指や手を動かす。感じる部分を一番ちょう
どいい力加減で弄られ、君島の快感は加速度的に高まっていく。
「くっ・・・遠野くんっ・・・あっ!」
「ふっ、もうイっちまいそうだなぁ?」
ビクビクと下肢を震わせる君島に、遠野は嬉しそうに笑いながらそう口にする。
(ああ、このままこの前みたいにぶっかけて欲しい。何ならもっとたくさん・・・)
君島の熱に触れながら、遠野の中にそんな欲求が生まれる。
「君島。」
「ハァ・・・何ですか?」
「お前のココに入ってるヤツ、俺のこのあたりに出せよ。この間みたいに。」
「っ!!」
君島の蜜が詰まっている袋に優しく触れながら、遠野はすっと自分の胸から下腹部に手を
滑らせ、そう伝える。遠野の言わんとしていることを理解し、君島はゾクっとしてしまう。
君島が反応したことを見逃さず、遠野は自分の上半身にそれがかかるように手を動かす。
「うあっ・・・遠野くんっ!!イクっ!!」
君島の放った蜜は遠野の胸や腹にかかる。もう少し下にもかけて欲しいと、少し自身の身
体を上げ、そこにかかるように君島の熱を擦る。
「んああぁっ!!」
「今日はいつもよりたくさん出るじゃねぇか。胸もコレもお前の精液まみれだぜ?」
「ハァ・・・ハァ・・・」
君島の放った蜜を指先で掬い、遠野は恍惚とした表情でそんなことを言う。そんな遠野の
姿と言葉に君島は興奮してしまう。
「こんなに出したのにまだ治まってねぇみてぇだな。」
身体が熱くなってきているため、遠野はシャツを脱いでしまい、両手で君島の熱に触れ、
ちゅっと口づける。
「ああっ・・・!」
敏感になっているそこに口づけられ、君島は素直に反応してしまう。
(こんなにかけてもらったし、この前みてぇに・・・)
君島の蜜の香りにドキドキしながら、遠野はあることをしたいと思い至る。ただそれは君
島は嫌がる可能性があるので、始める前にあることを頼む。
「君島、今からコレ口でしてやるからよ、その間ちょっと目閉じてろ。」
「な、何故ですか?」
「目開けたら後悔するからな。」
「何をしようとしてるんですか?遠野くん。」
後悔するとはどういうことかと、君島は少し不安になる。あまり詳しいことは言えないと、
遠野はパクっと君島の熱を口に含む。
「ああっ・・・!!」
とりあえず素直に従っておこうと、君島はぎゅっと目を閉じる。君島の熱を舐めながら、
君島が目を瞑ったことを確認すると、遠野はこっそりその姿を変化させる。
(これならいっぺんに全部弄れるからな。下は人のままだけど、さすがにこの姿は君島は
嫌だろうし。)
今の遠野の姿は上半身だけを姦姦蛇螺の姿に変化させた状態だ。即ち、基本は人の姿なの
だが、腕が六本ある状態になっている。
「んむっ・・・んんっ・・・」
君島の熱を咥えながら、遠野は真ん中にある二本の腕を使って胸を弄り、下にある腕で片
方は自身の熱を擦り、もう片方で後ろの蕾を弄り出す。
「あっ・・・はぁん・・・んんっ・・・んっ・・・!」
(君島の塗ってるからか、いつもよりどこもかしこも気持ちイイ。この状態で、君島のを
飲ませてもらえたら、すぐにイッちまうかも。)
かけてもらった君島の蜜を敏感な場所に塗りたくり、遠野はそんなことを考えながら、そ
れぞれの手を動かす。口の中がビクビクと震えることや口を離したときに漏れる艶めかし
い声を聞いて、君島は遠野が何をしているのか気になってしまう。
(遠野くん、何をしてるんだ?目を閉じてないと後悔するって言ってたけど気になる。)
「んっ・・・遠野くんっ・・・」
「はぁ・・・君島ぁ・・・あんっ・・・気持ちイイっ・・・」
口でしているだけとは思えない遠野の言葉に、君島は意を決してそっと目を開けてみる。
そこには、蠱惑的な表情で熱に舌を這わせながら、人ではあり得ない数の腕と手を使って、
