今日は現実世界の日付で十二月二十四日。そう、クリスマスイブだ。選ばれし子供達のデ
ジモン達は、迷わずの森にある一番大きな木に、様々な飾りを飾っている。
「アグモン、その飾り取ってー。」
「はい、パタモン。わー、だいぶ綺麗になってきたね。」
「あとは、この電球を巻いて、てっぺんに星をつけるだけね。」
そう言いながら、ピヨモンはたくさんの電球のついた、長い木の蔓を箱の中から出した。
と、その時、向こうの方から声が聞こえる。
「おーい、お前ら何やってるんだー?」
「あっ、オーガモンにレオモン!」
サーバ大陸に行っていたレオモンとオーガモンがファイル島に戻ってきていた。ムゲンマ
ウンテンに戻ろうとしているところで、アグモン達を見かけたので話しかけたのだ。
「わー、久しぶりー。いつこっちに戻ってきたの?」
パタモンが嬉しそうに木から下りて、その二匹に質問をする。
「今さっき戻って来たところだ。ところで、これは一体何をしているんだ?」
「クリスマスツリーの飾りつけよ。」
「クリスマスツリー?」
「クリスマスに、木に飾りをたくさんつけて、キラキラさせるの。それがクリスマスツリ
ーよ。」
「クリスマス??」
クリスマスという言葉を聞き、オーガモンは首を傾げる。と、そこへ食料を探しに行って
いたパルモン、テントモン、ゴマモン、ガブモンが戻って来た。
「あっ、レオモン、オーガモン!!戻って来てたのね。」
パルモンが真っ先にレオモンとオーガモンがいることに気づき、ペタペタと走って来る。
「ああ。そういえば、クリスマスって何だ?俺、知らないんだけど・・・」
「私も知らないな。」
レオモンとオーガモンは現実世界での習慣にはあまり詳しくない。そのため、もちろんク
リスマスなどというものは知らなかった。
「クリスマスっちゅーのは、神様の誕生日らしいでっせ。」
「よく分かんねーな?」
「サンタクロースって人がいて、良い子にしてる子供達にプレゼントを配るんだって。」
「それから、こんなふうに木に飾りつけをしたり、ご馳走を食べたりするんだって。丈が
そう言ってたぜ。」
「へー、クリスマスって、何かすげーんだな。」
オーガモンとレオモンがクリスマスについて理解し始めたとき、散歩から帰って来たテイ
ルモンが不意に口を挟む。
「ヒカリは、好きな人や家族にプレゼントをあげるって言ってたわよ。」
「げっ、テイルモン!!」
「げっとは何よ。失礼ね。」
テイルモンはむっとした表情でオーガモンを見る。
「そんな習慣が選ばれし子供達の世界にはあるのか。勉強になったな。」
「そうだな。」
話が一段落したところで、アグモンは空を見上げ、一瞬寂しそうな顔をして呟いた。
「太一と一緒だったら、もっと楽しいんだろうなあ。」
それを聞いて、他のデジモン達も空を見上げる。
「そうだね。タケル達と一緒にいれたら、他のプレゼントはいらないよね。」
「うん。」
どのデジモンもパートナーのことを思い、遠くんも空を眺める。テントモンはレオモンと
オーガモンを見た後、みんなの顔を見回して言った。
「やっぱり、クリスマスっちゅーのは自分の一番大切な人と過ごせることが、一番幸せな
ことやな。」
「うわぁ、テントモンいいこと言うね。」
しみじみとそう口にするテントモンの言葉にガブモンは共感した。それは、他のデジモン
も同じであった。
「まあ、こんなこと言ってても丈達に会えるわけじゃないし、こんな悲しい顔してたら、
