Quarter of Cat 〜その11〜(ご主人様)

とある夜、跡部がシャワーを浴びに行っている間、宍戸はテレビを見ていた。
「ふーん、今はこういうのが流行ってんのか。」
宍戸が見ていたのは普通のバラエティ番組だ。その番組では、今流行りの『メイド喫茶』
の特集が組まれていた。それを見て、宍戸はふよふよと尻尾を揺らす。
「このうちにはいっぱいいんのになあ。他のとこにはいないのかなあ?」
家にいることが多い宍戸は、メイドが家にいるのは当たり前だと思っている。しかし、こ
のテレビを見る限りではそうではないらしい。不思議に思いながら、宍戸はその特集で説
明されていたことをしっかりと頭に叩きつけた。ちょうどその特集が終わった頃、跡部が
部屋へと戻ってくる。
「待たせたな。亮。」
「おかえり景吾。」
「何してたんだ?」
「えっとな、テレビ見てた。でも、もう終わっちまった。」
「そうか。さてと、明日は朝から用事があんだよな。もう寝ようと思うんだが、亮はどう
する?まだ起きてるか?」
「ううん。景吾が寝んなら俺も寝る。一人で起きててもつまんねぇしな。」
明日は用事があると跡部はいつもより早めに寝ようとする。跡部がベッドに入るとその隣
に宍戸も寝転がった。布団にもぐりこみ、跡部の背中に腕を回す。
「オヤスミ、景吾。」
「ああ、おやすみ。」
今日は特に何もせずに二人ともすぐに寝てしまった。ナニをしたとしてもしなかったとし
ても宍戸としては、跡部と寝られるのであればそれで満足なので、跡部の腕に抱かれなが
ら、穏やかな寝息を立てて眠った。

次の日、跡部は用事があると言って、朝から出かけてしまった。留守番をしなければなら
なくなった宍戸は、暇を持て余して、屋敷内を散歩する。
「景吾がいないと、つまんないぜ。あっ!」
裏口に繋がる廊下を歩いていると、掃除をしている一人のメイドを見つける。その瞬間、
昨日見たテレビを思い出し、宍戸はパッとあることをひらめいた。
「こんにちは。」
「あら、亮様。こんにちは。どうなされたんですか?」
「えっとな、昨日こんな服着た人の特集、テレビでやってて、俺もそれ着てみたいと思っ
て。」
「こんな服と言いますと、メイド服のことですか?」
「おう!」
「構いませんけど、この服は女性が着るものですよ。」
「いいんだよ!俺が着てみたいと思うんだから。あっ、でも、俺じゃやっぱ似合わないか
な・・・?」
「いえ、そんなことはありませんよ。亮様ならきっとお似合いになると思います。よろし
ければ、私が着させて差し上げますけど・・・」
「本当か!?んじゃ、お願いするぜ!」
昨日見たテレビでは、メイド服を着た女性に給仕され、給仕されている男性はとても嬉し
そうであった。自分も跡部を喜ばすことが出来たらよいと思い、宍戸はこんなことを思い
ついたのだ。メイド服を着て、昨日テレビで言っていたようなことを言えば、跡部はきっ
と喜んでくれる。そんな期待を胸に宍戸は廊下で会ったメイドにメイド服を着させてもら
った。
「こんな感じになりますが、よろしいですか?」
鏡に映った自分の姿を見て、宍戸はちょっと恥ずかしいと思いながらも、悪くないと自画
自賛する。
「おう。悪くないんじゃねぇ?どうだ?似合うか?」
「はい。とてもよくお似合いですよ。」
「そっか。じゃあ、今日はこのまんまでいよーっと。」
これで跡部を喜ばすことが出来るとウキウキしながら、宍戸は跡部の部屋に戻って行く。
嬉しそうにヒラヒラのスカートを揺らして、歩いてゆく宍戸を見送りながら、着替えを手
伝ったメイドは可愛らしいなあと思いながら、くすくす笑った。

