あやかし達の粋美な日常 〜君篤〜

楽しかったハロウィンパーティーの数日後、君島はとある気持ちを持て余していた。
(遠野くんの本当の姿に触れたい・・・)
ハロウィンのパーティーのときに幻惑の魔法をかけられて触れた遠野の蛇の肌の感触が忘
れられず、君島はそんな欲求に苛まれる。遠野を封印から解放する際、本当の姿はあまり
好きではないと言ってしまった手前、遠野に直接頼むのには少し抵抗があった。しかし、
そんな抵抗感を上回るくらいに遠野の本当の姿に触れたい気持ちは高まっていた。
「とりあえず、遠野くんのところに行ってみますか。」
自分の気持ちに納得はいっていないものの、君島は遠野のいる小屋へ向かう。神社の敷地
の奥にある遠野のいる場所に移動すると、君島はゆっくりと扉を開ける。
「ん?君島?」
コレクションの処刑具のレプリカの横に腰を下ろし、遠野は本を読みながらくつろいでい
た。
「少しお邪魔してもいいですか?」
「ああ。別に構わねーけどよ。」
君島が来たならと、遠野は本を閉じ、君島の方を向く。
「今日は処刑もしてねーし、まだ余裕はあるけど、そういうことか?」
君島がこの場所に来るのはそういう目的であることが多いので、遠野は口元に笑みを浮か
べながらそう尋ねる。そんな遠野の問いに君島は少し気まずそうな雰囲気を醸し出しなが
ら答える。
「半分正解で、半分不正解です。」
「はあ?どういうことだよ?」
「こんな気持ちになって、私自身非常に戸惑っているんですが・・・」
「だから何だって聞いてるだろ?」
「遠野くんの本当の姿のどうしようもなく触れたい。」
「えっ!?」、
この前は幻惑の魔法を使っていたので、そういう気持ちになるのは理解出来るが、今は何
もしていない状態だ。そんな状態で思ってもみないことを言われ、遠野は非常に驚いたよ
うな顔を見せる。
「まだあのときの幻惑の魔法の影響が残ってんのかよ?」
「そんなことはないと思いますが、あのときの艶めいた鱗の見た目やあの心地よい手触り
が忘れられず・・・」
「いや、でも、それは幻惑の魔法ありきでだろ?それがなけりゃ、どっちかと言えば嫌悪
感の方が強いんじゃねーの?」
「分かりません。でも、どうしてももう一度触れたいのです。」
予想以上に必死な君島に遠野はドキドキしてしまう。
「俺としては別に本当の姿になるのは構わねーんだけどよ、本当にいいのか?」
「ええ。」
そこまで言うのならと、遠野は着ている服を脱ぎ、その姿を変化させる。顔は変わらない
ものの、その上半身も下半身もあからさまに怪異のものになる。
(やはり、まだ苦手な感じは否めないけど・・・)
幻惑の魔法がかけられていたときほど魅力的に見えるわけではないが、遠野の腰の下から
伸びる大蛇の下半身が格子窓から差し込む月明かりに照らされ青白く輝き、君島の目には
美しさを帯びて映る。緊張から遠野はゆっくりと蛇の尾の部分を動かす。にょろにょろと
したその動きにビクッとする君島であるが、触れたい気持ちが上回り、おずおずと遠野に
近づく。
「嫌だったら、すぐに人の姿に戻るからな。」
「だ、大丈夫です。」
(こっちの姿になって欲しいって君島から言われるの信じらんねーし、調子狂うな。)
「触ってもいいですか?」
「あ、ああ。」
君島に蛇の部分を触れられることは遠野も心地いいと感じていたので、特に断る理由はな
かった。唯一あるとすれば、君島が嫌がることであるが、今は君島から触れたいと言って
