大曲×種ヶ島
お返しあげる:大曲→お返しもらう:種ヶ島
電話
大曲 「あー、俺だし。今、どこにいる?」
種ヶ島「ちょうど部屋に戻ってきたとこやで。」
大曲 「行き違いかよ・・・勘弁しろし。」
種ヶ島「俺のこと探してたん?また行き違いになるといかんから、部屋で待っとくで。」
大曲 「しゃあねーなあ、戻るか。」
種ヶ島「何か用でもあるん?」
大曲 「あ?何の用かって?そりゃ・・・」
種ヶ島「えー、何々?」
大曲 「チョコのお返しするって言ったろうが。忘れんなし。とにかくちょっと待ってろ。
そっち行くからよ。」
種ヶ島「ちゃーい☆」
ホワイトデーSS
種ヶ島がベッドの上で仰向けになりながら雑誌を読んでいると、ガチャっと部屋のドアが
開く。その音を聞いて、種ヶ島ががばっと体を起こした。
「おっ、竜次、帰ってきた。」
「少し部屋で待ってればよかったし。」
「まあ、そういうときもあるやんな。」
「チョコのお返しするから、下りて来いや。」
「ちゃーい☆」
二段ベッドの上にいられてしまっては渡すものも渡せないので、大曲は種ヶ島に下りてく
るように言う。その言葉を聞いて、種ヶ島はすぐにベッドから下りた。
「竜次からのお返し、メッチャ楽しみやぁ。」
「そんなに期待されるとあれだし。」
「あっ、でも、マシュマロだったらどないしよ。ショックで泣いてまうかも。」
「マシュマロ?ああ、確か嫌いだったり断りたいときに渡すやつだったか?」
冗談っぽくそんなことを言う種ヶ島に、大曲はしれっとそう返す。
「何や知ってたん?」
「まあな。安心しろ。マシュマロではないからよ。」
「知ってた上で渡されたら、それはそれでショックやもんな。」
「ほら、受け取れ。先月のチョコのお返しだ。」
「わーい!おおきに、竜次。」
綺麗な青い包装紙でラッピングされ、赤いリボンの巻かれた四角い箱を種ヶ島は受け取る。
さすがに箱を見ただけでは何が入っているか分からなかった。
「何やろなー?開けてもええ?」
「ああ、構わねぇし。」
ラッピングを開けてみるが、箱に入った状態ではまだ中身は分からない。四角い箱のふた
をパカッと開けると、中にはカラフルなマカロンが入っていた。
「わー、マカロンや!!」
「俺自身はあんまり食べたことねぇから、美味いかは分からねぇけどよ。カラフルだし、
お前は好きそうだと思って。」
「俺もそんなに何回も食べたことはないんやけどな。でも、メーッチャ嬉しいで☆」
箱の中に並ぶカラフルなマカロンを見て、種ヶ島は本当に嬉しそうに笑っている。
「竜次。」
「何だし?」
「竜次にとって俺は『特別な存在』ってことやんなぁ?あっとる?」
マカロンを一つ手に取り、それを唇にあてながら種ヶ島はそんなことを大曲に問う。マシ
ュマロの話をしていた時点で知ってるかもしれないなあと思っていたが、案の定種ヶ島は
マカロンが持つその意味を知っていた。
「勘弁しろし。」
「あはは、竜次照れとるー。ホンマに嬉しいで、竜次。」
ニッコリと目を細めながら、さっきとは少し異なる声色で種ヶ島はそう口にする。そして、
持っていたマカロンをパクっと食べた。
「うわあ、メッチャ美味い!!前食べたときはそこまででもないなあと思っとったけど、
このマカロンメッチャ美味いなあ。」
「まあ、店によって味は違うんじゃねぇの?」
「竜次がくれたからかもしれへんな。」
もう一つマカロンを手にそんなことを言う種ヶ島に大曲はきゅんとしてしまう。
「なあ、お前、ちゃんとマカロンの箱のふた見たか?」
「ふた?何で?」
「いいから見てみろし。」
ふたなんてそこまでちゃんと見ていないと、種ヶ島は不思議に思いながら箱のふたを手に
取ってみる。外したときには気づかなかったが、ふたの裏に何か手紙のようなものが貼り
つけられていた。
「手紙?」
