跡部の奴遅ぇーな。何やってんだろ?俺が来てんのにどこ行ったんだ?
朝、薬を作っていた部屋に行っている跡部を宍戸は部屋で待っていた。しばらくは何もせ
ずに黙って待っていたのだが、だんだんと暇になってきてしまう。暇つぶしに何かをしよ
うと考えていた宍戸の目に今日跡部が買ったものが入った袋が映った。
「買い物してるときは、あんまり意識してなかったけど、跡部何買ったんだろう?」
宍戸はいくつかある袋のうち一番大きな袋を膝に乗せ、中身を出し始めた。出てきたもの
は黒や白を基調としたあまりないようなデザインの服ばかり。あまりないデザインという
のはスカートには無駄にひらひらがついていたり、シャツはなんだか蜘蛛の巣を思わせる
ような襟になっていたり、背中に大きな十字架がついていたりするものだ。
「何かこういう服、前に女子が持ってた雑誌に載ってたな。何つったっけ?」
スカートを持ちながら、こんなデザインの服を何といったか思い出そうと悩んでいるとき
に跡部が部屋へと帰ってきた。まだ薬の効力が切れていないのか女の子の姿のままだ。
「何やってんだ、宍戸?」
「へ?・・・あっ、これはっ・・・」
「別に着たいなら着てもいいぜ。サイズは特に問題ねぇだろ。」
「なっ!?そんなんじゃね・・・」
宍戸が赤くなりながら怒鳴りつけようとすると、跡部は急に今着ている服を脱ぎ出した。
もちろんまだ跡部は男には戻っていない。そんなことをいきなり目の前でされ、宍戸は困
惑から言葉を失った。
「な・・・何やってんだよ。お前。」
「あーん?俺もまだその服着てねぇからよ。今試着してみようかと思ってな。この下着も
戻ったときに邪魔だから外しちまうか。」
「わっ!!お前、そのまんまの姿でそういうことすんな!!」
跡部はいちいち気にすることなくそういうことをするが、宍戸からすれば大問題だ。目の
やり場に困り、跡部から視線を逸らしていると、跡部はわざわざ近づいてくる。宍戸が買
った服を持ってしまっているので、それは当然のことなのだが、宍戸はパニックになり来
るなと怒る。
「だー!!その格好のままでこっちに来んな!!」
「だってお前がその服持ってんじゃん。」
「だったら、服着てから来い!!」
「何そんなに恥ずかしがってんだよ?どうせそれを着るんだから構わねぇだろ。」
宍戸の反応をおもしろがり、跡部は笑いながら宍戸から袋を取り上げる。ベッドの上に置
かれた服も取り上げて、鏡の前で着替え始めた。蜘蛛の巣のような襟のついた白いシャツ
を着、真っ黒で裾にレースのついたスカートを穿く。そして、黒地に真っ赤な十字架がプ
リントされたネクタイを緩く結んだ。スタイル抜群の女跡部にはその格好はピッタリだ。
「どうだ、似合うだろう?」
「・・・・・。」
本当にカッコよく着こなしている跡部に宍戸は思わず見惚れてしまい言葉が出ない。ぼー
っとしていると、跡部が近づいてきて軽く額にキスをする。宍戸はハッとして頬を赤く染
めた。
「なーに、見惚れてんだよ。まだ、たくさんあるからよお前も着てみろ。」
「えっ!?俺はいい!!」
「お前に似合う奴、ちゃんと着せてやるからよ。ほら、こっちへ来い。」
いつもとは違う笑顔で手招きされ、宍戸は思わず動いてしまう。いまだに戻る気配のない
跡部は袋の中から自分が着ているのとは少し違うタイプの服を宍戸に着せていった。
「へぇ、やっぱ似合うじゃねぇか。自分で見てどうよ?」
跡部は宍戸を鏡の前に立たせ、着替えさせた姿を見せる。短い髪にもしっかりと似合う髪
留めをされ、宍戸の目から見てもその姿は女の子同然だった。
「何か跡部が着てるのより、ひらひらがいっぱいだぞ・・・。」
「お前はそういうタイプの服のが似合うだろ。別に女になってねぇのに本当に女みたいだ
な。可愛いぜ。」
「むぅ〜、やっぱ変だろこれは。それに何か背中がスースーするし。」
「背中が開いてるからな。さてと、それじゃあベッドにでもいきますか。」
「はあ!?何ふざけたこと言ってんだ!!それにお前まだ・・・あれ?」
いつのまにか跡部は男の姿に戻っている。しかし、戻ったにも関わらずさっきの服はまだ
似合っているままだ。
「戻ってる・・・?」
「ああ。俺もこのままの格好でいてやる。それならいいだろ?」
「う〜ん・・・」
跡部もこの格好のままで、俺もこの格好のまま・・・・。何か俺だけが女の格好してやる
より変態っぽくないか?