きている。
さわ・・・
「んっ・・・!」
蛇の下半身の部分の中でも中腹部分に君島は触れる。鱗らしいザラザラとした手触りに人
の体温とは違う冷たさを感じる。いかにも蛇といった手触りにゾワッとしながらも、同時
に幻惑の魔法をかけられていたときに感じた心地よさを感じる。
(ゾワゾワとした気持ち悪さがあるのに、いつまでも触っていたくなるほど気持ちいい感
じもする。)
遠野の蛇の肌に触れ、君島は相反する感覚に戸惑いつつも、どちらかといえば触れ続けて
いたい気持ちが勝り、ゆるゆると青白く輝く鱗を撫でる。
(やっぱ、君島に蛇の部分触られるのたまんねぇ・・・)
「ハァ・・・君島・・・」
「遠野くんはこの部分を触られるのは嫌ではないんですか?」
「・・・嫌じゃねぇ。つーか、むしろ・・・」
「何です?」
「気持ちイイから、もっと触って欲しい。」
そこに触れられる気持ちよさに頬を紅潮させ、遠野はそんなことを言う。遠野のその表情
にドキッとしながら、君島は遠野の肌に触れている手を動かす。
「んぁ・・・」
(ああ、もっと・・・)
「な、なあ、君島。」
「どうしたんですか?」
「嫌だったら、嫌って言ってくれて構わねぇから、試しにこうさせてくれ。」
そう言って、遠野は蛇の部分をゆるりと君島に巻きつける。
「っ!!」
(気持ち悪いし怖いのに・・・このままでいて欲しい。)
君島が固まったのを見て、遠野はやはり無理だったかと君島から蛇の部分を離そうとする。
「そ、そのままでいてください!!」
「えっ、でもよ・・・さすがにコレは嫌だろ?」
「正直怖い気持ちもありますが、こうされていれば、もっと遠野くんのいろんな部分を触
れますから。」
「いいのか?無理しなくてもいいんだぞ?」
「無理なんてしてませんから!」
いつもとは違うことを言ってくる君島に戸惑いつつ、遠野は君島の言うことに従う。手の
届く場所に遠野の蛇の部分が近づいたのをいいことに、君島はより広範囲にその手を触れ
させる。
「あっ・・・!!」
「こんなに人の肌と違うのに、随分と敏感なんですね。」
「俺も知らなかったけどな。」
「特に気持ちいいところがあれば、教えてください。」
「あ、ああ。」
自分の周りを囲っている蛇の部分を君島は慈しむように撫でる。冷たい鱗のある肌を撫で
ていると、遠野はビクビクとその身を震わせ、時折甘い声を漏らす。その反応がたまらず、
撫で続けているうちに、君島の遠野の蛇の部分に対する嫌悪感はほぼ感じないレベルに薄
らいでいた。
「触れていて気づいたのですが・・・」
「ハァ・・・何だよ?」
「遠野くんのこの部分、こちら側とこちら側で結構肌触りが違いますね。」
蛇の腹側と背側で触れた感触がかなり違うことに君島は気づく。ゆるりと背側の方に触れ、
その肌触りを表現する。
「こちら側は鱗のザラザラした感じが強いです。」
「んっ・・・」
その後で腹側の方に指を滑らせ、その違いを口にする。
「こちら側は、背側と比べてすべすべして滑らかな手触りです。」
「あっ・・・」
「どちらも悪くはありませんが、個人的にはこちら側の手触りの方が好きかもしれません。」
そう言いながら、君島は人と蛇の境目よりも少し下の腹側の部分を撫でる。
「ひゃっ・・・あぁんっ!!」
すべすべとしたその部分を撫でると、遠野はひどく感じているような反応を見せる。
「ココ撫でられるの、気持ちいいですか?」
