高校1年生でU−17の日本代表候補に選ばれた君島は、芸能活動との両立とダブルスを
組まされた遠野への不満でイライラしていた。
(処刑テニスって何なんだよ!あんな野蛮なテニスするヤツとダブルスなんて本当ありえ
ない。明日はCMの撮影で練習時間も限られてしまうし、全く・・・)
イライラを募らせたまま、君島は寮の部屋に戻る。寮の部屋割りはランクが上位であれば
ある程度の希望は通るが、君島達高校1年生のメンバーはコーチ陣の采配で決められてい
た。
「はあ・・・どうにかしてこのイライラを鎮めないと。」
(確か部屋割りとしても同じだった気がするけど、まだ練習したいからトレーニングルー
ムに行くって言ってたな。しばらく帰って来ないだろうし、少しくらいなら・・・)
ストレス解消の方法は、時間があればいくらでも思いつくが、思春期真っ只中の君島にと
って、手っ取り早くモヤモヤを解消出来る方法は、一人ですることであった。まだ遠野は
戻って来ないだろうと予測し、二段ベッドの下の段に腰かけ、ズボンを脱いだ。
通常練習を終えた後、遠野はトレーニングルームで筋トレをしていた。本当はもう少しや
っていきたかったのだが、緊急の点検が入ったとのことで、中断せざるを得なくなった。
「はあ・・・気が削がれちまったし、とりあえず部屋に戻るか。」
予定していた時間よりもかなり早く遠野は部屋に戻ることにする。
(俺のプレイが気に入らないって、アイツ文句ばっか言ってくるからなあ。アイドルだか
なんだか知らねぇが、俺の処刑テニスに文句言われる筋合いはねぇっての。)
遠野も心の中でぼやきながら、寮の部屋へと向かう。部屋のドアの横に『君島・遠野』と
書かれているのを確認し、特にノックなどもせずに遠野はドアを開ける。
「んっ・・・んんっ・・・!」
予定よりも早く戻ってきたため、君島がちょうど果てたタイミングに鉢合わせてしまう。
始めは何が起こっているか理解出来ず、ポカンとしてしまう遠野であったが、ふとこちら
を向いた君島と目が合い、事を理解すると、その顔はぶわっと赤く染まる。
(これは見ちゃいけねぇヤツじゃねーか!?仮にもコイツ芸能人でアイドルなんだろ!?
そんなやつのそーいうとこ見ちまったって、いや、待て待て、どうするのが正解だ?)
自分でそういうことをすることはあっても、当然のことながら他人のそういうところを見
たことがなく、処刑とテニスにばかりに興味を向けている遠野にとって、この状況はどう
対処すればよいか分からないものであった。しかし、それは君島も同じであった。
(と、とりあえず、部屋を出ないと・・・)
慌てた様子で、遠野が部屋から出ようとすると、同じようにパニックになっている君島が
大声でそれを制止する。
「逃げるな!!遠野篤京!」
「っ!!」
怒鳴るようにフルネームを呼ばれ、遠野はビクッとして固まってしまう。
「へ、部屋の鍵を閉めて、こっちへ・・・」
「い、いや、でも・・・」
「いいから!」
君島が何を考えているのか分からず、遠野はドギマギとしながらも言われた通り鍵を閉め、
君島のもとへ行く。果てた直後の君島は、軽く呼吸が乱れ、整った顔にはとても高校生と
は思えないほどの色気が漂っている。そんな君島を間近で見て、遠野の心臓は壊れそうな
ほど高鳴っていた。
(さて、この後どうしたものか・・・)
君島の要望としては、このことを誰にも言わないで欲しいという単純なものであった。し
かし、この状況に混乱している君島はそれがよく分からなくなっていた。
「タ、タイミング悪く帰って来ちゃったのはわりぃ。」
「別に・・・」
「そ、そういうこともあるよな!だから、そんなに気にしなくても・・・」
顔を真っ赤にしながら、遠野は君島にそう伝える。そんな気休めを言われたところで納得
出来ないと思っていると、君島はあることに気がつく。
「おや?」
「な、何だよ?」
「遠野くんも少し勃ってますよ?」
「なっ!?」
君島が未だに下を穿いていないこととドキドキしている状況が続いていることで、遠野の
熱も反応してしまっていた。
「こ、これは・・・」
「そうだ!遠野くんも自分でしているところをボクに見せてください。それでおあいこで
