跡部×宍戸
お返しあげる:跡部→お返しもらう:宍戸
ビデオ通話
跡部「よお、元気そうじゃねーの。」
宍戸「まあ、悪くはねぇよ。それより何の用だ?」
跡部「フッ、今日は隠れようとしないんだな。」
宍戸「はぁ?何言ってやがる。」
跡部「いや、何でもない。バレンタインの礼を送ったんだが、まだ届いてねぇみてぇだな。」
宍戸「へぇ、バレンタインの礼か。確かに今日はホワイトデーだもんな。」
跡部「おい、そういう嬉しそうな顔は届いてからにしろ。」
宍戸「べ、別にそんな顔してねーし!ほら。」
跡部「真顔に戻らなくていい。面白い奴だな、ったく。」
宍戸「とにかく、バレンタインの礼は楽しみにしておくぜ。」
*****************************************************************
お返しあげる:宍戸→お返しもらう:跡部
ビデオ通話
宍戸「わりぃ、今、いいか?今日、なんだけどよ・・・。」
跡部「アーン?何だ?」
宍戸「ほら、例のアレだ。2月14日の・・・1ヶ月後の・・・。」
跡部「よく分からねぇな。もっと分かりやすく言ってくれねぇと。」
宍戸「お前、分かっててとぼけてるだろ!笑いそうになってんの見えてんだよ!」
跡部「はは、単純にホワイトデーかバレンタインの礼って言えばいいだろ。」
宍戸「1ヶ月前はありがとな。つーわけで、なんかそれっぽいもんが送られてくると思うから。よろしく。」
跡部「それっぽいもんか。届くの楽しみにしといてやるよ。」
宍戸「じゃ、また連絡するからよ。」
跡部「ああ。」
ビデオ通話後
「お返し届いたから礼をしに行こうと思ったのに部屋にはいねぇし、跡部の奴、どこに行
ってやがるんだ?」
跡部から送られてきたお返しを手に持ちながら、宍戸は跡部を探している。寮の廊下を歩
いていると、メッセージが入る。
「221?何の数字だ?」
そこには『221』という数字だけが表示されていた。暗号のようなその数字の意味を考
えながら、廊下を進んでいると、トイレを越えたあたりで突然空き部屋のドアが開き、腕
を掴まれ、その部屋へ連れ込まれる。
「うわっ・・・」
バタンとドアが閉まり、鍵がかけられる。突然の出来事に心臓がバクバクするのを感じな
がら、宍戸は恐る恐る顔を上げる。
「フッ、どんだけビビった顔してるんだよ。」
「跡部!!」
宍戸の目の前には楽しげに笑う跡部の顔があった。
「いきなりあんなことされたら驚くに決まってるだろーが!」
「アーン?他の奴らがいる場所じゃ、お前が落ち着いて話せねぇと思って、二人きりにな
れる場所を用意してやったんだぜ。」
「用意って、ただの空き部屋じゃねぇか。まあ、確かに跡部や俺の部屋だと、他の奴らが
いるから、ホワイトデーとかお返しの話が出来ないのは間違ってねぇけどよ。」
急に連れ込まれたのは納得いっていないが、跡部の言うことは一理あると宍戸はそんなこ
とを口にする。
「そうだろ?で、俺様からのお返しはちゃんと届いたのか?」
「ああ、届いたぜ。まだ開けてはねぇけど、先に礼を言っておくぜ。ありがとよ。」
「お前からのお返しも届いてるぜ。部屋に置いてきたけどな。」
「まあ、後で見てくれりゃ十分だし。」
とりあえず、お返しが届いたことが確認出来たので、二人は安心する。
「さてと・・・」
「な、何だよ・・・?」
「せっかくのホワイトデ―だし、今、二人きりだぜ?少しくらいイチャついてもいいと思
わねぇか?」
「う・・それは・・・」
完全に壁ドン状態で、そんなことを言われ、宍戸はドギマギしてしまう。したいかしたく
ないか問われれば、したい方に傾いている。しかし、それを素直に伝えるのは、宍戸には
難しかった。
「まあ、お前が嫌がろうが俺はするつもりだけどな。」
「はあ!?ふざけんな!」
「とか言いつつ、したいんだろ?宍戸。目がそう言ってるぜ。」
そう言われてしまうと、強くは否定出来ない。完全に跡部が主導でそうなるのは悔しいの
で、跡部から目を逸らしつつ宍戸はボソッと呟く。
「するんならすればいいだろ。別に俺がしたいわけじゃねぇし。」
好みの態度を取る宍戸に顔を緩ませながら、跡部は口づけをしようと宍戸に顔を近づける。
そんな跡部を受け入れるかのように、宍戸は跡部の首に腕を回した。
(本当、素直でないように見せかけてどこまでも素直で可愛いな。どこまでさせてくれる
か見物だな。)
そんなことを考えながら、跡部は宍戸の唇にキスをする。口では文句を言いつつも、跡部
にそうされ、宍戸の胸はこの上なくときめいていた。