「んあんっ!!そこ、ダメだっ・・・!」
あからさまに大きくなった遠野の反応に君島は口元を緩ませる。
「しばらくこの部分、撫でていてあげますね。」
「あっ、あっ・・・君島っ・・・!!」
そこが特に感じるところだと気づき、君島は優しくそこを撫でる。
(今触られてるとこ、スゲェ気持ちいい。人の姿での場所を考えるとまあって感じだけど、
今の状態だとそこにあるわけじゃねぇんだけどな。)
「んあっ・・・ハァ・・・君島ぁ・・・」
(ああ、遠野くん可愛い。キスしたい。でも、キスをしたら人の姿に戻ってしまうかな。)
「遠野くん。」
「んっ・・・何だよ?」
「今、すごくキスしたいんですけど、キスをしたら人の姿に戻ってしまいますかね?」
「それはたぶん・・・お前次第だと思う。」
余裕のなさそうな君島の質問に遠野はそう答える。
「それはどういう意味ですか?」
「ある程度は俺の意思でどうにか出来るけど・・・それ以上にお前意思が優先されるはず
だ。そもそもお前の力で変化させてるんだし。お前が人の姿を望むなら人の姿になるし、
そうでないならそのままだと思うぜ。」
それならしても問題ないかもしれないと、君島は試しに軽くキスをしてみる。
「んんっ・・・」
このままの姿でいて欲しいと考えながら口づけると、唇を離しても遠野は姦姦蛇螺の姿の
ままであった。
「確かに戻らないですね。」
「言った通りだろ?」
「だったら、もっとちゃんとしてあげます。もちろんここを撫でながら。」
(そんなことされたら・・・)
耐えられないかもしれないと思いながら、遠野はゾクゾクしつつも君島からの口づけを待
つ。遠野の特に感じる場所に手を添え、君島は先程よりも深い口づけを遠野に施す。
「んぁ・・・んんっ・・・!」
遠野の舌に自分の舌を絡ませると、君島は蛇の腹の部分に添えている手をゆっくりと動か
す。撫でている手と逆の手は、手持ち無沙汰になっている六本の腕の一つの手を握るよう
に指を絡める。
「んんっ・・・んぁんっ・・・」
(これ、本当ヤベェ。気持ちよすぎて、マジでイキそうかも・・・)
君島のキスも蛇の腹を撫でられるのも気持ちよく、遠野は君島の手をぎゅっと握りながら、
ビクビクとその身を震わせる。姦姦蛇螺の状態で達したことはないので、どうなるかはよ
く分からないが、確実に達しそうなほどその快感は高まっていた。
「んんんっ・・・んぁ・・・あっ・・・!!」
(あっ・・・イクっ!!)
ぐるりと大きく円を描くように撫でられた瞬間、遠野の快感は最高潮の高まる。人の姿と
は異なり何かが出るわけではないが、ガクガクと蛇の下半身が痙攣するのに気づき、君島
は遠野が達したことを認識する。
「ハァ・・・遠野くん、今イキましたよね?」
「ハァ・・・ハァ・・・たぶん・・・」
「そんなにここを撫でられるの気持ちよかったんですか?」
からかうようにそう言いながら、再びそこを撫でると遠野は再び達するような反応を見せ
る。
「ひゃああぁんっ!!」
「えっ!?」
「も・・・そこ触るなぁ・・・」
顔を真っ赤にして、ビクビクと震えながら遠野は君島に懇願する。そんな遠野に興奮して
しまい、君島は意地悪な笑みを浮かべて、そこを触り続ける。
「可愛いですね。もうここを触るとイッてしまうのでしょう?」
「ああぁんっ!!や、やめっ・・・」
「普段の遠野くんも艶やかで最高ですが、姦姦蛇螺のままでも十分にやらしくて最高です
よ。」
