満月の夜に・・・

果てしなく広がる深淵。街は静まり返っている。そんな街の一角に中世の風格を残した屋
敷が一つある。今日は満月。暗闇の中にある屋敷を赤々と妖しい光が照らし出している。
「ちっ、今日は満月か・・・」
窓から差し込む月の光を見ながら、跡部は舌打ちをする。ヴァンパイアの跡部にとって、
満月の光は、ひどくその力を掻き乱すものなのだ。血がたぎり、身体が熱くなる。そんな
感覚を、跡部はどうすることも出来ずに持て余していた。
「ハア・・・」
呼吸をするのもやっとで、大きな溜め息をつきながら、ベッドに腰かける。このまま何も
考えずに眠ってしまおうと思ったその瞬間、突然、部屋のドアが開いた。跡部はゆっくり
と開いたドアの方に視線を移す。そこには、シャワーを浴び終えた宍戸が、顔を紅潮させ
て立っていた。
「景吾・・・・俺おかしい・・・」
服を着るのもなおざりに、宍戸はふらふらとした足取りで跡部のもとへ近づいてゆく。ヴ
ァンパイアになった宍戸も、跡部と同じ症状が出ているのだ。ベッドは窓のすぐ近くにあ
る。直接に満月の光を浴び、宍戸の症状はさらに顕著になった。
「あっ・・・」
力が抑えられなくなった宍戸の姿は、もとの姿に近づく。真っ黒な黒髪から、同じほど黒
い猫の耳が突き出て、尾てい骨のあたりからは、しなやかな尻尾が生える。そんな姿の宍
戸を目にし、跡部は甘い眩暈を感じる。
(ヤベェ・・・今日は、満月の影響が強すぎる。)
理性が消えてしまいそうなその状況に、跡部は焦りを感じる。自分でさえ、こんなになっ
ているのだから、初めてこうなる宍戸は、もっと強い不安を感じているだろう。
「大丈夫か?亮・・・」
「身体が熱い。息が苦しい。俺、どうしちまったんだ?」
自分の身体に起こっていることが理解出来ずに、宍戸は不安から目を潤ませ、跡部に問う。
「満月の所為だ。俺らの種族は、満月の夜になると嫌でもこうなっちまう。」
「そうなのか・・・?」
「ああ。こうなると、本当感情のコントロールが利かなくなる。今だって、相当抑えてい
るが、もうすぐにでも爆発しちまいそうだ。」
震える手を握りしめ、出来るだけ宍戸の方を見ないようにしながら跡部は言う。しかし、
宍戸にはそこまでの自制心はない。必死で理性を保とうとしている跡部に抱きつき、素直
に自分の感じていることを口にした。
「景吾、俺、血が飲みたい・・・」
「・・・っ!!」
それはもちろん跡部も感じていることだった。しかし、今の状態でそれをすれば、もう何
もかも止められなくなる。どうしようかと迷っていると、宍戸が誘うような目で、唇にキ
スをしてきた。
「なあ、景吾ぉ・・・」
「ちっ、どうなっても知らねぇぞ。」
もう跡部も我慢の限界であった。荒々しく宍戸をベッドに押さえつけ、噛み付くようなキ
スをする。いつもよりも数倍乱暴なキス。それでも、宍戸にとっては、意識が飛んでしま
うのではないかと思う程に気持ちが良かった。
「んぅ・・・んん・・・はっ・・・・」
「テメェが誘ったんだからな。その責任取ってもらうぜ。」
「おう。上等だ。」
既に二人の頭からは理性という二文字は消え去っていた。赤い月光に掻き立てられる本能
だけが、二人を動かす。どうなってもよいという覚悟が、二人の口元に妖しい笑みを浮か
べさせていた。

邪魔な服は全て脱ぎ去り、月の光に身体を晒す。しばらく口づけを交わしていたが、どち
らも血が欲しくて堪らなくなる。ある程度進化した種族のヴァンパイアである跡部と宍戸
はお互いの血を与え合うということで、一応満足出来る体になっている。