丈達も心配するよ。それよりオイラ腹減っちゃった。早くご飯にしようぜ。」
ゴマモンは暗くなった雰囲気を変えようと話題を変えた。
「そうね。そういえば、今日は何を採って来たの?」
ピヨモンは食料を採りに言った四匹に尋ねる。すると、パルモンが大きな葉っぱいっぱい
の赤い実をピヨモン達の前に差し出した。
「変わった形の実だな。何て言うんだ?コレ。」
見たこともない実だったので、オーガモンはそう尋ねる。その実は、夕焼けのように真っ
赤で、ハートの形をしていた。
「名前は知らへんけど、この時期になるとたくさんなるんや。味はメッチャ甘いんやで。」
「私も初めて見たな。」
「レオモン達にも分けてあげるよ。いっぱいあるからね。」
パタモンはその赤い実をさっきの葉っぱより一回り小さな葉っぱに包んで、レオモンに渡
した。
「すまんな。こんなに分けてもらって。私達は一度ムゲンマウンテンに戻る。サーバ大陸
での話はまた明日にでもするかな。」
「うん、分かった。また明日ね!」
「ああ。じゃあな。」
レオモンとオーガモンがムゲンマウンテンに向かって歩き始めたとき、アグモンがその二
匹に向かって声をかける。
「夕日が沈んだら、この大きな木の方を見てねー。きっと、綺麗だからー。」
「ああ、必ず見るぜー。」
オーガモンはアグモンの呼びかけに答えて、レオモンと共にムゲンマウンテンへと向かっ
た。
「それにしても、あっちの世界では面白い習慣があるものだな。」
「そうだな。ご馳走が食べれるなんて、うらやましいよなー。」
そんなオーガモンに、レオモンはとある質問をする。
「オーガモン、プレゼントは何が欲しい?」
「プレゼント?何でだ?」
「クリスマスにはプレゼントをあげると、テイルモンが言っていただろ。」
「そういや、そんなことも言ってたな。うーん・・・じゃあ極上肉とか!」
オーガモンは冗談のつもりでそんなことを言ってみた。極上肉は手に入れるのが難しく、
まさかもらえるとは思っていなかったからだ。
「そうか。なら、私について来い。」
「えっ!?マジでくれんの?」
「ああ、とっておきの極上肉をお前にプレゼントするよ。」
レオモンはオーガモンを連れて、ムゲンマウンテンの山頂にむかった。そこには、少し大
きめの洞窟があり、その中には冷蔵庫がいくつか並んでいる。
「うわー、こんなもんがあるなんて知らなかったぜ。」
「当たり前だ。ここは、私だけの秘密の場所だったのだからな。」
そんな秘密の場所をやすやすと教えてもらい、オーガモンは少し悪い気がした。
「いいのか?秘密の場所なのに、俺なんかに教えちまって・・・・」
「もちろんだ。これからは私とオーガモン、二人だけの秘密の場所になったんだからな。」
そう言われて、オーガモンはホッとしたと同時に何か照れくさかった。二人だけの秘密の
場所という言葉が、妙に印象強かったからだ。
「ほら、極上肉だ。いくつでも食べていいぞ。」
「うわあ、すっげぇ!!本当にもらっていいんだな。すげぇ嬉しいぜ、レオモン!!」
オーガモンは満面の笑みを浮かべて、レオモンに飛びついた。レオモンもそんなオーガモ
ンを見て、自然と笑顔になっていた。
「ここで食べるのもなんだから、食べたい分だけ持って外へ出よう。」
「分かった。マジであんがとな!!レオモン!!」
二匹は洞窟の外へ出て、島全体が見渡せるところまで歩いていった。オーガモンはレオモ
ンにもらった極上肉を嬉しそうに抱えて、レオモンと一緒に崖ギリギリのところに座った。