「あー、何だその・・・お前にあてたやつだ。」
「えっ、これは今読んでも大丈夫なもん?」
「大丈夫じゃないのがどんなのだし。別に構わねぇし。」
手紙の内容が全く想像がつかず、種ヶ島はドキドキと胸を高鳴らせながらその手紙を開く。
便箋一枚に書かれた大曲からの手紙はそこまで長くはないものの、種ヶ島を喜ばすには十
分な言葉が並べられていた。
「・・・ホンマに?」
手紙を読みながら種ヶ島の顔は次第に赤く染まっていく。恥ずかしさと嬉しさで胸がいっ
ぱいになり、自然と顔が緩んでくる。
「えー、メッチャラブレターやったんやけど!竜次が俺にラブレターくれた!」
「うるせぇし。まあ、たまにはこういうのもいいかと思ってよ。」
「ヤバっ、ホワイトデーのお返し3倍返しところじゃなかったんやけど。」
「そんなにかよ。」
種ヶ島が想像以上に喜んでくれているので、大曲の口元も緩む。大曲から貰った手紙を持
ったまま、種ヶ島は大曲に抱きつく。
「うわ、急に何だし・・・」
「もー、大好きやで!!竜次。ホンマ最高のホワイトデーや!!」
「ふっ、勘弁しろし。」
素直で可愛らしい種ヶ島の言葉に、大曲は笑いながらいつものセリフを口にする。やはり
種ヶ島のことがどうしようもなく好きだと思いながら、大曲はその気持ちを込め、種ヶ島
を抱きしめ返した。
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お返しあげる:種ヶ島→お返しもらう:大曲
電話
種ヶ島「お、出た出た。」
大曲 「ああ、お前か。何だし?」
種ヶ島「今、どこにおるん?」
大曲 「図書室から部屋に帰ってきたとこだし。」
種ヶ島「この前のお礼しよう思てな。お返しにあんたの好きなもん買ってきたから、一緒
に食べるってのはどや?」
大曲 「お返し?ああ、ホワイトデーか。」
種ヶ島「ええ案やろ?」
大曲 「そうだな。」
種ヶ島「ほな、今から行くから待っててな。」
ホワイトデーSS
「お待たせ、竜次!たい焼きぎょーさん買うてきたで☆」
部屋に入るなり、種ヶ島は机で本を読んでいる大曲のもとに向かって進む。たくさんのた
い焼きが入った紙袋を抱え、大曲の前に立った。
「おかえり。それ、全部たい焼きか?」
「せやで。いろんな味買うてきたから、一緒に食べよ。」
「へぇ、そりゃ楽しみだし。」
大好物が目の前にたくさんあるという状況に、大曲は上機嫌になる。読んでいた本を机の
上に一旦置くと、種ヶ島が持っている紙袋からたい焼きを一つ取り出した。
「あっ、食べるのちょっと待ってや、竜次!」
「何だし?」
「ハッピー・ホワイトデー!!俺からのお返しやで☆」
「それが言いたかっただけかよ。」
満面の笑みでそんなことを言ってくる種ヶ島が可愛く、大曲は思わずふっと笑う。
「まあ、俺の好きなもんには違いねぇからな。ありがとよ。」
「ほな、早速食べよか☆」
「ああ。」
大曲は先程取り出したものを、種ヶ島は今まさに袋から取り出したものをパクっと口にし
た。いろいろな種類をたくさん買ったので、食べてみないと中身が何か分からない。
「竜次、中身何やった?俺はチョコレートやったで。」
「これは・・・クリームチーズか?」
「ええやん。一口頂戴。」
「だったら、お前のも一口・・・って、せっかくだから、半分ずつにするか。」
「こんなにあるのにな。せやけど、竜次とたい焼き半分こにして食べるの好きやで。」
かなりたくさんあるのも関わらず、半分こをして食べるというこの状況が嬉しくて、種ヶ
島はにこにこと笑う。
「ほら。」
「おおきに。ほんなら、竜次もはい。」
「ありがとな。」
半分に割ったたい焼きを大曲も種ヶ島お互いに渡す。クリームチーズは食べたことがあっ
たが、チョコレートは季節限定なのか今まで食べたことがなかったので、大曲はじっくり