「景吾、もう我慢出来ねぇ・・・早く血飲ませて。」
「そうだな。俺もテメェの血が飲みたくて仕方ねぇ・・・」
お互いの首筋に口をつけ、牙を立てる。ほぼ同時にそれが突き刺さった瞬間、二人の瞳は
赤く染まった。じわじわと溢れ出してくる血を喉を鳴らして飲む。身体の底から力が漲り、
噛まれていることで、果てしない快感を感じる。自分と相手の血が身体の中で混じり合う。
そんな感覚に酔いしれながら、跡部も宍戸もうっとりとして美味なる血液を味わう。
「激美味い・・・。」
「ああ。最高だぜ、お前の血。」
首から唇を離した二人の口の周りは、まるで肉食獣が獲物を喰らった後のように、相手の
血で真っ赤に染まっていた。それがまた視覚を刺激し、治まりかけた熱を再び呼び起こす。
「血、飲むとさぁ、すげぇしたくならねぇ?亮。」
「ああ。なあ、今日は少しくらい激しくても構わねぇぜ。ガンガンしてくれよ、景吾。」
跡部の首に腕を絡め、妖しく笑いながら宍戸はそんなことを言う。こんな雅な誘いに跡部
が乗らないわけがない。ニヤリと笑うと、もともと露わになっている宍戸の茎をきゅっと
握った。
「あっ・・・!」
「そんなこと言っていいのかよ?手加減出来ねぇぜ。」
満月とさっき飲んだ血の所為で、極度の興奮状態に陥っている跡部は、握っている熱の先
端を容赦なくぐりぐりと擦り上げる。そんな刺激に宍戸は嬌声を上げ、ビクビクと身体を
震わせた。
「あっ・・・ああっ!!」
「少し弄ってやるだけで、こんなに蜜を滴らせて。テメェは本当に淫乱だな。」
「ひぅっ・・・だって、景吾が・・・」
「俺が何だって?」
「あっ・・・あぁ・・・そんなにしたら・・・」
言葉を交わしつつも、跡部は全く手の動きを止めようとしない。それどころか、だんだん
とその手の動きを速めてゆく。自分の意識とは関係なしに高まっていく快感に、宍戸は素
直に溺れる。首を振り、声を上げ、跡部の背中に爪を立てる。多少の痛みを伴うものの、
宍戸の身体を支配しているという恍惚感は、跡部の気分を高揚させた。
「随分よさそうじゃねぇの。今すぐにでも出したいってビクビクいってるぜ、お前のコレ。」
「いっ・・・そ、そんなに強く握んなよ・・・」
「握ってないと出しちまうだろ?」
嗜虐心たっぷりの笑みを浮かべながら、跡部は宍戸の熱を握ったまま脚を開かせ、その間
に顔を埋める。そして、柔らかな内腿に鋭い牙を立てた。
「ひあっ・・・!!」
深々と刺さる牙は、痛みを感じさせないための媚薬をたっぷりと身体の中に注ぎ込む。そ
れはあっという間に周りに広がり、すぐに跡部の手に覆われている部分にも回る。そんな
状態で、思いきりそこから血を吸ってやれば、宍戸の身体は弓なりに反り、激しく痙攣す
る。
「いっ・・ああっ・・・景吾っ!!」
「ここの肉は柔らかくていいな。そんなに吸わなくても血が出てくるしよ。」
「け、景吾・・・手・・離してっ・・・」
「何だよ?そんなにイキてぇのか?」
「もっ・・・無理ぃ・・・おねが・・・」
激しく呼吸を乱しながら、宍戸は跡部に懇願する。その表情があまりにもツボだったので、
跡部はその願いを聞き入れてやった。しかし、ただ手を離し、そのまま出してしまうのは
勿体無いので、手を離すと同時に跡部は、ギリギリまで高まった宍戸の熱をパクッと口に
含む。その濡れた感触と今まで抑えられていたものが解放された感覚に、宍戸は濃い白蜜
を跡部の口内へと放った。
「あっ・・ああ――っ・・・・」
一滴も残さず跡部は蜜を飲み込む。血とはまた違う何とも言えない美味な味に跡部はしば