そんなことを考えながらも宍戸は跡部に引っ張られ、ベッドに倒される。まだ、迷ってい
るのか宍戸は服のボタンを外そうとする跡部の手を止めた。
「ちょ・・・ちょっと待てよ。マジでこの格好のままやんのか?」
「ああ。たまにはこういうのもいいんじゃねぇ?」
「う〜、何かすげぇ変態くさいぞ。」
「今更だろ。ほら、始めるぞ。」
「ん・・・んぅ・・・」
宍戸の上に覆い被さり跡部は深い接吻を施す。そうされると同時に宍戸から抵抗しようと
いう気持ちがなくなった。しばらくそんなことをしていると、二人の気分はすっかり盛り
上がってきた。
「ハァ・・・そういや俺、まだ風呂入ってねぇぞ。」
「ここまできといて言うセリフか?俺もまだだ。終わったら二人で入ろうぜ。」
「そうだな・・・」
ここまできて微妙なところを気にする宍戸をおもしろいなあと思いつつ、跡部は宍戸の上
着を本格的に脱がしにかかった。だが、全部は脱がさない。中途半端に脱がし、その見え
そうで見えないような、見えなそうで見えるようなビジュアルを楽しむ。
「ふーん。ここもうこんなになってんのか。キスだけでそんなに感じたのか?」
「ち、違ぇーよ!!でも・・・跡部がさっきから変なことばっかすんから・・・・」
「もしかして、女の俺の裸見て興奮してたとか?」
ニヤニヤと笑いながら、跡部は宍戸に問う。女の子であったさっきの笑顔とは全く違うい
つもの跡部の笑顔だ。そんな跡部を少々ムカつくなあと思いながらもどこかホッとしたと
いう感じを宍戸は覚えた。
「そんなんじゃねぇけど・・・」
「図星なんだろ?本当は。まあ、どっちでもいい。こうすりゃ変わんねぇもんな。」
「んっ・・あっ・・・!!」
跡部が服の隙間からのぞく胸の飾りに口づけると、宍戸はビクンっと反応する。そんな反
応を楽しみながら、跡部は口の中で転がしたり、吸ったり、噛んだりを繰り返す。その度
に宍戸は同じような、いや、それ以上の反応を見せた。
「やっ・・ああ・・・跡部っ・・・」
「ほら、すっかり赤くなってたってる。ホント、お前のここは感じやすいよな。」
「だって・・・お前が・・・」
「下の方はどうなってんだ?」
「なっ・・・スカートめくんなよっ!!」
スカートをめくられ、宍戸は必死で隠そうとする。だが、跡部の手はもう既に奥の方へと
入っていた。
「下着は邪魔だよな。脱がすぞ。」
「やだっ・・・って、人の話を聞けよ!!」
「ここ、こんなにしといて何言ってんだ。」
「あっ・・・そんなとこ・・・触るなっ・・・」
ほのかな抵抗もむなしく、宍戸は一番敏感で熱いところに触れられてしまった。触れられ
るだけでなくすぐに激しい愛撫が始まる。そうされるともう宍戸はただ喘ぐしかない。
「あぁっ・・・んぅ・・・跡部っ・・・はぁん・・・」
「随分、イイみてぇだな。そんなに感じんのか?」
「ふっ・・・だって・・・跡部・・・上手い・・からぁ・・・」
「当然だろ?・・・これじゃあ、少しやりにくいな。宍戸、もっと足開け。」
「んん・・・やっ・・だぁ・・・」
仰向けに寝ているために足を閉じられていると少々やりにくさが残る。足を開けというが
恥ずかしがって宍戸は開こうとしない。ふぅっと一つ溜め息をつくと跡部は宍戸の足を無
理矢理曲げ、開かせた。宍戸は驚いて閉じようとするが、すっかり跡部に阻まれてしまっ
ている。
「やっ・・・跡部・・・こんな格好・・・」
「いい眺めだぜ。これなら後ろもいけるな。」
先走りの蜜で濡れた手を後ろの蕾に持っていく。二、三回軽く撫でるとそのまま内側へ指
を埋め込んだ。
「あっ・・・ああ――っ!!」
その瞬間、宍戸は体を仰け反らせ達してしまう。イった後で敏感になっているにも関わら
ず、跡部はさらに深い場所を探る。
「うっ・・あっ・・あぁ・・・」
「すげぇ指に絡み付いてくるぜ。今、出したヤツでさらに濡れてきてるし。」
「はぁ・・・俺ばっか・・やだっ・・・」
「そんなこと言われてもなぁ。もう少ししたらやらせてやる。少し待ってろ。」
「ふっ・・ぅ・・あっ・・・ん・・・」
自分だけイカされ、感じているのが嫌なようで、宍戸は涙を目にいっぱい浮かべて跡部の
