Feel comfortable

学校も部活もない休日。宍戸は跡部の家に遊びにきていた。跡部の部屋の座り心地のよい
ソファに腰かけ、二人はDVD鑑賞をしていた。内容は宍戸の好きな映画であったが、好
きな映画であるが故に、何度も見たことがあった。
(んー、面白いんだけど、何度も見てるからなあ。せっかく跡部と一緒にいるんだから、
もっと他に・・・)
そんなことを考えながら、隣にいる跡部の方をチラッと見ると、跡部はかなり集中した様
子で画面に目を向けている。画面に釘付けになっている跡部を見て、宍戸は何だか少しも
やっとする。もっと跡部に構って欲しい、いつものように嫌というほど触れて欲しい、そ
んな欲求が宍戸の中で高まっていった。
(どうするかな・・・?)
そう思ってはいても、宍戸の性格上それを素直に口に出すことは出来ない。しかし、何も
しないでいても、もやもやする気持ちが強くなるだけだ。少しでも跡部の意識を自分の方
へ向けさせたいと、コテンと頭を跡部の肩にくっつけた。
「どうした?宍戸。」
突然肩に頭をもたれてくる宍戸に、跡部は視線を移しそう問う。そんな跡部の言葉に、宍
戸は黙って跡部の顔を見た。真っ青な瞳に見つめられ、金色の髪は顔に触れる。あまりに
近くにある跡部の顔にドキドキしながらも、宍戸は決して跡部から視線を外そうとはしな
かった。
(あー、どうしよ。すげぇキスしたい。)
跡部の顔を見ながら、宍戸はそんなことを思う。と、跡部の顔と自分の顔との距離がふと
縮まる。そして、次の瞬間、跡部の唇が宍戸の唇をしっかりと捉えた。
「んむっ・・・・」
軽くキスをするだけのつもりだった跡部だが、宍戸の唇に触れてしまうとそう簡単には離
せなくなってしまう。唇を重ねたまま、舌を絡める。その何とも言えない感触が二人の気
分を高め、離れることを出来なくさせていた。
「んっ・・・ぁ・・・ん・・ん・・・・」
小さく開かれた唇の隙間から、濡れた声が漏れる。その声が跡部をさらに煽り、より深く
激しい口づけが宍戸に降り注ぐ。
(跡部の奴、やっぱキス上手いよなあ。こんなにたくさんされたら、変な気分になってき
ちまう・・・)
深く長く口づけられ、宍戸の鼓動は速くなり、次第に身体は熱くなってゆく。腰の奥が疼
くような感覚に、宍戸はぎゅうっと跡部のシャツを握った。そんな宍戸の反応に、跡部は
いったん口を離す。口を離したと同時に、宍戸の口の端からどちらのものとも分からない
唾液が流れ落ちる。それを舐め取るかのように、跡部は宍戸の口の端を舐めた。
「あっ・・・」
唇のすぐ横を舐められる感覚に宍戸は思わず声を上げる。ぎゅっと閉じていた目を開ける
と、跡部がニヤニヤと笑いながら視線を落としていた。
「今のでも感じるのか?」
「ち、違っ・・・」
「違くねぇだろ。さてと、十分キスはしたし、続き見ないとな。」
冗談っぽく跡部はそんなことを口にし、視線を画面に移す。今のキスでどうしようもなく
そういうことをしたくなってしまった宍戸は、握っていたシャツをぐいっと引っ張った。
「何だよ?」
「・・・・ベッド、行く。」
「眠いのか?」
「違う。違うけど・・・とにかく行くんだよ!」
宍戸が何をして欲しいかなど、跡部には分かりきったことであったが、あまりに宍戸が可
愛らしい態度を取るので、気づかないふりをする。宣言した通り、ベッドに移動した宍戸
は仰向けにゴロンと横になり、跡部の方へ視線を向けた。
「跡部も・・・」
ポンポンと布団を叩くと、宍戸はそう口にする。そこまでハッキリと口に出して言ってい
るわけではないが、なかなか率直な誘い方に跡部の顔はニヤけてしまう。誘われたなら、
その誘いに乗らないわけにはいかないと、跡部は宍戸の寝転がっているベッドに乗り上げ
た。
「そこまで宍戸がしたいっつーんなら、してやらなきゃな。」
