「最近は・・・映画見に行ったなあ。」
「どうせまたラブロマンス系だろ?」
「向日先輩も一緒にですか?」
「当然やろ?でも、今回のはかなりよかったで。岳人も泣いてたくらいやかなら。」
「へぇ、岳人が泣くくらいなら相当な話だったんだな。」
「何見たんですか?」
「きみ読む。CMくらい見たことあるやろ?」
「あー、あれか。」
「滝さんが原作本読んでたみたいですけど、やっぱりすごく感動するって言ってました。」
「せやろ?あれは見た方がええで。俺的にかなりオススメやで。」
「俺、ラブロマンス映画嫌いじゃないですよ。今度見に行ってみようかなぁ。」
「行くんやったら、滝と二人がええんやない?あれはカップルで見るべきや。」
「あーいう映画見るとさ、やっぱいい感じになるのか?」
「いい感じって何やねん。」
「雰囲気がっていうか?お前でいうと岳人と一緒にいる雰囲気?」
「あー、確かによくはなるな。あっ、そういえばその日・・・」
「何ですか?」
「えっ?ああ、別に何でもあらへんよ。」
「それ、さっきと同じやりとりになりそうだぜ。」
「ホンマに何もあらへんって!」
「絶対何かあるな。」
「はい。ちゃんと言ってください。」
「そ、そんなん恥ずかしくて言えるかっ。」
「ふーん、そんなに恥ずかしいことなんだ。」
「俺と似たようなことですかね?」
「9割方そうだろ。な、忍足。」
「そ、そんなやましいことしてへんで。」
「じゃあ、言えるだろ。」
「そうですよ。」
「・・・誰にも言わんって約束するか?」
「おう!」
「はい!」
「実はな、映画見始めたのがだいぶ夕方からやねん。6時台だったからな。」
「つーことは終わるのは8時すぎになるってことか?」
「せやな。それで映画が終わった後・・・」
『終わった後?』
「何となくそういう雰囲気になってしもうて・・・公園で・・・・」
「やっちゃったと。」
「忍足先輩の方が俺よりすごいじゃないですかー。」
「しっ、声デカイで鳳。」
「へぇ、長太郎も忍足もやるねー。」
「宍戸に言われたないわ。」
「そうですよ。宍戸さんの方が跡部さんともっとすごいことしてるじゃないですか。」
「お、俺は別に好きでしてるわけじゃねぇよ!」
「嘘つくなや。ホンマに嫌だったら、叩いてでも逃げるやろ。」
「ウ、ウルセー!!いいじゃねぇか、お前らだって相手が岳人や滝だったらやるんだろ!?」
「そこまではせんよなあ、鳳。」
「はい。」
「なっ、絶対絶対断るんだな!!じゃあ、今度滝と岳人に二人がしたがってるって頼んでやる!!」
「ちょ、何でそうなるんですかぁ!?」
「せや。それとこれとは話が別やで。」
キーンコーンカーンコーン
「あっ、昼休み終わってもうた。」
「ヤッベー、次、移動教室じゃん!!」
「早く教室戻らなきゃですね。」
「長太郎、忍足、俺、二人に絶対そう言っとくからな。覚悟しとけよ!!」
「待っ、宍戸さんっ!!」
「ちょい待ち、冗談やろ?」
「冗談じゃねーよ。じゃあな!」
パタパタと走り出す宍戸を見送りながら、残された鳳と忍足は青ざめる。
「どうしましょう、忍足先輩・・・・」
「どうしようもないやろ。宍戸の気が変わるのを願うしかないな。」
「そんなぁ。」
昼休みにこんな話をしてしまったがために、また一波乱ありそうだ。
宍戸の気が変わってくれるのを願いつつ、二人は自分の教室に戻るのであった。