夏祭り ―SideJ―

ちょうちんの灯りに いろんな食べ物の匂い
金魚すくいに射的に輪投げ
いろんな屋台が立ち並んで
俺の気持ちをワクワクさせる

浴衣を着た君はいつもよりどこか楽しそうな顔してる
君の大きな手をとって
あっちに行こう こっちも楽しそう
そんなことをしても 君は嫌な顔一つしない
たくさんたくさんはしゃいだら
何だか眠くなって来ちゃった
眠くてふらふらしてたら 君は突然俺の目の前でしゃがんだ

「眠いん・・・ですよね・・・?」
だから背中に乗ってもいいということらしい
初めは断ろうと思ったけど やっぱり眠いのはおさまらない
君の言葉に甘えて 素直におぶってもらった
大きくてあったかい君の背中
俺の特等席
周りがどんなに騒がしくても 君の背中なら
あっという間に夢の中

しばらくして目を覚ますと
静かな家までの帰り道 いまだに君におぶわれてる
ゴメンねとありがとう
どっちの気持ちも伝えると
君は二文字で頷くだけ
でもそんな短い言葉でもいろんなことが伝わってくる
しばらく黙っていたら 君は一言呟いた
「今日は・・・楽しかったです・・・」
自分勝手に連れまわして しかも途中で寝ちゃったのに
君はそんなことを言ってくれる
それが本当に嬉しくて 思わず背中にいるままぎゅっと抱きしめた

大きな月が暗い道を照らす中で 君の下駄の音だけが響いている
俺の家まであと少し
それまで君の背中で 君のぬくもり感じよう

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