今日も天気は一日中雨
もう何日こんな天気が続いているんだろう
でも俺はそんなにこの天気が嫌じゃない
たくさんの紫陽花が咲く 学校からの帰り道
俺はあなたとこの道を歩く
「朝は降っていなかったから」
そんな理由であなたは傘を持ってこなかった
わざとだということはもちろん分かっている
でも、それが俺にはすごく嬉しいことだった
ひとつの傘に二人で入り
そこらじゅうに咲いている紫陽花を
ゆっくり眺めて歩いていく
紫陽花の花言葉は「忍耐強い愛」
「紫陽花は雨に恋をしている」
そんなことをあなたは俺に教えてくれた
思わず俺は紫陽花の花をじっと見てしまう
そして、ふと気がついた
だから、紫陽花は梅雨が終わると枯れるのか
恋をしている相手である雨が降らなくなると
紫陽花の花は枯れてしまう
それだけ雨に対する恋心が強いんだなあと思うと
何だか紫陽花がさらに綺麗に見えてくる
「もし俺が紫陽花だったら、いつまでも咲き続ける自信があるよ」
「だって、君の雨は降り止まないもん」
あなたは笑いながらそんなことを言う
何だか恥ずかしくて でも嬉しくて
俺の顔は自然と笑顔になった
紫陽花の花に似たあなたと二人
ひとつの傘の中で笑いあう
こんな時間がずっと続いて欲しいと思う