跡部の屋敷に入ったメンバーはまずは大浴場へと向かった。激しい運動をしたため、全員
かなりの汗をかいているのだ。あえてかいていないといったら、跡部だけであろう。
「はー、疲れたあ。」
「かなり動きましたもんね。」
「この時期にこんなに汗かいたの久しぶりだよな。」
「ああ。明日全身筋肉痛になりそうやわ。」
「パーティー終わったら俺がマッサージしてやるよ。」
「ホンマ?おおきにな。」
温泉のような大きく広い湯船につかりながら、滝や鳳、岳人や忍足は話をする。他のメン
バー洗い場で髪や体を洗っていた。
「それにしても、本当傷だらけだなあ宍戸。」
「テメェがあんな課題出すからだろ!?で、何で汗もかいてねぇのにテメェも風呂に入っ
てんだ?」
「俺様んちの風呂だぜ。入って何が悪い。」
「確かにそうだけどよ。でも、なんか納得いかねぇ。」
自分達は疲れ果てるほど、動いて汗をかきまくったのに、跡部はただ座って見ていただけ
だ。それなのに今ここにいて、ちゃっかりお風呂に入っている。跡部からすれば、他のメ
ンバーとは理由が全く逆で寒かったからというのが今お風呂に入っている理由なのだ。
「ジロー先輩、風呂で寝ないでくださいよ。」
「うーん・・・起きてるよ〜・・・Zzzzz・・・」
「寝てるじゃないですか。」
さっきから寝ぼけ眼のジローは隙さえあれば眠ってしまうという状態で、隣に座っている
日吉や樺地を困らせる。
「樺地、何とかしろよ。」
「ウ、ウス。」
困惑しながらも樺地はジローを洗ってやったあと、湯船に運んだ。湯船に入れば、少しは
目が覚めるだろうと思ってしたのだが、逆効果だったようだ。
「樺地、ジローこのままだと沈むぜ。」
「よくもまあ、風呂ん中でこんなに熟睡出来るよな。」
「ぶくぶくぶく・・・」
さすがに沈んでしまうと危ないので、樺地自身も湯船に入り、ジローが沈まないようにし
っかり体を支えてやる。
「樺地も大変やな。」
「ウス。」
「でも、えらいよね。樺地も疲れてるのにさ。」
「んー、樺地ぃ〜・・・」
「ウ、ウスっ!?」
「あはは、ジロー寝ぼけてる。」
寝ぼけてジローはぎゅうっと樺地に抱きつく。驚く樺地だが、他のメンバーは楽しそうに
笑っている。
お風呂から出て、着替えをするとさっぱりとした表情で客間の一つに向かう。そこには既
にお寿司やケーキ、ジュースなど、いかにもパーティーをしますというものがところ狭し
と並んでいた。
『スゲー・・・』
「好きなの食べていいぜ。いくらでもあるからな。」
様々なご馳走を前にして、それぞれ好きなものを好きなだけとって食べる。疲れた体には
嬉しいものばかりだ。これには今まで眠っていたジローも目を覚ます。
「おー、お菓子もいっぱいだー。何から食べようかなあ?」
「ジロー、寝てたんじゃねぇのかよ。」
「こんなおいしそうなものがたくさんあるんですもん。ジロー先輩も起きますよ。」
調子のいいジローを見ながら宍戸や鳳は呆れつつも笑っている。他のメンバーも自分の好
きなものをお皿に取って食べた。
「はあ〜、お腹いっぱーい。」
「やっぱ、うまいもんばっかやな。」
「当然だろ。」
「あれだけ動いて、こんだけおいしいもの食べちゃったら何か眠くなってきちゃうよね。」
疲労と満腹感から滝は大あくび。他のメンバーもほぼ同じことを感じていた。
「今日は特別だ。それぞれ鍵を渡すから好きなように部屋を使え。」
「いいの?」
「ああ。俺様がこんなこと言うのもしゃくだが、お前ら全員それなりに頑張ってたんじゃ
ねーの?」