「腹減ったなー。レオモンも一緒にコレ食おうぜ。」
「ああ、何だかんだで結構時間が経ってしまったからな。太陽ももうあんなに沈みかけて
いる。」
「そうだ!日が沈んだら、アグモン達のクリスマスツリーを見なきゃだな。」
オーガモンは極上肉を口に頬張りながら、あの大きな木を探した。ところが、ムゲンマウ
ンテンから見た森の木は全て同じに見えてしまう。そのうち、日が沈んで辺りは真っ暗に
なってしまった。
「レオモン、あの木がどこにあるのか分かんねーよ。・・・ん?あーー!!」
「どうしたんだ?オーガモン。」
「見ろよ、レオモン。あれ。」
オーガモンが指差す先には、赤・青・黄色と色とりどりに光る大きなクリスマスツリーが
輝いていた。
「すごいな。」
「本当、こんなに綺麗だと思わなかったぜ。」
レオモンもオーガモンもクリスマスツリーの輝きに心を奪われていた。しばらくそのツリ
ーを眺めた後、オーガモンは先程パタモン達にもらった赤い実のことを思い出した。
「そういえば、レオモン。さっきもらった赤い実食べてみようぜ。」
「ああ。ほら、この中に入っている。」
レオモンは葉っぱに包まれたあの赤い実をオーガモンに差し出す。
「サンキュー!」
オーガモンは赤い実を一つ摘み上げ、口の中へと放り込んだ。
「うわー、超うめぇ!!レオモン、お前も食べてみろよ。」
「いや、私は甘い物は苦手だから・・・」
「いや、マジでうまいから!!絶対食べた方がいいって。」
「しかし・・・」
赤い実を食べることを拒むレオモンに、オーガモンは何とかこの実を食べさせようと考え
た。
「しょうがねーなあ。ほら、こうすればいいだろ。」
オーガモンは赤い実を半分だけ口に咥えて、レオモンの方を向いた。オーガモンの思惑通
り、レオモンはオーガモンの咥えているその実を食べる。
「あっ、本当だ。うまいな・・・」
「ほらな、言っただろ?」
レオモンがちゃんその実を食べてくれたので、オーガモンは嬉しそうにそう言う。その美
味しさから、二匹は赤い実を全て食べ尽くし、もう一度アグモン達のクリスマスツリーに
視線を向けた。
「そういえば、レオモンの欲しいプレゼントって何なんだ?」
「うーん、そうだな・・・しいて欲しいものをあげるとすれば、やはりお前かな?」
「何だよそれ?」
何となく想像はしていたが、実際言われて見るとなるとかなり恥ずかしい。しかし、それ
が欲しいものと言うのであれば、ちゃんとプレゼントしてやろうと、オーガモンはレオモ
ンの唇に軽くキスをして照れ笑いを浮かべて言った。
「仕方ねぇなあ。そんなに俺様が欲しいっていうなら、お前へのクリスマスプレゼントは
俺ってことにしてやるよ。こんなに豪華なプレゼントは他にはないぜ。」
「ああ、最高のプレゼントだ。」
オーガモンの言葉と行動が嬉しく、レオモンは心からそんな言葉を返す。そして、二匹は
再び唇を重ね合わせ、お互いの想いをその唇から伝え合った。
オーガモンを押し倒すように、レオモンは首筋に顔を埋め、利き手である左手を丈の短い
ズボンの中に入れる。そして、オーガモンの一番感じやすい熱の中心を弄る。
「やっ・・・ぁ・・ん・・・レオ・・モンっ・・・」
直接的な刺激にオーガモンは、ぎゅっとレオモンにしがみつく。少しでも触れられただけ
でもゾクゾクしてしまうのに、それをしっかりと握られ擦られるとなれば、その気持ちよ
さは言葉では表せないほどのものになる。