とそのたい焼きを味わう。
「チョコも結構イケるな。」
「なー。この季節限定らしいで。」
「まあ、先月バレンタインがあったからその延長だろうな。」
「確かに。コンビニとかでも見た気がするわ。」
「あっ、おい。」
「ん?どないしたん?」
何かに気づいたような声を上げ、大曲は種ヶ島の顔に手を伸ばす。種ヶ島の口元に今食べ
ているクリームチーズのクリームがついていたため、それを指で拭って取ってやった。そ
して、その拭ったクリームを自分の口へと持っていく。
「口の横にクリームついてたし。」
「何やねん、今のスマートな流れ!当たり前のように食べてるし。メッチャドキドキして
まうやん!」
「この程度でドキドキしてんのかよ?メンタル強いのにな。」
「それとこれとは話が別やで。」
「だったらよ・・・・」
種ヶ島が赤くなって恥ずかしがってるような様子が面白くて、大曲はついからかいたくな
ってしまう。クリームチーズとたい焼きの欠片が少しついた唇にキスをし、唇についてい
たものを綺麗に舐め取った。
「っ!?」
「唇についてたし。」
「ちょっ・・・なっ・・・・」
「顔真っ赤だし。そんなにかよ?」
かなり動揺した反応を見せる種ヶ島が可愛くて仕方ないと、大曲は顔を緩ませる。持って
いたたい焼きをさくっと食べ終えると、大曲は種ヶ島のたい焼きを持っている手とは逆の
手首を掴む。
「りゅ、竜次?」
「たい焼きもいいが、今はそれよりもお前の方が食いたい。」
「まだ俺、たい焼き食べきってないんやけど。」
「さっさと食っちまえ。それくらいは待っててやるからよ。」
やる気満々な大曲に種ヶ島は少々戸惑いつつも、嫌か嫌でないかで言えば全く嫌ではない。
大曲がその気なら仕方ないなあと種ヶ島は嬉しそうに今持っていたたい焼きを食べきった。
「食べ終わったで、竜次。」
「残りのたい焼きは後でのお楽しみだな。」
「せやな。何やこういうホワイトデーもええなあ。」
「そうだな。ほら、移動するぞ。」
「ちゃーい☆」
机の前にいてはしたいことは出来ないので、二人はそれが出来る場所へと移動する。これ
からすることに、まだまだたくさん残っているたい焼き。心が躍ることがたくさんあると、
二人はホワイトデーを存分に楽しむことにした。
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越知×毛利
お返しあげる:越知→お返しもらう:毛利
電話
越知「出たか。今、どこにいる?」
毛利「月光さん!どないしはったんですか?」
越知「先月、チョコレートをもらった礼をしたい。そちらに渡しに行きたいのだが・・・」
毛利「自主練終わって、これから部屋に戻るとこです。」
越知「分かった。すぐにそちらへ行く。」
毛利「寮の玄関の前で待っとった方がいいですか?」
越知「外は寒い。建物の中で、暖かくして待っていてくれ。」
毛利「はい!ほんなら、部屋で待ってますね。」
ホワイトデーSS
毛利が部屋で待っていると、ほどなくして越知が戻ってくる。越知の手にはなかなか大き
な荷物が下げられていて、毛利はそれが気になって仕方がなかった。
「おかえりなさい、月光さん。随分と大きな荷物ですね。」
「ああ、これか。これをお前に渡したいと思って、お前を探していた。」
「そうなんですか?探させてしまってすんません。」
「いや、自主練をしていたのだろう?謝ることではない。」
毛利の目の前まで移動すると、越知は下げていた荷物から中身を出す。越知が手にすると
小さく見えるが、毛利の前に出されたのはなかなかの大きさの鉢に植えられた黄色い花で
あった。
「鉢植えですか?」
「ああ。先月のチョコレートの礼として、これをお前に贈りたい。受け取ってもらえるだ
ろうか。」
「あ、ありがとうございます!ホワイトデーのお返しってことですよね?もらえるにして