跡部から出た意外な言葉に全員唖然。跡部が自分達を褒めるなんてありえない。そう感じ
つつもやはり嬉しいものは嬉しい。素直に鍵を受け取って、それぞれペアないしは三人で
くつろごうと客部屋へと向かった。
「跡部。」
「どうした、宍戸?テメェは行かねぇのか?」
「お前の部屋、行っちゃダメか?」
宍戸にも鍵を渡したのだが、宍戸は跡部の部屋に行きたいと言い出す。当然それは一人で
行くのではなく、跡部と一緒に行きたいという意味だ。少々驚く跡部だったが、断る理由
もないし、宍戸からそんなことを言うのは珍しいと快く承諾した。
「何だよ、一人じゃ寂しいってか?あーん?」
「そ、そんなんじゃねーよ!!ただ、ちょっと言いたいことがあって・・・・」
「言いたいこと?」
複雑な表情で宍戸はそんなことを言う。そんな宍戸の態度に跡部は少なからずドキドキし
ていた。
「とにかく俺はテメェの部屋に行きたいんだ!!いいのか、いけないのかハッキリしろ!」
「別に構わねぇぜ。来いよ。」
不敵に笑いながら跡部は言う。なんとなく上に立たれているようで、腹が立つがそれは跡
部だからしょうがないとわりきり、宍戸は跡部について行った。
客間から一つ上の階にある部屋に入った滝と鳳はさっそくベッドにダイブした。もう体は
くたくただ。
「うわあ、ベッドふかふかVv気持ちいいー。」
「さすが跡部さんの家ですよね。」
「それにしても今日の特訓、超キツかった。見てよ、こんなに跡がついちゃった。」
鳳の前に両腕を差し出す。相当強い力で固定されていたらしく、手首にはくっきりと跡が
残っていた。
「うわあ、本当すごい跡ですね。あっ、そうだ!ボール当てちゃったとこ大丈夫ですか?」
自分の打ったボールを思いきり当ててしまったこと思い出し、鳳は心配そうに尋ねる。
「大丈夫だよ。ちょっとアザになってるくらいだから。」
「本当ですか?ちょっと見せてください。」
「えっ・・・本当に大丈夫だよ?」
見られたら困るなあというような苦笑いを浮かべて、滝は誤魔化すようにそう言った。し
かし、鳳は自分のしたことだからちゃんと確認したいと見せるように滝に頼む。そこまで
頼まれたら隠しているわけにはいかないので、滝はしぶしぶ腕まくりをした。そこには手
首の跡など比べもののならない程の青アザがくっきりと表れていた。それを見て、鳳の顔
は青ざめる。まさかここまでひどいアザになっているとは思わなかったのだ。
「全然大丈夫じゃないですよ!!」
「平気だって。見かけがひどく見えるだけだから。」
「ちゃんと手当てした方がいいですよ。本当すいません!!」
「本当に大丈夫だから気にしないで。」
「でも・・・」
今にも泣きそうな顔で鳳は滝を見る。滝としては本当に大丈夫なのだが、見かけだけはや
はり心配されるほどのものだと分かっていた。だから、鳳には見せたくなかったのだ。
「そんな顔しないでよ。長太郎の所為じゃないよ。あんな練習させた跡部が悪いんだよ。」
「でも、当てたのは俺ですよ。俺がノーコンじゃなけりゃ・・・」
「最後にはちゃんと穴に入れられてたじゃない。長太郎のおかげで俺は解放されたわけだ
し、俺は長太郎が悪いなんて少しも思ってないからさ。」
「滝さん・・・・」
怒られるよりもこう言われる方が逆にぐっときてしまう。目にいっぱいの涙を浮かべて、
鳳はうつむく。滝はそんな鳳の頭を優しく撫でてあげた。
「ほら、男なんだからこのくらいのことで泣かないの。俺のことはもう気にしなくていい
から。」
「・・・・・。」
必死で涙がこぼれ落ちるのをこらえながら、鳳は顔を上げた。しかし、滝の顔を見るとや