「ちょっと弄ってやるだけで、すぐにトロトロになるな。お前のココは。」
「やっ・・・そんなこと・・・言うなよぉ・・・・」
「けど、お前はそういうふうに恥ずかしがっている方が感じやすくなるみたいだけどな。」
ぐりっと先端の辺りを少し強めに刺激してやると、オーガモンの身体はビクンと跳ねる。
「うあっ・・・ああぁっ!!」
「ほらな。」
「ち、違っ・・・そんなことねぇ・・・」
「口ではそう言っても、ここはさっきより大きくなってるし、濡れ方も激しくなってるぞ。
自分でも分かるだろ?」
恥ずかしくなるようなことばかりを耳元で囁かれ、オーガモンはそれだけでももうゾクゾ
クしてたまらなかった。そんな恥ずかしさと気持ちよさを紛らわすために、レオモンの背
中の腕を回したまま、ふと空を見上げた。すると、そこには思ってもみない光景が広がっ
ていた。
「うわあ、すげぇ!!」
それを見て、オーガモンは思わず声を上げる。
「どうした?」
「空、見てみろよ!」
レオモンはオーガモンに言われるまま、振り返って空を見上げる。そこには色とりどりの
オーロラが空を覆っていた。
「オーロラか。珍しいな。」
「俺、初めて見たぜ。」
「それなら、このままオーロラ鑑賞でもするか?」
冗談っぽくそう言うレオモンの言葉を聞いて、オーガモンは戸惑うような表情を見せる。
そして、顔を赤くして小さな声で呟いた。
「こ、ここまでしたんだから、ちゃんと最後までしろよ・・・」
恥ずかしがりながらそう呟くオーガモンの言葉は、レオモンをやる気にさせるには十分す
ぎるものであった。ふっと笑いながら、レオモンはオーガモンの耳元で囁く。
「そこまで言うなら、最後の最後までしっかりしてやる。」
オーロラ鑑賞は後回しにして、二匹は先程の続きを始める。しばらくすると、オーガモン
にちょっとした異変が起こる。
「んっ・・・ふあっ・・・」
(あ、あれ?何か・・・何か・・・・)
レオモンが触れるたび、すぐにでも達してしまいそうなほどの快感がオーガモンの体を駆
け抜ける。それは、敏感な部分以外に触れられただけでもそう感じられた。
「ひうっ・・・あっ・・・あぁっ!!」
どこを触ってもビクビクと震え、堪えきれない声を上げるオーガモンに、レオモンは少し
いつもとは違うということに気づく。
「あっ・・・レオモンっ・・・レオ・・・モンっ・・・!!」
「大丈夫か?いつもと反応が少し違うように感じるのだが。」
「な、何か・・・俺、変っ・・・レオモンに触られると・・・どこもかしこも・・・すげ
・・・気持ちよくて・・・」
「どこもかしこもって、例えばこうしてもか?」
普段は特に大きな反応を見せることのない頬にレオモンは軽く触れる。
「ふあっ・・・ああぁっ・・・・」
「本当にそうみたいだな。でも、気持ちイイというのなら、たくさん触っても問題ないな。」
いつも以上によい反応を見せるオーガモンにひどく心を奪われ、レオモンはオーガモンの
口をキスで塞ぎながら、体の至るところを弄った。
(ああ、どうしよ・・・気持ちイイ・・・頭ん中溶けそう・・・もう・・・イキそ・・・)
「んんっ・・・んんん―――っ!!」
特に熱には触れてはいないのだが、オーガモンはレオモンにキスをされたまま、達してし
まう。一度達してしまうと、より体は感じやすくなり、触れられるたびにどうしようもな
いほどの絶頂感が押し寄せる。
「ああっ・・・レオモンっ・・・ひっ・・・あっ・・・ああ――っ!!」
