Happy×2 Whiteday(比嘉)

甲斐×平古場

お返しあげる:甲斐→お返しもらう:平古場

電話
甲斐 「えー、今から会いに行っていいか?」
平古場「急だな。別に家にいるからいいけどよ。何の用ば?」
甲斐 「何って、内緒だけどよ。チョコのお返しっつーか・・・」
平古場「なるほど、そういうことか。」
甲斐 「・・・あっ、言ってしまったやし。まあ、いいや。待っとけよ。」
平古場「おー、楽しみに待ってるさー。」

ホワイトデーSS
電話を切ってからしばらくして、甲斐は平古場の家へやってくる。
「凛ー!」
「おお、早いな。」
「早く凛に会いたかったからな。」
「とりあえず、俺の部屋行くか。」
「おじゃまします。」
玄関から家に上がると、甲斐は平古場に連れられ、平古場の部屋へと向かう。
「ちょっと散らかってるけど、適当に座っとけ。」
「おう。」
平古場に言われるまま、甲斐は空いているところに座った。パタンとドアを閉めると、平
古場は甲斐の隣に座る。
「凛、チョコレートのお返し、あげてもいいば?」
「もちろんやし。裕次郎がどんなの選んだか楽しみさー。」
期待に満ちた目で自分の方を見てくる平古場に、甲斐はドキドキしてしまう。平古場に喜
んでもらえるようなものを用意したつもりだが、本当に喜んでもらえるかは分からないの
で、少し緊張してきてしまう。
「先月はチョコレートありがとうやー。」
そう言いながら、甲斐は用意してきたプレゼントを渡す。甲斐がくれたのは、ビンに入っ
た飴であった。
「ありがとうな。この飴、何味か?」
「それは食べてからのお楽しみさー。」
ビンの中に入っている飴は、白い包みにくるまれていて、パッと見では何味かは分からな
い。それならば早速食べてみようと、平古場はビンから一つ飴を取り出し、包みを開けて
口の中に放り込む。その瞬間、口の中に広がったのは甘いイチゴの香りと優しいミルクの
味であった。
「いちごみるく味か?」
「正解やし。凛、イチゴ好きだから、この味好きかなーと思って。」
「でーじまーさん。かなり好きな味やし。」
「へへ、気に入ってもらえてよかったさー。」
平古場が美味しそうにその飴を食べるのを見て、甲斐も嬉しくなり笑顔になる。見た目も
味も自分好みだなーと思いながら、平古場は甲斐からもらった飴のビンを眺める。
「お返し、これだけじゃないぜ。」
「じゅんにか。」
「手出して。」
「手?左手?右手?」
「どっちでもいいけど、左手のがいいかもな。」
甲斐に言われるまま、平古場は左手を差し出す。平古場の手を取ると、甲斐は用意してい
た指輪を薬指にはめる。
「おー、思った以上にピッタリやし!」
「これ、裕次郎が作ったば?」
「ああ。せっかくやし凛の誕生石も埋め込んでみたさー。アクアマリンだったか?海の色
みたいで、凛に似合うと思って。」
「へぇ。」
左手の薬指につけられたシルバーリングを平古場はマジマジと眺める。イチゴ味の飴をく
れて、アクアマリンの指輪を左手の薬指につけてくるという甲斐のお返しに平古場は赤く
なる。その理由は最近読んだ雑誌にあった。
(これじゃ、まるで結婚したいって言っているみたいやし。)
「裕次郎。ホワイトデーのお返しの意味とか誕生石の意味とか分かってて、これを選んだ
ば?」
「へっ?そんなこと知らんけど。」
「なら、教えてやるやし。ホワイトデーに飴を返すのは『あなたが好き』って意味で、イ
チゴ味は『恋・結婚』、アクアマリンの代表的な意味は『幸せな結婚』さー。そんなのホ
ワイトデーにお返しとしてもらったら、もうプロポーズされてるのかなって勘違いしてし
まうさー。」
季節柄雑誌にはホワイトデー特集などが載っている。そこで得た知識を平古場は甲斐に教
えた。もちろん、甲斐はそんなことは知らないので、そんなことを知っている平古場のこ
とを純粋にすごいと思った。
「へぇ、凛物知りだな。そんな意味があったなんて知らなかったさー。けど、凛が俺のお
嫁さんになるって考えたら、でーじ最高さー!」
「あはは、なら、知らなかったけど、あながち間違ってなかったってことだな。」
「そうなるやー。」
楽しげに笑っているが、平古場はもうドキドキして仕方がなかった。大好きな甲斐にこん
なにも嬉しいお返しをもらえたのだ。どうにかこの想いを伝えようと平古場は少々大胆な
行動に出る。
「裕次郎。」
「何?」
甲斐が返事をするのと同時に、平古場はちゅっと甲斐の唇にキスをする。そして、顔を真
っ赤にし、お礼の言葉を口にする。
「裕次郎からのお返し、でーじ嬉しいさー。ありがとうやー。」
「凛・・・」
平古場からのキスは甘い甘いいちごみるくの味で、甲斐はその甘さにすっかり魅せられる。
「今のキス、いちごみるくの味がしてでーじ甘くて、ヤバイ。」
「そりゃいちごみるくの飴食べてるからな。」
「もっと、凛とイチャイチャしたい!してもいいば?」
「上等。俺も今そういう気分やし。」
お互いに好きだという気持ちが溢れ、どうしようもなく触れたくなってしまう。甘いいち
ごみるくの匂いが漂う部屋で、二人は溢れんばかりの気持ちを伝え合った。

