Happy×2 Valentine&
Happy×2 Whiteday(君篤)

Happy×2 Valentine

君島×遠野

チョコあげる:遠野→チョコもらう:君島

バレンタイン当日
遠野「君島、コレやるよ。」
君島「チョコレートですね。どうもありがとうございます。」
遠野「まあ、お前は嫌というほどもらってるかもしれねぇけどよ、一応な。」
君島「今日がキミにとって、素敵な1日となりますように。」
遠野「はぁ?べ、別にそんなつもりであげたわけじゃ・・・」

バレンタインの夜(電話)
君島「君島育斗です。少々お時間をいただけますか?」
遠野「君島?電話なんてしてきて、何の用だよ?」
君島「あらためてチョコレートのお礼を言わせてもらおうと思いましてね。」
遠野「ふーん。」
君島「包みを開けて驚きました。先程は手作りと気づかなかったものですから。」
遠野「せっかくだからな。隠し味にスパイスも入れてやったぜ。」
君島「スパイスは『愛』ということでよろしいかな。」
遠野「はぁ?ったく・・・好きにすれば?」
君島「ふふっ、では、そのように。ありがとう。大事にいただきますよ。」

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チョコあげる:君島→チョコもらう:遠野

バレンタイン当日
君島「はい、遠野くん。バレンタインのチョコレートですよ。」
遠野「・・・・チョコレートだぁ?引導を渡すんじゃなかったのかよ。」
君島「誰がそんなこと言いました?今日渡すものと言ったらチョコでしょう。」
遠野「まあ、もらっといてやる。もちろん美味いんだろうなぁ?」
君島「当然です。」

バレンタインの夜(電話)
君島「もしもし?」
遠野「ふっはは、出た出た。俺だ」
君島「遠野くんですか。どうしたんです?」
遠野「お前がよこしたチョコレートだが、『ルビーチョコ』って言うらしいな。」
君島「そうですね。遠野くんが好きそうだと思いまして。」
遠野「もっと血のように真っ赤なら完璧だったんだが、舌の上でとろけるあのなめらかさは最高だったねぇ。」
君島「おや、それはよかったです。」
遠野「なかなかいい気分を味わえたからな。礼を言ってやるよ。」
君島「どういたしまして。」
遠野「お返しが必要だろうから、お前のためにとっておきの処刑法を考えてやる。楽しみに待ってな。」

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Happy×2 Whiteday

君島×遠野

お返しあげる:君島→お返しもらう:遠野

電話
君島「やあ、君島です。」
遠野「何の用だ?」
君島「君に会いたいのですが、今、どこにいますか?」
遠野「用件は何だ?突然会いたいとか言われてもよ。」
君島「ああ、すみません。先月のお返しを早く渡したくて、気が急いてしまいました。」
遠野「・・・・トレーニングルームから自分の部屋に向かってる。」
君島「では、そちらで待ち合わせしましょう。これは『交渉』ではなく『約束』です。」