しょう?」
「はあ!?そんなこと出来るわけ・・・」
「だったら・・・」
遠野に見られてしまった恥ずかしさを誤魔化すため、君島はなりふり構っていられなかっ
た。遠野のズボンと下着をぐいっと引っ張り、先程自分が放ったモノで濡れたままの手で
遠野の熱を握る。
「んあっ・・・!!」
「ボクがしてあげますよ。」
「ちょっ・・・待っ・・・あぁんっ!!」
ダブルスのパートナーになったばかりの相手にそこを弄られている衝撃よりも、こんな状
況になっている恥ずかしさよりも、遠野の頭を埋めつくしているのは、味わったことのな
い大きな快感と興奮であった。
(何だよこれ!?こんなに気持ちイイの初めてだ!君島の手ヌルヌルしてるし、って、こ
れって君島の・・・)
君島の手についているのが君島の放ったモノだと気づき、遠野はさらに興奮してしまう。
君島のすることに一切抵抗せず、むしろそれを受け入れ、遠野は大きめの声を上げる。
「ああっ・・・君島っ・・・やあぁんっ・・・!」
(これは予想以上に・・・)
自分のすることに抵抗せず、綺麗な顔を歪ませて喘いでいる遠野に君島はドキドキしてき
てしまう。
「あっ・・・気持ちイイっ・・・君島ぁ!!」
さすがに遠野の声が大きすぎると気づいた君島は、少し抑えるように遠野に声をかける。
「遠野くん、声が大きいです。少しボリュームを下げて・・・」
「んなこと言われても・・・あっ・・・ああぁっ!!」
むしろボリュームが上がる遠野の声に君島は焦る。両手を使っているので、手で口を塞ぐ
ことは出来ない。焦った君島は思わずその口で遠野の口を塞いでしまう。
「遠野くん、うるさい!」
「んんっ!?」
まさかキスをされるとは思わなかったので、遠野はさらに混乱しつつも感じてしまう。
(何で俺、君島にキスされてんだ!?もうわけ分かんねぇ・・・)
「んっ・・・んんっ・・・んっ・・・!!」
遠野の口を塞ぎながら、君島はさらに激しく手を動かす。そんな刺激に耐えきれず、遠野
はビクビクとその身を震わせ、君島の手を濡らす。
「んんんっ・・・――――っ!!」
遠野が達すると、その手と口を離し、濡れた手をティッシュで拭く。無理矢理にイかされ
た遠野は激しく息を乱し、蕩けた表情でしばらく君島の顔を呆然と眺めていた。
「ハァ・・・ハァ・・・」
(この表情、すごく可愛い。この顔好きかも・・・)
そんなことを考え、ドキドキとしながら遠野の顔を眺めていると、少し落ち着いた遠野が
口を開く。
「君島・・・」
「・・・何です?」
「俺をこんなふうにするなんていい度胸じゃねぇか。」
「こ、これでおあいこですから。先程のことは誰にも言わないように。」
「端から人に話す気なんてねぇよ。なのにお前はこんなわけ分からねぇことして。」
「それは・・・」
確かに冷静に考えると遠野に対してなかなかひどいことをしてしまったと君島は気づく。
「確かに冷静さを欠いていたことは認めます。」
「君島がしてたことも、俺にしたことも黙っててやる。その代わり・・・」
「何ですか?」
それを伝えるのは恥ずかしいようで、遠野は君島の耳元でこそっと言葉を続ける。
「さっきのメチャクチャ気持ちよかった。だからまたしてくれよ。今度は俺もお前にして
やるから。」
「っ!?」
遠野の言葉を聞いて、君島の顔は真っ赤に染まる。しかし、先程の遠野の顔が見れるのか
と思うと断るのはもったいないと感じる。
「交渉成立ですね。」
「フッ、テメーらしい返事だな。」
君島が頷くような言葉を返すのを聞いて、遠野は嬉しそうに口角を上げる。お互いのこと
は好きになれないが、この秘密の共有によって、どちらも同室であることが苦にはならな
くなった。
練習で上手くいかなかったときや仕事が立て込んでいるとき、昼間はそんな素振りは一切
見せない君島であるが、自室に戻ると何となく不機嫌な雰囲気を醸し出していた。
「今日も随分カリカリしてるな。」
「別にそんなことないです。」
君島のそんな雰囲気に遠野はすぐに気づく。そういうときは決まって君島を誘った。
「テメーのストレス解消、付き合ってやってもいいぜ。」
一旦嫌そうな顔をするものの、その誘いに君島が乗らないことはない。黙って二段ベッド