しばらく跡部の部屋で一人遊びをしていると、跡部が帰ってきた。跡部の足音が廊下から
するのを聞いて、宍戸は黒い耳をピンと立てた。
「景吾だ!」
跡部が部屋に向かってくるのが分かると、宍戸は今まで遊んでいたゲーム類をしまう。そ
して、ドアの前で跡部が入ってくるのを今か今かとわくわくしながら待つ。
ガチャ
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
ドアが開き、跡部が入ってくるのと同時に宍戸は元気よくそんな言葉を口にする。その言
葉と今目の前にいる宍戸の姿から、跡部は部屋を間違えたのかと思う。しかし、確かにそ
こは自分の部屋。そして、目の前にいるのは真っ黒な猫耳と尻尾を持った宍戸。何が起こ
ったのか理解出来ず、跡部は固まってしまった。
「景吾?」
名前を呼ばれ、はっと我に返る。何故宍戸がこんな格好をしているか分からないが、とも
かく状況を把握しようと、跡部は必死で心を落ち着けようとした。
「りょ、亮、どうしたんだ?その格好は?」
「へへへー、似合うだろ?」
「似合う似合わないの問題じゃなくてよ、どうしてそんな格好してるんだって聞いてんだ。」
「んっと、昨日テレビでこういう格好して、喫茶店で働いてる人の特集しててな、面白そ
うだったから、俺もしてみた。」
「・・・メイド喫茶かよ。」
どんな番組を見てたんだと呆れつつ、跡部は溜め息をついた。状況を理解すると跡部は、
あらためて宍戸を見る。服としては、世話役のメイド達が着ているものと同じものなので、
見慣れてはいるのだが、宍戸が着るとまたイメージが変わる。背が高いためにスカートの
丈がいくらか短くなり、もともとついている猫耳と尻尾が可愛らしいイメージを助長して
いる。
「ったく、驚かすなよ。」
「驚いたのか?」
「そりゃ、帰ってきていきなりテメェがそんな格好してりゃ驚くに決まってんだろ。」
跡部の驚いたという言葉を聞いて、宍戸は何だか嬉しくなる。悪戯好きな宍戸にとっては、
ある意味嬉しい褒め言葉だ。
「なあ。」
「何だ?」
「テレビで言ってたんだけど、メイドって、ゴホウシとかすんだろ?それって、具体的に
何すんだ?」
純粋無垢にご奉仕などという言葉を口にする宍戸を見ていて、跡部は何となくムラムラし
てきてしまう。しかも、宍戸は今メイド服というかなりオイシイ状況でだ。ゴクリと唾を
飲み、跡部は平静を装いながら、さりげなく自分のベッドの方へと歩いてゆく。
「知りたいか?」
「おう。」
「ご奉仕ってのはな、ご主人様が喜ぶようなことをするってことだ。」
「ふーん、そうなんだ。で、景吾は何したら喜んでくれるんだ?」
何の疑いもなしにそう尋ねる宍戸に跡部は本当に我慢が出来なくなってしまう。ベッドの
すぐ側に座りながら、自分を見上げてくるその顔に手を添え、黒い耳にチュッと軽くキス
をした。
「うにゃっ・・・」
そして、その耳元でして欲しいと思うことを囁く。それを聞いて、宍戸の顔は素直に赤く
染まった。
「えっ、あっ、でも、それって・・・」
「別にテメェがしたくねぇなら無理にしろとは言わねぇぜ。ただ、折角そういう格好して
るわけだし、俺としては、そういうことをして欲しいと思うわけよ。」
無理強いをしなくても、宍戸は頷くと跡部は分かっていた。顔を真っ赤にして、しばらく
悩む宍戸だが、最終的には何かを決心したような顔で頷いた。
「よし、俺、じゃあ、景吾にゴホウシする!」
「楽しませてくれよ。あっ、そうだ。折角だからよ、してる間、俺のこと『ご主人様』っ
て呼べよ。」