「あっ、ああっ・・・そこ、ダメだっ!!やあぁんっ!!」
ゆるゆると撫でるだけでも達してしまう遠野に、君島は心を奪われる。月明かりに照らさ
れている白い鱗がビクビクと揺れ、キラキラと艶めかしく輝く。そんな甘美な光景に君島
は目を細める。
「ハァ・・・ハァ・・・んっ、はぁ・・・」
ある程度満足すると、君島は遠野の肌から手を離す。
(可愛らしい遠野くんを存分に堪能出来たけど、ここまでしたら最後までしたいな。ただ
このままの姿だとさすがにそれは無理だろうな。もう少し遠野くんの本当の姿を愛でてい
たいけれど・・・)
(わけ分かんねーままイカされちまったけど、せっかくならちゃんと君島のが欲しいな。
けど、今日はこの姿を君島が望んでるし・・・)
姦姦蛇螺の姿のままであって欲しい想いと最後までしたい想いが交錯し、二人はお互いの
顔を見る。とりあえず、もっと触れ合っていたいとお互いに腕を伸ばし抱き合うと、いつ
もとは少し違う形で遠野の体が変化する。
「あっ・・・」
「えっ・・・」
先程まで君島が触れていた辺りはそのままだが、その後ろ側、つまり人の姿でいうといつ
も繋がる場所がある双丘の辺りが人のモノに近い形に変化する。
「遠野くんのこの辺り、人の姿に近くなっていますね。ただ鱗はそのまま残っているよう
です。」
「そうだな。けど、これじゃあまるで・・・」
「私と繋がりたくて、こんなふうになったんですか?」
形が変化した場所をするっと撫でながら、嬉しそうな声色で君島はそう口にする。そこま
で間違っていないため、遠野の顔は赤く染まる。
「・・・君島が嫌じゃなけりゃ、このまま挿れて欲しい。」
「ここまで来て嫌なことはないですよ。」
さすがに正面からは挿れることは出来ないので、抱き合っている腕を緩め、君島は遠野の
後ろに回り込む。形は人のそれであるが、白い鱗で覆われているその部分を見て、君島は
言いようもない興奮を覚える。白い肌の割れ目の奥がどうなっているかが気になり、君島
はぐいっとそこを広げてみる。
「ちょっ・・・!」
「ここはいつもと同じですね。薄紅色でとても綺麗ですよ。挿れて欲しいのかヒクヒクし
ていますし。」
「は、恥ずかしい・・・」
「そこの壁に手をついてください。あ、上側の四本の腕でお願いしますね。」
「お、おう。」
君島に言われるまま、遠野は壁に手を着く。自身の熱を出して、遠野の薄紅色の蕾に押し
当てると、君島は一番下の二本の腕の手首を掴み、その腕を引きながら腰を進める。
「んああぁんっ!!」
「んんっ!!」
(ああ、本当の姿のままなのに、君島と繋がっちまってる・・・)
人の姿ではなく姦姦蛇螺の姿のまま君島とまぐわっている状況に、遠野はいつも以上に感
じてしまう。
(いつもよりぬるぬるしているのに、いつもより少しキツい。それに肌の鱗が脚の付け根
に当たって、興奮する・・・)
君島もいつもとは異なる感覚にひどく昂っていた。
「ハァ・・・遠野くん、この姿でもすごく気持ちいいです。」
「俺もっ・・・このままの姿で君島と繋がれて、スゲェ嬉しいっ・・・!!」
「もっと遠野くんのここを堪能させてください。」
そう言うと、君島は遠野の中を掻き混ぜるかのように激しく穿つ。
「あっ、ああぁっ・・・んあっ・・・ああぁんっ!!」
「くっ・・・あっ・・・」
(スゲェ・・・君島の力がこの姿のままでたくさん流れ込んでくる。ああ、もっと君島に
触れたい!!)