の下に入り、遠野が来るのを待つ。
(何度かしてるが、やっぱドキドキするな。)
遠野も二段ベッドの下に入ると、平気なふりをしながら君島の顔を見る。
「今日はどうするんだ?」
「横になって、向かい合ったままお互いのをしましょう。」
「わ、分かった。」
言われるまま遠野は横になる。全部脱ぐことはせず、必要な部分を出すような形で互いの
熱に触れる。
「あっ・・・」
「遠野くんのココは本当に敏感ですね。」
「・・・・っ」
そこに触れれば、遠野の表情はすぐに蕩けたものになる。遠野のことは好きではないが、
至近距離で見るこの顔は君島のお気に入りであった。
「んんっ・・・君島ぁ・・・」
「ほら、遠野くん。もっと手をちゃんと動かしてください。」
「はぁ・・・ああっ・・・」
君島に触れられる気持ちよさにビクビクしながら、遠野は懸命に手を動かす。拙い動きで
はあるが、目の前にある可愛らしい表情もあいまって、それは自分でするよりも何倍も心
地のよいものであった。
(こうしてると、遠野くんの嫌なところもイライラしていたこともどうでもよくなるな。)
遠野の様子を見ながら、少し触り方を変えてやると、遠野はまた違った反応を見せる。
「ひゃっ・・・あんっ・・・!!」
「これ、気持ちいいですか?」
「ん・・・気持ちイイ・・・」
本当に気持ち良さそうな顔で、物欲しげな瞳で見てくる遠野に君島の胸はときめく。もう
しばらくこの顔を見ていたいと、絶妙な力加減で熱を握り、なるべく長くイク前の気持ち
よい状態が続くように擦る。
「あっ・・・あんっ・・・んあっ・・・!」
「ハァ・・・んっ・・・」
「君島ぁ・・・んっ・・・」
(ああ、可愛い・・・)
遠野の顔を眺めていると次第に気持ちよさが高まっていく。呼吸が早くなり、遠野の熱を
握っている手にも力がこもる。
「ハァ・・・はっ・・・君島っ・・・もう・・イクっ・・・!!」
「ハァ・・・くっ・・・ぅっ・・・!!」
『――――っ!!』
ほとんど同時に二人は達する。ふわふわするような気持ちよさの中、どちらも目の前にあ
る顔を眺める。
(君島のこの顔好きだ。ドキドキする。)
(すごくいい気分だ。一人でするより何倍もいい。)
「君島・・・」
「何です?」
「もう上行くの面倒くせぇ。このまま寝ていいか?」
「構いませんよ。」
軽く後処理をすると、遠野は横になったまま目を閉じる。程なくして、気持ちよさそうな
寝息が聞こえてくる。
「寝顔も綺麗だな。」
思わずそう呟き、艶やかな髪に触れる。する前に感じていたイライラ感やモヤモヤ感はい
つの間にかどこかに消え去っている。
「ボクもこのまま寝よう。」
自分と遠野に布団をかけると、君島はそのまま目を閉じた。
また別の日、遠野はとあることが試してみたいと読書をしている君島に声をかける。
「君島ぁ。」
「何ですか?遠野くん。」
「ちょっと試してみたいことがあるんだけどよ。」
「新しい処刑法とかなら遠慮します。」
「それも試したいが、今はそうじゃなくて・・・」
少し顔を赤らめながら遠野はそう言う。その雰囲気から何か察した君島は、読んでいた本
を机の上に置く。
「部屋の鍵をかけてください。」
「お、おう。」
ささっと部屋の鍵をかけ、遠野は君島の側に戻ってくる。
「それで、何を試したいんですか?」
「君島のを、口でしてみたい。」
「なっ・・・!?」
「も、もちろん、お前が嫌だっつーんならしないけどよ。」
遠野の提案に戸惑う君島であったが、身体はその提案に反応してしまっていた。
「し、仕方ないですね。」
「なら、していいんだな?」
「ええ。」
君島の許可を得て、遠野は椅子に座っている君島の足の間に膝をつく。そして、既に少し
大きくなっている君島の熱を出すと、ドキドキとしながらそれに触れる。
(これはかなり興奮するかも・・・)
緊張した面持ちでまじまじとそれを見つめている遠野を見て、君島の胸は高鳴る。小さく
深呼吸をすると、遠野は君島の熱の先端にちゅっと口づける。
「んっ・・・」
「は、始めはちょっと舐めてみるな。」
「ええ。」
数度先端に口づけた後、そこをペロっと舐めてみる。思ったよりは味はせず、これならば