らく酔いしれる。
「テメェの身体から出るもんは、何もかもが美味いな。」
「ハァ・・・テメェばっか、ずりぃ・・・」
「ふん、この後はテメェの方がたくさん俺のを飲み込むんだ。これでも、足りねぇくらい
だぜ。」
跡部ばかりが自分の身体を味わってずるいと、宍戸は少しふくれてみせる。しかし、跡部
は飄々として笑う。そして、宍戸の身体をいったん起こすと、四つん這いにさせるように
前へ倒した。
「わっ・・・」
「今の姿だと、この格好がピッタリだな。」
もともとの姿が若干表れているため、そのポーズはまさに猫であった。期待に揺れる尻尾
の生え際に跡部は再び噛み付く。腰に甘い棘が刺さるようなその感覚に、宍戸の尻尾はピ
クピクと震える。
「ふっ・・あ・・・っ!」
じわじわと滲んでくる血を舐め取りはするが、それ以上のことはしない。しかし、全く触
れられていないはずの双丘の中心は、ヒクヒクと何かを求め始める。それを分かっていな
がら、跡部はそこには決して触れようとしなかった。慣らされてもいないのに、宍戸はそ
こに跡部自身が欲しくて堪らなくなる。しばらくは、その状況が信じられずに何も言わず
にいた宍戸だったが、すぐに我慢の限界がやってきた。
「ハァ・・・け、景吾・・・」
「アーン?」
「・・・・もう・・我慢出来ねぇ。」
「何がだ?」
「早く・・・俺のココに・・・景吾の挿れて・・・」
「まだ少しも触ってねぇぜ。慣らしなしで俺のを欲しがるなんてどうしたんだよ?」
もちろんその理由は跡部は分かっていた。腰を噛んでやれば、牙から出る媚薬はすぐに蕾
の周囲に到達する。そうなれば、慣らしなどしなくとも自然とそこは自分自身を求め始め
る。
「分かんねぇけどっ・・・でも・・・今すぐにでも、景吾のが・・・欲しくて堪んねぇん
だよ!・・・なあ、お願い・・・早く・・・」
「仕方ねぇなあ。」
あまりに率直で激しい宍戸のおねだりに、跡部は口元を緩ませながら自分自身を取り出し、
宍戸の蕾に押し当てた。そして、全く慣らされていないそこを一気に貫く。多少のキツさ
は感じるものの、宍戸のそこはしっかりと跡部の楔を咥え込んだ。
「やるじゃねぇの。慣らしなしでも、しっかり俺のを最後まで咥え込んでるぜ。」
「ハァ・・あっ・・・ぅ・・・」
「さあ、次はどうして欲しい?」
頭に生える黒い猫耳を食むように、跡部は低い声で囁く。その瞬間、甘い痺れが背中から
腰にかけてゾクゾクと駆け抜ける。
「・・・にゃ・・ぁん・・・」
「いい声で鳴くじゃねぇか。でも、それじゃあ、どうして欲しいかは伝わらねぇぜ。ほら、
言えよ。」
「・・ぃ・・て・・・」
「アーン?ちゃんとハッキリ言わねぇと分かんねぇぜ?」
「動いて・・・景吾ぉ・・・」
「ふっ、おねだり上手いぜ、亮。」
唇を震わせながら、宍戸がそんな言葉を紡ぐと、跡部はしっかりと腰を抱え、引き抜いて
は突き刺すという動きを繰り返す。熱い楔で敏感な粘膜を擦られる感覚は、この世のもの
とは思えないほどの快感を生み出す。がくがくと膝を震わせながら、宍戸は艶めかしい鳴
き声を上げる。
「あっ・・にゃ・・あん・・・あっ・・・にゃっ・・・」
「テメェン中、すげぇ熱ぃぜ。いい感じに絡み付いてくるしよ。」
「はっ・・・景吾っ・・・あっ・・・もう・・・イクっ・・・」
「少し早ぇんじゃねぇの?でも、まあ、まだ終わらせるつもりねぇしな。ここでイってお
くのも悪くねぇか。」
シーツを握り締めながら、宍戸は生理的な涙をボロボロと溢す。そんな宍戸の内側を、跡
