ムゲンマウンテンの中腹の洞窟で、レオモンとオーガモンは焚き火を囲んでくつろいでい
た。昼間はバトルをしたり、ファイル島を散策したりしているが、夜になるとこんなふう
に二人で体を休めている。もうだいぶ夜は更けているが、どちらもまだ眠くはなっていな
い。腹ごしらえもして、穏やかな雰囲気が流れる中、オーガモンは特に何か言うでもなく、
じっとレオモンの顔を眺めていた。
「どうした?オーガモン。私の顔に何かついているか?」
あまりにもじっと見つめてくるので、レオモンは冗談めいた口調でそんなことを尋ねる。
「べ、別に理由はねぇけどよ・・・レオモンが目の前にいるなあと思って。」
「何を当たり前のことを言っているんだ?」
「レオモンからしたらそうかもしれねぇけど、レオモンとまた会えるまでは、本当にまた
会えるかどうか分からなくて、会えたとしても俺のこと忘れてたらどうしようとか・・・
余計なこといろいろ考えちまってたからよぉ。だから、レオモンが今目の前にいて、俺の
名前呼んだりするのが、ちょっと変な感じだなあと思って。」
ほんの少し照れたような様子で、オーガモンはそんなことを言う。メタルエテモンとの戦
いで消えてしまった後、オーガモンは自分が再び生まれ変わるのを待っていてくれた。そ
のことを思い出し、レオモンはオーガモンに対してこの上ない愛しさを覚える。
「オーガモン。」
オーガモンの名を口にしながら、レオモンはあの時のようにオーガモンに向けて左手を伸
ばす。そのことに気づいてオーガモンの心臓はドキンと跳ねた。思わず右手をレオモンに
向かって伸ばす。あの時は手が触れ合う前にレオモンが指の先から消えてしまったため、
触れることは叶わなかった。あの時の消失感と絶望感を思い出し、オーガモンは泣きそう
になる。
「・・・レオモン。」
次の瞬間、オーガモンの指先がレオモンの指に触れる。指が触れると、レオモンは自らの
指をオーガモンの指に絡め、ぎゅっとその手を握る。そして、ぐいっとその手を引き、自
分の方へオーガモンの体を引き寄せた。
「うっわ・・・」
バランスを崩すオーガモンをしっかり抱きとめてやると、レオモンはオーガモンの背中に
腕を回す。
「あの時もこんなふうに触れたかった。」
「あの時って、メタルエテモンとの戦いで死んじまったときか?」
「ああ。触れることは叶わなかったが、消えてしまう前に・・・最期に目に映っていたの
がお前の顔で、それだけはよかったと思っていた。」
「う・・・けどよ、あの時の俺の顔って・・・」
「生まれ変わりはしたが、今でもお前のあの泣き顔は目に焼き付いているぞ。」
「忘れろよ!そんなことまで覚えてんじゃねぇ。」
「忘れられるわけないだろう。まさかお前が私のためにあんなにも泣いてくれると思って
いなかったからな。」
ぎゅっとオーガモンを抱き締めながら、レオモンはそう口にする。恥ずかしさで胸がドキ
ドキと高鳴り、オーガモンは耳まで顔を赤くしてうつむく。そんなオーガモンの顔を見た
いと、レオモンはオーガモンの顔をくいっと上げた。
「な、何すんだよ!?」
「いや、お前の顔が見たくて。」
「今絶対変な顔してるから見るな!」
「そんなことはない。とても可愛い顔をしているぞ?」
レオモンに可愛いと言われ、オーガモンの顔はさらに赤くなる。いちいち可愛らしい反応
を見せるオーガモンにレオモンの胸は撃ち抜かれる。赤く染まる顔を見ていると、いても
たってもいられない気分になり、レオモンはオーガモンの顎を捉えたまま、牙の覗く唇に
自分の唇を重ねた。
「っ!?」
突然の接吻にオーガモンは驚いて目を見開く。しかし、ゼロ距離でのレオモンの顔を直視
出来ず、オーガモンはすぐに目を閉じた。驚きつつも抵抗はしないオーガモンに気をよく
したレオモンは、今までしたことのなかったより深く激しい口づけをオーガモンに施す。