そこまで気にせずに出来るかもと、より積極的に遠野は舐め始める。
「んっ・・・ぁ・・・」
遠野の舌が熱に触れるたび、君島はビクッとその身を震わせる。そんな君島の様子を上目
遣いで確認しながら、遠野はどこが気持ちいいのかを探る。
「と、遠野くん・・・!」
「ここ、結構気持ちイイ感じか?」
「あっ・・・そこっ・・・」
君島がよい反応を見せる箇所を見つけると、遠野はそこを集中的に舐める。
(探り探りではあるけど、予想以上に気持ちいいな。これは結構ヤバイかも・・・)
舐めていることで、君島の熱がそれなりに大きくなると、遠野は顔にかかる髪をかき上げ、
大きく口を開ける。そして、君島の熱を咥えられるだけ深くまで口に含んだ。
「うあっ・・・!!」
その瞬間、君島の下肢はビクンと震える。君島の反応が悪くないことを確認すると、口の
中でその熱を吸いながら、表面を擦るように上下に頭を動かす。
「ちょっ・・・それはマズイっ・・・!!」
「んっ・・・んん・・・」
「ハァ・・・うあっ・・・すごい・・・!」
あまりの気持ちよさに君島は、素直にそんな言葉を漏らす。それを聞いて、遠野は嬉しく
なり、しばらくそれを続ける。
(遠野くんの口、すごく気持ちいい。このままだと・・・)
「ハァ・・・遠野くんっ・・そろそろ止めて・・・」
あからさまにイキそうになっている君島の言葉を遠野は無視する。聞こえないふりをして、
より大きく口を動かす。
「くっ・・・もう・・・出る!!」
君島のその言葉を聞き、遠野は口を離すのではなくよりしっかりと口を閉じる。口の中で
君島の熱がビクビクと震え、喉の近くにドロリとした熱い蜜が放たれる。
「んぐっ・・・」
君島の出したものを口の中で全て受け止めると、遠野は口の中のモノを溢さないようにし
ながら君島の熱を抜く。まだ遠野の口の中に自分の出したものが残っていると気づいた君
島は両手を出して、そこに吐き出すように遠野に言う。
「口の中の出してください。」
ふるふると首を振り、遠野は君島のことをじっと見ながら、ごくんと口の中にあるものを
飲み込む。
「ちょっ・・・!?」
「はぁ・・・んー、あんまり美味くはねぇな。」
「そりゃそうでしょ。そんなもの飲み込むなんて・・・」
「けど、すっげぇ興奮した。」
舌を出しながらニッと笑って遠野はそんなことを言う。そんな遠野を見て、君島はドキッ
としてしまう。
「させてくれてありがとな。」
「いえ、別に・・・」
気持ちよくしてもらったのは自分の方なので、お礼を言われるのはちょっ違うのではない
かと君島は恥ずかしそうに目を逸らす。ちらっとだけ遠野の方に目をやると、遠野のズボ
ンも膨らんでいることに気づく。自分のモノをしまうと、君島は遠野と同じように床に座
る。
「お返しに遠野くんのもしてあげますよ。いつものようにね。」
「・・・好きにすればいい。」
君島の言葉に、遠野は真っ赤になりながらそう答える。わくわくドキドキした気分で、君
島は遠野に触れ始めた。
U−17のW杯も終わり、合宿最後の日、帰るための準備をし終えると、君島と遠野は二
段ベッドに座りながら会話をする。
「今日でここともお別れだな。」
「そうですね。」
「俺は来年も再来年も必ずここに戻ってくる。お前もちゃんと戻って来いよな!」
「当然です。キミに言われなくてもそのつもりですよ。」
来年もまたこの合宿に参加することを約束し、二人は少しの間沈黙する。合宿が終われば、
どちらも地元に帰ることになる。君島は芸能人でアイドルなので、当然簡単に会うことは
出来なくなる。
「遠野くん。」「君島。」
どちらも同時に口を開き、お互いの名を口にする。
「何です?」
「お、お前から先に言えよ。」
遠野にそう言われ、君島は一呼吸置いて話し始める。
「ボクは人を傷つけるようなキミのテニスは嫌いだし、キミとは合わないところもたくさ
んあって、正直好きにはなれない。」
「はは、最後にそれを言うのかよ?まあ、知ってるけどな。」
「だけど、最後にどうしても・・・遠野くんと最後までしたい。」
それを聞いて、遠野は驚いたような顔になる。しかし、遠野も同じことを考えていたので、
嬉しそうに笑いながら言葉を返す。