はり、罪悪感で胸が締めつけられる。涙は見せちゃいけないと鳳は滝の肩に顔を埋めた。
「長太郎・・・」
「ごめんなさい、滝さん。ごめんなさい。」
気にしてないのにこんな態度をとる鳳に苦笑しながら、本当に可愛いなあと思ってしまう。
落ち着くまではしばらくこうしておいてあげようと滝は鳳の背中に腕を回してポンポンと
軽く叩いやった。すごく子ども扱いされているなあと思いながらも鳳はそうされることで
だいぶ落ち着きを取り戻した。
「本当にいろいろごめんなさい、滝さん。」
「そんなに謝らなくていいよ。でも、そんなに気にしてるなら・・・・」
いまだに謝り続ける鳳の気持ちを楽にしてあげようと、滝は鳳の唇にちゅっと口づける。
鳳は目を見開いたまま固まってしまった。
「今のでケガさせたことも俺の肩で泣いたことも全部チャラ。それでいいだろ?」
「・・・はい。」
にっこり笑う滝に鳳はただ頷くしかない。滝が自分とキスするのがどれだけ好きかを鳳自
身も理解している。だから、こう言われたらもう頷くしかないのだ。
滝と鳳の隣の部屋では岳人と忍足がベッドでゴロゴロしていた。それほど金持ちではない
二人にとって、跡部の家のベッドはお城のベッドのようなものなのだ。
「うーん、疲れたぁ。こんなふわふわのベッドだったら即効寝れるよな。」
「せやな。なあ、お互いにマッサージせぇへん?もう筋肉が痛くてしゃーないわ。」
「いいぜ。どっちからする?」
「俺はあとでもええよ。先に岳人にしたるわ。」
「サンキュー、じゃ、お願いするぜ。」
岳人をベッドに寝かせると忍足はゆっくりマッサージを始めた。いつもの倍くらい筋肉を
使ったので、すっかり凝ってしまっていた。それをほぐされる感覚は何とも気持ちがいい。
「あー、気持ちイイぜ侑士。マッサージうまいな。」
「そうか?他にして欲しいところは?」
「ふくらはぎとかして欲しいかも。今日もかなり飛んだからな。結構疲れてるっぽい。」
「ふくらはぎやな。」
うつぶせに寝転がっている岳人のふくらはぎの筋肉をほぐしていく。その心地よさに岳人
はうとうとしてきてしまった。しかし、自分だけやってもらって眠るわけにはいかない。
ただ心地よさに浸るにとどめて、岳人は眠ることはしなかった。
「よっし、俺はもういいや。今度は俺がしてやる番だぜ。」
「それじゃあ、お願いするわ。」
今度は忍足の方がベッドに横になって、岳人にマッサージをしてもらう。いつもつけてい
る眼鏡を外し、腕に顔をつっぷした。
「どれくらいの強さでやればいい、侑士?」
「ちょっと痛いって感じるくらいがええかな。でも、あんまり痛くはしないでな。」
「りょーかい。じゃ、ちょっと強めの力でやるな。」
少し強めに岳人はマッサージを施す。ときおり痛がるような声も出しながらも、基本的に
は気持ちいいらしい。そのうち、忍足はどんなに力を入れても全く反応を示さなくなって
しまった。
「侑士?」
「Zzzz・・・・」
「寝ちゃってる。ずるいなあ、俺は寝れなかったのに。」
ちょっと文句を言ってみるものの、忍足の寝顔を見られるのはやはり嬉しい。にこにこし
ながら、マッサージをやめ、布団をかけてやった。
「やっぱ、侑士の寝顔可愛い〜vvふあ〜、俺も眠みぃや。隣で寝ちゃおーっと。」
ゴソゴソと忍足の隣に入り込むと岳人をじっと忍足の顔を見た。
「超ドアップだ。ここまで、じっくり寝顔見れるってことあんまりないもんなあ。しばら
く見てようかな?」
しばらく忍足の寝顔を見ながらぷにぷにと頬っぺたを触ってみたり、唇に触ったりしてい