部は一際激しく擦った。その瞬間、柔らかい壁が吐精を促すかのように跡部の熱を締め付
ける。そんな刺激に抗うことなく、跡部は宍戸の中にたっぷりと白濁の蜜を注いでやった。
「ひ・・にゃっ・・・ああ――っ・・・・」
「・・・っ・・ぅ・・・」
十分に宍戸の中を自分の熱でいっぱいにしてやると、跡部は満足気な表情で楔を宍戸の中
から引き出す。宍戸の赤い蕾からは、トロリと白い蜜が零れている。腰を上げたまま、シ
ーツに崩れるようにして、宍戸は快感の余韻に浸り、激しく呼吸を乱していた。
「ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」
そんな宍戸の髪を掴み、跡部は無理矢理宍戸を起き上がらせる。
「まだまだ、終わりじゃないぜ。」
宍戸の中にあれほど自身を注ぎこんだにも関わらず、跡部の熱は全くその強度を失ってい
なかった。胡坐をかくように座ると、赤々と瞳を輝かせ、宍戸に手を差し出す。
「今度は、テメェが自分で入れろ。」
「えっ・・・?」
「出来んだろ?嫌だとは言わせねぇぜ。」
跡部の瞳に射抜かれ、宍戸は拒否することが出来なかった。それどころか、身体が再び跡
部と繋がることを求めている。ゆっくりと跡部に近づくと、宍戸は差し出された手を取り、
跡部の足を跨いだ。そして、自ら双丘を割り開き、白い雫が滴る蕾に跡部自身を埋めてゆ
く。
「あ・・・んっ・・んんっ・・・」
「ああ・・・いいぜ。最後まで入れたら今度は自分で動いてみろ。」
再び宍戸の中に入ってゆく感覚に、跡部は思わず熱を持った吐息を漏らす。中にまだ跡部
の放った蜜が残っているので、いとも簡単に跡部の熱は根元まで入っていった。しかし、
もうそれだけでは物足りない。跡部に言われるまま、宍戸は自ら腰を揺らし、一番感じる
部分に跡部自身を擦りつける。
「ふ・・あぁ・・・ん・・にゃあ・・・っ・・・」
自ら快感を追い求め、淫らに喘ぐ宍戸の顔を見て、跡部はひどく興奮する。
「亮、血飲みてぇか?」
「う、うん・・・飲みたい・・・」
「今日はいい顔見せて、いい声聞かせてくれてるからな。褒美だ。」
そう言うと跡部は、鋭い牙で自分の指を切る。切り傷のついた指先からは、ポタポタと血
が滴り落ちる。その指を跡部は、宍戸の口元へ持ってゆく。
「口開けろ。」
跡部の言葉に宍戸は素直に従う。小さく口を開けると血の滴る指が口内へ入る。大好きな
跡部の血の味に、宍戸は恍惚とした表情になる。
「んっ・・・んぅ・・・」
血を吸うように舌を動かそうとすると、跡部はその血を口全体に塗りたくるかのように指
を動かす。興奮を呼び起こす血の味と口内を探られる感覚。それが相乗効果となり、宍戸
の身体をさらに感じやすくさせた。
「んん・・・ぁ・・んっ・・・んっ・・・」
跡部の指を咥えながら、宍戸は腰を動かす。上の口も下の口も跡部でいっぱいになり、こ
れ以上ないほどの充足感を感じる。それは跡部も同じだった。どちらの口でも宍戸を感じ、
それによって痺れるような快感が身体中を駆け巡る。
「景吾っ・・・あっ・・・どうしよ・・・」
「あー、どうした?」
「上も下も景吾でいっぱいになってて・・・激、気持ちイイっ・・・」
「俺もだぜ。テメェの口はどっちも最高だ。半端じゃなく気持ちイイ・・・」
お互いの熱と血と蜜が混じり合い、果てしない快楽を生み出す。夜風がカーテンを揺らし、
月の光が二人の身体に注がれる。目の前が赤く染まり、燃えたぎる血が身体を一巡りする
と、全てをとろかすような快感が意識の大半を凌駕し、二人は熱い想いをほとばしらせた。