「今日のオーガモンは、本当いつもより感じやすくて可愛くてたまらないぞ。」
「気持ちイイっ・・・レオモンっ・・・レオモン・・・・」
そんなオーガモンに早く自分自身を入れたいと、レオモンはオーガモンの蕾をほぐし始め
る。ただでさえ敏感なそこは、今の状態ではもう媚薬でも塗られているのではないかと思
うほどに、感じやすくなっていた。
「ああぁ・・・そこっ・・・弄られたら・・・ああぁ――っ!!」
少し指を動かしただけでも、オーガモンは感じまくりながら達してしまう。そのたびに指
がぎゅうぎゅうと締めつけられ、ここに入れたらどんなに気持ちいいだろうという期待感
をより大きなものにする。
「そろそろ大丈夫そうか。」
「あっ・・・ふあっ・・・ああぁ・・・・」
オーガモンから指を抜くと、その蕾は大きく収縮を繰り返し、早く入れてくれと誘ってい
るようであった。思わずその部分に目を奪われ、オーガモンに触れていないでいると、オ
ーガモンは息を乱して、レオモンを求める。
「ハァ・・・レオモン・・・もっと触れよ・・・中もお前ので・・・いっぱいにして・・
もっとたくさん・・・・気持ちよく・・・・」
そう言いながら、オーガモンは自ら四つん這いになり、誘うようにレオモンに双丘を向け
る。そんなことをされ、レオモンが我慢出来るはずがなかった。その腰をしっかりと捉え、
熱くなっている自身をひくつく蕾に突き刺す。
「ああっ・・・ああぁ―――っ!!」
レオモンの熱で入口が抉じ開けられ、内側の壁が激しく擦られる感覚に、オーガモンは再
び達してしまう。
(レオモンの・・・すげぇイイ・・・気持ちイイ・・・もっと・・・)
オーガモンが達すれば、その反動で中は激しく収縮する。その感覚がたまらず、レオモン
は熱い吐息を漏らす。
「ハァ・・・オーガモン・・・・」
「んっ・・・レオモンっ・・・・もっとたくさん・・・動いて・・・・」
「ああ・・・」
レオモンが少し動くだけでも、オーガモンはビクビクとその身を震わせ、熱いミルクが出
るにしろ出ないにしろ、達するような状態になる。この上ない快感が無限に続くかのよう
な感覚に、オーガモンの心と体はすっかりとろけていた。
「ハァ・・・レオ・・・モンっ・・・んっ・・・ああっ・・・気持ちイイっ・・・またっ、
ふああぁ――っ!!」
「くっ・・・そんなに締めつけられたら・・・・」
「ああぁっ・・・ひあっ・・・熱い・・・・熱くて・・・・も・・・・」
レオモンが中に放ったとしても、その熱さで再び絶頂のループに陥る。そのため、レオモ
ンの熱もなかなかおさまることがなかった。
(ああ、今日はもうずっと気持ちいいのがおさまらねぇ・・・レオモンのがたくさん中に
ある感覚もたまらねぇ・・・・気持ちイイ・・・ああ・・・もう・・・)
もう数えきれないほど達し、多幸感にうっとりとしながら、オーガモンはドクンと地面に
向けて蜜を放つ。それと同時にレオモンも中に熱を放った。いつもとは比べ物にならない
ほど感じ、イキ続けているような状態であったので、オーガモンの体力は限界を迎える。
「ハァ・・・オーガモン?」
地面に突っ伏すようにして、オーガモンは気を失ってしまう。それに気づいたレオモンは
慌てて自身をオーガモンの中から抜き、ゆっくりと体を起こした。
「今回はさすがに調子に乗りすぎたか。少し休ませてやらないとな。」
ぐったりとしているオーガモンをその腕に抱き、汚れたオーガモンの足や顔を綺麗にして