「分かった。俺、景吾のこと、喜ばせられるように頑張るからな!」
「ああ。」
いい展開になったと跡部はニヤニヤしながら宍戸の顔を見下ろした。

ベッドに座っている跡部の足の間に顔を埋め、宍戸は懸命に舌と口を動かす。そんな宍戸
を上から眺め、跡部は何とも言えない恍惚感に浸っていた。
「はむ・・んっ・・・ぅ・・・」
「上手いぜ。お前の舌ってホント最高だ。」
跡部に褒められ、宍戸は嬉しくなる。もっともっと跡部を気持ちよくさせてやろうと、一
際深く咥えこみ、根元から先端に向かってざらざらした舌で舐め上げる。その感覚に跡部
は身体を震わせた。
「うっ・・・」
「気持ちイイ?ご主人様。」
いったん口を離し、首を傾げながらそんなことを尋ねてくる宍戸に、跡部の何かがふっと
切れる。今までとは一味違う笑みを浮かべて、宍戸の頭に手を置いた。
「亮、一滴も残さず飲み込めよ?」
「へっ?」
「返事は?」
「お、おう!」
宍戸が頷くのを聞くと跡部はもう一度自分の熱を咥えさせる。条件反射的に宍戸はそれの
先端を吸った。その瞬間、宍戸の口の中に苦味を持った熱い白い蜜が放たれる。一瞬、口
を離そうとしたが、跡部が頭を押さえつけているので、それは叶わない。むせそうになる
のを必死で堪えながら、宍戸は出されるだけ、その蜜を飲み込んだ。
「んっ・・・んん・・んっ・・・んぐっ・・・」
全て宍戸が飲み込むのを確認すると、跡部は宍戸の頭から手を離し、解放してやる。自由
に動けるようになると、宍戸は口を離して大きく息を吸った後、うっとりとした表情で跡
部の顔を見上げた。
「ハァ・・・俺、ちゃんとゴホウシ出来てたか?」
「ああ。すげぇよかったぜ。褒めてやる。」
そう言いながら、跡部は宍戸の頭を撫でてやった。頭を撫でられ、宍戸は嬉しそうに顔を
緩ませる。そんな宍戸にさらに興奮した跡部は、宍戸をベッドの上に乗せた。
「亮、自分で下着脱いで、お前のアレがどうなってるか俺に見せてみろ。」
「えっ!?・・・そんな、恥ずかしい・・・・・」
「メイドはご主人様の言うことは何でも聞かなくちゃいけないんだぜ。」
「そ、そうなのか?」
「ああ。ほら、早く見せてみろよ。」
すごく恥ずかしいと思いながらも、宍戸は跡部の言う通りに自分で下着を脱ぐ。しかし、
見せるとなるとまた別だ。エプロンドレスでそれを隠していると、跡部がぐいっと膝を割
り開いた。
「や、やだっ・・・」
「やだじゃねぇ。へぇ、まだ何もしてねぇのに、随分と反応してるみたいじゃねぇか。」
「だ、だって・・・ご主人様のしてたら、何かこっちまで興奮してきちまって・・・・」
「それでこそ、俺のメイドだぜ。さっきのご奉仕の褒美だ。今度は俺がテメェを気持ちよ
くさせてやるよ。っと、その前に・・・」
宍戸のモノに触れる前に、跡部は上に来ていたシャツを脱ぎ、ベッドの横の棚に置いてあ
った香水のようなものを露わになった肌にシュッとかけた。何だろうと不思議そうに眺め
る宍戸だが、そのまま跡部の腕に包まれ、それが何かに気づいた。
「っ!・・・今、ご主人様がつけたのって・・・・」
「これもご褒美の一つだな。もう気持ちよくて力抜けてんだろ?」
「う・・にゃあ・・・」
跡部が自分の体に吹きかけた香水のようなものには、マタタビが存分に含まれていた。こ
んな状況でマタタビなどを嗅がされれば、いつも以上にそれに対する反応は大きなものに
なってしまう。すっかり夢見心地になった宍戸の体を抱きながら、跡部はさっきよりも少
し大きくなっている宍戸の熱を弄り始めた。
「ひあっ・・・あっ・・・!」