服を掴む。まだ、挿れるのは無理だと跡部はもうしばらく蕾を慣らしていく。指二本が軽
々入るくらいになると跡部はいったん慣らすのをやめた。
「ここまで慣らしとけば、まあ何とかなるだろ。」
「俺も・・・跡部のやりたい・・・」
「分かってんよ。」
跡部は宍戸を起こしてやると触れるだけのキスをして、ベッドに座る。そして、自らスカ
ートをめくり、宍戸を誘った。
「何だ。跡部も結構キてんじゃん。」
「お前の格好見てたら、こうなるに決まってんだろ。ほら、やるんだったらさっさとしろ。」
「おう。」
ドキドキしながらも、宍戸は楽しそうな表情で跡部のモノを下着から出し、口に含む。含
んだ瞬間、また大きくなるそれに少し戸惑いながらも宍戸はピチャピチャと音を立てて、
まずは舌で丹念に舐め回す。
「ん・・は・・ぅ・・・んむ・・・」
「今日は随分とサービス精神旺盛だな。・・・イイぜ。」
「んっ・・・んん・・・ふっ・・・」
跡部に褒められ、宍戸は上を向きふっと笑う。嬉しいのと目に映る跡部の格好が女の子っ
ぽいのが重なって何だか笑えてしまったのだ。スカートの中に顔を埋めてしばらく経つと
宍戸は息をするために顔をいったん上げる。
「ハァ・・・宍戸。」
「・・・っ!!」
思った以上に跡部は限界に近かったらしく、宍戸の目に入ったのは息を乱し、自分の名前
を呼ぶ跡部の姿。その姿にドキっとしていまい、宍戸はまるで自分もされているような奇
妙な感覚が全身を走る。もう一度口に含み、軽く歯を立てた後、思い切り吸ってやると跡
部はすぐに達した。
「くぅっ・・・!!」
「んっ・・・んんっ!!・・・・んっ・・・ぁ・・」
何とか飲み干そうと頑張ったが、やはり全部は飲めない。軽くむせた後、潤んだ瞳で跡部
を見上げた。
「ケホっ・・ハァ・・・跡部、どうだった?」
そう問う宍戸の姿は半端じゃなく可愛く、今イったばかりの跡部を元気にさせるには十分
なものだ。
「よかったぜ。お前、ホント上手くなった。褒めてやるよ。」
「やりぃ!!・・・で、それは嬉しいんだけどな、もうそろそろ・・・」
「ああ、分かってる。俺もそろそろお前の中で感じたいしな。」
「そ、そんなにあからさまに言うなよ・・・恥ずかしいだろ・・・」
「お互いにこんな格好でやってるんだぜ?今更、恥ずかしいも何もねぇだろ。」
「うっ・・・そうだけど・・・」
真っ赤に頬を染めて、宍戸はうつむく。跡部はくすくす笑って宍戸を手と膝がつくような
形にさせた。
「えっ・・・ちょっと待て、跡部!!この体位ですんのか!?」
「ああ。たまにはいいだろ。今日の服はちょうど背中が開いてるし。」
「やだっ!!こんな格好・・・」
「文句はなしだ。挿れるぞ。」
「なっ・・・ぁあっ!!・・・あ・・ああ――っ!!」
嫌がっているにも関わらず、跡部はそのまま宍戸を後ろから犯すような形で挿れる。シー
ツをぎゅっと握り、宍戸は後ろからくる激しい衝撃に耐えた。しかし、動いていなくとも
身体はがくがく震える。それは、スカートがひらひらと揺れることでさらに強調された。
「んっ・・・んん・・・は・・あ・・・」
「ハァ・・・キツイか?」
「そ・・でもない・・・でも・・・まだ動くな・・・」
「あんまり待てねぇけど、少しなら待っててやる。」
馴染むまでと跡部はしばらく動かないでいてやる。少し馴染んでくると宍戸自ら腰を揺ら
し、動いていいと濡れたような声で呟く。それを聞き、跡部はゆっくりと動き始めた。
「はぁっ・・・あ・・ん・・・んんっ・・・」
「くっ・・・宍戸、少しキツイぞ。」
「んなこ・・と・・・言われても・・・・」
「こっちも触ってやれば、少しはよくなるか?」
「ひゃっ・・ああっ!!」
跡部が前に触れると宍戸は顔をシーツに埋めるような形で崩れる。どうやら腕で身体を支
えられなくなってしまったようだ。急にバランスを崩され、跡部も前に倒れそうになるが、
空いていた左手で身体を支えた。
「いきなり倒れるな。」
「だ・・ってぇ・・・」
「まあいい。その代わり、たっぷり背中に跡を残しておいてやるからな。」
「ん・・・見えないとこにしろよ・・・」