やった。
しばらく気を失っていたオーガモンであったが、座っているような状態でレオモンの腕の
中で目を覚ます。
「あ・・れ・・・?」
「気がついたか。」
「えーと、俺、もしかして気絶してた感じか?」
「そうだな。今日はお前の反応があまりにもよかったから、少しやりすぎてしまった。」
「あー、そっか。確かに今日は何かすげぇよかったから、俺もついつい調子に乗っちまっ
たぜ。」
「体は大丈夫か?」
「別に平気だぜ。おっ、オーロラまだ消えてねーな。」
ふと顔を上げると、そこにはまだオーロラが空を覆っていた。ひらひらと揺れながら輝く
オーロラを見ていると、何となく穏やかな気分になる。そんな和やかな雰囲気の中、オー
ガモンはふとあることをレオモンに聞きたくなった。
「なあ、レオモン。」
「何だ?」
「レオモンって、何か叶えたい夢ってあるのか?」
そんなオーガモンの質問に、何かあるだろうかとレオモンはしばらく考えたが、なかなか
思いつかないので、オーガモンに同じ質問を返す。
「お前の夢は何だ?まだ、私を倒すことなのか?」
「当たり前だろ。それが俺の生きる目的なんだからよ。あっ、でもな、ただ単にお前を倒
すってことなら、今すぐにでも出来るぜ。」
「どういうことだ?お前はまだ私に一度も勝ったことがないじゃないか。」
「だから、そういう意味じゃなくてよ。」
「そういう意味じゃないというのは、どういう・・・・っ」
レオモンの言葉が終わる前に、オーガモンはレオモンの口をキスで塞ぎ、そのまま地面に
押し倒す。
「ほらな、倒せただろ?」
悪戯っ子のように笑いながら、オーガモンはレオモンを起こし、ぎゅっと抱きつく。
「本当だな。こんなにあっさり倒されるとは思わなかった。」
レオモンもオーガモンにつられて笑顔になり、オーガモンを抱きしめ返す。
「あとはアレだな。レオモンを倒したとしても、レオモンが進化したサーベルレオモンを
倒すって目標になるだろうし、とりあえず、俺はレオモンとずっと一緒にいれたらなあっ
て思うぜ。」
「なるほどな。」
「で、レオモンの夢は何なんだよ?まだ、答えてねーだろ。」
「そうだな・・・特に今はないな。」
「何だよ。夢のねぇ奴だな。」
文字通りのことを言われ、レオモンは苦笑する。少しがっかりしたような顔をしているオ
ーガモンを見て、レオモンは今思っていることを話し始める。
「だがな、オーガモン。私は一人で修業していたときは、そんなに大きな目的はなく毎日
がとても単調で、今と比べたら本当につまらない日々だった。しかし、今はお前と共に旅
をして、時折戦いながらお互いを高め合い、それから、キスをしたり、こんなふうに抱き
合ったり、さっきのようなことをしたり・・・一人では決して出来ないことがたくさん出
来ている。本当に毎日が充実して、私は今が一番幸せだと思っている。夢とまではいかな
いが、こんな日々がずっと続けばいいとは思うぞ。」
そんなレオモンの言葉を聞き、オーガモンは顔を上げて実に嬉しそうな表情を見せる。
「何だよ。結局レオモンの夢も俺とほとんど変わんねぇじゃねーか。」
「そうなるな。」
顔を見合わせて、どちらも嬉しそうに笑う。とその時、オーロラの一点が強く光り、何か
が二匹に向かって飛んできていた。
「おい、レオモン。何か落ちてくるぞ。」
それは思ったより速い速度で、隕石のような勢いで二匹に向かって落ちてきていた。
「危ない、オーガモン!!」
ドォンッ!!