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お返しあげる:平古場→お返しもらう:甲斐

電話
平古場「あー、出た。やー、どこにいるば?」
甲斐 「あい?凛。今、いつもの浜辺にいるやし。もしかして、俺のこと探してたば?怒
ってる?」
平古場「別に怒ってないやし。しに探したけどよ。」
甲斐 「ごめんちゃい。」
平古場「いいからそこで待っとけ。」
甲斐 「別にいーけど、どうした?」
平古場「チョコの礼しに行くから。」
甲斐 「!!分かったさー。」

ホワイトデーSS
ホワイトデーのプレゼントを持ち、平古場は甲斐のいる浜辺へと向かう。浜辺はそれなり
の広さがあるので、また着いてから探さないといけないかと思っていたが、平古場が到着
すると甲斐の方から駆け寄ってきた。
「凛!」
「裕次郎は本当どこにいるか分からんくて、毎度探すの大変さー。」
「ゴメンって。」
「別にいつものことだから、そんなに謝らなくてもいいやし。」
そう言いながら、平古場はごそごそと鞄の中を探る。昨日の夜用意したホワイトデーのプ
レゼントを取り出すと、甲斐の前に差し出した。
「これ、バレンタインのチョコのお礼やし。」
「おー、ありがとうやー!!」
平古場が甲斐に渡したのは、透明な袋に入った変わった形のマドレーヌであった。いかに
も手作りなそのお返しに、甲斐のテンションは一気に上がる。
「これ、凛が作ったば?」
「まあな。おばあにちょっと手伝ってもらったけどよ。」
「パイナップルの形してるやっし!」
「裕次郎、パイナップル好きだろ?」
「おう!なあ、一個食べてみてもいいば?」
「ああ。いいぜ。」
もらった袋からパイナップル型のマドレーヌを一つ出し、甲斐はパクっと一口食べてみる。
甘いマドレーヌの味の中に少しの酸味と好きな風味。それがパイナップル味のマドレーヌ
であることに気がつくのに、時間はかからなかった。
「うわー、パイナップルの風味がするやし!」
「ちょっとだけパイナップルの果汁を入れてみたんだけど、どうか?」
「でーじまーさん!凛、天才やっし!!」
「そこまで褒められることじゃないさー。」
相当気に入ったようで、甲斐は全力で凛のことを褒める。そんな甲斐の言葉に照れながら
も、平古場は甲斐が喜んでくれることが嬉しくて顔を緩ませる。平古場の作ったマドレー
ヌを食べながら、甲斐はスマホでポチポチと何かを調べ出した。
「何してるば?」
「んー、ちょっとな。」
「気になるから教えれー。」
「へぇ、そんなかー。今な、ホワイトデーのお返しの意味調べとったんばぁよ。マドレー
ヌもちゃんと意味あったぜ。」
まさかそんなことを調べているとは思っていなかったので、平古場は焦る。平古場自身そ
の意味を分かっていて、バレンタインのお返しとしてマドレーヌを選んだからだ。
「マドレーヌの意味は『もっと仲良くなりたい』って意味だな。俺、凛とはかなり仲良い
と思ってるけどよ、凛はそうじゃないば?」
「そんなことないやしが・・・」
「なら、今も仲良いけど、もっともっと仲良くなりたいって意味ば?」
「・・・まあな。」
「凛は欲張りさー。俺、こんなに凛のこと好きやんに。」
「べ、別にそういうわけじゃ・・・」
恥ずかしさで顔を赤らめ、ドギマギしている平古場が非常に愛らしいと、甲斐は平古場を
ぎゅっと抱きしめる。
「ゆ、裕次郎っ。」
「凛、でーじかなさんどー。」
「っ!!」
抱き締められながら、そんなことを耳元で囁かれ、平古場の胸はきゅんとときめく。
(ああ、やっぱ裕次郎のこと、でーじ好きやし。しにちむどんどんしてる。)
「俺も・・・」
「あい?」
「俺も、裕次郎のこと、でーじかなさんどー。」
甲斐の背中に手を回し、ぎゅっと抱き締め返しながら平古場はそう口にする。平古場の声
で、平古場の言葉で、大好きだという意味の言葉が紡がれるのを聞き、甲斐の心臓はドキ
ドキと高鳴り、顔が熱くなる。
「あー、でーじちむどんどんしてるさー。」
「俺もだし。」
「凛、これからもっともっと仲良くなろうやー。」
「そーだな。今日は最高のホワイトデーさー。」
「だぁるなー。」
少し恥ずかしいが、それ以上に嬉しくて、二人は笑顔で顔を見合わせる。ターコイズブル
ーの海を臨み、真っ白な砂浜の上で、二人は甘いキスをした。

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