年が明けて数日経った休みの日、遠野は一人暮らしをしている部屋でテレビを見ていた。
「これも生放送だっけか?」
テレビには君島が映っている。年末年始はテレビの仕事が多く、生放送のものもちらほら
あり、今日の仕事が終われば、数日休みが取れると聞いていた。U−17のW杯が終わっ
た後、一緒にテニスをする機会は少なくなったものの、遠野が進学を機に上京したことも
あり昔よりも交流は多くなっていた。
「あっ・・・」
テレビを見ながら、遠野はあることに気づく。カメラに向かって話している君島が左膝を
トントントンと軽く指で叩いている。それは、仕事で忙しいときでも遠野に会いたいとい
うことを示すサインであった。
(生放送中にしてくるなんて、そんなに俺に会いたいのかぁ?仕方ねぇなあ。)
君島が出したサインに気づき、遠野はうきうきとした様子でテレビの中の君島を眺める。
万人受けする笑顔で愛を振りまきながら、こっそりと自分に合図を送ってきている。それ
が嬉しくて、遠野は胸を躍らせていた。
「これ見終わったら、アイツの好きな紅茶でも買ってきておいてやるか。どうせここに来
るまでには少し時間がかかるだろうしな。」
君島が出ている番組が終わると、遠野は買い物に出かける準備をする。
「いつもの感じだとたぶん飯は食って来るだろうな。俺も適当に済ませておくか。あっ、
いいこと思いついたぞ!ふっ、血祭りにするのにはちょうどいい。」
物騒なことを呟きつつ、ご機嫌な様子で遠野は家を出る。君島が来る前に準備を終えなけ
ればと、少し早足で歩き出した。
遠野が買い物から帰宅し、小一時間ほど経った頃、玄関のチャイムが鳴る。
「おっ、来たか。」
玄関のドアを開けると、帽子とマスクで顔を隠した君島が立っていた。
「待ってたぜ。」
「おや、待ってたんですか?特に行くと連絡していないのに。」
「フッ、とぼけてんじゃねーよ。生放送中に俺にサイン送ってただろうが。」
「ちゃんと見てくれていたんですね。」
「とりあえず入れよ。」
立ち話もなんだということで、遠野は君島を招き入れる。遠野の部屋に入ると、君島は帽
子とマスクを外し、コートを脱いだ。
「明日から休みなんだっけか?」
「ええ、少し遅いお正月休みを数日いただいています。」
「お前のことだから、別に何か予定があるかもしれねーが、ゆっくりしてけよ。」
いつも通りに話しているつもりだが、言葉の節々から浮かれていることが分かる遠野の態
度に君島は口元を緩ませる。
「お前、飯はもう食って来てるよなあ?」
「そうですね。」
「今日はお前を血祭りにするために、バッチリ用意しといてやったぜ!感謝しな!」
「何です?藪から棒に。血祭りにされるのは遠慮しておきます。」
「いいからついてきな!」
そう言いながら、遠野は君島を連れてバスルームに向かう。
「バスルーム?本気で血祭りにする気ですか?」
「当然だろ?」
自信満々にそう言いながら、遠野はバスルームのドアを開ける。白い湯気が漏れ出すと同
時に華やかな香りが君島の鼻をくすぐる。
「バラの香り?」
「湯船を血の色に染めてやったぜ!ヒャーッハッハッハ!!」
いつも通りのテンションで、遠野はそんなことを口にする。呆れた様子の君島の目に映っ
たのは、真っ赤なバラの花びらが湯船一面に浮かんでいる光景であった。
「バラ風呂ですか。香りもとても良いですし、悪くないですね。」
「フン、今日は寒いからな。とりあえず、風呂にでも入って温まりやがれ。」
言葉は乱暴であるが、自分を気遣ってくれていることが分かり、君島はふっと笑う。こん
なにも御膳立てされているのならと、君島はにっこり微笑み、遠野の肩を掴む。
「一緒に入りましょう。」
「はぁ!?」
「遠野くんがせっかく用意してくれたわけですし。」
「いやいや、二人で入るには狭いだろ!一人暮らしの部屋の風呂なんて、そんなにデカく
ねぇんだからよ。」
「遠野くんと私くらいならきっと大丈夫です。」
「越知や毛利と一緒にいたからちょっとマヒしてるかもだけどよ、俺や君島もわりとデカ
い方だからな?」
「温まるには少しくらい狭い方が都合がいいですよ。」
遠野の言うことに聞く耳を持たず、君島は遠野の服を脱がそうとする。
「脱がすな!!ったく、分かったよ。ちょっと入る準備するから待ってろ。」
君島のためにタオルや着替えを準備していたものの、自分は入るつもりはなかったので何
も準備をしていなかった。君島に押しきられ観念した遠野は自分の分の着替えとタオルを
用意しに行く。
(せっかくゆっくり入ってもらおうと思って準備してやったのに、ワガママだな君島のヤ
ツ。つーか、君島と一緒に風呂入るのだいぶ久しぶりだな・・・)
U−17の合宿や温泉旅行などで何度か一緒に入ったことはあるが、最近は一緒に入るこ
となどほぼない。少しドキドキすると思いながら、自分用の着替えとタオルを持って戻る。
ザアアァァ・・・
バスルームに戻るとドアの外に君島の姿はなく、中からシャワーの音が響いていた。
(あれだけ一緒に入りてぇって、駄々こねてたのに先に入ってんのかよ!!)