た。そのたびに忍足は小さく反応する。
「んん・・・・」
「起きるかな?」
「スー・・・」
「起きねぇや。結構熟睡してるみたいだな。」
「岳・・・人ぉ・・・」
寝言だろうが、忍足は岳人の名前を呟く。それが何だか嬉しくて、岳人は軽く頬っぺたに
キスをした。
「マジ可愛いし。本当は口とかにもしたいんだけどなあ。まあ、それは起きたらでいいや。」
そんなことを呟き、岳人は目を閉じる。もうそろそろ睡魔に対抗出来なくなってきている
のだ。目を閉じた瞬間、岳人もあっという間に夢の世界へと入っていった。
二つのペアの向かい側の部屋では、ジローと樺地、日吉の三人が休んでいる。当然のこと
ながら、ジローはパーティーでご馳走を食べ終わるともうその瞬間、睡眠モードになって
いた。この部屋には樺地が抱えて連れてきたのだ。
「お前もよくやるよなあ、樺地。」
「別に嫌じゃないから・・・・」
ジローをベッドに寝かせるとすぐ側にあるソファに樺地は腰かける。あれだけ動いて、さ
らにジローを運んだりなんかして、他のメンバーより疲れが溜まっているのは確かであろ
う。やっと休める時間をとれて、樺地は小さく溜め息をついた。
「ほら。」
「えっ・・・?」
「疲れてんだろ?部屋自由に使っていいってことは、これくらいしてもいいだろ。」
日吉は部屋にあった紅茶を入れ、樺地に渡した。疲れたときには甘いものがいいと言いな
がら、ミルクと砂糖をたっぷり入れる。
「ありがとう・・・」
「どういたしまして。」
それだけ言うと、日吉はテレビがある方へと歩いていく。そこにはいくつかのDVDがお
いてあったので、暇つぶしにそれを見ようと思ったのだ。
「おっ、これなんかおもしろそうだな。」
興味のあるDVDをデッキに入れると、再生ボタンを押す。先輩の家にも関わらず、本人
がいなければ大丈夫だろうと、好き放題しまくりだ。
(甘い・・・)
そんな日吉を何となく眺めながら、樺地は紅茶を一口口に含む。少し甘すぎではあるが、
その甘さが疲れた体には心地よかった。そんな状態になって、樺地に睡魔が襲ってくる。
紅茶をテーブルに置くと、そのままこっくりこっくり眠ってしまった。
「俺も紅茶飲もうかな。」
自分も紅茶を飲もうと日吉は立ち上がる。すると樺地がソファで眠ってしまっているのが
目に入った。起こしてベッドで寝かせようかとも考えたが、せっかくよく眠っているのに
起こすのは可哀想だとタンスの中からブランケットを探し出し、樺地の肩にかけてやった。
「あんなによく頑張れるよなあ。そんなにジロー先輩や跡部部長のことが好きなのかねぇ。」
そんなことを呟きながらテレビがある方へ戻ると、眠っているはずのジローが突然言葉を
放つ。
「樺地が好きなのは俺なのー!!・・・ムニャ・・・ムニャ・・・・」
どうやら寝言らしい。日吉の独り言が眠っていながらも聞えたらしく、抗議したのだ。少
し驚く日吉だったが、ただの寝言かと再びDVDを見始めた。
「ま、嫌じゃないって言ってたし、樺地にとってもジロー先輩にとってもあれでいいみた
いだな。」
他にはない二人の妙な関係をおもしろいなあと思いながら、日吉は紅茶を口に含んだ。
跡部の部屋について行った宍戸は、他の部屋より一回りも二回り大きなベッドに寝転がり、
枕を抱いて跡部の方を見ている。言いたいことがあると言ったものの、なかなかタイミン
グがつかめず言うことが出来ない。
「宍戸、言いたいことがあるんじゃなかったのか?」
「えっ、ああ、うん・・・」