---------------------------------------------------------------------------------------------
岳人×忍足
お返しあげる:岳人→お返しもらう:忍足
ビデオ通話
岳人「ちょっとだけいいか?まだ届いてねぇと思うんだけど・・・」
忍足「届く?何か送ったんか?」
岳人「今日、ホワイトデーだろ?お前の真似して送ったんだよ。お返し。」
忍足「なるほどなぁ。そりゃちょっと楽しみやな。」
岳人「本当は届いた頃に連絡しようと思ったんだけど、この後時間なさそうでさ。」
忍足「確かに今日は練習多いもんな。お返し、おおきに。」
岳人「いや、先に礼とか言うなよ。ていうか、チョコの礼に礼とか変じゃね?」
忍足「別にええやん。礼は言うても減るもんやないし。」
岳人「喜んでくれるといいんだけど。じゃ、俺、戻るな!」
忍足「ああ、また後でな。」
*****************************************************************
お返しあげる:忍足→お返しもらう:岳人
ビデオ通話
忍足「今、大丈夫やった?ちょっと話したいんやけど。」
岳人「ビデオ通話で?何かあったか?」
忍足「あっ、きょとんとしとる。ホワイトデー忘れてたやろ?」
岳人「あっ!そんなことないぜ。ホワイトデー忘れるわけねーじゃん。」
忍足「そんなことない?そういうことにしたってもええけど。」
岳人「で、ホワイトデーのお返しくれるってことか?いつ?」
忍足「今日届くようにバレンタインのお返し送ったんや。まだ届いてへんみたいやな。」
岳人「届く感じか。へぇ、そりゃわくわくするな。」
忍足「喜ぶ顔見たかったんやけど、それは、またの楽しみにとっとくわ。ほなな。」
岳人「おう。届いたら礼しに行くな!」
ビデオ通話後
練習を終え、ホワイトデーのプレゼントを受け取った岳人と忍足は、合宿所の屋上へやっ
てきた。
「お、今日は誰もいないみてぇだな。」
「せやなぁ。ちょうどええんちゃう?」
もうすぐ日が沈む時間で、屋上から見える空はオレンジ色に染まり、日は西の方へ傾いて
いた。せっかくなので、夕日を眺めようと二人は西側へと移動する。
「侑士からのお返しちゃんと届いたぜ!ありがとな。」
「俺の方も岳人からのお返し届いとったで。まだ開けてはないんやけど。」
「だったら、今開けてみろよ。一応、侑士好みそうなの選んだつもりだから。」
「へぇ、そりゃ楽しみやな。ほんなら、開けさせてもらおうかな。」
岳人から送られてきたお返しを持って来ていたので、忍足はその場で開ける。中には和風
な袋に入ったお菓子のようなものが入っていた。
「これは何やろ?アメちゃんか?」
「そうそう。とりあえず一つ食べてみそ。」
外から見ただけでは、どんな飴かは分からない。好みそうなものを選んだと言っていたの
で、口に合わないことはないだろうと、忍足は袋の中から一つ飴を出した。そして、飴を
包んでいる紙を丁寧に開き、中にある白い塊を口の中に入れる。口の中に入れて気づいた
が、その飴は普通の飴ではなく、簡単に噛むことが出来るソフトキャンディーであった。
「ん?これ、ソフトキャンディーやな。」
「そうだぜ。味はどんな感じ?」
「優しい甘みがあって、この独特の風味・・・何やろ?知っとる味なんやけど・・・」
ソフトキャンディーなので、軽く舌で転がした後、もぐもぐと噛みながら、何の味かを考
える。考えているとふと自分の好きな食べ物を思い出す。しかし、飴でそんな味はないは
ずだと、似ている何かを考える。
「あ、分かった。これ、甘酒やない?酒粕の方の甘酒の味な気ぃするわ。」
「正解!侑士、粕汁好きじゃん?だから、こーいう甘酒の味も好みかなーと思って。」
「初めて食べたけど、好きやなぁこの味。」
「気に入ってもらえたみたいでよかったぜ。」
好きな味だと言われ、岳人は嬉しくなり笑顔になる。
「せっかくやし、岳人も一つ食べてみるか?」
「いいのか?まあ、俺も食べたことなくて気になってたし、一個もーらお。」
忍足から一つ飴をもらうと、岳人は口の中にそれを放り込む。思ったより柔らかいその飴
を噛むと、ふわりと甘酒の風味が口の中に広がった。
「確かに結構美味いな、これ。」
「せやろ?こないな俺好みのお返し選んでくれて、おおきにな、岳人。」
そう言って微笑む忍足の顔がどうしようもなく自分好みで、岳人の胸はドキンとときめく。
(ああ、やっぱ、侑士のことすっげぇ好き!)