心の中でそう突っ込みを入れながら、遠野は服を脱ぐ。脱衣かごに脱いだ服を入れるとバ
スルームのドアを開ける。
「入るぞ。」
「お先に洗わせてもらいました。」
「っ!!」
シャワーの水を止め、軽く髪をかき上げながら君島はそう答える。眼鏡を外し、いつもは
セットされている髪が下りている状態の君島を見て、遠野はドキッとしてしまう。
「あれだけ一緒に入りてぇって言ってたのに、先に入るのかよ?だったら、一人で入れば
よかったじゃねーか。」
「先に洗っておかないと、遠野くんを洗えないじゃないですか。」
そう言いながら、君島は遠野をバスチェアに座らせる。そして、シャワーを手にし、遠野
の絹のような髪を濡らしていく。
「ちょっ・・・自分の体くらい自分で洗う。」
「私が洗いたいんです。そのために先に入っていたんですから。」
「意味分かんねー。まあ、別にいいけどよ・・・」
そこまで言うならと、遠野は君島の好きにさせる。手のひらでシャンプーを泡立てると、
遠野の長い髪を優しく洗い出す。
「遠野くんの髪は本当に綺麗ですね。」
「当然だろ?毎日手入れしてんだからよ。」
「この艶も手触りも大好きです。」
愛おしげに遠野の髪に触れながら、君島はそう囁く。髪のこととはいえ、君島の声で大好
きと言われ、遠野の鼓動は速くなる。
「髪は手入れをしているようですが、ここらへんはマッサージとかしてます?」
遠野の髪に指を通し、指の腹でぐいっと頭皮を揉む。ゾクゾクとするような感覚に、遠野
は思わず声を上げる。
「ふあぁっ!!」
「どうしたんです?そんなにはしたない声を上げて。」
「ち、ちがっ・・・」
予想外の反応を見せる遠野に君島は口元を緩ませる。もっとその反応が見たいと、絶妙な
力加減で遠野の頭をマッサージする。
「ああっ・・・ちょっ、やめっ・・・」
「気持ちいいでしょう?」
「く、くすぐったくて、ぞくぞくするからっ・・・!」
「ここの血行が良くなれば、髪もより綺麗になりますよ?」
「んんっ・・・!!」
くすぐったいながらもどこか気持ちよく、遠野は君島の手を払いのけることが出来なかっ
た。しばらく遠野の頭をマッサージし、君島は存分に遠野の反応を楽しむ。
「これくらいでいいですかね。」
「ハァ・・・ハァ・・・」
「流しますね。」
可愛らしい遠野の反応が見れたと満足気に君島はシャンプーを流す。もう少し遠野の髪に
触れていたいと、君島はしっかりとトリートメントをした後、背中につかないように遠野
の髪を頭の上の方でまとめた。
「君島、先にもう湯船入ってろよ。」
「湯船には遠野くんと一緒に入る予定なんで、遠野くんの体洗ってあげます。」
「体は自分で洗う!」
「ダメですよ。もう洗うと決めたんですから。」
(何だか今日の君島、本当強引っつーかワガママしたい放題だな。)
本来休めるはずの年末年始に仕事が集中していたことを考えると、そういうこともあるか
と遠野は嫌がることを諦める。何も答えないでいると、泡のついた手で背中に触れられる
のを感じる。
「っ!?」
「泡タイプのボディーソープなので、洗いやすいですね。」
「ちょっ、何で手で洗ってんだよ!?そこに洗う用のタオルがあるだろ!?」
「おや、手で洗った方が肌には良いんですよ?」
そう言いながら君島は遠野の背中を自らの手で洗う。背中を洗い終えると、手から肩、爪
先から膝にかけて丁寧に洗っていく。
(普通に洗ってるだけだな。ちょっと警戒してたが、これなら別に心配することはなさそ
う・・・)
そんなことを考えていると、耳元で君島の声が響く。
「さて、この後はもっと丁寧に洗ってあげないとですね。」
再度泡タイプのボディーソープをたっぷり手のひらにつけると、君島は遠野の太ももをす
るりとなぞる。
「んんっ・・・!」
予想通りの反応を見せる遠野に、君島は口元を緩ませる。太ももから始まり、胸や脇腹、
下腹部など、敏感な部分を優しく洗っていく。
「くっ・・・ぁんっ・・・!」
「どうしたんですか?可愛らしい声が漏れていますよ。」