ひとり悦びに近しいことをしている遠野の姿があった。その姿に嫌悪感よりも激しい性的
興奮を感じてしまい、遠野の口淫の刺激もあいまって君島は達してしまう。
「――――っ!!」
「んんっ・・・んん――っ!!」
前回は君島が無理矢理はがしたせいで飲むことが出来なかったので、今回は少しも零すま
いと遠野は放たれる蜜をしっかりとその口で受け止める。自分で弄っていたこともあり、
君島の出したモノを飲み込みながら遠野も達した。
「ハァ、ハァ・・・目開けるなって言ったのに、開けやがったな?」
君島が目を開いた瞬間、しっかり目が合ったので遠野は苦笑しながらそんなことを言う。
既に人の姿には戻っているが、君島の脳裏には先程見た遠野の姿がこびりついて離れなか
った。
「ハァ・・・まさかあんなことをしてるとは思いませんでした。」
「お前、あの姿嫌いじゃねーか。だから、見ねぇようにと思って忠告したのによ。」
「いえ、私が苦手なのは蛇の方ですので。・・・正直、あの姿はとても興奮しました。」
確かに達したのは目を開けた直後だったことを思い出し、その言葉に嘘はなさそうだと遠
野のはふっと笑う。
「アレ見て興奮するって、変態だろ。」
「それは遠野くんの方でしょう?私のを咥えながら、一人遊びのようなことをして。」
「けど、メッチャ気持ちよかったぜ?お前にかけてもらったの使って、スゲェ興奮したし。」
「本当、呆れるくらい正直ですね。」
遠野の言葉に苦笑しながら、君島は遠野と目線を合わせるように腰を下ろす。
「どういうわけか、まだまだそういう気分が治まらないんですよね。先程後ろの方も弄っ
ていたようなので、もう準備は出来ていますよね?」
「そうだな。俺もまだまだやりてぇし、君島の挿れて欲しい。」
「いいですよ。体位はどうします?」
「後ろからがいい。」
そう答えると遠野は自ら四つん這いになり、君島に白い双丘を向ける。そんなことをされ
ては我慢出来ないと、君島は遠野の腰を掴み、まだ硬さを失っていない楔を遠野の中に挿
入する。
「あああぁんっ!!」
「んっ・・ああっ・・・!!」
繋がるのはいつも通りであるが、そこで感じる快感はいつもの数倍大きなものであった。
挿れた直後とは思えないその快感に、どちらも困惑しつつ身体が悦んでいるのを感じる。
「何か今日っ・・・メチャクチャイイっ・・・!!」
「同感です・・・いつもよりすごく・・・気持ちいいです・・・」
「君島・・・早く動いてくれ・・・」
「ええ・・・」
より気持ちよくなりたいと、どちらも腰を動かす。敏感な粘膜が擦れ合い、蕩けるような
快感が絶え間なく生まれる。
「んあっ・・・あんっ・・・ああぁっ・・・!!」
「ハァ・・・んっ・・・!!」
「スゲェ・・・気持ちよすぎる!!あんっ・・・君島っ!!」
「と、遠野くんっ・・・!!」
どちらも激しく息を乱し、お互いの身体で得られる快感を貪る。いつもとは異なる刺激的
な快感のため、達するまでそれほど時間はかからなかった。
「あっ・・・あんっ・・・君島っ・・・俺、もう・・・イクっ・・・!!」
「私も・・・くっ・・・あっ・・・!!」
ビクビクと下肢を震わせながら、どちらも激しく達する。達した余韻に浸りながらも、二
人はまだ満たされていないという気分でいっぱいになる。
(気持ちよかった・・・けど、足りねぇ・・・)
(今日はもっと遠野くんとしたい・・・)
「まだ終わらせたくないです。」
「ああ。俺ももっと・・・君島が欲しい・・・」
「交渉成立ですね。」
「フッ、そうだな。」
そんな会話を交わし、どちらも再びお互いの身体を求めるように動き出す。一度中イキを
したこともあり、遠野はかなりイキやすくなっていた。
