七夕 ―SideS―

今年もやっぱり天の川は見えねぇ
不思議なくらい 七夕の夜は毎年曇りか雨だ

別に星は見えなくても
今日が七夕なのは間違いねぇ
だからお前の部屋の窓に 七夕飾りを飾らせた

小さな笹に 二枚の短冊
一つは俺の 一つはお前の
俺の願い事を見て お前は笑う
なんかムカツク
お前のだって何が書いてあるか 全然分かんねぇじゃねぇか

でも本当の願い事はそれじゃない
小さく折った赤い短冊
これに本当の願い事が書いてある
油断してたらお前に取られた しかもまた笑ってやがる

恥ずかしくて悔しくて 怒っていたら
お前は赤い短冊を見せてきた
『宍戸は俺のものだ。それはずっと変わらねぇ』
願い事かどうかも分からない 自分勝手な願い事

さっきよりも恥ずかしくなって 怒ってやったけど
やっぱそう書かれて 嬉しい気持ちでいっぱいだ
怒っていたのに 思わず笑っちまった

一年に一度しか来ない七夕の夜
俺達はきっと 織姫と彦星よりも
お互いのことを 好きだと思いあっている

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