後ろから抱き締めるように、腕を前に回しながら、君島は泡のついた手で遠野の肌をやわ
やわと撫でる。
「ハァ・・・君島ぁ・・・」
「そんな顔で見られたら、余計にいじめたくなってしまいますよ?」
顔を紅潮させ、潤んだ瞳で遠野は君島の方に顔を向ける。あからさまに発情しているよう
な遠野の表情に君島は興奮する。もっとその気にさせたいと、君島は勃ち上がりかけてい
る遠野の熱に手を伸ばした。
「ふあっ・・・ああんっ・・・!!」
「ふふ、案外嫌がらないのですね。」
声を上げるものの、手を払いのけたり抵抗したりはしない遠野の態度に、君島は笑みをこ
ぼす。泡でぬるぬるになっている手で熱をゆっくり擦ると、遠野はビクビクと下肢を震わ
せ、甲高い声を上げる。
「ああっ・・・あんっ・・・!!」
「浴室なので、遠野くんの声、とても響きますね。」
「んんっ・・・!」
君島の指摘に、遠野は唇を噛んで声を堪えようとする。しかし、君島に触れられると、自
然と口が開き、甘い声が溢れ出てしまう。
(何となく分かってたし、何ならちょっと期待してたけど、いざされてみると結構恥ずか
しいな。けど、君島の手、マジで気持ちよくてもっとして欲しくなっちまう。)
「あっ・・・君島・・・」
「嫌だったら、もっと抵抗してもいいんですよ?」
「いや・・・もっとしてくれ・・・」
「っ!?」
すっかりその気になってしまった遠野は、素直にそんなことを口にする。どちらかと言え
ば嫌がられると思っていた君島は、遠野のその言葉にぞくっとしてしまう。
「仕方ないですねぇ。それなら、ここも洗ってあげますよ。」
楽しげにそう言いながら、君島は遠野の蕾に触れる。君島に触れられ、遠野のそこはヒク
ンと嬉しそうに反応する。
つぷっ・・・
「ひゃっ・・・ああぁんっ・・・!!」
「そんなに触って欲しかったんですか?遠野くんのここ、嬉しそうに私の指に吸い付いて
きますよ?」
「そんなこと・・・ねぇっ・・・!!」
「素直じゃないですねぇ。」
ヒクヒクと震え、指を締めつけてくる入口を抉じ開けるように、君島は指を動かし内側を
なぞる。敏感な入口と内側をぬるぬるとした指で弄られ、遠野は腰を揺らす。
「ああぁんっ・・・き、君島・・・!」
「イイ声で鳴きますね。」
「そこっ・・・んんっ・・・!」
「おや?このへんが気持ちイイんですか?」
「ひああぁっ・・・!!」
遠野が良い反応を見せると、君島はその部分を重点的に責める。君島の指が何度も出入り
し、敏感な壁を擦られるその感覚に、遠野はどんどん気持ちよくなってきてしまう。
「んあっ・・・ああっ・・・んんんっ・・・」
「ふふ、気持ち良さそうですね。その表情も声も素敵ですよ。」
「あんっ・・・君島っ・・・もう・・・ヤバ・・・」
ビクビクと下肢を震わせ、限界が近いことを君島に伝える。そんな遠野の様子を見て、君
島はすっと指を抜いてしまう。
「ああっ・・・!」
ギリギリのところで刺激がなくなり、遠野は惜しがるような声を上げる。
「私も我慢出来なくなってしまったので、続きは遠野くんが用意してくれたバラ風呂の中
で。」
そう言いながら、君島は遠野の身体についている泡をシャワーで流す。シャワーの刺激に
もビクビクしながら、流され終わると物欲しそうな目で君島を見る。
「入ったら繋がりましょう。」
「っ!!」
耳元でそう囁かれ、遠野はゾクゾクしてしまう。バラの花びらも含め軽くかけ湯をすると、
君島は水面が赤く染まった湯船に入る。その後を追うように、遠野も湯船に入った。入る
前に遠野が言っていた通り、二人ともそれなりの身長があるので、二人で湯船に入るとか
なり狭い感じになる。
「君島のも・・・がっつり勃ってるじゃねーか。」
「そうなっていないと、遠野くんと繋がれませんよ?」
「まあ、そうだが・・・」
「まずは遠野くんのタイミングで、お好きにどうぞ。」
君島が先に座り、遠野が後に入ってきている状態のため、どちらかと言えば、遠野が主体
で動かなければならないような体位になっている。散々君島に弄られ、イク直前でやめら