「はっ・・・んむっ・・・んんぅ・・・っ!!」
ほんの少し開いていた唇の隙間からレオモンの舌が侵入する。味わったことのない感覚に
オーガモンはひどく戸惑う。舌を掠め、歯の裏を舐められると、ゾクゾクとした甘い痺れ
が体を熱くしていく。
(何だよこの感じ・・・こんなの知らねぇ。ヤバイ、どんどん顔熱くなってくるし、何だ
かちょっと・・・)
鼓動はドキドキと速くなり、自然に息が乱れていく。口の中を舌で弄ばれ、お互いの唾液
が混じり合う。初めての感覚にオーガモンの頭の中はすっかりショートしてしまっていた。
何も考えられず、ただただレオモンの口づけを受け入れる。そこに嫌悪感などは一切なく、
腰が疼くような気持ちよさだけが、オーガモンの頭を支配していった。
「ふはっ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
レオモンが唇を離すと、オーガモンは不足気味の酸素を補おうと肩で大きく息をする。乱
れた呼吸に潤んだ瞳。口の端から少し垂れる唾液が今しがたの口づけの余韻を残している。
そして、想定外の気持ちよさからかオーガモンの短いズボンは不自然に膨らんでいた。
(これは思った以上に・・・)
少し激しめのキスで想像以上に色っぽくなっているオーガモンに、レオモンの胸はひどく
高鳴る。
「・・・何、すんだよぉ。」
もっと強めに文句を言おうと思っていたオーガモンだが、すっかり力が抜けてしまってそ
んな言葉しか出なかった。それがまたレオモンのツボにハマり、もっといろいろなことを
したくなってしまう。
「悪くなかっただろ?」
「そんなこと・・・」
「だったら、それはどういう状況だ?」
レオモンの視線がどこに向いているかに気づき、オーガモンはバッとその部分を手で隠そ
うとする。
「こ、これは・・・その、何つーか・・・だー、もう!生理現象だから仕方ねぇだろ!!」
「嫌がりもしてなかったし、そうなっているということは、気持ちがよかったのだろう?」
「うるせぇ!!処理するから、どっか行ってろ!!」
あまりの恥ずかしさにオーガモンは怒りながら、レオモンに対してそんなことを言う。し
かし、そんなことを言われたからと言って、その場を去るレオモンではない。
「お前がそうなったのは、私の責任だからな。私が責任を持って処理してやる。」
「はあ!?ふざけんな!!そんなことさせられるわけ・・・」
オーガモンが言葉を言い終える前に、レオモンは後ろから抱くようにオーガモンの体を捕
らえ、利き手の手首を掴んでしまう。抵抗する前にレオモンの左手が短いズボンが膨らん
でいる部分に触れた。
「・・・・っ!!」
「服の上からでもそんな反応するんだな。」
「やめっ・・・」
オーガモンが制止するのを聞かず、レオモンは短いズボンの中からオーガモンの高まって
いる熱を出す。その熱に直接触れてやると、オーガモンの身体はビクンと跳ねる。
「んっ・・ぁ・・・っ!!」
あからさまに硬くなっている熱を掌で包み、まずはゆっくりと擦る。そこまで大きな刺激
ではないはずだが、オーガモンはビクビクと下肢を痙攣させ、大きな反応を見せる。
「やっ・・・あ・・んっ・・・・」
(何だよこれ!?ほんのちょっと擦られてるだけなのに、気持ちよすぎて声が・・・)
「こんなふうにされるのは初めてか?」
「当・・たり前だろっ・・・自分でだって、そんなたくさんはしねぇのに・・・・」
「それにしては、随分敏感なようだが?」
そう言いながら、レオモンは熱の先をぐりっと指の腹で擦る。
「ああぁっ・・・!!」
「ふっ、そんなにもよい反応を見せられると、もっとひどくしたくなってしまうな。」
「お前、ワクチン種のくせに・・・」
「こんなふうに思うのは、お前相手のときだけだと思うがな。」
オーガモンの反応が実に自分好みのため、レオモンは先程よりも少し激しくオーガモンの