ホワイトデーSS
遠野の部屋の前に到着すると、君島は部屋のドアをノックする。既に遠野は戻ってきてい
るようで、すぐに部屋のドアが開いた。
「来たか。」
「待ってたんですか?」
「別に待ってなんかねぇし。さっさと入れ。」
「お邪魔します。」
君島が部屋に入ると、遠野はパタンとドアを閉める。遠野の部屋は一人部屋のため、この
後誰かが入ってくるということもない。遠野と二人っきりの部屋で、君島は持ってきホワ
イトデーのプレゼントを遠野に手渡す。
「先月はチョコレートありがとうございます。」
「ホワイトデーのお返しってことは、3倍返しなんだろうなぁ?」
冗談じみた口調で、遠野はそんなことを言う。そんなことを期待していたのかとちょっと
意外に思いながら、君島はふっと笑う。
「たぶん気に入ってもらえると思いますよ。」
「言うねぇ。そこまで言うなら、開けさせてもらうぜ。」
君島からもらった白い箱を遠野は開けてみる。中身を見て、遠野の表情はパァっと目に見
えて明るくなる。箱の中には実に美味しそうなアップルパイが入っていた。
「一応、あなたの好きなものを選んだつもりですが。」
「いい趣味してるじゃねぇか。」
ウキウキとした表情で、遠野は自前のナイフとフォークを出してくる。丸く焼かれたアッ
プルパイを食べやすい大きさに切り、フォークで一口分刺すと、口へと運ぶ。数度静かに
咀嚼すると、ほぅっと嬉しそうに顔を緩ませる。
「美味いじゃねぇか。」
「そうですか。それはよかった。」
遠野の言葉を聞いて君島はニッコリと笑う。二口目を口にして、遠野は微妙に顔をしかめ
た。
「何だ?アップルパイの中に何か変なもんが入ってるぞ。」
不機嫌な声でティッシュを手に取り、口の中のそれを出す。アップルパイの中に入ってい
たのは石のついた指輪であった。
「おや、もう当たったのですね。」
「何だよ?これは?」
「せっかくなので、ガレット・デ・ロワっぽくしてみたんですよ。こんなに早く出てくる
とは思いませんでしたが。」
「ガレット・デ・ロワ?あのケーキに人形とか入ってるやつだよなぁ?でも、あれは誰が
当たるか分からないところに面白みがあって、俺しか食べないもんにやっても意味ないん
じゃないのか?」
「いえ、それも遠野くんへのプレゼントなので。」
そう言われて遠野はテッシュで指輪を拭い、じーっとその指輪を見つめる。石を眺めてい
るとあっとあることに気づく。
「その指輪の石なんですけど・・・」
「ブラッドストーンだろ?へぇ、君島がこの石選ぶなんて意外だな。」
「さすがに知っていましたか。」
「イエス・キリストが処刑されたとき、キリストの血が十字架の下にあった石に染み込ん
で出来た石って言われてる石だ。血の石って名前も俺は好きだねぇ。」
「石の意味よりも、遠野くんが好きそうな逸話だと思い選びました。気に入ってもらえま
したか?」
「ああ。アップルパイといい、ブラッドストーンの指輪といい、俺の趣味よく分かってる
じゃねぇか、君島。」
ブラッドストーンの指輪を眺めながら、遠野は嬉しそうにそう呟く。アップルパイの中に
入っていたので、多少ベタベタするものの後で綺麗にすればいいかと考え、遠野は試しに
その指輪をつけてみる。迷わず左手の薬指につける遠野を見て、君島は驚く。確かにその
指に合わせて用意したのだが、遠野が自らその指につけるとは思っていなかったからだ。
「おっ、ピッタリだな。」
「迷わずその指につけましたけど、どうしてですか?」
「どうしてって、左手の薬指は直接心臓に繋がってる指だろ?ブラッドストーンの指輪を
つけるなら、命に一番近い指で神への聖なる誓いの指につけるのが礼儀ってもんだろうが。」
「なかなか乙な表現をしますね。まあ、その指に合うように用意したんで構わないんです
けどね。」
「君島。」
「何です?」
「お返し、ありがとな。」
「いえ、喜んでもらえたならよかったです。」
照れながら、素直にお礼の言葉を口にする遠野を見て、君島は心から遠野を可愛いと思う。
普段素直な言葉をあまり口にしないので、そういう態度をとったときの可愛さはひとしお
だ。その余りの可愛さに、君島は遠野に触れたくなる。
「遠野くん。」
「ん?」
『・・・・・。』
ちゅっと触れるだけのキスをして、すぐに離れる。突然のことに遠野は顔を真っ赤に染め、
口を拳で覆う。
「言い忘れていましたが、ブラッドストーンは3月の誕生石ですし、指輪を贈ることには
『永遠』といった意味もあるんですよ。」
3月の誕生石と言われ、そう言えば、君島の誕生日は3月だったなと遠野は気づく。自分
の誕生石の指輪を、しかも、左手の薬指に合うような指輪を贈られた意味を遠野は考え、
急に恥ずかしくなる。
「先程も電話で言いましたが、この一連のことは『交渉』ではなく『約束』です。」
「なっ!?」
「意味はお分かりですね?」
まるでプロポーズをされているような気分になり、遠野は何も言えなくなる。そして、そ
んな遠野にとどめをさすようなことを君島は口にする。
「それから先程のキス、罪の果実の味がして、実に魅力的でしたよ。遠野くん。」
「・・・・っ!!」
君島の言葉に遠野はどうしようもなくドキドキしてしまう。本当にたまらない反応をして
くれるなあと思いながら、君島は口元を緩ませ、ドギマギとしている遠野を眺めていた。

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お返しあげる:遠野→お返しもらう:君島

電話
遠野「おい、お前、今どこにいるんだ?」
君島「部屋で読書をしていますが。何です?」
遠野「特別に考えてやった処刑法、くれてやるよ。逃げ回っても無駄だからなあ!」
君島「処刑法?遠慮しておきます。」
遠野「お返し、欲しかったんだろ?首を洗ってそこで待ってな!」
君島「全く本当に話を聞かない人ですね。」