れたこともあり、遠野のそこはかなり疼いていた。向かい合ったような状態で、君島の首
に腕を回し、大きく息を吐くと、遠野は君島の熱を入口にあてがう。
「んっ・・・」
(ああ、すごくドキドキする・・・)
遠野の双丘の窪みに自身の熱が触れていることにドキドキしながら、君島は目の前にある
遠野の顔を眺める。その視線に気づき、遠野はふいっと目を逸らす。
「そんなに見てくるな。」
「挿れる瞬間の遠野くんの顔を見ていたいんです。遠野くんも目を合わせてください。そ
の方が興奮するでしょう?」
「うっ・・・」
恥ずかしいがそれはそうかもしれないと、遠野は君島と目を合わせる。君島と目を合わせ
たまま、少し熱いくらいのお湯の中でゆっくりと腰を落とす。
「んあっ・・・ああぁんっ!!」
君島に慣らされていたこともあり、君島の熱は易々と奥まで入ってしまう。ビクンと背を
仰け反らせた弾みで、高いところでまとめていた髪がほどけて落ちる。
「結っているのも悪くないですが、やはりいつものこの感じが良いですね。」
「ハァ・・・君島ぁ・・・」
「遠野くんが気持ちよくなれるように動いていいですよ。」
湯船は狭く動きづらいが、遠野はおずおずと動き出す。遠野が動くたびに水面は波打ち、
バラの甘い香りがふわりと香る。
(バラの香りが心地良い。これは気分も上がるな。)
軽く呼吸を乱しながら、君島は遠野の頭に両手を添える。濡れた髪に触れながら、遠野の
顔を引き寄せ、お湯の熱さと行為の熱で赤く染まりつつある唇に自身の唇を重ねる。
「んっ・・・」
君島の口づけを受けながら、遠野は腰を動かす。君島の熱で中を擦られ、口の中では君島
の舌が自身の舌に絡む。赤いバラが肌に触れ、心地良い香りが鼻をくすぐる。全てが心地
良く、多幸感に遠野の心と身体は蕩けていく。
(気持ちイイ・・・君島と繋がってるこの感じ、本当好きだ。)
うっとりとしながら、遠野はより気持ちよくなれるようにと少し激しめに動く。湯船に入
る前からある程度高められていたこともあり、ほどなくして遠野は達きそうになる。
「んんっ・・・んぅっ・・・!!」
そのことに気づき、君島は唇を離す。せっかくなので、イク瞬間はしっかり見ておきたい
と、頭は手で固定したまま遠野の顔を至近距離で眺める。
「ああっ・・・君島っ・・・ひあっ・・・あんっ・・・!!」
「イキそうなんですね。遠野くんのイク姿見ていてあげますよ。」
「やっ・・・もっ・・・イクっ・・・あああぁんっ!!」
バシャと水飛沫を上げながら、ビクビクとその身を震わせ遠野は果てる。ぎゅうぎゅうと
収縮を繰り返す中の心地良さに酔いしれながら、艶やかな遠野の姿を堪能する。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「イッている遠野くん、本当に愛らしくて大好きですよ。」
「うるせー・・・」
「今度は私が楽しませもらう番です。このままでは少しのぼせてしまいそうなので、一旦
抜いて立ってもらってもいいですか?」
確かに少し暑くなってきたと、遠野は言われた通り、一旦君島の熱を抜き立ち上がる。
「遠野くんはあちらを向いて、壁に手をついてください。」
そう言われて遠野は君島のしたいことを理解する。足は湯船につけたまま、遠野は君島に
背を向け、壁に手をつく。そして、軽く腰を君島に向かって突き出した。
「立ちバックでしたいってことだろ?」
「おや、察しがよくて助かりますね。」
「するならさっさとしやがれ。」
言葉は乱暴だが、誘っていることは間違いないので、君島はにやけてしまいそうな口元を
抑える。濡れた身体にはところどころバラの花びらがついており、君島の目を楽しませる。
「挿れますよ。」
遠野の腰を支えるように手を添え、君島は遠野の中に自身を挿れる。
「んああぁっ・・・!!」
「ああ、やはり遠野くんの中は気持ちいいですね。」
「ふあっ・・・あんっ・・・」
「今度は私が動きますが、どのようにされたいですか?」
「お、奥まで・・・激しく・・・」
