Brother Complex

「それじゃ、留守番頼んだで。」
「寝る時はちゃんと戸締りしろよ。」
氷帝一家の両親である忍足と岳人は、跡部と宍戸にそう声をかける。今日から家族旅行の
予定なのだが、高校三年生である宍戸と中学三年生である跡部は、受験を控えているため
に今回の旅行はパスしたのだ。
「分かってるって。な、景吾。」
「ああ。俺達のことは気にせず、楽しんでくればいい。」
「ちゃんとお土産は買ってくるから。リクエストがあるなら、後でメールして。」
「おう。」
「ほら、早く出ねぇと電車に間に合わなくなっちまうぜ。」
「せやな。ほなら、出発するか。」
「おう。じゃ、いってきまーす。」
岳人と忍足を先頭に、滝、鳳、ジロー、樺地は玄関を出る。そんな五人を見送ると、跡部
と宍戸はリビングへと戻って行った。
「んー、今日から数日間はお前と二人かー。なかなかこういうことはないから、何か変な
感じだな。」
「確かにな。兄弟も多いし、普段はだいぶにぎやかだもんな。」
「つーか、景吾は行ってもよかったんじゃねぇの?お前、別に今更勉強しなくても、受験
なんて全然余裕だろ。」
「当然だ。でも、まあ、今回はお前が残るって言うからよ。」
「俺が残るから、景吾も残ったってのか?」
「まあな。お前一人じゃ心配だからな。」
「俺のが兄貴なんだけどなあ。何で弟のお前にそこまで心配されなくちゃいけねぇんだよ。」
言葉では文句じみたことを言っているが、そう言う宍戸の表情はどこか嬉しそうであった。
正直、数日間も一人で過ごすのは少し寂しいと思っていたのだ。跡部が一緒に残ってくれ
るのであれば、寂しいことも暇になりすぎることもないので、留守番をしていても全く問
題がないと、宍戸は心から安心していた。
「とりあえず、夕飯はピザでもとって食うか。二人でだから、一つでも十分食べれるぜ。」
「ああ、構わないぜ。あっ、そうだ。」
「どうした?」
「旅行には行けなかったが、ちょっと温泉気分でも味わうために、今日は二人で風呂に入
らねぇか?」
「おー、いいんじゃねぇ?お前と一緒に風呂入るのも激久しぶりだな。」
一緒に風呂に入ろうという跡部の誘いに宍戸は笑顔で頷く。予想よりよい感じの反応を返
してくれる宍戸に、跡部は心底嬉しくなった。これから数日間、宍戸と二人っきりでいら
れること、それは、跡部にとってはこの上ないチャンスであった。

夕飯に大きなピザを二人で食べ、十分すぎるくらいにお腹がいっぱいになる。しばらくテ
レビを見たり、他愛もない話をして食休みをした後、宍戸は風呂に入る準備を始める。
「風呂溜めて、入る準備するから、お前も準備しとけよ。」
「ああ。分かった。」
自分の部屋に着替えを取りに行くと、跡部はふっと口元を緩ませる。宍戸と一緒に風呂に
入り、どんなことをしてやろうかと頭の中で様々な計画を巡らせた。そんなことを考えな
がら、宍戸のもとへ戻ってくると、宍戸はもう入る気満々な状態であった。
「風呂溜まったみてぇだし、早く入ろうぜ。」
「そんなに急がなくてもいいだろ。」
「せっかく久しぶりにお前と一緒に風呂入るんだから、ちょっとでも長く入れた方がいい
だろ?」
二カッと笑いながら、宍戸はそんなことを口にする。そんな宍戸の言葉を聞いて、跡部の
胸はひどく高鳴った。
(そんなこと言われたら、期待しちまうだろうが。)
そんな跡部の気持ちを知ってか知らずか、宍戸はさっさと服を脱いでしまい、湯気の立つ
浴室に跡部より一足先に入る。家風呂なので、もちろんタオルなどは巻いたりはしない。
完全に全裸となっている宍戸の後ろ姿に、跡部は少なからず興奮していた。
「景吾も早く来いよ。」
「あ、ああ。今、行く。」
浴室の中から呼ばれ、跡部は身につけていたものを全て脱ぎ去り、宍戸のいる浴室に入っ