熱を弄ぶ。先程よりも激しく擦られ、オーガモンは高まっていく絶頂感に甘い悲鳴を上げ
る。
「ああっ・・・やっ・・・ああぁっ・・・!!」
「さっきよりもよさそうだな。」
「ああっ・・・レオモンっ・・・んっ・・・あぁんっ・・・!!」
(この感じで名前を呼ばれるのは、たまらないな。)
オーガモンの色めいた声にぞくぞくしながら、レオモンはかぷっとオーガモンの耳を噛む。
思ってもみない部分への刺激にオーガモンは思わず達してしまう。
「ああぁっ・・・!!」
脈打つ熱の先からドクドクと白濁の蜜が放たれる様子と感触にレオモンはどうしようもな
く興奮する。レオモンの手で達してしまったという状況に、オーガモンは大きな羞恥心と
共に今までに感じたことのない興奮と快感を覚える。
(あー、もう、マジでありえねぇ!!レオモンの手でイっちまうとか・・・けど、すげぇ
気持ちよくて、どうしようもなかったんだよなぁ・・・つーか・・・)
「・・・・レオモン。」
「どうした?」
「レオモンの・・・すげぇ当たってんだけど。」
「先程のお前の反応を見ていたらこうなるのは当然だろう?」
「こういう場合はどうすりゃいいんだ?」
まさかそんなことをオーガモンが言い出すとは思っていなかったので、レオモンはドキっ
としてしまう。この状態でどうしたいかと言われれば、答えは一つだ。
「どうすればいいか答えたら、お前はそれをしてくれるのか?」
「そりゃ内容によるだろ。」
「許されるのならば、お前の中に挿れたい。」
「俺の中に・・・って、どういう意味だ?」
拒否するでもなく、それがどういうことか分かっていないオーガモンに、レオモンはきゅ
んとしてしまう。無知なのか無垢なのか分からないが、それが可愛くて仕方なかった。知
らないならば教えてやろうと、レオモンはまだ身につけたままの短いズボンを取り去って
しまう。
「ちょっ・・・何しやがる!!」
「どういう意味か教えてやろうと思ってな。」
「はあ?意味分かんねぇ。ズボン返せよ。」
「中にというのは、ココを使うという意味だ。」
オーガモンの脚を開かせると、オーガモンの出したもので濡れた左手を双丘の中心に持っ
ていく。なるべく痛くないようにと、ゆっくりと一本の指を中に差し込む。
「ひっ・・・あ・・・っ!?」
「痛いか?」
「ど、どこに指入れて・・・うあっ・・・」
「ココをほぐして、私のモノを挿れるんだぞ?まあ、無理なら仕方がないが。」
少し馬鹿にされたような気分になり、オーガモンはレオモンの言葉に反論する。
「無理じゃねぇし!バカにすんな!」
「別にそんなつもりはないが。だったら、してもよいんだな?」
「べ、別に問題ねぇし・・・すればいいだろ。」
初めてのことで多少の緊張と怖さはあるが、レオモン相手に無理だというのは何だか負け
た気分がして悔しいので、オーガモンはそんな言葉を返す。そんなオーガモンを心底愛ら
しいと思いながら、レオモンはなるべく負担をかけないように十分に慣らしてやろうと、
オーガモンの中を探り始める。
「うっ・・・あ・・・んんっ・・・」
自分でも触れたことがない場所をレオモンに弄られ、オーガモンはその何とも言えない感
覚に下肢を震わせる。違和感はあるものの痛いとは感じない。緊張と興奮から自然と息が
荒くなり、顔が火照ってくる。
「大丈夫か?」
「ん・・・これくらい平気だし。」
「なら、もう少し奥までするぞ。」
もう少ししっかりほぐしたいと、レオモンは指の本数を増やし、少し奥の方まで指を挿れ
る。そうしたことで、オーガモンの内側の敏感な部分に指が触れた。
「ひあっ・・・!?」
突然の強い快感に、オーガモンの身体は大きく跳ねる。先程とは明らかに異なる大きな刺
激に、オーガモンは混乱する。
(な、何だ?今の!?さっきまで、こんな感じなかったのに・・・)