どこまでも自分の欲望に忠実な遠野の言葉に君島はゾクっとしてしまう。
「本当遠野くんは素直でやらしくて、最高ですね。」
口角を上げながらそう呟いた後、君島は遠野のリクエスト通りに動く。自分で動いていた
ときとは比べものにならにほど、激しく奥まで擦られる感覚に遠野の膝はがくがくと震え
る。
「んあっ・・・ああぁっ・・・あぁんっ・・・!!」
「もっとしっかり立っていないと抜けてしまいますよ?」
「んなこと言われても・・・ひあっ・・・ああぁんっ!!」
「だったらもっと優しく動きますか?」
「イヤだっ・・・このままがいい・・・」
「仕方ないですね。」
少しでも遠野の負担が軽くなるようにと君島は遠野の腹部を支え、激しいピストンを続け
る。君島の手が腹部に触れたことで、遠野はより感じてしまう。
「あああぁんっ!!」
先程よりも遠野の内側と入口が締まり、遠野の熱を強く包み込む。
「そんなふうにされたら、イッてしまいそうです。」
「俺もっ・・・気持ちよすぎて・・・またイキそ・・・」
「なら、一緒にイキましょう。」
ふっと笑うと、君島は奥の奥を突くように激しく腰を動かす。イキそうな状態でそんなこ
とをされ、遠野は壁についている手をぎゅっと握る。
「ああぁっ・・・激しっ・・・イ、イクっ・・・君島ぁっ!!」
「私も・・・んっ・・・遠野くんっ・・・!!」
お互いの名前を口にしながらどちらも達する。君島の熱はビクビクと震え、遠野の内側は
イクのに合わせて収縮する。吐精を促すようなその動きに、熱い雫が数回に分けて奥の奥
へと放たれる。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「ハァ・・・とても気持ちよかったです。」
「俺も・・・」
「抜きますね。」
「ああ。」
君島が中の熱を抜くと、遠野はビクッとその身を震わせる。いまだにヒクヒクと痙攣して
いる遠野の蕾から君島の放った蜜が溢れ、つーっと太ももを伝った。
「私の放ったものが遠野くんの中から溢れてますね。」
「いちいち言わなくていい!つーか、そんなにじっくり見てんなよ。」
「とりあえず、それを軽く流してそろそろ上がりましょうか。」
「そうだな。」
かなり長く入ってしまったと二人は湯船から上がり軽くシャワーで身体を流すと、二人は
浴室から出る。身体を拭いて着替えながら、君島はふとあることに気がつく。
「遠野くん、バラの香りがしますね。」
「ああ?まあ、あれだけバラ風呂に入ってたらそうなるんじゃねぇ?」
「とても良い香りです。」
まだ湿っている遠野の髪を手に取り、君島は顔を近づけ匂いを嗅ぐ。君島が近づいたこと
で遠野も同じようなことに気づいた。
「お前だって、バラの匂いしてるじゃねぇか。」
「お揃いですね。」
「チッ、嬉しそうにしてんなよ。」
嬉しそうに笑いながらそう言う君島に、遠野は照れながらそう返す。着替えを終えると二
人はそろってリビングに移動した。
リビングに移動すると、遠野は君島が来る前に買ってきた紅茶を淹れようとする。
「お茶を淹れる感じですか?」
「ああ、お前が好きな紅茶買って来といてやったからな。」
「それでしたら、お皿とフォークも用意してもらえます?手土産にアップルパイを買って
来ているんですよ。」
「アップルパイ!?そりゃ楽しみだ!!」
アップルパイが食べれると、遠野はご機嫌な様子で紅茶を準備する。準備を終えると、紅
茶の入ったカップとアップルパイ用の小皿とフォークを君島のもとへ持って行く。
「紅茶淹れてやったぜ。早くアップルパイをこの皿に乗せやがれ。」
「どうも。このアップルパイ、冷めていてもかなり美味しいと評判なんですよ。」
「へぇ。確かに美味そうだな。」
カットされたアップルパイを前にし、遠野はうきうきとした表情でフォークを持つ。そん
な遠野が可愛らしいと微笑みながら君島は眺めていた。
「じゃあ、早速いただくとするぜ!いただきます。」
「どうぞ召し上がれ。私も紅茶をいただきますね。」
どちらも相手に用意してもらった好物を口にし舌鼓を打つ。