少し触れただけでも、宍戸はビクビクと身を震わせる。マタタビに酔い、跡部に触れられ、
激しい快感が宍戸の身体を駆け抜ける。
「んっ・・・にゃっ・・あっ・・・」
「すげぇイイ反応するじゃねぇか。そんなに気持ちイイのか?」
「ふっ・・・あん・・激気持ちイイ・・・」
すっかり恍惚としている宍戸は、銀の雫が口元から垂れる。そんな雫を舐め取るかのよう
に跡部は口づける。何度も角度を変えながらキスを交わしていると、宍戸の身体は小さく
痙攣し、ゆっくりと限界に近づいていった。
「ん・・む・・・んんっ・・・」
「そろそろイキそうだな。」
「ご、ご主人様ぁ・・・も・・・」
「いいぜ。イッちまえよ。」
指先で先端をぐいっと刺激してやると、宍戸はあっという間に果てる。指先についた白い
蜜をペロリと舐めると、跡部は力の抜けた宍戸の身体をしっかりと支えてやった。
「ハァ・・・にゃ・・・」
跡部に寄りかかれば、マタタビの匂いでまた気持ちよさが蘇る。媚薬を飲まされているよ
うなその感覚に宍戸は甘い眩暈を覚える。
「メイド服に猫耳なんて、こんないい格好ないぜ。お前、マジで最高だ。」
「ホントか・・・?」
「ああ。さてと、そろそろ俺のを挿れる用意してやらねぇとな。」
いまだに力の入らない宍戸のスカートの中に跡部は手を入れる。何度か双丘を撫でた後、
その中心に指を持ってゆく。
「やっ・・・!」
「そのまま力抜いてろよ。じっくり慣らしてやるからよ。」
「んんっ・・・ふっ・・にゃっ・・・」
蕾を開かせるように指を入れてやれば、宍戸は反射的にぎゅっと跡部に抱きつく。そのま
まの状態で、しばらく慣らされていると、宍戸の蕾はそれほど時間をかけずに徐々に開い
ていく。
「今日は随分と慣れるのが早いな。そんなに早く俺のを挿れて欲しいのかよ?」
「分かんねぇ・・・でも、もう指じゃ物足りねぇ・・・」
「正直だな。テメェのそういう素直なとこ、好きだぜ。」
素直に自分を求めてくる宍戸を前に、跡部は顔が緩んでくるのを抑えられない。軽く唇に
キスをすると跡部は宍戸の腰を軽く浮かせた。そして、宍戸のモノを弄っているうちにす
っかり固さを取り戻した自分の熱を宍戸の開きかけている蕾にあてがう。
「挿れるのか・・・?」
「ああ。安心しろ。最高に気持ちよくさせてやるからよ。」
「おう・・・」
少し怖いと感じつつも、先程の愛撫とマタタビの所為で宍戸の感覚はすっかり麻痺してい
る。腰を落とされ、じわじわと跡部のモノが蕾を押し開いて自分の中へと入っていく感覚
に宍戸はどうしようもなく感じてしまう。
「あっ・・ぅ・・・景吾のが・・・入ってくる・・・」
「景吾じゃねぇだろ。今はご主人様だ。」
「ご主人様・・・あっ・・・どうしよ、すげぇ熱くて気持ちイイ・・・」
「俺もだぜ。お前ん中、どうしようもないくらい熱くて・・・すぐにでもイッちまいそう
だ・・・」
「もっと・・・動かして・・・このままじゃやだ・・・」
「言うじゃねぇか。いいぜ、もう気持ちよくて気失っちまうくらいよくしてやるよ。」
妖艶な笑みを浮かべ、跡部は宍戸の感じるポイントばかりを集中的に穿つ。フリルが揺れ、
エプロンドレスが次第に乱れてゆく。そんな視覚的な刺激も跡部をさらに興奮させる要素
になった。
「はぁっ・・あ・・・にゃ・・あん・・・あっ・・・」
「亮、もっとネコっぽく喘げよ。そっちの方が萌える。」
「ふっ・・・ニャアン・・・にゃっ・・あ・・・」
メイド服を着て、猫のように喘ぐ宍戸はいつも以上に跡部の心を惹きつける。そんな宍戸
に魅せられた跡部は、本能の趣くままに宍戸を乱し、何度も何度も飽きることなくキスを