た。宍戸は既に湯船に入り、気持ちよさそうに伸びをしている。
「んー、やっぱ、風呂は気持ちいいな。」
「そうだな。うちの風呂は結構広いからある程度ゆったり出来るしよ。」
「景吾も入れよ。」
「ああ。」
浴槽の縁に腕をかけながら、宍戸は跡部を誘う。軽くお湯を体にかけた後、跡部は宍戸の
隣に入った。跡部が入った分だけ増えるお湯に、宍戸はやっぱり今までとは違うなあと感
じる。
「ほんの数年前までは、あんなに体格差があったのに、今じゃ大して変わらねぇよな。」
「そりゃそうだろ。俺だってもう中三だぜ?」
「そうだよなあ。今じゃちょっと景吾のが大きいくらいだもんな。」
「まあな。でも、亮はそれでいいと思うぜ。全体的にはバランスとれてるしよ。」
「んー、景吾より小さいのはちょっと悔しいけど、そう言ってもらえるならまあいいかな。」
そんなことを言いながら、宍戸はザバッと湯船から上がり、髪を洗い始める。湯船はそれ
なりの大きさがあるが、シャワーは一つしかないので、宍戸が使い終わるまで、跡部は宍
戸をじっと眺めていた。
(本当、いい体してるよなあ。ああ、すげぇ触りてぇ。)
「なあ、亮。」
「ん?何だ?」
「今日は俺が体洗ってやるよ。せっかく二人で入ってるんだから、そういうのも悪くねぇ
だろ?」
「そうだな。いいぜ。もうちょっとで髪洗い終わるから、少し待ってろよな。」
「ああ。俺も先に髪洗っちまうから、ゆっくりで構わねぇぜ。」
とりあえず髪を先に洗ってしまおうと、二人はいつもより少しだけ急いで髪を洗う。
「よし、終わり。」
「俺も後は流せば、終わりだぜ。」
「んじゃ、景吾が流し終わるの待ってるな。」
跡部が髪を洗い終えるのを、宍戸は浴室用の椅子に座って待つ。水で濡れた髪をかき上げ
る跡部を見て、何だかカッコイイなあと宍戸はほんの少しドキドキしてしまう。
(景吾の顔、マジ綺麗だよなあ。俺とは全然違う系統の顔だし。水に濡れてる感じとか、
結構クるなあ・・・って、弟相手に何考えてんだよ、俺!!)
「終わったぜ、亮。」
「お、おう。んじゃ、体洗うの頼むぜ。」
「ああ。」
何の疑いもなしに体を洗うことを頼む宍戸に、跡部の鼓動は一気に速くなる。柔らかいス
ポンジにボディーソープをたっぷり染み込ませると、跡部は宍戸の背中をゆっくり洗い始
めた。
「人に洗われるのって、あんまり慣れてないから、ちょっとくすぐったいな。」
「亮はくすぐったがりだもんな。こことか特にだろ?」
「あはは、脇はダメだって!!マジくすぐったいから!!」
跡部が脇の辺りを洗うと、宍戸は身をよじらせてくすぐったそうに笑う。この反応はこの
反応で可愛いなと思いつつ、跡部が見てみたい反応はこんなものではなかった。
「背中と腕はこんなもんだろ。次は足洗うぜ。」
「お、おう。」
跡部も椅子に座りながら、後ろから腕を回すようにして、太ももから爪先にかけてを優し
く洗う。柔らかいスポンジが肌を滑るたび、宍戸はくすぐったさとはほんの少し違う感覚
を感じていた。
(うわっ、何か・・・この感覚はちょっとヤバイかも・・・)
「あ、あのさ、景吾っ、やっぱ足とか前の方は自分で洗いたいんだけど・・・」
「何でだよ?洗わせてくれるって言ったじゃねぇか。俺に洗われるのは嫌なのか?」
「べ、別にそういうわけじゃねぇんだけどよ・・・」
「なら、構わねぇだろ。」
洗わせろと言わんばかりの跡部の態度に、宍戸はそれ以上何も言えなくなってしまう。一
度意識してしまうと、感覚はより敏感になってしまう。跡部がスポンジで足を撫でるたび、
ゾクゾクとした甘い痺れが宍戸の体を熱くする。反応してしまいそうになるのを必死で堪
え、足の間を宍戸は腕で隠そうとした。
「足は綺麗になったぜ。」
「さ、サンキューな。」
「次は上半身だな。」