ホワイトデーSS
君島が部屋にいることを聞いて、遠野は早速君島の部屋に突撃しに行く。ノックもせずに
ドアを開け、君島の名を呼ぶ。
「君島ぁ、バレンタインのお返ししてやるから、俺の部屋に来な!」
「あなたの部屋にですか?処刑されるのであれば、行きたくないのですが。」
「いいから来な!逃げても無駄って言っただろう?」
「仕方ないですね。」
強制的に連れて行く気満々の遠野を前にし、小さく溜め息をつきながら、君島は本を閉じ
て立ち上がる。部屋を出ると、隣にある遠野の部屋に連れて行かれる。君島を部屋の中に
招き入れると、遠野はドアを閉め、ガチャっと鍵をかけた。
「これで誰にも邪魔されずに、処刑が出来るなぁ。」
「それで、バレンタインのお返しとは何ですか?まさか本当に処刑するわけではないです
よね?」
「とにかくこっちに来な。話はそれからだ。」
そう言いながら、遠野は自分のベッドに君島を招く。まさかベッドに招かれるとは思って
いなかったので、君島は図らずもドキドキしてしまう。
「ベッドに誘うとは、なかなか大胆なことをしますね。」
「とりあえず、ここに横になれ。そうすれば、お返し、してやるから。」
やはりそういうことなのかと君島はこれから遠野が何をするつもりなのか期待をしてしま
う。とりあえず、言う通りにしてみようと、君島は遠野のベッドに仰向けになった。しば
らくそのままで待っていると、遠野が何かが入った籠のようなものを手にし、君島を跨ぐ
ようにベッドに立つ。そして、その籠から何かを掴み、君島の上にバラまき始めた。
「何をしてるんです?遠野くん。」
「お前を血祭りに上げてやろうと思って、飾ってやってるんだぜ。なかなかいい感じにな
ったな。」
自分の体の上に何か真っ赤なものがかけられているのに気づき、それが何かを確認する。
よく見てみると、自分を赤く飾っているそれは、赤よりも濃い紅色の薔薇の花びらであっ
た。それと同時にふわりと薔薇のよい香りがするのに気がつく。
「こんなに大量の薔薇、どうしたんです?」
「中坊で薔薇風呂とかやってる奴らがいるだろ?そいつらに少し分けてもらった。」
「なるほど。」
「処刑はこれで終わりじゃねぇぜ。聖バレンタインの処刑法にちなんで、お前の首もくく
ってやる。」
それはまた物騒なことを口にしてるなあと思いつつ、君島は黙って遠野のすることを見守
る。どこからか黒い紐のようなものを持ってくると、遠野は君島の首にそれをくくりつけ
た。
「よし、出来たぜ。これで絞首刑の完成だ。」
満足気にそんなことを言う遠野だが、君島からは何がつけられたのか全く分からない。ポ
ケットから鏡を出し、首に何がつけられたのか確認すると、そこには欠けたリンゴのチャ
ームがついた黒いチョーカーがつけられていた。
「チョーカーですか。悪くないデザインですね。」
「ふふーん、いいだろ?黒い帯に齧られた禁断の果実。お前にピッタリだと思ってな。」
「それはどういう意味か分かりかねますが・・・」
体を起こし、遠野の足を引っかけながら、君島はその身を反転させ、遠野をベッドに押し
倒す。その衝撃で、君島の体とベッドに乗っていた薔薇の花びらが宙を舞い、代わりに遠
野の身体を飾った。
「うわっ・・・・」
「あなたの気持ちはしっかりと受け取りましたよ。」
「な、何しやがる!」
「紅色の薔薇の花言葉知ってます?もちろん知っていて贈ってきたんですよね?」
遠野を組み敷きながら、君島は笑みを浮かべてそんなことを問う。知ってはいたが、遠野
はその色に惹かれて選んだので、特に意味はないと思っていた。
「『死ぬほど恋焦がれています』。なかなか情熱的なお返しじゃないですか。」
「べ、別にそんな意味込めて贈ってない。」
「死ぬほど恋焦がれているのなら、私の愛で満たしてあげますよ。」
そんな君島の台詞を聞いて、遠野の顔は周りに散りばめられている薔薇のように赤く染ま
る。
「そのために部屋の鍵をかけたんでしょう?」
「ち、違っ・・・」
「お返し、ありがとうございます。遠野くん。とても嬉しいですよ。」
ニッコリと笑い、君島は遠野にお礼の言葉を述べる。その瞬間、君島の首につけられたリ
ンゴがキラリと揺れる。ドキドキが治まらない遠野は腕を君島の首に伸ばし、ボソッと呟
く。
「もう勝手にしろよ・・・」
遠野の許しももらえたので、君島は芳しい薔薇の香りに包まれたベッドの上で、遠野の唇
にキスをした。

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