「嫌いなヤツを抱きたいって、どんなだよ?まあ、俺はテメーのこと嫌いじゃねーし、俺
もしたいと思ってたからいいけどな。しようぜ、君島。」
同室なのをいいことに、今まである程度のことはしてきたが、さすがに最後まではしたこ
とがなかった。しかし、一緒にいられるのは今日が最後だ。しばらくの間、状況によって
はこれから先会えない可能性がある。そう考えたとき、君島も遠野もどうしても最後まで
しておきたいと思ってしまっていた。
「今更そんな緊張することもねぇよな?とりあえず、下は脱いでおくぜ。」
内心ドキドキして緊張しまくっているのだが、それを隠すかのように遠野はそう言いなが
ら、下に穿いているものを脱ぎ去り、二段ベッドの布団の上に座る。そんな遠野を見てド
キドキしながら、君島も服を脱ぎ、遠野と向かい合わせになるように座った。
「遠野くん、口を開けて。」
「えっ?お、おう。」
君島に言われ、遠野は口を大きく開ける。大きく開いた口の中に君島は人差し指と中指を
入れ、唾液を絡めるように口の中を弄る。
「んあっ・・・」
舌や歯の裏を指で弄られ、遠野はぞくぞくしてしまう。口を開けたまま、溢れてくる唾液
を抑えられず、遠野の表情は次第に色味を帯びていく。
(口の中触られるのちょっと気持ちいい・・・)
入れていた指が遠野の唾液でビショビショになると、君島はその指を抜き、今度は自分の
口の中に入れ、ぺろりと舐める。
「これだけ濡れていれば少しはマシでしょう。」
そう言いながら、君島は遠野の足を開かせ、これから繋がるために使う場所へとその指を
持っていく。何をされるか察した遠野そこはヒクンと震える。
「あっ・・・」
「ココ、弄っておいてよかったですね。指でしか弄ったことはないですが、遠野くん、も
うこっちでもイけるでしょう?」
「それは・・・」
最後まではしていないものの、好奇心旺盛な年頃の二人はそれなりに色々なことを試して
いた。遠野の反応が悪くないこともあり、君島は何度かそこを責めてイかせることもあっ
た。
つぷん・・・
「ああっ!!」
「ほら、こんなに簡単に入る。今日はしっかりとほぐしてあげますよ。」
「はっ・・・君島ぁ・・・」
興奮と物理的な気持ちよさで、遠野の顔は赤く染まり、呼吸が乱れる。そんな遠野に君島
は興奮し、触れずともその熱は大きくなっていく。
「遠野くんのココ、ヒクヒクしてますよ?もう一本入っちゃいそう。」
「そんなこと言うなっ・・・あっ・・・あぁっ・・・!!」
もっとしっかりほぐさないとと君島は中を弄る指を増やす。そこを弄るのが初めてという
わけでもないので、遠野のそこはしっかりと君島の指を飲み込む。
「ひっ・・・あんっ・・・!はっ・・・ハァ・・君島・・・」
「中、気持ちいい?」
「んなこと・・・聞くなっ・・・!」
「でも、とても重要なことですよ?だってこれからココに、ボクのを挿れるんだから。」
それを聞いて、遠野の下肢はゾクゾクと震える。きゅうっと指を締めつけられる感覚に、
君島は興奮してしまう。
(ああ、早くココに挿れたい。)
軽く呼吸を乱しながら、君島はそんなことを考える。そんな君島を見て、遠野も同じよう
な欲求に駆られる。
(君島がそんなこと言うから、もう挿れられたくてたまんねぇ。)
「き、君島っ・・・」
「何ですか?」
「も、もう・・・君島の・・・挿れろよっ・・・」
「えっ!?でも・・・」
「早く・・・!」
切羽詰まったような様子で遠野がそんなことを言ってくるので、もう少し慣らした方がい
いのではと思いつつも君島は我慢が出来なくなる。遠野の中から指を抜き、布団の上に遠
野を押し倒すと、既に準備が出来ているそれを遠野の入口に押しつける。
「んっ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
「ハァ・・・挿れますよ、遠野くん。」
遠野の身体の横に手をつき、君島は腰を進める。熱い楔を遠野のそこはしっかりと咥え込
み、柔らかい壁に覆われた奥へと誘い込む。
「ひあっ・・・!あああぁっ!!」
「んあっ・・・!」
(ああ、君島の大きくて硬くて熱くて、痛い苦しい、気持ちイイっ!!)