「さあ、それはどうかな?」
さらけ出されている背中に跡部はたくさんの跡をつけていく。跡をつけられる度、宍戸は
火傷しそうなほどの熱を感じる。それは、痛みにも似ているがはるかに快感に近く、跡部
の手に包まれているソレにも、熱を咥え込んでいる花弁にもそのまま伝わった。
「あっ・・・ん・・・跡部・・・俺・・・」
「あーん?どうした?」
「も・・イキそ・・・」
「・・・そうだな。ここで一度イっとくのも悪くねぇ。」
そう呟くと跡部は動きを速める。だんだんと熱が高まるにつれて、宍戸は跡部の名前を呼
びまくった。
「はぁっ・・跡部っ・・あっ・・・跡部・・・」
「くっ・・・そろそろだな・・・」
「やっ・・も・・ダメぇっ・・!!」
「・・・・っ!!」
ほとんど同時に二人は果てる。しばらく、そのままで息を乱したままでいると跡部は宍戸
の耳元でそっと囁く。
「まだ、大丈夫だよな?」
「ハァ・・・ハァ・・・何で?」
「どうせだったら正常位でもやりたくねぇ?」
「・・・・まあ、別にいいけど。」
宍戸からの許しがもらえると跡部は宍戸の身体を反転させた。繋がった部分からトロっと
白い液体が溢れる。その感覚に宍戸は身を震わせた。
「あっ・・・ぅ・・・」
「前から見ても、お前の格好やっぱ可愛い。」
「ふっ、それならお前だって結構可愛いぜ。」
「俺に可愛いは似合わないだろ?カッコイイとかキレイの方が合ってるんじゃねぇ?」
「よく言うぜ。」
お互いの姿を再確認して、笑い合いながら二人は口づけを交わす。そして、再び高みに向
かおうと跡部はまた腰を動かし始めた。
「うっ・・あ・・・跡部・・・」
「お前のここ、またかたくなってきてるぜ。ホント分かりやすい奴だな。」
「別にいいじゃねーか!!・・・跡部とやんの・・・気持ちイイんだよ・・・」
「そりゃそうだろ。俺だってそう感じてんだ。お互い様だ。」
跡部がこんなことを言ってくれるとは思わなかったので宍戸は何となく嬉しくなってしま
う。気持ちイイのも嬉しい気持ちも一緒だと跡部自らが言った。普段は絶対聞けないよう
なことがこういうことをしていると当然のように聞くことが出来る。ニカっと笑って跡部
の首に腕を回し、宍戸は耳元で照れつつも囁いてやった。
「跡部・・・大ー好き。」
「・・・・・。」
それを聞いて跡部は柄にもなく真っ赤になった。それを誤魔化すように動きを激しくする。
またイキそうになると宍戸と同じように耳元で似たような、だけど、もっと激しい言葉を
囁いた。
「俺だって、宍戸のこと大好きだぜ。俺がお前を好きな限り、お前は俺のもんだ。要する
に俺が死ぬまで俺のもんだってことだな。」
「跡部・・・」
「だから、俺の側から離れんじゃねーぞ。」
「へっ・・・頼まれたって離れてやんねーよ。」
また、お互いに顔を見合わせ笑い合う。もう一度キスを交わすと夜の色をした二人のスカ
ートが一段と大きく揺れた。そんなスカートの色とは正反対の色をした熱を二人はその闇
の中に放ち、最高の気分を味わった。
一風呂浴びて来た二人は、普通のパジャマを着て再び布団に入る。すっかり疲れてしまっ
たのか、宍戸も跡部もかなり眠そうだ。
「ふぁ〜、眠みぃ・・・」
「今日はいろいろしたもんな。でも、あの格好した宍戸本当に可愛かったぜ。また、今度
着ろよな。」
「お前もあーいう格好するってんなら、考えてやらなくもないぜ。」
「お前、二人でああいう格好するのは変態くさくて嫌だとか言ってたじゃねぇか。」
「いいんだよ!!お前だって似合ってたぜ。つーか、俺ばっかりってのはやっぱり嫌だし。」
「まあ、お前がそこまで言うなら別にいいぜ。さてと、もう寝るか。」
「そうだな。おやすみな、跡部。」
「ああ。」
相当疲れたようで宍戸はすぐに眠ってしまった。跡部はそんな寝顔を見ながら、髪を撫で
る。
「今度はちゃんと女になった宍戸にあの服を着せたいもんだな。まあ、そのままでも十分
可愛いけど。」
満足気に微笑みながら、跡部も目を閉じた。自分が女になってしまったのは誤算であった
がそれはそれで楽しかったなあと思う跡部であった。
END.