「べ、別にそんなこと言ってねぇ!!」
「けど、ここは正直だぜ?」
宍戸の穿いていたハーフパンツを下着ごと脱がしてしまうと、跡部はあらわになったそれ
をぎゅっと握る。いきなり直接触れられ、宍戸はビクッとその身を震わせる。
「ひゃっ・・・あ・・・!!」
「いい声出すじゃねぇか。お、そうだ。せっかくだから同時に弄ってやるよ。」
ご機嫌な様子で跡部は、ベッドの横の棚からあるものを取り出す。まずはトロトロのロー
ションを指に絡め、まだ閉じたままの宍戸の蕾に塗りつける。濡らされた蕾は抵抗なく跡
部の指を受け入れ、きゅうきゅうとその指を締めつけた。
「あっ・・・やぁ・・・・跡部っ・・・!」
「もっとトロトロにしてやるよ。」
「ひあっ・・・ああぁ・・・・」
開き始めた蕾に跡部は更にローションを加える。外側だけでなく内側も濡らされ、宍戸は
高い声を漏らしながら腰を揺らす。
(中がぬるぬるして、跡部の指・・・気持ちイイっ・・・)
「さぁて、これくらい慣らせば余裕だろ。」
「ハァ・・・な、何?」
「テメェ、コレ好きだろ?」
ニヤリと笑みを浮かべ、跡部はピンク色のローターを宍戸の前にちらつかせる。そして、
ローションですっかりぬるぬるになった蕾の中へぐいっとそれを押し込んだ。
「んぁっ・・・あぁんっ!!」
「簡単に入っちまったな。」
「んん・・・ハァ・・・・」
「ここからもっと気持ちよくしてやるよ。」
そう言うと、跡部はローターのスイッチを入れる。無段階調整のダイヤルを回しながら、
すっかり硬くなっている宍戸の熱を、跡部はしっかりと握った。
「ああぁっ・・・んぁっ・・・ああっ・・・!」
少しずつ振動を強くしながら、跡部は宍戸の熱を握っている手を上下に動かす。内側から
の痺れるような刺激と、跡部の手から与えられる直接的な快感。何も考えられなくなりそ
うな快感に宍戸は素直にそれを口にする。
「ああぁっ・・・やっ・・・気持ちイイ・・・あっ・・・ひあぁっ・・・!」
「そんなにいいのか?」
「んんっ・・・すげ・・・イイっ・・・・」
「今日は随分素直だな。それならもっとよくしてやるぜ?」
「あっ・・・ダメっ・・・ああぁ―――っ!!」
ダイヤルを限界まで回し、宍戸の熱を握る手の動きも速くする。強すぎる刺激に宍戸はガ
クガクと下肢を震わせる。
(気持ちよすぎて・・・ヤバイ・・・・これじゃすぐ・・・・)
「跡部っ・・・・俺、もぉ・・・あっ・・・・」
「ふっ、いいぜ。イっちまえよ。」
「あっ・・・あああぁ―――っ!!」
跡部に与えられる快感が極限にまで高まり、宍戸は白い雫を迸らせる。宍戸が達したのを
確認すると、跡部は中で動いているローターのスイッチを切った。
「ふぁ・・・ハァ・・・ハァ・・・・」
大きく胸を上下させ、宍戸は絶頂の余韻に浸る。
(すげぇ気持ちよかった。あー、何かすげぇイイ気分・・・)
「跡部ぇ・・・」
うっとりとした表情で、宍戸は跡部に向かって腕を伸ばす。その表情に跡部はドキっとし
てしまう。
「何て顔してんだ。そんな顔されたら我慢出来なくなっちまうだろ。」
「キス・・・しろよ・・・・」
「あんまり俺様を煽ると、後が大変だぜ?」
「んん・・・」
宍戸の求めるまま跡部はキスをし、ぐいっと宍戸の足を開かせる。そして、すっかり熱く
硬くなった楔を宍戸のひくつく蕾へとあてがった。
(跡部のが・・・入ってくる。)
そう思った瞬間、宍戸のそこはひくっと震える。少し跡部が身を進めると、引き込むよう
に赤く熟れた蕾は蠢いた。
「んんぅ・・・・んっ・・・ぁ・・・・!」
「ハァ・・・テメェのココは、随分と俺を欲しがってたみたいだな。」
つつっと結合部を撫でながら、跡部は宍戸から唇を離し、そう呟く。もっと深く繋がり合
おうと、跡部はぐっと腰を進めた。