オーガモンの感じる部分を見つけたと、レオモンはその部分を押したり擦ったりするよう
に指を動かす。断続的に与えられる強い快感にオーガモンは堪えきれない声を漏らす。
「ああっ・・・やっ・・あ・・・レオモ・・ォン・・・・」
「ココに指を食いちぎられてしまいそうなほど、ぎゅうぎゅうと締めつけてきてるぞ。そ
んなに気持ちいいのか?」
「分かん・・ねぇ・・・けど、中擦られると、ゾクゾクして・・・腹の奥がぎゅうってな
って・・・」
「こうされるとってことだな?」
「ああぁ――っ!!」
一際強く中を擦られ、オーガモンは再び達してしまう。そんなオーガモンを見て、レオモ
ンはいろいろと我慢が出来なくなる。力の抜けているオーガモンの体を自分の方を向くよ
うに反転させ、自らの首に腕を回させる。対面座位の形で、オーガモンの腰を支え、限界
ギリギリまで大きくなった熱をしっかりとほぐした蕾に押し当てた。
「そろそろ限界だ。挿れてもいいか?オーガモン。」
「ん・・・」
絶頂の余韻でとろけたような表情でオーガモンは頷く。オーガモンの双丘を掴み、少し広
げるようにしながら、そそり立った熱に腰を落とさせる。指とは比べ物にならない大きさ
のモノがそこを広げて中に入ってくる感覚にはさすがに痛みが伴った。
「うあっ・・・ああっ・・・!!」
「っ!!さすがにキツイな・・・・」
「いっ・・・てぇ・・・・うぅ・・・・」
「すまん、オーガモン。少し急ぎすぎたな。」
予想以上の締めつけにレオモンも呼吸を乱しながら、オーガモンの背中をさする。痛いこ
とは痛いが、我慢出来ないほどではない。こんなことでレオモンに優しくされるのは癪だ
と、オーガモンはぎゅっと目をつぶり、まだ半分ほどしか入っていないレオモンの熱を全
て自分の中に挿れるため、さらに深く腰を落とした。
「ひ・・ぅ・・・んんっ・・・!!」
「くっ・・・!!」
「ハァ・・・ぜ、全部・・・挿れてやったぜ・・・」
見たかという表情をしているが、その目には生理的な涙が浮かび、呼吸はひどく乱れてい
る。根本までぎゅうぎゅうと痛いくらいに締めつけられている状況を考えると、相当無理
をしているのが分かった。
「無理をするな。お互いに気持ちいい方がいいだろう?」
「うるせぇっ!!お前ばっか・・・余裕こいてて、ムカツクからっ・・・・」
「余裕?そんなものはほとんどないが。」
ぎゅっとオーガモンを抱き締め、オーガモンの胸を自分の胸に密着させる。触れ合った肌
から伝わる速い鼓動。自分と大して変わらないかそれ以上の鼓動の速さに、オーガモンは
レオモンの言葉を信じざるを得なかった。
「すげぇドキドキしてるじゃねぇか・・・・」
「だから言っているだろう。私だって、こういうことは初めてだからな。」
「は?初めてって・・・嘘だろ?」
「嘘なものか。こんなこと、他に誰とするというんだ?」
レオモンのその言葉を聞いて、オーガモンは胸がきゅんとときめくのを感じる。
(何で俺、ちょっと嬉しいとか思ってんだよ・・・ありえねぇだろ。)
「お前はバトルの延長みたいに思ってるかもしれないが・・・」
「これをか・・・?」
「ああ。本来これは想い合っている者同士がする行為だ。」
「・・・想い合ってるって、好きだと思ってるってことか?」
「そうだな。少なくとも私はお前のこと好きだと思っているぞ、オーガモン。」
レオモンに好きだと言われ、オーガモンの顔は一気に熱くなる。それと同時に、先程まで
は痛みが勝っていた内側が急にゾクゾクと甘く痺れるような快感に変わる。
「んっ・・・」
「オーガモン、少し顔を上げてくれないか?」
レオモンの言葉にオーガモンは肩に埋めていた顔を上げ、レオモンの顔を見る。あまり余
裕がなく、レオモンの顔を見ていなかったが、改めて見ると、レオモンの顔は紅潮し、息
もかなり荒くなっている。
(うわ、レオモンも本当に余裕ねぇんだな。その顔で俺のこと好きとか言ってくるって、