くつろぐようにイスに腰かけていた跡部は宍戸のもとまで行ってやり、そのきっかけをつ
くろうとする。しかし、宍戸はまだ言えないようだ。
「あのな・・・」
「ああ。」
ベッドから起き上がり、宍戸は跡部の顔を見る。今度こそ言おうと思うのだが、どうも言
葉がすぐには出てこない。しばらくの沈黙があったあと、痺れを切らして跡部が立ち上が
った。
「何も言わないなら、またイスの方戻るぞ。」
「ま、待てよっ!!」
跡部が行こうとするのを、慌てて宍戸は止める。そして、恥ずかしそうにうつむきながら
ボソボソと呟いた。
「今日は・・・その、ありがと。」
「何のことだ?」
「今日の練習、あいつらは嫌だ嫌だ言ってたけど・・・俺はすごくよかったと思ってる。
自分の苦手なとこ、メチャメチャ鍛えられたと思うし、最後のアドバイスもすごく役に立
った。跡部って、自分のことしか考えてないように見えて、ちゃんとみんなのこと考えて
るんだよな。」
「当然だろ?別にそれは礼を言われるほどのことじゃねーよ。」
まさか、素直にお礼を言われるとは思っていなかったので、跡部も何となく照れくさくな
ってしまう。それを誤魔化すかのようにベッドから下り、宍戸に背中を向けた。
「でも、俺は本当に感謝してるぜ。サンキューな。」
「あ、ああ。」
背中越しにもう一度お礼を言われ、跡部は動揺する。勝手にドキドキと速くなる鼓動を抑
えられず、跡部はしばらくそのまま動くことが出来なかった。少し落ち着きを取り戻し、
くるっと振り返ると宍戸はさっきのように横になって、目を閉じている。
「何だよ、寝ちまったのか?」
きっと疲れて寝てしまったのだろうと思いながら、ベッドの方へ戻りそこに腰かけた。自
分の枕を抱きしめたまま眠っている宍戸の短い髪にくしゃっと触れると自然と笑みがこみ
上げてくる。
「まさかテメェにそんなこと言われるとは思ってなかったぜ。こんなに動揺したのは久し
ぶりだな。」
「ふーん、俺が礼言ったのはそんなに意外だったか?」
「し、宍戸!?寝てたんじゃなかったのか?」
「うーん、寝ようとしたけど完璧に寝てない状態だったって感じか?跡部がおもしろいこ
と言ってるから思わず起きちまった。」
寝転がったままニヤニヤ笑って、宍戸はそんなことを言う。自分の言ったことで跡部がそ
れほど動揺していたのかと分かって、何となく嬉しくなったのだ。
「寝てろ!!」
「これ、跡部のベッドだぜ。いいのかよ、このまま寝ちゃって。」
「今更だろ。それとも俺に添い寝でもして欲しいのかよ?あーん?」
自分だけ動揺させられているのがくやしいと跡部は、からかうようにそう言う。しかし、
宍戸から返ってきた返事は予想とははるかに違うものだった。
「あー、そうだな。ちょっと寒みぃし、一緒に寝るか?」
「は?」
「添い寝したいのはテメェの方だろ?俺はいいぜ。今日は歓迎してやるよ。」
にっと笑いながら、宍戸は言う。そんなセリフに再び跡部の方が動揺してしまう。しかし、
ここで引き下がったらそれこそ負けだ。
「そこまで言うならしてやるよ。ありがたく思いな。」
「それはこっちのセリフだ。」
お互いに一歩も引かないセリフを言いながら、一つの布団に横になる。どちらも結局、一
緒に眠りたかったようだ。
節分とは言ったものの、豆まきなど本当にやるべきことは全くやってはいない。しかし、
こんなに甘くラブラブな雰囲気を持った場所に、わざわざ鬼は来ないであろう。無意識に
鬼をはらうような雰囲気をここにいるメンバーは、あふれるほど出しまくっているのであ
った。
END.