「美味しいです。ありがとうございます。」
「このアップルパイ、最高だぜ!ありがとな、君島。」
お互いにお礼を言い合うと、しばらく舌に心地良い味を堪能する。残さず食べきると、遠
野はほうっと満足気な溜め息をつく。
「はあー、美味かった。」
「喜んでもらえたようで何よりです。」
嬉しそうに紅茶を口に運ぶ君島を遠野はじっと眺める。
「何です?」
「君島は、今でも俺のこと嫌いか?」
「いきなり何ですか?」
唐突な遠野の質問に君島は少々困惑する。
「いや、単純にどうなのかと思ってよ。高校生のときは、お前、俺のこと嫌いオーラ出し
まくりで、俺の左膝を狙って壊そうとしてたし。まあ、俺自身はそれを気にしてるわけで
はねぇんだけどよ。最近は何つーか・・・嫌われてるって感じはしなくて、むしろ、がっ
つり好きを伝えてくるなーと思って。」
今でも遠野のプレイスタイルはどうかと思っている部分はあるが、W杯中に和解をしてか
らは、遠野に対するマイナスな感情はほとんどなくなっていた。
「遠野くんは私に嫌われていた方がよいのですか?」
「いや、君島が俺のことどう思っていようが構わないと思ってるぜ。俺は君島のこと好き
だし。でも、まあ、やっぱ好きな奴に素直に好きって言われるのは嬉しいと思うぜ。」
それを聞いてドキッとしながら、君島はどう答えようか考える。
「今でも処刑の話ばかりされるとときどき鬱陶しいと思うときはありますが、嫌いではな
いかな・・・。仕事で会えない日が続くと、こんなふうに会いに来たくなるくらいには、
遠野くんのこと、好きだと思っていますよ。」
「へぇ、なるほどな。」
さらっと返しているが、遠野の顔には嬉しさが滲み出ていた。その表情はずるいと君島の
胸はきゅんきゅんとときめいてしまう。
「遠野くん。」
「ん?何だよ?」
「キスしてもよいかな?」
「っ!?べ、別に構わねぇぜ。」
君島の質問にドギマギとしながら遠野は答える。紅茶を置くと、隣に座っている遠野の頬
に触れ、優しく唇を重ねる。一度では満足出来ず、何度も口づけを施す。物足りなさから
遠野の唇を軽く舐めると、遠野は小さく口を開く。それはもっと深い口づけをしてもよい
という合図であった。
(本当止まらなくなってしまう・・・)
唇の隙間から舌を入れ、遠野の舌に触れる。それに応えるかのように遠野は舌を伸ばし、
君島の舌を受け入れる。
「んっ・・・んんぅ・・・」
(やっぱ君島とキスするの好きだ。ドキドキするし、気持ちイイし。それに、君島が俺の
こと好きってのがすげぇ伝わってくるんだよなぁ。)
キスをされながらそんなことを考えていると、せっかく落ち着いてきていた熱が反応して
きてしまう。
「はっ・・・君島・・・」
「イイ顔していますね。また、したくなってきてしまいました。」
「いいぜ。みんなに愛されるキミ様のイケナイ欲求を解消させられるのは、この俺だけだ
からなあ!」
「随分なこと言ってくれますね。まあ、間違ってはないですけど。」
そう言うと君島は先程着たばかりのズボンと下着を脱がせてしまい、座っているソファの
上に遠野を倒す。
「さっきの今なので、きっとすぐ入りますよね。」
自分も下に穿いているものを脱いでしまい、先程のキスで勃ち上がっている熱を遠野の蕾
に押しつける。
「んんっ・・・」
「ふふ、可愛いですね、遠野くん。」
「ハァ・・・余計なこと言ってねぇで、さっさと来やがれ!」
「そんなに欲しいんですか?仕方ないですね。」
遠野の脚を広げながら、君島は腰を進める。バスルームでしてからそれほど時間は経って
いないので、遠野のそこはいとも簡単に君島の熱を受け入れる。
「あああぁぁっ!!」
「バスルームでは結構激しめにしてしまったので、今回は少しゆっくりしてあげますね。」
そう言いながらも君島はひとまず根本まで遠野の中に挿入する。奥まで君島が入っている
感覚に遠野は荒い息を吐く。
「んぅ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