極度の疲労のため、二人はそのまま寝入ってしまった。ヴァンパイアであるため、この時
出来た噛み傷や切り傷は眠っている間に綺麗に治ってしまう。満月が傾くまでそんなこと
をしていたため、二人は昼近くまでぐっすり眠る。
コンコン・・・
「跡部ー、滝とか鳳が遊びに来てるよー。」
二人が気持ちよく寝入っていると、ジローが扉を叩き、声をかける。どうやら滝と鳳が二
人で遊びに来たようだ。中から返事がないので、ジローは鍵がかかっているかなあと思い
つつも、ドアの取っ手に手をかける。すると、予想に反して扉は開いてしまった。
「ありゃ?開いてる。」
ベッドでは、まだ二人が仲よく寝息を立てている。樺地も含め、四人で近くに近寄ってみ
ると、二人の眠っている布団は通常ではありえないことになっていた。
「うわっ、シーツも布団も血塗れじゃん。何これ?」
「怖いですよ〜。」
「跡部ー、宍戸ー、もう昼になるよー。」
血塗れの布団など気にすることなくジローは二人を揺り起こす。まだ眠い〜というような
表情で、二人はもそもそと起き上がった。
「・・・んだよ、ウルセーな。」
「む〜、眠い・・・」
起き上がった二人は、一糸纏わぬ姿。それにも滝と鳳は驚いた。
「おはよ、跡部、宍戸。二人ともすごい格好だね。布団もすごいことになってるし。」
「ああ、滝か。って、何でテメェがここにいんだよ!?」
「だから、二人とも遊びに来たんだって。外から声かけても起きないし、ドア開けたら開
いたから入ってきちゃった。」
「ちょ、ちょっと外で待ってろ!今、着替えるから!!」
慌てた様子で跡部は四人を部屋の外へ出させる。まだ、寝ぼけ眼な宍戸をしっかりと起こ
すと、テキパキと着替えさせる。そんな二人を部屋の外で待ちながら、四人はどうしてあ
んなことになっているのかについて話す。
「ジロー、あれ、どういうこと?」
「あー、昨日は満月だったからね。きっと、血が飲みたくなっちゃったんだよ。」
「ウス。」
「そっか。ヴァンパイアは満月の影響を受けやすいんだったね。ジローは大丈夫なの?」
「俺は満月が出る前に寝ちゃってたC〜。全然平気だったよ。」
「なるほど。それで、血飲んだらしたくなっちゃってーって感じで、あんなことになって
たのか。」
ジローの話を聞いて滝は納得。しかし、鳳は全然話が掴めていないようだ。
「どういうことですか?滝さん。俺、全然分からないです。」
「俺が長太郎に力をあげるときにすることを、跡部と宍戸もしてたってことだよ。」
「えっ・・・そうなんですか?」
ようやく話の内容を理解し、鳳は若干顔を赤く染める。初々しい反応で可愛いなあと思い
ながら、滝はくすくす笑った。そんなことをしているうちに、着替えを終えた跡部と宍戸
が部屋から出てくる。
「ったく、驚かせるなよ。」
「ふあー、俺、腹減っちまった。景吾、朝飯食おうぜ。」
「もう昼ご飯の時間だよ。俺達もちょうどお腹が空いてきたころだし、ご飯食べてから、
みんなで遊ぼうか。」
「はい!それがいいと思います。」
「賛成ー!!樺地、早くご飯作ってくれよな!」
「ウス。」
ひとまず腹ごしらえをしようと一行は食堂へと向かう。昨夜のことが嘘のように、いつも
通りの一日が始まる。しかし、二人の頭と身体にはしっかりと昨夜あった出来事が刻み込
まれているのであった。

                                END.

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