「あっぶねー。何だよコレ。」
危うく二匹にぶつかりそうになった赤く光るものは小さな箱であり、プレゼントのように
リボンが巻かれていた。
「どうやら、何かプレゼントのようだな。」
レオモンはそのプレゼントらしき箱を手にとり、開けようとした。
「おい、レオモン。そんなにむやみに開けねぇ方が・・・」
「大丈夫だ。・・・・ほら、開けても何も起こらないだろ。」
あの勢いで飛んできたものであるので、開けたら爆発するのではないかと考えていたオー
ガモンは、何も起こらないことにホッとした。
「で、何が入ってるんだ?」
オーガモンはレオモンの持つ箱の中を覗いた。そこには、銀色に輝く指輪が二つ入ってい
た。
「指輪?」
二匹がその指輪をそれぞれ取り出し、じっくりとそれを眺めた。すると、指輪の内側に何
かが彫られていることに気がつく。
「レオモン、この指輪の内側、何か書いてあるぜ。」
「ああ。・・・・どうやら私達の名前が書いてあるみたいだぞ。」
確かに指輪の内側には、デジモン文字でレオモンとオーガモンの名前がそれぞれ彫られて
いた。
「名前が彫ってあるってことは、どう見ても俺達へのプレゼントだよな?それなら、有難
くもらっておくか。」
「そうだな。しかし・・・何だかこれはエンゲージリングのようだな。」
「エンゲージリング?何だそれ?」
「簡単に言ってしまえば、婚約指輪だ。」
「ふーん。よく分かんねーけど、とにかくすごいもんなんだな。」
二匹はその指輪をはめようとして、あることに気づいた。どうやってもこの指輪は左手の
薬指にしか入らないのだ。
「これじゃあ、本当にエンゲージリングになってしまうな。」
「そうなのか?でも、まあいいじゃねぇか。」
エンゲージリングの意味がまだよく分かっていないオーガモンは、つけることが出来れば
それでよかった。だが、レオモンはこの偶然にしては出来すぎているプレゼントを、オー
ガモン以上に嬉しく思っていた。
「そういえば、オーガモン。今日したとき、いつもとは比べ物にならないくらいイイと言
っていただろ?そのことを少し考えてみたんだが、夕方食べたあの赤い実にそういう効果
があったと考えられないか?」
「あー、そう言われればそうかもな。あの色とあの形なら、そういう効果があってもおか
しくねーかも。でも、あれはレオモンだって食ってたじゃねーか。」
「私はお前の半分も食べていない。ほとんどお前が食べてしまっただろう。」
「そうだっけ?まあ、細かいことは気にすんなって。それより、そろそろ夜が明けちまう。
少し寝とこうぜ。」
「そうだな。」
二匹はまだ夜が明けず、オーロラが輝き続けている空の下で眠りに落ちた。そのオーロラ
の彼方で、鈴の音が響いているのを知らぬまま・・・・。
その日の朝、選ばれし子供達のデジモン達は、それぞれみんな嬉しそうな表情を見せてい
た。
「ねぇ、聞いて聞いて!!私、昨日の夜、空と一緒に寝る夢をみたのー。」
「僕もねぇ、太一と一緒にごちそう食べて、一緒に寝る夢みたんだー。」
「俺はねー、ヤマトとカレーライス食べて、ヤマトが吹くハーモニカを聞く夢みたよ。」
「わては光子郎はんと一緒に豪華なパーティー料理を食べる夢みたでー。」
「私は、ミミと一緒にクリスマスパーティーする夢をみたわ。」
「オイラは丈と一緒に風呂入る夢だったぜ。」
「えっとね、僕はタケルと一緒にいる夢だったよ。」
「私もヒカリと一緒に過ごす夢をみたわ。」
選ばれし子供達のデジモンがこんな夢をみたのには理由があった。その理由とは、昨夜食
べたあの赤い実だ。選ばれし子供達のデジモンやレオモン、オーガモンは知らないが、あ
の実は「Sweet Dream」という食べたものの夢を叶える不思議な木の実だった
のだ。
「おーい、お前ら何の話してるんだー?」
と、そこへレオモンとオーガモンがやってきた。
「レオモン!オーガモン!」
「ねぇねぇ二人とも、昨日どんな夢みたか覚えてる?」
ピヨモンはわくわくした表情で二匹に尋ねる。しかし、レオモンとオーガモンは明け方に
少し眠っただけだったので、特に夢はみていなかった。