「侑士!」
居ても立っても居られなくなった岳人は、忍足の腕を掴むとぐいっと自分の方へ引っ張り、
少し背伸びをしてその唇にキスをする。あまりの突然の出来事に忍足はポカンとした後、
顔が真っ赤に染まる。
「侑士の唇も甘酒味だった。俺もこの味かなり好きー!」
「ちょっ、急に何すんねん。」
「だって、侑士が可愛すぎんだもん。仕方ねーじゃん。」
岳人の言い分に忍足は困ったように笑う。つられて岳人も笑顔になる。日が沈むまであと
もう少し。二人きりのこの時間を岳人も忍足ももう少し楽しむことにした。
---------------------------------------------------------------------------------------------
ジロー×樺地
お返しあげる:ジロー→お返しもらう:樺地
ビデオ通話
ジロー「ハッピーホワイトデー!!ねぇねぇ、もう届いた?」
樺地 「えっと・・・何の話でしょうか?」
ジロー「あれ?まだみたい?チョコのお返し。」
樺地 「チョコのお返し・・・まだ届いていないと思います。」
ジロー「まだかー。喜んでる顔見れると思ったんだけどなー。残念!」
樺地 「送ってくれてありがとうございます。」
ジロー「でも、顔見れたしいっか。早く届くといいね。」
樺地 「ウス。楽しみです。」
ジロー「そんじゃ俺、練習に戻らなきゃだけど、また連絡するね!バイバイ。」
*****************************************************************
お返しあげる:樺地→お返しもらう:ジロー
ビデオ通話
樺地 「こんにちは、それと、ハッピーホワイトデー・・・です。」
ジロー「樺ちゃん!ハッピーホワイトデー!」
樺地 「その、もっとハッピーな感じで言えるといいのですが・・・難しいです。」
ジロー「えー、全然いいと思うけど。」
樺地 「今のでよかったですか。」
ジロー「うんうん、樺ちゃんらしい感じでよかったよー!」
樺地 「そう言ってもらえるなら嬉しいです。」
ジロー「樺ちゃんが電話かけてくるなんて珍しいね。」
樺地 「今日中にバレンタインのお返しが届くと思います。」
ジロー「マジマジ!?うれC〜!!」
樺地 「受け取ってください。先月はありがとうございました。」
ビデオ通話後
バレンタインのお返しが届き、ジローと樺地は東屋でお互いのプレゼントを見せ合った。
贈り合ったお返しを食べたり、しばらく話をしていたが、例のごとくジローが眠くなって
しまい、そのまま眠ってしまう。ベンチに腰かけている樺地の膝を枕代わりにし、それは
それは気持ち良さそうにジローは寝息を立てていた。
「あれ・・・?俺、寝てた??」
日が傾き、東屋が夕焼け色に染まり始めている時分にジローは目を覚ます。
「おはようございます。ジローさん。」
「うっわ、メッチャ寝ちゃってたし。樺ちゃんの膝枕本当気持ち良くて、ぐっすりだった
よー。あ、でも、足痺れてない?大丈夫?」
「ウス。」
「そっかぁ。よかった〜。」
体を起こし、樺地の横に座り直すと、ジローはぺたっと樺地にくっつく。
「バレンタインのときも、樺ちゃんからチョコ貰ってすっげー嬉しかったけど、ホワイト
デーもお返し贈って、お返し貰って、今こんなふうに一緒に居れるの超うれC〜。」
「自分も・・・そう思います。」
「へへっ、なんかメッチャ幸せだC〜!!」
嬉しそうに笑っているジローを見て、樺地も口元を緩ませる。しばらくいい気分のまま、
その場に座っていたが、ふと冷たい風が樺地の頬を撫でる。
「そろそろ寮に戻りますか?」
日が沈みかかっていることに気づき、樺地はそんなことを尋ねる。まだもう少し此処に居
たい気もするが、三月といえども夜はまだ冷える。ちょっと悩んだ後、ジローは樺地のそ
の言葉に頷いた。
「そうだね〜。俺的にはまだ樺ちゃんと一緒に居たいけど、寒くなって風邪引いたりした
ら跡部に怒られるもんな。あっ。そうだ!」
「?」
何かを思いついたようにジローは声を上げる。どうしたのだろうと樺地が首を傾げている
と、ジローは言葉を続けた。
「別にここじゃなくても樺ちゃんと一緒に居ることは出来るもんね!樺ちゃん、この後、
一緒に夕飯食べて、一緒にお風呂入って、俺が寝るまで一緒に居てくれる?」
まだまだ樺地と一緒に居たいとジローはそんな提案をする。寮の部屋は違うものの、練習
後の自由時間をどう過ごすかは自由だ。ジローの提案に樺地はすぐに頷いた。
「ウス。自分もそうしたいと思っていました。」
「じゃあ、決まりだね!」
東屋のベンチから立ち上がると、樺地歩き始める前にジローに声をかける。
「ジローさん。」
「ん?どうしたの?」
「バレンタインのときも、今日のホワイトデーもありがとうございます。どちらもジロー
さんのおかげで、とても幸せな気分になれました。」
「それは、俺も同じだよ。いつもありがとう、樺ちゃん。」
お互いにお礼を言い合い、顔を見合わせる。どちらの顔にも嬉しそうな笑みがこぼれてい
る。もうしばらく一緒に居られることに胸を躍らせながら、二人はレストラン棟に向かっ
て歩幅をそろえて歩き出した。