「くあっ・・・あああぁっ!!」
「全部入ったぜ。今日のテメェの中はぬるぬるで、いつもとはちょっと違ってたまんねぇ
な。」
「んっ・・・ハァ・・・中・・・すげぇぎゅうってなってる・・・・」
「ああ、すげぇ気持ちイイぜ。」
「俺も・・・気持ちよくて・・・・たまんねぇ・・・」
伸ばした腕を跡部の首に絡め、宍戸は吐息混じりに口にする。いつもより素直で少しだけ
積極的な宍戸に、跡部はいつもより感じてしまう。もっと互いに気持ちよくなろうと、跡
部は大きく動き出した。
「ひっ・・・あっ・・・・ああっ・・・」
「やっぱ、動いた方がいいな。」
「うん・・・イイ・・・」
「お前も好きなとこに当たるように動けよ。」
「跡部が・・・してくれるとこなら・・・全部いいから・・・・」
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。だったら、存分にお前のイイとこばっかしてやる
よ。」
宍戸がわざわざ教えなくとも、跡部は宍戸のイイところなど全て知り尽くしている。宍戸
がイイところを突かれれば、その気持ちよさは跡部にも伝わる。
「ああっ・・・ふあぁっ・・・・ああぁんっ!!」
「はっ・・・宍戸っ・・・そろそろ・・・・」
「う・・ん・・・・俺も・・・俺もっ・・・・」
「くっ・・・」
「ああっ・・・あああぁ―――っ!!」
奥の奥で繋がると、二人は同時に果てる。どちらも快感の余韻に浸りながら、肌を合わせ、
眠りにつくかのようにゆっくりと目を閉じた。

ベッドに身を預けながら、二人はふとテレビの画面に目を向ける。いつの間にか先程まで
見ていたDVDは終わっていた。
「DVD終わっちまってるな。」
「跡部、随分真剣に見てたけどよかったのか?」
「DVDとお前とこういうことするのとどっちがいいかって言われたら、お前とこういう
ことする方が何倍もいいに決まってるだろ。」
「へへ、そっか。」
自分とする方がいいと言われ、宍戸は嬉しそうな反応を示す。そんな宍戸が可愛いと、跡
部はくしゃっと宍戸の頭を撫でた。
「何だよ?」
「お前、頭撫でられるのも好きだろ?」
「そんなことねーよ。」
「でも、嫌がってねぇじゃねーか。」
「嫌ではねぇもん。」
「はは、素直なんだか素直じゃねぇんだか分かんねーな。」
頭に乗っている跡部の手をのけずに宍戸は枕に顔を埋める。跡部に触れられることが、今
日はどうしようもなく心地がよい。埋めた顔をチラッと跡部の方へ向けて、宍戸はふっと
笑う。
「何笑ってやがる?」
「別に何でもねぇよ。」
「アーン?何でもなくはねぇだろ。そんな態度とる奴にはこうだ!」
「あははは、ちょっ、やめろよ跡部!!」
ハッキリしない態度をとる宍戸に跡部はくすぐり攻撃をかける。じゃれ合うようにベッド
の上でふざける二人は、まるで幼い子どものようであった。存分にじゃれ合うと、跡部と
宍戸は再びベッドの上に横になった。
「ハァ・・・疲れたー。」
「ちょっとはしゃぎすぎたな。」
「何か眠くなってきちまった。」
「少し寝とくか?」
「んー、したらちょっと寝ようかな。」
することをして、はしゃぎすぎたために、宍戸は眠くなってしまう。眠ろうと目を閉じる
前に、宍戸は跡部にペタっとくっついた。
「俺はそんなに眠くないんだけど?」
「俺が寝るまで、こうさせろ。」
「仕方ねぇなあ。」
そんな言い方をしつつも、跡部の顔は緩んでいた。跡部の鼓動を感じながら、宍戸は眠り
につく。規則正しい寝息を立てる宍戸を腕に抱き、跡部は体を重ねるのとは一味違った心
地よさを満喫するのであった。

                                END.

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