も、お菓子やろなーと思っとったんで、ビックリしました。」
「菓子の方がよかったか?」
「いやいや、そないなことないです!月光さんから花贈られるなんて、メッチャ嬉しいで
すわ。」
予想外のお返しに驚きはしたものの、嬉しくないなんてことは決してない。鉢植えを受け
取り、毛利はニッコリと笑う。
「お前へのホワイトデーの返礼品を考えていたときに、たまたま通りかかった花屋でこの
花を見つけてな。明るい黄色やオレンジの花がお前に似ていて、思わず足を止めた。花屋
の店員に話を聞いたところ、この花の名は『福寿草』で、花言葉は『幸せを招く』であり、
1月3日の誕生花ということだった。全てがお前に繋がっていて、是非この花をお前に贈
りたいと思った。」
ホワイトデーのお返しにこの花を選んだ理由を越知は淡々と話す。その理由を聞いて、毛
利の顔はカアァっと赤くなった。
「何や月光さんがそんなに俺のこと考えてくれてはるって思うと、恥ずかしいですけど嬉
しいです。」
「そうか。」
毛利の言葉を聞いて、越知はふっと微笑む。たまに見せるこの表情はずるいなあと思いな
がら、毛利は越知からもらった鉢植えをぎゅっと抱きしめる。
「この花の花言葉の『幸せを招く』って、ええ花言葉ですね。俺としては、今まさに幸せ
なんで、その花言葉間違ってないんやろなーと思います。」
「そうだな。俺はお前と共に過ごせていれば、日々幸せを感じられるので、その部分もお
前に似ていると思った。とても魅力的な花だ。」
「こないに素敵な花くれて、ありがとうございます。大事に世話しますわ。」
越知のこの花に対する気持ちを聞くごとに、毛利はこの花が自分の分身のように思え、愛
しくなってくる。越知と過ごす幸せな時間がずっと続けばいいと、毛利は腕に抱えている
黄金色の花に願った。
「そういえば、その花は上手く世話をすれば、来年も花を咲かせるらしい。」
「ホンマですか!?それはええですね!」
「来年もこの花が咲くのを一緒に見れるといいな。」
「はい!来年も月光さんと一緒に花が咲くの見られるよう、頑張って世話します。」
「俺も手伝おう。」
「えへへ、何や二人で一緒に世話して、また新しい花が咲くいうんは、すごく・・・幸せ
な感じしますね。」
「ああ。そうだな。」
日の当たる机の上に福寿草の鉢を置き、指先でその花に触れた後、毛利は越知の顔を見上
げる。毛利のその動作を真似するように越知は優しく毛利の頬に触れた。
「月光さん、この花が早速幸せを招いてきてくれたみたいですよ?」
「それはどういう意味だ?」
ハッキリとは答えずに、毛利は越知を見上げたまま目を閉じた。さすがにこれはどうして
欲しいか分かると、越知は毛利の唇に口づける。唇を離すと、毛利は顔を赤くしながら本
当に嬉しそうに笑った。
「えへへ、今、メッチャ幸せです!月光さん。」
「ああ、俺もだ。」
毛利につられ、越知もその口元に笑みをこぼす。『幸せを招く』その花はその『幸福』を
『永久の幸福』に変える。福寿草が持つ意味と込められた想い。ホワイトデーに咲く黄金
色の花は、幸せな二人の様子をしばらくの間眺めていた。
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お返しあげる:毛利→お返しもらう:越知
電話
毛利「もしもーし、今から会えません?」
越知「毛利、突然どうした?」
毛利「あはは、驚きました?チョコレートのお返し渡そうと思って。」
越知「そうか。今、部屋に向かっている。」
毛利「ほな、そっち行きますわ!待っとってください!」
ホワイトデーSS
毛利より一足早く越知は部屋に到着する。毛利ももうすぐ戻ってくるだろうと、越知は机
の前にある椅子に腰かけた。しばらくすると、ドアの向こうからパタパタと走ってくる音