君島のモノが入ってくる瞬間、相反する感覚が同時に押し寄せ、遠野の頭を混乱させる。
「と、遠野くん・・・」
「あっ・・・君島・・・」
「繋がりましたね。」
何とも形容し難い表情で笑いながらそう言う君島の言葉を聞いて、遠野は甘い甘い痺れが
繋がっている部分から脳天へ伝わるのを感じる。
「――――っ!!」
(君島と繋がってる・・・ああ、キモチイイ・・・)
その瞬間、痛みも苦しさも熱さも全て『気持ちいい』という感覚に変換される。一気に蕩
けるような表情になった遠野に、君島の心臓はドキンと跳ねる。
(遠野くんの中、すごく狭くて熱くて柔らかくて、おかしくなりそう。こんなに気持ちい
いなんて・・・)
遠野の内側が与えてくれる甘い快感を感じながら、君島は自身が遠野の内側に馴染むのを
待つ。
「遠野くん・・・」
「何だよ・・・?」
「動いてもいいですか?」
「ああ・・・」
そのままでも十分に気持ちいいが、せっかくならもっと気持ちよくなりたいと君島はそう
尋ねる。遠野も同じ気持ちだったので、その言葉に頷いた。
ずちゅ・・・
「ああぁんっ!!」
「んんっ・・・!」
「君島のが中で擦れるの・・・ヤバイ・・・」
「ええ。すごく気持ちいい・・・」
「なあ、もっと・・・」
「そうですね。」
お互いの気持ちいい場所が擦れ合う快感にどちらも夢中になっていく。繋がっていること
をより感じたいと二人は無意識に手を重ね、しっかりと握り合っていた。
「ああっ・・・ああぁんっ!!君島ぁっ・・・!!」
「ハァ・・・遠野くんっ・・・」
(君島は俺のこときっと嫌いなはずなのに、俺に欲情して、こんなに勃たせて、俺の中で
気持ちよくなってる。本当わけ分かんねーけど、君島のこの顔も、視線も、声も、指も、
俺の中に入ってるもんも、俺は全部大好きだ。)
絶対に口には出さないが、遠野は目の前にある君島の顔を眺めながらそんなことを考える。
口には出さないものの、そんな大好きな君島と繋がっていることが嬉しくて、思わず口元
が緩んでしまう。
「何ですか?」
「んっ・・・何がだ・・・?」
「笑っているように見えたので。」
「んー・・・お前としてるのが気持ちイイから?」
「フッ、そうですか。」
誤魔化す遠野の言葉を聞いて君島はふっと笑う。嫌いだと思っているが、こういうことを
していると、胸がときめき、興奮し、もっと気持ちよさそうな顔が見たいと思ってしまう。
それが好意であることに気づくのはまだまだ先のことであるが、今の君島にとってはそん
なことはどうでもよかった。
「んっ・・・遠野くん、そろそろ・・・っ」
「ハァ・・・俺も・・・」
「そ、外に出した方がいいですよね?」
「いや、中に出してくれ!」
「えっ、でも・・・」
「頼むっ・・・君島・・・」
思ってもみない遠野の言葉に君島は戸惑いつつも、我慢出来なくなってしまう。より深く
遠野の深い部分を穿ち、ぎゅっと手を握る。
「くっ・・・イクっ・・・!!」
「あっ・・・君島っ・・・あああぁっ!!」
「ああっ・・・遠野くん!!」
中に出される感覚と達することで中が締まる感覚。相乗効果でどちらもいつもとは違う深
い絶頂感にその身を震わせる。圧倒的な気持ちよさと満足感から、二人は無意識に唇を重
ねていた。
「ほんで、そのきっかけみたいなの思い出せたん?」
夕食後、レストランのテーブルに座ったまま、種ヶ島と大曲、君島と遠野は雑談をしてい
た。会話の内容としては、君島は遠野のことを好きではなかったはずなのに、進むところ
まで進んでいるのは何故かという話であった。