熱を奥まで埋めたまま、君島は軽く腰を落とす。そして、遠野の内側の上部を抉るように
ゆっくりと抜いていく。
「ああっ・・・ああぁんっ・・・!!」
完全に抜けてしまうギリギリのところまで引き抜くと、今度は一気に奥まで挿れる。
「ひああぁぁっ・・・!!」
「どうです?気持ちいいでしょう?」
「き、君島ぁ・・・それ、ヤバイ・・・上の方擦られるのが、マジたまんねぇ・・・」
素直な感想を口にする遠野に気を良くし、君島はしばらくそれを続ける。抜かれていると
きはぶるぶると下肢を震わせ、再び奥まで挿入されればビクンと腰を跳ねさせる。遠野が
感じれば、キュッと内側や入口が締まるので、君島自身も大きな快感を感じていた。
(これは結構私の方もキますね・・・)
「んあっ・・・ああっ・・・君島ぁ・・・!」
甘い声を上げ続けている遠野を眺めていると、君島あることに気づく。遠野の着ているシ
ャツの胸のあたりに小さく盛り上がっている部分がある。これは確かめなければと、君島
は遠野のシャツを鎖骨あたりまで捲り上げる。
「なっ!?」
「おやおや、遠野くんのココ、随分可愛らしくたち上がってますね。」
「み、見るなっ・・・!」
「見るな?触って欲しいの間違いでしょう?」
気持ちよさから充血してたち上がっている胸の突起を君島は少し強すぎるくらいの力で抓
む。両方の突起を強く抓まれ、遠野はひどく感じてしまう。
「やああぁぁんっ・・・!!」
「くっ・・・」
今までになく中が大きく収縮するので、君島にも大きな快感が走る。
「ココ弄られるのそんなに気持ちいいんですか?遠野くんの中、すごく締まってますよ。」
「ああっ・・・ダメぇ・・・そこ、弄るなぁ・・・」
「何故です?気持ちいいんでしょう?」
「ふああぁっ・・・!やっ・・・ああぁんっ!!」
コリコリと擦ってみたり、ぎゅっと抓んでみたりと、様々な方法で君島は遠野のそこを弄
る。そのたびに遠野の下肢はビクビク震え、いい具合の力で君島の熱を締めつける。
「んんっ・・・そこ、そんなに弄られたら・・・気持ちよくて、イッちまう・・・」
「いいんじゃないですか?遠野くんの中が気持ちよすぎて、私もそんなに持たなそうなの
で。」
「はあっ・・・ああっ・・・君島ぁっ・・・」
快感に溺れている遠野の顔を見て、君島の中にある欲求が生まれる。
(私の出したものを遠野くんに飲んで欲しい。)
「遠野くん、一つお願いがあるのですが・・・」
「ハァ・・・何だよ・・・?」
すっと遠野の耳元に口を近づけ、して欲しいことを囁く。それを聞いて驚いたような表情
になる遠野であったが、その後すぐに口元を緩ませ頷く。
「いいぜ・・・ちゃーんとココに出すんだぞ?」
自分の口を指差しながら、遠野はそんなことを口にする。この状況で煽ってくるのはさす
がだと思いながら、君島は事を続ける。
「あっ・・・あんっ・・・そこ、やっぱ気持ちイイっ・・・!」
「ハァ・・・そろそろイカせてあげますよ、遠野くん。」
胸の突起を弄りながら、遠野の一番弱い場所を集中して責める。込み上げてくる絶頂感に
抗えず、遠野は限界を迎える。
「ああぁっ・・・!イクっ・・・―――っ!!」
達しているときの内側の気持ちよさは格別だと思いながらも、自分も達する直前で君島は
自身を引き抜く。君島が熱を引き抜くと、遠野はぐっと身体を起こし、大きく口を開け舌
を出す。
「んっ・・・遠野くんっ・・・!!」
「んあっ・・・ああぁ――っ!!」
遠野の舌をめがけて君島は白濁の蜜を放つ。熱い蜜が舌や口内にかかる感触に遠野は興奮
し、ゾクゾクとその身を震わせる。
「ハァ・・・ハァ・・・私の出したモノ、ちゃんと飲んでくださいね、遠野くん。」
「んん・・・んっ・・・」
ごくん・・・
たっぷりと出されたそれを少しも溢すまいと、遠野はしっかりと口を閉じ、一気に飲み込
む。
(あっ、この感じちょっとヤバイかも・・・)
「んんっ・・・んんんっ!!」
君島の蜜を飲み込みながら、遠野は再度達してしまう。そんな遠野の様子を見て、君島は
どうしようもなく興奮してしまう。