が聞こえる。
「月光さーん!!」
ドアが開くと同時に、毛利が元気な声で名前を呼んでくる。
「そんなに大きな声で呼ばなくても聞こえるぞ。」
「すんません。月光さんにお返し渡せると思ったら、何やテンション上がってもうて。」
そう言う毛利の手には何やら大きな箱が抱えられていた。
「随分と大きな箱だな。」
「あっ、そうなんです。これが月光さんへのお返しです!もろてくれますよね?」
持っていた箱を毛利は越知に手渡す。外から見た限りでは、ホールのケーキでも入ってそ
うな箱のように見えるが、開けてみないことには中に何が入っているかは分からない。
「ありがとう。開けてみても構わないか?」
「はい!もちろんです。」
箱を開けてみると、中に入っていたのは大きなバームクーヘンであった。これは一人では
食べきれないなあと思っていると、毛利がすかさず声をかける。
「月光さん、今こんなに大きいと食べきれんなーと思いました?」
「よく分かったな。」
「あはは、俺もこんなんもらったらそう思いますもん。けど、これがよかったんです。」
大きなバームクーヘンを見ながら、毛利は嬉しそうに目を細めてそう呟く。何か理由があ
ってのことだとは思うが、越知にはそれが分からなかった。
「月光さん、バームクーヘンってどんな意味があるか知っとります?」
「結婚式の引き出物のイメージがあるので、良い意味ではありそうだが、詳しくは分から
ないな。」
「バームクーヘンには、『二人の幸せがいつまでも続きますように』とか『幸せが重なっ
ていきますように』って意味があるらしいんです。それ聞いて、ホワイトデーのお返しに
月光さんにあげたいなあと思って。せっかくやから、大きいのにしよう思て、一番大きい
の買うたりました。」
「そうか。この大きさなら大きな幸せが紡いでいけそうだな。」
こんなにも大きなバームクーヘンを買った理由を聞いて、越知は穏やかな声色でそう返す。
そんな言葉を返してもらえるとは思っていなかったので、毛利は嬉しさと感動で胸がいっ
ぱいになる。
「月光さん。」
「何だ?」
「先月はチョコレートくれてありがとうございました。ホンマ嬉しかったです。」
「俺もお前からこんなにも大きな想いのこもった贈り物がもらえて、とても嬉しいと思っ
ている。ありがとう、毛利。」
先月のバレンタイン、そして、今日のホワイトデー。想いがこもったプレゼントを贈られ
たことに、二人は感謝の言葉を述べる。今まさにこの瞬間にも幸せが重なっているなあと
思いながら、毛利は越知を見た。その視線に気づいた越知は優しく微笑み、毛利の頭を撫
でる。
「毛利。」
「はい。」
「好きだぞ。」
ごくごく自然に越知の口から紡がれる愛の言葉。そんな越知の言葉に毛利の胸はきゅーん
とときめき、顔が熱くなっていく。
「俺もっ・・・」
「ああ。」
「俺も、月光さんのこと大好きです!」
「ありがとう、毛利。」
次から次へと幸せだと感じることが増えていく。バームクーヘンを贈ってよかったと毛利
は心の底から思った。越知の膝の上に乗っている大きなバームクーヘンを見て、毛利はと
ある提案を越知にする。
「月光さん、このバームクーヘンメッチャ大きいんで、二人で食べましょ。それでも余る
ようやったら、みんなに分けてあげません?」
「ああ、さして問題はない。むしろ、その方がよいだろう。」
「きっとこのバームクーヘン食べたら、みんな幸せな気分になりまっせ!目の前にあるだ
けで、こないに幸せなんですもん。」
「そうだな。」
この幸せな気分を他のメンバーにも分けてあげたいと、毛利はそんなことを言う。越知も
同じ気持ちなので、毛利の言葉に頷いた。幸せの象徴のようなお菓子をまずは二人で分け
合って食べる。そんな甘く贅沢な時間を二人はじっくりと味わった。