そう言うと、跡部はぎゅっと宍戸の体を抱きしめるようにして、上半身を洗い始める。跡
部の体がピッタリと背中に触れている状態に、宍戸の心臓はありえないほど速くなる。
(ど、どうしよう・・・すげぇドキドキしてきた。こんなになってるの・・・景吾にバレ
たら・・・・)
そんなことを考えていると、柔らかいスポンジが不意に胸の突起を擦る。跡部のことを意
識し、感覚が鋭敏になっている宍戸にとっては、その刺激は堪え難いものであった。
「ひゃっ・・・あっ・・・!!」
思わず漏れてしまった声に、宍戸の顔は真っ赤に染まる。手の甲で口を塞ぎ、恥ずかしさ
から小さく体を震わせる。
「ココ、くすぐってぇのか?」
見たかった宍戸の反応が少しずつ表れてきているのに気づいて、跡部は楽しそうな笑みを
浮かべ、同じ部分を少し強めに擦る。先程よりもあからさまな刺激に宍戸の体はビクンと
跳ねた。
「んっ・・・ふぅっ・・・・!!」
「亮。」
「あっ・・・やだ、景吾っ・・・」
唇をピッタリと耳につけ、低い声で囁けば、宍戸はさらに大きな反応を見せる。ふるふる
と震え、軽く呼吸を乱している宍戸を見て、跡部はどうしようもなく興奮する。宍戸が必
死で腕で隠そうとしている部分をどうにかして見てやろうと、跡部は足の間に置かれた腕
をぐいっと引っ張った。
「だ、ダメっ・・・見るなっ!!」
羞恥心から宍戸は泣きそうな声で跡部にそう訴える。しかし、跡部は宍戸のその部分を見
て、これはもういくしかないと、自分のしたいと思っていたことをし始める。
「俺に洗われるの、そんなに気持ちよかったのか?」
「・・・・・っ」
「安心しろ。ここもちゃーんと、洗ってやるからよ。」
「なっ!?やっ・・・ダメっ・・・あっ!!」
スポンジの泡を掌にたっぷりとつけ、跡部は宍戸の熱を利き手でぎゅっと握る。そして、
その熱を丁寧に洗い始めた。
「あっ・・・ひあっ・・・景吾っ・・・ああぁっ・・・・」
あまりに直接的な刺激に宍戸はもう為すすべがなかった。こんな状態になっているだけで
も死ぬほど恥ずかしいのに、一番恥ずかしい部分を跡部に弄られている。いけないという
思いと自分でするのとは全く違う快感に、宍戸の思考回路はショート寸前だ。
「んっ・・・い・・やぁ・・・・景吾ぉ・・・・」
「いい声で鳴くじゃねぇか。すげぇ興奮するぜ。」
「こんなの・・・ダメ・・・ダメなのにぃ・・・ひあっ・・・ああっ・・・!」
「ダメなのに何だよ?」
「気持ち・・・い・・・ダメなのに、もっと・・・して欲し・・・・」
今まで味わったことのない快感に、宍戸は跡部に問われるままに感じていることを口にし
てしまう。それを聞いて、跡部は体の奥が熱くなるのを感じる。それならば、もっとよく
してやろうと、さらに激しく宍戸のそれを擦った。
「ああっ・・・ああぁっ・・・!!」
「俺にこうされて、気持ちいいんだろ?亮はエッチだな。俺にこんなことされて、ココを
こんなにして。」
耳元で恥ずかしくなるような言葉を囁かれ、宍戸の体は更に熱くなる。直接的な刺激と跡
部の言葉に宍戸の絶頂感は一気に高まっていった。
(ああ、ヤバイっ・・・こんな気持ちいいの・・・もう耐えられない・・・)
「ああっ・・・やっ・・・景吾っ・・・・も・・・あっ・・・あああぁ―――っ!!」
ビクンと泡まみれの体を跳ねさせると、宍戸は勢いよく真っ白な精を放つ。跡部の手で達
かされた恥ずかしさと全身を満たす絶頂感から、宍戸は激しく呼吸を乱し、その身を跡部
に預けた。
(ああ、マジで可愛い。こりゃもっと先へ進まねぇと損だな。)
泡と宍戸の放った熱をシャワーで流すと、跡部は宍戸を椅子から下ろし、浴槽の壁へとそ
の体を押しつける。達したことで、頭が真っ白になっている宍戸は跡部にされるがままだ。
「亮、俺がこういうことするのは、悪戯でも嫌がらせでもねぇからな。」