「あっ・・・ああぁんっ・・・やっ・・・またっ・・・」
「ふふ、感じやすくなっている遠野くん、可愛いですね。」
「イクっ・・・イクっ・・・!!あっ・・・ああぁんっ!!」
ビクビクと全身を痙攣させ、遠野は再度達する。挿入するまでに何度か達していたことも
あり、かなりの気持ちよさを感じているものの君島はそこまでではなかった。
「イッている遠野くんの中、最高です。」
「ハァ・・・あっ・・・君島ぁ・・・」
「もっと可愛い姿たくさん見せてください。」
妖しい笑みを浮かべながら、君島は達したばかりの遠野の中を容赦なく突く。敏感になっ
ている身体にその刺激は強すぎて、遠野はまたすぐに絶頂の高みへと押し上げられる。
「ひあっ・・・ダメだ・・・そんなにされたらぁ・・・―――っ!!」
「遠野くんの中、ずっとヒクヒクビクビクしてますよ?」
「あああぁんっ!!き、君島っ・・・やんっ・・・またっ・・・ああぁっ!!」
かなり短いスパンで達する遠野に君島の気分は高揚する。そんな遠野の様子を存分に堪能
すると、君島自身もイキそうになる。
「ハァ・・・私もまた、イキそうです・・・」
「んっ・・・君島ぁ・・・」
(ああ、何だか無性に遠野くんに噛みつきたい・・・)
達する直前に君島の中にそんな欲求が生まれる。遠野の背中に覆いかぶさり、肩の横に手
をつくと、君島は遠野の耳元で想いを囁く。
「私、遠野くんのこと、実は好きですよ。」
「っ!!」
「だから、こうしても許してくださいね。」
そう言いながら、君島は遠野の奥を突きながら、遠野の肩に噛みつく。噛みつかれた痛み
より中を突かれた快感の方が圧倒的に上回り、むしろ、痛みが快感に変換され、遠野はも
う何度目か分からない絶頂を迎える。
「いっ・・・あああぁっ!!」
「んっ・・・!!」
自分の中に君島の種が放たれる感覚に遠野は気を失いそうなほどの多幸感を感じる。しか
し、例のチョコレートの効果で気を失うようなことは全くなく、むしろ、まだ続けられる
と思えるほどの感覚になる。
「君島・・・」
「ハァ・・・何です?」
「まだ・・・してぇ。」
「今日は本当したがりですねぇ。いいですよ、遠野くんが満足するまでしてあげます。」
あれだけ達しているのにその言葉はすごいと感心しながら、君島は遠野の言葉に頷く。媚
薬の効果が切れるまで、君島と遠野は心ゆくまで交わり続けた。
長いまぐわいが終わると、軽く床などを掃除した後、二人そろって入浴することにした。
先に体を洗い終えた遠野は湯船に入り、体を洗っている君島に話しかける。
「今日は俺もお前もちょっとおかしかったよな?」
「そうですね。あれだけしたのに、何故だか体は軽いですし。」
「ちょっと考えてみたんだけどよ、昼間食べたチョコレートのせいじゃねぇか?種ヶ島と
大曲が持ってきたやつ。」
「あー・・・」
種ヶ島が夢魔であることを考えると、その可能性は大いにありえると、君島は納得する。
「今度会ったときに抗議しておかないとですね。」
「本当処刑案件だよな!」
「でも、まあ・・・」
「ああ?何だよ?」
「今日のは、なかなか刺激的で悪くなかったと思いますよ。」
まさか君島がそんなことを言ってくれるとは思っていなかったので、遠野の顔はパアっと
明るくなり、嬉しそうな声色で君島の言葉に同意する。
「だよなあ!俺も今日のはスゲェよかったと思うぜ!ただ、そのせいで俺の肩と首はお前
の噛み傷だらけになったけどな!」
「それは・・・あのチョコレートのせいということで。」
誤魔化すような口調で君島はそんなことを口にする。別にそれを気にしていない遠野はそ
の言葉を聞いて楽しげに笑う。刺激的な夜を越えた夜更け。温かい湯船の中で、二人はも
うしばらく二人きりの時間を楽しんだ。
END.