ジロー×樺地
二人の予定を合わせ、ジローと樺地は合宿所のレクリエーションルームにやってきた。
「お待たせー、樺ちゃん!」
「ウス。」
「今日もちょっと昼寝しすぎたー。遅れちゃってゴミンね。」
「大丈夫です。」
今日も練習が終わった後、ジローは寝てしまい、約束の時間に少し遅れてしまった。しか
し、ジローが寝てしまうのはいつものことなので、樺地は特に気にしていなかった。
「それじゃ、プレゼント交換しよっか。まず俺からー。バレンタイン・マルシェで可愛い
のが売ってたから買っちゃった。」
可愛らしいラッピングの施された箱をジローは手渡す。
「ありがとうございます。」
「開けてみて!」
「ウス。」
プレゼントを開けるように促され、樺地は丁寧にラッピングを解き、箱を開ける。中には
ドールハウスに使えそうなバレンタインらしいパーツがたくさん入っていた。
「チョコとかクッキーとか、あと、お菓子作る道具?すごいバレンタインっぽいなーと思
って選んでみた。可愛いーよね!」
「ウス。すごく可愛いです。」
「ドールハウスに使えそう?」
「使えると思います。こんなにたくさんいただいていいのでしょうか?」
「もちろんだよー。樺ちゃんなら、きっと上手に使えるよなーと思っていっぱい買っちゃ
った。」
「ありがとうございます。」
箱いっぱいの可愛らしいパーツを見て、樺地は嬉しそうに微笑む。嬉しそうにしている樺
地を見て、ジローも嬉しくなる。
「えへへ、樺ちゃんが嬉しそうで俺もうれCー。」
「とても嬉しいです。次作るドールハウスで、早速使わせてもらいます。」
「うん!出来たら俺にも見せてね!」
「もちろんです。」
ジローからもらったプレゼントをしばらく眺めた後、樺地は自分が用意したプレゼントを
ジローに差し出す。
「これは、自分からのプレゼントです。」
「わー、ありがとう!何だろう?開けるの楽しみー!」
「開けてみてください。」
樺地からもらったプレゼントをジローはごそごそと開ける。中からは出てきたものは、何
かスプレーのようなものであった。
「スプレー?」
「ピローミストです。」
「ピローミスト??」
「枕にかけることで、安眠効果が得られるそうです。少し前にアロマの勉強をしたので、
ジロー先輩にはそういうものがよいかと思ったので。」
「へぇ、そうなんだ!アロマってことは、いい匂いがするってことだよね!」
「ウス。」
「試しにシュッてしても平気かな?」
「少しであれば、大丈夫だと思います。」
軽く手につける感じで、ジローはピローミストの上をプッシュする。手につけるつもりで
あったが、吹き出し口が樺地の方を向いており、吹き出たミストは樺地にかかってしまう。
「!」
「わっ!ごめーん、樺ちゃん!そっちに出ちゃった。」
「いえ、ちょっとビックリしましたが、大丈夫です。」
軽く服にかかってしまっただけなので、樺地は問題ないとジローに返す。
「あっ、でも確かにすごくいい匂いする。」
「ラベンダーベースで、いくつかのアロマが混ざっているそうです。」
「これは確かによく眠れそう。」
「自分もそう思います。」
樺地があまりにいい匂いになっているので、ジローはちょっとあることをしたくなる。
「樺ちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど。」
「何でしょうか?」
「ほんのちょっとの間でいいからさ、樺ちゃんの膝でゴロンってしていい?」
それは完全に寝てしまうだろうなと思いつつ、樺地は首を縦に振る。
「少しなら、構いません。」
「やったー!ありがとー、樺ちゃん!」
樺地の許しを得たので、ジロー樺地の膝に頭を乗せ、
レクリエーションルームのソファに寝転がるように横になる。
「樺ちゃん、本当いい匂い。すっげー落ち着く。」
「確かに落ち着く香りです。」
「この匂い嗅ぎながら寝たら、超いい夢見られそう。」
「そうですね。」
「樺ちゃん、ありがとー・・・ZZzzz・・・」
数度の会話のやりとりをした後、ジローは夢の中に落ちていく。予想はしていたものの、
思ったよりも早く寝落ちされ、樺地は少々戸惑いながらもふっと笑う。
(もう少ししたら、部屋に連れて行こう。)
ジローを膝の上で寝かせたまま、樺地はジローからもらったプレゼントを一つ一つテーブ
ルの上に出してみる。
(こんなにたくさん、お菓子に食器に道具もある。これを使ってドールハウスを作るのす
ごく楽しみだ。)
可愛らしいパーツをしばらく眺め、樺地はほっこりした気分になる。なくさないように戻
しておこうと、樺地はそれらを片付け始める。
「ん・・・んー・・・」
少し動いたからか、ジローが膝の上で動き出す。落ちてしまうといけないので、樺地はそ
っとジローの体を支える。
「んー、あれ・・・?あっ、俺、寝てた?」
「ほんの数分です。」
「樺ちゃんの膝が超気持ちよくて寝ちゃった。ほんのちょっとだけど、超いい夢見れた気
がするー。」
ふわふわとした表情で、ジローはそんなこと言う。
「そろそろ部屋に戻りますか?」
「もっと樺ちゃんといたいけど、また寝ちゃいそうだから、戻っとくー。」
「それなら部屋まで送ります。」
「ありがとー。へへ、樺ちゃん大好きー。」
ジローの言葉にドキドキしながら、樺地はジローを部屋まで送る。胸がぽかぽかすると思
いながら、樺地はジローからもらったプレゼントを抱え、部屋に戻った。