「飲み込みながらイッてしまうなんて、本当に遠野くんはやらしいですねぇ。」
「ハァ・・・ハァ・・・しょうがねぇだろ!お前の飲み込んでるって思ったら、すげぇ気
持ちよくなっちまったんだからよ。」
「そういう正直なところ、昔は嫌いでしたけど、今は大好きです。」
嬉しそうな笑みを浮かべながら、君島はそう口にする。それはそれで少し恥ずかしいと思
いながら、遠野は腕で顔を隠す。
「シャツを捲り上げていたので、汚れたのは遠野くんのお腹だけですみましたね。」
「まあ、お前のは俺が飲んでやったしな。」
遠野のその言葉で、君島は何かを思いついたような顔をする。そして、先程のように遠野
の身体を軽く倒すと、遠野の腹に口をつける。
「っ!?」
遠野の放った蜜をゆっくりと舌で舐め取り、その部分を綺麗にしていく。舐め取った蜜は
そのまま飲み込み、舐めたことでほんの少し濡れたそこはティッシュで拭き取る。
「遠野くんのここも綺麗にしてあげましたよ。」
「お前、何やって・・・」
「私も遠野くんのを舐めて飲んだので、おあいこですね。」
まさかそんなことをされるとは思っていなかったので、遠野の顔は耳まで真っ赤に染まる。
「と、とりあえず、もう服着るからな!」
「そうですね。」
下に穿いていたものを穿き直すと、二人はソファに座って一息つく。
「お前、意外としたがりだよな。ちょっとは期待してたけど、いきなりこんなたくさんす
るとは思ってなかったぜ。」
疲労感から君島の肩に頭を預けながら、遠野はそんなことを言う。
「遠野くんも何だかんだでノリ気だったじゃないですか。まあ、遠野くん相手だと自制が
効かなくなるのは確かですね。」
「ふーん、そんなに俺が好きなのかぁ?」
冗談めいた口調でそう尋ねると、君島は少し考えた後その言葉に答える。
「それもありますが、遠野くんはどんな私でも受け入れてくれるので、そこに甘えてしま
っているところはあるでしょうね。」
どんなに不機嫌な態度を見せても、古傷を狙って潰そうとしても、そして、それに気づい
ていたとしても、遠野は君島のことを嫌ったり憎んだりはしなかった。むしろ、それらを
全て受け入れた上で、好きだと口にする。芸能人やアイドルをしているときには決して見
せない自分の中にあるマイナスな部分。どんな自分を見せたとしても、遠野は自分のこと
を嫌うことはない。その安心感が君島を少しわがままにさせていた。
「別にいいんじゃねーの?甘えられるなら甘えときゃ。やっぱ、芸能人って大変そうだし
な。芸能人してるときには見せらんねぇお前のヤバイ部分、受け止められるのなんて俺く
らいなもんだからな!」
自信満々にそう言ってくる遠野に、言いようもない安心感と愛おしさを感じ、君島はふっ
と笑う。
「そうかもしれませんね。遠野くんには、ファンのみんなとは違う形の愛を存分に捧げて
あげますよ。」
「おっ、言うじゃねーか。だったら俺も心臓を捧げてやらねーとな!」
「遠野くんは表現が大袈裟すぎなんですよ。そこはハートくらいにしておくのいいと思い
ますよ。」
そんなのはどっちでもいいだろうと遠野は笑う。君島といられることが嬉しくて、遠野も
少しわがままを言いたくなる。
「なあ、君島。休みの間、俺と一緒にいろよ。普段そんなに会えねーんだし。」
「私は始めからそのつもりでしたよ?」
「っ!?本当か!?」
「遠野くんとショッピングもしたいですし、久しぶりに一緒にテニスをするのも良いです
ね。それから、家にいる間は先程したようなことを存分にしたいです。」
「大賛成だぜ!!いろんなことして楽しもうぜ、君島!!」
まだまだ君島と一緒にいれると知った遠野のテンションは一気に高くなる。ここまで喜ば
れると悪い気はしないと、君島はクスっと笑う。
「紅茶も冷めてしまいましたし、淹れ直してもう少しゆっくりしましょうか。二人でね。」
遠野が買ってきてくれた紅茶を飲みながらもっと話がしたいと君島はカップを持って立ち
上がる。君島と遠野が二人で過ごす休日はまだまだ始まったばかりだ。
END.