「いろいろ思い返してみたのですが、基本的に遠野くんのせいですね。」
「はあ!?いや、どう考えてもテメーが発端だろ。」
「えー、ちなみに初めてしたんはいつ?」
『高1のとき。』
「はは、ハモるのウケるんやけど。」
「マジかよ。それこそ、会ってそんなに経ってねぇときじゃねーか。」
認識としては合っているのだなあと、大曲と種ヶ島は笑う。それぞれ皆高1でU−17の
日本代表候補に選ばれている。そのため、どこかの大会で会ったことがあるということを
除けば、そのときに初めて会っているはずなのだ。
「最後までしたのは合宿が終わる頃だけど、その前はストレス解消的な感じで、触り合い
とかはしてたな。」
遠野の言葉に種ヶ島は驚いたような反応を見せる。今もそうだが、高1のときでも二人と
もそんな雰囲気には見えなかったからだ。
「えっ!?サンサンもアツもそういうこと出来ちゃうタイプなん?特にサンサンなんて、
アイドルやし、メッチャそういうん嫌がりそうやん。」
「表の顔っつーか一般人が思ってるイメージはそうなんじゃねぇの?先に手出してきたの
は君島の方だからな。さすがに俺もビビったぜ。」
「そのときはのっぴきならない理由があったんですよ。」
「そりゃきっかけの話だろ。テメーがあんなことしなければ、その後そうはならなかった
んだからよ。」
「メッチャ気になるわー☆そこのところ詳しく・・・」
「話しませんよ。」
種ヶ島の言葉に食い気味に君島はかぶせる。
「つーか、触り合い程度はさておき、最後までしたっつーことは、そのときからお互いに
恋愛感情みてぇなのがあったってことかよ?」
「遠野くんに?あるわけないじゃないですか。」
「それは俺もねーな。」
「ほーん。ほんなら、どっちかと言えばセフレ的な?まあ、サンサンもアツもモテそうや
からそういうことには困らなさそうやん?」
種ヶ島の言葉を聞いて、君島も遠野も顔をしかめる。その言葉と自分達に対する認識が気
に入らなかったようだ。
「それはちょっと何か語弊がある気が。というか、そもそも恋愛禁止でファンの皆は平等
なので、遠野くん以外にそういうことをする相手はいませんよ。」
「俺も君島以外とあーいうことするなんてありえねぇんだけど。」
恋愛感情はなくとも、間違いなくお互いに唯一無二の特別な感情を抱いている二人に、種
ヶ島も大曲もニヤけてしまう。
「まあ、サンサンもアツもお互いに大好きで、唯一無二のパートナーと思ってるってこと
やんな。」
「ホント似た者同士でお似合いだし。嫌いとみせかけて、好きすぎるだろお互いに。」
「まあ、俺は君島のこと嫌いじゃねーけどな!」
「好きって言わんところがアツらしなあ。で、サンサンはアツのどこが好きー?」
ここで好きなところはないや嫌いだと言うことは簡単であるが、それでは何も面白くない
と君島は考える。
「そうですねぇ・・・蕩けた表情で、甘い声で私の名前を呼びながら、しがみついてくる
様などはかなり好きかもしれませんね。」
「ちょっ!?何言ってやがる!!」
君島の回答に遠野は真っ赤になりながら文句を言う。まさかの答えに種ヶ島も赤くなりな
がらキャッキャしていた。
「ひゃー、思ったより大人な回答でビックリや。大スキャンダルやん!」
「ガチすぎてウケるし。ここで嫌いって言わないあたり流石だな。」
君島がいることで、レストランに残っていた中学生の何人かはその会話に耳を傾けていた。
会話の内容を理解していない者は頭にハテナを浮かべ、意味が分かる者は顔を赤くしなが
らドキドキしていた。楽しげな声が響く中、今日も合宿所には平和な時間が流れていた。
END.