「うーん、夢と言われても俺達昨日はほとんど寝てねぇからなー。なあ、レオモン。」
「ああ。今日は特に夢はみてないな。」
「何、アンタ達。昨日はそんなに遅くまでしてたわけ?」
テイルモンが冗談まじりに言うと、オーガモンは真っ赤になって否定した。
「し、してねーよ!!」
「あっ、図星でしょ。やーねぇ。」
「だから、してねーってば!!」
「なら、そういうことにしておいてあげるわ。」
テイルモンはにやにや笑いながら、レオモンの方を見た。すると、レオモンは気まずそう
に目をそらす。
「そっかー、じゃあ二人とも夢みてないんだ。つまんないのー。」
ガブモンががっかりしたような声で言うので、オーガモンは何のことだか気になり、尋ね
てみる。
「夢がどうかしたのか?」
「あのね、昨日あげた赤い実を食べたら、とってもいい夢をみられるはずだったのー。」
パタモンが簡単に自分達の見た夢を話す。レオモンとオーガモンはその話を聞いて、昨日
起こった出来事を何となく理解した。
「そうだったのか。そういえば、お前ら昨日のオーロラ見たか?」
「オーロラ?ううん、見てないよ。」
「残念だったな。すっげー綺麗だったんだぜ。」
オーガモンは昨日のオーロラのことを選ばれし子供達のデジモンに自慢げに話した。その
話を聞いて、選ばれし子供達のデジモンは少しうらやましいなと思ったが、それ以上に自
分達のみた夢があまりにもいい夢だったので、そこまで興味を持たなかった。
「そういえばさ、昨日はサンタモン来たのかな?」
ガブモンがふと呟く。
「わてらのところには来てないみたいやな。」
「そっか、残念だね。まあ、しょうがないか。サンタモンってすっごく気まぐれらしいか
ら。」
「おい、サンタモンって何だよ?」
選ばれし子供達のデジモン達が話すサンタモンとは、デジタルワールドでのサンタクロー
スで、とても気まぐれなデジモンであった。
「サンタモンはね、クリスマスの日にプレゼントを配るらしいんだ。ただ、とっても気ま
ぐれなデジモンで、プレゼントをもらえるのは本当に何匹かだけなんだって。」
「へぇ、そんなのがいるのか。・・・ってことは、この指輪はもしかしてそのサンタモンっ
てのがくれたのか?」
オーガモンは自分の指につけた指輪を眺めながら、そんなことを言う。
「えっ!?オーガモン、サンタモンからプレゼントもらったの!?」
「ああ。でも、俺だけじゃなくてレオモンももらったぜ。」
「何をもらったの?」
「ほら、この指輪だよ。」
オーガモンが差し出した手には、確かに銀色の指輪が輝いていた。アグモン達はまじまじ
とその指輪を見て、目を輝かせた。
「すごいよ、オーガモンもレオモンも!!あのサンタモンからプレゼントをもらえるなん
て!!」
アグモンやガブモンは、サンタモンのプレゼントだということにひどく感動していた。
「アンタも同じ指輪してるんでしょ。見せてよ。」
テイルモンはレオモンに指輪を見せるように頼んだ。そして、その指輪がはめられている
指を見てあれっと思う。
「ねぇ、アンタ達それわざとその指にはめてるの?それじゃあ、エンゲージリングか結婚
指輪じゃない。」
「この指にしか入んねーんだよ。」
「ふーん、そうなの。でも、今のあんた達にはピッタリなんじゃない?」
テイルモンはまたオーガモンをからかおうと考えていたが、実を言うとテイルモンもその
プレゼントをうらやましいと思っていた。
「ねぇ、みんな。今日はクリスマスでしょ。これからいろんなデジモンを呼んできて、パ
ーティーしましょうよ!」
クリスマス当日だということで、パルモンはクリスマスパーティーをしようと提案する。
もちろんそこにいた他のデジモン達はその提案に大賛成であった。
「もちろんレオモンとオーガモンも、参加してくれるわよね?」
ピヨモンが尋ねると、二匹は笑顔で答えた。
「ああ、参加させてもらうよ。」
「最高のクリスマスにしようぜ!!」
この後、たくさんのデジモンが集められ、大きなクリスマスツリーの下で、盛大なクリス
マスパーティーが行われるのであった。
END.