「・・・・なら、何で・・・?」
「お前のことが好きで好きでたまらねぇからだ。兄弟だろうが、男同士だろうが、そんな
ことは関係ねぇ。俺はお前のことが好きだ。それで十分だろ?」
冗談とは思えないような跡部の言葉に、宍戸の胸はひどくときめいていた。宍戸も跡部の
ことが大好きであった。もうここまでくれば、弟だからというようなことは関係ない。う
っとりとした色気たっぷりの表情で、跡部の顔に軽く手を添えると、宍戸はふっと笑った。
「俺もガキの頃からずっとお前のこと大好きだぜ。生意気で、ナルシストで、自信過剰で、
弟としちゃムカツクこともいっぱいあるけど、それも含めて俺はお前が好きだ。お前がし
たいと思うこと、全部してもいいぜ。」
まさか宍戸からこんな言葉がもらえるとは思ってもみなかったので、跡部はもう嬉しさと
興奮で、自分自身が抑えられなくなっていた。噛みつくように宍戸の口にキスをし、その
手で宍戸の肌をなぞる。
「んっ・・・んぅ・・・っ!!」
胸から腹に指を滑らせた後、跡部はその指をそのまま宍戸の双丘の間に持っていく。そし
て、きゅうきゅうと切なそうに収縮を繰り返している入口に触れた。
「ふぁっ・・・そ、そこは・・・っ・・・」
思わず唇を離して焦るような表情を見せる宍戸に、跡部はニヤリと笑いながら低い声で囁
く。
「ダメじゃねぇだろ?知ってるんだぜ、お前が自分でするとき、こっちの方も弄ってるっ
てな。」
「なっ・・・!!」
「亮がどんなの見ながらしてるかも知ってる。どんなのが好きなのかも知ってる。結構、
無理矢理されるのとか好きなんだろ?」
「ち、違っ・・・・」
「今日は指で弄るだけじゃ味わえないような気持ちよさを味わわせてやるよ。」
もうそんな跡部の言葉だけで、宍戸の体の奥は熱くなり、ゾクゾクとどうしようもないほ
どの痺れを感じる。と、次の瞬間、跡部の指が中へと入ってくるのを感じる。
「ひっ・・ぅ・・・・ああぁっ!!」
「ほら、全然苦労しないで入っちまったぜ。それに、中に指入れられて感じてんだろ?」
「うあっ・・・景吾っ・・・景吾ぉ・・・・」
自分で弄ったことあるとは言えども、人にされるのはまた感じ方が異なる。跡部の腕をぎ
ゅうっと掴みながら、宍戸は内側から生まれる言いようもない快感に腰を揺らす。
「もうだいぶほぐれてきてるぜ。普段自分でしてるだけあるな。」
「んっ・・・違う・・・そんなことな・・い・・・・」
「別に隠さなくたっていいだろ。」
「やっ・・・恥ずかし・・・・何で景吾・・・そんなこと知ってんだよぉ・・・・」
「アーン?さっきも言っただろ。俺はお前のことがすげぇ好きなんだよ。だから、お前の
ことは全部知りたいと思ってな。ココが堪らなく感じやすいってことも知ってるぜ?」
「ひあっ・・・ああぁんっ!!」
自分では絶対にしないような力で一番感じる場所を押され、宍戸は思わず達してしまう。
二度目の絶頂の余韻に、とろけたような顔で跡部を見上げた。
「ハァ・・・ハァ・・・・」
「その顔、本当堪んねぇぜ。そろそろ大丈夫だよな。」
「だ、大丈夫って・・・何が・・・?」
「俺様をお前の中に入れる準備がだよ。」
そう言うと、跡部は既に十分な質量を持った熱を宍戸の入口に押し付ける。
「あっ・・・やっ・・・・」
「いくぜ。」
宍戸の肩にしっかりと手を置くと、跡部はそのままその身を進める。跡部の熱に押し広げ
られた入口は、いとも簡単に跡部の熱を飲み込んだ。
「うあっ・・・ああぁ―――っ!!」
「まだ少しキツイが、悪くねぇ感じだぜ。」
「あっ・・・景・・吾・・・・」
「馴染むまで、キスしといてやるよ。」
「ん・・・んぅ・・・」
自分の中に跡部が入っている感覚に、宍戸は戸惑いと言葉にはならないほどの高揚感を覚
える。弟とこんなことをしてしまっているという背徳感と自分の一番好きな者と繋がって