した。キスをされる度に宍戸の身体はより敏感になってゆく。
「ご主人様・・・俺・・・これ以上されたら・・・・壊れちゃう・・・」
「壊れちまえよ。俺の腕の中ならどんなに壊れたってかまやしねぇ。」
「んっ・・・あ・・・なら・・・もっと奥の方に・・・ご主人様の・・・」
「ああ。俺もそろそろ限界だからな。極上の蜜をお前の中に注いでやるよ。存分に味わい
な。」
宍戸の中を探る快感に浸りながら、跡部はふっと妖しい笑みを浮かべる。その瞬間、宍戸
は奥の方に熱いミルクが放たれるのを感じる。内側を濡らすそれは今まで以上の快感を一
気にもたらした。
「にゃっ・・・ああ――っ!!」
その快感を全身で受け止めながら、宍戸は身体を痙攣させて、跡部の腹に白濁の蜜を放つ。
快感の余韻に浸りながら、二人はドサッとベッドに倒れ込んだ。

宍戸はそのまま気を失ってしまったが、跡部はすぐに起き上がる。服も体も汚れてしまっ
たので、シャワーでも浴びて綺麗にしようと、目を覚まさない宍戸を抱いて、そのままバ
スルームへと向かった。時間をかけて、自分の体も宍戸の体も綺麗にすると、跡部はシル
クのパジャマを身に纏う。宍戸の方はどうしようかと思ったが、先程のメイド服があまり
にも似合っていたので、もう一度見たいと新しいメイド服を出し、それを身につけさせた。
「本当によく似合うよな。それであんなこと言うなんて反則だぜ。」
先程のことを思い出しながら、顔を緩ませ跡部はそう呟く。メイド服の宍戸を抱いて、部
屋へ戻ると優しくベッドに戻して、布団をかけてやった。
「今日はもう起きねぇかな?」
かなり激しくしてしまったので、このまま朝まで眠ってしまうだろうと思いながら、寝顔
を眺めていると、宍戸がゴロンと寝返りを打つ。
「う・・ん・・・・」
自分がいる方向に顔を向け、すやすやと寝息を立てている宍戸を本当に可愛らしいと思い、
跡部は髪を梳くように撫でる。どうしてこうも飽きさせないことばかりしてくるのだろう
と、跡部は嬉しさを存分に含んだ溜め息を漏らした。
「俺もそろそろ寝るか。」
もっと宍戸の寝顔を見ていたい気もするが、さっきのことで跡部自身もかなり疲れていた。
宍戸の隣に身を横たえると、それに気づいたのか、宍戸はパジャマをきゅっと握りながら
顔をすり寄せてくる。そんな宍戸をしっかり抱いてやり、目を閉じようとすると、宍戸が
パチッと目を開けてることに気がついた。
「起こしちまったか?」
「ううん。景吾の所為じゃねぇよ。勝手に目が覚めちまった。」
「そうか。疲れただろ?ゆっくり休めよ。」
「おう。なあ、景吾。」
「どうした?」
「俺、ちゃんと景吾のこと喜ばせられたか?」
「ああ。お前があーいうことしてくれて、本当楽しかったし、嬉しかったぜ。」
「そっか。へへ、ならよかった。また気が向いたらしてやるな!」
跡部を喜ばせることが出来たということが分かると、宍戸は満足気に笑い、再び瞳を閉じ
た。目の前でそんな笑顔を見せられ、またしてやるなどという言葉を聞き、跡部はドキド
キしてしまう。
「ヤベェ・・・こりゃ重症だな。」
赤くなり、思わずニヤけてしまう顔を押さえながら、跡部は苦笑する。本気で宍戸にハマ
っている。しかも、一緒にいればいるほど、その想いは強くなる。胸の鼓動が速くなるの
を抑えられず、眠れなくなってしまった跡部は、しばらく宍戸の寝顔を見続けた。

                                END.

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