どんだけだよ・・・)
恥ずかしさと嬉しさでドキドキしていると、レオモンの顔が触れるほどに近づく。キスを
されると気づいたオーガモンは思わずぎゅっと目を閉じた。唇が触れると、当然のように
舌が入り込み、オーガモンの舌に絡む。キスをしているとその気持ちよさもあいまって、
繋がっている部分も甘く疼いてくる。
「んんっ・・・んぅ・・・・」
より強い刺激が欲しいと、オーガモンは無意識に腰を動かす。焦らされているようなその
動きに堪えられず、レオモンもより奥を突くように腰を揺らす。
「んっ・・・!!ふぅ・・・んんっ・・・ぁ・・・っ!!」
痛みよりも快感の方が圧倒的に大きくなっているため、一度動いてしまうと、もうその動
きを止めることは出来なかった。
(やべぇ・・・すげぇ気持ちよくなってきた。レオモンので中擦られるのたまんねぇ。)
どちらも気持ちよさを求め、だんだんと激しい動きになっていく。口づけたままでは動き
づらくなり、レオモンは唇を離す。唇と唇を繋げる銀色の糸が艶めかしく途切れると、濡
れたオーガモンの口から甘い喘ぎが漏れる。
「ハァ・・・ああっ・・・あぁ・・・レオ・・モォン・・・・」
「オーガモン・・・」
「何か・・・も・・・すげぇ気持ちよくてっ・・・あっ・・・!!」
「私もだ。」
「レオモンも・・・気持ちいいのか・・・?」
「ああ。お前と繋がっているのがよすぎて、あまりもたなそうだ・・・」
レオモンも気持ちよくなってくれているということを聞いて、オーガモンの口元には無意
識に笑みが浮かぶ。その表情にレオモンの胸は高鳴り、一気に余裕がなくなる。今度は二
人で一緒に果てたいと、レオモンはオーガモンの中を大きく穿つ。
「ああぁっ・・・レオモン・・・レオモン・・・っ!!」
「ハァ・・・オーガモンっ・・・」
そろそろ達してしまうというところまで高まると、レオモンはオーガモンの身体を強く抱
き締める。そして、オーガモンの耳元で溢れんばかりの想いを囁いた。
「・・・好きだ、オーガモン。」
そう囁かれた瞬間、身体の中からとろけてしまいそうなほどの快感がこみ上げる。レオモ
ンの想いを全身で受け止め、オーガモンは甘い絶頂を迎える。オーガモンが達するのと同
時にレオモンもオーガモンの中に熱い雫を放った。
初めての事が終わると、少し余韻に浸った後、二人は並んで焚き火の前に座り、疲労感か
らオーガモンはレオモンの肩に頭を預けていた。
「大丈夫か?オーガモン。」
「おう。」
「ついノリであんなことをしてしまったが、嫌ではなかったか?」
「お前、今それを言うのかよ。お前のこと嫌いだけど、嫌じゃねぇよ。その・・・結構気
持ちよかったし。」
「お前は本当に言うことが矛盾だらけだな。」
「うるせぇな。いいだろ!別に。」
照れたようにそんなことを言うオーガモンを本当に可愛らしいと思いながら、レオモンは
オーガモンの頭を撫でる。嫌いと言っているわりには、その手を払いのけようともしない。
「お前にとって、私はどんな存在なんだろうな。」
「はあ?そんなの決まってんだろ。俺とレオモンは、宿命だし永遠のライバルだ。それ以
外ねぇだろ。」
予想していた通りの答えであるが、レオモンはオーガモンのその言葉が嬉しくて仕方なか
った。
「オーガモン、お前は宿命と運命の違いを知っているか?」
「そんな難しいこと知らねぇよ。だいたい同じ意味なんじゃねぇの?」
「宿命は前世から決まっているような決して変えることが出来ないものだ。運命は巡り合
わせという意味が強く日々の行いや選択の積み重ねである程度変えることが出来るものだ。
お前は私とお前の関係は宿命だと言ったな。ということは、私とお前の関係は決して変え
ることの出来ない絶対的なものということになるぞ?」
「だからそう言ってるじゃねぇか。何か違うのか?」