いるという満足感。相反する気持ちが宍戸の中で混じり合い、宍戸の理性を奪っていく。
(ああ、体も頭ん中も全部、景吾でいっぱいだ・・・)
その感覚は宍戸にとっては非常に気持ちのよいもので、よりその感覚を感じようと、宍戸
の内側はもっと奥まで跡部を取り込もうと蠢き出す。
「ハァ・・・何か急にすげぇよくなったぜ。」
「あっ・・・ん・・・景吾・・・もっと奥まで・・・来いよ・・・・」
「ああ。」
跡部の首に腕を回し、宍戸は自らも跡部に腰を差し出す。跡部が身を進め、宍戸が腰を差
し出したことで、二人の繋がりはより深いものとなる。
「んんっ・・・ああぁっ・・・・」
「くっ・・・マジでよすぎだ。」
内側の熱がぎゅうぎゅうと締めつけられ、跡部は思わずそんな言葉を漏らす。これだけで
も十分すぎるほど気持ちがよいが、もっとよくなりたいと跡部は無意識に腰を動かしてい
た。
「ひあっ・・・やっ・・・ああぁんっ・・・・!!」
「動くと・・・全部が擦れて、たまんねぇ・・・・」
「いっ・・・あっ・・・・中擦れて・・・熱くて・・・・こんなの・・・・」
「ハァ・・・亮の中、すげぇイイ。」
宍戸の中のよさに跡部はすっかり夢中になり、感じるままに宍戸の内側を犯す。跡部が感
じるのに比例して、宍戸の感じ方も大きくなる。どちらも今までに感じたことのない快感
に、体も心も完全に奪われていた。
「ああっ・・・景吾っ・・・景吾っ・・・んっ・・・ああぁ――っ!!」
「なあ・・・中に出していいか?」
「んんっ・・・出して・・・中、もっと景吾でいっぱいに・・・・」
「・・・・っ、亮っ・・・!!」
「ふあっ・・・ああぁ―――っ!!」
宍戸の中に全てを埋め、跡部はその内側に熱い雫を迸らせる。跡部の熱が自分の中で脈打
つのを感じながら、宍戸も先程よりも何倍も大きな快感を感じて達した。
(ああ、景吾のが中に・・・すげぇ気持ちイイ・・・・)
「景吾・・・」
「ハァ・・・どうした?」
「大好き。」
「・・・・っ!!」
とろけたような笑顔で、宍戸は跡部にそう言い放つ。そんな宍戸に跡部はもう完全に落ち
た。今までも相当であったが、兄弟の一線を越えることをしてしまったことにより、跡部
はさらに宍戸に夢中になることになった。

もう一度体を洗い、二人は長い入浴の時間を終える。パジャマに着替え、寝室に向かおう
とする二人だが、何だか気恥ずかしく部屋の前に来るまでは何も喋れなかった。それぞれ
の部屋の前まで来ると、恥ずかしそうに跡部のパジャマの服を掴みながら、宍戸が口を開
く。
「景吾。」
「何だ?」
「今日は、景吾の部屋で寝ていいか?」
頬を赤く染めながらそんなことを言ってくる宍戸に、跡部の心臓はドキンと跳ねる。もち
ろん断る理由など一切なかった。むしろ、跡部もそうしたいと思っていたところだ。
「ああ、もちろん構わねぇぜ。ただ、二人で寝るとなると、さっきみたいなことまたした
くなっちまうかもだぜ?」
冗談っぽく言う跡部に、宍戸は真っ赤になりながらも笑って返事をした。
「すればいいだろ。もう一回しちまったら、何回やっても同じだし。」
「おっ、言うじゃねぇか。だったら、二人きりのこの数日間で、飽きるほどしてやるぜ。」
「臨むところだ。」
何かの勝負でもするかのようなノリで二人はそんな会話を交わす。ガチャっとドアを開け
ると、期待と興奮に胸を高鳴らせながら、二人は部屋の中へと入る。これから数日間は二
人きり。二人だけの時間で、飽くまで想いを伝え合おうと、部屋に入ってすぐ二人は軽い
口づけを交わした。

                                END.

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