長い蛇の尾の部分を持ち上げ、君島の動きを邪魔しないようにしながら、遠野は君島の上
半身にそれを巻きつける。一瞬だけ蛇に巻きつかれる嫌悪感を感じたものの、それはすぐ
に遠野と絡み合っている快感へと変わる。
「遠野くんっ・・・!」
「君島ぁ・・・あっ・・・あんっ・・・!」
(こんなに深く繋がって、遠野くんの本当の姿に包まれて・・・どこもかしこも気持ちい
い。)
遠野の苦手だった部分や嫌いな部分が甘美で果てしない多幸感に溶けていく。蕩けるよう
な心地よさに君島は胸の奥から湧き上がる想いを遠野に伝える。
「遠野くん・・・」
「んっ・・・何だ・・・?」
「遠野くんのこの姿もいつもの人の姿も全部含めて・・・私は遠野くんの全てが大好きで
す。」
(そんなこと言われたらっ・・・)
君島の言葉は、遠野の身体に心に魂に深く刻み込まれる。全てが君島に満たされ支配され
る感覚に遠野は甘く深い絶頂の波に飲まれる。
「ああっ・・・君島っ・・・!!」
君島の力で満たされ、君島への想いが溢れる。それは姦姦蛇螺の姿を神々しさを感じさせ
るほどに輝かせる。絹のような髪は黒耀石のように輝き、汗の滲む肌は蠱惑的に艶めく。
蛇の鱗は月長石のような光を放つ。幻惑の魔法などなしにこの上なく美しく見える遠野の
姿に君島は惑溺する。
「くっ・・・遠野くん!!」
お互いの力が溢れ、言葉にならない快美感に心と身体を震わせ、二人は高くて深い絶頂を
迎えた。

服を着る必要があるので遠野は既に人の姿に戻っているが、本当の姿で君島と交われた恍
惚感がいまだに残り、ふわふわとした気分のまま君島にくっついて体を休めていた。
「姦姦蛇螺のまま君島とまぐわえたのまだ信じらんねーけど、マジで最高だった。」
「確かに悪くはなかったですね。」
「お前、急に俺のこと受け入れすぎだろ。あまりにも急すぎて、全然心が追いついてねー
んだけど。」
「おや、本当の姿は嫌いなままでいた方がよかったですか?」
「そういうことじゃなくてよ・・・俺の全部が好きだとか言われたら、嬉しすぎてドキド
キして、君島のことがもうどうしようもなく好きになっちまうから・・・」
「それはいいことではないのですか?」
照れながらそんなことを言ってくる遠野を君島は心から可愛らしいと思ってしまう。遠野
の言葉に顔を緩ませながら君島はそう返す。
「俺、お前が生まれるずっと前から長い間封印されてたんだぞ?自由もなくて暇で、力も
弱まって、そんな希望も何もあったもんじゃねぇって状況から、こんなに恵まれた状況に
なって、自分を解放してくれたヤツから自分の全部を認められるようなこと言われて、も
う幸せすぎて心がキャパオーバーしちまう。」
「ふふ、随分可愛いことを言うのですね。」
「仕方ねーだろ。今までこんなことなかったんだからよ。」
「でも、遠野くんが私といて幸せだという言葉を聞いて、少し安心しました。」
穏やかに微笑みながら、君島はそんなことを言う。それは当然のことだと思っている遠野
はその言葉の意味が分からず首を傾げる。
「安心したってどういうことだ?」
「もともと本当の姿は嫌いでしたし、面倒な悪霊退治は全て任せてしまってるじゃないで
すか。封印するしないの権限は私にありますし、一応そう感じないようには意識してます
けど、あまり対等ではない関係だと思われていてもおかしくないと思っています。だから、
口には出さないけれど、私に対して嫌だと思うところもたくさんあるのではないかと思い
まして。」
「本当の姿然り、お前が俺のことをそう思うことはあっても、俺がお前に対して嫌だと思
うことはほとんどないぜ。強いて言うなら、処刑に対して文句言ってくるのは、ちょっと
納得いかねぇと思ってるけど、そんなん他のことでチャラに出来るレベルだしな。」
「そうですか。」
遠野の自分に対する想いを聞いて、君島は心底安心したように笑う。
「あとは、君島がもっと処刑について興味を持ってくれるとより嬉しいんだけどな。」
「それはまだ無理ですね。」
「ま、このコレクションを許してくれてるだけでもよしとするか。」
「今はそれで満足しといてください。」
まだまだ理解してもらう部分があると、遠野は冗談じみた口調でそんなことを言う。そん
な遠野の言葉に同じようなノリで君島は言葉を返す。
「でも、まあ・・・」
「何だよ?」
「私の力を分けるときに、人の姿か本当の姿、どちらも選べるようになったのは大きな収
穫ですね。」
「フッ、それは間違いねぇな。」
君島が遠野の本当の姿をそこまで嫌いではなくなったことで、まぐわうときにどちらの姿
でするかを選べるようになった。それはお互いにとって大きなプラス要素だと、二人は顔
を見合わせて笑う。同じ時間を過ごし、幾度も心を通わせることで、苦手だった部分への
意識が変化する。それはどちらにとっても幸せをもたらすものであると、この穏やかで甘
い空気が証明していた。

                                END.

戻る