自分とレオモンの関係が絶対的なものであるということはオーガモンの中では、ごく当然
のことであった。運命の相手より遥かに強力な宿命の相手。それがどれだけ離れがたい相
手であるのか、レオモンは身を持って理解していた。生まれ変わっても変わらないこの関
係。無条件に自分を必要としている者が存在するという幸せ。少しの間を置いた後、レオ
モンはオーガモンの言葉に頷いた。
「そうだな。お前の言う通りだ。」
「レオモンを倒すことだけが俺の生きがいだからな。レオモンがいなくちゃ始まんねぇん
だよ。」
「ふっ、そうか。」
オーガモンが放つ言葉一つ一つがレオモンを喜ばせる。オーガモンは無自覚だが、その言
葉にはどれだけレオモンのことを想っているかが滲み出ている。
「オーガモン。」
「何だよ?」
「私は幾度生まれ変わっても、お前と出会いお前と戦い、同じ時を過ごしたい。お前の存
在が私の生きる意味だ。だから、これからもずっと私の好敵手でいてもらえないか?」
レオモンが紡ぐ言葉に、オーガモンは顔は赤く染まり胸の鼓動が速くなる。まるで愛の告
白を受けているような気分になり、オーガモンは困惑した表情を見せる。
「何だよ、そのセリフ・・・そんなキザったらしいセリフ言われたって、俺は嬉しくない
んだからな!」
「別にそんなつもりはないぞ。それに、今言った言葉は間違いなく私の気持ちではあるが、
お前がいつも私に言っている言葉とほぼ同じ意味だからな。」
「なっ!?そ、そんなこと・・・・」
そんなことはないと否定しようとしたが、自分が普段レオモンに言っている言葉と今しが
たレオモンが言った言葉を照らし合わせてみると、確かに意味としては同じような意味に
なる。そのことに気づいて、オーガモンの顔はさらに赤くなった。
「私の言葉を聞いてどんな気分だ?」
「そ、そんなんどうだっていいだろ!!」
「お前がそういうことを言ってくるたびに、私は今のお前のような気分になっているんだ
ぞ?こんなに想われていて、それを頻繁に伝えられて、好きにならない方が無理だろう。」
「〜〜〜〜っ。」
レオモンの言っていることを否定出来ず、オーガモンは何も言えなくなってしまう。そん
な反応をするオーガモンを可愛いなあと思いつつ、レオモンはもう一度オーガモンに想い
を伝える。
「好きだぞ、オーガモン。」
「俺はお前のこと嫌いだ。」
「その嫌いは好きという意味だろう?まあ、お前の気持ちはよく分かってるから、別に素
直に伝えてくれなくとも構わないがな。」
「だー、もう!!ムカツクな!!本当そういうとこ気に入らねぇ!!」
「だったら、素直に伝えて私を動揺させてみればいいだろ?」
「うー・・・好・・き・・・好きだよ、好きっ!!さっきみたいなこと、またしたいって
思うくらいには、レオモンのこと大好きだ!!」
売り言葉に買い言葉でオーガモンは真っ赤になってそんなことを言う。自分で煽っておき
ながら、まさかそこまでハッキリ言われるとは思っていなかったので、レオモンも真っ赤
になって激しく動揺してしまう。
「そ、そうか・・・」
「な、何でそういう反応なんだよ!?言った俺がすげぇ恥ずかしいだけじゃねぇか!!」
「い、いや・・・素直に言われるのがここまでドキドキするとは予想してなくてな。」
「もう知らねぇ!!恥ずかしいから寝る!!」
レオモンと話していると、いつまで経っても恥ずかしい思いをしなければいけなくなると
オーガモンはレオモンから少し離れて横になった。さすがに今の状態で、オーガモンを追
うことは出来ないので、レオモンはちらりとオーガモンの方を見るだけにとどめる。
(くそ、寝ると言ったもののこんな状態で寝れるか!)
(ドキドキしすぎて、今日はそうすぐには眠れなさそうだな。)
少し離れた場所でお互いの態度や言葉にドキドキしながら、レオモンもオーガモンも眠れ
ない夜を越えるのであった。
END.